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許すな!憲法改悪・市民連絡会

改憲手続き法案

2014年4月 4日 (金)

改憲手続き優先 国民投票法改正 今国会成立へ

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014040402000108.html

改憲手続き優先 国民投票法改正 今国会成立へ

2014年4月4日 朝刊

 自民、公明、民主など与野党八党は三日、改憲手続きを確定させる国民投票法改正案を衆院に提出することで合意した。衆院に議席のない新党改革を除く七党で八日提出する。合意により改正案の今国会成立が確実となった。国民投票法は二〇〇七年に成立したが、選挙権年齢の引き下げなど三つの検討事項が懸案として残り、国会が改憲を発議しても、国民に是非を問う投票は実施できない状態だった。各党は改憲手続きの整備を優先し、懸案を放置して改正案の提出に踏み切る。 

 共同提出するのは自公民と日本維新の会、みんなの党、結いの党、生活の党の各党。共産、社民両党は法改正に反対の立場。

 改正案は、施行四年後に国民投票の投票年齢を「二十歳以上」から「十八歳以上」に自動的に引き下げるのが柱。現行法は付則で、選挙権年齢や民法の成人年齢を「十八歳以上」に引き下げるまで「二十歳以上」に据え置くとしていた。選挙権年齢などは一〇年五月までに引き下げることになっていたが、与野党の協議が進まなかった。

 八党は、国民投票の年齢の先行引き下げを可能にすることで合意。代わりに、選挙権年齢の扱いでは、二年以内の引き下げを目指すとした文書を交わした。

 現行法の付則は、公務員が改憲の賛否を意見表明するといった政治的行為の容認と改憲以外の問題を問う一般的国民投票の是非も検討事項としていた。今回の合意は公務員の政治的行為に関し、個人的な表明などは認めたが、労働組合など組織的な運動は結論を先送りにした。一般的国民投票の是非も継続協議にした。

2013年11月10日 (日)

朝日社説:国民投票法―「18歳」はどこに行った

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_gnavi#Edit1
国民投票法―「18歳」はどこに行った

 かつて自分たちが法律で決めたことでも「だめなものはだめ」、それが憲法改正の党是を妨げても構わない――。

 改憲の手続きを定めた国民投票法改正をめぐり、自民党内でこんな珍妙なことが起きた。

 国民投票法で認められている18歳からの投票権を実質的に20歳に引き上げる改正案を、自民党がまとめたのだ。

 憲法改正の議論には将来を担う若者に参加してもらいたいという理念にも、18歳以上に選挙権を認める世界の潮流にも反する案だ。再考を求める。

 07年にできた国民投票法は、投票権を18歳以上に認めた。

 ただ、成人や選挙権は20歳以上であるため、それらを18歳にするまでは国民投票も20歳のままとし、2010年までに民法や公選法の改正を進めることが法の付則にうたわれた。

 ところが、その後の与野党対立や政府の検討の遅れにより、成人・選挙権を18歳に改める動きはまだない。

 安倍政権は、国民投票を先行させて18歳以上に確定する法改正を今国会で実現させる方針だった。いまのままでは憲法改正をしたくても国民投票は実施できないと考えたからだ。

 これに真っ向から異を唱えたのが首相にも近い党内保守派だ。「国民投票だけ18歳なのはおかしい」と猛反発し、党憲法改正推進本部の議論は紛糾。結局、民法改正などに期限は設けず、それまでは国民投票も20歳以上とすることで決着した。

 公明党や野党の大勢は投票年齢を18歳とすることで一致しているし、成人・選挙年齢の引き下げにも前向きと言える。

 少子高齢化で、若者に社会保障の負担が重くのしかかる時代だ。選挙権を18歳以上に認め、若い世代の意見も政治に反映させることは望ましい。国立国会図書館などが調べた190カ国・地域のうち、18歳またはそれ以下に選挙権を認めているのは173にのぼる。成人年齢もそれに近い。

 自民党の推進本部の幹部は、憲法改正には衆参両院の3分の2の賛成が必要なことから、「他党と歩調を合わせたい」と説得。それでも保守派は、頑として聞き入れなかった。

 この議員たちは、婚外子への相続差別は違憲との最高裁決定を受けた民法改正にも、最後まで反対した。要は、これまでの社会秩序は変えたくないということのようだ。

 党是の実現が遠のくのは自民党の勝手だ。だが、日本がいつまでも古くさい社会にしばられるのは御免こうむりたい。

2013年9月26日 (木)

国民投票法 議論をやり直すべきだ 09月26日(木)

http://www.shinmai.co.jp/news/20130926/KT130925ETI090004000.php
国民投票法 議論をやり直すべきだ 09月26日(木)

 自民、公明両党が憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案を、来月召集予定の臨時国会に共同提出する見通しとなった。

 国民投票ができる年齢を「18歳以上」で確定するという改正である。

 同法は、付則で(1)成人や選挙権の年齢も18歳以上に引き下げる(2)公務員も自由に改憲論議をできるようにする(3)改憲だけでなく、国民投票の対象拡大を検討する―ことを求めている。合わせて「三つの宿題」といわれる。

 国会はこれらの宿題をサボり続けてきた。特に、年齢に関しては2010年5月の法施行を過ぎても実現していないため、“違法状態”になっており、実質的に使えない法律となっている。

 使えるようにするために自民党が考えたのが、宿題の棚上げである。解決が難しいからといって、国民投票の年齢問題だけを先行させるのは筋が通らない。

 同法をめぐっては、憲法改正を宿願とする安倍晋三首相が第1次政権で、強行採決などで成立を急いだ経緯がある。宿題の解決に見通しが立たないなら、一から議論をやり直すべきだ。

 安倍首相は先月、憲法改正に関し、三つの宿題に取り組む考えを示しつつ、「国民の意見を尊重して議論を進めていきたい」と語った。改憲に対する国民の理解が広がらず、連立を組む公明党が9条の改正を警戒していることなどから、慎重な対応を余儀なくされた結果である。

 改正案が急に共同提出される展開になったのは、公明党の歩み寄りが大きいようだ。衆院憲法審査会が今月行った欧州視察の際に合意した、とされる。平和主義を掲げる公明党ではあるけれど、護憲政党と一線を画すため、憲法に新たな理念を書き加える「加憲」を主張している。

 憲法に手を入れる立場から改憲手続きに一定の理解を示す必要性があったのか。与党の一員として首相との溝を広げるのは得策でない、と判断したのか。さまざまな思惑が透けて見えるようだ。

 国民投票法の改正は改憲の環境整備を進めるものだ。国民投票の年齢確定をきっかけに、首相サイドが改憲機運を盛り上げる可能性は否定できない。

 安倍政権のブレーキ役を自任する公明党にとって、国民投票法への対応は姿勢が問われる問題である。改憲に向け、外堀が徐々に埋まっていくのを許すことは本意ではないはずだ。改正案に安易に相乗りするべきではない。

2013年6月 7日 (金)

国民投票法 論議を一からやり直せ 06月07日(金)

http://www.shinmai.co.jp/news/20130607/KT130606ETI090005000.php
国民投票法 論議を一からやり直せ 06月07日(金)

 衆院憲法審査会は、憲法改正の手続きを定めた国民投票法が求める成人年齢や選挙権年齢の引き下げについて議論した。自民党の委員からは、国民投票ができる年齢を「18歳以上」で確定させる案が出された。

 民法で20歳以上となっている成人年齢の引き下げは、2010年の施行までに行うことになっていたが、実現していない。

 一方、安倍晋三政権は民法や公職選挙法の改正などには当面手を付けず、国民投票の年齢を先行して固めるための法改正も検討している。国民投票法だけをいじって改憲の環境整備を進める考えだとしたら、やり方が荒っぽい。

 そもそも、この法律は第1次安倍政権が成立を急いだため、詰め切れていなかったり、手付かずだったりの課題が多すぎる。

 07年に成立した国民投票法は付則で「宿題」を明記している。同法で投票権は18歳以上に与えているが、民法上の成人年齢や公選法上の投票年齢を同じ18歳以上にすることが盛られている。

 公務員が憲法改正の是非を論じられるようにする法の整備や、国民投票の対象を拡大する案の検討も求められている。合わせて「三つの宿題」と言われる。

 安倍首相はこれらの課題に結論を出した上で、改憲の国会発議要件を緩和する96条の改正に取り組む意向を示してきた。が、いずれもめどがたたず、早期改憲の「足かせ」になるとの思いを強めたのではないか。

 さらに重要な問題がある。参院で国民投票法案が可決されたときの付帯決議だ。最低投票率制度の導入について検討することなどを求めた。これも手付かずのまま今日に至っている。

 とりわけ、投票率の問題は無視できない。国会から改憲が提案され、投票率が低かった場合、ひと握りの国民の意思で憲法が変わってしまうことも起こり得る。投票率がわずか20%でも過半数が賛成すれば、憲法を変えられることを意味する。

 安倍首相は「憲法を国民の手に取り戻す」ために改憲は必要と訴えてきた。低投票率になれば、改正の正当性に疑問符が付き、首相の言葉とは逆に憲法が国民から遠い存在になるかもしれない。

 成立過程も含めて国民投票法には問題が多いことを認識しなくてはなるまい。与野党で一から論議することを求める。

2012年1月21日 (土)

国民投票法の検討状況、府省にとりまとめ指示

こうして野田政権はそろりそろりと憲法改悪の準備を進めている。油断できない動きだ。(高田)
http://www.asahi.com/politics/update/0120/TKY201201200421.html
国民投票法の検討状況、府省にとりまとめ指示

 憲法改正の手続きを定めた国民投票法について、竹歳誠官房副長官は20日、各府省の事務次官に、18歳以上の投票の実施に関連する民法や公職選挙法など196の法律改正の検討状況を、2月中旬までにとりまとめるよう指示した。

 国民投票法には「必要な法制上の措置を講ずる」とあるが、そのための事務次官会合は2010年4月以降中断している。野田政権は2月中旬に事務次官会合を再開させる方針だ。

 衆院憲法審査会が昨年11月、2007年の設置以来初めて開催されたほか、民主党憲法調査会が成人年齢を20歳から18歳に引き下げる方針を固めたことなどが背景にある。

2011年6月20日 (月)

思いやり予算で共同文書…日米、意義を再確認

「トモダチ作戦」、やってあげたじゃないか、と米政府。(高田)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110619-OYT1T00460.htm
思いやり予算で共同文書…日米、意義を再確認

 日米両政府が、21日にワシントンで開く外務、防衛担当閣僚による「日米安全保障協議委員会(2プラス2)」で、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算=HNS)に関する共同文書を策定することが18日、わかった。

 複数の日米関係筋が明らかにした。

 共同文書は東日本大震災発生後に在日米軍が被災地を支援する「トモダチ作戦」を展開したことなどを踏まえ、米軍駐留を日本が財政面から支える思いやり予算の意義について、両政府が再確認する内容となる。国防費の削減圧力を強めている米議会が海外駐留米軍の経費を問題視している現状に配慮した面もある。

 両政府は昨年12月、思いやり予算に関し、2011年度から15年度までの5年間、1881億円(10年度)の水準を維持するとした新たな特別協定に合意し、今年4月に発効した。
(2011年6月19日17時48分  読売新聞)

2010年5月20日 (木)

[国民投票法施行]強行策のツケが今に…

http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-05-20_6627/

[国民投票法施行]強行策のツケが今に…
全国

2010年5月20日 09時55分                   
(2時間24分前に更新)

 憲法の改正手続きを定めた国民投票法が18日、施行された。これによって法制度上は、以下の手順で憲法を改正することが可能となった。

 衆院で100人以上、参院で50人以上の賛同があれば憲法改正案の原案を提案することができる。原案は衆参両院に設けられた憲法審査会で審議され、両院それぞれの本会議で3分の2以上の賛成が得られれば、国会が憲法改正を発議し、国民投票にかける。

 投票権を持つのは「18歳以上」の人たちで、投票総数の過半数が賛成なら憲法改正案は成立する。改正案は関連する事項ごとに提案され、それぞれの改正案ごとに一人一票を投じる、という仕組みだ。

 国民投票法は施行されたが、同法はまだ「使える状態」にはなっていない。穴ぼこだらけで、今のところ、使おうにも使えない状態なのだ。なぜそうなってしまったのか。

 一言で言えば、安倍晋三首相(当時)の改憲願望を実現するための強行策が国民に受け入れられず、そのツケが回ってきているのである。

 国民投票法は安倍政権下の2007年5月14日、与党の賛成多数で成立し、同18日に公布された。だが、自民党は7月の参院選で大敗し、安倍首相は退陣。国会にねじれ現象が生じた。憲法改正に前のめりになっていた安倍政権に対し、「もっとやるべきことがあるはずだ」と有権者がノーをつきつけたのである。

 昨年の政権交代で憲法改正の機運はさらにしぼみ、法施行までの3年の準備期間に取り組むべきことが凍結されたまま、施行の日を迎えたというわけだ。

 国民投票法が公布されたのに伴い、衆参両院に憲法審査会が設置されたが、いずれも休眠状態である。

 衆院は審査会規程をつくったものの、まだ委員を選任していない。参院は委員の選任どころか審査会規程もできていない。

 公職選挙法や民法で定められた選挙権年齢、成年年齢はいずれも20歳だが、国民投票法は「18歳以上」を有権者と定めている。

 憲法改正の投票権を「18歳以上」の人たちに与えた以上、国政選挙の投票権も「18歳以上」とするのが筋だ。

 国民投票法はその考えに立って、付則の中で、現行の選挙権年齢や成年年齢の見直しを求めている。

 だが、成年年齢の見直しには異論も多く、法改正のめどはたっていない。

 国民投票法の問題はそれだけではない。

 どんなに投票率が低くても、過半数の賛成が得られれば憲法改正は成立する仕組みや、有料広告の公平性、運動の規制問題など課題は多い。日弁連が施行の延期を求めたのは当然だと言うべきだろう。

 憲法論議の前提は、平和・人権・環境などの理念をいかに豊かに肉付けしていくか―という視点だ。

 普天間問題の現状を考えれば、憲法改正なんてとんでもないというのが多くの県民の実感ではないだろうか。やるべきことはほかにたくさんある。

2010年5月19日 (水)

北海道新聞社説/国民投票法施行 欠陥法は見直すしかない(5月18日)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/231952_all.html
社説/国民投票法施行 欠陥法は見直すしかない(5月18日)

 日本国憲法の改正手続きを定めた国民投票法がきょう施行される。

 改憲が政治日程に上る状況にはなく、施行は形だけとも言える。

 だが法律的には憲法改正原案の発議が可能になる。施行63年を経た憲法の重要な節目である。

 国民投票法には問題が多い。

 「任期中の改憲」を掲げた安倍晋三政権は、2007年5月に野党の反対を押し切り同法を成立させた。だが同氏の退陣と、昨年の政権交代で政治状況は劇的に変化した。

 世論も改憲を不要とする声が増えている。この法律は根本的な見直しが必要だ。大切なのは改憲よりも雇用や福祉、年金など国政の課題を解決するために、憲法の精神を日本社会に根付かせることだ。

*宿題残し見切り発車

 成立から3年がたった国民投票法は施行までに予定した関連法などの整備がまったく進んでいない。

 まず「18歳投票権」だ。

 前提となる成人年齢や選挙権を現行20歳から18歳に引き下げる見通しは立っていない。関連の民法や公職選挙法の改正論議がなんら行われておらず、差し当たり20歳以上を適用することになる。

 成人年齢などの引き下げは社会的影響も大きく賛否が分かれている。本則に明記しながら、政治が方向を示せないのは無責任だ。

 最低投票率についての規定がないことはさらに問題だ。投票権者のわずかな賛成によって憲法改正が行われる可能性がある。

 国民投票は、有効投票数の過半数で憲法改正が承認される。

 仮に投票率が40%なら投票権者の20%程度でも改憲が実現する。国の基本法の憲法を変えるにはハードルが低すぎないか。

 参院の審議では低投票率での憲法改正の正当性が焦点となり、付帯決議で「施行までに検討を加える」とされた。にもかかわらずその後の論議はないままだ。

 日本弁護士連合会は最低投票率制の導入を提言している。過半数の算定に無効票を含め、投票ボイコットも意思表示とみなすかも論点だ。

 いずれも民主主義の基本設計にかかわる。国民の意思を十分反映できる制度でなければならない。

 成立時に参院特別委が行った18項目もの付帯決議には、最低投票率の導入の是非をはじめ、公務員・教育者に対する国民投票運動の規制のあり方、有料意見広告の公平性の確保などが検討課題とされた。

 どれも手付かずで、これでは欠陥法を世に送り出すことになる。

*政治は責任を免れぬ

 こうした問題点について政治の怠慢、とりわけ民主、自民両党の責任を挙げなければならない。

 民主党は「見直し・凍結」の意見が一部にありながら、党内論議を深めてこなかった。

 米軍普天間飛行場の移転や、鳩山由紀夫首相らの政治資金の問題にエネルギーをとられた面は否めない。だが根底には憲法を党の政策に生かそうとする姿勢の弱さがある。

 海外への武器輸出を禁じた「武器輸出三原則」の緩和に言及した北沢俊美防衛相の発言は、平和憲法の精神に真っ向から反している。しかし党内から疑問や批判の声はほとんど上がらなかった。

 民主党には鳩山氏をはじめ改憲論者が多い。国民投票法の成立時には野党として反対したが、法案づくりでは自民党と共同歩調をとった。

 しかし政権に就いた以上、法の運用に責任を負う。内閣と党で扱いを真剣に検討すべきだ。

 一方、安倍政権の下で採決を強行した自民、公明両党は野党に転落した。だが自民党は独自の改憲案を国会に提出する構えも見せている。

 夏の参院選に向け改憲論議を仕掛け民主党を揺さぶる狙いだろう。

 憲法は駆け引きの道具ではない。党利党略に走った採決を反省し、問題を認める謙虚さが必要だ。

*憲法の理念を政策に

 自民党などには憲法改正原案を審議する憲法審査会の態勢を整えるべきだとの主張がある。

 憲法審査会は国民投票法成立を受け衆参両院に設置された。しかし、与野党の対立で衆院では委員数などを定めた審査会規程ができたものの委員は選任されず、参院では規程すらできていない。

 憲法審査会が頓挫したのは当時の安倍政権が参院選の争点にしようと焦り、強行採決した付けだ。拙速に審査会を動かす理由はない。

 そうした成立の経緯や問題点の多さを考えれば、この「欠陥国民投票法」は本来廃止すべきものだ。

 ただちにそれが困難だとしても、投票法の必要性を含めて内容を一から洗い直し、凍結や是正に取り組むことだ。そのために新たに与野党協議の場を設けるべきだろう。

 参院選は各党の投票法への姿勢を問う絶好の機会になる。

 いま政治に求めたいのは、平和と人権をうたう憲法の理念を政策に生かし、日本社会を変革することだ。それこそが急がれる。

赤旗主張:国民投票法施行/改憲ねらう欠陥法は廃止に

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-05-19/2010051901_05_1.html
主張
国民投票法施行/改憲ねらう欠陥法は廃止に

 憲法改定の手続きを定めた改憲手続き法(国民投票法)が施行されました。見過ごせないのはそれをきっかけに改憲の機運を盛り上げようという動きが表面化しており、自民党など一部に独自の「改憲案」を国会に提出しようという策動まででていることです。

 施行された改憲手続き法は、「投票年齢」など前提となる規定さえ欠いた欠陥法です。しかもそれを機に改憲の機運を盛り上げようという策動は、改憲をむりやり進める、この法律の危険なねらいを浮き彫りにするものです。改憲をねらう手続き法は、いますぐ廃止すべきです。
国民は改憲望んでいない

 もともと改憲手続き法は改憲が前提で、そのための手続きを定めた法律です。憲法が施行されてから2007年に「任期中の改憲」を公言した安倍晋三政権が手続き法の制定を強行するまで、60年にわたってこの法律がなくても何の問題も起きませんでした。国民が改憲を望まず、改憲が政治日程に上らなかったからです。

 改憲手続き法が制定・公布されてからのこの3年間にも、施行に必要な「投票年齢」を18歳に引き下げることや国民投票の運動を自由化するなどの法律改定がおこなわれず、文字通り欠陥法のまま施行されることになったのも、国民が改憲を望んでいなかったためです。本来なら改憲手続き法は施行せず、廃止の手続きをとるのが当然の法律でした。

 改憲手続き法の施行にあわせ、改憲勢力が改憲の機運を盛り上げようと策動しているのも、いま改憲が差し迫った課題となっていないことを、逆に裏書きするものです。自民党が「改憲案」を国会に提出しようとしているのは、「改憲案」提出であおって民主党を揺さぶるという、まったくの党略的なねらいです。

 だいたい、改憲手続き法が施行されたといっても条件が整っていない欠陥法で、たとえ自民党が「改憲案」を提出したとしても国会でそれを審査する憲法審査会開催の見通しさえ立ちません。衆院では審査会の運営規程はあるものの委員は選定されておらず、参院では運営規程さえ決まっていないからです。それを承知で「改憲案」を提出するなどというのは、文字通り憲法をもてあそぶ、許されない態度です。

 もちろん、見通しが立っていないとはいえ具体的な「改憲案」が国会に提出されることになれば、現在の憲法のもとではじめての事態になります。憲政史上に重大な汚点を残すことになる「改憲案」の提出は許されないことで、その策動は直ちにやめるべきです。
憲法を守り生かすため

 改憲手続き法が制定されたあと、07年の参院選と09年の総選挙で自民・公明政権はきびしい審判を受け、国会の議席でも改憲勢力の後退は明らかです。ことしの憲法記念日を前後した各マスメディアの世論調査でも、改憲を支持する世論の後退は顕著です。

 いまやるべきは改憲ではなく、日本が世界に誇る憲法9条をはじめ、憲法の原則を守り、生かすことです。手続き法は廃止し、国民が望まない改憲のための策動は根元から断つべきです。そのためにも、改憲の策動を許さない、参院選での国民の審判がいよいよ重要になってきます。

【政論】憲政史に泥を塗る国民投票法の「不完全施行」 

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100518/plc1005181955018-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100518/plc1005181955018-n2.htm
【政論】憲政史に泥を塗る国民投票法の「不完全施行」 
憲法改正の手続きを定めた国民投票法が18日、施行された。これで、衆院で100人以上、参院で50人以上の賛同があれば、憲法改正原案(改憲原案)の提出が可能になった。しかし、国民投票法制定に伴う国会法改正で、平成19年8月に設置された衆参の憲法審査会が、民主党のサボタージュと共産、社民両党の反対で今も始動していない。憲法審査会という審議の場がなければ、改憲原案は宙に浮き、国会が国民に憲法改正を発議できない状態がなお続く。

 国民が投票で、最高法規の改正の是非を最終的に決する制度がしかれるのは本来画期的だが、今回の国民投票法施行は、まるで羊頭狗肉、「不完全な施行」(中谷元・自民党憲法改正推進本部事務局長)だ。

 責任が最も大きいのは、改憲論者を自称する鳩山由紀夫首相と民主党だ。党内に護憲派議員を抱え、社民党と連立を組む民主党が一向に動かないため、憲法審査会は2年9カ月後の今も動いていない。「法律を制定し国民に順守を求める立場の国会が、法律を守らない」(中谷氏)事態は、日本の憲政史に泥を塗る事態と言っていい。

 国民投票法施行までに解決が期待された(1)18歳選挙権、成人年齢実現などの法整備(2)国民投票運動に関する公務員の政治的行為の法規制(3)国民投票の対象拡大の検討-の「3つの宿題」も解決していない。

 自民、公明両党などの国会議員有志は18日、「国民投票法施行記念集会」を国会内で開き、憲法審査会始動を求める緊急アピールを決議したが、「創憲」政党のはずの民主党の議員の姿はなかった。

 民主党護憲派の千葉景子法相は18日の記者会見で、成人年齢引き下げについて「国民投票法と一体として議論しなければならないものか」と、消極姿勢を示している。

 国民投票という、国民が「主権」の行使に直接参加する唯一の機会を封じ、憲法論議から逃げて、大きな世直しなどできるのか。明治時代の自由民権運動の闘士が今の国会の惨状を知ったら、激怒するに違いない。(榊原智)

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