http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130504-00000061-san-pol
トルコに原発輸出へ 首脳会談、三菱重に交渉権 官民一体、福島事故後、初
産経新聞 5月4日(土)7時55分配信
【アンカラ=半沢尚久】トルコを訪問中の安倍晋三首相は3日午後(日本時間3日夜)、アンカラの首相府でエルドアン首相と会談し、トルコが建設を計画している原子力発電所について三菱重工業と仏原子力大手アレバの企業連合に「排他的交渉権」を与えることで合意、原発輸出の前提となる原子力協定に署名した。三菱重工などによる受注契約に向けた詰めの交渉が残っているが、正式に受注が決まれば官民一体で進めてきた案件としては、一昨年3月の東京電力福島第1原発事故後初の原発輸出となる。
会談では、安倍首相が両国間による原子力協定の締結について「非常に喜ばしい」と表明した。エルドアン氏も「原発プロジェクトが進む中で日本に若い技術者を派遣し、多くのことを学ぶことになる」と述べ、日本への期待を示した。
安倍首相は首脳会談後に内外記者会見を開き、アラブ首長国連邦(UAE)とトルコとの間で原子力協定締結となったことに関連し「過酷な事故の経験と教訓を世界と共有し、原子力安全の向上に貢献していくことは日本の責務だと考える」と述べ、今後も日本の原発輸出を積極的に進める方針を表明した。
三菱重工などが建設事業に関する排他的交渉権を得るのは、トルコが黒海沿岸の都市シノップで計画している原発。
計画では原発4基を建設し、総事業費は220億ドル(約2兆2千億円)規模になる見込みだ。これまで日本、中国、韓国、カナダの4カ国が受注を目指し争っていた。
首脳会談では「原発と原子力産業の開発のための協力協定(IGA)」を結ぶことを確認し、両政府間で署名式も実施。日本が原発建設でIGAに署名するのも初めてとなる。
IGAにより三菱重工などは独占的に交渉できる権利を付与される。政府間でも、IGAに基づき原発建設に向けた協力内容を調整する運営委員会を設置。トルコ側には、原発建設用地の無償提供や関係する人員の出入国をしやすくする措置が義務化される。
このほか、トルコに原子力分野の専門家を育成する科学技術大学を合同設立することで検討していくことが決まった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130504-00000090-san-soci
核燃料再処理工場「稼働ストップ」 年1100億円無駄、プール満杯目前…計画見直しも
産経新聞 5月4日(土)7時55分配信
核燃料再処理工場「稼働ストップ」 年1100億円無駄、プール満杯目前…計画見直しも
核燃料サイクル(写真:産経新聞)
10月に完成を目指していた日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)について、原子力規制委員会が新規制基準の審査が終わるまで「稼働ストップ」を命じたことに対し、稼働の遅れで年間約1千億円の費用が無駄になることが3日、分かった。費用は再処理を委託する各電力事業者が負担するため、電気料金に跳ね返りかねない。六ケ所村にある燃料貯蔵プールも満杯に近づいており、このまま稼働の見込みが立たなければ、再処理計画の見直しも迫られる。(原子力取材班)
【ビジュアル】原発ゼロ、高すぎるハードル 巨費必要な再生エネ
原燃は4月17日から再処理工場で、高レベル放射性廃棄物を「ガラス固化体」にするために溶融炉の温度を上げる工程に着手。5月上旬から、本格的なガラス固化試験に移行し、10月の完成に向け大詰めを迎えていた。
工場はもともと平成9年の完成予定だったが、ガラス固化工程でトラブルが相次ぎ、19回も延期。投じた建設費も当初計画の7600億円から2兆2千億円に膨れあがり、原燃にとって完成は「悲願」だった。
民主党政権では費用の増大で再処理廃止も検討に上がったが、現政権は取り組みを後押ししている。安倍晋三首相は4月23日の参院予算委で「日本の再処理技術は高いレベルを持っており、引き続き取り組んでいく」と述べていた。
ところが、規制委は3月下旬に突然、12月にも施行する再処理施設の新規制基準に適合しない限り、稼働を認めない方針を表明。規制委の田中俊一委員長は「新規制基準ができるまで、少し待っていただく」と要請した。
その後、原燃幹部が何度も規制委に足を運び使用前検査を頼んだが、規制委側は法的根拠を示さないまま、「これが規制委のスタンス」と突っぱねている。国内で唯一稼働中の関西電力大飯原発(福井県)が事実上の事前審査を認められているのとは対照的だ。
原燃によると、稼働が認められなくても、燃料貯蔵プールの機能維持や安全確保のために、年1100億円の経費が必要という。
特に差し迫った問題は、燃料貯蔵プールの現在量が2937トン(総容量3千トン)で、貯蔵割合が98%と満杯に近いことだ。今年度は、北陸電力志賀原発(石川県)と四国電力伊方原発(愛媛県)から計約13トンが搬入される予定で、当面プールの容量を超えないが、26年度に60トン、27年度には320トンの搬入予定があり、稼働が遅れると計画の見直しを余儀なくされる。
原燃の川井吉彦社長は「安全に直接関係する機能の確認は終え、設備の処理能力に関する性能検査を残すのみなので、粛々と検査を受けさせてほしい」とコメントしている。
■核燃料の再処理 原発で出た使用済み核燃料の中から、燃え残ったウランや生成されたプルトニウムを取り出すこと。これらを混ぜ合わせて作ったMOX(混合酸化物)燃料を原発で利用。再処理工場は燃料を繰り返して使う「核燃料サイクル事業」の一翼をなす。非核兵器国では日本にだけ認められている事業。青森県六ケ所村の工場では年間800トンの再処理を見込んでいる。