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許すな!憲法改悪・市民連絡会

日米関係

2013年11月28日 (木)

琉球新報社説 県連公約撤回 民意を裏切る行為だ 議員辞職し信を問え

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-215905-storytopic-11.html
琉球新報社説 県連公約撤回 民意を裏切る行為だ 議員辞職し信を問え2013年11月28日

 自民党県連が県議の議員総会を開き、米軍普天間飛行場の辺野古移設容認を決めた。県議らは県外移設を公約していたから、公約の撤回だ。公約を媒介に有権者と候補者が契約を結ぶという代表制民主主義を根底から破壊した。
 それだけではない。沖縄の政治家の公約の軽さを全国に発信した。恫喝(どうかつ)に屈して節を曲げる大人の姿を子どもたちに見せてしまった。自らが県民の命と人権を脅かす側に回る罪深さを自覚しているのか。
 公約を撤回する以上、有権者との信託関係は消滅した。自民党県連の県議は全員、議員の職を辞し、信を問うべきだ。

近現代史に残る汚点

 県連は、党本部と県関係国会議員が合意した内容を進めるという。「普天間の危険性除去へ、辺野古移設も含めあらゆる選択肢を排除しない」というのがそれだ。県外移設も排除しないのだから公約撤回ではないと強弁したいのだろうが、詭弁(きべん)でしかない。
 昨年6月の県議選で、自民党県連の県議15人のうち、無投票の2人と回答保留の1人を除く12人全員が、移設先について「県外」ないし「県外・国外」を公約に掲げていた。「県内」を主張していた者は一人もいない。今後、彼らの公約を信じられるだろうか。
 県議会は2010年2月、「県内移設に反対し、国外・県外移設を求める意見書」を、自民会派も含む全会一致で可決した。ことし1月には超党派の県議団が県内の全市町村長とともに県内移設断念を求める「建白書」を政府に提出した。県連の決定は、民意もこれらすべても裏切る行為である。
 党本部は今回、離党勧告をちらつかせていた。自民党国会議員も県連も、自分の保身のために沖縄を売り渡したに等しい。沖縄の近現代史に刻まれる汚点だ。
 彼らは普天間固定化の危険を方針転換の理由に挙げる。だがキャンベル前米国務次官補は「普天間で事故が起きれば住民の支持は壊滅的打撃を受ける」と述べ、米上院の重鎮マケイン氏も新駐日大使にその危険を警告した。固定化は、実は米側こそが避けたい事態であることを示している。
 こうした情報を収集しようともせず、沖縄に基地を押しつけておきたい側の言をうのみにしたのでは、分析能力が問われよう。
 西銘恒三郎衆院議員は「ボクは、正直だ」と公約違反に居直り、島尻安伊子参院議員は「待望の子どもが生まれた時にはみんなでお祝い」と、辺野古容認を無邪気に称揚した。侮辱的発言だ。

政府がネック

 キャンベル氏もデミング元米国務副次官補も、現行計画と別の選択肢の必要性を示唆している。現行計画をごり押しする言動を繰り返したアーミテージ元米国務副長官ですら、現行案と違う計画「プランB」の必要性を唱えていた。
 米国の財政悪化は深刻で、軍事費削減は焦眉の急である。海兵隊3個師団を2個に減らすことも決定事項だ。黙っていても在沖海兵隊は撤退の流れにある。なのにそれが表面化しないのは、日本政府が妨害しているからではないか。
 復帰後の1972年10月、米国防総省が在沖米海兵隊基地の米本国統合を検討していたのに、日本政府が引き留めたことが豪州の公文書で明らかになった。2005年の米軍再編協議でも、米側が県外移設を打診したのに日本側が受け付けなかった事実がある。
 沖縄の基地負担軽減のネックになっているのは日本政府なのだ。「県外移設などとんでもない」と言い放つ菅義偉官房長官の口ぶりに、政府の体質が表れている。
 県連は今後、知事に埋め立て承認を働きかけるというが、沖縄に犠牲を強いる先兵になるというのか。「県外」を堅持し気骨を見せる那覇市議団には、今の姿勢を貫いてもらいたい。沖縄さえ拒否の姿勢を続けていれば、現行案の断念は時間の問題なのだ。そうした情勢を冷静に見極めておきたい。

2013年11月11日 (月)

琉球新報社説 海兵隊引き留め 歴史的過ち繰り返すな2013年11月11日

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-215090-storytopic-11.html
琉球新報社説  海兵隊引き留め 歴史的過ち繰り返すな2013年11月11日

沖縄の施政権が返還された1972年、在沖米軍基地の過重負担を大幅に軽減する千載一遇の好機が到来したが、日本政府がつぶしていた事実が明らかになった。 米国防総省は、財政難やアジアの緊張緩和を背景に、在沖海兵隊を撤収し、本国への統合を模索したが、日本政府が引き留めていた。
 米国の同盟国であるオーストラリアの外交文書から分かった。
 一方、米国務省は、市街地で騒音被害を振りまく海兵隊の普天間飛行場をめぐり、「明らかに政治的負債だ」と断定していた。この認識は、海兵隊撤退論に影響を与えたであろう。
 国防総省の海兵隊撤退案は、72年10月、駐米豪大使館が本国に宛てた公電に記されている。その後、米政府は在沖基地維持に傾く。沖縄の米軍基地の整理縮小、兵員削減に日本政府が立ちはだかる構図は、当時も今も変わらない。
 超大国の覇権主義の失敗は明らかだった。ベトナム戦争に膨大な戦費を投じた米国は財政危機に直面し、72年当時、在沖海兵隊の本国撤収の検討を余儀なくされる。
 米国防総省の担当者は、沖縄の2海兵旅団を含め、太平洋の全海兵隊をカリフォルニア州サンディエゴに統合する構想を立案し、「相当安く、有効だ」として効率化を最優先する見解を示していた。
 戦争継続中であっても、財政危機の打開策として軍事予算削減に大なたを振るうことが避けられなかったわけだ。日本政府が同意すれば、沖縄の全海兵隊基地が返還されていた可能性が高い。
 ところが、翌73年7月、日米安全保障条約運用会議で、防衛庁が在沖海兵隊の維持を主張し、米本国への撤退は不発に終わった。
 それどころか、78年に始まった在日米軍駐留経費の肩代わり、いわゆる「思いやり予算」が年々膨らみ、世界で屈指の駐留環境を米軍にもたらしてしまった。
 米政府は72年当時と同様に、軍事予算を含む歳出強制削減を強いられている。米有力議員から「歴史の遺物」とも酷評された海兵隊は大幅削減を迫られているが、既得権と化した思いやり予算の維持拡大を日本側に求めながら、生き残りに必死だ。
 沖縄の抜本的な負担軽減に結び付く米軍の戦略配置を、金の力と沖縄への基地押し付けでゆがめる。歴史的な過ちを繰り返してはならない。普天間飛行場の名護市辺野古移設は論外である。

2013年10月 4日 (金)

社説[2プラス2]まやかしの負担軽減だ

http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-10-04_54862

社説[2プラス2]まやかしの負担軽減だ

 外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)が東京で開かれ、共同声明を発表した。在日米軍再編についても議論し、「沖縄の負担軽減策」も打ち出してはいるが、沖縄からみればまるで説得力に欠ける内容だ。

 米軍普天間飛行場問題に関し、日米両政府は、名護市辺野古への移設が普天間の固定化を回避するための「唯一の解決策」として、移設計画を完了することを確認した。

 辺野古移設案が長年膠着(こうちゃく)し、既に破綻しているのは明らかなのに、両政府とも県内移設に固執したままだ。現実から目をそむけ、取り繕っているようにしかみえない。

 負担軽減策にしても、どれだけ実効性を伴うか疑問だ。

 例えば、普天間飛行場に配備されているオスプレイ訓練の県外・国外移転を進め、沖縄での訓練時間の削減を図ることが確認された。だが、具体的にどの程度の訓練移転となるかは不明だ。そもそも沖縄側が求めているのは、訓練ではなくオスプレイ配備自体の見直しである。普天間を拠点に訓練が続くようでは、危険性の除去とは言えない。

 沖縄本島東にある米軍訓練区域「ホテル・ホテル」の一部で、これまで事実上禁じられていた漁船の航行も認めることなども盛り込まれた。ただ、米軍が使用しない期間のみに限定するなど、米軍の裁量次第となりかねない。詳細は詰められておらず、今後の作業を注視すべきだ。

 返還が予定される米軍施設の事前の立ち入り容認に至っては、当然の要求だ。

    ■    ■

 両政府が沖縄の「負担軽減」を強調する背景には、普天間飛行場の辺野古移設へ向け、知事の埋め立て許可を得るための環境整備を図る狙いがある。

 しかし、仲井真弘多知事は「地元の理解が得られない移設案の実現は事実上不可能だ」と強調し、県外移設を求める考えを変えていない。

 稲嶺進名護市長も定例会見で「政府は整理縮小というが、普天間(飛行場)よりはずっと機能が強化されたもので、縮小とはいえない」と指摘している。

 地元の意向を無視した辺野古移設は、非現実的だと認識すべきだ。

 両政府は、在沖縄海兵隊のグアム移転を「20年代前半に開始する」と明示した。米国は日本側が拠出する資金で、グアムと北マリアナ諸島に訓練場を整備する。これでは、沖縄の負担軽減に名を借りて日米の一体化を進めることにならないか。

    ■    ■

 負担軽減を強調する一方で、日米施設の共同使用を進展するとしているのも気になる。具体的には示されていないが、沖縄の基地機能強化につながる可能性がある。

 両政府は、自衛隊と米軍の協力の在り方を定めた防衛協力指針(ガイドライン)の見直しに合意したほか、集団的自衛権の行使に関する日本の取り組みに対し「米国はこれらを歓迎し、日本と緊密に連携していく」とも明記した。憲法を逸脱したとんでもない内容だ。国会での議論もないままに物事を進めようとしており、極めて危うい。

集団自衛権論議が鍵=ガイドライン見直し-日米2プラス2

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013100300967
集団自衛権論議が鍵=ガイドライン見直し-日米2プラス2

 日米の外務・防衛担当4閣僚が初めて東京にそろう形で開かれた安全保障協議委員会(2プラス2)。2プラス2では日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を2014年末までに見直すことで合意し、発表した共同文書には、新たなガイドラインに集団的自衛権行使を反映させたい安倍政権の思いが強くにじんだ。
 「厳しい安保環境との認識の下、平和と安定の礎として同盟を強化していきたい」。2プラス2の冒頭、岸田文雄外相はこう強調した。岸田氏は集団的自衛権行使を可能にするため、政府内で憲法解釈の見直しを検討していることを説明。米側は「歓迎」を表明し、それは共同文書にも盛り込まれた。
 共同文書はまた、「(日米が)同盟をよりバランスの取れた、より実効的なものとし、十全なパートナーとなる決意である」と明記。日本に米国防衛の義務がない日米安保条約の「片務性」を解消し、対等な日米関係を目指す安倍晋三首相の意向が反映された。
 ただ、集団的自衛権行使には、与党の公明党が慎重姿勢を崩していない。山口那津男代表は3日の記者会見で「集団的自衛権の行使は必ずガイドラインに入る前提ではない」と強調、早速予防線を張った。与党協議の行方は予断を許さず、日米がガイドライン見直しの期限とした「14年末」がずれこむ可能性もある。
 今回の2プラス2では、対中国をめぐる日米の姿勢にズレもあった。共同文書では、海洋活動を活発化させる中国を念頭に、「海洋における力による安定を損ねる行動」に対処する用意の必要性を確認。事前の交渉で日本側は「中国」と明記しようとしたが、米側がこの部分では名指しをのまなかった。米側には中国を必要以上に刺激することは避けたいとの思いがあった。
 「日米で全て思惑が一致することはない。われわれとして取るべきものは取れた」。防衛省幹部はこう話し、対中けん制という面でガイドライン見直しの意義は大きいとの認識を示した。(2013/10/03-22:56)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131004/plc13100400180000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131004/plc13100400180000-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131004/plc13100400180000-n3.htm

【日米2プラス2】
中国に「規範順守」要求 米は「積極的平和主義」評価
2013.10.4 00:12 (1/3ページ)[日米関係]
日米2プラス2会合に臨むケリー国務長官(左から2人目)、ヘーゲル国防長官(同3人目)と岸田外相(右側中央)=3日、外務省飯倉公館(代表撮影)

日米2プラス2会合に臨むケリー国務長官(左から2人目)、ヘーゲル国防長官(同3人目)と岸田外相(右側中央)=3日、外務省飯倉公館(代表撮影)

 日米両政府は3日、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を都内で開き、海洋進出を強める中国に「国際的な行動規範の順守」や軍事面の透明性向上を求めることで合意した。中国や北朝鮮への対応を念頭に、自衛隊と米軍の役割分担を定めた日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を平成26年末までに再改定することも確認。米側は集団的自衛権行使容認に向けた検討など安倍晋三首相の「積極的平和主義」を評価した。

 2プラス2の日本開催は8年以来17年ぶり。今回は岸田文雄外相と小野寺五典防衛相、ケリー国務長官、ヘーゲル国防長官が出席。閣僚4氏はそろって記者会見し、合意事項を盛り込んだ共同文書を発表した。

 共同文書では、中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で領海侵入を繰り返していることを念頭に「海洋における力による安定を損ねる行動」を批判。中国を名指しした上で「地域の安定や繁栄に責任ある建設的な役割を果たし、軍事近代化に関する透明性の向上を促す」と明記した。

 ケリー氏は会合で、尖閣が日米安全保障条約の適用対象であると改めて明言。記者会見で「挑戦するような行動をとるのではなく対話と外交で解決すべきだ」と強調した。岸田氏は、国家安全保障会議(日本版NSC)設置や防衛計画の大綱改定などの取り組みを説明。米側は「歓迎」した。

 沖縄県の負担軽減策として、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ訓練の県外・国外移転を進めることで一致。在沖米海兵隊のグアム移転を2020年代前半に始めることも確認した。

 宇宙・サイバー空間での日米協力を強調し、合意文書に「新たな戦略的領域を含め、軍事力を強化する」と明記。また、高度な能力の日本配備」として、米軍がP8哨戒機を今年12月、無人偵察機グローバルホークを平成26年春、ステルス戦闘機F35Bを29年から、それぞれ配備・展開する。

 ケリー、ヘーゲル両氏は協議後、安倍晋三首相と首相官邸で会談した。首相は「積極的平和主義を評価していただいたことは極めて有意義だ」と述べた。

     ◇

 発表された共同文書の要旨は次の通り。

 【概観】日米は、同盟をよりバランスの取れた、より実効的なものとし、両国が十全なパートナーとなることを決意。米国は、地域および世界の平和と安全に対し、より積極的に貢献するとの日本の決意を歓迎する。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の代替施設建設や米海兵隊のグアム移転を含め、在日米軍再編に関する合意を完遂する。

 日本は、日米同盟における日本の役割を拡大するため、米国との緊密な調整を継続。国家安全保障会議(日本版NSC)設置や国家安全保障戦略(NSS)策定、集団的自衛権の行使容認の検討、防衛予算の増額、防衛計画の大綱(防衛大綱)の見直しを行っており、米国はこれらの取り組みを歓迎する。
北朝鮮の核・ミサイル計画や人道上の懸念、海洋での力による安定を損ねる行動、宇宙やサイバー空間での攪乱(かくらん)をもたらす活動など、新たな脅威や国際的な規範への挑戦に同盟が対処するため、引き続き十分用意する。中国に対し、責任ある建設的な役割を果たすことや、国際的な行動規範の順守、軍事上の透明性向上を促す。

 【2国間の防衛協力】日米防衛協力指針(ガイドライン)の再改定作業を平成26年末までに完了。弾道ミサイル防衛(BMD)協力を拡大し、2基目のXバンドレーダーの配備先を航空自衛隊経ケ岬分屯基地に選定することを再確認する。日米で設置した情報収集・警戒監視・偵察(ISR)活動の作業部会を歓迎する。南西諸島での自衛隊の態勢強化のため、施設の共同使用を進める。

 【在日米軍再編】米軍普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古沿岸部への移設が唯一の解決策だとする強い意思表示を再確認。米国は日本政府による辺野古沖の埋め立て申請を歓迎する。米軍訓練海域「ホテル・ホテル」の航行制限を11月末までに緩和し、返還予定の米軍施設や区域への立ち入り制限も11月末までに緩和。

 米軍厚木基地からの空母艦載機の岩国基地移駐は平成29年頃までに完了。在沖米海兵隊グアム移転は2020年代前半に開始する。

東京新聞【社説】安倍内閣の外交・安保 軍事への危うい傾倒

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013100402000130.html

東京新聞【社説】安倍内閣の外交・安保 軍事への危うい傾倒

2013年10月4日

 日米両政府が防衛協力のための指針見直しで合意した。安倍内閣が進める外交・安全保障政策の抜本的転換の一環だ。軍事に過度に傾倒してはいないか。

 きのう、岸田文雄外相、小野寺五典防衛相と米国のケリー国務長官、ヘーゲル国防長官が東京・外務省飯倉公館に一堂に会した。外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会、2プラス2だ。

 通常、米国内での開催が多く、日本では十七年ぶり。両政府は指針見直しや、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設推進などを盛り込んだ共同文書を発表した。
◆米軍への協力拡大

 防衛協力のための指針は「ガイドライン」と呼ばれ、日本自身が武力攻撃を受けたり、日本周辺で有事が起きた際の、自衛隊と米軍との役割分担を記したものだ。

 一九七八年に策定され、冷戦終結後の九七年、朝鮮半島有事など「周辺事態」を想定した現在の内容に改められ、自衛隊の役割が拡大された。

 今回の見直しの背景には、中国の台頭や北朝鮮の核・ミサイル開発などアジア・太平洋地域の不安定化を機に、自衛隊の能力と役割を拡大し、米軍により協力しようという安倍内閣の意向がある。

 ガイドライン見直しは、安倍晋三首相が目指す憲法改正、自衛隊の国防軍化の動きと一体なのだ。

 首相は先月、国連総会などニューヨークでの演説で、世界の平和と安定に積極的に貢献する「積極的平和主義」を表明した。

 貿易立国であるわが国は国際情勢の安定なくして存立しえない。平和創造に積極的に貢献するのは当然だろう。

 それは「いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」ことを宣言した日本国憲法の理念でもある。
◆「専守」逸脱の懸念

 同時に、積極的平和主義の名の下、首相の意向に沿って、政府の憲法解釈では禁じている「集団的自衛権の行使」の容認に道を開こうとしていることを、見過ごすわけにはいかない。

 首相の指示を受け、政府内に外交・安保に関する二つの懇談会が置かれ、同時並行で議論が進む。

 一つは、外交・安保の中長期的な基本方針となる「国家安全保障戦略」を策定するとともに、安全保障と防衛力の在り方を示した防衛大綱を、情勢の変化に応じて見直すための「安全保障と防衛力に関する懇談会」(安防懇)。

 もう一つは、集団的自衛権の行使を容認するための「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)だ。

 双方で委員を務める北岡伸一国際大学学長は、共同通信のインタビューに「集団的自衛権を部分的に容認するのは法律の理屈としてあり得ない」と答えている。

 首相が以前検討を指示した、公海での米艦艇防護や弾道ミサイル迎撃など「四類型」以外にも、集団的自衛権が行使できる範囲を広げようというものだ。

 防衛大綱見直しでは「殴り込み部隊」とされる海兵隊機能の導入や、敵基地を攻撃する能力の保有も検討される見通しだ。いずれも憲法の定める「専守防衛」を逸脱しかねない内容である。

 国民に堂々と訴え、衆参両院で三分の二以上の議席を確保して憲法を改正するのならまだしも、首相の私的な懇談会の提言を「錦の御旗」に、長年定着している政府の憲法解釈を一内閣が変え、憲法の趣旨を変質させてしまうのは、姑息(こそく)との批判は免れまい。

 安倍内閣は、外交・安保の司令塔として日本版国家安全保障会議(NSC)の設置法案や、防衛・外交など特段の秘匿が必要な「特定秘密」を漏らした公務員らを厳罰に処す特定秘密保護法案の成立も目指している。

 国民の生命と財産、暮らしを守るのが国家の役割だが、安倍内閣の外交・安保政策は、軍事面に軸足を置きすぎてはいまいか。

 専守防衛を逸脱するとの誤解を周辺国に与えると、軍拡競争を促す「安全保障のジレンマ」に陥りかねない。首相は「私を右翼の軍国主義者と呼びたいのなら、どうぞ呼んでほしい」と捨てぜりふを吐くのでなく、粘り強い外交努力こそが、地域に安定をもたらす。
◆平和主義こそ力に

 戦争放棄と「戦力」不保持を九条に定めた現憲法の平和主義は、かつての戦争の反省に立った、日本の新しい「国のかたち」だ。

 この姿勢こそが世界の人々から尊敬を集め、日本外交に大きな力を与えているのではないか。

 憲法の趣旨を逸脱するのではなく、それを生かすことこそ日本の国際貢献であり、国際的な責任を果たすことになる。ガイドライン見直しを機に、あらためて肝に銘じたい。

2013年10月 3日 (木)

日米ガイドライン

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013100300601
日米ガイドライン

 日米ガイドライン 平時や有事の際の自衛隊と米軍の役割や協力の在り方を定めた文書。「日米防衛協力のための指針」と訳される。冷戦時代の1978年に旧ソ連の日本侵攻を想定し初めて策定された。冷戦終結後の97年、朝鮮半島有事に備えて改定。これを受け、日本は米軍への後方支援を定めた周辺事態法を整備した。日米両政府は2012年、中国の軍備増強などを踏まえ、再改定で基本合意。3日に東京で開催した外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、再改定に向け本格協議に入った。(2013/10/03-15:17)

日米、防衛指針再改定に着手=午後共同文書発表-2プラス2

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013100300069
日米、防衛指針再改定に着手=午後共同文書発表-2プラス2

 日米両政府は3日午前、東京都内の外務省飯倉公館で外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を開催する。日本周辺の安保環境の変化を受け、自衛隊と米軍の連携の在り方を協議。有事での双方の役割分担を定めた日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を2014年末までに再改定することで一致する見通しで、日米は新指針の策定に向けた作業に入る。

〔写真特集〕海上自衛隊護衛艦~主力艦の詳細スペックを紹介~

 ガイドラインは1978年、旧ソ連の日本侵攻を想定し、策定された。冷戦終結を経て1997年に最初の改定が行われ、朝鮮半島有事などに備えた内容に見直した。再改定は、サイバー攻撃など新しいタイプの脅威への対応のほか、台頭する中国や、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮をけん制する狙いもある。
 一方、安倍政権は集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更を検討中。政権内の議論次第では、新指針の内容や、再改定の時期に影響が出る可能性がある。
 2プラス2には、日本側から岸田文雄外相と小野寺五典防衛相、米側からケリー国務長官とヘーゲル国防長官が出席。終了後に記者会見を開き、成果を共同文書として発表する。
 日本で開催する2プラス2は96年以来17年ぶり。当時の米側出席者は国防長官と駐日大使で、両国の担当4閣僚がそろうのは初めて。日本側は「今後の安全保障環境に対応した形でどのような日米協力ができるか打ち合わせるためにも、今回の2プラス2は大変重要だ」(小野寺防衛相)としており、同盟関係深化の契機としたい考えだ。(2013/10/03-06:05)

2013年10月 2日 (水)

秘密保護法案を評価=情報共有促進-前米次官補

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013100200610
秘密保護法案を評価=情報共有促進-前米次官補

 オバマ米政権1期目の対日政策を取り仕切ったキャンベル前国務次官補は2日、都内で講演し、日本政府が外交・防衛などの機密漏えいに対する罰則強化を柱とする特定秘密保護法案の国会提出の準備を進めていることを評価した。
 キャンベル氏は、機密情報がメディアに漏れる懸念があったと述べた上で「同法案は重要であり、日米両国間の情報共有をさらに促すことになるだろう」と語った。
 同氏はさらに、日中、日韓関係の悪化を念頭に「地域のパートナーと協議し、外交的に関与することが日本の国益に資する道だ」と指摘。特に、日韓の関係悪化に強い懸念を示し、その要因となっている歴史問題は「歴史家に委ねるのが最善と考えている」と述べた。 (時事)(2013/10

2013年9月29日 (日)

日米、ガイドライン再改定合意へ=集団自衛権論議が鍵-来月3日に2プラス2

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol
日米、ガイドライン再改定合意へ=集団自衛権論議が鍵-来月3日に2プラス2

 日米両政府は、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を10月3日に東京都内で開催する。中国の軍備増強などを踏まえ、有事に備えた日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を再改定することで合意する見通しだ。一方、安倍政権は集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更を検討中。実現した場合は新指針の下で自衛隊の役割が飛躍的に高まり、日米の同盟関係が変容する可能性がある。
 「政治レベルの対話で双方がしっかりと意見を述べ合い、信頼関係を深める会議にしたい」。小野寺五典防衛相は27日の記者会見で、2プラス2開催の意義についてこう語った。日本での開催は1996年以来、17年ぶり。前回は民主党政権下の2011年6月にワシントンで開かれた。今回は岸田文雄外相と小野寺防衛相、米国のケリー国務長官とヘーゲル国防長官が協議に臨み、南西諸島の施設の共同使用推進など合意事項を盛り込んだ文書を発表する。
 主要議題となるガイドラインは冷戦時代の78年に策定され、97年には朝鮮半島有事などを想定した内容に改められた。日米両政府は昨年8月、中国軍の動向や、北朝鮮の核・ミサイル開発などを踏まえて指針を再改定することで基本合意。実務者間で事前協議を続けてきた。
 2プラス2での正式合意を受け、両国は今後、数年かけてミサイル防衛(MD)や情報収集・警戒監視・偵察(ISR)活動などの分野で、自衛隊と米軍の役割分担を再検討する。離島防衛や大規模災害を想定した対処計画の更新、共同訓練の拡充なども協議対象となる。
 憲法が禁じている集団的自衛権の行使に関しては、アジア太平洋地域で自衛隊が果たす役割を拡大するため、安倍晋三首相が容認に前向きだ。ただ、憲法解釈変更には、連立を組む公明党が慎重姿勢を崩していない。政府・与党の調整が難航すれば、新指針の策定時期や内容に影響が出るのは必至。新指針に向けた日米の作業は、集団的自衛権をめぐる日本国内の論議に大きく左右されることになる。
 2プラス2ではこのほか、沖縄県に駐留する米海兵隊のグアム移転や、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設の着実な実施を確認。併せて行われる日米防衛相会談では、サイバー防衛に関して当局間協議の定例化や人事交流などの方針を打ち出すとみられる。

南西諸島で施設共同使用=14年春に無人機配備-日米共同発表の概要判明

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013092800206
南西諸島で施設共同使用=14年春に無人機配備-日米共同発表の概要判明

 【ワシントン時事】日米の外務・防衛担当閣僚が来月3日に東京で開く安全保障協議委員会(2プラス2)の共同発表の概要が28日、判明した。沖縄県・尖閣諸島周辺で挑発行為を繰り返す中国の動きなどを踏まえ、南西諸島にある日米両国の施設の共同使用推進などをうたう見通しだ。関係筋が明らかにした。
 南西諸島での共同使用は沖縄を念頭に置き、那覇空港(那覇市)内の自衛隊の一部を米軍嘉手納基地(嘉手納町など)に移転する案や、米軍による下地島(宮古島市)の滑走路利用などが構想されている。ただ、共同発表では、具体的な地名は挙げない方向だ。
 1997年改定の日米防衛協力のための指針(ガイドライン)再改定に関しては、2プラス2の下にある防衛協力小委員会に「変更を指示する」と明記する。再改定の終了目標期限は示さない。
 発表は、日米2国間の防衛協力、地域への関与、米軍再編などの項目で構成。これまでに日米当局間でおおむね合意した細目をまとめ、今後の方向性も表明した。
 具体的には、ミサイル防衛(MD)やサイバー安全保障問題での協力強化、宇宙ごみ(デブリ)監視での情報共有、情報収集・警戒監視・偵察(ISR)活動での連携などを打ち出す。宇宙監視では、自衛隊のレーダーの利用を想定している。
 米軍再編については、今年12月までにP8対潜哨戒機、2014年春に無人偵察機グローバルホークを日本に配備する方針を盛り込むことを検討。在沖縄米海兵隊9000人のグアム移転については、「現行計画では20年代前半に開始することになっている」と記す方向で調整している。 (2013/09/28-17:18)

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