許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2009年11月12日 (木)

法制局長官の答弁必要=社民幹事長

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009111200342
法制局長官の答弁必要=社民幹事長

 社民党の重野安正幹事長は12日午前の記者会見で、民主党の政治改革推進本部が内閣法制局長官の国会答弁を禁じる方針を打ち出したことについて「憲法を大事にするわが党からすれば、政府から独立して憲法観を表現する法制局長官(の答弁)は必要だ」と述べ、反対の考えを明らかにした。
 重野氏は「(民主党が)法制局長官を排除する動機には単純に『はい、そうですか』とは言えない深いものがある」と語り、政治主導で憲法解釈が変更されることへの警戒感を示した。(2009/11/12-11:44)

国会法改定議論を開始/小沢氏ら会合 憲法解釈変更狙う

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-11-12/2009111202_02_1.html
国会法改定議論を開始/小沢氏ら会合 憲法解釈変更狙う

 民主党は11日、党本部で「政治改革推進本部」(本部長・小沢一郎幹事長)の初の全体会議を開き、「国会法改定」のための議論を開始しました。

 会議では、海江田万里事務局長が政府参考人制度を廃止し、内閣法制局長官を政府特別補佐人から外すことや、法案を審議する委員会とは別に「行政監視、国政調査」の場を設置することなどを提案。議員からは、「基本的に賛成」などの意見が出ました。

 政府特別補佐人は、内閣法制局長官のほか3人で、閣僚を補佐するため国会に出席し、答弁することが認められています。特別補佐人から外すということは、他の官僚=政府参考人と同列において、民主党が狙う答弁禁止の対象にしようとするものです。憲法解釈を「政治主導」の名目で政治家が変更することを狙う動きです。

 全体会議で小沢氏は、連立与党内での調整や議会制度協議会での協議などを経て「(国会法改定の)成案をこの臨時国会で得たい」と述べ、出席した200人以上の議員に議論への参加を呼びかけました。

 今回提案された議論項目は「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)の「政治改革」検討小委員会が小沢氏の諮問に事実上応じる形で発表した緊急提言(4日)に沿う内容となっています。

航空自衛官論文公募:防衛省「適切でない」 監察結果公表

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091112k0000m010109000c.html
航空自衛官論文公募:防衛省「適切でない」 監察結果公表

 田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長が政府見解を逸脱した文書を応募した懸賞論文に、航空自衛官97人が応募していた問題で、防衛省防衛監察本部は11日、監察結果を公表し、「航空自衛隊が組織的に一民間企業の活動に協力したと見られても仕方なく、行政の中立・公正性の観点で慎重に検討しておらず適切ではない」と指摘した。

2009年11月 6日 (金)

憲法解釈「過去の法制局答弁にしばられず」 官房長官

http://www.asahi.com/politics/update/1104/TKY200911040357.html
憲法解釈「過去の法制局答弁にしばられず」 官房長官

 平野博文官房長官は4日の記者会見で、鳩山政権が、政府の憲法解釈を国会で示してきた内閣法制局長官の過去の答弁にしばられないとの見解を示した。憲法9条などの解釈は、今後内閣が政治判断で行う考えも表明。鳩山由紀夫首相は同日夜、記者団に「法制局長官の考え方を金科玉条にするのはおかしい」と述べた。

 歴代政権は、内閣法制局の了解がなければ、事実上、憲法解釈の変更には踏み込まなかった。今回の発言は、憲法解釈も政治主導で行う原則を示したとみられるが、時の政権の都合で憲法解釈が安易に変更される恐れもある。

 平野氏は会見で「これまでの法制局長官の憲法解釈には内閣はしばられないのか」と問われ「もちろんそういうことだ」「政治主導だから、政治判断で解釈していく」と述べた。

 集団的自衛権の行使を違憲とするこれまでの政府解釈については「現時点では過去に解釈されたことを踏襲する」と述べた。一方で「踏襲はするが、無条件で内閣はしばられないということか」と問われると、「もちろん」と答えた。解釈変更の可能性については「世界情勢が大きく変わったときにはその時点で判断する」と述べた。

 集団的自衛権については首相も2日の衆院予算委員会で「当面、解釈を変えるつもりはない」と述べ、「当面」との留保をつけている。

 首相は4日夜、記者団に対し、「(憲法解釈を)変えるためには極めて慎重じゃなきゃいけない。変えるためには当然、国民的な世論というものもしっかり見定める必要もあると思う」とも述べた。(金子桂一)

2009年11月 4日 (水)

首相、自衛隊派遣「違憲」発言を撤回

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091104/plc0911041336013-n1.htm
首相、自衛隊派遣「違憲」発言を撤回
 鳩山由紀夫首相は4日午前の衆院予算委員会で、首相就任前に自衛隊の海外派遣に当たり「重大な憲法解釈の変更が行われた」と見解を示してきたことについて、「必ずしも違憲の状態ではなかった。撤回する」と述べた。自民党の石破茂政調会長の質問に答えた。

 首相は野党時代に発表した論文などで、国連平和維持活動(PKO)への自衛隊の参加について、「紛争後の平和維持活動なら、自衛隊の海外派遣は合憲ということになった。これは画期的な憲法解釈の変更だった」としていたが、首相は答弁で「PKOは、憲法の中で行動されていた。(自身の)当時の考え方は変更された」と述べた。

 一方、集団的自衛権の行使についても、「憲法上認められないという立場の通りに行動したい。憲法解釈を変えない」と強調。同時に「集団的自衛権という言葉があいまいに幅広く使われた時代がある。そのあいまいさを払拭(ふつしよく)し、日本の防衛の在り方を主張しなければならない」と述べた。

 これに関連し、首相はアフガニスタン支援に関し「自衛隊を派遣する発想は持ち合わせていない。身の安全が守られる地域に限定させる」と語った。

憲法9条解釈は変わらず=政府答弁書

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009110400444
憲法9条解釈は変わらず=政府答弁書

 政府は4日午前の閣議で、国権の発動としての戦争や武力行使の放棄をうたった憲法9条について「現時点で従来の解釈を変えていない」とする答弁書を決定した。
 民主党の小沢一郎幹事長が「国連の平和活動は武力行使を含むものであっても憲法に抵触しない」との見解を示していたことに関し、公明党の浜田昌良参院議員が提出した質問主意書に答えた。(2009/11/04-12:30)

新政権、憲法どこへ 小沢幹事長「法の番人」封じ

http://www.asahi.com/politics/update/1103/TKY200911020402.html
http://www.asahi.com/politics/update/1103/TKY200911020402_01.html
http://www.asahi.com/politics/update/1103/TKY200911020402_02.html
新政権、憲法どこへ 小沢幹事長「法の番人」封じ

2009年11月3日12時30分

 日本国憲法が1946年に公布されてから、3日で63年。改憲問題をめぐる民主党の対応に注目が集まるなか、小沢一郎幹事長が唱える「官僚答弁の禁止」が論議に悪影響を及ぼしかねないと心配する人たちがいる。ただ、目の前の課題や党内事情もあって、新政権にとって改憲は「後回し」の状態だ。

 「これは官僚批判の名を借りて、憲法の解釈を変えてしまおうという思惑では」

 神戸学院大法科大学院の上脇博之教授(憲法学)は、ニュースで見かけた民主党の動きを気にかけている。

 発端は先月7日の小沢一郎幹事長の記者会見。「法制局長官も官僚でしょ。官僚は(答弁に)入らない」と語り、国会法を改正して内閣法制局長官の国会答弁を封じる意向を示した。

 内閣法制局は「法の番人」とも呼ばれる。法理を駆使して、ときの政府の意向をかなえる知恵袋の役を果たす一方で、例えば海外での武力行使をめぐって「憲法9条の下ではできない」との見解を守り続け、憲法解釈に一定の歯止めをかけてきた。

 一方、小沢氏はかねて「国連決議があれば海外での武力行使も可能」と主張し、何度も法制局とぶつかってきた。新進党首だった97年には、日米ガイドラインの憲法解釈をめぐって橋本首相に代わって答弁した法制局長官を「僭越(せんえつ)だ」と国会で批判。03年には自由党首として「内閣法制局廃止法案」を提出した。

 こうした過去の言動を見れば、憲法解釈も政治家が行うというのが、小沢氏の隠れた真意だと上脇教授は見る。

 「もしそうなれば……」。ある元法制局幹部の頭によぎるのは、05年まで衆参両院で開かれていた憲法調査会の議論だ。「きめの粗い感情的な憲法論に終始し、国政が混乱する」と元幹部は懸念する。

 「法制局なしでやってみたらお分かりになると突き放したいところですが、憲法上できないことを『できる』と政治家が言い張って、被害を受けるのは国民。その被害が、二度と回復できないものだったら、どうしますか」

 04年までの2年間、長官をつとめた秋山収さん(68)は、小沢氏の狙いを「9条の解釈が気にくわないという、その一点でしょう」と言い切る。

 内閣が変わるたびに、法制局は、長年積み重ねた国会答弁をもとに「戦争放棄」の9条や「政教分離」の20条など憲法の課題を新首相にレクチャーする。議員が提出する質問主意書の政府答弁にもすべて目を通す。

 秋山さんは、そうした後ろ支えがなければ、政治家の「脱線答弁」が頻発し、それが定着してしまうという。国の基本的なあり方は、憲法改正という民意を問う手続きを経るべきだと秋山さんは考える。「その時々の多数政党の力で9条の解釈が揺れ動くのは憂慮すべき事態だ」

     ◇

 もっとも今、新政権内で改憲や憲法解釈が喫緊の課題として語られることはない。

 「現行憲法に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを国民に責任を持って提案していく」。民主党はマニフェストで、憲法の見直しの可能性に言及している。にもかかわらず、政権発足で盛り上がっているのは「護憲派」の市民団体だ。

 今月1日、長野市で始まった「第46回護憲大会」。全国から約2800人が参加した。労組や市民団体でつくる「平和フォーラム」代表の江橋崇・法政大教授が「鳩山内閣になり、政治に憲法の理念を実現する可能性が開けてきた。平和、人権を守る新しい出発にしたい」と訴えると、大きな拍手がわいた。

護憲派が期待を寄せる背景には、連立に社民党が加わっていることへの「安心感」もある。大会に参加した福島瑞穂・社民党党首は「社民党が連立政権の中にある限り、国会の憲法審査会は動かしません」と明言した。実際、衆院では憲法審査会の委員数などを定める規程が政権交代前に可決されたが、会長や委員は選任されないままだ。

 議論が進まないのは「当面の政策が大事で憲法までは考えられない」「予算編成でマニフェストをどう実現するかで精いっぱい」といった民主党内の実情がある。

 議員同士の意識の隔たりも原因のひとつ。衆院選の際の朝日新聞と東大のアンケートでは、民主党議員は憲法改正の賛成派が46%、反対派が22%、どちらとも言えないが31%と割れた。新人議員でも「国際貢献をするなら、より憲法で丁寧に書いた方がいい」(岡田康裕氏)、「戦後の日本を守ってきた9条を堅持する」(京野公子氏)と幅広い。

 大江健三郎さんや井上ひさしさんらが参加する護憲派の市民団体「九条の会」事務局員の渡辺治・一橋大教授は「民主党は、自民党よりもはるかに私たちの声を聞く耳があるが、憲法問題でまだ迷っている」とみる。今後、「米国の圧力で自衛隊の海外派遣を認めるなど、解釈改憲になる恐れもある」と分析し、新人議員を中心に9条の大切さを訴えていくという。(河野正樹、谷津憲郎、野村雅俊)

     ◇

2009年11月 3日 (火)

産経【主張】憲法公布63年 改正論をなぜ封印するか

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091103/plc0911030311003-n1.htm
【主張】憲法公布63年 改正論をなぜ封印するか
 憲法公布から63年を迎えた。北朝鮮の核・ミサイルや中国の軍事力増強が日本の安全を脅かしているにもかかわらず、国のありようを定める憲法論議は封印されている。

 今国会でも衆参両院の憲法審査会は始動していない。一昨年8月、国会法に基づいて設置された常設機関の活動をこれまで阻止してきたのは民主党などだ。鳩山政権発足時の連立合意では平和主義などの原則を確認する程度にとどまり、審査会への具体的対応は明記されなかった。

 政権協議で審査会の凍結を迫っていた社民党の福島瑞穂党首は、「社民党が政権にいる限り、憲法審査会は動かさない」との立場を改めて打ち出した。

 来年5月18日には国民投票法が施行され、憲法改正原案の発議が可能となる。国会は法の手続きに即して日本の国家像を明確にする責務を担っている。それを阻止しようという社民党の立場に民主党が同調するなら、きわめて遺憾である。

 民主、自民両党は発議に向けた憲法論議を開始する大きな責任がある。

 民主党が直視すべきは、終戦直後に連合国軍総司令部(GHQ)に押しつけられた形の憲法の規定で果たして現在の日本が抱える多くの難題を解決できるのかという疑問である。

 「政権交代を実現させ、憲法の議論も可能になるような安定政局を作り出さなければ」。鳩山由紀夫首相が民主党幹事長だった今年3月、メールマガジンで述べた言葉だ。著書「新憲法試案」では、「自衛軍の保持」や統治機構の再編成に意欲を示している。だが、就任後、憲法に取り組む気配を見せていない。2日の衆院予算委員会でも、集団的自衛権の行使に関する憲法解釈を変えないと明言した。国のかたちよりも連立を重視する姿勢が、社民党に公然と改憲阻止を唱えさせている。

 自民党は、昭和30年に改憲を掲げて保守合同を実現した立党の精神をなぜ追求しないのか。谷垣禎一総裁が、憲法改正や集団的自衛権行使を容認するための憲法解釈変更に慎重な立場をとってきたことも一因だろう。

 だが、自民党に求められているのは、この国をどうするかという基本設計であり、保守政党としての覚悟と構想力である。それをいかにして示すかが、党再生の道といえる。

2009年11月 2日 (月)

集団的自衛権の憲法解釈を踏襲=衆院予算委で鳩山首相

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol
集団的自衛権の憲法解釈を踏襲=衆院予算委で鳩山首相

 鳩山由紀夫首相は2日午後の衆院予算委員会で、集団的自衛権の行使は許されないとする政府の憲法解釈について「今までと変えるつもりはない」と述べ、鳩山内閣として従来の解釈を踏襲する考えを明らかにした。自民党の大島理森幹事長への答弁。
 大島氏は、小沢一郎民主党幹事長の憲法解釈に触れ「党と政府とで違ってもいいのか」とただし、首相は「政府の憲法解釈は内閣が責任を持って行う」と明言した。 
 首相はまた、オバマ米大統領が12日に初来日することに触れ「大統領が国際的状況の中で一番頭を悩ませているのはアフガニスタン問題だ。それに対する日本の役割をしっかりと訴えることが大変重要だ」と述べ、アフガン支援が首脳会談の主要議題との認識を示した。
 午後は大島氏に続き、自民党から町村信孝元官房長官、加藤紘一元幹事長の両ベテランが質問に立った。(2009/11/02-16:49)

2009年11月 1日 (日)

特集:憲法問題、全国世論調査 「改憲論議に関心」66%

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091101ddm010040050000c.html
特集:憲法問題、全国世論調査 「改憲論議に関心」66%

 日本国憲法は3日、公布から63年を迎える。戦後初めて本格的な政権交代のあった9月、憲法問題に対する国民意識を探るため毎日新聞は面接方式の全国世論調査を実施した。憲法改正論議に「関心がある」と66%が回答し、改正への賛成も58%と過半数に達した。ただ、景気低迷の続く中、民主党が衆院選マニフェストに掲げた子ども手当など生活関連政策の行方に注目は集まる。国民投票法が来年5月に完全施行され憲法改正手続きが可能となるが、改憲論議が盛り上がる気配はない。【平田崇浩、仙石恭】
 ◇国民投票法、来年施行 機運は高まらず

 世論調査で憲法改正論議に関心があるかを聞いたところ、「かなり関心がある」との回答が14%、「ある程度関心がある」が52%で、合わせると3人に2人は関心を示した。

 憲法改正に賛成と答えたのは58%、反対は32%だった。改憲論議に関心がある人の中では賛成派が66%と全体より割合が多いものの反対派も29%いた。

 過去の世論調査では、小泉政権時代の05年9月の面接調査も改正賛成は58%、反対34%。安倍政権が憲法改正を最優先課題の一つに掲げていた07年4月の電話調査では「今の憲法を改める方がよい」が51%、「改めない方がよい」が19%、「分からない」が22%だった。調査方式や設問が違うため単純に比較できないが、時の政権の姿勢にかかわらず、この数年、改正賛成派の割合はあまり変わっていないと言えそうだ。

 支持政党別にみると、民主党支持層のうち賛成派は64%で、自民党支持層の57%より多かった。憲法改正を結党以来の党是に掲げる自民党に対し、民主党は積極的に改正を主張しておらず、憲法改正が政党間の争点として受け止められていないことがうかがえる。

 改正賛成派に理由を聞いたところ「今の憲法が時代に合っていないから」が54%で最も多く、「一度も改正されていないから」が22%、「米国から押し付けられたものだから」が10%で続いた。この傾向も05年調査からほとんど変わらない。反対理由で多いのは「9条改正につながる恐れがあるから」(36%)、「改正するほどの積極的理由がないから」(32%)だった。

 賛成派に改めるべき点を複数回答で尋ねた結果は(1)首相を国民の直接投票で選べるようにする(42%)(2)自衛隊の位置づけを明確にする(37%)(3)憲法の文章が翻訳調なので、分かりやすい日本語にする(36%)(4)地方分権を現在より拡大する(32%)(5)国民の新たな権利を作る(22%)--の順となった。首相公選制への関心の高さは、政党政治への不信感の表れとも受け取れる。一方で、改正賛成派の中でも過半数が支持する改正点がないことは、改憲を急ぐムードが広がらない現状を映している。
 ◇9条改正、割れる賛否 「加憲を」最も多く

 第1項で戦争放棄をうたい、第2項で戦力の不保持を定めた憲法9条は改正論議の最大の焦点とされてきた。世論調査では9条について「何らかの改正が必要だ」との回答が48%、「一切、改めるべきでない」が43%と拮抗(きっこう)。憲法改正に賛成と答えた人の中でも「改正が必要」66%、「改めるべきでない」30%と意見が分かれ、9条改正への抵抗感がなお強いことを示した。

 「改正が必要」と答えた人に「どのように改正するのが望ましいか」を聞いたところ(1)新たな条項を付け加えるべきだ(44%)(2)第2項だけ改めるべきだ(26%)(3)第1、2項とも改めるべきだ(17%)(4)第1項だけ改めるべきだ(9%)--の順となった。(1)と(2)を合わせれば7割に達し、その多くが新条項か第2項に自衛隊の存在を明記する案を想定しているとみられる。第1項の戦争放棄を見直す意見は9条改正派の中でも少数派だ。

 支持政党別では、民主党支持層の50%、自民党支持層の52%が「改正が必要」と答えた。公明党支持層では42%だったが、そのうち6割は「新たな条項を付け加えるべきだ」と回答。公明党は現行憲法に新しい権利や自衛隊の規定を加える「加憲」を検討する立場で、将来的に新条項の創設が3党の接点になる可能性も垣間見える。

 ただ、民主党支持層では改正反対派も43%を占め、連立を組む社民党の支持層では大半が反対している。現政権のもとで9条改正が検討される状況にはないと言えそうだ。
 ◇自衛隊海外派遣、「恒久法反対」過半数 インド洋給油の継続賛成は48%

 来年1月15日に期限が切れる海上自衛隊のインド洋での給油活動について、鳩山由紀夫首相は「単純延長はしない」との方針を示している。世論調査では、給油活動の継続に賛成が48%、反対が44%と回答が二分。麻生政権時代の08年10月の電話調査でも賛成47%、反対43%で、賛否が拮抗する状況が続いている。

 自衛隊の海外派遣については、給油活動の根拠法となっているテロ対策特別措置法などの時限立法ではなく、いつでも海外派遣できる「恒久法」の制定を自民党が主張している。恒久法の制定については、反対が56%と半数を超え、賛成は36%だった。自民党支持層では賛成が49%で反対の43%を上回ったが、民主党支持層では反対が60%を占めた。

 ただ、民主党の小沢一郎幹事長は恒久法の制定に前向きといわれる。従来の政府の憲法解釈では、海外での武力行使は違憲とされているが、小沢氏は「国連決議があれば武力行使も可能」との立場。民主党の衆院選マニフェストの原案となった「09年政策集」にも、国連による軍事的措置を定めた国連憲章42条に基づく活動にも積極的に参加することが明記されている。

 世論調査では、自衛隊の海外活動を今後どうすべきかを質問。「停戦後の国連平和維持活動(PKO)まで認める」との回答が53%で最も多かった。小沢氏の主張に近い「場合によっては武力行使も認める」は10%にとどまり、民主党支持層でも9%と理解は広がっていない。
 ◇米国に好意、76% 日本外交は「国連重視で」

 「緊密で対等な日米関係」を掲げる鳩山政権が日本で誕生し、米国では国際協調を重視するオバマ大統領が1月に就任したことで、日米関係も転機を迎えている。世論調査で米国が好きかを聞いたところ「好き」(18%)と「どちらかといえば好き」(58%)の合計が76%に達した。オバマ大統領の就任によって変わったかについては「変わらない」との回答が80%を占めた。

 日本の外交・安全保障政策について、国連重視と対米協調重視のどちらでいくべきかの質問では「国連重視」との回答が76%で、「対米協調重視」の17%を大きく上回った。支持政党別にみると、民主党支持層は79%、自民党支持層も71%が国連重視派だった。民主党は従来の自民党政権の姿勢を「対米追随」と批判してきたが、支持層の考え方に大きな違いはないようだ。

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 ■ことば
 ◇国民投票法

 憲法改正の手続きを定めた法律。07年5月に成立した。憲法は改正について、衆参各院総議員の3分の2以上の賛成で発議し、国民投票で過半数の賛成を得ることを要件としているが、1947年5月の憲法施行後60年間、その手続きが法制化されていなかった。衆参両院に憲法審査会を設置する規定はすでに施行され、10年5月の完全施行で同審査会による憲法改正案の審査、提出が可能となる。
 ◇恒久法

 時限を定めない一般法のこと。自衛隊の海外派遣を常時可能とする法律の意味でも使われる。国連平和維持活動(PKO)協力法は時限立法ではないが、海外派遣対象が国連決議に基づく停戦監視などに限られる。イラク復興支援やインド洋給油活動はそのつど、特別措置法(時限立法)を制定して自衛隊を派遣した。自民、公明両党の連立政権で派遣基準や活動メニューを定める恒久法の制定が検討されたが、実現しなかった。

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 ◇世論調査の質問と回答◇

 ◆憲法改正に関する論議に関心がありますか、ありませんか。

                           全体 男性 女性

かなり関心がある                   14 19  9

ある程度関心がある                  52 51 54

あまり関心がない                   26 23 28

全く関心がない                     7  6  8

 ◆今の憲法を改めることに賛成ですか、反対ですか。

賛成                         58 62 55

反対                         32 32 32
 ◇<「憲法改正に賛成」と答えた方に>賛成する理由は何ですか。

今の憲法が時代に合っていないから           54 55 52

今の憲法は米国から押しつけられたものだから      10 12  9

今の憲法は制定以来、一度も改正されていないから    22 17 27

自衛隊の活動と憲法9条に隔たりがあるから        9 13  

今の憲法は個人の権利を尊重しすぎているから       3  2  3
 ◇<「憲法改正に賛成」と答えた方に>どのように改めるべきだと思いますか。(三つまで)

憲法の文章が翻訳調なので、分かりやすい日本語にする  36 33 38

自衛隊の位置づけを明確にする             37 43 30

集団的自衛権を行使できるようにする          13 20  7

象徴天皇制を見直す                   9  9  9

国会の2院制を廃止して1院制とする          15 17 14

首相を国民の直接投票で選べるようにする        42 40 44

地方分権を現在より拡大する              32 36 27

国民の新たな権利を作る                22 18 26

国民の新たな義務を盛り込む              14 14 14

憲法改正の要件を緩和する               14 14 15
 ◇<「憲法改正に反対」と答えた方に>反対する理由は何ですか。

今の憲法が時代に合っているから             8  9  7

改正するほどの積極的理由がないから          32 36 29

9条改正につながる恐れがあるから           36 34 38

個人の権利を制限したり、義務を規定する恐れがあるから  5  5  5

国民や政党の議論がまだ尽くされたとは言えないから   17 15 19

 ◆憲法9条は第1項で戦争放棄を、第2項で戦力の不保持を定めています。9条改正についてどう考えますか。

何らかの改正が必要だ                 48 55 42

一切、改めるべきでない                43 40 46
 ◇<「何らかの改正が必要」と答えた方に>どのように改正するのが望ましいと思いますか。

戦争放棄を定めた第1項だけ改めるべきだ         9 10  9

戦力の不保持を定めた第2項だけ改めるべきだ      26 32 20

1項、2項とも改めるべきだ              17 19 13

新たな条項を付け加えるべきだ             44 37 53

 ◆米国という国が好きですか。

好き                         18 21 15

どちらかといえば好き                 58 55 60

どちらかといえば嫌い                 16 16 17

嫌い                          3  3  3

 ◆米国という国に対する好き、嫌いは、今年1月のオバマ大統領就任の後、どう変わりましたか。

より好きになった                   17 15 19

より嫌いになった                    1  1  1

変わらない                      80 82 77

 ◆日本の外交・安全保障政策は国連重視でいくべきだと考えますか、それとも対米協調重視でいくべきだと考えますか。

国連重視                       76 76 76

対米協調重視                     17 20 15

 ◆日本は現在、アフガニスタンでのテロとの戦いを支援する目的で、海上自衛隊がインド洋で米艦船などへの給油活動を行っています。来年1月に期限が切れますが、給油活動を継続することに賛成ですか。

賛成                         48 55 42

反対                         44 40 48

 ◆自衛隊の海外派遣は、国連の平和維持活動(PKO)や災害救助を除き、インド洋での給油やイラク支援も、そのつど期限を限定した「特別措置法」で実施されています。これを、必要に応じていつでも海外派遣できるよう、期限を定めない「恒久法」を作ろうという意見があります。この意見に賛成ですか。

賛成                         36 42 31

反対                         56 53 59

 ◆自衛隊の海外での活動は、今後、どうすべきだと思いますか。

一切すべきではない                   9  8  9

停戦後のPKOまで認める               53 51 55

紛争中の国での復興支援も認める            23 26 21

場合によっては武力行使も認める            10 13  8

 ◆日本は、核兵器について「持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を基本方針としています。しかし1960年の日米安保条約改定の際、核兵器を搭載した米艦船の寄港や領海通過を認める密約があったことを外務省OBが証言し、米国の公文書でも裏づけられています。政府は「密約は存在しない」と主張してきましたが、密約の存在を認めるべきだと思いますか。

認めるべきだ                     60 64 55

認める必要はない                   32 32 33

◆非核三原則をどうすべきだと思いますか。

三原則を堅持すべきだ                 72 70 73

三原則は見直すべきだ                 24 27 21

 (注)数字は%、小数点以下を四捨五入。無回答は省略。

-----------------
 ◇調査の方法

 9月11~13日の3日間、層別2段無作為抽出で選んだ全国300地点の20歳以上(9月30日現在)の男女4568人を対象に面接調査した。回答者は2615人、回答率57%。
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2009年10月 8日 (木)

憲法解釈 内閣法制局長官の答弁禁止 小沢氏が意向

http://www.asahi.com/politics/update/1008/TKY200910070475.html
憲法解釈 内閣法制局長官の答弁禁止 小沢氏が意向
 民主党の小沢一郎幹事長が7日の記者会見で、国会で政府の憲法解釈を示してきた内閣法制局長官の答弁を、今後禁止する考えを示した。小沢氏は国会論議を政治主導にするために国会法を改正して「官僚答弁の禁止」を盛り込む考えだ。

 小沢氏は会見で法制局長官の答弁を認めるかを問われて「内閣法制局長官も官僚でしょう。官僚は入らない」と語った。

 国会法では、内閣法制局長官は公正取引委員会委員長、人事院総裁らと並んで、独立性の高い機関の長として「政府特別補佐人」として答弁が認められている。小沢氏は、政府特別補佐人も含めた官僚答弁を禁止する考えだ。

 内閣法制局は、省庁が作成した法案を閣議にかける前に他の法律との整合性などを審査する。また、自民党政権時代、法制局長官は政府の憲法解釈について独占的に国会で答弁してきた。長官答弁が禁止されれば、首相や官房長官ら政治家が憲法解釈を示すことになる。

 法制局改革は小沢氏の長年の持論だ。自民党の幹事長だった90年、国連平和協力法案(廃案)をめぐり、内閣法制局が自衛隊の派遣条件を厳しくとらえる憲法解釈を堅持したことで、小沢氏ら当時の自民党執行部から長官の罷免論が出たこともある。

 小沢氏は9日付の民主党機関紙のインタビューに「この臨時国会では、官僚が政府参考人として答弁することを禁止する国会法の改正に取り組む。脱官僚依存にはこれが一番」と述べ、国会法改正に強い意欲を示していた。

2009年10月 2日 (金)

産経【主張】参院選挙制度 憲法改正と一体の改革を

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091002/trl0910020300000-n1.htm
【主張】参院選挙制度 憲法改正と一体の改革を
2009.10.2 03:00

 最高裁大法廷は、「一票の格差」が最大4・86倍あった平成19年の参院選に対し、「定数配分規定が憲法に違反するに至ったとはいえない」との判断を下した。一方で、「投票価値に大きな不平等がある」とも指摘し、「現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となる」と踏み込んだ。

 これまでの参院の定数是正といえば、現行の定数配分への影響をできるだけ避けようと、手直しでお茶を濁してきた。だが、判決が「各選挙区の定数を振り替える措置だけでは最大格差の大幅な縮小をはかることは困難」と指摘したように、もはや小手先の見直しは通用しない。

 最高裁が異例ともいえる国会への注文を付けた背景には、18年の「4増4減」以降、見直し議論を進めてこなかった国会に対するいらだちがある。判決では「検討に相応の時間を要することは認める」とし、いわば猶予措置との認識も示されている。与野党ともこれを重く受け止め、早急に是正を講じなければならない。

 本格的な少子高齢化時代に突入し、今後さらに都市部への人口集中が進むことが予想される。これに伴い「一票の格差」はより拡大していく可能性が大きい。都道府県ごとの選出を続けていたのでは、いつまでも根本解決とはならないといえよう。かつて国会では、鳥取と島根を「合区」にしようとの検討がされたこともある。道州制をにらんだ広域ブロックや、比例代表一本とする方法も一案であろう。

 「一票の格差」は定数是正をすれば終わる問題ではない。求められているのは参院改革そのものだ。衆参両院の意思が異なる「ねじれ国会」にみられたように、最近の参院は党派色が強く、衆院と比べた独自性も薄まってきた。

 一院制を含む「参院のありよう」を根本的に見直す機会にすべきだ。従来の発想にとらわれない大胆な改革にするためには、憲法の枠組みにとらわれてはなるまい。来年5月には、憲法改正原案を発議できるようになる。与野党は早急に具体案の検討に入る責務がある。

 ただ、自らの議席がかかる問題に、参院議員自身がメスを入れることができるだろうか。第三者機関を設置し、検討を委ねるのが妥当であろう。中途半端な改革に終わらせるようなことになっては国権の最高機関の名が泣く。

2009年9月17日 (木)

憲法解釈担う法制局長官、前政権から留任

http://www.asahi.com/politics/update/0917/TKY200909170015.html
憲法解釈担う法制局長官、前政権から留任

 政府は16日の閣議で、宮崎礼壹内閣法制局長官と伊藤哲朗内閣危機管理監を留任させる人事を決めた。福田進、林景一、西川徹矢の各官房副長官補の留任も決めた。民主党政権で政府の憲法解釈を担う内閣法制局や、首相を支える内閣官房の幹部人事の行方が注目されていたが、麻生前政権のスタッフを引き継いだ。

2009年9月 2日 (水)

改憲派議員集団が大量落選/衆院選 139→53に激減

憲法調査会の傍聴で何年も観察してきた人びとですので、一種の感慨があります。自民党の論客船田元、保岡興治、葉梨氏らも落選でした。公明の赤松氏は民主の議席をもらって、ゾンビで復活しましたが。(高田)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-09-02/2009090215_01_1.html
改憲派議員集団が大量落選/衆院選 139→53に激減

 自民、公明、民主、国民新など超党派の国会議員、元議員でつくる改憲派の議員集団「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根康弘元首相)所属の衆院議員が、総選挙での大量落選で激減しました。

 同議員同盟が2008年3月にまとめた会員名簿によると、現職の衆院議員で同盟に加わっていたのは139人。そのうち、今回総選挙で再選したのは53人にとどまります。

 党派別にみると、自民党は122人でしたが、今回の当選はわずか39人で73人が落選(引退や市長選などへの転出者は10人)。公明党は1人で変化なし。民主党は1人が引退し、10人から9人に。国民新党は1人が落選し、2人から1人に。新党大地は1人で変化なし。無所属議員は1人が引退し、3人から2人になっています。

 「会長代理」の中山太郎元衆院憲法調査会長をはじめ、役員として主軸となってきた「大物」議員の落選が目立ちました。

 「顧問」の海部俊樹元首相、丹羽雄哉元自民党総務会長、中川昭一元財務・金融相、山崎拓元自民党副総裁、国民新党の綿貫民輔前代表などです。

 「副会長」の島村宜伸元農水相、深谷隆司元通産相、堀内光雄元自民党総務会長、「幹事長」の愛知和男元防衛庁長官も落選しました。

 同議員同盟は今年5月、各党の幹部や財界関係者ら1200人を集めて大会を開き、「一日も早く国会における憲法審査会の活動が始められ、新しい憲法制定に向けて国会での議論が開始されることを願う」とする決議を採択しています。

 新憲法制定議員同盟 改憲だけを目的に掲げて議員を結集している集団。1955年に旗揚げした「自主憲法期成議員同盟」が前身で、2007年3月に名称を変更して再発足。「9条の会」を名指しで敵視し、これに対抗する運動を全国で起こすという方針を掲げています。民主党の鳩山由紀夫代表は08年3月、同同盟顧問に就任しています。

2009年9月 1日 (火)

憲法改正で民主は56%賛成 共同通信・衆院当選者アンケート

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009090101000624.html
憲法改正で民主は56%賛成 共同通信・衆院当選者アンケート

2009年9月1日 17時40分

 共同通信社は1日、第45回衆院選の立候補者アンケートから当選者を抽出し、新議員の政策課題に関する意識を分析した。憲法改正については、改憲賛成派が64・1%で、民主党の56・5%、自民党の88・6%が何らかの改正に賛成した。社会保障費などの財源確保のため、麻生太郎首相が表明していた景気回復後の消費税率引き上げには、58・8%が反対。民主党では反対派が82・7%を占めた。

 改憲派の内訳をみると、民主党で最も多かったのは「9条以外の部分的改正」の35・4%で、「9条を含め部分的改正」が13・1%、「全面的改正」は8・0%。
自民党では「全面的改正」(42・0%)が最上位だったが、公明党は民主党と同じで「9条以外の改正」(52・4%)が最多だった。共産、社民両党は全員が反対した。

 選挙後に最優先で取り組むべき課題(複数回答)では、「年金、医療など社会保障改革」が93・0%で1位。次いで「景気対策」(78・9%)、「地方分権」(37・7%)などの順。民主党では社会保障改革がトップだったが、自民党では景気対策を挙げた回答が多かった。

 企業・団体献金の全面禁止をめぐっては、66・0%が賛成し、反対は15・8%。特に民主党では83・1%が全面禁止に賛成したが、自民党は10・2%にとどまった。

 国会議員の「世襲」制限に対しては、民主党で「厳しく制限」と「地盤継承など一部制限」の合計が87・3%。自民党では制限賛成派が40・9%で、「有権者の判断に委ねるべきだ」との回答が21・6%あった。
(共同)

2009年8月30日 (日)

産経適塾 「他国民も救えるよう、憲法9条の解釈変更を」-大阪大学大学院教授が講義

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090829/plc0908292043006-n1.htm
産経適塾 「他国民も救えるよう、憲法9条の解釈変更を」-大阪大学大学院教授が講義
2009.8.29 20:37
第24回「産経適塾」緑陰講座総括講義をする坂元一哉・大阪大学大学院教授=29日午前、神戸市北区のスペースアルファ神戸アネックス(撮影:塚本健一)

 「日本を考える」を統一テーマに、21世紀の日本を担う若いリーダーの育成を目指して神戸市北区のスペースアルファ神戸アネックスで開かれていた第25回産経適塾「緑陰講座」(大阪産業大学協賛)は最終日の29日、大阪大学大学院の坂元一哉教授が総括講義=写真=(塚本健一撮影)。外国船舶の護衛も可能になった海賊対処法が今年6月に成立したことに触れ「自国民だけでなく他国民をも救えるよう、憲法第9条の解釈を正々堂々と変えるべきだ」と訴えた。

 坂元氏は、日米同盟の目的は単に日本を守るだけではなく「極東の平和と安全の維持」だとして、日米同盟を発展させるためには米軍と自衛隊の協力がますます求められると指摘。集団的自衛権の行使ができるよう、憲法前文を根拠にして「自国民または他国民が危険にさらされる場合には必要最小限度の範囲で実力を行使できる、と憲法解釈を改めるべきだ」と話した。 対北朝鮮政策について、坂元氏は北朝鮮の核を握っている人物が合理的な判断を下せるかどうかに懸念が残るとして「その点を確かめる上でも、拉致問題をまず解決することが重要だ。拉致が解決してこそ、核問題の解決が見えてくる」と強調した。

 講座では高校、大学、大学院生ら約40人が2泊3日の合宿で集中講義を受け、講師と討議を重ねて知性を磨いた。

2009年8月20日 (木)

選挙:衆院選 候補者アンケート分析(その1) 憲法改正でも温度差

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090820ddm010010124000c.html
選挙:衆院選 候補者アンケート分析(その1) 憲法改正でも温度差

 毎日新聞が実施した衆院選全候補者アンケートでは、所属政党別に主張の違いや重なる部分が鮮明になった。新議員の顔ぶれや政権の組み合わせ次第で日本の進路も変わる。憲法、外交・安全保障、経済政策、政治改革--。候補者たちの主張を多角的に分析した。
 ◇自民、反対1人だけ 民主24%、党内事情反映

 衆参両院に設置された憲法審査会は、国民投票法の規定上は来年5月から憲法改正案の審査や提出が可能になる。新たに選ばれる衆院議員がどんな憲法観を持つかは、今後の改憲論議を左右する。アンケートでは憲法改正への賛否と憲法9条改正への賛否を聞くとともに、集団的自衛権の行使を禁じた政府の憲法9条解釈を見直すべきかも尋ねた。

 自民党は憲法改正に「賛成」との回答が97%で、「反対」は1人にとどまった。9条改正には「賛成」82%、「反対」11%。集団的自衛権の憲法解釈については「見直すべきだ」が77%に上り、「見直す必要はない」は15%だった。

 連立を組む公明党も憲法改正に「賛成」73%、「反対」18%と改憲派が大勢を占めた。ただ、9条改正については「反対」71%、「賛成」24%と逆転。集団的自衛権の憲法解釈も「見直す必要はない」が92%を占め、9条を巡る自民党との主張の違いが鮮明になった。

 民主党も憲法改正に「賛成」が57%で多数派だが、自民、公明両党より低い。「反対」も24%あり、改憲派と護憲派が混在する党内事情が反映された。9条改正については「反対」66%、「賛成」17%で、公明党と同様、9条以外の改憲を支持する意見が強い。集団的自衛権の憲法解釈については「見直す必要はない」61%、「見直すべきだ」25%だった。

 共産、社民両党は憲法改正、9条改正とも全員が「反対」。国民新党は憲法改正には「賛成」が7割を超えたが、9条改正には5割が反対した。

 自民、民主両党の回答を前元新別でみると、自民党は傾向にあまり差がなかったのに対し、民主党では、9条改正賛成派は前職が26%、新人が12%で、新人の方が慎重だ。民主党は新人候補の比率が5割を占めており、選挙結果が党の改憲へのスタンスに影響する可能性もある。

 ◆対北朝鮮政策
 ◇自・民とも「圧力を」 公明は「現状が妥当」最多

 北朝鮮が4月に長距離弾道ミサイルを発射し、5月に2回目の核実験を行ったのを受け、政府の対北朝鮮政策に関する考えを聞いた。自民党は(1)「圧力をより強めるべきだ」59%(2)「妥当だ」31%(3)「対話をより進めるべきだ」5%--の順。民主党は(1)「より圧力」52%(2)「より対話」23%(3)「妥当」8%--だった。両党とも圧力論が主流になっている。

 これに対し、公明党は「妥当」が53%で最も多く、「より圧力」(31%)、「より対話」(14%)と続いた。自民党は政府の政策への評価が相対的に低く、与党内の温度差がうかがえる。

 毎日新聞が昨年10~12月に実施した立候補予定者アンケートでは、北朝鮮による拉致問題を解決するため、対話と圧力のどちらを重視すべきかを二者択一で聞いた。「対話」と「圧力」の比率は、自民党が16%と64%。民主党が28%と49%、公明党が31%と41%だった。今回の結果と単純比較はできないが、この間、北朝鮮が核実験などを行ったことで、対話派が減少傾向にあるとみられる。

 共産党は昨秋、ほぼ全員が「対話」と回答していたが、今回は「より対話」55%、「より圧力」42%と意見が分かれた。社民党は全員が「より対話」だった。

 「より圧力」と答えた層では、日本の核武装について「今後の国際情勢によっては検討すべきだ」との考えが32%(全体では23%)、「検討を始めるべきだ」が14%(同9%)に上った。今後の北朝鮮の動向が核武装論議に影響を与える可能性もありそうだ。

 ◆核武装論
 ◇「要検討」自民で初の増加

 北朝鮮による2回目の核実験やオバマ米大統領の核廃絶演説を受け、米国の「核の傘」に頼ってきた日本は核問題にどう向き合うかがこれまで以上に問われている。アンケートでは日本の核武装について「将来にわたって検討すべきでない」「今後の国際情勢によっては検討すべきだ」「検討を始めるべきだ」「核兵器を保有すべきだ」の四つの選択肢で質問した。

 自民党の候補者は70%が「検討すべきでない」、23%が「今後の国際情勢によっては検討すべきだ」、2%が「検討を始めるべきだ」と回答。民主党は90%、公明、共産、社民3党は全員が「検討すべきでない」と答えた。

 自民党では昨秋の立候補予定者アンケートで17%だった「情勢によっては検討すべきだ」が6ポイント増えた。同様の質問をした03年は30%、05年は19%で、増加に転じたのは今回が初めて。06年に北朝鮮が最初の核実験を実施した際には中川昭一政調会長(当時)が「攻められないようにするために核(兵器保有)も議論としてある」と発言。当時外相だった麻生太郎首相も同調したものの論議は広がらなかったが、北朝鮮による今年4月の弾道ミサイル発射、5月の2回目の核実験が自民党内の検討容認論を強めたとみられる。

 候補者全体では「検討すべきでない」65%(昨秋87%)▽「情勢によっては検討すべきだ」23%(同9%)▽「検討を始めるべきだ」9%(同1%)▽「保有すべきだ」0%(同0%)--だった。核武装検討論の強い政治団体「幸福実現党」が300人以上の候補者を立てた影響で割合が大きく変化した。

 ◆靖国神社のあり方
 ◇自民6割「現状で」 民主6割は「別施設を」

 民主党の鳩山由紀夫代表が新たな国立追悼施設の建設に取り組む方針を示し、靖国神社のあり方が衆院選の争点に浮上した。麻生太郎首相は在任中に靖国神社に参拝せず、鳩山氏も首相に就任した場合は参拝しないことを明言。在任中に毎年1回参拝した小泉純一郎元首相の時代と違い当面は「靖国」が国際問題化する懸念は薄まっているが、A級戦犯の分祀(ぶんし)なども検討課題として残されており、アンケートで考え方を聞いた。

 候補者全体では「別の追悼施設を国がつくるべきだ」との回答が45%で最も多く、「現状のままでよい」35%▽「A級戦犯を分祀すべきだ」12%▽「非宗教法人化すべきだ」3%--の順になった。

 政党別にみると、自民党では「現状のまま」が61%、「A級戦犯分祀」が22%。麻生首相が外相当時の06年に提唱した「非宗教法人化」は5%にとどまり、党内で支持が広がっていないことを示した。「別の追悼施設」も5%だった。

 これに対し、民主党は「別の追悼施設」が62%で、「A級戦犯分祀」の18%、「現状のまま」の14%を大きく上回った。衆院選のマニフェストにはないが党の政策集には「特定の宗教性をもたない新たな国立追悼施設の設置」に取り組むことが明記されている。公明、共産両党は9割以上、社民党は全員が「別の追悼施設」と答えた。

 また、日本外交のあり方について「これまでよりアジアに比重を移すべきだ」と答えた層では、「別の追悼施設」が67%に上り、中国、韓国など近隣諸国への配慮から靖国問題をとらえる意識がうかがえた。

 ◆取り調べ全面可視化
 ◇民主、96%賛成 自民、慎重論強く

 栃木県足利市で90年に女児が殺害された「足利事件」で冤罪(えんざい)が明らかになったことや、裁判員制度の開始を受け、犯罪の容疑者に対する取り調べの全過程を録音・録画する「可視化」の議論が活発になっている。全面可視化について、自民党の候補者は「賛成」52%、「反対」34%だったのに対し、民主党は「賛成」96%、「反対」3%と対照的な結果になった。公明、共産、社民党でも「賛成」が9割を占めた。

 政府・自民党内には「全面録画は取り調べの機能を損なう」との慎重論も根強い。民主党など野党は過去5回、全面可視化を義務付ける刑事訴訟法改正案を国会に提出したが、いずれも否決か廃案になっている。

 今回の衆院選で民主、共産、社民各党はマニフェストに全面可視化を盛り込み、公明党も「可視化の本格実施」を明記した。選挙結果次第で法改正が進む可能性がある。

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 ◆質問と選択肢
 ◇問1 憲法改正に賛成ですか、反対ですか。

(1)賛成

(2)反対
 ◇問2 憲法9条の改正に賛成ですか、反対ですか。

(1)賛成

(2)反対
 ◇問3 集団的自衛権の行使を禁じた政府の憲法解釈を見直すべきだと考えますか。

(1)見直すべきだ

(2)見直す必要はない
 ◇問4 靖国神社のあり方について、あなたの考えに近いものを一つ選んでください。(1)現状のままでよい

(2)A級戦犯を分祀すべきだ

(3)非宗教法人化すべきだ

(4)別の追悼施設を国がつくるべきだ
 ◇問5 国会議員の世襲について、あなたの考えに近い方を選んでください。

(1)制限すべきだ

(2)問題はない
 ◇問6 衆院議員の定数削減について、あなたの考えに近いものを一つ選んでください。

(1)小選挙区を削減すべきだ

(2)比例代表を削減すべきだ

(3)小選挙区、比例代表とも削減すべきだ

(4)削減する必要はない
 ◇問7 政党への企業・団体献金を全面的に禁止すべきだと思いますか。

(1)禁止すべきだ

(2)禁止する必要はない
 ◇問8 衆院選後の政界再編が取りざたされています。当選した議員が所属政党を変えることは問題だと思いますか。

(1)問題だ

(2)問題ではない
 ◇問9 政治家と官僚の関係について、あなたの考えに近い方を選んでください。

(1)政府の仕組みを抜本的に変え、政治家が政策の決定と説明に責任を負うべきだ

(2)政府の仕組みを変えなくても、政治家が官僚をうまく使いこなせばよい
 ◇問10 郵政民営化は成功したと思いますか。

(1)成功

(2)失敗

(3)どちらとも言えない
 ◇問11 犯罪の容疑者に対する取り調べの全過程を録音・録画(可視化)することに賛成ですか、反対ですか。

(1)賛成

(2)反対
 ◇問12 小泉純一郎元首相が進めた構造改革をどう評価しますか。

(1)大いに評価する

(2)ある程度評価する

(3)あまり評価しない

(4)まったく評価しない
 ◇問13 4年間の任期中に消費税の税率引き上げを決めることに賛成ですか、反対ですか。

(1)賛成

(2)反対
 ◇問14 2020年までの温室効果ガス削減目標(中期目標)を「2005年比15%減」(1990年比8%減)とする政府の方針について、あなたの考えに近いものを一つ選んでください。

(1)妥当だ

(2)もっと削減すべきだ

(3)削減しすぎだ
 ◇問15 地球温暖化対策として温室効果ガス排出などに課税する環境税について、あなたの考えに近い方を選んでください。

(1)導入すべきだ

(2)導入すべきでない
 ◇問16 基礎年金は現在、国民の支払う保険料を財源にあてる保険料方式がとられていますが、全額を税で賄う方式にすべきだとの意見もあります。あなたはどちらがふさわしいと思いますか。

(1)保険料方式

(2)全額税方式
 ◇問17 子育て世帯に対する政府の財政支援を大幅に増額することに賛成ですか、反対ですか。

(1)賛成

(2)反対
 ◇問18 労働者派遣法について、製造業への派遣を禁止すべきだと考えますか。

(1)禁止すべきだ

(2)禁止すべきでない
 ◇問19 最低賃金を全国平均で時給1000円にすることに賛成ですか、反対ですか。

(1)格差是正につながるので賛成だ

(2)企業の経営を圧迫するので反対だ
 ◇問20 日本外交のあり方について、あなたの考えに近い方を選んでください。

(1)日米関係を最重視すべきだ

(2)これまでよりアジアに比重を移すべきだ
 ◇問21 アフガニスタン支援のため自衛隊を派遣すべきだと思いますか。

(1)派遣すべきだ

(2)派遣すべきでない
 ◇問22 日本の核武装について、あなたの考えに近いものを一つ選んでください。

(1)将来にわたって検討すべきでない

(2)今後の国際情勢によっては検討すべきだ

(3)検討を始めるべきだ

(4)核兵器を保有すべきだ
 ◇問23 北朝鮮が再び長距離弾道ミサイルを発射し、核実験を行いました。これまで政府がとってきた対北朝鮮政策について、あなたの考えに近いものを一つ選んでください。

(1)妥当だ

(2)圧力をより強めるべきだ

(3)対話をより進めるべきだ

2009年8月16日 (日)

【争点再考 ’09衆院選】(中)憲法 迫る国民投票法の施行

http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090816/elc0908160802001-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090816/elc0908160802001-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090816/elc0908160802001-n3.htm
【争点再考 ’09衆院選】(中)憲法 迫る国民投票法の施行
 「官僚任せではない、国民の本当の意味での主権が見出せる政治を民主党は模索していくことを心からお誓い申し上げる」

 今月12日、民主党代表の鳩山由紀夫は、首相の麻生太郎(自民党総裁)との1対1の党首討論で、国民主権を持ち出しながら政権交代を訴え、冒頭スピーチを締めくくった。

 しかし、鳩山率いる民主党は、国民が主権を直接的に行使する唯一の機会であると言っていい「憲法改正のための国民投票」の準備をサボタージュしてきたのも事実だ。

 国民投票法は安倍晋三政権だった平成19年に成立し公布された。これに伴う国会法の改正で、同年8月には衆参両院に憲法審査会が設置された。

 だが、民主党など野党は審査会を動かすのに必要な「審査会規程」の制定に「時期尚早」と応じてこなかった。審査会はメンバーも決められず、始動できない「違法状態」にある。業を煮やした自民、公明両党は今年6月、衆院の規程を制定したが、野党が多数を占める参院はなお放置したままだ。

 ≪見えぬ民主の姿勢≫

 来年(平成22年)は憲法問題にとって節目の年となる。公布から3年間凍結状態にあった国民投票法が来年5月に全面施行され、憲法審査会は本会議にかける憲法改正原案を作る権限を与えられるからだ。国民は、現憲法施行後60年以上にわたり国会の怠惰によって封じられてきた主権の行使が可能になるわけだ。

 だが、民主党幹事長の岡田克也は13日の記者会見で、政権交代後の憲法審査会への対応を問われ、「政権をとったらという『たられば』の話に現時点で申し上げることはございません」と木で鼻を括ったような答えでごまかした。参院での審査会規程制定の条件を問われても「(国民投票法制定時の)参院の付帯決議がきちっとクリアされることが必要だ」と言葉を濁し、民主党が政権政党としてこの問題をリードしていく気概は見られなかった。

衆院選マニフェストでも民主党は憲法問題について政策各論の末尾で「国民の自由闊達(かったつ)な憲法論議を」との項目を置いただけだ。「国民の多くの皆さんが改正を求め、かつ、国会内の広範かつ円満な合意形成ができる事項があるかどうか、慎重かつ積極的に検討していきます」との記述も、19年参院選時のマニフェストとまったく変わっていない。

 日本大学法学部教授(憲法学)の百地章は「『慎重かつ積極的に』とはアクセルとブレーキを一緒にかけるような表現で矛盾している。護憲派が多い党内事情が背景にあるからなのか」と首をかしげる。

 今回の衆院選で当選する議員は国民投票法の施行に伴って否応なく憲法問題に向き合うことになる。にもかかわらず、民主党は憲法を改正したいのか、そうでないのかも分からない。鳩山はかつて独自の改憲試案を出版し、「自衛軍」創設を唱えた改憲派だったが、今やそんな鳩山カラーをうかがうことはできない。

 国の命運を左右する憲法問題を衆院選の争点にせず、白紙委任させるのは恐ろしいことではないか。それが民主党が唱える「真の議会制民主主義」なのか。

 ≪自民の「軟弱さ」≫

 一方、自民党はマニフェストで「『憲法審査会』を早急に動かし、あるべき日本の姿を現実的に考えながら、憲法改正を実現させます」と約束した。政策集では「自主憲法の制定」の項目を末尾に置き、「『党新憲法草案』に基づき、早期の憲法改正を実現する」と明記した。

 だが、安倍内閣当時の参院選マニフェストでは、「新憲法制定の推進」が155項目の最初にあった。やはり後退感は否めない。

 また、自民党はマニフェストに、麻生の意向を受け、米国へ向かう弾道ミサイルの迎撃などのため「必要な安全保障上の手当てを行う」と盛り込んだ。集団的自衛権行使を認めるための憲法解釈変更を示唆する表記だが、護憲派の反発を考慮し、あいまいな表現にとどめてしまうところが麻生自民党の「軟弱さ」であり、保守層の支持を固めきれない理由となっている。

 12日の麻生、鳩山の直接対決は、30日の衆院選投党開票日まで一度きりのチャンスだったが、憲法問題に触れることはなかった。自民、民主両党が政権の座を争うならば、憲法そして「国のかたち」を真摯(しんし)に論ずる場を設けるべきではないか。=敬称略(榊原智)

2009年8月 1日 (土)

選挙:衆院選 自民党マニフェスト(要旨)

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090801ddm010010145000c.html
選挙:衆院選 自民党マニフェスト(要旨)
 ◇-→+ 改めます。 +→++ 伸ばします。

 ●------安心

・社会保障番号・カードの11年度中の導入

・消費税を含む税制抜本改革を11年度までに法制措置

・年金記録問題を10年末に解決

・3~5歳の幼児教育費を軽減し3年目から無償化

・介護報酬を12年度改定時に引き上げ

・派遣労働者の待遇改善のため労働者派遣法を改正

・スポーツ基本法を制定しスポーツ庁を創設

 ●------活力

・10年度後半に年率2%の経済成長を実現

・10年で家庭の手取りを100万円増

・直轄事業の維持管理費負担金を10年度から廃止

・国と地方代表による協議機関設置を法制化

・道州制基本法の制定後6~8年で道州制を導入

・郵政4分社化を踏まえた3事業一体的サービス検討

・面積・年齢要件を撤廃し意欲ある全農家を支援

 ●------責任

・米軍再編を着実に実施

・インド洋での補給支援活動を継続

・自衛隊の海外派遣を迅速化する国際協力基本法制定

・国家安全保障会議を内閣に設置

・次回の衆院選から総定数を1割以上削減

・次回の衆院選から党内で世襲候補を制限

・早期の憲法改正を実現

==============

 ●------安心

 1・安心な国民生活の構築

○国民の安心・安全のための社会保障制度の確立

 社会保障番号・カードを2011年度中をめどに導入

○税制抜本改革

 消費税を含む税制の抜本改革について、11年度までに必要な法制上の措置を講じる

○医療基盤整備・医療体制の安心確保

 大学病院の医療体制を整備し、医師偏在の解消へ向けた臨床研修医制度とする。社会保険病院・厚生年金病院は、必要な機能を維持するよう対応。診療報酬は来年度プラス改定

○高齢者医療制度等の見直し

 公費負担の拡大に取り組むなど現行の枠組みを維持しながら、よりよい制度への抜本的な改善・見直しを行う

○年金記録問題への徹底対応

 インターネットなどを使い、残された記録を国民に開示。来年末をめどに解決

○将来とも安定した年金制度の構築

 3年以内に無年金・低年金対策の具体的措置を講じる。被用者年金制度の一元化は早期に実現。超党派による協議機関を早期に立ち上げ議論

○健康で安心できる国民生活の確保

 ■健康づくり=生涯現役で充実した人生を送るための施策を進める

 ■新型インフルエンザなどへの対応強化=公的助成を含め体制整備に万全を期す

 ■難病対策、肝炎対策、がん対策の充実=難病患者の医療費助成の拡充。「肝炎対策基本法」を制定。患者の立場に立ったがん対策を充実させる

 ■医薬品・医療機器の安全・安心=がん・小児等の未承認薬の開発推進。審査期間を12カ月から6カ月に短縮

 ■地域社会における生活支援・支え合いの構築、食の安全性の確保、生活衛生サービスの安全・安心=高齢者などへの虐待や孤立死の防止、災害時の要援護者対策等を推進

○障害者施策の充実

 利用者負担を応能負担に見直す

○原爆被害者対策

 支援策の推進に努める

○犯罪被害者等施策のより一層の充実

 犯罪被害者団体・被害者支援団体への財政支援などを10年末までに見直し

○消費者行政の推進

 地方消費者行政を抜本的に強化。次期国会で消費者教育推進法(仮称)を成立させる

○社会防災対策の推進

 集中豪雨の増加なども考慮しつつ、防災・減災対策を戦略的・重点的に進める

○世界一安心・安全な国づくり

 治安再生に向け基盤構築

 2・少子高齢化社会への対応

○子育て支援の充実

 給付付き税額控除など低所得者支援策を行う

○安心して教育が受けられる社会の実現

 幼児教育費の負担を段階的に軽減し、3年目から無償化。低所得者の高校・大学等の授業料無償化等を行う

○安心して働ける環境の整備

 子育て期の短時間勤務の義務化や長時間労働の抑制など改革を進める

○介護サービスの改善と職員の処遇改善

 12年度の介護報酬改定時に、介護保険料の上昇を抑制しつつ、介護報酬を引き上げ。療養病床再編成は適切に措置する

 3・雇用対策

○雇用の維持・創出

 残業削減により解雇しない事業主への助成

○職業訓練、職業紹介等の雇用のセーフティーネットの構築

 3年間で100万人の職業訓練

○若者・女性・障害者の就業実現

 25~39歳の年長フリーター等を重点に正規雇用化を支援

○「70歳はつらつ現役プラン」の実施

 50歳代からキャリア形成について支援と教育訓練

○非正規労働者への就労支援体制の整備

 非正規労働者の就労・生活支援を行うワンストップサービスの全国展開を目指す。日雇い派遣の原則禁止、常用化の促進などの待遇改善を行うべく、労働者派遣法を改正

 4・教育・文化

○次代の日本を担う子供たちへの教育

 ■世界最高水準の義務教育の実現=経済協力開発機構(OECD)諸国並みの公財政教育支出を確保

 ■信頼される公教育=教員の政治的中立を徹底。全国学力テストを継続し、4年以内に少人数学級を実現

 ■歴史・文化伝統を重んじる教育の実践

○国家戦略としてのスポーツ・文化芸術の振興

 スポーツ基本法を制定し、スポーツ庁を創設。16年東京五輪を招致する。アニメなど日本のメディア芸術の振興や人材育成を図る

 ●------活力

 5・経済成長政策

○経済成長政策

 10年度後半に年率2%の経済成長を実現。11年度から成長経路へ復帰させ、3年間で40兆~60兆円の需要を創出し約200万人の雇用確保。10年で家庭の手取りを100万円増やし、1人当たり国民所得を世界トップクラスに引き上げ

○環境に優しい経済社会システムの構築

 太陽光発電の導入量を20年に20倍、30年に40倍に。次世代自動車は1年間で100万台程度の需要を増やす。エコポイント活用でグリーン家電の普及を促進

○日本の国際競争力の強化

 ■国際競争力のある高等教育の展開=留学生30万人計画を進め、国際化拠点大学30大学を重点支援

 ■国際的に活躍できる人材の育成や環境整備=ノーベル賞級の研究者育成のため拠点約30カ所整備

 ■科学技術創造立国の実現=研究開発投資25兆円の達成を目指す

 ■規制改革=略

○地上デジタル放送の推進・情報通信網の整備による地域間格差の解消

 10年度末までにブロードバンド・ゼロ地域を解消。テレビは11年にデジタルへ完全移行

○IT利活用社会の実現

 IT活用で15年までに生活の利便性向上、事務効率化を図る

○中小企業対策・建設業の健全な育成

 ■小規模事業者共済=対象者を「共同経営者」まで拡大

 ■商工会議所・商工会の機能強化=略

 ■連帯保証人制度=あり方を見直す

 ■地元中小企業受注機会拡大=中小企業者向け官公需契約目標額を、昨年度契約実績から1兆円増の約5兆1993億円とする

 ■不当廉売対策=ガイドラインを見直す

 ■地域を支える建設業の健全な育成=略

○金融対策

 貸し渋り・貸しはがしを防ぐ

 6・地域活性化・地方分権

○地域活性化

 ■地域社会の活性化=農商工、産官学連携を推進し、雇用の確保・人口定住を図る

 ■商店街活性化=略

 ■「新過疎法」の制定=議員立法で09年度中に成立

○地方分権の更なる推進

 「新地方分権一括法案」を09年度中に国会に提出し成立を期す。直轄事業の維持管理費負担金は10年度から廃止。直轄事業負担金制度を抜本的に見直す。国と地方の代表者が協議する機関の設置を法制化

○道州制の導入

 道州制基本法を早期に制定。その後6~8年をめどに導入

○地方財政の抜本的立て直し

 税制抜本改革に取り組む際、地方消費税の充実や地方交付税の法定率見直しにより、地方財政を立て直す

○真に必要なインフラの整備

 地域生活に不可欠な道路等は費用便益比にとらわれず積極的に整備

○「すまう人」の視点で住宅対策

 最大600万円の住宅ローン控除など住宅取得支援を継続・強化

○観光立国の実現

 20年までに訪日外国人を2000万人に

○必要な社会資本の前倒しによる「未来への投資」の実施

 基幹空港・港湾や高速道路等を整備し、整備新幹線の新規着工区間は09年中の認可・着工を目指す

○地域で活動する団体やNPO法人の育成・支援

 「コミュニティ活動基本法」を制定

○郵政民営化

 4分社化を踏まえた3事業の一体的なサービスを確保するための施策を検討

 7・農林水産政策

○農林業の所得増大

 ■農業生産を強化し、農家所得を増大=食料自給率50%を目指す。すべての意欲ある農家を支援対象とし、面積・年齢要件は撤廃。永続的に必要予算を確保

 ■農地フル活用=耕作放棄地や不作付け地を解消、二毛作への支援実施

 ■農産物の安定供給=必要量に合った主食用米を作り、麦や大豆などの生産を振興。米の生産調整は不公平感の改善を図り、価格下落が経営に影響しない措置を充実させる

 ■野菜・果樹・畑作農業を振興、畜産・酪農業を振興=略

 ■食品の高付加価値化、流通の高度化=都市農業の振興。世界への農産物輸出支援

 ■農山漁村の保全と発展可能性の実現=洪水防止など多面的機能維持のための支援充実。バイオ燃料、太陽光発電なども支援

○森林対策の拡充

 国有林、民有林の森林整備。公共施設などの国産材の利用率50%を目指す。木材価格安定化制度を導入

○持続可能な力強い水産業の確立

 流通経路確保・魚食文化復活などの取り組み支援を実施

 ●------責任

 8・財政再建

○財政健全化

 国・地方の債務残高対国内総生産(GDP)比を10年代半ばにかけて安定化。20年代初めに安定的に引き下げ。今後10年以内に国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)黒字化の達成を目指す。5年を待たず国・地方のPB赤字の対GDP比の半減を目指す

○無駄遣いの撲滅

 全予算を徹底して見直し、無駄を撲滅する。外部の有識者がチェックする。独立行政法人の不要財産の国庫納付や処分可能となる立法措置を講ずる

 9・外交・安全保障

○日米安保体制の強化と在日米軍再編の着実な推進

 日米同盟は外交の基軸。米国との共同演習・訓練の強化。米軍再編を着実に実施し、沖縄などの地元負担を軽減

○防衛政策の強化と防衛計画の大綱・中期防衛力整備計画(中期防)の策定

 時代の変化に対応した防衛政策を整備。自衛官の処遇を改善し、敬意と感謝の念を持たれるよう努力。今年末の防衛計画大綱と中期防は国防部会の提言を踏まえて策定

○安全保障体制の基盤強化

 北朝鮮の弾道ミサイルから守るため、米国に向かう弾道ミサイルの迎撃や米国艦艇の防護が可能になるよう、必要な安全保障上の手当てを行う

 ■新たな脅威や多様な緊急事態への対処能力強化=略

 ■国の安全保障のための防衛産業・技術基盤の維持・強化=略

○テロとの闘い・国際社会の平和と安定のための貢献

 インド洋の補給支援活動継続

○自衛隊の国際平和協力活動等の推進

 国際平和協力に関する一般法(国際協力基本法)制定を目指す

○北朝鮮への断固とした対応

 拉致・核・ミサイルの包括的解決が基本。「拉致問題の進展なしに経済支援は行わない」が前提。拉致被害者全員の帰国実現。輸出禁止などの措置を継続。貨物検査特措法案を次期国会で成立させる

○積極的な外交展開

 中国、韓国など近隣諸国との関係を増進

○経済・金融危機への対応、多角的自由貿易体制の確立

 世界貿易機関(WTO)ドーハ・ラウンド交渉の早期妥結

○国家の情報機能及び官邸の指令機能強化

 「国家安全保障会議」を内閣に設置

 10・資源・エネルギー

○資源獲得・新たなエネルギーシステムの構築

 「資源外交」を強化。原子力エネルギー利用の強化(発電比率25・6%→40%、発電所設備利用率58%→84%)

○領土問題の解決

 不法に占拠された北方領土と竹島の平和的解決に向け、粘り強い交渉を実施

○水の安全保障

 世界の水危機解決に貢献

 11・環境・地球温暖化

○低炭素社会づくりの推進による地球温暖化防止

 太陽光発電の買い取り制度などを通じた再生可能エネルギーの需給拡大、省エネ住宅・エコカー減税など税制全体のグリーン化推進。「低炭素社会づくり推進基本法」を制定。20年の温室効果ガス削減目標を05年比15%減に設定

○美しい自然と生物多様性の保全

 外来生物対策や絶滅危惧(きぐ)種の保護など生態系の維持回復

○3Rを通じた持続可能な資源循環

 レアメタル資源回収などを通じた地域活性化

 12・行政改革・政治改革

○行政改革の推進

 ■独立行政法人改革=「万博機構」「都市再生機構」「住宅金融支援機構」のあり方に早急に結論を出す

 ■公益法人の新制度への移行=公益法人への委託などを廃止、必要不可欠な業務のみ国か独立行政法人で行う

 ■中央省庁改革=行政改革機能を首相の下に集約し、中央省庁再編を検証

○公務員制度改革

 ■信賞必罰の人事評価で不正や“サボリ”は許さない!=能力・実績主義による人事評価で連続3年「不良」なら分限免職処分など信賞必罰を徹底。ヤミ専従などを行った公務員を処分。公務員の不正や不作為を監視し、懲戒処分や告発を発動できる制度を新設

 ■「天下り」根絶宣言-- 「天下り」発生原因をなくす!=公務員が60歳定年まで勤務可能な仕組みを整備し、定年延長を検討。官民人材交流センターの再就職支援機能は廃止。ポストごとの役職定年制を導入。給与体系全体の抜本的見直し

 ■国家公務員制度改革の推進=国家公務員の幹部職員の一元管理のほか、給与法改正などを検討する。首相を補佐する国家戦略スタッフの発足。国家公務員の一括採用の検討

 ■総人件費改革=10年で国家公務員を20%純減する党決定、10年度までに5・7%純減する政府の計画を着実に実施

○政治資金の透明性の確保

 個人献金しやすい仕組みを構築。政治資金制度について1年以内に結論を得る

○議員定数の削減と真の政党政治の確立

 次々回総選挙から衆院議員総定数の1割以上を削減。10年後に衆参両院議員総定数の3割以上の削減を目指す

○党内の候補者基準を含む党改革

 ■「世襲候補」の制限=現職議員の引退などで、その配偶者及び3親等内の親族が同一選挙区内で立候補する場合、次々回総選挙から公認、推薦しない。引退議員の後継者には、資金管理団体への政治資金の継承を禁止

 ■より開かれた総裁選の実施=総裁公選制度は、選挙人資格のあり方などの検討を総選挙後ただちに行う

 ■「1万人オピニオンリーダー制度」の確立=党運営などについて提言をうける「1万人オピニオンリーダー制度」を創設

 ■適材適所の人材登用システムの具体化=略

 ■党本部・地方組織の改革=人物本位の人材登用システムの構築、民間との人事交流などを進める

 ■戦略的広報活動の強化=映像コンテンツや携帯版ホームページの充実

○国会改革など

 ■国会運営の改革=両院協議会や小委員会の活性化、副大臣・政務官の国会答弁の機会拡充など

 ■国会事務局の効率化・スリム化の実現=部局の再編などの組織改革、国会の施設・資産の売却を含む見直し

 ■立法スタッフの拡充・強化=略

 ■議員外交の積極展開=略

 13・憲法

○自主憲法の制定

 「憲法審査会」を早期に始動させ「自民党新憲法草案」に基づき早期の憲法改正を実現

自民マニフェスト発表 「責任力」を前面に

http://www.asahi.com/politics/update/0731/TKY200907310365.html
自民マニフェスト発表 「責任力」を前面に

自民党のマニフェストを発表した記者会見で、質問に答える麻生首相=31日午後、東京・永田町の党本部、河合博司撮影

自民党マニフェストの主な内容

 麻生首相(自民党総裁)は31日夕、党本部で記者会見し、総選挙のマニフェスト(政権公約)を発表した。民主党に対抗して政権担当能力を強調するため「責任力」を前面に出し、景気対策とともに社会保障制度の見直しや少子化対策に取り組むとした。財源として景気回復後に消費税を含む税制の抜本改革を行うと明記したが、引き上げの時期や幅、消費税以外の財源については、会見でも説明はなかった。2大政党のマニフェストが出そろい、「安心社会」実現を目指す自民と「生活が第一」を掲げる民主が、有権者に身近な政策をアピールしあう展開となった。

 自民党のマニフェストのキャッチコピーは「日本を守る、責任力」。「安心」「活力」「責任」を3本柱に、「安心」では、11年度を目途とした社会保障番号・カードの導入や3~5歳の幼児教育の無償化、高校・大学生への給付型の奨学金制度の創設を打ち出した。「活力」では、低炭素革命などを通じた経済成長の実現や抜本的な地方分権のための道州制基本法の早期制定、「責任」では財政健全化の目標や日米同盟の強化を盛り込んだ。

 消費税を含む税制の抜本改革は「11年度までに法制上の措置を講じ、経済状況の好転後遅滞なく実施」とした。消費税の引き上げ幅について、首相会見に同席した園田博之政調会長代理は、無年金・低年金対策など社会保障・少子化対策に必要な全体額が判明した段階で考えると述べ、マニフェストの政策を実現する財源としては「国債発行もやむを得ない」と語った。

 外交・安保分野では、当初案で「集団的自衛権の問題を含め、憲法との関係を整理」と憲法解釈の見直しに触れていたが、党内で異論が出たため、「集団的自衛権」「憲法」の文言を削除。代わりに、「(北朝鮮から)米国に向かう弾道ミサイルの迎撃」「弾道ミサイル防衛で連携する米国艦艇の防護」が可能となるよう「必要な安全保障上の手当てを行う」とした。

 現在の政府解釈では、いずれも憲法が禁じる集団的自衛権の行使に当たるが、首相は会見で「北朝鮮問題の厳しい状況を踏まえ、日本の安全保障の基盤を強化する」と述べ、憲法解釈の一部変更と必要な法整備に意欲を示した。

 首相は会見の冒頭、「国民の中には日本の政治に不満を持っている方が多いと思う。政府・自民党は皆さんへの気持ちの配慮が足りなかったことを率直に認めなければならない」と述べた。小泉政権下の構造改革を念頭に「行き過ぎた市場原理主義から決別する」と路線転換も明言した。

2009年7月25日 (土)

【主張】憲法改正 日本どうするかの議論を

産経が各党に「憲法改正」の議論の要求を強めている。産経は国会での憲法改正論議が低調であることを嘆いているが、なぜそうなのかの認識が全く間違っている。
国会での憲法改正論議が高まりを見せていないのは、各党の姿勢が軟弱だからではなく、「国民の多くが」それを望んでいないからだ。いま、緊急性がないのだ。憲法の改正という問題は、この「国民の多くが望んでいるか、どうか」が重要な指標になる。だから、民主党もそのようにいい、麻生自民党も産経が望むような主張にまで踏み込むことに躊躇しているのだ。
党利党略で、「憲法論議をリード」させようという産経の主張は立憲主義からみて不当なものだ。産経はひたすら「集団的自衛権の行使」が可能になる9条改正を望んでいる。多くの人びとはそれを望んでいない。
産経にそれを望むのはムリなことではあるが、なぜ自らの「主張」が各方面から支持されないのかを冷静に考えてみるべきだと思うのだが、いかがか。(高田)

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090725/plc0907250310002-n1.htm
【主張】憲法改正 日本どうするかの議論を
来年5月18日、憲法改正原案の発議が可能となる。今回の総選挙で選ばれる議員は、国のありようを定める憲法の改正に取り組むことができる。日本をどうするかを決める役割を担うことを深く認識してほしい。

 しかし、こうした憲法論議は現在、高まりを見せていない。憲法改正原案などを審議する衆参両院の憲法審査会が設置以来約2年間、機能していないためだ。

 さきの通常国会では、この審査会の運営ルールとなる「審査会規程」が衆院で自民、公明両党の賛成で可決された。しかし、参院側の規程については、審議に入れなかった。民主党などが「与野党が合意できる環境が整っていない」などの理由で反対したからだ。

 民主党の鳩山由紀夫代表は憲法改正を持論としているが、きわめて残念な対応だ。言行不一致は信頼性を損ないかねない。

 増大する北朝鮮や中国の脅威に対応し、日米同盟を強化するためには、集団的自衛権の行使に向けた憲法解釈の変更や9条改正の議論が急がれる。

 民主党がマニフェスト(政権公約)に先立って公表した政策集「INDEX2009」では、「国民の多くが改正を求め、国会内の広範かつ円満な合意形成ができる事項があるかどうか」を憲法論議の前提条件に掲げている。かつての改憲姿勢から、大きく後退しているのではないか。

 憲法審査会を国会に置く根拠となった憲法改正手続きのための国民投票法について、当初、民主党も積極的だったことを忘れてはなるまい。

 公明党はマニフェストで「憲法と現実の乖離(かいり)」を検証するため「現行憲法をあらゆる角度から点検する国民的作業」の必要性を打ち出した。急ぐべきである。

 公明党は集団的自衛権の行使などの問題には慎重だ。しかし、マニフェストには「一日も早く議論の場を設ける」と憲法審査会の活用が提起された。

 自民党はマニフェストで、麻生太郎首相の意向を受けて集団的自衛権の行使を盛り込む方向だが、憲法との整合性について「現実的な整理を行う」などの表現にとどまるようだ。これでは自民党らしさに欠ける。

 憲法解釈の変更に踏み出すことを明確にすべきだ。自民党が憲法論議をリードしないで、だれがその役割を担うというのか。

2009年7月18日 (土)

産経新聞【主張】自民党迷走 憲法改正で立て直し急げ

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090718/stt0907180302001-n1.htm
産経新聞【主張】自民党迷走 憲法改正で立て直し急げ
麻生太郎首相が21日に衆院を解散することが固まった。自民党内で首相(総裁)交代を求める勢力などが目指していた両院議員総会の開催が見送られ、総裁選前倒しの可能性も消えたためだ。

 首相としては「麻生降ろし」を封じたつもりだろうが、衆院選に臨むうえで、首相が出すべき答えがみつかったわけではない。

 大型地方選の連敗に象徴される自民党の退潮の原因は何か。指導者としてこの国の針路をどう示すのか。首相がきちんと語らないことが、与党内で求心力を失い、内閣や党への支持を減らす要因になってきたのではないか。

 21日の両院議員懇談会での発言やマニフェスト(政権公約)を通じて、解党的な出直しの姿を具体的に示すことは首相の責務だ。

 首相は解散の判断を14日の代議士会などで説明した際、「引き続き景気対策、経済対策を実行する」ことが「自分に与えられた使命」と位置付けた。絶え間のない経済対策に政府・与党が意を用いるのは重要だが、これで国民の信を問おうというのだろうか。指導者の気概と決意はみえない。

 首相は民主党の政権担当能力に関連して、同党の外交・安全保障政策への懸念を指摘している。それなら、民主党があいまいな態度をとる憲法改正問題を論戦の正面に据えてはどうか。

 日米同盟の強化に必要な集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更も、首相は検討すると言及しながら結論に至っていない。ねじれ国会への対応に追われて喪失しがちな自民党らしさの回復が急務だ。これらは党の理念を打ち出すテーマにもなり得る。

 両院議員総会を求める自民党内の署名運動は、中川秀直、加藤紘一両元幹事長らベテラン議員が主導して100人を超える規模となり、閣内から与謝野馨財務相、石破茂農水相らも加わって一定の広がりを持った。

 しかし、東京都議選惨敗の敗因分析などの目的と、総裁選前倒しによる首相退陣要求という政局的な思惑が混在していた。党内各派の締め付けなどで、両院総会開催に必要な両院議員の3分の1には達していないと執行部が判断し、署名集めは不発に終わった。

 都議選から解散に至る間の貴重な1週間を、自民党議員たちが署名集めをめぐる駆け引きに費やした姿は、国民不在のドタバタ劇に映っただけだ。

2009年7月 6日 (月)

経団連:政策課題10項目を発表 マニフェストに、と要望

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090707k0000m020037000c.html
経団連:政策課題10項目を発表 マニフェストに、と要望

 日本経団連は6日、道州制導入に向けた基本法の制定や、税制改正など、次期衆院選で各政党がマニフェストに盛り込んでほしい政策課題10項目を発表した。1月に公表した「09年優先政策事項」と同じ内容だが、経団連がマニフェストに盛り込むように求めたのはこれが初めて。政策の実績などは今秋の政策評価に反映させる。

 御手洗冨士夫会長は同日の会見で「経済を成長軌道に乗せるためには、次の選挙を従来以上に政策本位のものにする必要がある」と述べ、政局の混乱によってかすみがちな政策論争を活発化させたい意向を示した。

 具体的には、最重要課題と位置づける道州制を15年めどに導入▽民間主導の成長力強化策▽憲法改正に向けた合意形成▽消費税を含む税制抜本改革と財政健全化への道筋--などを求めた。【三沢耕平】

2009年7月 3日 (金)

自民 民主 危険な競い合い/ご存じですか 民主・鳩山代表『新憲法試案』の中身/9条2項「最も欺瞞的」と攻撃/海外での武力行使も容認

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-07-03/2009070304_03_1.html
自民 民主 危険な競い合い/ご存じですか 民主・鳩山代表『新憲法試案』の中身/9条2項「最も欺瞞的」と攻撃/海外での武力行使も容認

 自民党と民主党の危険な共通部分の一つが、改憲志向です。新しく民主党の代表になった鳩山由紀夫氏は、どのような憲法観の持ち主なのか。鳩山氏が2005年に発表した『新憲法試案』に、その考え方をみてみました。

 鳩山氏の「試案」の第一の特徴は、憲法の平和原則、なかでも「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」とした9条2項を否定していることにあります。同項を「最も欺瞞(ぎまん)的」と攻撃し、「自衛軍保持」を明記しました。

 現行憲法の最も欺瞞的な部分をなくし、誰が読んでも同じ理解ができるものにすることが重要なのだ。

 「第五〇条(自衛軍) 日本国は、自らの独立と安全を確保するため、自衛軍を保持する」

 鳩山氏はそのうえで、海外での武力行使を可能にする集団的自衛権の行使を容認すると明記。自民党政府でさえ、憲法上禁じられているとしてきた原則の大転換です。また、武力行使をともなう国連の軍事活動への参加を明確にし、政府の「海賊対処」派兵新法案に先立って“海賊取り締まり”も可能だとしています。

 今の法制局解釈のように、いたずらに集団的自衛権のハードルを高く設定していることが、われわれの外交政策における選択肢を狭め、国益を損なうことになっていはしないか。この憲法試案は、このような観点から、集団的自衛権の制限的な行使を容認するという立場に立つ。

 国連決議による多国籍軍や平和執行部隊、あるいは将来編成されるかもしれない国連常設軍への参加…私の憲法試案では、こうした国連による国際警察軍的な活動への参加を明確に容認している。
「明治憲法を引き継ぐ」と

 鳩山氏の「試案」のもう一つの特徴は、憲法前文を非難し、天皇主権の明治憲法を引き継ぐとしていることです。安倍晋三元首相は、憲法前文に対し、「敗戦国としての詫(わ)び証文」「妙にへりくだった、いじましい文言」などと悪罵(あくば)を投げつけましたが、鳩山氏も前文のまったく同じ個所に非難をぶつけています。

 (中東の)現状を見ただけでも、とても「平和を愛する諸国民」とは言い難い状況であるし、まして、その公正さを信じて日本の生存を保持しようなどと、情けないことを言うべきでない。

 頭を撫(な)でられ、ほめられて喜ぶ日本を目指すのではなく、国としての尊厳を確立することによって、国際社会をリードする気概を持たねばならない。

 そのうえで、「試案」は、「現行憲法の前文にとらわれることなく、新憲法の歴史的位置づけと、新たな国家目標について記すこととした」とし、真っ先に明治憲法を引き継ぐことを宣言。天皇の「元首」化も明記しています。

 「この憲法は、明治二十二年憲法によって創始された議会主義と政党政治の伝統を受け継ぎ…」

 「第一条2 日本国は、国民統合の象徴である天皇を元首とする…」
小選挙区制に執念を燃やす

 鳩山氏は、著書の冒頭から「祖父鳩山一郎」が「小選挙区制に変えようと試みた」のは「憲法を変えるために…極めて安定した与党を作らなければならなかったからである」とのべ、「私には祖父のDNAが存している」としています。「試案」も、改憲のために小選挙区制を導入すること、それによって二大政党制による統治システムをつくることを目的としています。

 試案の「政党は、国会議員の総選挙に際しては、内閣総理大臣候補としての党首及びその施政の基本方針を明示して臨まなければならない」という条文は、総選挙を国民の手による政権選択の場とするための条文である。

 衆議院において不完全ではあるが、小選挙区制を敷き、自民党に代わり得る責任政党づくりに努め、今一歩でその目的に到達するところに来ている。これはもう後戻りできない、してはならない道だ。
小泉「改革」も「中途半端」

 鳩山氏の「試案」は、小泉「構造改革」も中途半端だとし、それを徹底することを求めています。そのための国家改造の柱が中央の「小さな政府」と自治体統合。中央政府は外交や安全保障に役割を絞り、福祉や教育は地方に丸投げする構想です。

 小泉首相の「構造改革」は常に表面的なものに留(とど)まり、本丸を改革するには至っていない。…私は本丸に届くような国の制度の根本的な改革を行うには、国の新しい仕組みを憲法に明確に記述するしかないと考えている。

 小さな中央政府を実現することは…国がその本来の役割である外交、防衛、マクロ経済政策の分野において、より迅速で戦略的な意思決定を行う体制を整えるためにも避けて通れない。
「友愛革命」は改憲のこと

 鳩山氏が好きな言葉は「友愛」。それに必要なのが憲法改定なのだと主張しています。そして、民主党の「創憲」論は、「『改憲』よりも『改憲』的だ」と自慢さえしています。

 「自立と共生を両輪とした民主主義政治の確立を目指した友愛革命」…そのような理念の下で、国家を構想していくと、どうしても憲法改正が必要になる…。

 それまでの民主党は「護憲」派にも気を遣いながら、大いに憲法を議論しようという意味で「論憲」との立場をとっていたが、それでは何を言っているのかわからない。…「創憲」は新しい憲法を創(つく)ることを意味するから、実は「改憲」よりも「改憲」的なのである。その立場に漸(ようや)く民主党が立つことができるようになった…。

2009年6月28日 (日)

敵基地攻撃論は違憲/民放番組 笠井議員が主張

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-06-28/2009062804_02_1.html
敵基地攻撃論は違憲/民放番組 笠井議員が主張

 日本共産党の笠井亮衆院議員は25日夜放映のBSフジ「プライムニュース」に出演し、外交問題で各党議員と討論しました。

 番組では、政府・与党が検討している北朝鮮関係船舶の「貨物検査」について議論になり、自民・公明の議員は「海上自衛隊の活用を考えるべきだ」と主張しました。

 それに対し笠井氏は、「すでに日本は北朝鮮とは輸出入も入港も禁止しており、海上保安庁が領海・港湾で船舶検査をしている。新法はいらない」と発言。「国連決議にあるように『非軍事の対応』で国際社会が一致してやろうとするときに、自衛隊が出ていけば北朝鮮の暴発を招く危険がある。そういう道はとるべきではない」と述べました。

 政府が年末に策定する新しい「防衛計画の大綱」に向けた自民党の提言が、敵基地攻撃能力の保有を盛り込んだことが議論になりました。笠井氏は「1959年に当時の伊能繁次郎防衛庁長官が、敵基地攻撃は憲法上問題があるといっていた。憲法にも明確に反する」と指摘。「北朝鮮が暴挙を行ったからといって、日本が敵基地をたたいてしまえという話になると、ますます軍事のエスカレーションになる」と批判しました。

公明「憲法論議」盛る 政権公約

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090628/stt0906280138001-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090628/stt0906280138001-n2.htm
公明「憲法論議」盛る 政権公約
2009.6.28 01:37

 公明党が次期衆院選の政権公約(マニフェスト)で、「現行憲法をあらゆる角度から点検する国民的作業を行う」ことを提案し、衆参両院の憲法審査会を積極的に活用すべきだとする方針を盛り込むことが分かった。憲法改正に前向きな自民党と協調することで、社民党との野党共闘を重視するために改正論議を避けている民主党との違いを際立たせるねらいがある。

 公明党のマニフェスト原案では、憲法論議について「現行憲法と現実の乖離(かいり)をめぐっての徹底的な検証が必要だ。どの条目を変える必要があるか、あるいは変えずとも新たな立法や行政の強化などの対応をすることで、事態の変革が可能であるかどうかなど、広範囲に憲法を見直す必要がある」と主張している。

 さらに「そうした作業をする場としてこそ、衆参の憲法審査会が活用されるべきだ」と指摘した。

 公明党は憲法改正について、現行憲法に足りない条文を加えていく「加憲」の立場をとっている。改正論議の焦点の一つである9条については、戦争の放棄や戦力の不保持、交戦権の否認などの考えを示した第1項と第2項は堅持した上で、自衛隊の存在や国際貢献などについて「『加憲』の論議の対象として慎重に検討していく」という従来の方針を改めて明記した。

 憲法改正手続きのための国民投票法に基づいて両院に置かれた憲法調査会については「民主党など野党の反対で、宙に浮いたまま一歩も足を踏み出していないのは、まことに残念」と民主党などを批判しつつ、その活用を求めている。

2009年6月 2日 (火)

防衛費減、撤回を要求 自民、大綱提言最終案に明記

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090602-00000140-san-pol

防衛費減、撤回を要求 自民、大綱提言最終案に明記

6月2日8時5分配信 産経新聞
 自民党が年末の「防衛計画の大綱」改定に対して行う提言の最終案が1日、明らかになった。原案を修正し、平成15年度予算以来の防衛費・防衛力の縮減方針を撤回して防衛費と自衛官を維持・拡充すべきだとの政府への要求を新たに明記した。核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮、空母建造など軍拡を進める中国、軍事力が復調傾向のロシアに囲まれた安全保障環境悪化への対処や、増える国際平和協力任務に「予算と人員が縮小を続ける自衛隊が応じきれない」(国防関係議員)ことが背景にある。

 最終案は「提言・新防衛計画の大綱について」と題し、党国防部会の防衛政策検討小委員会(今津寛委員長)が5月26日の原案を修正した。政府の経済財政政策の指針である「骨太方針」の中の防衛費縮減の見直しも求めた。近く正式決定し政府へ提出する。

 縮減方針の撤回要求は、政府に防衛力整備を軽視する姿勢からの転換を促すものだ。理由として提言の最終案は、「新しい安保環境から期待される防衛力に対して、縮減されつつある防衛力は、質・量とも不十分だ。陸海空自衛隊ともやりくりの限界を超えている」と指摘した。

 さらに、「安全保障能力の整備は一般の公共事業と同列に扱われる(べき)ものではない。諸外国の防衛力整備状況も考慮して、必要な予算及び整備基盤の維持・拡充を行うべきだ」とした。日本を除くアジアのほとんどの国は防衛費を削減せず防衛力整備に努めていることが念頭にある。

 具体的には、南西諸島周辺からグアム島方面にかけての領域で、中国軍に対する「航空・海上優勢の確保」などを明記した。

 最終案は、内閣直轄の対外情報機関の創設▽安倍政権が推進し福田政権が見送った「国家安全保障会議」(日本版NSC)の創設▽「国境離島(防人の島)新法」制定と離島の領域警備体制充実も新たに加えた。

 原案にあった敵基地攻撃能力の保有には党内に慎重論もあるため、最終案は「(同能力の保有は)より強固な日米協力体制を確立する」との記述を加え理解を求めた。

 さらに、原案にあった敵基地攻撃能力としての海上発射型巡航ミサイル導入▽米国を狙う弾道ミサイルの迎撃などの集団的自衛権の行使容認▽他国との共同開発のための武器輸出三原則の見直しも盛り込んだ。

2009年5月29日 (金)

政府・与党、武器輸出三原則の緩和検討 共同開発・生産を容認

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090524AT3S2300Y23052009.html
政府・与党、武器輸出三原則の緩和検討 共同開発・生産を容認

 政府・与党は23日、武器や武器技術の輸出を禁止する武器輸出三原則の緩和を検討する方針を固めた。年末に改定する予定の防衛計画の大綱に、他国との武器の共同開発・生産の容認や、共同開発国への輸出の解禁を盛り込む。欧米諸国が進めている次世代戦闘機など主要装備の共同開発・生産への参加の道を開き、調達コストの抑制と、国内の防衛産業の活性化につなげる狙いだ。

 武器輸出三原則は1967年に佐藤栄作首相が表明した共産国や国際紛争の当事国などへの武器禁輸方針だった。76年に三木武夫首相が事実上の「全面輸出禁止」に転換。現在も米国とのミサイル防衛(MD)システムの共同開発などを除き、禁輸が続いている。 (14:57)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090526-00000592-san-pol

防衛計画大綱改定へ提言案要旨を大筋了承

5月26日19時2分配信 産経新聞
 自民党は26日の国防部会防衛政策検討小委員会で、年末の防衛計画大綱改定に向けた提言案の要旨を大筋で了承した。提言案は北朝鮮による弾道ミサイル発射を受け、海上発射型巡航ミサイルなど敵基地攻撃能力の保有を明記。核実験の監視・情報収集能力の強化も盛り込んだ。

 また、米国を狙った弾道ミサイルの迎撃など4類型について政府解釈を変更し、集団的自衛権の行使を認める方向性を示した。
小委員会では提言案の内容をさらに詰め、週明けにも最終案を決定する。

 このほか、提言案要旨には▽他国との装備品共同開発に向けた武器輸出3原則の見直し▽公海上で活動する自衛隊艦船・航空機の安全確保や領空・公海上空における航空警備の法制化-などが盛り込まれた。

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090527k0000m040082000c.html
防衛計画大綱:自民提言案に敵基地攻撃のミサイル導入

 政府が年末に改定する「防衛計画の大綱」に向けて、自民党国防部会の防衛政策検討小委員会は26日、提言案をまとめた。敵基地攻撃能力の保有や武器輸出三原則の見直しを明記。同日の小委で原案はおおむね了承された。同党は6月上旬にも提言を決定し、首相官邸に提出する。

 提言案では、弾道ミサイルの脅威に対し、「座して死を待たない防衛政策」として、ミサイル防衛(MD)に加え、策源地(敵基地)攻撃能力の必要性を盛り込み、具体的には巡航ミサイルの導入などを挙げた。敵基地攻撃は、ミサイル発射前の北朝鮮などの基地を攻撃するもので、政府は「ほかに手段がないと認める限り自衛の範囲」と解釈するが、専守防衛の観点から、装備を保有してこなかった。

 武器輸出三原則では、米国以外の企業との共同研究・開発を可能にするよう求めた。数カ国による戦闘機などの共同開発を念頭に置いたものだ。また日米安保条約改定50周年(2010年)に合わせた「新日米安保共同宣言」の策定も打ち出した。【野原大輔、仙石恭】

http://www.jiji.com/jc/zc?k=200905/2009052600902

敵基地攻撃力の保有要望=防衛大綱見直しで提言案-自民小委

 自民党は26日午後の国防部会・防衛政策検討小委員会で、政府が年末に策定する新たな防衛計画大綱に対する提言要旨案を決めた。北朝鮮による弾道ミサイル発射を受け、敵基地攻撃能力の保有や、発射時の熱源を探知する早期警戒衛星の研究・開発を要望。核実験の監視・情報収集能力の強化も盛り込んだ。今後、速やかに党内の意見集約を図り、政府に申し入れる考えだ。
 要旨案では、敵基地攻撃能力について「専守防衛の範囲で、座して死を待たない防衛政策として必要」と明記した。早期警戒衛星についても、「ミサイル防衛(MD)システムのさらなる整備・強化」を理由に積極的な対応を求めた。 
 また、政府の武器輸出3原則を見直し、米国以外の企業とも共同研究や開発、生産を可能とするよう提案。集団的自衛権の行使を禁じた政府の憲法解釈を変更する必要性も指摘した。
 さらに、(1)自衛隊出身の首相秘書官の配置や日本版国家安全保障会議(NSC)新設による首相官邸機能の強化(2)1996年の日米安保共同宣言に代わる新たな共同宣言策定-なども提唱した。
 ただ、政府は現時点で、敵基地攻撃能力の保有や早期警戒衛星の導入には慎重姿勢を示しており、大綱へ反映されるかは不透明だ。(2009/05/26-20:40)

2009年5月17日 (日)

産経・読売社説が鳩山民主党に期待するもの

民主党代表に鳩山悠紀夫氏が就いた。
早速、産経、読売紙は鳩山氏に注文を出した。産経の「主張」は露骨に、読売の社説はややひかえめに。産経は政策的な相違がないような自民党との二大政党制の確立を要求し、鳩山の著書を引いて、改憲問題に積極的に取り組むよう要求した。読売は日米同盟の強化のため努力するよう要求した。
今後もこの2紙は自らの紙面を使い、このキャンペーンを繰り広げるだろう。鳩山民主党がこの圧力に惑わされることなく、今回、鳩山が約束した「国民生活が大事」「公開制」「野党共闘の堅持」などの主張を堅持できるかどうかが問われている。与野党逆転の実現はこの先にある。
鳩山さん、手始めに、改憲議員同盟の顧問を辞めなさい。「ソフトクリーム」などと揶揄された中曽根康弘・元首相に媚びへつらっている時ではない。(高田)

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090517/stt0905170301003-n1.htm
【主張】鳩山新代表 政権担当能力を鍛えよ 「傀儡」批判をどうはね返す

民主党の新代表に鳩山由紀夫氏が選出された。西松建設の違法献金事件をめぐって辞任した小沢一郎前代表を支えてきた鳩山氏の責任問題は残っているものの、政権を担える政党に民主党を鍛え上げることを期待したい。

 二大政党が機能することは日本の政治に良い意味の緊張感を与える。
切磋琢磨(せっさたくま)することで国民の利益が確保されるからである。

 だが、鳩山民主党の前途は多難だ。まず、党への信頼回復をどうするか。鳩山氏は小沢氏を要職に起用する考えを示しているが、代表選前には「小沢氏とは一蓮托生(いちれんたくしょう)」と語っていた。小沢氏が西松建設からの巨額献金の使途などを説明しない限り、国民は不信感を持ち続けよう。

 鳩山氏は違法献金事件を受けて設けた「政治資金問題をめぐる政治・検察・報道のあり方に関する第三者委員会」で小沢氏に説明を求める考えは示しているが、この問題を総括しない限り、小沢氏の「傀儡(かいらい)」という見方は消えないだろう。

 人事について鳩山氏は敗れた岡田克也氏の起用を表明したが、「小沢体制」を継承するのかどうかが問われている。岡田氏も「党運営に何が必要か十分考えた方がいい」と鳩山氏に求めた。「変化」を有権者にどう示すか。鳩山氏が避けて通れない課題だ。

 ◆政策の曖昧さぬぐえず

 鳩山氏は当選後の会見で、参院に送付済みの補正予算案への対応について「引き延ばし戦術をあえて使う必要はない」と審議拒否を否定した。小沢代表体制の下での政局至上主義に距離を置こうというなら評価できる。ただ、鳩山氏は「国会対策委員会での戦略はこれから決めていく」「野党との協力関係をさらに強固にしていきたい」とも付け加えた。こうしたあいまいな政策判断では、指導力は発揮できない。

 国民が最も不安視しているのは民主党の政策だ。

 民主党は政権を獲得した場合、インド洋での海上自衛隊による補給活動やソマリア沖での海賊対処活動などをどう位置付けるのか。テロとの戦いに参加する国際協調行動であると同時に、主要な海上交通路を確保する日本自身の国益がかかる問題だ。政権担当者として直ちに判断を求められる。

 15日の日本記者クラブ主催の公開討論会で、鳩山氏は憲法改正問題について「首相になったときに即、手を付けられる状況ではない」と述べた。また、国連決議に基づく国際平和協力活動であっても、武力行使を伴う活動に自衛隊を参加させることには否定的な見解を示した。

 「自衛軍」保持を明記した「新憲法試案」を出版するなど、憲法改正論者だった鳩山氏が、「脱官僚政治」を進めるために「憲法論議を大上段に構えている余裕があるだろうか」といった説明をするのは理解しがたい。

 子ども手当、農業者戸別所得補償など民主党の政策を実現する上での財源論も、与党から根拠がないと批判を受けた内容から変わっていない。無駄を削減し、一般会計、特別会計合わせて200兆円の1割で20兆円を生み出す-というものだ。

 岡田氏も論戦で同じ財源を挙げながら、「具体的なメドがついた歳出削減額に応じて政策を実行に移す」とも述べた。財源が確定していないことを認めざるを得なかったためだろう。

 天下り廃止などの公務員改革や地方分権など、政府・与党と政策の方向性が同じで、より積極姿勢を示している分野についても、政策全体としての整合性、現実性をさらに精査すべきだ。

 ◆自民も敵失頼みやめよ

 一方、自民党は小沢氏が代表にとどまり、民主党支持率が低下する「敵失」を眺めていたにすぎない。民主党代表選に対し、「鳩山新代表の方が岡田氏よりも戦いやすい」といった声も出ていた。

 世襲候補の立候補制限を政権公約(マニフェスト)に盛り込むかどうかで、党内対立が生じているが、民主党が打ち出した企業団体献金の廃止案をまともに論じる姿勢は見られない。政治資金の透明化への取り組み姿勢も弱い。

 自民党は、小沢氏の違法献金問題が判明した以降も次期衆院選で民主党に投票したい有権者が多い現実を直視すべきだ。政治とカネだけでなく、政策面全般にわたり自民党への失望感が大きくなっている。これを是正しない限り、国民の政権交代への期待がしぼむことはない。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090516-OYT1T00983.htm

鳩山民主党 小沢路線踏襲は理解されるか(5月17日付・読売社説)

 民主党は、小沢路線の見直しでなく、踏襲を選択した。問題は、その選択が国民に理解・支持されるかどうかだ。

 民主党の新しい代表に鳩山由紀夫幹事長(62)が選出された。岡田克也副代表(55)は追い上げたが、及ばなかった。

 鳩山代表は3年半以上、幹事長を務め、党内各グループと良好な関係を築いた。安定感とバランス感覚が評価された。党所属国会議員の約半数を占める参院で支持を広げたことが勝因となった。

 岡田氏はクリーンな印象が評価され、世論調査や民主党の地方県連の予備調査で、鳩山代表より高い支持を得た。衆院議員には「総選挙の顔」との期待があった。

 代表選は、小沢一郎前代表との距離が大きな対立軸となった。

 鳩山代表は、「小沢氏のおかげで今日の民主党がある」と言明し、小沢路線を継承、発展させる方針を前面に掲げた。

 岡田氏は、2007年参院選で勝利した小沢氏の実績を評価しながらも、小沢路線とは距離を置き、批判もにじませた。

 良くも悪くも、民主党は小沢氏の強烈な個性と指導力に依存してきた。鳩山代表は新体制でも、小沢氏を要職に起用する意向で、小沢氏の影響力は維持される。

 鳩山代表は、「小沢の傀儡(かいらい)政権と呼ばれるつもりは一切ない」と言う。党運営や国会対策を通じて「鳩山色」を出すなど、行動で示すことが求められよう。

 鳩山代表が早急に取り組むべきは、衆院選に向けて、挙党一致体制を構築し、小沢氏の「政治とカネ」の問題で傷ついた党の立て直しを図ることだろう。ただ、それは簡単な作業ではない。

 政権公約の充実も課題だ。

 岡田氏が「財源なくして政策なし」と主張したのはもっともだ。将来の消費税率引き上げの議論さえ封印するのでは、責任政党とは言えない。子ども手当、農家の所得補償などの政策の財源を明確化する作業を避けてはなるまい。

 包括的な外交・安全保障政策も策定する必要がある。

 民主党は、日米同盟の重要性は認めながら、米国に注文する姿勢ばかりを強調している。日本が国際社会でどんな役割を担い、同盟強化に何をするかをこそ、明確に打ち出すべきだろう。

 週明けの国会では、補正予算案の参院審議が焦点となる。鳩山代表は、審議の引き延ばしはしない方針を示す一方で、党首討論の開催にも前向きの姿勢を示した。建設的な国会対応を期待したい。
(2009年5月17日01時24分  読売新聞)

2009年5月14日 (木)

右派の惨憺たる言論への同志社大教授・村田晃嗣の悲鳴

資金に任せて、質の悪さを気にしないで発行している右派の雑誌はいろいろあるが、この度、文弘や安倍晋三、田母神俊雄、石原慎太郎、桜井よしこ、西部遇、秦郁彦、渡部昇一、西尾幹二、八木秀次、長谷川三千子、西岡力、らが常連で登場するが、相互 のバトルも起きている。まさに村田が嘆くような状況だ。これらの「保守」が真の意味での現実主義と合流することなど、不可能なことだ。それでは危機アジリ 専門の「保守」の価値が亡くなってしまうからだ。(高田)芸春秋社の『諸君!』は休刊する。最終号は「日本への遺書」特集だ。
花田紀凱編集長の『WILL』は極度に低級で、産経の『正論』なども質が悪い。これらの雑誌には中曽根康弘や安倍晋三、田母神俊雄、石原慎太郎、桜井よしこ、西部遇、秦郁彦、渡部昇一、西尾幹二、八木秀次、長谷川三千子、西岡力、らが常連で登場するが、相互のバトルも起きている。これらは北朝鮮や中国を罵倒し、政府・与党内の弱腰を口を極めて非難する。そして「日本が危ない」とアジリまくる。それで原稿が一丁上がりなのである。
最近は田母神は「北朝鮮には核で対抗せよ!」という文章を書き、西尾は「日本の分水嶺~危機に立つ保守」という文章、安倍は「世界は日本の『覚悟』を待っている」などという酷い文章をかいている。
まさに村田が嘆くような状況だ。これらの「保守」が真の意味での現実主義と合流することなど、不可能なことだ。それでは危機アジリ専門の「保守」の価値が亡くなってしまうからだ。(高田)

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090514/plc0905140324002-n1.htm
【正論】同志社大学教授・村田晃嗣 保守は現実主義を取り入れよ
≪2人の政治学者の死に≫

 昨年末に国際政治学者の永井陽之助氏が亡くなり、今年2月には同じく神谷不二氏も亡くなった。お二人とも、いわゆる「現実主義」の論客として学界と論壇をリードしてこられた方である。ご冥福をお祈りしたい。

 「現実主義」とは何か。代表的論客だった高坂正堯氏の説に耳を傾けよう。それは「…社会・歴史・政治について、それに内在する不可知なものを承認し、簡単な図式でもって置き換えないこと、そして、目的と手段との間の相互関連性を認め、この両者の間の生き生きとした会話を重視することを説くものなのである」。

 インターネットを含む最近の言論界では、「保守」や「保守主義」が標榜(ひょうぼう)されることは多いが、「現実主義」の説かれることは少ないように思う。「保守」は伝統と結びつくこともあろうし、「タカ派」的イメージと重なる部分もある。しかし本来、「現実主義」や懐疑主義とも連動するはずである。これらと接点をもたない「保守」は、狭量で硬直したものになりがちである。

 例えば、「あの人は真の保守ではない」といった非難は、保守すべき目標以上に「保守」的な姿勢を自己目的にしてはいまいか。また、複雑な社会・歴史・政治を「保守」と「リベラル」という「簡単な図式」で判別することを、「現実主義」は避けようとしてきた。さらに、ある特定の立場を「真の保守」と断定するような姿勢には、不可知なものへの謙虚さや自らを懐疑する知恵が欠けている。

 ≪抵抗ポーズにも厳しさを≫

 おそらく、自ら「保守」を標榜する人々の一部は、依然として日本社会が「リベラル」に汚染されていると嘆じ、自称「リベラル」(しばしば狭量で不寛容であるが)は社会の「保守化」を憂えている。いずれもが「過慮」(中江兆民)であろう。「過慮」は言論を過激にし、不寛容を助長する。

 中国や北朝鮮ならいざ知らず、言論の自由の保証された日本社会では、「保守」にせよ「リベラル」にせよ、過激な言論を展開することに、実はそれほどの勇気はいらない。むしろ、中庸な意見のほうが、折衷主義や妥協的、現状追従といった非難を浴びやすいかもしれない。「政治権力への抵抗のポーズそれ自身が何かに対するひとつのサービスなのだ、という現代の逆説に厳しい自覚を欠いた言論は、いつかまた、世論や民衆のムードの変化に応じて、たちどころに総転換が始まるだろう」と、永井氏は指摘している。「何か」に激烈に抗議・抵抗するポーズが、実は別の「何か」への迎合や追従でありはしないか。

 去る4月5日の北朝鮮によるミサイル発射実験を受けて、日本の安全保障体制に多角的な見直しは必要である。しかし、ここから安直に核武装論を導き出すべきではない。念のために言うが、筆者は核武装を議論することを否定しているのではない。目的と手段との「生き生きとした会話」の必要性を喚起しているのである。

 北朝鮮の脅威に対応する上で、核武装が最も妥当な選択か、核武装に伴うリスクやコストは何か、さらには、どのような方法でどのような種類の核武装を行うのか-こうした論点を十分に検証しなければならない。核武装は「劇薬」であり、場合によっては日本国の存亡にかかわる。愛国心をもった人間なら、思いつきだけで議論はできないはずである

 ≪優先順位の感覚と寛容を≫

 核をもつ意思表示で抑止効果が生じると説く人もいる。しかし、意思だけで方法論を欠けば、議論に信憑(しんぴょう)性がなく、抑止効果は生じない。まして、日米ニュークリアシェアリング(核の共有)論なら、アメリカの意思も問題になる。在日米軍の大幅削減論や真珠湾コミンテルン陰謀説とセットでそれを論じても、効果は乏しかろう。逆に、意思表示だけで、日本に対するネガティブ・キャンペーンの材料にはなるかもしれない。

 多くの場合、過激な言論を説くことは容易だし、不安や不満の蔓延(まんえん)する現下の社会では、過激な言論に一時的に身を委ねることで、ある種の清涼感が得られるかもしれない。しかし、目的と手段との間に「生き生きとした会話」を欠く核武装論では、一時的な清涼感以上のものは期待できない。

 もとより、将来により精緻(せいち)な核武装論が展開されるかもしれない。だが、政治や戦略にとっては優先順位が重要である。安倍元首相が着手した集団的自衛権の行使に関する見直し作業は、未完のままである。その安倍氏も最近の訪米で、バイデン副大統領に包括的核実験禁止条約への調印を促している。つまり、核軍縮の潮流を重視しているのである。日本の国連安保理常任理事国入りも果たせていない。地球環境やエネルギー、海洋政策でも国際協力を進めていかなければならない。

 日本の外交課題が山積する中で、「保守」が「現実主義」と再び合流し、優先順位の感覚と寛容の精神を再発見することに、心から期待したい。(むらた こうじ)

2009年5月11日 (月)

【民主党解剖】第3部ぶれる輪郭(4) 憲法論議封じる共闘路線

下欄に(註)を付記した。(高田)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090510/stt0905102322006-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090510/stt0905102322006-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090510/stt0905102322006-n3.htm
【民主党解剖】第3部ぶれる輪郭(4) 憲法論議封じる共闘路線

違法状態を放置

 「わが党はあまりにも野党共闘に気を使いすぎて、憲法審査会規程の制定に後ろ向きの印象を与えている。改めておわび申しあげたい」

 5月1日に東京・永田町で開かれた超党派の「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根康弘元首相)の大会で、民主党を代表してあいさつした副幹事長の長島昭久は聴衆に頭を下げた。

 2年前の平成19年5月14日に成立した国民投票法に基づき、衆参両院に常設機関として憲法審査会が設置されたが、委員数や議事手続きを定める審査会規程はいまだになく、実質的なスタートに至っていない。

 民主党は同法が衆院で「強行採決」されたことに反発し、他の野党と一緒に規程の制定に抵抗し続けてきた。それが冒頭の長島の謝罪につながっている。

 「確かに違法状態になっていることは認めざるを得ない。本来はやるべきだ」

 参院議院運営委員長の西岡武夫がこう語るように、憲法審査会の現状を問題視する声は党内にも存在する。それでも民主党が違法状態の解消に消極的なのは、政権交代後に社民党と連立を組むことを想定しているからだ。護憲派の社民党は「憲法審査会を動かす必要はない。今、憲法を改正しなければならない状況だとは思わない」(党首の福島瑞穂)と主張する。

 民主党代表の小沢一郎自身、「憲法を何が何でも改正しなければ、という緊急性があるのか」(昨年4月28日の記者会見)と述べており、党内に憲法論議を進めようという機運はない。

寄り合い所帯

 憲法をめぐり、野党共闘以上の難題は党内調整だ。

 民主党では、かつて幹事長の鳩山由紀夫が「自衛軍」の保持を明記した「憲法改正試案」を出版し、旧民社系グループが軍隊の保持を明記した「新憲法草案」をまとめたことがある。長島のように「憲法改正の実現は党是だ」と主張する議員もいる。

 一方、今年1月、自治労や日教組と関係が深い「フォーラム平和・人権・環境」が香川県で開いた護憲大会には、民主党から衆院議員の近藤昭一ら3人が来賓として参加した。また、45人の党所属議員が「日本国憲法と9条の精神を守るべく、みなさまとともに頑張る」(衆院議員、仲野博子)などと祝電を寄せた(註)。

 改憲論者から、ガチガチの護憲派、旧社会党左派までが同居する寄り合い所帯だけに、ひとたび憲法論議が始まれば、党内に深刻な亀裂が入るのは確実だ。

 「今はあらゆることに政権交代が優先する。国民には『武士の情け』で、自民党政権の巨悪を引きはがすまで待っていただきたい」

 自主憲法制定が持論の若手議員は、苦しい胸のうちを語る。ただ、民主党政権誕生後も、憲法改正が政治日程に上る見通しはない。

 

平成17年に党憲法調査会長として「憲法提言」をまとめた元政調会長の枝野幸男は今、「政権交代をしたら、まず自民党と違うことをやらなければならない。自民党とも合意し、憲法改正を(衆参の)3分の2以上でやるには時間がかかる」と、憲法改正の優先順位は低いと指摘する。

 そして、実際の憲法改正への着手時期については「あと10年ぐらいかかるのではないか」と、遠い目をしてつぶやいた。

議論の場もなく

 「今後も国民の皆さんとの自由闊達(かつたつ)な憲法論議を行い、国民の多くの皆さんが改正を求め、国会内の広範かつ円満な合意形成ができる事項があるかどうか、慎重かつ積極的に検討していきます」

 62回目の憲法記念日の5月3日に、民主党が政策調査会長の直嶋正行の名で出した談話だ。にわかには意味を判読できない回りくどい表現、「慎重かつ積極的」という矛盾した文言。党内からも「見事な悪文」(中堅議員)と呼ばれ、憲法論議に腰の引けた姿勢を浮き彫りにしている。

 現在、与党側の憲法論議も、決して活発だとはいえない。しかし、民主党は国民投票法の成立後、党憲法調査会を一度も開いていない。一昨年7月の参院選以降は、憲法調査会長ポストも空席となったままだ。

 「メンバーも選任されておらず、会長が空席というだけでなく、会自体が存在していないとも解釈できる」(党職員)といわれ、「自由闊達」な議論を行おうにも、そのための場がないのだ。

 民主党の「政策インデックス2008」。現時点での党の最新政策集となるものだが、「憲法」の項目は最終頁に小さく触れられているだけだ。その前頁には「ヒトとクマとの共生プラン」。山から人里に下りてきて作物や生ゴミを荒らすクマ対策が書かれている。

 「これじゃあ、民主党にとって憲法はクマ以下だって思われちゃうよね」。ある議員秘書は自嘲(じちよう)気味につぶやいた。       (敬称略)

(註)連帯のメッセージ・電報などを寄せた民主党の国会議員

    衆議院副議長     横路孝弘

    衆議院議員

    小川淳也     加藤公一     金田誠一    川内博史     小平忠正   近藤昭一

    佐々木隆博     篠原  孝     神風英男    仙谷由人     高井美穂   仲野博子    
    鉢路吉雄     平岡秀夫       細川律夫    松本 龍     三日月大造   柚木道義    
  横光克彦


    参議院議長     江田五月

    参議院議員

    相原久美子     植松恵美子     大河原雅子    大塚耕平     小川敏夫   神本美恵子    

    輿石 東     今野 東     佐藤泰介     高嶋良充     高橋千秋  武内則男    
   
  千葉景子       辻泰弘     富岡由紀夫     那谷屋正義     林久美子  前川きよしげ    
        牧山ひろえ     松岡とおる     松野信夫     円より子   水岡俊一     水戸将史    
       峰崎直樹   山根隆治

 

2009年5月 6日 (水)

社説:早期警戒衛星 拙速の導入論は避けよ

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090506k0000m070111000c.html
社説:早期警戒衛星 拙速の導入論は避けよ

 政府の宇宙開発戦略本部が、初の「宇宙基本計画」案をまとめた。国民の意見を募る「パブリックコメント」を経て今月下旬に決定する。計画案には、ミサイル発射をいち早く探知できる早期警戒衛星の導入に向けたセンサー研究が盛り込まれている。しかし、同衛星の開発・保有には巨額の費用がかかることや、衛星の必要性そのものをめぐって政府・与党内にも議論がある。ただちに導入の方向を打ち出すのは疑問だ。

 早期警戒衛星は、米国のDSP(国防支援計画)衛星やロシアのコスモス衛星の一部がこれにあたり、弾道ミサイル発射などの熱源を赤外線センサーで探知する。ミサイル防衛(MD)には欠かせないとされる。

 昨年、宇宙空間の軍事(防衛)利用に道を開く宇宙基本法が成立し、政府は早期警戒衛星導入を視野に入れてきた。4月の北朝鮮のミサイル発射では日本は米国衛星の情報を入手したが、政府・与党内に独自保有の意見が一気に盛り上がった。

 北朝鮮のミサイルは日本の脅威であり、これを理由にした衛星保有の主張はわかりやすい。

 しかし、事はそう単純ではない。まず費用対効果の問題である。DSP衛星は大陸間弾道ミサイルなど長射程のミサイルには有効だが、日本にとって脅威である北朝鮮の「ノドン」など中距離弾道ミサイルに対しては監視能力が落ちると言われる。これを改善するため米国が開発中の新衛星は低高度軌道であるため、日本周辺だけを監視対象としても数基の衛星が必要となる。日本が開発・保有し、しかも独自の解析能力を持つには数兆円がかかるとされる。

 政府・与党内に費用面で懸念の声が上がっているのは当然だ。北朝鮮などの脅威には、日米同盟の役割分担と両国の連携の中で対応する姿勢を放棄してはならないだろう。

 また、オバマ米政権のMD政策も見極める必要がある。ゲーツ国防長官は10会計年度でMD予算の削減を表明した。日本が配備する既存システムについては増額され、当面日本のMD政策には影響ないとみられるが、国防政策全体の中でMDの比重は低下する。ブッシュ前政権と違ってMDの共同開発を日米安保の柱と位置付けているわけでもない。今後のオバマ政権の方向しだいで、日本の安全保障政策に影響する可能性があることも念頭に置かなければならない。

 さらに、外交面では、早期警戒衛星導入によるMDシステム強化が引き起こす隣国の中国、ロシアの反応についての分析も必要だ。

 早期警戒衛星の導入は、今年末に決める防衛計画大綱、中期防衛力整備計画の改定作業の論点の一つとなる。慎重な対応が求められる。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-05-06/2009050602_01_1.html
主張
宇宙基本計画案
軍事態勢を強めることになる

 政府の宇宙開発戦略本部(本部長・麻生太郎首相)の専門調査会が、宇宙の軍事利用に向けた宇宙基本計画案を了承しました。五月中旬までに国民の意見を求め、同月下旬に正式決定します。

 計画案には、二足歩行ロボットによる月探査など夢につながる目標もあります。しかし、日本の宇宙政策の「安全保障分野の活用」や「宇宙外交」を強調していることからもわかるように、宇宙の軍事利用を高めることが中心であるのは明らかです。


海外軍事動向の監視

 計画案はアメリカ、ロシアなどの宇宙大国と比較し、日本の軍事利用が「限られている」といって危機感をあおっています。戦争を禁止した憲法をもち、宇宙開発を「平和利用に限る」と明記した国会決議をもつ日本を、宇宙まで侵略戦争のために利用している国と比べること自体、そもそも間違いです。日本を宇宙軍事利用の国にするのは、憲法の精神にも国民の意思にも反します。

 計画案は、「関心地域」や「日本周辺海空域」での「警戒監視機能を強化」するといっています。アフガニスタンなどアメリカが戦争を行い、自衛隊が参加している地域も含まれます。原案から削除されたとはいえ、北朝鮮のミサイル開発を想定しているのも否めません。五年以内に情報収集衛星を現在の三機から四機体制にして、「地球上の特定地点を一日一回以上」監視するのは、まさに海外での戦争に備えるためです。

 「自衛隊の本来任務となった国際平和協力活動等における通信手段等を確保」するとものべています。これも海外の戦場で必要な通信を確保し、指揮・命令を保障することが狙いです。

 日本は地上監視のための情報収集衛星をもっていますが、弾道ミサイル対処の早期警戒衛星はもっていません。計画案は、早期警戒衛星の保有を視野にセンサー(探知装置)の研究にふみだすとしています。アメリカ本土を標的にするミサイルを、自衛隊が撃ち落としアメリカを防衛することにもつながるだけに大問題です。

 見過ごせないのは、計画案が日本の宇宙産業いいなりの産物だということです。日本経団連が二月に発表した「戦略的宇宙基本計画の策定と実効ある推進体制の整備を求める」要求は、宇宙関連産業の全体規模は六兆円をこえるとそろばんをはじいたうえ、「官民連携」を求めています。財界の利益のために税制上・金融上の支援を明記した計画案は異常です。

 文科省が所管する宇宙航空研究開発機構(JAXA)の内閣府移管も狙っています。「基盤的研究」や「平和目的に限り」が原則のJAXAでは、軍事利用を押し付けにくいからです。軍事秘密を口実に宇宙開発の「自主・民主・公開」の原則も危うくなります。
国民犠牲を許さない

 軍事衛星の開発・保有一つとっても、それには巨額が必要です。防衛省が宇宙の軍事利用の第一号とした情報収集衛星の開発・運用だけでも総額が六千億円もかかっています。早期警戒衛星は一機でも五千億円以上といいます。こうした天井知らずの経費負担の犠牲にされるのは国民生活予算です。

 宇宙の平和のためにも国民の暮らしを守るためにも、宇宙の軍事利用を許さないことが重要です。

2009年5月 4日 (月)

産経報道:憲法記念日、各地で集会「9条改正を」「憲法審査会の始動を」

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090503/plc0905031932009-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090503/plc0905031932009-n2.htm
憲法記念日、各地で集会「9条改正を」「憲法審査会の始動を」
憲法記念日の3日、全国で改憲、護憲両派が集会を開いた。憲法改正を目指す「新しい憲法をつくる国民会議」(自主憲法制定国民会議)と、「『21世紀の日本と憲法』有識者懇談会」(民間憲法臨調)は、都内で集会を開き、憲法9条2項の改正や衆参両院の憲法審査会の早期始動などを求める提言・決議を採択した。憲法改正を目指す日本青年会議所(JC)も全国一斉に「憲法タウンミーティング」を開いた。

 国民会議は「各党は政争の具にせず、早急に憲法審査会を開始するよう要請する」との決議を行った。来賓の自民党の小池百合子元防衛相は「憲法への取り組みを明らかにできなければ、民主党は政権交代を唱える資格はない」と、民主党が憲法審査会規程制定に応じないことを批判した。
民間憲法臨調は緊急提言で、憲法審査会について、「憲法改正に向けて実質的な作業を開始する」よう国会に要求。中国や北朝鮮への危機感を表明し、「集団的自衛権行使を否定した政府解釈を変更し、憲法9条2項を改正しなければならない」とした。世話人の櫻井よしこ氏は基調提言で「安全独立を担保する自前の力が今の日本にはない。こんな国は異常だ。正常にするには、憲法を改正するしかない」と訴えた。

 一方、都内で開かれた護憲派の集会では、ノーベル物理学賞の益川(ますかわ)敏英(としひで)京都産業大教授が講演。「憲法9条改悪のきな臭いにおいがする」と強調。「憲法解釈でソマリア沖に自衛艦派遣までやった。(改憲派は)交戦権までほしがっている」と述べた。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090503/plc0905031933010-n1.htm
民間憲法臨調がブックレット発行 憲法9条改正目指し
2009.5.3 19:33

 民間憲法臨調(運営委員長・西修駒沢大教授)は憲法記念日に合わせ、自衛のための軍隊まで禁ずる憲法9条2項の改正を目指す立場から「憲法9条Q&A 改憲論への疑問に答える20の論点」(明成社、550円)を発行した。

 平和主義は日本国憲法の“専売特許”ではなく世界の8割以上の憲法が規定していることや、共産党が現憲法制定時は「民族の独立を危うくする」と9条を厳しく批判していたことを紹介している。

2009年5月 2日 (土)

【憲法記念日特集】改憲議員同盟が決議「憲法審査会の早期始動を

明文改憲を口にできなかった麻生首相の施政方針演説などにたいする危機感をもった改憲派の動きが活性化している。衆院議運での憲法審査会規程制定への動きや、総務省のリーフレットといい、青年会議所の全国でのタウンミーティングの取り組みもこうしたものだ。これをぜひとも多くの人びとに伝えて、私たちの運動をつよめなくてはならない。まずは、明日の5・3憲法集会を大きく成功させることだ。本日の朝日新聞の世論調査の9条支持の多さも心強いデータだ。(高田)
【憲法記念日特集】議員同盟が決議「憲法審査会の早期始動をhttp://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090501/plc0905012020013-n1.htm

超党派の国会議員らでつくる「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根康弘元首相)は1日、東京・永田町の憲政記念館で「新しい憲法を制定する推進大会」を開いた。大会には自民党の細田博之幹事長ら各党や経済界の代表ら約1000人が参加し、「一日も早く国会における憲法審査会の活動が始められ、新しい憲法制定に向けて国会での議論が開始されることを強く願う」と、憲法審査会の早期始動を求める大会決議を採択した。

 中曽根氏は「憲法改正は国家百年の大計だ。初めて日本の国民が、民主的に自分たちで憲法を制定する歴史的大事業に皆さん参画してほしい。日本の歴史に耐え得るような立派な憲法を一緒に作り上げたい」とあいさつした。

 河村建夫官房長官は、現憲法が一度も改正されていないことについて「第2次世界大戦で日本と同様に敗戦したドイツは戦後、社会・経済情勢の変化に対応して(憲法にあたる基本法を)40回以上改正したのに比べ、いかにも不自然な感を免れ得ない」と述べた。

 細田氏は憲法審査会規定の早期の制定の必要性を強調した。民主党の長島昭久副幹事長は「民主党は憲法改正の実現が党是だが、あまりにも野党共闘に気を使い過ぎて、審査会規程の制定に後ろ向きの印象を与えていることを皆さんにおわびしたい。一日も早く党のこういう状態を乗り越えていかなければならない」と述べた。  (原川貴郎)

【憲法記念日特集】「小沢君は変貌した」 中曽根元首相インタビュー

大げさなインタビューだが、中身は薄い。たいしたことは言っていない。
目立つのは中曽根の持論の政界再編、挙国一致体制づくりの主張だ。中曽根はそれでも不満なのだが、自民党憲法草案という古めかしい前時代的なもので、挙国一致ができるわけはない。彼の頭も固くなったものだ。
中曽根が持論の集団的自衛権の解釈変更も、彼は首相の時はやらなかった、やれなかった、今騒いでも説得力に欠けるではないか。
小選挙区制の弊害は民意を正しく反映できないところにある。私も反対だ。(高田)

【憲法記念日特集】「小沢君は変貌した」 中曽根元首相インタビューhttp://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090501/plc0905012048017-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090501/plc0905012048017-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090501/plc0905012048017-n3.htm

サブプライムの問題で米国やヨーロッパ諸国は傷つき、世界情勢は混沌としている。日本がある程度、世界的にも指導力を発揮する時期に入っている。それには国家の態勢を整え、強力安定政権を登場させ、世界政策、世界戦略を実行していかなければならない。この観点から、憲法問題をとらえる必要がある。

 ところが、ソマリア沖の海賊退治のような名分のある協力事業に海上自衛隊を派遣することに対しても、国内には憲法違反だとして反対する勢力がまだかなりある。国家態勢を整える基本点に憲法改正があるのは明らかだ。

 

国民投票法に伴う国会法の改正で法的には設置された憲法審査会が、国会自身が「審査会規程」を作らないことで、委員の構成すらできず放置されている。現代の国会議員たちは、後世の歴史法廷で裁かれるだろう。まさに被告席にいるといえる。

 与党が最近、野党に呼びかけているが、万難を排して早期に「規程」を整備しなければならない。今年は衆院解散・総選挙があるが、総選挙後直ちに審査会の活動を開始できるようにしないといけない。

 次期衆院選は、憲法という国家の重大な基本問題について、各党がマニフェストや論戦で態度を明示して審判を仰ぎ、「国民意志」を確認する貴重な機会といえる。自民党の主張は平成17年の新憲法草案ではっきりしている。野党も考えを明らかにしてほしい。

 自民党の草案にしても、よりよきものにしていく努力は必要だ。自民党案は日本の歴史、文化、伝統を謳(うた)っていない前文への批判が党内でもかなり強い。「自衛軍」をどう位置づけるか、憲法裁判所を置くかどうか、地方制度の条文は今のような簡単なものでいいのかなど、真摯に再検討するのが国会議員の責務だ。

 もちろん憲法問題は超党派で進めることを心掛けるべきで、衆院選でも他党を誹謗してはいけない。しかし、自己の主張は堂々と述べ、他党に協力を求めていくべきだ。

選挙後の国会は行動しなければならない。憲法審査会が動き始めれば、各党の間に政治行動の軸ができてくるだろう。

 衆院選の結果がどうなるにせよ、憲法問題について大連立を考え、挙国的な協力体制をつくるのが望ましい。そうなる可能性はあると思う。憲法あるいは不況への対策、財政再建、社会保障、教育といった重大問題で挙国的協力体制を築いたらどうか。衆院選のマニフェスト(政権公約)に「挙国的勢力の結集」を盛り込んだらいい。

 憲法問題は、時の首相の考え方、打ち出し方によって国民世論が非常に変わってくるものだ。従って、国家権力の最高位に座る首相の考え方は非常に重要だ。

 民主党の小沢君(一郎代表)は変貌した。昔は憲法改正を唱えていたが、民主党の代表になって発言を控えている。あの党には旧社会党左派系もいる。小沢君が党内で権力を握るには妥協しなければならないのだろう。

 けれども、民主党が政権与党になった場合に憲法改正の動きが遅れるかといえば、憲法改正の使命感を持つ民主党議員たちがいるのだから、彼らがいつまでも黙ってみておれるものか、と私は思う。衆院選後は憲法をめぐって政界再編が起きないともかぎらない。

 衆院選で絶対的な過半数をとる党は出てこないだろう。自民、民主両党のいずれが第1党になっても、相対的な第1党、第2党になる。国家的基本問題の推進をめぐって挙国的勢力の結集は考えられる。



 麻生太郎首相が集団的自衛権の問題を検討しているそうだが、私はかねがね、今の憲法の解釈を変更して、集団的自衛権の行使はできると主張している。国民世論や学説も最近はかなり前進している。

 内閣法制局の憲法解釈は、占領期にGHQ(連合国軍総司令部)の指導の下にできたものがそのまま続いている。それを放置しているのはよくない。この種の問題は首相の決断が物事を動かしていく。

世襲議員の立候補を制限する議論があるが、二世、三世の問題は、憲法22条の「職業選択の自由」にかかわってくる。世襲をめぐる議論は、(定数1の)小選挙区制の弊害がかなり強くなって出ていると思う。

 むしろ、選挙制度を中選挙区制に戻す方が手っ取り早い解決案ではないか。そうすれば、非世襲の立候補のチャンスが広がる。世襲議員の数は今よりかなり減るだろう。

 憲法問題について自民党をみると、改正に積極的な議員は30歳代、40歳代の若手に多い。占領政策の影響をかなり受けた世代である60歳代、70歳代の年寄り組が割合消極的だ。

 次の時代の日本を考えれば、党は若返った方がいい。若手が力を得て自らの所信を推進する形が望ましい。ただ若手はもっと迫力を付けなければならない。

 2、3カ月前までは、民主党が圧倒的に強く、衆院選で第1党になると思っていた。しかし、小沢君の公設秘書の政治資金問題が起きて国民の支持はかなり下がった。最近は互角の勝負で、どっちが勝つか分からない状況だろう。

 小沢君がここで「果断な行為」に出れば、選挙には有利に働くだろう。また、これから麻生君がどういう時期に、どんな目標、課題をもって解散を打つかということによっても結果がだいぶ変わってくる。非常に大事な時期になってきた。

 三木武夫内閣の幹事長をした経験からも、任期満了やそれに近い選挙はよくないと思う。最近、麻生内閣や自民党の人気が30%台を回復したのは、小沢問題で民主党の支持が減ったからだ。この効果がいつまで続くか。なるべく早めに解散した方がいい。案外、麻生首相も腹の中でそう考えているかもしれない。

(聞き手 榊原智)

2009年5月 1日 (金)

憲法論議、入り口で停滞=国民投票法施行まで1年

時事通信の報道である。(高田)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol
憲法論議、入り口で停滞=国民投票法施行まで1年

 憲法改正手続きを定める国民投票法は、来年5月18日の施行まであと約1年となった。施行後は、国会による改憲案の発議と国民投票の実施が可能になる。しかし、改憲論議の場となる衆参両院の憲法審査会は、運営方法などを定める規程が未整備のため一度も開かれていない。ねじれ国会の下での激しい与野党対立が響き、憲法論議は入り口で停滞している。
 「憲法審査会が発足していないという不正常な状態が2年続いている。早急に法律に基づく組織をつくるべきだ」。自民党の細田博之幹事長は1日の記者会見でこう語り、審査会規程の早期制定に応じようとしない民主党を批判した。
 自民、公明両党は先月23日、衆院憲法審査会の規程制定を求める動議を共同で提出。「何国会かずっと(規程制定を)放置してきたが、ぜひとも決着を付けてもらいたい」(大島理森自民党国対委員長)として、当初は3日の憲法記念日までの採決を目指した。
 しかし、民主党が「憲法を政争の具にしたいのか」と反対する姿勢を崩さなかったため、与党は週内の採決を断念、連休明け以降に先送りした。強行採決に踏み切らなかったのは、改憲案の発議には衆参両院で総議員の3分の2の賛成が必要で、参院の主導権を握る民主党の協力が欠かせないという事情を考慮したためのようだ。
 民主党は「規程に反対だとは一言も言っていない」として、与野党の円満な合意を前提に審査会の発足を認める方針を示している。にもかかわらず分かりにくい対応を取るのは、党内に改憲、護憲両派を抱える状況で審査会での改憲論議が先行すれば、次期衆院選を前に深刻な党内対立を引き起こしかねないと懸念しているからだ。
 国民投票法が成立した当時の安倍晋三首相は、憲法改正を参院選の争点に掲げる意向を示したものの、年金問題などへの対応に強い批判が集まり、結果的に自民党は惨敗した。世論の盛り上がりも欠く中で、与野党からは「衆院選を経てからでないと、憲法問題は腰を落ち着けて議論できない」との声が漏れている。(2009/05/01-20:18)

産経紙 【憲法記念日特集】MDは、海賊対策は…国民投票法施行まであと1年

この産経の記者たちは憲法を何と心得ているのか。憲法は守っても守らなくてもいいものではないのだ。守るのは政府の義務なのだ。産経がいう諸外国には第9条がないのだ。第9条を持つ国と、持たない国は違って当然なのだ。集団的自衛権を行使したかったら、憲法第9条を変える以外にない。憲法をないがしろにするな。(高田)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090501/plc0905011925011-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090501/plc0905011925011-n2.htm
【憲法記念日特集】MDは、海賊対策は…国民投票法施行まであと1年
日本国憲法は3日、施行62年を迎える。平成19年に制定された国民投票法の施行(22年5月22日)まであと1年余りとなったが、衆参両院の常設機関であるはずの「憲法審査会」は、野党の反対で約1年9カ月にわたって始動できないありさまだ。憲法論議が停滞する間にも内外情勢は激しい動きを見せるが、憲法第9条の規定や解釈が今も日本の安全保障の取り組みへのブレーキとなっている。

日米同盟とMD

 憲法と現実の溝が埋まっていないのを改めて浮き彫りにしたのが、4月の北朝鮮による長距離弾道ミサイルの発射だ。

 政府は憲法解釈で、集団的自衛権について、「保有は国際法上、当然」としつつも、「行使は憲法上許されない」とする。集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国への武力攻撃を、自国が直接攻撃を受けていなくても、実力をもって阻止する権利だ

 この解釈では、北朝鮮が米国に向けて発射した弾道ミサイルを、日本がミサイル防衛(MD)システムで撃墜すれば、集団的自衛権の行使となり、「憲法上の問題が生じ得る」(内閣法制局答弁)ことになる。15年12月のMD導入決定時の官房長官談話は「第3国の防衛に用いられることはない」と表明済みだ。

 だが、日本のMDは、迎撃ミサイルの購入からイージス艦の改修、発射を探知する早期警戒衛星の情報まで米国に依存している。

 弾道ミサイルは、弾頭に核など大量破壊兵器を搭載していてもおかしくない。日本が憲法を盾にこれを見逃し、米国に被害が生じた場合、米国民は日本と日本国民をどう見るだろうか。「その瞬間に日米の同盟関係は終わりを迎える」(4月25日の安倍晋三元首相の講演)のは明らかだ。

危機感をもつ安倍氏が首相当時に設置した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使)は20年6月、米国に向けて発射された弾道ミサイルの迎撃や国際的な平和活動での武器使用など4類型について、集団的自衛権の行使を容認するよう提言した。

 だが、報告書を受け取った当時の福田康夫首相は動かなかった。麻生太郎首相はこの問題に関心を示すが、政府・与党には「衆院選前にとんでもない」(自民党幹部)との慎重論もあり、先行きは不透明だ。

海賊対策

 現憲法による武器使用の制約も、自衛隊の国際平和活動を阻害し、現場の部隊に負担を強いている。

 アフリカ・ソマリア沖の海賊対策における海上自衛隊の武器使用は、正当防衛や緊急避難などの場合を除き相手に危害を加えることを禁ずる警察官職務執行法7条に基づいている。各国の海軍と異なり、憲法第9条が「海外での武力の行使」を禁じているからだ。

 警護対象を外国船に拡大する「海賊対処法案」が衆院を通過したが、同法案は「停船射撃」を新たに規定し、民間船舶に接近する海賊船への船体射撃を認めた。

 ただ、政府はこれについても「警察権の行使で9条が禁ずる武力の行使には当たらない」とする。海自の任務は「海賊船を追い払うこと」(防衛省)が精いっぱいで、米海軍が最近行った人質奪還は「想定外」(同)だ。海外での自衛隊は今でも「警察予備隊」のようなものだ。

 逃走防止のための武器使用もできず、欧州連合(EU)諸国が行っている特定海域のパトロールにも参加が難しい。ソマリア沖への海自派遣を提唱した民主党の長島昭久衆院議員は「国際協調の観点から問題がある」と指摘している。

(田中靖人、榊原智)

【正論】日本大学教授・百地章 首相の「次の課題」は憲法改正

右派の論客である百地氏は「集団的自衛権の政府解釈を変えなければ、米国は日本を守ってくれない」から、麻生政権は早急にこの問題に着手すべきだという。最近の改憲派の脅しは、北朝鮮脅威論と中国との尖閣列島(釣魚諸島)問題などで危機感を煽り、集団的自衛権の行使の容認を要求するものとなっている。この道は東アジアの緊張を高め、日本が海外で本格的な武力行使を行う道、9条を掘り崩す道だ。百地氏らの挑発を許すな!(高田)

【正論】日本大学教授・百地章 首相の「次の課題」は憲法改正http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090501/plc0905010328002-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090501/plc0905010328002-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090501/plc0905010328002-n3.htm
≪総選挙前のチャンスに≫

 昨年9月の発足以来、マスメディアによって一方的なバッシングを受け続けてきた麻生太郎内閣の支持率がようやく底をうち、上昇し始めた。麻生首相は100年に1度といわれる世界的な金融経済危機に臨んで、総額約75兆円におよぶ緊急経済対策を実施し、更に15兆円の追加経済対策を発表した。後は成果を待つばかりということか、首相主催の「桜を見る会」でも「開花はこれから」と上機嫌であったという。

 とすれば麻生首相が次に正面から取り組むべき最重要課題の一つは憲法問題であるべきだ。憲法改正こそ自民党の結党以来の悲願であり、わが国が当面している防衛・安全保障問題の抜本的解決は、まず憲法を改正して対処するしかないからである。しかも、これらの問題は民主党にとってのアキレス腱(けん)であることを考えれば、秋までにある総選挙対策としても格好のテーマとなろう。

 前回の参議院選挙では、安倍晋三首相の率いる自民党は、マニフェスト「155の約束」のトップに「新憲法制定の推進」をあげていた。だが、折からの年金問題に埋もれてしまい、憲法改正問題はまともに論ぜられなかった。それ故、今度こそ与野党間での本格的な論戦を望みたいと思う

 ≪集団的自衛権が焦眉の急≫

 防衛・安全保障問題について、麻生首相は昨年暮れ以来、着々と手を打ってきた。「テロとの闘い」のため、海上自衛隊のインド洋派遣を延長させ、3月には海賊対処のため護衛艦2隻をソマリア沖に派遣している。

 先の北朝鮮によるミサイル発射に際しては、自衛隊法に基づき初の「破壊措置命令」を発し、イージス艦やパトリオットミサイルを配備して万一に備えた。現在、国会で審議中の海賊対処法案も、今国会で成立する見通しである。麻生内閣のこのような積極的な対応は高く評価すべきであろう。

 その中で新たに浮上してきたのが集団的自衛権の問題であった。北朝鮮のミサイル発射の際、アメリカのゲーツ国防長官はミサイルが米本土に向かってこない限り迎撃しないと述べた。発言どおりとすれば、たとえ日本が攻撃されようとも、アメリカは集団的自衛権を発動して日本を守ることはないということになろうが、これでは日米同盟は破綻(はたん)する。

 奇妙なことに、わが国政府は、従来、集団的自衛権は「保持」するが「行使」できないとしてきたから、アメリカ本土や米軍基地に向けて発射されたミサイルを日本は迎撃できない。

 このような解釈をわが国が採り続ける限り、米中関係を重視するオバマ政権の下では、万一の際、アメリカによる日本防衛を期待することはますます困難となろう。北朝鮮がわが国に対してミサイル攻撃を行う場合はもちろん、より現実的な課題として、もし中国が尖閣諸島への上陸を強行した場合、アメリカは本当に応援に駆けつけてくれるだろうか。

 麻生首相は、就任直後から集団的自衛権を認めるべしと発言してきたが、連休明けにはいよいよ政府解釈の変更に向けて、本格的検討に入るという(産経新聞4月24日、日経新聞4月25日)。今こそ首相の決断で集団的自衛権の行使を容認し、アメリカに対しその意思を表明して、同盟関係の遵守(じゅんしゅ)を要求すべきである。

≪領域警備と武器使用の緩和≫

 とはいうものの、アメリカに頼る前にまずなすべきことは、もちろん、自らの手で日本を守り、平時から尖閣諸島や対馬などわが国土を断固防衛することである。

 そのためには、一日も早く自衛隊法に「領域警備」規定を定める必要がある。その際、必要なことは、武器使用についても国際標準を採用することで、「任務遂行のための武器使用」を認めなければならない。今国会で成立予定の海賊対処法では、正当防衛や緊急避難のための武器使用以外に、新たに「船体射撃(危害射撃)」も認めるという。

 海賊対処のためだから憲法上問題はないというが、しかし、はるかアフリカ沖での武器使用基準を緩和しておきながら、最も肝心なわが国の領土、領海の警備に当たる自衛隊の「海上警備行動」や「領域警備」については相変わらず武器使用を制限するというのでは、本末転倒であろう。

 今後、「集団的自衛権の行使」を容認し、自衛隊法に「領域警備」規定を定め、「任務遂行のための武器使用」を承認することができれば、自衛隊はまた一歩、普通の国の「軍隊」へ近づくことになる。そうなれば、憲法に「自衛軍の保持」を明記するのは、もはや時間の問題であろう。これこそ、憲法9条2項改正の突破口と呼ぶゆえんである。

 再軍備より経済復興を優先した吉田茂元首相も、本音は再軍備に賛成であり、国防問題について非常に責任を感じていたという。そのDNAを受け継ぐ麻生首相であれば、経済の次の課題は「憲法改正」のはずである。今こそ、その第一歩を踏み出すときではなかろうか。(ももち あきら)

2009年4月 5日 (日)

読売の憲法改正キャンペーン記事

4月5日の読売新聞の「政(まつりごと)なび」というコラムである。サイトから採れないので、スキャナーで読んでここに掲載した。
日本青年会議所は昨年3月の改憲議員同盟の総会にオブザーバーで参加し、憲法審査会の始動を主張、このタウンミーティングを改憲機運の盛り上げの運動として取り組むことにしていた。青年会議所の動きは注視しておく必要がある。(高田)

政なび  「国民投票ごぞんじですか」 政治部次長 高木雅信

憲法改正のための国民投票制度を説明した小冊子を総務省が作り、今月から全国の都道府県と市町村の役場に発送している。自治体を通じて500万部を公共施設などに配ってもらうそうだ。
表紙には「平成22年(2010年)5月18日から『憲法改正国民投票法』が施行されます」と大きく書かれている。横の方に小さな字で「こ存知ですか?」と添えてあるのがご愛嬌だ。
1年後に国民投票制度が始動し、手続き的には憲法改正が可能になることを「ご存じ無い」方も多いだろう。なにしろ制度を周知させるために国会がやらねばならないことが、何一つ進んでいないのだから。
2007年5月に成立、公布された国民投票法は、憲法改正という国の在り方にかかわる問題を冷静に議論するという趣旨から、国会に新設した憲法審査会に3年間は憲法改正案の審査を許さないという凍結期間を置いた。同法の付則はこの3年の間に選挙年齢の18歳への引ぎ下げの法整備を行うなど、国民投票制度を完成させるための「宿題」を課している。
宿題を渡されたはずの憲法審査会は、与野党の協議が調わないという理由でメンバーすら決まらないまますでに2年を浪費してしまった。憲法改正を掲げた安倍政権が、国民投票法が公布されて2か月後の07年7月の参院選で大敗し、与野党問わず国会議員の間に「国民に関心の薄い憲法論議に触れるのは損だ」という思いがあるからだろう。
政界の体たらくをよそに、民間では来年の国民投票法施行を見据え、憲法論議を活性化させようと地道な努力を続けている。日本青年会議所は、昨年1年間に改憲派、護憲派双方からパネリストを招いて全国61か所で「憲法タウンミーティング」を開催、約2万人が参加した。今年は国民投票法施行を盛り上げようと5月3日の憲法記念日に全国一斉のタウンミーティングを計画しているが、「5月解散説」がささやかれる中で、国会議員に出席を要請しても、確約をとれずに苦労しているという。
ソマリア沖の海賊対策への海上自衛隊の派遭で新段階を迎えた日本の国際貫献、「ねじれ国会」で明らかになった二院制の在り方など憲法を巡る問題は日々新たに生じている。読売新聞の世論調査では、昨年3月には憲法改正反対が賛成をわずかに上回っていたが、今年3月には賛成が51.6%となり反対36.1%を上回った。
憲法問題に関心が薄いのは果たして国会の外なのか内なのか。後1年で国民投票制度が始まること、憲法審査会が一度も開かれていないこと、国会議員の方々、ご存じですか?

2009年4月 4日 (土)

憲法世論調査 改正論議を再活性化すべきだ(4月4日付・読売社説)

読売の主張は鮮明である。改憲論議の活性化、集団的自衛権問題の見直し、憲法審査会の始動、などなど。
今回の読売の世論調査の結果はまったくもって読売的な見解に好都合なものとなった。昨年の調査結果に泣いた読売が何か仕掛けたのではないかと疑いたくなるような調査である。
他社の調査がでた時点で、慎重に検討したい。(高田)

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090404-OYT1T00104.htm
憲法世論調査 改正論議を再活性化すべきだ(4月4日付・読売社説)

 このままでは、憲法改正に対する政治の怠慢に国民がしびれを切らすのではないか。

 読売新聞の世論調査で憲法を「改正する方がよい」と思う賛成派は51・6%へ増加し、3年ぶりに過半数となった。「改正しない方がよい」という反対派は36・1%に減った。

 「ねじれ国会」に象徴される政治の混迷の中、憲法論議は脇に追いやられてきた。だが、改正論議を求める国民の声は、今回の調査でも根強いものがある。

 与野党は、次の総選挙に向け、改憲論議の再活性化をはかるべきだろう。

 今回の調査では、主に、憲法の安全保障条項などの見直しが必要とする意見が増加した。

 例えば、「戦力不保持」などを定めた憲法9条2項の改正が必要とする意見が増えた。さらに、条文を改正したり、新たな条文を加えたりした方がよい項目として、「積極的な国際協力」を挙げる人が増加した。

 国会では昨年末、海上自衛隊のインド洋での給油活動延長のための改正新テロ対策特別措置法が成立した。現在は、ソマリア沖の海賊対策にあたる海自派遣をめぐる新法制定の論議が続いている。

 こうした中で常に論点になるのが、政府解釈で行使を禁じている集団的自衛権の問題だ。

 今回の調査では、憲法を改正するか、あるいは憲法解釈を変更するかして集団的自衛権を行使できるようにするという回答が2人に1人に上った。また、53%が自衛隊の海外派遣全般に関する「恒久法」が必要だとしている。

 一方、衆参両院で多数派が異なる「ねじれ国会」も、憲法への関心を高めている。現在の二院制を一院制にすることや、衆参の役割や権限を見直すとした人が、合わせて7割近くに上った。

 「ねじれ国会」が審議の停滞と混乱を招いていることへの、国民の不満が背景にありそうだ。

 憲法改正賛成派は、自民支持層では54%、民主支持層では53%で、ほぼ並んでいる。とくに民主党は昨年調査比12ポイントも増えた。

 民主党は小沢代表の下、党内の亀裂を回避しようとするあまり、改正論議に背を向ける傾向が強い。だが、民主支持層のこうした意識からすれば、いつまでも議論を“封印”してはいられまい。

 2007年、国民投票法にもとづいて国会に設置された憲法審査会は、いまだ始動していない。与野党は、早期の審査開始に、もっと努力する必要がある。

(2009年4月4日01時29分  読売新聞)

2009年4月 3日 (金)

憲法改正「賛成」51・6%、再び多数占める…読売世論調査

読売新聞の世論調査が発表された。昨年の特徴だった「護憲派増」の傾向が逆転した。改憲は9.1%増の51.6%。護憲は7%減の36.1%だった。9条は改憲が38%、解釈改憲を含む現状維持が54%だ。この1年の変化をどう見るかは、他社の調査も待って、少し時間をかけて考えたい。明らかなことは、改憲派が明文改憲から解釈改憲の迂回作戦に出たことで、世論において危機感が低下したことの反映であろう。改憲派はこの調査をよりどころに、再度明文改憲追求にシフトの軸を寄せてくるかも知れない。警戒を強めて、我々の運動を強化しなければならない。(高田)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090403-OYT1T00006.htm
憲法改正「賛成」51・6%、再び多数占める…読売世論調査
世論調査・支持率

 

読売新聞社の全国世論調査(面接方式、3月14~15日)によると、今の憲法を改正する方がよいと思う人は51・6%と過半数を占め、改正しない方がよいと思う人の36・1%を上回った。

 昨年3月調査では改正反対が43・1%で、改正賛成の42・5%よりわずかに多かったが、再び改正賛成の世論が多数を占めた
。国際貢献のための自衛隊の海外派遣が増えたことや、ねじれ国会での政治の停滞などで、今の憲法と現実との隔たりを実感する国民が増えたためと見られる。

 1981年から実施している「憲法」世論調査では、93~2007年は改正賛成が多数派だった。ただ、04年の65・0%をピークに賛成派が減り始め、昨年は反対派を下回った。それが今回は増加に転じた。

 賛成派は自民支持層で54%(昨年比7ポイント増)に増え、民主支持層で53%(同12ポイント増)に急増した。

 改正賛成の人に理由(複数回答)を聞くと、「国際貢献など今の憲法では対応できない新たな問題が生じているから」49%(昨年45%)が最も多かった。インド洋での給油活動、ソマリア沖の海賊対策への海上自衛隊派遣を巡る議論などを通じて、憲法を見直そうという意識が高まったようだ。

 戦争を放棄し戦力を持たないとした憲法9条については、「解釈や運用で対応するのは限界なので改正する」38%が最も多く、昨年(31%)から増えた。「解釈や運用で対応する」33%(昨年36%)、「厳密に守り解釈や運用では対応しない」21%(同24%)は、ともに昨年より減少した。

 国会の二院制については、「二院制を維持し衆院と参院の役割や権限を見直す」39%と「一院制にする」28%を合わせ、何らかの見直しを求める人が約7割に達した。

 憲法で関心がある点(複数回答)は「戦争放棄、自衛隊」47%が8年連続でトップ。「生存権、社会福祉」は昨年比7ポイント増の25%に増えた。金融危機や年金不信で暮らしへの不安が増していることを反映したようだ。
(2009年4月3日00時04分  読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080116-907457/news/20090314-OYT1T00757.htm
自衛隊の海賊対策「支持」6割超…内閣府世論調査

 内閣府がまとめた「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」で、アフリカ・ソマリア沖などでの海賊対策に自衛隊が取り組んでいくべきだと答えた人が6割以上に達した。

 14日にソマリア沖に向けて出航した海上自衛隊の活動に対し、多くの国民が理解を示していることが分かった。

 1月15日~25日に全国の成人男女3000人に実施し、1781人が回答した(回収率59・4%)。

 海賊対処に自衛隊が取り組むべきかどうかを尋ねたところ、「取り組んでいくべきだ」(27・8%)「どちらかと言えば取り組んでいくべきだ」(35・3%)が計63・2%で、「どちらかと言えば必要ない」(20・7%)「必要ない」(8・4%)の計29・1%を大きく上回った。

 日本の平和と安全の面で関心を持っていること(複数回答)を聞いたところ、「朝鮮半島情勢」が56・8%と最多で、次いで「国際テロ組織の活動」(43・7%)「中東情勢」(31・8%)の順。「日米安全保障条約が日本の平和と安全に役立っていると思うか」との問いには、「どちらかと言えば」を含め、「役立っている」が76・4%で、1978年の調査開始以来、最高だった。
(2009年3月14日19時13分  読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080116-907457/news/20090308-OYT1T00844.htm
民主「敵失」でも内閣支持率低迷…首相の資質に疑問根強く

 読売新聞世論調査では、麻生内閣の支持率は17・4%と約2ポイント低下し、低迷に歯止めをかけられなかった。

 民主党が小沢代表の資金管理団体を巡る政治資金規正法違反事件で支持率を4・5ポイント減らしたにもかかわらず、減少分を支持につなげられなかった。首相へのふさわしさに関する質問でも、首相は26%と、小沢氏になお10ポイント近く引き離されている。「麻生首相では衆院選を戦えない」との声が一段と強まることが予想される。

 自民党の細田幹事長は8日、2月中旬の中川昭一前財務・金融相の辞任が支持率低下につながったとの見方を示し、「一度だいぶ下がってから(定額給付金支給などで)上がったのだろう」と回復基調にあるとの見方を示した。その上で「着実に景気対策をやるのみだ。定額給付金を評価する声も増えており、これから支持率は上がる」と強調した。河村官房長官も「前財務相の失態などをずっと引きずっているのだろう」と指摘した。

 だが、今回の調査では内閣支持率だけでなく、自民党の支持率も24・1%と前月比で3ポイント近く落とした。朝日新聞、共同通信が8日まとめた世論調査でも内閣支持率はそれぞれ14%、16%で低迷している。

 党内には「支持率低迷は、首相の資質による部分が大きく、上げるのは難しい」(若手)との見方が根強く、「麻生降ろし」がくすぶる状況に変わりはなさそうだ。閣僚経験者は「小沢氏が代表を辞任すれば、当然、麻生首相も代えろという話になる」と語った。

 さらに、西松建設の違法献金事件で、二階経済産業相の関連政治団体が捜査対象になる可能性が高まっていることも懸念材料だ。

 同党の尾辻参院議員会長は8日、「政治に対する不信感が数字に如実に出た。自民党の方にも事件が進展すれば、自民、民主両党ともに数字を大きく下げ続けるだろう」と語った。
(2009年3月8日22時38分  読売新聞)

2009年4月 2日 (木)

“改憲パンフ”500万部/手続き法を「周知」へ/総務省が配布

3月30日付けでこのブログに書いたもの。赤旗紙の報道である。(高田)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-04-02/2009040202_03_0.html
“改憲パンフ”500万部/手続き法を「周知」へ/総務省が配布

 総務省は、改憲手続き法の「周知」パンフレットを作製し、四月から都道府県・市町村の窓口を通じて配布しました。改憲手続き法にもとづく衆参両院憲法審査会は与野党の話し合いがつかず、審査会規則も委員の選任もされないままの状態。総務省が「改憲」へ向け世論の喚起へ見切り発車した形です。

 総務省が改憲のための広報を展開するのははじめて。問題のパンフレットは『ご存知ですか?平成22年5月18日から「憲法改正国民投票法」が施行されます。』のタイトル。内容は、「憲法改正国民投票法の流れ」を「国会の発議」から「国民投票運動」、「投票」「開票」のそれぞれの段階について説明。改憲の公布に必要なハードルである国民投票の賛成票が「二分の一を超えた場合」という個所を赤字で大書しています。

 総務省によるとパンフレットは五百万部作製、都道府県や市町村の住民窓口、公共施設に置かれます。経費は、二〇〇八年度の総務省国民投票法関係広報予算から千五百万円支出されました。

 総務省担当者は「国会の状況は承知しているが、国民投票法の施行まであと一年と迫った。行政の立場から国民に周知する必要からたんたんとすすめている」と話しています。

 総務省は〇九年度は「国民投票制度準備等関係経費」約四十七億円を計上、地方自治体にたいする「国民投票名簿整備費用」補助のほか広報用のパンフレットやポスターなどの作製を計画しています。

2009年4月 1日 (水)

「救国大連合」へ覚悟 平沼氏、著書で強調

このままでは永田町の裏に消えてしまいそうな平沼が、パフォーマンスをして打ち出した平沼構想だ。安倍、中川なお、平沼の親友を持ち上げて、「憲法破壊の亡国大連合夢想」だ。(高田)
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20090401AT3S3101G31032009.html
「救国大連合」へ覚悟 平沼氏、著書で強調

 無所属の平沼赳夫氏が近く著書「七人の政治家の七つの大罪」(講談社)を出版する。「救国大連合を実現させるために捨て石になる覚悟を持っている」として自民、民主両党による大連立の必要性に言及。「私がするべきことは坂本龍馬のように2大政党の橋渡しをすることだ」と強調し、期待する人材として自民党の安倍晋三元首相や中川昭一前財務相、民主党の菅直人代表代行、長妻昭氏、無所属の渡辺喜美氏らの名を挙げた。(07:02)

2009年3月29日 (日)

自衛隊駐屯地で失業者向け職業訓練 自民内で構想浮上

http://www.asahi.com/politics/update/0328/TKY200903280151.html
自衛隊駐屯地で失業者向け職業訓練 自民内で構想浮上

2009年3月28日14時10分
 全国の自衛隊駐屯地に失業者を集めて職業訓練する雇用対策案が、自民党内で浮上した。防衛・農林・建設分野の重鎮議員が発案、政府の追加経済対策への反映を狙う。

 「民間国土保全隊」と名づけた構想で、不況で職を失った人やニートらが駐屯地に半年間住み、生活費を支給されながら職業訓練を受ける。「派遣切り」で表面化した失業者の住居問題に対応しつつ、土木工事用の大型機械などを扱う資格を身につけてもらうことで、耕作放棄地の活用や未整備の森林間伐などの担い手になることを期待している。

 手本は、1930年代の大恐慌下にルーズベルト米大統領が設立した「民間資源保存団」。若者がキャンプで生活しながら植林などに従事したとされる失業対策事業だ。

 構想を進める加藤紘一元幹事長や青木幹雄前参院議員会長、古賀誠選挙対策委員長らが週明けに発起人会を開き、追加経済対策に盛り込むように求める。(林尚行)

2009年3月13日 (金)

政権交代で改憲促進/民主幹事長 メルマガで主張

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2009-03-13/2009031302_03_0.html
政権交代で改憲促進/民主幹事長 メルマガで主張

 民主党の鳩山由紀夫幹事長が十一日付のメールマガジンで、「政局が安定しない限り憲法の議論を落ち着いて出来ない」「早く政権交代を実現させ、憲法の議論も可能になるような安定政局を作り出さなければなりません」と政権交代による改憲論議の促進を主張しています。

 これは十日に開かれた「鳩山友愛塾」一期生の卒塾式でのあいさつで「時代に相応(ふさわ)しい憲法を創ることは急務」などと述べたことを紹介する中での言葉です。

 「鳩山友愛塾」とは、昨年四月に鳩山氏が実弟の鳩山邦夫総務相(自民党)と共同で開講した政治塾です。塾長は実姉の井上和子氏で由紀夫・邦夫兄弟が会長代行を務めます。

 「政権交代」を掲げる野党第一党の幹事長と麻生太郎内閣の重要閣僚の一人が、共通の理念に基づき「有為の人材を育成する」ことを「目的」(友愛塾概要)とする組織をつくることは、民主・自民両党に「対立軸」がないことを象徴的に表しています。

 鳩山由紀夫氏は、二〇〇五年に『新憲法試案 尊厳ある日本を創る』を出版。「天皇を元首とする」「自衛軍を保持する」などと明記した独自の改憲試案を示しました。〇八年三月には自民、民主、公明、国民新各党の改憲派議員でつくる新憲法制定議員同盟の顧問に就任。伊吹文明自民党幹事長(当時)とそろっての役員就任で、自民・民主「二大政党」による“改憲大連立”体制づくりに参加しました。

 「政権交代、政局安定で改憲論議を」という今度の発言は、改憲のための国民投票法の施行を一〇年に控えた改憲派の思惑を示しています。

2009年3月 2日 (月)

「日本が侵略国家だったとはぬれぎぬ」…田母神氏ロスで講演

http://sankei.jp.msn.com/world/america/090302/amr0903021007005-n1.htm
「日本が侵略国家だったとはぬれぎぬ」…田母神氏ロスで講演
【ロサンゼルス=松尾理也】先の大戦をめぐり政府見解と異なる論文を公表したとして航空幕僚長を更迭された田母神俊雄氏が1日、ロサンゼルス郊外で講演を行ない、約300人の米国在住の聴衆を前に「歴史は戦勝国がつくるもの。私は米国が大好きだが、ただ押しつけられた歴史観に反論するために勉強しなければならない」などと語りかけた。

 「世界では、軍人はモラルの高い人々と考えられている。日本では、見張っていなければ危険だと思われている」。田母神氏はこう切り出した上で、「防衛省も外務省も左傾化が著しく、退職した後も講演への妨害などさまざまな圧力を受けた」と振り返った。

 日米関係をめぐっては、「同盟関係を強化していくことは重要」とした上で、「米国が、グローバルスタンダードという形で自分の利益を押しつけようとするのは、国益からみて当然だが、それをすべて受け入れているのは世界で見ても日本だけ」と、日本の現状に注文をつけた。

 田母神氏は昨年10月、懸賞論文に「日本が侵略国家だったとはまさにぬれぎぬ」などと記した論文を投稿していたことが発覚。過去の侵略を謝罪した村山談話などの政府見解に反するとして解任された。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090228/plc0902282302005-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090228/plc0902282302005-n2.htm
田母神氏、講演引っ張りだこ 「言論タブー」照らし出す
 日本の「侵略戦争」を否定した論文を執筆して航空幕僚長を解任された田母神俊雄氏(60)が、全国の講演で引っ張りだこになっている。2月の講演回数は計24回にもおよび、3月1日には米ロサンゼルス在住の日本人に招かれ渡米する。一方、防衛省への配慮から講演を延期する団体も現れるなど、“田母神人気”は言論タブーの存在も照らし出しているようだ。

 「『核兵器を持たない方が安全』と言うのは、日本の政治家だけ」「東京裁判は復讐(ふくしゅう)劇だ」「(植民地支配を謝罪した)村山談話を踏まえた幹部教育をしたら、自衛隊はつぶれる」

 歯に衣着せぬ物言いに、会場から拍手が頻繁にわき起こる。建国記念の日の2月11日、東京都新宿区の日本青年館で行われた田母神氏の講演会には、定員300人の会場に、立ち見でも入り切れないほどの聴衆が詰めかけた。主催者によると、用意した700部のパンフレットはすべてなくなったという。

 コラムニストの勝谷誠彦氏は、田母神人気について「日本の防衛に30年以上奉職してきた実体験の重みを聴衆は感じており、保守派の言論人の発言とは一線を画している」と話す。

 2月の講演は半数が東京都内で行われ、ほかは秋田、新潟、千葉、神奈川、愛知、愛媛、広島と全国にわたる。4、19の両日には会場3カ所をはしごした。

 3月1日のロス講演の主催者は「田母神氏を更迭した麻生首相らの決断は不可解で、報道を聞いても日本で行われていることの真実が見えてこない。米在住の日本人に、田母神氏の言わんとするところを直接聞いてもらいたい」と話す。
一方、防衛省のある外郭団体の幹部は「会員から田母神氏の話を聞きたいという声が多く、3月に講演を検討したが、諸般の事情で延期した」と述べ、防衛省への配慮をにじませる。別の関係者は「田母神講演に防衛省から難色を示され、『講師名を伝えなければよかったのに』という声も出た」と打ち明ける。

 当の田母神氏は「日本が謝罪ばかりしていることに『何かおかしい』と感じていた多くの国民が、私の発言にストンと心に落ちるものがあるのでは」とみている。また、「日本には反日的な言論の自由はあるが、親日的な言論の自由はない」とも述べ、自身の更迭劇を通じて明るみに出た言論タブーを指摘している。

 講演は5月まで月20回以上を予定。ただし、依頼主は、「私と意見が違う人や団体からは来ていない」(田母神氏)という。

   ◆◇◆◇◆

 ■田母神俊雄氏(たもがみ・としお) 福島県出身。防衛大卒業後の昭和46年、航空自衛隊に入隊した。統合幕僚学校長や航空総隊司令官を歴任し、平成19年に空自トップの航空幕僚長に就任した。

 在職時の20年5月、現職自衛官として初めて東大で講演した。10月31日、アパグループ主催の懸賞論文に応募した「日本は侵略国家であったのか」が最優秀賞を受賞したが、政府見解と異なる歴史認識などが問題視され、即日更迭。11月、定年退職した。

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090219/stt0902192230006-n1.htm
「偏っているのはあなた」 田母神元空幕長が石破氏を批判
 政府見解と異なる歴史認識を含む論文を発表して更迭された田母神俊雄前航空幕僚長が19日、東京・永田町の自民党本部で講演し、石破茂元防衛相や同党政権の対外姿勢を批判した。

 田母神氏は「石破元防衛相は『空幕長ともあろう人があんな偏った歴史観では困る』と言ったが、偏っているのはあなただと言いたい」と強調。昨年12月に中国海洋調査船が東シナ海の尖閣諸島の周辺海域の領海を侵犯した際の麻生内閣の対応には「強く抗議しないと実効支配の実績を作られる」と苦言を呈した。

 講演は「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・中山成彬元文部科学相)が主催。出席議員からは「興味深い話だ」と同調する声が上がった。

2008年12月 9日 (火)

産経【政論探求】「田母神論文」が突きつけたもの

産経の客員編集委員の花岡氏の主張である。実に産経はこの程度なのだ。「これほどのインパクト」とは何か。花岡氏はその質を語っているのか。現職の航空幕僚長がこんなものを書いたという意味では、大変なインパクトを持つが、それは論文の質
の問題ではない。この程度の「質」という意味ではインパクトはあったのだが。
花岡氏は「『日本はいい国だと言ったら辞めさせられる。悪い国だと言い続けるのがいいのか』 論文の趣旨は田母神氏のこのひとことに集約されている」というが、彼も田母神氏も全くわかっていないか、あるいは意図的に批判を曲解している。問題はそのようなレベルの話ではないだろう。
自ら間違ったことについて自己批判できないような人は、恥ずべき人であり、自らを限りなくおとしめる人であることくらい、わからないのだろうか。それは国に於いても同じであろう。田母神発言批判は「この一言に集約されている」と言ってもいいくらいである。自衛隊の中で自由闊達に議論ができない体質を一体誰がつくってきたのか。田母神らの指導下で行われた自衛隊の教育では、「自由主義史観」にそぐわないような主旨の意見は強く排除されてきたのは周知の事実である。「反戦自衛官」等は罰せられてきた。市民は監視されてきた、田母神氏の言う「えこひいき大作戦」(航空自衛隊を元気にする10の提言)とはそういうものである。
「開戦の決断」を云々する花岡氏は憲法9条を何と心得るか。最後の「自衛隊内部はおさまるまい」の捨てぜりふは、クーデターの挑発ととれなくもない。産経紙の「正論探求」の水準があまりにも酷いのにあきれる。(高田)

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081209/plc0812090736003-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081209/plc0812090736003-n2.htm
【政論探求】「田母神論文」が突きつけたもの
田母神俊雄前空幕長に講演依頼が殺到している。「日本は侵略国家であったのか」という論文の提起が、いかに現代的意味合いを持っていたかの証左といえる。

 田母神氏は論文の賞金300万円の受け取りを辞退した。論文募集を企画したアパグループの元谷外志雄代表がF15戦闘機に体験搭乗させてもらった「見返り」…などと、賄賂(わいろ)まがいの構図で描いたメディアもあるのだから、受け取れるわけがない。

 

政治の対応、メディアの反応、日本の防衛体制や文民統制(シビリアン・コントロール)のあり方、歴史認識など、さまざまなテーマをめぐって、これほどのインパクトを持った論文は、寡聞にして知らない。

 論文の内容についての議論はさまざまだが、歴史的事実の評価は歴史学者に任せよう。自衛隊トップがこうした論文募集に応じたことの是非論も、結果的に職を賭したのだから、もはやあまり意味はない。

 「日本はいい国だと言ったら辞めさせられる。悪い国だと言い続けるのがいいのか」

 論文の趣旨は田母神氏のこのひとことに集約されている。

 自衛隊内部には「モノ言えば唇寒し」の風潮が強まっているという。「監察」と称する思想調査のようなことも行われているようだが、これはまずい。自由闊達に発言もできない「国家容認の最強武力集団」となっては、文民統制の基本にかかわることになる。

 参考人で呼んでおきながら発言を封じた参院外交防衛委員会の民主党委員長は、政治の世界が文民統制の意味合いに無知なことを証明してしまった。政治の側が居丈高に押さえ込むのが文民統制ではない。

文民統制とは、まず「軍事情勢の分析は『軍』でなければできない高度なものである」という事実を認識し、そのうえで、「軍」を本来の目的で動かすこと、つまり「開戦の決断」は政治が行う。これが文民統制である。

 その前提として、政治と「軍」の間に良好な信頼関係が存在しなくてはならない。きのうまで自衛隊トップであった人に対し、この民主党委員長は完璧(かんぺき)に礼を失していた。民主党が政権を取った場合、自衛隊との関係がどんなものになるか、暗示しているようでもある。もっといえば、それは民主党の政権担当能力にかかわるのだ。

 防衛省に残された課題は、この一件でいたずらに大騒ぎして政治問題化させた「内局トップ」の更迭だ。それなくしては、自衛隊内部はおさまるまい。

(客員編集委員 花岡信昭)

2008年11月30日 (日)

08年政治考/田母神問題/“靖国派”が引き金/懸念する自民幹部も

赤旗紙の報道である。ここでいわれている右派のなかでの民族派の対等という指摘は見逃せない問題だ。(高田)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-11-30/2008113001_02_0.html
08年政治考/田母神問題/“靖国派”が引き金/懸念する自民幹部も

 「小泉首相が靖国神社への連続参拝を強行し、続く安倍内閣は『戦後レジーム』からの脱却を掲げた。自民党内でも歴史認識問題を中心に“民族派”が台頭した。直接の引き金とはいえないが、こういう事情が背景にあることは間違いない」

 自民党幹部の一人は、田母神俊雄・前航空幕僚長の侵略戦争美化「論文」についてこう述べました。「民族派」とは、日本の侵略戦争を正当化し、首相の靖国神社参拝を声高にとなえてきた日本会議国会議員懇談会のメンバーらをさしています。

 田母神氏が空幕長に任命されたのは二〇〇七年三月。任命したのは「戦後レジームからの脱却」を掲げ、任期中の改憲を目標とした安倍晋三内閣でした。田母神氏と安倍元首相は懸賞論文を主催したアパグループの元谷外志雄代表を介してつながっています。元谷氏は安倍元首相の支援組織「安晋会」の副会長でした。

 「日本は神の国」発言をした森喜朗元首相も元谷氏と同郷で親密な間柄。後に断ったものの、懸賞論文受賞パーティー(十二月八日に開催予定)の発起人代表をいったんは引き受けていました。

 閣僚経験のあるベテラン議員は、事態の深刻さについてこう述べます。

 「『自虐史観』などということをいう政治家が増えたし、国民の間にもそういう空気が広がっている。その中で、空自の長が公然と政治介入し、政治を批判した。一歩間違えればクーデターだ。海外活動を本来任務とする実力組織のトップがあのような歴史認識を示すのは、アジア諸国との関係から見ても重大だ。私自身も『左』のイデオロギーには厳しかったが、『右』には甘かった。これは反省している」

 前出の自民党幹部は言います。「その後の自民党内での議論で、『シビリアンコントロールの観点からは問題だが、(論文の)中身はもっともだ』という意見が多いのも事実。同じような問題が再び起こるかもしれない」
田母神「論文」の波紋
政界から同調の危険

 田母神氏とともにアパグループの懸賞論文に応募した自衛官は約百人。田母神氏は統合幕僚学校長だった時代に、「歴史観・国家観」の講義を新設し、「現憲法及び教育基本法の問題点」「大東亜戦争史観」などを“教育”。「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーらを講師に招いていました。

 さらに自衛隊の幹部養成機関である防衛大学校の教科書『防衛学入門』では、明治以降の日本の侵略戦争をすべて「自衛が基本」という立場で記述していることも本紙の報道で明らかになっています。
教育体制が問題

 元政府高官の一人は指摘します。

 「ああいう人が制服組の主流となって育っていく教育体制、ここは重要なポイントだ。近代史の基礎知識について、少なくとも政府見解とまったく異なるものが教育されている事実があるとすれば、政府の一組織として大問題だ」

 田母神氏は右派月刊誌『WiLL』二〇〇九年一月号に発表した最新の「手記」で、防衛大学校時代「どちらかというとノンポリの学生だった」としつつ「だが自衛隊の教育が私を変えてくれた」とふりかえっています。
日米同盟を優先

 麻生内閣が田母神氏を即日更迭せざるを得なかったのは、「靖国」派の主張を追いつめてきた戦後政治の到達点です。

 さすがに自民党国防族の中でも公然と擁護する声はほとんどありません。

 「核武装論とか集団的自衛権の行使とかいうのは、政府・自民党の見解とも食い違う。集団的自衛権行使は、安倍(元首相)が進めようとして福田(前首相)が止めた。この経緯もよく踏まえる必要がある。アメリカに頼った自衛は無責任だという議論が昔からあることは承知しているが、『自分の国を自分で守る体制を整える』という主張は、日米同盟の考え方とは異なる」(国防部会のメンバー)

 自民党が絶対視する日米同盟堅持の立場から、田母神氏の“自主国防”論的な主張に困惑を隠せないでいるのです。

 日本会議国会議員懇談会のメンバーでさえ、こう疑問を表明します。

 「海上自衛隊のインド洋派遣延長の論議が衆院から参院に移行する時期に混乱を生じさせることは適切か―。日本にとって一番危険な問題がある。私は『右』で、歴史問題で言いたいことはある。しかし、今の日本の現実政治と国家の安全保障を考えたら、日米安保、アメリカを大事にしなければならない。矛盾があればアメリカが優先する」

 同氏は、「最近、右翼の中に極右、反米の右翼も出てきて困る」と述べ、田母神氏の「日米開戦はアメリカの陰謀だ」「自立した防衛を」という主張に懸念を表明しました。
 ただ、元防衛庁長官の一人は、不気味な“予言”をします。

 「米国の金融危機と経済混乱から、米国が世界の警察官としての役割を果たせなくなり、そのヘゲモニー(支配的影響力)が後退して、太平洋にも力の空白が生じてくる可能性がある。田母神氏の発言は更迭に値するが、それとは別にこの問題は考えておかねばならない」

 安保問題を担当する民主党の衆院議員も、「アメリカ一極支配秩序の崩壊」の現実を直視せよとして「いつまでも『アメリカ頼み』では、我が国の国民の生命も財産も守れない」と述べています。

 軍事力による覇権の維持に固執する限り、政界の中からも田母神氏の主張に同調する流れが出る危険があることを示しています。 (中祖寅一)

防衛省:田母神氏講演に苦慮「手の打ちようない」

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081130k0000m010061000c.html
防衛省:田母神氏講演に苦慮「手の打ちようない」

 政府の歴史認識に反する懸賞論文を公表して更迭された田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長は12月、講演などを立て続けに行う予定で、防衛省が神経をとがらせている。1カ月前まで航空自衛隊トップだった人物が、政府見解から逸脱する発言を公然と繰り返せば政府や自衛隊への世論の批判が収まらない、と警戒感を強める。同省は田母神氏の活動日程や発言をつかもうと躍起だが「退職で民間人になっており、手の打ちようがない」(幹部)。

 退職後、11月中から雑誌への寄稿やテレビ収録を済ませた田母神氏は、12月1日に外国特派員協会で記者会見するほか、8日に問題の懸賞論文の表彰式に出席。下旬まで各地での講演が予定されている。

 田母神氏が公職にないため同省幹部は接触を控えているが「誰も一民間人の話とは受け取らず、発言のたびに政権批判が再燃する」(内局幹部)。このため同省は、田母神氏の日程リストをまとめ浜田靖一防衛相にも報告した。【松尾良】

2008年11月29日 (土)

田母神が核武装必要論まで言及

鎖を解かれた狼のように、田母神が吠えている。
「核武装必要論」だ。この産経新聞インタビューで語られている田母神の論理は極右の論者の言い古された論理の焼き直しに過ぎないが、これが自衛隊の最高幹部だったことについて、政府が「退職後の発言なのでコメントしない」などと言っていることはとんでもないことである。「非核」はヒロシマ、ナガサキを体験した日本の大多数の国民が承認する国是である。政府防衛庁は、彼がこうした国是に反するような考えを持った人物であることを知っていて空幕長に任命したのか。前空幕長が退職後ではあれ、こうした発言をすることに対して、政府は非核3原則の立場から、厳粛な批判を加えるべきである。「言論の自由」であるにしても、反論する責任が政府にはある。そうしないのは、こうした考えを容認する空気があると言われても仕方がない。
私たちは田母神糾弾の民衆の動きを強めなくてはならない。(高田)

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081128/plc0811280138001-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081128/plc0811280138001-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081128/plc0811280138001-n3.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081128/plc0811280138001-n4.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081128/plc0811280138001-n5.htm
【田母神前空幕長インタビュー】「自国を悪く言う外国人将校に会ったことはありません」
 先の大戦を日本の侵略とする見方に疑問を示す論文を公表し、更迭された航空自衛隊の田母神俊雄・前幕僚長は27日までに産経新聞のインタビューに応じ、心境を語った。(野口裕之)

 --論文騒動から約1カ月経過したが

 「このような大騒ぎになって解任される事態になるとはまったく予想していませんでした。判断力がなかったといわれればそうかもしれません。しかし、弁明の機会も与えられぬまま『辞表を書け』と言われたときに考えたのです。文民統制だからクビを切られるのは構わないが、辞表を書くのは自分が間違ったことをしたと認めることになると。辞表を書かねば懲戒処分にかけたい、といわれたので『結構です。ぜひやってください』と言いました」

 --懸賞論文を書くきっかけと時期は

 「懸賞論文の存在は知っていましたが、書く気になったのは自衛隊の支援者に薦められたからです。職務に関するものではないので、通知義務はないと理解し、渡米した8月15日より前に書いて送りました。官房長との雑談で投稿を話したのは15日より前でしたが、通知しようとしたのではありません。論文で言いたかったのは、米露英仏などが侵略国家といわれないのに、なぜ日本だけがいわれるのか。よその国が侵略国家でないなら、日本も侵略国家でないということが言いたかったのです」
--論文執筆で「村山談話」は念頭にあったか

 「村山談話に強い違和感を覚えていましたが、在任中は講演でも批判をしたことはありません。論文でも村山談話には触れていません。直接的な批判でなければ、談話と異なる見解を表明しても構わないと思っていました。もし村山談話に沿わない意見を言うことができないならば、言論弾圧の道具といえるのではないでしょうか。談話があるために、自由にものを言えない雰囲気があり、外交文書にも引用されている。日本は自ら手足を縛って、外交をする前に負けている。退官した今は、こんなものはぜひなくしてもらいたいと確信を持って言います。再検討の動きすら政治にないのはおかしなことです」

 --更迭への思いは

 「変なのは『日本は、侵略国家ではない。よその国に比べてよい国だった』と言ったら、『日本は政府見解で悪い国となっている』との理由でクビにされたことです。裏を返せば『日本はろくな国でなかった』と考えている人を、航空幕僚長にせよということではないか。外国の将校は、まず自国を弁護する。自分の国を悪く言う外国人将校に会ったことはありません」

 --航空自衛隊のトップは、どこまで発言が許されると思うか

 「空自トップですからある程度、『表現の自由』に制限があるのはやむを得ないでしょう。しかし、憲法では『思想・信条の自由』が保障されているわけで、政府見解から逸脱することを一切言ってはいけない、というのは民主主義社会ではないと思います」
--11月11日の参議院外交防衛委員会で参考人招致されたが

 「国会で私の意見を正々堂々と述べようと思っていました。しかし、民主党の北沢俊美委員長は私が話す前から発言を制限した。だったら何のために私を呼んだのか。私から発言を引き出して政府や防衛相を攻撃する格好だった。言論の自由を掲げる立法府とメディアがそろって異なる意見を封じ込めようとした。立法府とメディアの自殺行為ではなかったでしょうか」

 --各党の対応をどう見たか

 「野党は政府を攻撃したいだけで、『日本の国益がどれだけ損なわれようと知ったことはない』といった風でした。国益が党利党略の犠牲になるのはいかがなものでしょうか。民主党の鳩山由紀夫幹事長は、私や懸賞論文を主催したアパグループの元谷外志雄代表との会食を中座したように言っていますが、まったくのウソですね。鳩山さんと相当の時間、楽しく懇談させていただきました。自民党も『左』に寄ってしまいました。左をなだめようと左に少し寄ると次の出発点はそこになる。これを繰り返していると日本に保守政党がなくなってしまう」

 --「左」の陣営を勢いづかせたとの批判もある 

 「55年体制の時代から、左をなだめるために発言を控え、ちょっと彼らの言い分を飲む、というやりかたでやってきたが、日本は良い方向にはきてない。私の論文が左を勢いづかせたという人は、今までと同じように対応しなさいといっているに等しい」
 --「文民統制崩壊か」という議論が国会やメディアでも盛んだったが

 「ほとんどは、文民統制の意味を理解していないものでした。文民統制の根幹は、外交問題などが生じたときに、軍を使って解決するかどうか、その決定権を政治が握っているということです。民主主義国家では戦闘機や戦車、護衛艦、隊員の数は、政治のコントロールを受けて決まります。そのモノとカネと人を使って最強の軍隊をつくるのはミリタリーの専門分野だと思います。防衛省には内部部局(内局=背広組)がありますが、日本ほど、文民統制が細部まで徹底している軍隊はないでしょう」

「この国のために命をかけることが正しいんだという気持ちがないと軍は動けない」 

 --監察などによって自衛官の言動に対する監視が強まっている

 「私の一件をきっかけに、防衛省の内局が自衛官の歴史観や思想信条について政府見解に合致しているかをチェックするのだとしたら、それは軍隊を精神的に解体することです。自衛隊の士気を下げ、きっと中国や北朝鮮は大歓迎していることでしょう。軍隊は、自分の命がかかればかかるほど、使命感がなければ動けなくなる。使命感とは、自分たちがやっていることが正義なんだ、という気持ちです。この国のために命をかけることが正しいんだという気持ちがないと軍は動けない。その根本には愛国心があると思います。この国は残虐でろくな国じゃなかった、お前たちは力を持ったらすぐ悪人になるんだ、と言われたんでは使命感は生まれようがない」

 --田母神氏の発言をとらえて、すぐ「戦前は軍が暴走した…」となる

 「そういう人たちはよっぽど日本人、つまり、自分自身が信用できない人なのではないでしょうか。あるいは、文民統制に自信がないのかもしれません。政治が少しの異論も許さない言語空間に閉ざされていれば、国は弱くなります。徹底的に非核3原則を堅持すべきだという意見もあっていい。だけど民主主義だったら核武装すべきだという意見もあっていい。核兵器を持たない国は、核兵器を持った国の意思に最終的には従属させられることになりかねない」

 --核問題では、北朝鮮に振り回されている

 「北朝鮮が核兵器を持ちたがる理由は、1発でも米国に届く核ミサイルを持てば、北朝鮮を武力で制圧するのは、絶対できなくなるからです。そういった核兵器についての基本が、日本では議論されたことがない。核兵器を持つ意思を示すだけで、核抑止力はぐんと向上します。逆に、はじめから持たないといっただけで、核抑止力は格段に低下するといったことが政治の場で理解されていない」

 --日米同盟も変質しない保障はない 

 「航空自衛隊も少しずつ自立の方向に進むべきでしょう。自前で空軍としての能力を整え、日米が互いに足らない分を協力して補うとことが望ましい。これまでの米国は鉾、日本は盾という考え方は直した方がいい。米国の若者の血は流すが、日本は後ろにいますでは、日米同盟はもたない」

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081128/plc0811281137007-n1.htm

官房長官、田母神前幕僚長の核武装発言に「言論の自由は保障されている」
2008.11.28 11:35

 河村建夫官房長官は28日午前の記者会見で、航空自衛隊の田母神俊雄・前幕僚長が産経新聞28日付朝刊のインタビューで核武装に言及していることについて「退職後の発言なので政府はコメントする立場にない。言論の自由は保障されている」と述べた。

 田母神氏はインタビューで「民主主義だったら核武装すべきだという意見もあってもいい。核兵器を持たない国は核兵器を持った国の意思に従属させられることになりかねない」「核兵器についての基本が、日本では議論されたことがない」などと語っている。

2008年11月26日 (水)

田母神前空幕長論文 小池・加茂市長に聞く

朝日新聞の新潟版である。
http://mytown.asahi.com/niigata/news.php?k_id=16000000811140004
田母神前空幕長論文 小池・加茂市長に聞く

2008年11月14日

小池清彦・加茂市長

 「我が国が侵略国家だったなどというのは濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)だ」。航空自衛隊トップの田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長が日本の侵略行為を正当化する論文を発表して、2週間。空幕長更迭、参院への参考人招致を経ても、問題の波紋は広がる一方だ。かつて防衛庁幹部を務め、自衛隊の海外派兵に反対の姿勢を貫いた小池清彦・加茂市長(71)は「いつか来た道をたどって悔やんでも、後の祭り」。そう警告する。(構成・渋谷正章)

   ◇

 私は防衛庁在職時代、内部部局(いわゆる内局)にいた。制服組とはずっと仲がよかったが、今回の「事件」は別だ。言うべきことは言わないといけない。

 ●「戦後教育による『侵略国家』の呪縛が、自衛隊の士気を低下させた」(3日の会見で前空幕長)

 少し前まで、大東亜戦争の苦い経験から、戦後は「軍人は政治に関与せず」ということが国の鉄則だった。軍人が政治にかかわり、戦争の惨禍を招いた反省に基づくものだ。

 ところが、田母神氏は今や堂々と侵略を正当化し、「自分の国をいい国と言って何が悪い」と開き直る。軍部が暴走し、実質的に統治権を握った戦前の日本の行為を正しいと言っている。彼が言う「いい国」とは「軍国主義時代の日本」のことだ。

 ●「一言も反論できないようでは、北朝鮮と同じ」(3日の会見で前空幕長)

 言論の自由も曲解している。一般の公務員と同様に、自衛官は政治的行為を制限され、日本国憲法の順守義務を厳しく課せられている。彼も入隊時、大きな声で宣誓したはずだ。憲法改正を唱えるというのは誓約違反だ。

 海上自衛隊での暴力事件も、田母神氏の事件と根は同じだ。元々自衛隊の中では暴力は厳しく禁じられていたが、旧軍のあしき伝統がよみがえり、はびこり始めた。

   ◇

〈小泉・安部氏も同罪だ〉

 田母神氏のような人物が統幕学校長時代には軍国時代を肯定したり、憲法問題を採り上げたりする講座をつくり、空幕長まで上り詰めた。これらすべての背景には、小泉、安倍の元首相と2人に任命された防衛庁長官の存在があるのではないか。

 首相時代、小泉氏は憲法改正を目指し、安倍氏は戦後レジームからの脱却を図った。戦後レジームとは民主主義、平和主義、地方分権のことで、これを否定する動きだった。これが田母神氏のような自衛官を甘やかす空気をつくった。田母神氏と彼らは同罪だ。

 ●「悪い国だ、悪い国だと言っていては、自衛隊の士気も崩れる」(11日の参考人招致で前空幕長)

 民主主義社会においては、軍人がこの世で最高の職業で、「我々に誇りを持たせろ。誇りがなければ戦えない」という考えの人は軍人になってはいけない。

 米軍はそんな跳ね上がった考えを持たなくても精強な軍隊をつくっている。「よき軍人はよき市民でなければならない」との考えで強い軍隊をつくっているではないか。

   ◇

〈内局の権限を奪うな〉

 田母神氏を更迭すれば問題は終わりではない。

 今年7月、防衛省改革会議が出した報告書は危険極まりない。作戦運用について、防衛相の命を受け統合幕僚長の下で実施するとある。大臣だけで制服自衛官を抑えきれるのか。戦前は、国会で議員が軍人に「黙れ」と怒鳴りつけられたが、そのうち、軍人に大臣が怒鳴られ、言いなりになってしまいかねない。

 ●「日本では自衛官の一挙手一投足まで統制する。これ以上やると、自衛官が動けなくなる」
(11日の参考人招致で前空幕長)

 

私の経験上、政治家を尊敬している制服自衛官幹部はあまりいない。他方、今の政治家は国会と大臣だけでシビリアンコントロールをしようとしている。戦前、軍部をコントロールできなかったからこそ、戦後の自衛隊には内部部局ができた。報告書はその権限を奪おうとしている。絶対に許してはいけない。

 国民の間には、田母神氏の主張に賛同する声がないとは言えないかもしれない。それは戦争の悲劇を知らない人が大多数となったからだろう。いつか来た道をたどって悔やんでも、後の祭りだ。断言する。3年あれば、本当にかつての軍国主義日本に戻ってしまう。

   ◆◆◆

《前空幕長「論文」問題》

 10月31日、ホテルチェーンなどを展開するアパグループがホームページで「真の近現代史観」懸賞論文の最優秀作品(賞金300万円)を発表。「我が国は蒋介石に日中戦争に引き込まれた被害者」「多くのアジア諸国が大東亜戦争を評価している」などとする田母神俊雄・航空幕僚長(当時)の論文が選ばれ、浜田防衛相は同日、「政府見解と違い、空幕長としてふさわしくない」と更迭を決めた。

 田母神・前空幕長は11月3日、「日本は侵略国家ではない。自虐史観から解放されるべきだ」などと改めて会見で持論を展開し、謝罪しなかった。この日、防衛省は同氏に事情聴取したが、辞職の考えがなく、論文発表が懲戒処分に相当するか前例がないため、空将の定年(60歳)を過ぎているとして定年退職を決めた。

 しかし、約6千万円にのぼるとみられる退職金を支払うことになるなど、政府の対応に批判が集中。同省の調査では、前空幕長のほかにも多くの自衛官が同じ論文懸賞に応募していることも明らかになった。11日、参院での参考人招致でも、前空幕長は憲法改正に言及したほか、「政府見解による言論統制はおかしい」と述べ、論文に「逸脱」はなかったとの見解を鮮明にした。野党は首相の任命責任を追及するなど、国会運営にも影響が及んでいる。

   ◆◆◆

こいけ・きよひこ 37年生まれ、加茂市出身。三条高、東大法学部を経て、60年に防衛庁へ。英国王立国防大に留学後、防衛局計画官などとして防衛力整備にあたった。90年以降、防衛研究所長、教育訓練局長を歴任し、92年に防衛庁を退職。95年、加茂市長に初当選し、現在4期目。「国家衰亡につながる」として海外派兵、憲法改正に反対し、03年にはイラク特措法案の廃案を求める要望書を全国会議員に送った。

2008年11月20日 (木)

ソラ恐ろしいお話し。航空自衛隊を元気にする10の提言

「航空自衛隊を元気にする10の提言」という田母神俊雄のトンデモ論文がある。彼が統幕学校長在任中に航空自衛隊幹部学校幹部会発行の「鵬友」に発表した「論文」だそうだ。これには今回の「日本は侵略国家であったのか」の下敷きの部分も入っている。思わず噴き出しそうになるようなところもある。「あれでいいんだ同好会」とか、「えこひいき大作戦とお邪魔虫大作戦」などというところはお笑いだが。これが空自の公式の印刷物の中で堂々と掲載されていたのだから、ソラ恐ろしい(シャレ?)話だ。
以下のブログから見ることができる。

http://www16.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/1549.html

田母神問題、黒塗り講師名が一部判明

田母神前空幕長の学校問題で、黒塗り講師名が一部、明らかにされた。朝日新聞の報道では、これらに桜井よしこが加わっている。以下、赤旗紙、毎日紙の報道。朝日の記事はインターネットで探せない。(高田)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-11-20/2008112001_02_0.html
全講師が侵略美化派
井上議員に防衛省回答

 防衛省は十九日、前空幕長の田母神俊雄氏が統合幕僚学校長時代に新設した「歴史観・国家観」講義の講師名の一部を明らかにしました。日本共産党の井上哲士参院議員の再三にわたる求めに応じたもの。二〇〇三年度からの講義で講師を務めたのは六人で、明らかになったのは五人。うち三人は侵略戦争を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーです。

 判明したのは、大正大学の福地惇教授、日本文化総合研究所の高森明勅代表、作家の井沢元彦氏、元統幕学校教育課長の坂川隆人氏、冨士信夫・元海軍少佐です。

 福地氏は、侵略戦争を美化する「つくる会」の副会長で、高森氏は理事。井沢氏は、同会のホームページで、賛同者として紹介されています。冨士氏は『こうして日本は侵略国にされた』と題する本を出版。東京裁判について「自虐史観の源流となった」と主張しています。

 また、講義内容の概要も明らかになりました。坂川氏は「誇るべき日本の歴史」として「欧米諸国によるアジア諸国の植民地化に対して立ち向かった日本」を強調。「建国以来の米国の西進は太平洋を越えてアジアに。そこで生起したのが大東亜戦争」と、“自存自衛”論を展開しています。

 氏名が黒塗りになっている一人は、「つくる会」三代目会長の八木秀次・高崎経済大学助教授(当時)とみられます。八木氏は本紙の問い合わせに否定しませんでした。

 麻生太郎首相は井上氏の国会追及に「(講義内容は)バランスのとれた内容に努めることが大事だ」(十三日)と答弁していました。今回の資料により、政府の弁明とはかけ離れた偏向教育が行われていたことが改めて鮮明になりました。

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081120k0000m040126000c.html

前空幕長:幕僚学校講座の講師名など公表 防衛省

 防衛省は19日、田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長が統合幕僚学校長時代に新設した同校講座「歴史観・国家観」の講師名と講義の概要を公表した。08年度の講義には「現在の日本の歴史認識は歪曲(わいきょく)」など田母神氏の論文に近い内容が含まれており、主な講師4人のうち3人は「新しい歴史教科書をつくる会」関係者だった。自衛隊幹部への歴史教育が適切だったか、同省はさらに調べる方針だ。

 同省は03年度から今年度までの講師のうち、同意を得られた人の名前を公表。「つくる会」副会長の福地惇・大正大教授▽同会理事の高森明勅・日本文化総合研究所代表▽同会ホームページで賛同者と紹介された作家の井沢元彦氏▽坂川隆人・元同学校教育課長--の4人で、ほとんどの講義を担当していた。【松尾良】

2008年11月16日 (日)

安倍晋三の「右派の心得」

安倍晋三がこんな事を言っていたとは面白い。(高田)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/081116/stt0811160220000-n1.htm
【土・日曜日に書く】政治部・阿比留瑠比 正攻法だけでは勝てない
2008.11.16 02:19

 ≪二つの事例の共通項≫

 麻生政権下で起きた中山成彬前国土交通相の辞任と、田母神俊雄前航空幕僚長の更迭という一連の大騒動を見ていて、連想して思いだしたことがある。それは、安倍晋三元首相が首相就任前、記者と雑談しているときなどによく言っていたこんな言葉だ。

 「左派勢力は、自分たちの思想をオブラートに包み隠して政府の審議会などに委員となって潜り込み、自分たちの考えを政策に反映させている。それに対し保守勢力は、正面から意見、主張をぶつけてはつぶされている。そこのところをよく考えないといけない」

 中山氏は、「日教組は解体しなければいけない」などと発言したことを「失言」とされ、在任わずか5日間で大臣の職を去った。田母神氏は「日本だけが侵略国家だといわれる筋合いはない」などと意見を表明し、政府見解(日本による植民地支配と侵略を謝罪した「村山談話」)と異なるとして更迭、定年退職させられた。

 前者は報道各社の就任インタビューに答えたもので、後者は民間の懸賞論文への応募論文だ。両者は意見表明の場も、それぞれが主張する内容も異なる。ただ、2人とも動機・心情は純粋でも、自分の言葉がどんな結果をもたらすのか、政治的にプラスなのかマイナスなのかを十分計算して発言したようには見えないのが残念だ。

 2人が一私人の立場だったならそれでよかったろうが、大臣や空自トップとしてはどうか。保守派は、安倍氏が指摘するような左派勢力の「ずるさ」も学び、取り入れる必要があるのではないか。

 ≪村山談話の呪縛力≫

 田母神氏更迭の大本となった村山談話は、旧社会党左派出身の村山富市元首相の個人的思想・信条が色濃くにじみ、歴史のある一面を反映したものにすぎない。

 だが、それでも村山談話は閣議決定を経た政府の公式見解だ。平成10年の日中共同宣言でも「日本側は、村山談話を順守し」とあるように、一種の「国際公約」ともなっている現実があり、保守政治家の安倍氏も麻生太郎首相もこれを踏襲せざるを得なかった。

 安倍氏にあるとき、「なぜ村山談話を踏襲したのか。保守派の失望は避けられないが」との疑問をぶつけたことがある。安倍氏は次のように答えた。

 「失望を買うのは仕方がない。村山談話や河野談話をいきなり否定していたら、その時点で内閣は倒れていた。耐え難きを耐え、じわじわと前進するしかない」

 確かに、村山談話を否定した場合、安倍氏はただちに四面楚歌(そか)の状態に陥り、立ち往生したことだろう。野党やメディアが「危険な軍国主義内閣」として倒閣を叫ぶのは当然のこと、談話肯定派が多数派の与党内からも足を引っ張られ、閣内も意見不一致に陥ったはずだ。外国からも抗議や非難を浴びたのは想像に難くない。

 一方で安倍氏は、村山談話を外交の現場で使用しないよう外務省に指示。政府答弁書では村山談話に出てくる「先の大戦」「あの戦争」の表記について、「その時期など具体的に断定することはできない」とあいまいさを指摘し、談話の「骨抜き」を図ってもいた。

 ≪保守派も悪賢くあれ≫

 政治評論家の屋山太郎氏によると、国鉄民営化を行った第2次臨時行政調査会の参与を務めていた昭和56~57年ごろ、調査会委員の瀬島龍三伊藤忠商事会長に次のようにクギを刺されたという。

 「公の場で『これは、国労(国鉄労働組合)つぶしでもある』と言ってはいけない。そのことはみんな頭の中にはあるけれど、それを口にしたら『組合つぶしのための改革か』と必ず誤解され、改革反対勢力の口実に使われる」

 当時、国労は左派勢力と結託し、ストライキなどで暴れ回っていた。屋山氏はこのころ、月刊文芸春秋誌に「国鉄労使『国賊』論」を発表していたため目をつけられたようだ。今、「瀬島さんに『君が一番、言い出しそうだから、気をつけてくれ』といわれた。ずるい面も含めて利口な人だった」と振り返る。

 ことを成すためには、ときには徹底した慎重さが求められるのだろう。時期を選ばなければ、たとえ「正論」であっても反対勢力を利するばかりということもある。

 田母神氏の論文が問題化した後の11月4日、麻生首相は記者団に集団的自衛権の政府解釈の見直しを検討するか聞かれ、「まったくありません」と述べた。首相は9月の国連総会出席時には「僕は解釈を変えるべきものだとずっと言っている」と語っており、この後退ぶりは田母神氏の件と無縁であるとは考えにくい。

 中山、田母神両氏の無念さを思うにつけ、保守派にはもっと、悪賢く立ち回るぐらいであってほしいと願う。(あびる るい)

2008年11月14日 (金)

クーデター危ぶむ声も 前空幕長問題で自民幹部

自民党の中からもこうした危惧がでている。麻生首相はクーデターということではないと語ったが、この問題を軽視すべきではない。中馬史がいうように空自だけでなく、陸自、海自でもあり得ることだ。国会は徹底して追及すべきだ。そうした作業こそがシビリアンコントロールなのだ。
しかし、過日の田母神喚問も、昨日の麻生首相への質問も、なぜか、国会議員の追及は弱い。自民党の中に「玉上論文でなぜ悪い」問いなおる日本会議系議員がわんさといる以上、与党の質問がいい加減なのは当然だが、野党の攻め方も納得できない。民主党の攻め方には鋭さがまったくない。自民党の中馬議員程度の論戦が出来ないのは情けない。
あえて言うのだが、共産党の井上議員の質問も、頑張ってはいるが、講義のカリキュラムを「個人情報」のせいにして講師名すらあかさない防衛省との闘いが不十分ではないか。公務員としての自衛隊での講義カリキュラム、講師名をあかせないと言いつのる浜田防衛大臣にたいして、抗議しただけで矛を収めてしまった。断固として、審議を止めてでも闘うべきではなかったか。言論で争うと言うことは、そうした闘いを否定することではないはずだ。国会戦術があまりにも「自縄自縛」になってしまってはいないか。外交防衛委員会の委員長が「防衛相はおかしい」と言っているのだから、攻めようがあったはずだ。議論の仕方が、あまりにも品が良すぎるではないか。本欄の下段に採録した読売新聞のコラムが至極まともなことを言っている。ご一読を。
社民党の山内議員の質問は一本調子で、声高ではあるが、中身が甘い。こんな事では困るのだが。
野党はもっと院外のたたかいと結びついて、闘うことを重視すべきではないか。一斉に街頭に出て演説会をやるとか、集会をもっと組織するとか、工夫が必要だ。私たちの闘いも不十分なのではあるが。(高田)

http://www.47news.jp/CN/200811/CN2008111301000958.html
クーデター危ぶむ声も  前空幕長問題で自民幹部

 田母神俊雄前航空幕僚長が歴史認識に関する政府見解を否定する論文を公表した問題をめぐり13日、自民党の各派総会で、青年将校らがクーデターを企てた2・26事件などを引き合いに「シビリアンコントロール(文民統制)をしっかりしないといけない」と危ぶむ声が相次いだ。

 山崎派では、防衛庁長官も務めた山崎拓会長が「最高指揮官の麻生太郎首相が村山談話を踏襲すると言っている以上、現職自衛官が論難することは許されない。憲法秩序の中の自衛隊とわきまえてもらいたい」と批判。

 石原伸晃幹事長代理は「かつて世界恐慌が起き、政治不信を背景に青年将校が台頭した。金融恐慌の今、日本では若者が政治への不満を募らせている」と強調し、野田毅元自治相は「政治が緊張感を失っているのではないか」と指摘した。

 麻生派の中馬弘毅座長は「陸上や海上(自衛隊)は大丈夫か。だらしない政府はつぶせと首相官邸を取り囲み、放送局を占拠すれば一挙にクーデターとなる。2・26事件は青年将校だったが、今回は長だ」と訴えた。
2008/11/13 22:22   【共同通信】

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-11-14/2008111401_03_0.html
侵略美化 受講400人
田母神氏03年設置 自衛隊の幹部教育
井上議員質問

(写真)質問する井上哲士議員=13日、参院外交防衛委

 田母神俊雄前航空幕僚長が統合幕僚学校長時代に新設した「歴史観・国家観」講義を受講した幹部自衛官が約四百人に達することが十三日の参院外交防衛委員会で明らかになりました。日本共産党の井上哲士議員の追及に浜田靖一防衛相が答弁したもので、侵略戦争美化、憲法破壊の考え方を教え込む幹部教育が、隊内で大規模に進められていることがはっきりしました。

 講義が新設されたのは二〇〇三年度。田母神氏は十一日の同委員会で、自身が設けたことを井上氏に対し認めています。

 浜田防衛相は、その受講者数が、陸・海・空の自衛隊別にそれぞれ百四十人、百三十人、百二十人だと明らかにしました。

 井上氏が示した防衛省資料によると、同講座の「主要教育内容」は「現憲法及び教育基本法の問題点」や「大東亜戦争史観」などですが、講師の名前は黒塗りにされています。

 井上氏は、講師を務めたことを明らかにしている大正大学の福地惇教授(「新しい歴史教科書をつくる会」副会長)の講義内容が「満州事変・満州建国は日本の侵略ではない」「偽装歴史観に裏付けられた平和憲法=『GHQ占領憲法』」などであると指摘。「田母神氏が今回、論文で明らかにした中身が幹部教育で教えられている」と迫りました。

 麻生太郎首相は「(講義)内容を把握していない。お答えしようがない」と答弁。井上氏は、そうであれば、いっそう講師の氏名、講義内容の資料提出が必要だと求め、北沢俊美委員長(民主党)も「黒塗りで出すとは防衛省の見識を疑う。即刻明らかにすべきだ」と述べました。

 井上氏は「田母神氏は更迭されたが、第二、第三の田母神氏をつくる仕組みは残っている」と批判、幹部教育の全容を明らかにし、その是正を強く求めました。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20081113-OYT1T00347.htm

前空幕長論文で首相「長年、見過ごしてきたのは問題」

 参院外交防衛委員会は13日午前、昭和戦争などに関して田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長(3日付で定年退職)が政府見解に反する論文を発表して更迭された問題などに関する審議を行った。

 麻生首相は、田母神氏が2007年3月に空幕長に任命される以前から、航空自衛隊内で政府見解と異なる論文を寄稿していたとして、防衛省の監督体制に問題があったとの認識を示した。

 田母神氏は統合幕僚学校長当時の2004年、空自の隊内誌「鵬友」7月号に、「我が国は専守防衛を旨としているが、自衛隊の中にも相手国への攻撃について徹底的に考える人たちが必要だ」などと寄稿していたが、当時の防衛庁は論文内容を把握していなかった。

 この論文について、首相は「この論文が航空幕僚長になる前から出ていたことは極めて不適切だ」と語った。その上で、「長年、見過ごしてきたのは問題だ。隊員の監督、教育の在り方については万全を期す」と強調した。また、首相は、田母神氏が今回、部外に投稿した論文に関し、1995年の村山首相談話に照らして、「侵略がないというのであれば(村山談話と)全く正反対になる」と述べ、侵略を否定した記述が政府見解に反したとの考えを示した。

 田母神氏が「自衛官の言論を政府見解に沿って統制すべきではない」と主張したことについて、首相はこうした考え方を改めて否定。「空幕長となると、公の場で常識に違っていることや、政府見解と違った発言をすることは制限されざるを得ない。それがいやなら、任務に就くべきではない」と強調した。自民党の山本一太、民主党の藤田幸久両氏の質問に答えた。
(2008年11月13日12時45分  読売新聞)


http://www.yomiuri.co.jp/editorial/column2/news/20081114-OYT1T00466.htm

11月14日付 よみうり寸評

 戦後間もなくの墨塗り教科書でもあるまいに、田母神(たもがみ)俊雄前航空幕僚長問題で、防衛省が国会に提出した資料の黒塗りはおかしい◆「日本が侵略国家とは濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)」などの論文で職を棒に振った田母神氏は過去にも同様、政府見解に反する論文を隊内誌に発表したり、統幕学校の校長を務めていた当時、「歴史観・国家観」の講義を新設したりしていた◆資料はその講義のリストで、講師名が黒塗りされていた。防衛省幹部を養成する講義の担当者を伏せる理由はないだろう◆「いかがわしい雰囲気を国民に与える。許し難い。明らかにするべきだ」と北沢参院外交防衛委員長。これがマル秘とは???◆立場をわきまえずに「言論の自由」を高言し、「いささかも間違っていない」という前航空幕僚長は危うい。麻生首相は、その主張を「不適切」と切り捨てた◆孔子は「軍を指揮するなら、だれとともにするか」と問われて「向こう見ずと一緒にはやれない」と答えている。思慮深い文民統制をゆるがせにしてはならない。
(2008年11月14日14時21分  読売新聞)

2008年11月11日 (火)

「言論の自由」「ネットで支持も」田母神氏、強気に持論

この田母神問題は忘れてはならないと思う。いま、WORLD PEACE NOWの国会前集会を終えて戻って、パソコンに向かっている。久しぶりに空気の寒さを感じる中での集会だった。みな、田母神発言を怒りを込めて糾弾した。こんな人物が「言論の自由」などの議論をすること自体、片腹痛い。こんな人物が自衛隊の最高幹部であったことは空恐ろしいことだ。麻生首相は、この対処の問題にとどまらない彼自身の歴史認識、憲法認識をはっきりと語らねばならない。処分したから終わりではない。首相はどう考えているのか。田母神論文のどことどこが問題なのか、麻生太郎の認識をはっきりさせなくてはならない。(高田健)
http://www.asahi.com/politics/update/1111/TKY200811110181.html
http://www.asahi.com/politics/update/1111/TKY200811110181_01.html
「言論の自由」「ネットで支持も」田母神氏、強気に持論

参院外交防衛委員会に出席する田母神俊雄・前空幕長=11日午前、松本敏之撮影

 先の戦争を正当化する論文を書いて更迭された田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長が11日午前、参院外交防衛委員会の参考人招致に立った。自ら希望していた答弁。自衛隊のかつての実力者は、歴史認識や自衛隊のあり方を問われ、強気に持論を披露した。

 午前10時前、田母神氏は報道カメラマンのフラッシュを浴びながら、まっすぐ前を見据えたまま参議院第1委員会室に入った。今月初めに定年退職するまで30年以上着ていた制服姿ではなく、紺色のスーツで身を包んでいた。

 冒頭、北沢俊美委員長(民主党)から「制服組トップが内閣総理大臣の方針に反したことを公表するという驚愕(きょうがく)の事案。昭和の時代に文民統制が機能しなかった結果、三百数十万人の尊い人命が失われたことを忘れてはならない」と指摘された。

 しかし、田母神氏は、落ち着いた様子で次から次へと持論を述べた。

 「(日本の植民地支配と侵略への反省や謝罪を表明して政府見解となった)村山談話と私の論文は別」と語り、「我々にも憲法19条(思想及び良心の自由)、21条(表現の自由)は……」と権利を主張しようとして、委員長から遮られる場面もあった。

 質疑が進むにつれ、言葉はなめらかになる。「私の書いたものは、いささかも間違っているとは思っていない」「自衛隊が動けなくなる。言論統制を徹底した軍にすべきではない」と述べた。

 さらに、インターネット上の意識調査でも論文問題が半数以上に支持されていると言及。「国民に不安を与えたことはないと思う」と強弁し、与党の浜田昌良氏(公明党)からも「正当化するのは問題だ」とたしなめられた。

 約2時間半の答弁を終えた後、報道陣にも「言論の自由があり、村山談話といえども制約することはできない」と語った。しかし、6千万円程度とみられる退職金について聞かれると、こう言った。「生活が苦しいから、ぜひ使わせて頂きたい」
 「日本が侵略国家というのは濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)」「我が国は日中戦争に引きずり込まれた被害者」。ホテルチェーンのアパグループの懸賞論文で持論を発表した田母神氏は、航空自衛隊内での信望は厚かった。

 関係者によると、今年4月、空自のイラクでの活動の一部を違憲と判断した名古屋高裁の判決に対して、「『そんなの関係ねぇ』という状況だ」と記者会見で語って物議をかもしたが、そのストレートな物言いは、時に「自衛隊の代弁者」として周囲には映っていた。

 今月3日に定年退職に追い込まれるまでは、陸海空の三つの自衛隊のトップである次期統合幕僚長の有力候補。故郷は福島で、なまりを残す朴訥(ぼくとつ)とした人柄も人を引き寄せたという。

 だがその実力は、組織内での「暴走」も招いていた。懸賞論文に田母神氏が投稿することを、空幕内の一部は事前に知っていたが、結果的に止めることはできなかった。

 問題が表面化した10月31日には、辞表の提出を求める浜田防衛相に自身の正当性を主張し続けた。自らの力を過信した行動ともみられ、電光石火の更迭劇は「田母神氏にとっても誤算だったはず」と防衛省幹部は解説する。

 国会での答弁は通常、防衛省の内部部局(内局)の背広組が担当する。自衛隊幹部である制服組の答弁は、1959年に源田実・航空幕僚長(当時)が参院内閣委員会に出席した時までさかのぼる。田母神氏は制服を脱いでいるとはいえ、「制服組トップ」の答弁はほぼ半世紀ぶりとなる。

田母神前空幕長が改憲主張 参院委で「直した方がいい」  

参院外交防衛委員会で参考人として招致された田母神・全航空幕僚長が「9条をなおしたほうがいい」と主張した。田母神は99条も、文民統制も全くわかっていない。こういう改憲論者を空幕長にしておいた政府・防衛省の責任は重大だ。(高田)

http://www.47news.jp/CN/200811/CN2008111101000020.html

田母神前空幕長が改憲主張  参院委で「直した方がいい」  

 歴史認識に関し政府見解を否定する論文を発表して更迭された田母神俊雄・前航空幕僚長は11日午前、参院外交防衛委員会での参考人招致で、憲法9条に関し「国を守ることについてこれほど意見が割れるものは直した方がいい」と述べ、改正すべきだとの考えを表明した。田母神氏は論文でも、集団的自衛権行使を容認すべきだと主張している。航空自衛隊の前最高幹部が憲法改正の持論を国会で正式に表明したことは、シビリアンコントロール(文民統制)との関連でも問題となりそうだ。

 一方で田母神氏は、懸賞論文の募集について、航空幕僚監部の教育課長に紹介したことを明らかにした。教育課長は「自己啓発に役立つ」としてファクスで論文の存在を各部隊に周知させていたことが判明しており、田母神氏の関与で組織的に投稿を働き掛けていた疑いが濃厚となった。

 懸賞論文には、田母神氏以外にも航空自衛官94人が応募。防衛省・自衛隊は各部隊への通知について「教育課長の判断で、田母神氏の関与は確認されていない」としていた。ただ田母神氏は「私が指示すれば、千を超える数が集まる」とも述べ、直接的な指示を否定した。

 浜田靖一防衛相は、懲戒処分の手続きに入らなかった理由に関し「(懲戒手続きの審理の中で)政府見解と異なることを新たに主張され、自衛隊員の士気が落ちることは避けたかった」と釈明。田母神氏は懲戒処分の審理に入っていた場合の対応に関し「村山首相談話は政治声明だと思うので、われわれにも言論の自由があることを主張するつもりだった」と答弁した。

2008年11月 7日 (金)

論文応募 トップの意酌み組織的?

備忘録。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008110790071007.html
論文応募 トップの意酌み組織的?

2008年11月7日 07時10分

参院外交防衛委員会で答弁する浜田防衛相(右端)。左から中曽根外相、河村官房長官=6日午後、国会で

 田母神(たもがみ)俊雄前航空幕僚長が侵略戦争を正当化する論文を発表した民間企業の懸賞論文で、全応募者の三分の一を航空自衛隊員が占めていることが六日、分かった。空自トップの意向に沿って組織的に投稿を促していた可能性が高まり、シビリアンコントロール(文民統制)の在り方があらためて問われる事態だ。 (古田哲也)

 防衛省は六日の民主党外交防衛部門会議で、応募者二百三十五人のうち七十八人が空自隊員で、そのうち六十二人が石川県の小松基地にある第六航空団の所属だったことを明らかにした。

 論文は、ホテルチェーンを全国展開する「アパグループ」(元谷外志雄代表、本社・東京)が五月から「真の近現代史観」のテーマで募集した。

 元谷氏は同県出身で「小松基地金沢友の会」の会長。歴史認識問題などで保守的な思想を記した著書も多数出している。田母神氏は一九九八年七月から九九年十二月まで第六航空団司令を務めており、両氏は旧知の仲だった。

 今回の懸賞は、空幕の教育課が全国の空自基地などに案内を出していた。防衛省の中江公人官房長は六日の参院外交防衛委員会で、第六航空団の幹部教育の一環として、懸賞論文と同じ課題で論文を書かせたと明かした。

 政府は、公務員が懸賞論文に応募することは、上司に事前報告があれば「問題ない」との立場だ。だが、田母神氏は応募を浜田靖一防衛相らに事前に報告していなかった。ほかの空自隊員についても、上司に報告しないまま応募した例がないか、同省が調査している。

 報告がなければ、文民統制を担う防衛相らが事前にチェックすることは不可能。今回のケースは、制服組が特定の政治的見解を組織ぐるみで打ち出すよう促したとも受け取られかねず、文民統制にかかわる際どさをはらんでいる。

2008年6月 6日 (金)

鳩山幹事長、「天皇は元首」明記訴え

本日、6日の読売のベタ記事である。サイトからとれないので入力しておく。(高田)
「天皇は元首」明記訴え
民主党の鳩山幹事長は5日、都内で開かれた「天皇陛下ご即位20年奉祝委員会」(会長=岡村正・日本商工会議所会頭)の設立総会で挨拶し、「憲法改正の議論の中で『日本国は天皇を元首とする民主主義国家である』と書き込むべきだ」と述べた。鳩山氏は2005年、「国民統合の象徴である天皇を元首とする」と明記した独自の改憲試案を発表している。

2008年5月11日 (日)

社説ウオッチング:憲法記念日 「9条改正」主張なし

毎日の社説ウォッチングである。
商業紙のプロ記者が折角書くのなら地方紙の動向にも注意を払ってもらいたかったところだが。本ブログでもすでに紹介したが、この特徴の指摘はだいたい妥当であろう。(高田)

http://mainichi.jp/select/opinion/watching/
社説ウオッチング:憲法記念日 「9条改正」主張なし
 ◇「9条改正」主張なし--各紙
 ◇生存権の侵害に警鐘--毎日

 61回目の憲法記念日の3日、各紙は社説で一斉に憲法を取り上げた。昨年の60回目の記念日は「戦後レジームからの脱却」を掲げた安倍晋三首相が憲法改正を7月の参院選の争点にする、と意気込み、憲法改正の手続き法である国民投票法案が成立直前だったため、各社とも戦争放棄と軍隊不保持をうたった9条問題への言及が中心だったが、今年は福田康夫首相が改憲路線とは一線を画し、各社世論調査でも改憲反対が増えた中で、改憲を主張する読売、日経、産経が正面切っての9条改正論を打ち出さず、衆参ねじれ国会打開のための2院制改革などに焦点を移したのが特徴だ。一方、ワーキングプアや非正規労働者の激増という新しい貧困がクローズアップされる中、毎日、朝日、東京は憲法前文や25条が定める生存権をいかに生かすか、という新たな視点で憲法の血肉化を求めた。また、3紙は表現の自由を守る大切さを訴え、毎日は「ことなかれ」世論に警鐘を鳴らした。
 ◇2院制のあり方焦点

 94年に憲法改正試案を発表後、一貫して改憲を訴える読売は、昨年5月の国民投票法成立で衆参両院に設置された憲法審査会がまったく動いていない、と批判。2010年に憲法改正発議が可能になるが「これ以上、遅延させては、国会議員としての職務放棄に等しい」と断じた。また「ねじれ国会」打破のために2院制のあり方を「大いに論議してもらいたい」と注文した。しかし、あれほど熱心だった「9条改正」「安全保障」の文言は見当たらない。新聞社は重要な節目には通常2本で構成する社説を長文の1本社説にするが、この日の読売は2本社説で、風向きの変化を印象付けた。

 日経も「ねじれ国会の迷走を貴重な教訓」に衆院再可決の要件を3分の2から過半数に緩和する59条改正を改めて主張。1本社説の大半を2院制改革論にあてた。
 ◇産経「9条解釈変更を」

 産経は4月に中東イエメン沖で日本郵船の大型タンカーが海賊に襲われ被弾したのに、周辺海域で多国籍軍への給油活動を行っていた海上自衛隊の補給艦と護衛艦が憲法の制約で撃退できなかったことを取り上げ、「憲法守って国滅ぶである」「海賊も撃退できない憲法解釈がいかにおかしなものか」と悲憤慷慨(こうがい)したが、解釈改憲で対応可能とし、正面切っては9条改正を主張しなかった。

 読売、産経の社説に世論の変化の影響が読み取れる。各社世論調査を見てみよう。読売調査(3月15、16日)は改憲賛成が42・5%、改正反対が43・1%と93年以来では初めて非改正派が改正派を上回った。日経調査(4月18~20日)は「改正すべき」が48%、「現在のままでよい」43%だが、前回(07年4月)比で改正支持は3ポイント低下、現状維持支持は8ポイント上昇した。朝日も改憲派が07年の58%から56%へ、護憲派が27%から31%。同様の傾向を見せた。特徴的なのは朝日調査で9条改正反対が昨年の49%から66%に激増し、改正賛成が33%から23%に減ったことだ。毎日は「あれほど盛んだった改憲論議が、今年はすっかりカゲをひそめてしまった。国民の関心は憲法よりも、暮らしに向かっている」と解説する。

 毎日、朝日、東京は生存権にスポットライトを当てた。

 毎日はイラクの航空自衛隊の活動に対する名古屋高裁の違憲判決が憲法前文の「平和のうちに生存する権利」を法的権利と認めたことに触れ「ダイナミックにとらえ直された『生存権』。その視点から現状を見れば、違憲状態が疑われることばかりではないか」と指摘。後期高齢者医療制度、ワーキングプア、消えた年金などを例示して「『生存権』の侵害に監視を強める地道な努力」を訴えた。

 東京は憲法25条が「すべて国民は、健康で文化的な生活を営む権利を有する」とあるのに、生活保護辞退の強制などが相次ぐ現状を「弱者に対する視線の変化」として「行き過ぎた市場主義、能力主義が『富める者はますます富み、貧しい者はなかなか浮かび上がれない』社会を到来させ」たと分析した。

 朝日も雇用、社会保険、公的扶助の3段階のセーフティーネットの脆弱(ぜいじゃく)さを問題にした。年収200万円に満たずワーキングプアとされる労働者が1000万人を超え、非正規労働者が働く人の3分の1を占める中、「憲法と現実との間にできてしまった深い溝」を埋める必要性を訴えた。
 ◇表現の自由の危機

 右翼のいやがらせへの懸念を理由に、裁判所決定を無視し、日教組の集会を拒んだ東京のホテル。国会議員の介入を機に映画館の上映中止が相次いだ映画「靖国」。毎日は「『面倒は避けたい』と思うのは人情だ。しかし、このとめどもない『ことなかれ』の連鎖はいったいどうしたことか。意識して抵抗しないと基本的人権は守れない。私たちの現状は、やや無自覚に過ぎるように見える」と、集会の自由、表現の自由が脅かされている問題を「『ことなかれ』に決別を」のメーン見出しで取り上げた。【紙面研究本部・長田達治】

2008年5月 9日 (金)

5月3日、新聞各紙社説紹介

この間、運動の多忙さの故に手抜きになっていたが、遅ればせながら5月3日の各紙社説を拾った。読売、日経、産経、朝日、毎日、東京、北海道、神奈川各紙である。
特徴は改憲派の読売、日経が9条改憲論を正面から展開できずに、衆参ねじれ国会状況に引っかけて二院制のあり方を論じて改憲へと誘導しようとしていること(産経は海賊事件に例を借りて、自衛隊派兵改憲を主張したが)、朝日や各地方紙が、この1年で憲法状況が大きく変化したことを指摘し、9条護憲の意見が国民の間で急増していることや、貧困と深刻な格差社会、名古屋高裁判決、立川反戦ビラ判決、プリンスホテル問題などに触れ、「憲法と現実の乖離」を指摘し、9条だけでなく、21条や25条の問題でも、憲法の理念を実現することを主張していることである。
この間、9条改憲論の根拠として強大な自衛隊保持などの現実と憲法の乖離が主張され、憲法を現実にあわせるための改憲が語られてきた。ではお聞きしたい、21条や、25条での現実との乖離も改憲派の諸君は憲法を現実にあわせろと主張するのだろうか。これらの深刻な乖離は名古屋高裁判決を受けての福田首相の発言や海上幕僚長の「関係ねえ」発言にみられるように、憲法無視、立憲主義の否定の態度と共通する問題である。各紙社説氏は、こうした指摘を5月3日の一時の憲法論に終わらせるのではなく、ジャーナリズムの使命としての恒常的な権力批判として展開しなければならない。この社会の現状にはマスマディアにもまた重大な責任があるからだ。
地方紙各紙の社説を集めたNPJの資料は迫力がある。
http://www.news-pj.net/siryou/shasetsu/2008.html#anchor-kenpou(高田)


http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080502-OYT1T00753.htm

憲法記念日 論議を休止してはならない(5月3日付・読売社説)

 この国はこれで大丈夫なのか――日本政治が混迷し機能不全に陥っている今こそ、活発な憲法論議を通じ、国家の骨組みを再点検したい。

 昨年5月、憲法改正手続きを定めた国民投票法が成立し、新しい憲法制定への基盤が整った。

 ところが、同法に基づいて衆参両院に設置された憲法審査会は、衆参ねじれ国会の下、民主党の消極的姿勢もあって、まったく動いていない。

 超党派の「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根元首相)が1日主催した大会に、顧問の鳩山民主党幹事長らが欠席したのも、対決型国会の余波だろう。

 大会では、憲法改正発議に向けて憲法問題を議論する憲法審査会を、一日も早く始動させるよう求める決議を採択した。これ以上、遅延させては、国会議員としての職務放棄に等しい。

 与野党は、審査会の運営方法などを定める規程の策定を急ぎ、審議を早期に開始すべきだ。

 憲法審査会で論じ合わねばならぬテーマは、山ほどある。二院制のあり方も、その一つだ。

 現行憲法は、衆参ねじれ国会を想定してはいた。例えば、憲法59条。衆院で可決した法案を参院で否決、または60日以内に議決しない場合、衆院は3分の2以上の賛成多数で法案を再可決し、成立させることができる。

 政府・与党は、これに基づき、インド洋での海上自衛隊の給油活動再開のための新テロ対策特別措置法と、ガソリン税の暫定税率を復活させるための税制関連法をそれぞれ再可決、成立させた。

 この再可決は、憲法の規定上、何の問題もない。

 かつて、参院議長の私的諮問機関は、参院改革の一環として、衆院の再可決要件を、「3分の2以上」から「過半数」に緩和することを提言した。自民党が新憲法草案を作成する過程でも、同様の案が一時、浮上した。

 もちろん、こうした改革には憲法改正が必要で、直ちに実現できることではない。

 ただ、参院の機能は、衆院に比べてあまりに強すぎないか。衆参両院の役割分担を見直す必要はないか。与野党には、こうした憲法改正にかかわる問題を大いに論議してもらいたい。

 衆参ねじれ国会は、国として迅速にしなければならぬ意思決定を困難にしている。こうした国会機能をめぐる議論を積み重ねることが、新しい国会ルールの形成にもつながるのではないか。
(2008年5月3日01時45分  読売新聞)

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20080502AS1K3000302052008.html
日経新聞 社説 憲法改正で二院制を抜本的に見直そう(5/3)

 衆参両院の多数派が異なるねじれ国会で政局が迷走する中で、61回目の憲法記念日を迎えた。現行の二院制度は日本国憲法の最大の欠陥である。議院内閣制がきちんと機能するように憲法を改正し、よりよい二院制度をめざしたい。ねじれ国会の迷走を貴重な教訓として憲法改正論議に生かすべきである。

 私たちはかねて、参院が大きな権限を持つ現行制度の下では議院内閣制が立ち往生しかねないと指摘してきた。そうした懸念が現実となったのがねじれ国会の迷走である。

衆院の優越より明確に

 テロ防止のための国際協力に4カ月近くの空白が生じた。日銀総裁の決定も混迷に混迷を重ねた。予算を執行するための関連法案の成立も容易でない状況が続いている。

 現在は与党が衆院で3分の2以上の多数を握っており、参院で法案が否決されるか、2カ月以内に議決しない場合に衆院で再可決できるので国政の混乱もまだこの程度で収まっている。しかし、与党が衆院で3分の2以上の勢力を持つのは極めてまれである。与党が衆院で単なる過半数しか持っていない場合、政治はたちまち行き詰まってしまう。

 議院内閣制は衆院多数派が内閣を組織し、国会と国民に責任を負う仕組みだ。参院はこれに対する「チェック機関」「再考の府」であり、参院が強大な権限を持つと議院内閣制の趣旨は貫徹できなくなる。現行憲法は首相指名、予算、条約承認で衆院の優越を明確に認めているが、普通の法案については衆院の3分の2の再可決規定があるだけである。

 衆院の優越規定がそれだけでは明らかに不十分である。予算が成立しても歳入などの裏付けとなる関連法案が成立しなければ予算執行に支障が出る。条約が承認されても関連の国内法が成立しなければ実際の効力が発生しないケースも出てくる。国会同意人事も最終的には内閣の責任になるのだから衆院の優越を認めないのは不自然である。

 英国の上院は貴族院であり、ドイツの連邦参議院は州政府の代表で構成されている。いずれも国民の直接選挙ではなく、その分、権限は制約されている。一方、イタリアの上院は国民の直接選挙で下院と完全に同等の権限を持っており、解散の場合は常に上下両院同時である。解散がないのに大きな権限を持つ日本の参院は世界的に見ても異様である。

 私たちは衆院の優越をより明確にするため憲法59条を改正し、衆院の再可決の要件を3分の2から過半数に緩和すべきだと主張してきた。参院に従来通り2カ月の審議期間を保証すれば、チェック機関、再考の府としての機能は十分に果たせるはずである。道路特定財源問題では参院が2カ月間審議を引き延ばした結果、内閣は再可決の条件整備のために一般財源化方針に踏み切らざるを得なくなったのが一例である。

 現行の二院制度を前提とする限り、ねじれを解消する手段は最終的に衆院第一党と参院第一党の大連立しかないだろう。衆院選の民意を踏まえた結果なら大連立もやむを得ないと考えるが、大連立が常態化するのは好ましくない。議院内閣制はやはり二大政党による政権交代可能な政治体制が基本である。

 憲法を改正して参院の権限を縮小し、衆院の優越をより明確にするのに合わせて、参院の選挙制度も抜本的に見直すべきである。現行の3年ごとの半数改選は米国上院をまねたものでほとんど無意味だ。6年の任期も長すぎる。全国単位の比例代表制は廃止した方がいい。

参院は地方代表で構成

 衆院議員が全国民の代表とするなら、参院議員はドイツのように地方の代表として位置づける。将来の道州制導入をにらんでブロックごとの比例代表選挙か、あるいは直接選挙をやめて間接選挙とし、総定数は100人程度とする。このような案も一考に値しよう。

 自民党は2005年に新憲法草案を公表したが、参院の改革には全く触れていない。民主党も憲法に関する基本的な考え方をまとめているが、参院のあり方への言及がない。両党ともこれまで参院をタブー視して党内議論を封じ込めてきた。ねじれ国会の迷走はそうした両党の姿勢に反省を迫っているともいえよう。民主党も将来政権を担うときに参院が足かせになる可能性があることをもっと真剣に考えた方がいい。

 昨年5月に成立した国民投票法で衆参両院に憲法審査会を設置することが決まった。だが、同審査会の組織や運営ルールを定める審査会規程の協議を民主党が拒否し続け、いまだに憲法審査会が活動できずにいる。議論すべきテーマは二院制度見直しだけにとどまらない。自衛隊の国際貢献などの安全保障、抜本的な地方分権、環境や生命倫理などいくらでもある。一刻も早く憲法審査会を始動させるべきである。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080503/plc0805030149000-n1.htm
憲法施行61年を迎えた。施行された昭和22年当時には想定できなかった事態が続発している。

 サブプライム問題に伴う金融危機、資源争奪に加え、中国の軍事力強大化や北朝鮮の核の脅威にさらされている。この国際環境の激変とパワーゲームを前に日本は日銀総裁を空席にしたように国家意思を決められなくなっている。

 より深刻なのは、日本が国家として当たり前のことを実行できなくなっていることだ。4月21日、中東イエメン沖で日本郵船の大型タンカー「高山」が海賊に襲われ、被弾した事件は、日本が公海上で海賊を撃退することに無力なことをみせつけた。憲法解釈によりがんじがらめだからである。

 これでは日本は国際社会の平和と安定に寄与することはむろん、国の安全を保っていくことも難しい。憲法守って国滅ぶである。

 高山が被弾した海域の周辺では海上自衛隊の補給艦と護衛艦が多国籍海軍へ給油支援を行っている。普通の国の海軍なら、自国船舶が海賊に襲撃されたら、自衛権によって不法な暴力を撃退するが、海自はそうした行動を取れない。

 それは、新テロ特別措置法が給油支援に限定しているだけでなく、不法な暴力を抑止する国内法規定がないうえ、普通の軍隊に付与される「平時の自衛権」が認められていないためだ。

 日本は自衛権の発動に急迫不正の侵害などの厳格な要件を課している。このため海賊の攻撃に自衛権は適用されず、撃退は憲法解釈で禁止されている「武力行使との一体化」行為とみなされる。

 ≪自衛権がなぜ使えない≫

 国連安保理は現在、海賊を領海内まで追跡、逮捕できる権限を付与する決議を準備しているが、日本はパトロールすら実施できないと弁明するのだろうか。

 問題海域は日本の海上交通路(シーレーン)と重なる。日本の国益にかなう国際共同行動に日本がもし憲法を理由に参加しないなら、国際社会はどう受け止めるだろうか。国際社会との連携こそ、貿易立国・日本の基軸であり、その実現に総力を挙げるべきだ。

 この国際社会の行動を国会はどの程度直視しているのだろう。政争に明け暮れているのが実態ではないか。憲法問題の調査、研究を行うために昨年8月、衆参両院に設置された憲法審査会がいまだに、定員や審議方法などを定める規程を決められないまま、開店休業なのは、その一例である。

 この怠慢に民主党の責任は大きい。同党は国民投票法採決を与党が強引に進めたと批判、昨秋の執行部人事でも憲法調査会長を置くことなく、憲法問題に背を向けている。憲法審査会での憲法改正原案の起草・審査は現在凍結されているが、平成22年5月に解除される。それまでに国民の平和と安全をきちんと守れる国のありようを与野党で論じ合うのが、立法府の最低限の責務だろう。

 ≪タブーなく参院見直せ≫

 衆参両院の意思が異なる「ねじれ」が日本を停滞させてもいる。この問題では国民の利益や国益を守るため、与野党の歩み寄りが必要不可欠だが、参院のあり方もタブーなく見直すべきである。

 自民党が平成17年10月にまとめた新憲法草案や参院憲法調査会の報告書でも、参院は現状維持にとどまっている。参院見直しに参院側が反発したためである。

 フランス革命の理論的指導者だったシェイエスは「第二院は何の役に立つのか。第一院と一致するなら無用、異なれば有害」と語ったが、日本における二院制のあるべき姿を憲法改正を含めて明確にしなくてはなるまい。

 これまでの日本は憲法解釈に基づき、できることとできないことを仕分けしてきた。できることは超安全な地域での給油支援などだった。武力行使との一体化を避けるためだが、憲法第9条の「国際紛争を解決する手段としての武力行使」は2国間の戦い、いわば侵略戦争のための武力行使を意味している。国際的な警察行動や制裁はそこに含まれないと考える有力説もある。

 海賊も撃退できない憲法解釈がいかにおかしなものか。自民党の新憲法草案で自衛軍保持と集団的自衛権の行使容認をまとめた福田康夫首相は熟知していよう。小沢一郎民主党代表も「普通の国」が持論だったはずだ。国民の常識が通用する憲法体制の構築に与野党は競い合ってほしい。

http://www.asahi.com/paper/editorial20080503.html
朝日新聞社説 日本国憲法―現実を変える手段として

 たった1年での、この変わりようはどうだろう。61回目の誕生日を迎えた日本国憲法をめぐる景色である。

 昨年の憲法記念日のころを思い出してみる。安倍首相は、夏の参院選に向けて憲法改正を争点に掲げ、そのための手続き法である国民投票法を成立させた。集団的自衛権の政府解釈を見直す方向で、諮問機関も発足させた。

 ところがいま、そうした前のめりとでも言うべき改憲気分は、すっかり鳴りを潜めている。福田首相は安倍時代の改憲路線とは一線を画し、集団的自衛権の見直しも棚上げにした。

 世論も冷えている。改憲の旗振り役をつとめてきた読売新聞の調査では今年、93年以降の構図が逆転し、改憲反対が賛成を上回った。朝日新聞の調査でも、9条については改正賛成が23%に対して、反対は3倍近い66%だ。

 90年代から政治やメディアが主導する形で改憲論が盛り上がった。だが、そもそも政治が取り組むべき課題を世論調査で聞くと、景気や年金など暮らしに直結する問題が上位に並び、改憲の優先順位は高くはなかった。イラクでの米国の失敗なども背景に、政治の熱が冷めれば、自然と関心も下がるということなのだろう。

 むろん、政界再編などを通じて、9条改憲が再浮上する可能性は否定できない。ただ、今の世の中の流れをみる限りでは、一本調子の改憲論、とりわけ自衛隊を軍にすべきだといった主張が訴求力を失うのはあたり前なのかもしれない。

■豊かさの中の新貧困

 9条をめぐってかまびすしい議論が交わされる陰で、実は憲法をめぐってもっと深刻な事態が進行していたことは見過ごされがちだった。

 すさまじい勢いで進む経済のグローバル化や、インターネット、携帯電話の広がりは、日本の社会を大きく変容させた。従来の憲法論議が想像もしなかった新しい現実が、挑戦状を突きつけているのだ。

 たとえば「ワーキングプア(働く貧困層)」という言葉に象徴される、新しい貧困の問題。

 国境を超えた競争の激化で、企業は人件費の削減に走る。パートや派遣の非正規労働者が飛躍的に増え、いまや働く人の3分の1を占める。仕事があったりなかったりの不安定さと低賃金で、生活保護の対象になるような水準の収入しかない人たちが出てきた。

 本人に問題があるケースもあろう。だが、人と人とのつながりが希薄になった現代社会では、個人は砂粒のようにバラバラになり、ふとしたはずみで貧困にすべり落ちると、はい上がるすべがない。

 戦後の日本人は、豊かな社会をめざして懸命に働いてきた。ようやくその目標を達したかに思えたところで、実は袋の底に新しい穴が開いていた。そんな状況ではあるまいか。

 東京でこの春、「反貧困フェスタ」という催しがあり、そこで貧困の実態を伝えるミュージカルが上演された。

 狭苦しいインターネットカフェの場面から物語は始まる。カフェを寝場所にする若者たちが、かたかたとキーボードをたたきながらネットを通じて不安や体験を語り合う。

 長時間労働で倒れた人、勤め先の倒産で給料未払いのまま職がなくなってしまった若者、日雇い派遣の暮らしから抜け出せない青年……。

 最後に出演者たちが朗唱する。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」。生存権をうたった憲法25条の条文だ。

 憲法と現実との間にできてしまった深い溝を、彼らは体で感じているように見えた。

■「自由」は実現したか

 民主主義の社会では、だれもが自分の思うことを言えなければならない。憲法はその自由を保障している。軍国主義の過去を持つ国として、ここはゆるがせにできないと、だれもが思っていることだろう。だが、この袋にも実は穴が開いているのではないか。そう感じさせる事件が続く。

 名門ホテルが右翼団体からの妨害を恐れ、教職員組合への会場貸し出しをキャンセルした。それを違法とする裁判所の命令にも従わない。

 中国人監督によるドキュメンタリー映画「靖国」は、政府が関与する団体が助成金を出したのを疑問視する国会議員の動きなどもあって、上映を取りやめる映画館が相次いだ。

 インターネット社会が持つ匿名性は「両刃の剣」だ。多数の人々に個人が自由に発信できる世界を広げる一方で、無責任な書き込みによる中傷やいじめ、プライバシーの暴露が、逆に個人の自由と人権を抑圧する。

 こうした新しい現実の中で、私たちは自由と権利を守る知恵や手段をまだ見いだしていない。

 憲法で「全体の奉仕者」と位置づけられている公務員が、その通りに仕事をしているか。社会保険庁や防衛省で起きたことは何なのか。憲法の精神への裏切りではないのか。

 憲法は国民の権利を定めた基本法だ。その重みをいま一度かみしめたい。人々の暮らしをどう守るのか。みなが縮こまらない社会にするにはどうしたらいいか。現実と憲法の溝の深さにたじろいではいけない。

 憲法は現実を改革し、すみよい社会をつくる手段なのだ。その視点があってこそ、本物の憲法論議が生まれる。

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20080503ddm005070099000c.html
毎日新聞 社説:憲法記念日 「ことなかれ」に決別を 生存権の侵害が進んでいる

 あれほど盛んだった改憲論議が、今年はすっかりカゲをひそめてしまった。国民の関心は憲法よりも、暮らしに向かっている。

 戦後最長の大型景気も天井を打って下り坂に転じた気配が濃厚である。ガソリンだけでなく、食品も値上げラッシュだ。

 ところが、所得は一向に伸びない。老後を支える年金や医療保険改革は前進しない。暮らしの悪化の実感の前に、憲法問題は背後に追いやられてしまった。

 しかしながら、実は今年ほど、憲法が切実な年もないのではないか。

 右翼のいやがらせへの懸念を理由に、裁判所の決定を無視してかたくなに日教組の集会を拒んだ東京のホテル。国会議員の介入を機に映画館の上映中止が相次いだ映画「靖国」。

 憲法の保障する集会の自由、表現の自由が脅かされている。「面倒は避けたい」と思うのは人情だ。しかし、このとめどもない「ことなかれ」の連鎖はいったいどうしたことか。意識して抵抗しないと基本的人権は守れない。私たちの現状は、やや無自覚に過ぎるように見える。

◇感度が鈍っている

 NHKが5年ごとに「憲法上の権利だと思うもの」を調査している。驚いたことに「思っていることを世間に発表する」こと(表現の自由)を権利と認識するひとの割合が調査ごとに下がっている。73年は49%だったのが、03年は36%まで落ち込んだ。表現の自由に対する感度が鈍っているのが心配だ。

 その意味で注目されるのが、イラクでの航空自衛隊の活動に対する名古屋高裁の違憲判決だ。

 高裁は「バグダッドは戦闘地域」と認定し、空輸の法的根拠を否定した。対米協力を優先させ、憲法の制約をかいくぐり、曲芸のような論理で海外派遣を強行するやり方は限界に達している。そのことを明快に示す判決だった。

 しかし、この判決の意義はそれにとどまらない。憲法の前文は「平和のうちに生存する権利」をうたっているが、それは単なる理念の表明ではない。侵害された場合は裁判所に救済を求める根拠になる法的な権利である。そのような憲法判断を司法として初めて示したのである。

 ダイナミックにとらえ直された「生存権」。その視点から現状を見れば、違憲状態が疑われることばかりではないか。

 4月から始まった「後期高齢者医療制度」は高齢の年金生活者に不評の極みである。無神経な「後期高齢者」という名称。保険料を年金から一方的に天引きされ、従来の保険料より高い人も多い。「平和のうちに生存する権利」の侵害と感じる人が少なくあるまい。

 「憲法」と「現実」の懸隔が広がっている。働いても生活保護以下の所得しか得られないワーキングプアの問題など典型だ。年金を払い込みながら記録されていない「消えた年金」もそうであろう。「生存権」の侵害に監視を強める地道な努力が必要である。

 その努力の中心になるべきは、言うまでもなく国会だが、野党はもとより、与党もひたすら「生活重視」を唱えている。むしろ「内向き」過ぎると心配したくなる。ところが「生活重視」で一致するのに、スムーズに動かない。いわゆる「ねじれ国会」の弊害である。

 しかし、「ねじれ国会」の非効率性だけを言うのは一方的だ。「ねじれ」になる前の自民党はどうだったのか。強行採決を連発する多数の横暴そのものだったと言えるだろう。

 「ねじれ」以降、自民党は話し合い路線の模索に転じ、福田康夫首相は道路特定財源の一般財源化を約束するに至った。「ねじれ」なしでは起こりえなかったことである。カラオケ機を買うなど、年金や道路財源のデタラメな運営も「ねじれ国会」の圧力があって明らかになったことだ。
 ◇ルールの整備急げ

 私たちは「ねじれ国会」は、選挙で打開を図るのが基本だと主張している。選挙のマニフェストを発表する際、喫緊の重要課題について選挙結果に従うことを約束しておくのも一案だろう。こうしたルールの整備によって「ねじれ」を消化していくことが、民主政治を成熟させることにほかなるまい。

 憲法が両院不一致の場合の打開策としている両院協議会は、いま、ほとんど機能していない。両院それぞれ議決した側から10人ずつ委員を選ぶ仕組みだから、打開案がまとまりにくい。委員選出の弾力化など、その活性化に早急に取り組んでもらいたい。

 ただ「ねじれ」の有無にかかわらず、参院は「ミニ衆院」という批判を払拭(ふっしょく)する必要がある。明治から約120年の歴史を有する衆院と違い、参院は戦後改革で生まれた。憲法の精神の体現といってよい。参院はその自覚に立って独自性の確立を急ぐべきである。

 憲法で保障された国民の権利は、沈黙では守れない。暮らしの劣化は生存権の侵害が進んでいるということだ。憲法記念日に当たって、読者とともに政治に行動を迫っていく決意を新たにしたい。

毎日新聞 2008年5月3日 東京朝刊

東京新聞 http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2008050302008501.html
憲法記念日に考える 『なぜ?』を大切に

2008年5月3日

 日本国憲法の規範としての力が弱まっています。現実を前に思考停止に陥ることなく、六十年前、廃虚の中で先人が掲げた高い志を再確認しましょう。

 昨年七月、北九州市で独り暮らしの男性が孤独死しているのが発見されました。部屋にあった日記に生活の苦しさがつづられ、最後のページには「おにぎりが食べたい」と書いてありました。

 男性はタクシー運転手をしていましたが肝臓の病気で働けなくなり、四月まで生活保護を受けていました。病気が少しよくなり、福祉事務所の強い指導で保護を辞退したものの働けず、にぎり飯を買うカネさえなかったようです。
 忘れられた公平、平等

 全国各地から生活に困っていても保護を受けられない、保護辞退を強要された、などの知らせが後を絶ちません。憲法第二五条には「すべて国民は、健康で文化的な生活を営む権利を有する」とあるのにどうしたことでしょう。

 国が抱える膨大な借金、将来の社会を支える若者の減少など、日本は難局に直面しています。しかし、最大の要因は弱者に対する視線の変化でしょう。

 行き過ぎた市場主義、能力主義が「富める者はますます富み、貧しい者はなかなか浮かび上がれない」社会を到来させました。小泉政権以来の諸改革がそれを助長し、「公平」「平等」「相互扶助」という憲法の精神を忘れさせ、第二五条は規範としての意味が薄れました。

 リストラでよみがえった会社の陰には職を失った労働者がたくさんいます。「現代の奴隷労働」とさえ言われる悪条件で働くことを余儀なくされた非正規雇用の労働者が、企業に大きな利益をもたらしています。

 年収二百万円に満たず、ワーキングプアと称される労働者は一千万人を超えると言われます。
 黙殺された違憲判決

 安い賃金、不安定な雇用で住居費が払えず、インターネットカフェや漫画喫茶に寝泊まりしている人が、昨年夏の厚生労働省調査で五千四百人もいました。これは推計で実際はもっと多そうです。

 憲法には第二五条のほかに「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」(第二七条)という規定もあります。

 「なのになぜ?」-ここにもそう問いたい現実があります。

 「戦力は持たない」(第九条第二項)はずの国で、ミサイルを装備した巨船に漁船が衝突されて沈没しました。乗組員二人はいまだに行方が分かりません。「戦争はしない」(同条第一項)はずだった国の航空機がイラクに行き、武装した多国籍兵などを空輸しています。

 市民の異議申し立てに対して、名古屋高裁は先月十七日の判決で「自衛隊のイラクでの活動は憲法違反」と断言しました。「国民には平和に生きる権利がある」との判断も示しました。

 しかし、政府は判決を黙殺する構えで、自衛隊幹部の一人は人気お笑い芸人のセリフをまね「そんなのかんけえねえ」と言ってのけました。「判決は自衛隊の活動に影響を及ぼさない」と言いたかったのでしょうが、「憲法なんて関係ねえ」と聞こえました。

 イラク派遣反対のビラを自衛隊官舎に配った東京都立川市の市民は住居侵入容疑で逮捕され、七十五日間も拘置されたすえに有罪とされました。団地の新聞受けにビラを静かに入れて回っただけなのに「他人の住居を侵し、私生活の平穏を害した」というのです。

 ビラ配布は、組織、資力がなくても自分の見解を広く伝えることができる簡便な手段です。読みたくなければ捨てればいいだけでしょう。それが犯罪になるのなら憲法第二一条が保障する「表現の自由」は絵に描いたモチです。

 これでは、民主主義にとって欠かせない自由な意見表明や討論が十分できません。

 国民から集めた税金で職場にマッサージチェアを設置したり豪華旅行をするなど、「全体の奉仕者」(第一五条第二項)である公務員による私益優先のあれこれが次々明るみに出ました。

 長い間に「主権在民」(前文)が無視されて、主権在官僚のようなシステムを組み上げられてしまったのです。

 憲法は政府・公権力の勝手な振る舞いを抑え、私たちの自由と権利を守り幸福を実現する砦(とりで)です。
 国民に砦を守る責任

 憲法を尊重し擁護するのは公務員の義務(第九九条)です。国民には「自由と権利を不断の努力で保持する」責任(第一二条)、いわば砦を守る責任があります。

 その責任を果たすために、一人ひとりが憲法と現実との関係に厳しく目を光らせ、「なぜ?」と問い続けたいものです。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/90699.html?_nva=24
北海道新聞 憲法記念日 平和に生きる権利 今こそ(5月3日)

 昨年のいまごろは、安倍晋三政権下で改憲の手続きを定める国民投票法案が大きな議論になっていた。

 いま、福田康夫首相が憲法に言及する場面はほとんど見られない。

 ねじれ国会の下、年金や道路財源問題など早急に取り組まねばならない課題が山積しており、それどころではないというのが本音だろう。

 衆参両院に設けられた憲法審査会は運営規定もまだ決まっていない。二〇一〇年に改憲発議は可能になるが、改憲の動きは表面的にはやや勢いが落ちてきたようにも見える。

 日本国憲法が施行されてきょうで六十一年となる。憲法とは何か、私たちの暮らしにどうかかわるのか。この機に思いをめぐらせてみたい。

*軽視された違憲判断

 国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を基本原理とする現憲法には人々の「戦争は二度といやだ」という強い願いが込められている。

 なかでも前文と九条は世界に向けた平和と不戦の表明でもある。

 その誓いを戦後、政府はないがしろにしてきたのではないか。そう問いかける司法判断が四月十七日、名古屋高裁で示された。

 イラクに派遣された航空自衛隊の活動は武装兵士を戦闘地域に輸送するものであり、憲法九条が禁じる武力行使にあたると指摘したのだ。

 自衛隊を海外に送り出すために憲法を拡大解釈してきた政府の姿勢を厳しく戒めるものとなった。

 政府は、判決をことさら軽視しようとしている。隊員の心境について航空幕僚長はお笑いタレントのせりふを引用し、「そんなの関係ねぇという状況だ」と言った。

 憲法は国の最高法規だ。九九条は大臣や国会議員、公務員らに憲法の尊重と擁護義務を負わせている。

 にもかかわらず政府が違憲判断を真摯(しんし)に受け止めず、文民統制を崩しかねない制服組の発言を放置する。法治国家としてどうなのだろう。

 政府はイラク派遣を人道支援、国際貢献と言ってきた。しかし、政府がいまなすべきことははっきりしている。イラクから撤退し、憲法にのっとって武力に頼らない国際貢献のあり方を考え直すことではないか。

*生存権が脅かされる

 憲法の前文に「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免(まぬ)かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とある。

 その「平和に生きる権利」がいま脅かされ、侵害されてはいまいか。

 三十一歳のフリーターが月刊誌に発表した「希望は戦争」という論文が昨年、反響を呼んだ。

 戦争は社会の閉塞(へいそく)状態を打破してくれる。生活苦の窮状から脱し、一人前の人間としての尊厳を得られる可能性をもたらしてくれる。戦争は悲惨でもなくむしろチャンスだ-。

 慄然(りつぜん)とさせられる物言いだが、こうした発言が出てきた社会のあり様(よう)を深刻に考えなければなるまい。

 米国では実際に、貧しい若者たちが生活の保障を求めて軍に志願し、イラクへと送られている。

 憲法二五条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とうたっている。

 しかし、ワーキングプアと呼ばれる新たな貧困層が増え続けている。年収二百四十万円以下が一千万人を超え、百万円以下も珍しくない。

 後期高齢者医療制度にお年寄りから悲鳴が上がっている。社会保険庁のずさんな管理で、わずかな年金さえ受け取れない人がいる。生活保護世帯は全国で百万を超えた。

 二五条は二項で「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めている。それを実践し、憲法を暮らしに定着させるのは国の責務なのだ。

*軍事に頼らぬ平和を

 北海道新聞社が四月に行った世論調査によると、七割の人たちが憲法を改めるべきだと答えている。

 「時代の変化に応じた方がよい」との理由がもっとも多かった。環境権やプライバシー権、知る権利といった、新たな権利の保障などが念頭にあるのだろうか。

 ただ、これらの人権は現憲法でも保障されているとする憲法学者は多い。確かに憲法は「不磨の大典」ではない。国民的論議を広げていくことは必要だろう。

 九条については改憲容認の人たちでも、六割近くが変更しなくていいと答えた。逆に変更して戦力保持を明記するべきだとした人は大幅に減って、三割にとどまった。

 自民党の新憲法草案は、現憲法前文の「平和のうちに生存する国民の権利」を捨て、戦力不保持と、交戦権の否認を定めた九条二項を削除し自衛軍の創設を盛り込んでいる。

 戦後、海外で一度も武力行使をせず、血を流さなかった日本の姿を大きく変えることになる。

 イラクの惨状は、武力で平和はつくれないという当たり前のことを見せつけた。軍事力に頼らず平和を目指そうとの流れが世界で生まれつつある。平和憲法を持つ日本がその先頭に立ってもいいのではないか。

http://www.kanaloco.jp/editorial/entry/entryxiiimay08051/
神奈川新聞 人権擁護し理想の追求を

 「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」-。前文で国際社会にこう誓った日本国憲法が、きょう施行六十一年を迎えた。

 焦土から復興に立ち上がった先達の努力によって、現在の日本は自由な民主主義諸国の一角を占めるに至った。先輩たちへの感謝を忘れてはなるまい。ところが、最近、この成果を土台から腐食させるような問題が続いている。

 第一が、ドキュメンタリー映画「靖国」の上映中止、日教組集会の会場使用拒否などで表面化した表現の自由、集会の自由の危機である。一部の映画館、ホテルが右翼団体の街頭宣伝活動などに萎(い)縮(しゅく)した結果、自由が封じられた。嫌がらせや不法行為には警察を含めて行政、社会が毅(き)然(ぜん)とした態度を取るべきだ。ところが「靖国」の例では、騒ぎの発端をつくったのは与党の国会議員だった。

 そこで思い出されるのが、反戦ビラ配布が狙い撃ち同然に検挙された立川反戦ビラ事件だ。政府に批判的な表現を抑圧し、萎縮させるような権力の動きがあった。

 表現の自由は民主主義の土台である。もし萎縮の連鎖や権力の暴走が続くようなら、日本は戦前のような「物言えぬ社会」「専制と隷従、圧迫と偏狭」の社会に戻ってしまうだろう。国民一人一人が、表現の自由を守り抜く決意を持たなければならない。

 第二は、貧困、格差の問題だ。憲法二五条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と、生存権を定めた。高齢者や障害者の福祉が切り捨てられ、汗水流して働いても生活保護水準、貧困ラインを抜け出せない人々がいるのは、大きな人権侵害であると指摘したい。
 世界を見渡せば、医療福祉が整備され、格差の小さな国は、社会経済も安定し、国民の幸福度も高い。日本がこのまま福祉や年金、医療を崩壊させ、働く貧困層を拡大させたらどうなるか。社会はすさみ、経済の底力も失われるだろう。選ぶべき道は明らかだ。

 最後に、平和主義の問題だ。名古屋高裁は先月、航空自衛隊によるバグダッドへの多国籍軍武装兵員輸送を憲法九条違反とした。しかし、政府は判決を無視したままだ。なし崩し的な自衛隊の運用、平和主義からの逸脱をこのまま進めていいのだろうか。あすから三日間、千葉市で「9条世界会議」が開催される。憲法九条の世界史的な意義を再確認したい。

 日本人は今、目先の利益や安心に汲々(きゅうきゅう)としているように見える。果敢に難問に挑み、世界に理想や模範を示すという気概を失ってはいないか。日本国憲法は人類の経験と知恵、理想の集積である。この憲法から勇気を得て「名誉ある地位」への努力を進めたい。

2008年5月 7日 (水)

中曽根康弘元首相インタビュー 早期に憲法審査会を始動せよ

5月3日、産経紙は中曽根康弘にインタビューした。安倍内閣が倒れてから後の改憲派の焦りと、飽くなき改憲への動機が読み取れる。安倍の退陣がいかに彼らにとって痛手であったか、がよくわかると同時に、決してあきらめていないことが読み取れる。興味深い記事である。心しておこうではないか。(高田)

中曽根康弘元首相インタビュー 早期に憲法審査会を始動せよ

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080502/plc0805022104011-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080502/plc0805022104011-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080502/plc0805022104011-n3.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080502/plc0805022104011-n4.htm

 超党派の国会議員らでつくる「新憲法制定議員同盟」の会長を務める中曽根康弘元首相(89)に、始動の見通しが立っていない憲法審査会やねじれ国会など憲法問題についてインタビューした。(聞き手 榊原智)

 -昨年の今ごろは国民投票法の制定が大詰めを迎え憲法問題が盛んに議論されていたが、今は政治の争点から外れている。憲法論議をどう展望するか

 「安倍晋三君が首相になって憲法改正と教育改革という保守本流の主義主張を表に出したが、彼は昨年7月の参院選で挫折し、心の傷を負った。福田康夫首相は施政方針演説で憲法審査会に触れたが、現実問題の処理に忙しい。安倍内閣が続いていれば憲法論議の方へ動いたろうが、福田君の時代は国会対策と外交問題で余裕がない。福田君の次だね。特に次の解散総選挙で当選する新しい議員たちは、憲法問題を国家構造の問題として真剣に考え、取り上げるだろう」

 -民主党の小沢一郎代表は福田首相と同様、憲法問題に優先順位を与えていないようだ

 「小沢君は以前は、憲法改正にはっきりした考えを持ち熱心だった。だが、民主党の内部は旧社会党系の人もいて複雑だから、党の代表として慎重になっている。憲法改正の風が強く吹いているなら彼もその方向に党を引っ張っていけるが、今は解散総選挙の対策が第一になっている」
 -国民投票法によつて昨年8月に衆参両院の「憲法審査会」が法的に設置されたが、「審査会規程」の制定が見送られていることから実際には始動していない

 「国民投票法の成立は画期的で、憲法改正への基礎工事ができたと思った。だが、審査会規程の制定が政局の具合で、今にいたるまで放棄されているのは残念だ」

 -国会が法律を無視している。審査会は動き出す気配がない

 「早くても7月の北海道洞爺湖サミット以降だろう。衆院議員の残り任期が約1年になる。来年の9月までが衆院議員の任期だが、それまでには与野党の関係や政局に変化もあり得る。そういう変化の時に政界の指導者たちがどんな政治見識を持つかにかかってくる。民主党の諸君と話してみると、審査会規程は早晩作る用意があるという心境にあるようだ。多少時間を待てば審査会規程(の制定)には乗ってくると期待している」

 -与野党の激しい政争が続いている

 「政党間の交渉で憲法問題をどう国会で審議するか、具体的には憲法審査会の早期開会の合意を作るのが賢明だろう。憲法問題が本格的に動くのは解散総選挙後になるのではないか。民主党にも憲法問題を重視する人はかなり多い。憲法問題の結論を作っていく段階に必ず入っていける。解散総選挙後の新しい政局のもと、戦後日本の政治の歩み、国家構造あるいは国家機能を再点検する観点から、(政界で)憲法改正作業が出てくる」
 -衆参で与野党がそれぞれ多数を占める「ねじれ国会」をどうみる

 「不便を感じるが、世界各国の議会政治全般からみれば、与党がいつも多数を占め法案がスムーズに成立するわけではないということだ。今まで自民党は安心しすぎていた。昨年の参院選後、与野党の首脳部間で話し合いの体系、原則を話し合っておくべきだった。今はノールールの乱戦になっている。これは失敗だ」

 -「大連立」や「政界再編」はあるだろうか

 「当面はないだろう。小沢君も野党の諸君もそういう選択はしにくい。衆院選が遅くとも1年数カ月後にあるのだから。解散総選挙後は状況次第だ」

 -平成17年の自民党新憲法草案は、当時の参院自民党の反発から現憲法の国会条項の改正に踏み込まなかった。ねじれ国会を踏まえ、国会や衆参両院の関係を見直すべきか

 「当然、議論しなくてはならない。ねじれの問題と絡んでいる。自民党の新憲法草案は立党50年のお祝いを前に急いで作り上げた第1次草案だ。第2次草案作りにいよいよ取りかかるべきだ。そこでは、参院の権能が現状でいいのかどうかが非常に大きな課題となる」

 -2院制がいいか、1院制がいいか

 「衆院議員と同じような方法で参院議員が選ばれ、参院は衆院と同格で肩を張って対抗する存在になっている。このような第2院は世界でも非常に少ない。これは見直すべきだ。その代わり、新しい参院は選出方法を変え、人事や決算、会計検査などで衆院にない特別な権限が与えられるべきだ」

 -そもそもなぜ憲法改正が必要か

 「現憲法は占領下に作られたが、自由、民主主義、平和の面で特段の長所をもつ。だが戦後60年の経験からみても重大な欠陥がある。憲法9条はもちろん、前文、教育、新しい人権概念、議会や内閣制度、環境などといった点の改正を検討すべきだろう」

 -憲法改正を訴える政治家の声が小さい

 「欠陥のある憲法を改めるのは国民と政治家の当然の責任だ。そのことを政治家は国民によく説明しなければいけない。一般国民は憲法をじっくり読む暇はない。政治指導者は国のあり方についての自己の信念を国民に訴え、国の歩みを正しい方向へ持っていく責任を負っている。だから憲法の長所と同時に欠陥を国民に指摘して、是正しようと説得すべきだ。あるいは政治勢力を形成して運動を起こすべきだ。だから私は議員同盟の会長になった」

 -韓国の李明博大統領が、日本に永住外国人への地方参政権付与を求めている

 「付与の必要はないと思う。憲法上の日本国民という概念には過去、現在、そして将来生まれてくる国民が含まれる。(地方選挙権も含む参政権付与の条件であるべき)国籍は非常に貴重なポジションだ。帰化すれば選挙権は即座に得られる」

2008年5月 2日 (金)

改憲議員同盟の集会

本日の読売と赤旗紙の記事である。昨1日、改憲議員同盟が集会を開いた。国会議員51人をはじめ、1000人ほどの集会だったようである。朝日紙などの記事によると中曽根会長は「戦後生まれた憲法を正しい憲法に作り直して、子孫に対する責任を果たしたい。これを実現するまでは、命の限りを尽くして頑張っていく」と発言。安倍前首相も「憲法を自分たちの手で書いていく決意こそ、新しい時代を切り開いていく魂につながっていく」とのべたという。民主党鳩山幹事長の代理として長嶋昭久副幹事長は「民主党も憲法改正を党是とし、創憲を掲げている。この大会を機に憲法審査会を動かしていこうと言うことだ」と発言して満場の拍手を浴びた。(高田)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080501-OYT1T00697.htm
「憲法審査会の早期始動を」超党派議員ら憲法の4目標提示

 超党派の国会議員らでつくる新憲法制定議員同盟(会長・中曽根元首相)は1日、東京・永田町の憲政記念館で「新しい憲法を制定する推進大会」を開き、衆参両院に設置された憲法審査会を早期に始動させ、憲法改正論議を前進させるよう求める決議を採択した。

 決議では、国会の憲法審査会が昨年8月の設置以来、野党側の反対で一度も開かれていないことを踏まえ、早期の開催を「強く願う」とした。また、新たな憲法のあり方について、〈1〉日本の歴史・文化・伝統の香り高い憲法〈2〉自由・民主・人権・平和・国際協調を基本とする〈3〉国際平和を願い、他国と共にその実現のため協力し合うことを誓う〈4〉自然との共生を信条に、美しく豊かな地球環境をまもる――の四つの目標を掲げた。

 大会で、中曽根氏は「一意専心、不惑の信念を持って、戦後に生まれた憲法を正しい憲法に作り直し、責任を果たしたい。今の憲法体制、政治体制では、日本の地位が低下するのは必至だ」と訴えた。

 自民党の伊吹幹事長、安倍前首相、民主党の長島昭久衆院議員、公明党の白浜一良・党憲法調査会長らのほか、政府から町村官房長官が出席した。
(2008年5月1日22時42分  読売新聞)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-05-02/2008050202_02_0.html
憲法審査会の始動要求
自・民・公議員ら改憲推進大会

 自民、民主、公明、国民新各党などの改憲派議員らでつくる新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)が主催する「新しい憲法を制定する推進大会」が一日、国会の憲政記念館で行われ、国会議員五十一人を含め、自民党地方関係者、日本経団連や日本商工会議所などの財界関係者ら千人が参加しました。

 三月の総会で、民主党幹部を役員にすえるなど新体制とし、改憲世論を盛り上げる「国民運動」の契機にしようと計画されたもので、大会では、改憲原案の審査権をもつ憲法審査会の始動と改憲論議の再開を求める決議を採択しました。

 自民党の伊吹文明幹事長は、あいさつで「変化に対応した憲法をつくるのが党是」と表明。民主党からは、鳩山由紀夫幹事長の代理として長島昭久副幹事長が登壇し、「昨日は敵味方に分かれて国会で対決したが、民主党も憲法改正を党是とし『創憲』をかかげている。この大会を機に憲法審査会を動かしていこうということだ」と述べました。公明党の白浜一良憲法調査会長、国民新党の亀井久興幹事長があいさつしました。

 「福田総理の名代」と紹介された町村信孝官房長官は「憲法審査会がせっかくできているのに、いまだに議論が一度も行われていないのは国会の怠慢」などと攻撃しました。

 自民党地方組織の代表が「地方にもこの声を広げ国民運動にする」と表明しました。

2008年4月21日 (月)

最近の改憲動向について・山内敏弘さん

憲法問題で奮闘する法学館のサイトに掲載された山内敏弘さんの論文である。いつもながら、鋭く、沈着な分析だと思う。一読をおすすめする。(高田)
http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20080421.html
最近の改憲動向について
2008年4月21日

山内敏弘さん(龍谷大学法科大学院教授)
 今年もまた、憲法記念日の5月3日が近づいてきた。今年の特徴は、昨年の5月3日と比較して、明文改憲の主張が比較的弱くなっているということである。その直接的な背景にあるのは、いうまでもなく、明文改憲論者であった安倍首相が昨年7月の参議院選挙で敗北して退陣して、代わって福田内閣が登場し、福田首相は明文改憲をあからさまにいうことを差し控えているという政治状況である。
 ちなみに、この4月8日に読売新聞は、同社がこの3月に実施した憲法に関する全国世論調査の結果を掲載した。それによると、今の憲法を改正する方がよいと思う人は42.5%、改正しない方がよいと思う人は43.1%になったという。同社が従来実施してきた憲法に関する世論調査では1993年以来一貫して改憲派が改憲不要派を上回ってきたが、今回の調査はその従来の傾向を逆転させるものとなったのである。憲法9条についても、この調査によると、9条1項を改正する必要があると思う人は12.5%、その必要がないと思う人は81.6%となっており(答えない人が5.9%)、また、9条2項については、改正する必要があると思う人は36.8%、その必要がないと思う人は54.5%(答えない人が8.6%)であるという。改憲論議の最大の争点である9条2項についても、改憲論よりも改憲不要論が多数を占めているのである。
 このような世論動向の背景要因について、読売新聞の社説は、「最大の要因は、国会や各政党の憲法論議の沈滞にある」として、福田首相が改憲問題についてほとんど触れなくなったことや民主党が改憲問題に正面から取り組もうとしない姿勢をあげている。そのこと自体は間違っていないが、問題は、どうして安倍内閣に代わって登場した福田内閣が明文改憲をあまり言わなくなったのか、また民主党が改憲問題に正面から取り組もうとしないのかである。そのことを考える場合に想起されるのは、1960年の国民的な安保反対闘争に直面して改憲派の岸内閣が安保改定は強行したが、その直後に辞職して、代わって登場した池田内閣は「所得倍増政策」を掲げて、明文改憲は言わなくなり、いわゆる解釈改憲論路線をとることになったことである。今回、明文改憲を掲げた安倍内閣に不信任を突きつけたのは、安保闘争のような国民的運動ではなかったが、しかし、昨年の参議院選挙に示された国民世論であったと思われる。
 もちろん、選挙では、改憲問題だけが争点となっていたわけではない。しかし、安倍内閣が憲法改正国民投票法の制定など、明文改憲路線を突き進んできたことに対して少なからざる国民が危惧の念をもち、それが投票行動に少なからず反映されたことは否定できないであろう。しかも、そのこととも関連するが、この間、明文改憲の動向を憂える多くの市民が全国各地で改憲反対の運動を繰り広げてきたということである。その一つが、大江健三郎氏や加藤周一氏などが中心となってつくった「九条の会」の運動であり、この運動は全国に草の根的に広がり、現在では6000以上の「九条の会」ができているという。この運動はマスコミではあまり大きく取り上げられていないが、しかし、上記の読売新聞社の世論調査にも反映しているであろうことは、この3月に中曽根康弘氏などがつくっている「新憲法制定議員連盟」がその総会で「九条の会」に対抗するためには改憲のための「拠点づくり」が必要性であると説いたことにも示されている。
 また、9条改憲論が後退したことの背景には、おそらくは、この間の一連の防衛省・自衛隊の不祥事も一定程度影響していると思われる。昨年に発生した防衛省の最大の不祥事は、いうまでもなく「防衛省(庁)の天皇」とも言われた守屋前防衛事務次官の収賄事件であった。守屋前事務次官は在任中に軍需産業の専門商社である「山田洋行」の元専務から300回以上にわたって接待ゴルフを受けていたこと、それと見返りにするかのように「山田洋行」は防衛省(庁)から総額174億円もの受注を受けていたことなどが判明したのである。防衛省(庁)をめぐっては、このように「官」と「財」の不正な癒着のみならず、「政」との癒着も問題となったのである。
 さらに、今年2月に起きたのは、ハワイでのMD(ミサイル防衛)訓練の帰路にあったイージス艦「あたご」(一万トン)が千葉県・野島崎沖で漁船「清徳丸」(七・三トン)と衝突して、「清徳丸」を真っ二つに切断して沈没させて、乗組員の吉清治夫・哲大の両氏を行方不明にさせたという事件である。この事件の全貌はいまなお明らかにされていないが、しかし、この事件は、かつて20年前の1988年に潜水艦「なだしお」が「第一富士丸」と衝突して30名の乗客を死亡させた事故の教訓を自衛隊がなんら学んでいないことを示すとともに、自衛隊の体質がどのようなものであるかをも示すものとなっているように思われる。かつての「なだしお」事件の場合もそうであったが、今回の「イージス艦」事件でも、防衛省の説明は二転三転して、事実を正確かつ迅速に国民の前に明らかにしようとしない防衛省の秘密主義的な体質が明らかになった。さらに、明らかになったのは、自衛隊は真剣に国民の生命や安全の確保を考えているわけではないということである。日本近海で多数の漁船が航行していることは誰れでも知っているにもかかわらず、「イージス鑑」は衝突直前まで「自動操舵」を続けていたことや、「漁船の方がよけてくれる」と考えて、海上衝突予防法の規定をも無視して直進したことなどに、自衛隊が国民の生命や安全を真剣には考えていないことが端的に示されている。
 このように重大な不祥事が防衛省や自衛隊に起きていることを目の当たりにすれば、9条を改憲して防衛省・自衛隊にさらに大きな力を付与することに多くの人々が警戒心を抱いたとしてもなんら不思議ではない。読売新聞の前記社説は、世論動向の背景にあるこのような要因については十分に思いを致していないようにみえる。
 このように明文改憲を支持する世論が減少したことは積極的に評価されるべきことであるが、しかし、同時に見過ごしてはならないのは、岸内閣の後に池田内閣が解釈改憲路線をとったと同様に、福田内閣も解釈改憲路線を推進しようとしているということである。しかも、ある意味では究極の解釈改憲路線を推進しようとしているのである。福田首相は、今年1月の施政方針演説で自衛隊の海外派兵のためのいわゆる恒久法(一般法)の制定への強い意欲を示したのである。最近の新聞報道によれば、自民党は、恒久法制定に向けて「国際平和協力活動の一般法に関するプロジェクトチーム」の初会合を開いたという。同チームの座長の山崎拓氏は、5月の連休明けには活動を本格化して、今国会中にも法案を上程することを目指しているという。見過ごすことができない重大な動向と思われる。自民党が現在考えている恒久法の概略は、(1)国連決議などがなくても、国際社会の要請ということで自衛隊の海外出動を可能とする、(2)しかも、自衛隊の海外出動については、この一般法があれば、政府の判断でいつでも、どこにでも出動することができて、いちいち国会の事前承認は必要としない、(3)武器使用についても、正当防衛の場合のみならず、「任務遂行のため」に必要な場合にも認められるなどである。このような法律がかりに制定されたならば、従来政府が言ってきた専守防衛や集団的自衛権行使の禁止などは事実上棚上げにされて、自衛隊は海外でのさまざまな武力紛争に本格的に介入するであろうし、しかも国会によるシビリアンコントロールも形骸化することは必至であろう。究極の解釈改憲と言わざるを得ない所以である。
 憲法施行以来61年を経過しようとしている今日、明文改憲論がトーンダウンしていること自体は歓迎すべきであるが、その一方でこのような解釈改憲の動きがあることについても、十分に警戒することが必要であろう。それと同時に、明文改憲が現在トーンダウンしているといっても、護憲運動が少しでも手を緩めれば、政府自民党はすぐにでもまた明文改憲論を鮮明に打ち出すであろうことにも留意することが必要であろう。おりしも、この5月4日から千葉の幕張メッセなどで、「九条世界会議」が「世界は九条をえらび始めた」というスローガンを掲げて開催される。ノーベル平和賞受賞者のマイレッド・マグワイア氏をはじめとして海外からも多数の人たちが参加する予定である。私もこの会議に参加して、憲法九条の世界的意義を改めて勉強したいと思っている。
(2008年4月16日記)

2008年4月15日 (火)

8日の読売社説

今回の読売の憲法世論調査は各方面の注目を集めている。同日の(8日の)読売の社説を掲載し忘れたので、遅ればせながら掲載する。(高田)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080407-OYT1T00791.htm
憲法世論調査 改正論を冷やす政治の混迷(4月8日付・読売社説)

 日本政治の混迷が、憲法改正の世論を冷やしているのだろう。

 読売新聞の世論調査で、憲法を「改正する方がよい」と思う改正派が42・5%へ減少した。「改正しない方がよい」という非改正派は、43・1%になった。

 1993年調査以来、改正派が非改正派を常に上回ってきた。わずかな差だが、今回逆転した。改正派は、4年連続の減少だ。

 最大の要因は、国会や各政党の憲法論議の沈滞にあるだろう。

 昨年5月、憲法改正手続きを定めた国民投票法が成立した。だが、それに基づき設置された憲法審査会が、いまだ始動していない。

 憲法改正に積極姿勢をみせていた安倍前首相が、昨夏の参院選での自民党惨敗のあと、突然辞任した。後継の福田首相は、打って変わって、憲法改正問題には、ほとんど触れなくなった。

 今回、自民党支持層のうち改正派は47%と、98年以降では初めて、5割を切った。衆参ねじれ国会の下、憲法改正論議の進展は困難、という判断と、憲法改正への首相のメッセージの乏しさが、影響しているのではないか。

 民主党は、参院選を前に、与党との対決色を出す思惑から、国民投票法に反対した。党内にある憲法改正慎重論や、「護憲」を掲げる社民党との選挙協力などへの配慮もあった。

 民主党支持層の改正派は、2005年には67%に達し、自民党支持層の64%を上回っていた。それが今回は41%に減った。

 憲法改正問題に正面から取り組もうとしない民主党の姿勢が、支持層の改正派減少をもたらす一因になっていないか。

 先の臨時国会では、インド洋での海上自衛隊の給油活動再開や、自衛隊の国際貢献のあり方が焦点になった。だが、前防衛次官の汚職事件や、海自の燃料の対イラク作戦転用問題などが重なり、憲法論議は深まらなかった。

 今回、こうした自衛隊の海外派遣についてのルールを定める「恒久法」についての質問では、「必要だと思う」が46%で、「思わない」42%を上回っている。

 「国際貢献など今の憲法では対応できない新たな問題が生じているから」――。改正派があげた改正理由のトップは、これまでと変わっていない。これから憲法論議を「活発化させるべきだ」と思う人も、7割にのぼる。

 安全保障や環境問題など、さまざまな観点から憲法を議論しあうことが求められている。
(2008年4月8日01時30分  読売新聞)

2008年4月 9日 (水)

日本青年会議所が改憲議員同盟に呼応する意志表明

日本青年会議所の小田会頭は改憲議員同盟総会に際して、これと積極的に連携し、憲法審査会の早期立ち上げをめざして、全国各地でタウンミーティングを開くなど、活動を展開していく会頭声明を出した。注意を要する。(高田)
http://www.jaycee.or.jp/message_13.html
新憲法制定議員同盟総会開催に対して

 超党派の国会議員で構成される「新憲法制定議員同盟」の総会が昨日開催され、 衆議院では野党第一党、そして参議院では第一党の地位を占める民主党の国会議員も同組織の役員に就任し、新役員体制が発足することが確定しました。 これにより現在全く機能していない両院の憲法審査会が、本来の機能を発揮し始める可能性が高まることとなりました。 また同会議には、日本JCより常任理事・早山康弘君と憲法改正運動実践委員会・説田和彦委員長もオブザーブとして同席いたしました。 その会議において、会長代理の中山太郎代議士より、「JCからも国会に憲法審査会の早期立ち上げに向けた請願書を提出いただいており、 また、JCのような政治家ではない若い世代の皆様とも連携し憲法改正について考えていかなければならない。」との発言もいただきました。    

昨年の国民投票法成立と、2010年からの施行により憲法改正が法的に可能になりました。 これを受け憲法のあり方に対する幅広く活発な議論を行う目的で、本年連携推進運動のひとつとして、 地区・ブロック協議会及び関心があるLOMとの「国民参加型憲法タウンミーティング」の全国的な開催を予定している我々日本JCにとって、この動向は望ましい進展であるといえます。 昨日の総会開催時において、同議員同盟への参加議員数は191人に上り、その内訳は自民党167人、公明党10人、民主党14人、国民新党3人、その他・無所属6人となっており、さらに元職議員が48人参加されています(合計239名)。 (なお、同議員同盟への署名に賛同された議員数は、自民党282人、公明党35人、民主党26人、無所属10人の353人です。)

日本JCの担当役員(中島副会頭、早山常任理事、説田憲法改正運動実践委員長、そして私)は上記にあるように1月31日衆議院議員会館を訪問し、同院議長に対し「憲法審査会規定の制定に関する国会請願書」を提出してきました。 憲法審査会は、昨年5月に成立、公布された「日本国憲法の改正手続きに関する法律」にて「(衆参)各議院に憲法審査会を設ける」旨が規定され、「公布の日以後初めて召集される国会の召集の日から施行する」とされています。 しかしながら、昨年8月召集の国会に設置されて以来一度も開催されていないのが現状です。 これは国権の最高機関であり唯一の立法機関である国会のあり方として、また法治国家として看過できるものではなく、直ちに対処がなされなければなりません。 特に現憲法96条で定められるように改正の発議は国会で行われるわけですから、その国会において十分な議論が行われるべく審査会の早急な設置に議論の余地はないといえます。

また市民意識の変革を通じて社会の変革を目指し多様な運動に取り組むJCが、これに対し果たすべき役割は、市民が主権者としての主体性を持ち、日本という国と「日本人として何を大切にするのかという価値観の集合体」である日本国憲法のあり方を考え、 議論を行う機会を提供することで、市民一人ひとりが国家観を確立出来るようにすることだと信じています。 日本JCも2005年以来、憲法草案JC版の作成、改定を行い世間に憲法のあり方を問い続けてきました。 今年は、昨年の国民投票法の成立を受けて、より具体的な議論を幅広く行うべくタウンミーティングなどの計画を進めています。 これにより、憲法は国民生活に深く根ざしたものであり、国や社会のあり方に対し深く関連することを市民一人ひとりが自覚し、国づくりに積極的に参画することの重要性を広く喧伝してまいりたいと思います。 そのために、全国711の地域で、市民と地域社会の開発に献身的に取り組んでいる4万人のメンバー一人ひとりの深い理解と参画が必要とされています。

この国とこの国の根幹をなす憲法は、人任せではなく、市民一人ひとりが自分自身の事として、自らの手で作り上げるのだという気概をJCから醸成して行こうではありませんか。
社団法人日本青年会議所
会頭 小田 與之彦

2008年4月 8日 (火)

読売世論調査、16年ぶりに逆転、憲法改正「反対」43・1%、「賛成」42・5%を上回る

本日発表された「読売新聞」の世論調査で、画期的な結果が出た。16年ぶりに、改憲反対派が改憲賛成派を上回ったのである。 改憲賛成42・5、反対43・1%である。改正反対の理由の最大は「世界に誇る平和憲法だから」が52・5%を占めた。
9条を今後どうするかについては「厳密に守り、解釈や運用では対応しない」24%、「これまで通り、解釈や運用で対応する」36%で、計60%が改憲に反対か消極的、「解釈や運用で対応するのは限界なので、改正する」は31%、とほぼダブルスコアとなった。改憲反対派が上昇する傾向は2004年以来、顕著であったが、ここにきて、憲法全般、9条とも、改憲派を追い越したのである。これは「九条の会」をはじめ、この間の改憲に反対するさまざまな人々の運動の成果である。
なお、自衛隊の海外派兵恒久法を必要と思う人は46%で、「そうは思わない」の42%を上回ったことにみられる傾向の打破が、改憲反対運動を進めてきた私たちの今後の課題である。9条支持の世論を基盤にして、海外派兵恒久法が9条を破壊する法律であることの世論喚起が求められている。
なお、本調査の内容の詳細は同紙12~13面に掲載されている。(高田)。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080408-OYT1T00041.htm?from=main1

憲法改正「反対」43%、「賛成」を上回る…読売世論調査
世論調査・支持率

 読売新聞社が実施した憲法に関する全国世論調査(面接方式)によると、今の憲法を改正する方がよいと思う人は42・5%、改正しない方がよいと思う人は43・1%で、わずかながら非改正派が改正派を上回った。

 ただ、各政党が憲法議論をさらに活発化させるべきだと思う人は71%に上り、改めたり加えたりした方が良いと思う条文を挙げた人も7割を超えた。施行61年を迎える憲法に、時代にそぐわない部分が増えているとの認識は根強いようだ。

 調査は3月15、16日に年間連続調査「日本人」の一環として行った。

 1981年から実施している「憲法」世論調査では93年以降、一貫して改正派が非改正派を上回っていた。しかし、今回は改正派が昨年より3・7ポイント減る一方、非改正派が4・0ポイント増え、これが逆転した。憲法改正に強い意欲を示した安倍前首相の突然の退陣や、ねじれ国会での政治の停滞へのいらだちなどが影響したと見られる。

 改正派にその理由を複数回答で聞いたところ、「国際貢献など今の憲法では対応できない新たな問題が生じているから」の45%が最も多かった。非改正派では「世界に誇る平和憲法だから」が53%で最多だった。

 憲法で関心のある点(複数回答)では「戦争放棄、自衛隊の問題」が47%で7年連続で最多となった。昨年との比較では「裁判の問題」が20%(昨年15%)に増え、裁判員制度への関心の高まりをうかがわせた。

 改めたり加えたりした方がよいと思う憲法の条文(複数回答)としては、〈1〉自衛のための軍隊保持27%〈2〉良好な環境で生活する権利25%〈3〉国と地方の役割22%――を挙げた人が多く、「特にない」は24%だった。

 自衛隊の海外派遣全般に関する原則を定める恒久法を必要と思う人は46%で、「そうは思わない」42%を上回った。9条を今後どうするかについては「これまで通り、解釈や運用で対応する」36%、「解釈や運用で対応するのは限界なので、改正する」31%、「厳密に守り、解釈や運用では対応しない」24%となった。
(2008年4月8日01時08分  読売新聞)

2008年4月 7日 (月)

超右派改憲派の動向

ウルトラ改憲派の動向を報じる赤旗新聞の記事。「二正面作戦」?というか、「二重の作戦」とでもいうべきところか。(高田)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-04-07/2008040702_03_0.html
改憲派が“二正面作戦”
国会の審議を促進
「九条の会」に対抗

 五月の憲法記念日の前後に大会を予定している改憲推進各派は、国会で改憲案を審議するための憲法審査会の始動を狙う一方、改憲世論を喚起する二正面作戦で新たな展開をはかる構えです。
来月、初の大会

 自民党、民主党、公明党、国民新党の衆参国会議員百九十一人(三月四日現在)が加わる新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)は五月一日に、初めて議員中心による「新しい憲法を制定する推進大会」を東京都内で開きます。

 大会のスローガンは、「歴史・文化・伝統の香り高い憲法を」「国際平和を願い、他国とともにその実現のため協力し合うことを誓う憲法を」など。国家主義と海外で戦争ができる国づくりを可能にする改憲方向を打ち出しています。

 大会には日本経団連、経済同友会、日本商工会議所の財界三団体の代表が出席を予定しています。財界団体がこぞって改憲勢力を支援し、バックアップする姿勢を示すことになります。

 一方、昨年まで議員同盟と大会を共催してきた「新しい憲法をつくる国民会議」(堀渉理事長)は五月三日に一般を対象にした独自の「改憲国民大会」を開きます。

 別々に大会を開くのには理由があります。

 同国民会議役員は「役割分担といっていい。議員同盟は国会議員を中心に国会の憲法審査会で調査審議を進める。運動団体のわれわれは『九条の会』などに対抗する改憲世論を広げる草の根の活動に取り組む。それぞれの立場から大会を開くことにした」と述べています。
世論に対抗意識

 草の根レベルで広がる「九条の会」の活動に対抗し、改憲世論を盛り上げる狙いを隠しません。

 同国民会議の取り組みは、タイアップする新憲法制定議員同盟の「『九条の会』に対抗していくのにどうしたらいいか、今後の活動の大きな焦点になる」(三月四日、同議員同盟緊急総会での愛知和男幹事長発言)との方針を受けたものです。

 日本会議など「靖国」派が中心の改憲団体・「21世紀の日本と憲法」有識者懇談会(民間憲法臨調)も憲法記念日当日に発表する緊急提言「国会は『憲法審査会』での改憲論議を急げ!」をテーマに自民党議員などが参加する憲法フォーラムを開きます。

 近年の世論調査では九条の改憲は「必要」とする回答が漸減傾向にあります。改憲を政権の正面課題にすえた安倍晋三内閣が昨年九月に自壊したこともあり、改憲派は世論に逆行する巻き返しに懸命という構図です。

2008年4月 2日 (水)

神奈川新聞社説「九条の会」施設利用

神奈川新聞の3月3日の記事は本ブログでも紹介したが、5日に同紙に以下の社説が載ったのを見落としていた。神奈川新聞の良識に敬意を表する次第である。(高田)
http://www.kanaloco.jp/editorial/entry/entryxiiimar08033/
「九条の会」施設利用

    * 2008/03/05
   中立であるべきは行政だ

 平和憲法を守ろうと箱根町で結成された市民団体が、町立公民館を借りる際に「九条堅持に偏って主張することは避ける」などと町教育委員会から条件を付けられ活動の制約を受けているという。

 公務員は「全体の奉仕者」(憲法一五条)であり、行政こそが政治的に中立でなければならず、勝手な判断はできないはずだ。ところが町教委は個人的な見解を振りかざして、町民の集会の自由、表現の自由を損なった。憲法、地方自治法、地方公務員法などに反した行為だと言わざるを得ない。

 町教委は団体に対し「一方的な考えを強く主張するのはやめてほしい」と伝えたり、施設に掲示されたポスターの「憲法九条が危ない情勢」との表現について、「内容が中立的でない」として紙で覆い隠したりしたという。一体何を根拠に「一方的」「中立でない」と判断し、そのような行為に及ぶのか。権限も必要もないはずだ。集会の自由、表現の自由に対する明らかな侵害である。

 そもそも世論調査では「九条堅持」は多数派である。ならば「九条改定」を訴える団体は、より「一方的な主張」として厳重な制約を受けるのだろうか。また「九条が危ない」が隠されるのならば「年金が危ない」「環境が危ない」「日本映画が危ない」などの表現も隠されるのだろうか。まるで、戦前の出来事のようである。

 町教委は公の施設の運営を基本から取り違えているようだ。民主主義社会では、国民はそれぞれ独自の意見を持ち、集会を行い、表現する自由を持つ。また思想信条などで差別されてはならない。教育文化行政を担当する教育委員会はなおさら、そうした国民の精神的自由を尊重しなければならないはずだ。多様な施設利用者を公平・平等に扱うため、施設運営者側にこそ中立性が求められるのだ。個々の利用者に中立を求めるなど見当違いである。

 公の施設について地方自治法は、「正当な理由がない限り」住民の利用を拒否できないとし、「差別的取扱いをしてはならない」と明記している。大阪・泉佐野市民会館の使用不許可をめぐる国家賠償請求事件で最高裁判決(一九九五年)は、「明らかな差し迫った危険が具体的に予見される」ような場合を除き、市は使用申請を拒否できないとした。集会の自由を最大限に保障するためである。

 問題視されがちな政治関係の利用についても、全国の公民館でつくる公民館連合会は、政党の講演会などでさえ、「全く問題はない」と明確に説明する。各政党・政治団体が公平・平等に利用できれば何の問題もないのだ。

 九条問題は国政の争点の一つだ。箱根町の施設で、護憲、改憲、加憲など、さまざまな立場の町民がそれぞれに集い、議論するのはごく当たり前のことである。

2008年3月 6日 (木)

中曽根元首相が画策する改憲議員同盟の危険性

新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘・元首相)=改憲議員同盟の総会が開かれ、民主党の鳩山幹事長が顧問に就任するなど、民主党幹部が加入したことが注目を集めている。
この議員同盟は1955年に岸信介らの極右派が立ち上げた「自主憲法期成議員同盟」を2007年3月に改組し、中曽根が会長について活動を活発化させたもの。当時、安倍前首相が「自分の任期中に改憲する」などと豪語したことに触発され、これを推進するための中曽根ら自民党内の札付きの改憲派の拠点となった。
これとは別に中山太郎が会長をつとめる「憲法調査推進議員連盟」があるが、中山らが長年追求してきた自公民共同による改憲という路線を安倍首相が破壊したことから、改憲派内に矛盾が生じていた。それは自民党の憲法審議会役員構成を巡って、当時の中川昭一・政調会長と、船田元・憲法審議会会長代理の間で確執が生じたことなどに見られたことである。
この中山太郎は今回、改憲議員同盟の会長代理に就任している。
鳩山がこうしたウルトラ右派の議員同盟に加わったこと、この人物の、何とも無責任で、野党幹事長としての政治感覚の悪さを象徴しているが、実は信頼できる情報によると、中曽根が鳩山に直接電話をして頼み込み、断れなかったということのようである。ここに中曽根のこの議員同盟に寄せる執念が見える。中曽根はこのグループの持っている弱点=国家主義的右翼イデオロギーが強烈すぎることをある程度自覚し、鳩山を引き入れることでそのかたくななイデオロギー臭を弱め、支持を広げる必要に迫られたのであろう。
安倍内閣崩壊の後、そのショックから立ち直ったウルトラ改憲派のこの動きは危険である。とくにこの連中が「九条の会」を目の敵にして、対抗し、草の根から改憲の流れを再構築しようとしていることは見逃せない。最近の右派の各自治体での動きなどとあわせて、こうした右派改憲勢力が明文改憲と自衛隊海外派兵恒久法制定などをめざして、草の根右翼の流れをを作り出そうとしていることについては要・警戒である。
ちなみに、改憲議員同盟の役員名簿で、私が注目したのは以下の面々である。
顧問:鳩山由紀夫(衆・民、新任)、、伊吹文明(衆・自、新任)、亀井静香(衆・国、新任)、安倍晋三(衆・自、新任)、谷垣禎一(衆・自、新任)。副会長:前原誠司(衆・民、新任)、渡部英央(参・民、新任)などなど。民主の各メンバーは「なにをかんがえてるの?」ってとこだが、羽田孜は事前に参加を断ったと聞く。谷垣などには「へぇ、ねえ」という感じだ。安倍は最近あちこちに顔をだしているが、「この人、恥知らずだね」という感じ。伊吹は「なんだか、張り切っているね」というとこ。(高田)

2008年3月 5日 (水)

与野党改憲派がタッグ 鳩山由・前原氏ら役員に

昨日の改憲議員同盟総会の報道記事である。朝日、読売、読売社説、赤旗しんぶんの各報道を貼り付けます。安倍内閣崩壊後の改憲派の巻き返し策動の表面化であり、今回は特に鳩山由紀夫氏ら野党幹部が役員に名を連ねているのが特徴だ。改憲議連が動きが鈍くなったのに対応して、超右派からの巻き返しの動きである。(高田)

http://www.asahi.com/politics/update/0304/TKY200803040304.html
与野党改憲派がタッグ 鳩山由・前原氏ら役員に

2008年03月04日16時31分

 自民党の国会議員やOBでつくる新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)は4日、国会内で総会を開き、新たな役員として、民主党の鳩山由紀夫幹事長や国民新党の亀井静香代表代行らを顧問に、民主党の前原誠司前代表らを副代表に迎え入れた。昨年、それまでの「自主憲法期成議員同盟」を衣替えして活動を始めたが、今回は超党派に枠を広げ、改憲機運の盛り上げをめざす。

 総会で中曽根氏は「改憲のような国家的大問題は超党派で決めていかねばならない」とあいさつし、安倍前首相も「改憲は私のライフワーク」。民主党を代表して田名部匡省参院議員も「改憲はここ数年で決着すると決めてやらないと」と呼応した。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080304-OYT1T00806.htm
新憲法同盟、自民党と民主党の幹事長を顧問に

 超党派の国会議員らで作る「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根元首相)は4日、国会内で総会を開き、自民党の伊吹、民主党の鳩山両幹事長らを顧問とする新役員体制を決定した。

 両党幹事長の参加を得て、衆参両院の憲法審査会を早期に始動させるよう、与野党への働きかけを強化する方針だ。

 議員同盟には、自民、民主、公明、国民新の各党などから議員191人が参加している。

 昨年11月に4人だった民主党議員は、鳩山氏や前原誠司副代表らの入会で14人に増え、前原氏と田名部匡省、渡辺秀央両参院議員は副会長に就任した。自民党からは、議員同盟の副会長である二階総務会長、古賀誠選挙対策委員長に加え、伊吹氏と谷垣政調会長も新たに顧問に迎えられ、党四役が全員、議員同盟の役員となった。

 議員同盟は今後、憲法審査会の始動を求める国会議員の署名活動に引き続き取り組むほか、5月1日に大会を開催する予定だ。

 中曽根氏はあいさつで、「憲法問題が冷えている最中に超党派の皆さんが参加したということは、国会議員の中に根強い憲法改正へのエネルギーが充満していることの証拠だ」と強調した。伊吹氏は「憲法審査会が動く状況を作りたい」と述べた。

 鳩山氏は、この日の総会は「予算審議を巡って与野党が対立している今の状況では参加できない」として欠席したが、4日午後、記者団に対し、「今国会で憲法審査会が動き出す可能性もある」と語った。
(2008年3月4日23時55分  読売新聞)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-03-05/2008030501_01_0.html
改憲同盟 自・民で新体制
役員に両党幹事長ら
“政府を代表して” 官房長官が発言

 自民、民主、公明、国民新各党などの改憲派議員でつくる「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根康弘元首相)は四日、国会内で総会を開きました。民主党幹部を新たに役員に加え、改憲策動を推進する新体制を発足させました。

 自民党からは安倍晋三前首相、伊吹文明幹事長、谷垣禎一政調会長らが新たに顧問に就任、民主党からも鳩山由紀夫幹事長が顧問、前原誠司副代表が副会長に就きました。二〇〇八年度予算案の衆院強行通過をめぐって「対立」姿勢をみせる自民、民主両党が、九条改憲という国のあり方の根本問題で基本的に同方向であることを示すものです。

 あいさつで中曽根会長は「憲法問題がいま冷えている最中に、なお国会議員の中には根強い憲法改正への意欲が充満している」とし、「超党派で最大公約数を求めながら国家像を決めていく大事業だ」と強調しました。これまでなかった民主党幹部の参加で、改憲機運を盛り上げる狙いを示しました。

 閣僚では町村信孝官房長官が参加し、「(中曽根氏から)内閣を代表して出てこいというご命令をいただき、これは天の声だとして私は喜んで参加した」などと発言。憲法改定を目標とする議員同盟の副会長に名を連ね、改憲の呼びかけの先頭に立つ立場を鮮明にし、憲法尊重擁護義務(憲法九九条)に公然と違反する行動に出ました。

 また、鳩山邦夫法相、高村正彦外相、額賀福志郎財務相らが役員に名を連ねています。

 総会では当面の活動方針として(1)衆参両院の憲法審査会始動へ働きかけをさらに強める(2)民主、公明両党の議員を中心に会員の増強を進める (3)「九条の会」に対抗していくため地方の拠点づくりを進める、ことを確認。五月一日には「新憲法制定推進大会」(仮称)を憲政記念館で開催することを決めました。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080304-OYT1T00737.htm
新憲法議員同盟 まずは憲法審査会の始動だ(3月5日付・読売社説)

 憲法論議の前進へ、重要な意義を持つ新たな動きである。

 鳩山幹事長や前原誠司前代表ら民主党幹部が、超党派の国会議員らで作る新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)の顧問や副会長の役職に就いた。民主党議員の役員就任は初めてだ。

 内外の変化が激しさを増し、憲法と現実との乖離(かいり)がますます進んでいる。民主党内でも、新たな時代の指針となる新憲法制定に正面から取り組まねばならない、との認識が強まっているのだろう。

 鳩山幹事長は、民主党幹部の議員同盟役職就任を機に、「通常国会中に憲法審査会の立ち上げが動きだす可能性がある」と言う。

 当面、急ぐべきは、衆参の憲法審査会の始動だ。衆参ねじれの下での与野党対決の現状から、民主党はこれまで、「冷静に憲法を論議する環境にない」として消極姿勢に終始してきた。

 これは疑問だ。国民投票法に規定されている審査会を動かさないというのは、政治の怠慢だ。立法府の構成員として、国会で成立した法律を無視するようなことは、あってはならない。

 何よりも、憲法審査会の場で、政治として取り上げるべき重要な課題がある。

 一つは、国際平和活動の問題だ。新テロ対策特別措置法によって、インド洋での給油活動を再開したものの、1年だけの時限立法だ。いずれ、問題が再燃する。その際、いわゆる恒久法の制定問題も論議の俎(そ)上(じょう)に上るだろう。

 憲法抜きで、あるべき国際平和活動を論じることはできない。

 国民投票法の付則は、選挙権年齢も20歳から18歳に引き下げ、民法の成年年齢についても法制上の措置を講じるよう求めている。

 法制審議会は民法の成年年齢を18歳に引き下げるかどうかの審議を始めた。国民の責任・義務のあり方にとどまらず、人口減社会の将来像をどう考えるのか。

 憲法審査会としても、こうした課題に関する多角的な議論を通じて、国、社会のあるべき姿を国民に示すべきではないか。

 憲法論議を進めることに対し、民主党内には、慎重論が根強くある。旧社会党系の議員は、憲法改正には反対だ。次期衆院選に向けて野党共闘を維持するために、「護憲」を掲げる社民党や共産党への配慮もうかがえる。

 だが、政略的思惑で憲法論議をゆがめたり、停滞させたりすべきではあるまい。鳩山幹事長らに期待するところである。
(2008年3月5日01時50分  読売新聞)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-03-05/2008030504_01_0.html
「九条の会」に対抗
新憲法制定議員同盟
地方拠点作り狙う
解説

 新憲法制定議員同盟の新役員体制の発足は、これまで参加のなかった民主党幹部を組み込むことで、参院選で挫折した改憲策動を盛り上げることに狙いがあります。議員同盟幹部は、「政局の中で民主党との対立はいろいろあるが改憲は党派を超えた課題であり、政界再編を狙っているわけではないが、客観的には大きく動かす軸になるだろう」と語りました。

 それは憲法守れの国民世論に追い込まれた改憲派の危機感のあらわれでもあります。

 四日の新憲法制定議員同盟の総会では「拠点となる地方組織づくり」を方針として確認しました。

 愛知和男議員同盟幹事長は活動方針の説明の中で「われわれと正反対の勢力、『九条の会』と称する勢力が、全国に細かく組織作りができておりまして、それに対抗していくにはよほどこちらも地方に拠点を作っていかねばなりません。そこが今後の活動の大きな焦点となる」と強調。「各党支部や青年会議所などに頼んで拠点になってもらうことも一つかと思う」と提起しました。

 中曽根康弘会長も「各党の府県支部に憲法改正の委員会をつくり、全国的な網を張っていくことが私たちの次の目標。そしてできれば超党派の全国的な国会議員、地方議員の連合の会をできるだけ早期につくりたい」と発言しました。

 「九条の会」を名指しして「対抗」意識をむき出しにした発言は、焦りの表れです。

 自民党は〇五年の「新憲法草案」の発表後から全国的なタウンミーティングの開催や国民運動の展開を繰り返し提起してきました。しかし、現実には改憲促進の“国民運動”の広がりは見られませんでした。「戦後レジームからの脱却」を掲げた安倍内閣の下で改憲手続き法が強行されましたが、国民世論は「九条改定反対」の方向に大きく動いています。

 昨年の「新憲法制定議員同盟」の発足に当たっても「九条の会」に対抗した国民運動の展開を提唱していましたが、実現せずにいます。九条改定の主張そのものが国民的に受け入れられていないことの反映です。(中祖寅一)
憲法議員同盟の役員

 四日の新憲法制定議員同盟総会で了承された役員は次の通り。☆は新。かっこ内の元は元職。敬称略。

 【会長】中曽根康弘(元)

 【会長代理】中山太郎(自民・衆院)

 【顧問】衆院=海部俊樹、中川秀直、丹羽雄哉、中川昭一、瓦力、山崎拓、☆安倍晋三、☆伊吹文明、☆谷垣禎一(以上自民)、☆鳩山由紀夫(民主)、綿貫民輔、☆亀井静香(以上国民新)、参院=青木幹雄(自民)、元職=塩川正十郎、奥野誠亮、森下元晴、上田稔、倉田寛之、関谷勝嗣、片山虎之助、 ☆粟屋敏信、☆葉梨信行、谷川和穂

 【副会長】衆院=津島雄二、古賀誠、野田毅、島村宜伸、深谷隆司、与謝野馨、高村正彦、二階俊博、町村信孝、額賀福志郎、大野功統、斉藤斗志二、杉浦正健、森山眞弓、堀内光雄、☆臼井日出男、☆石原伸晃(以上自民)、☆前原誠司(民主)、平沼赳夫、☆玉沢徳一郎(以上無所属)、参院=☆藤井孝男、 ☆尾辻秀久(以上自民)、☆田名部匡省、☆渡辺秀央(以上民主)、山東昭子(無所属)、元職=小野清子

 【副会長兼常任幹事】衆院=保岡興治、鳩山邦夫、大島理森、船田元、金子一義(以上自民)、参院=鴻池祥肇、☆泉信也(以上自民)

 【幹事長】愛知和男(自民・衆院)

 【副幹事長兼事務局長】柳本卓治(自民・衆院)

 【副幹事長】中曽根弘文(自民・参院)

 【常任幹事兼事務局次長】衆院=☆平沢勝栄(自民)、参院=林芳正、岡田直樹(以上自民)

 【常任幹事】衆院=☆松原仁(民主)、☆下地幹郎(無所属)、参院=☆谷川秀善、☆中川義雄(以上自民)、☆亀井郁夫(国民新)、元職=飯田忠雄、永野茂門

 【監事】萩山教嚴、木村太郎(以上自民・衆院)

2008年3月 4日 (火)

鳩山幹事長、改憲議員同盟役員に

この赤旗紙の記事は注目すべき動きである。民主党の鳩山幹事長が改憲議員同盟に入っていくことは危険な動きである。この時期に野党第一党の現職幹事長がタカ派改憲議員集団の役員になることは言語道断だ。鳩山氏はもともと改憲議連発足の時にも名を連ねて、諸々の理由ではずれた経過がある人物だが、弟の邦夫氏とともに抜き差しならない改憲派の思想の持ち主である。要注意である。ちなみに鳩山由紀夫氏の国会事務所は電話03-3508-7334 FAX03-3502-5295。(高田)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-03-04/2008030402_03_0.html
憲法審査会始動ねらう
議員同盟 きょう総会
民主幹部が新役員に

 自民、民主、国民新各党と無所属の改憲派議員らでつくる新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)は四日に総会を開きます。新たに民主党から鳩山由紀夫幹事長、前原誠司副代表ら幹部の参加を得て新役員体制を発足させる見通しです。

 同議員同盟は一月の臨時国会閉会時に、衆参両院議長に対し三百人をこえる衆参両院議員の賛同署名を添えて改憲原案の調査権限を持つ憲法審査会の早期始動を申し入れ、明文改憲論議の促進へ働きかけを強めています。

 昨年五月に与党が強行した改憲手続き法に基づき同年八月には衆参両院に憲法審査会が設置されました。しかし、参院選での与野党逆転の結果を受け、審査会の組織と運営のルールを定める審査会規程の議決に野党が反対する中で、いまだに始動できていません。
「二大政党」で

 その中での同議員同盟新役員体制への民主党幹部の参加。これは、自民・民主「二大政党」による改憲にむけた共同が、安倍前内閣の強硬な改憲姿勢のもとで破たんしたのを修復し、憲法審査会の早期始動につなげる狙いがあります。

 民主党憲法調査会幹部の一人は、「総選挙を前にいま自民党と改憲で握手するのは難しいが、安倍内閣のもとでの強硬なやり方への一定の総括がなされるなら、憲法審査会を動かしていくことそのものには反対ではない」と話します。

 また、四日の議員同盟総会では安倍晋三前首相が新役員に就任する予定です。侵略戦争の正当化、天皇中心の復古的改憲を主張する「靖国」派による影響力“回復”を目指す動きとみられています。

 同議員同盟は昨年四月、旧自主憲法期成議員同盟を改称し改憲保守派を集めて結成されました。結成時の活動方針では「護憲派の運動(例えば九条の会)が盛んになっているので、ぜひ当議員同盟が中心になって、これに対抗する運動を強力に展開していくべきである」と強調。「九条の会」をはじめ草の根の護憲の取り組みに“対抗”し、改憲促進の国民運動の「中軸」となることを目指してきました。
教育で“普及”

 自民党憲法審議会は、「当面、衆参の憲法審査会の始動の見通しは立たない」(同幹部)という中で、改憲手続き法にもとづく国民投票法制の整備に向けた検討作業を独自に始めています。テーマは投票年齢の十八歳への引き下げや、公務員の国民投票運動規制などです。

 六日に予定される会合では、投票年齢の引き下げに対応して、小中学校、高校での憲法教育の実情などについて意見交換するとしています。教育の点では、改憲手続き法審議の中で自民党の法案提出者は「(投票年齢を引き下げるなら)若い世代に、今の憲法のよい点、時代に合わない点についてしっかりと認識してもらう」(〇六年十二月)と発言しています。同審議会が憲法教育の実情を検討しようとしていることは、二〇一〇年の国民投票法の施行―国民投票実施をにらんで、子どもたちに改憲派の主張を“普及”しようとする動きであり重大です。(中祖寅一)

2007年9月27日 (木)

改憲促進へ6億円/国民投票PR 総務省が予算要求/全国50紙に全面広告3回

赤旗しんぶんの報道ですが、これはとんでもない。改憲手続き法は欠陥法であり、だからこそ国会で憲法審査会はつくれずに、立ち往生している。それを無視して、宣伝だけ進めてしまおうというやり方だ。税金の無駄遣いも極まる話だ。(高田)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-09-23/2007092301_01_0.html
2007年9月23日(日)「しんぶん赤旗」
改憲促進へ6億円
国民投票PR 総務省が予算要求
全国50紙に全面広告3回

 今年五月に成立した改憲手続き法(国民投票法)を国民に周知徹底するために、政府が約六億円を投じて新聞全面広告などを使った広報計画を準備していることが分かりました。総務省が来年度予算案に新規項目として概算要求しました。改憲世論を盛り上げることを意図したものです。

 総務省が八月末にまとめた概算要求には「国民投票制度の周知及び執行体制の確立に必要な経費」として六億三千万円を要求しました。内訳を説明した総務省国民投票係によれば、新聞全面広告に四億円(全国紙五紙、ブロック紙三紙、地方紙四十二紙の計五十紙に三回にわたって掲載する)、雑誌広告に七千万円などを盛り込みました。

 広報費用関係だけで五億八千九百二十万円になります(詳細は表)。このほか「執行体制の検討・研究」の費用として四千万円を要求しました。

 改憲手続き法は自民・公明の与党が、憲法九条改悪を狙って強行成立させたものですが、国民投票法部分の施行は三年後。同法成立(五月)に際しては、参院憲法調査特別委員会で「十八項目」にものぼる付帯決議がつけられ、(1)投票年齢を十八歳以上とするための法令整備(2)最低投票率の是非の検討 (3)在外投票の保障問題(4)公務員・教員の地位利用にかんする基準の検討(5)有料広告規制の検討など、法案の根幹にかかわる問題を検討課題としました。

 この問題の検討も始まらないうちに、巨額な費用を使って法律の広報活動ばかり先行させるやり方は重大です。

 総務省は「法律に検討課題が残されてはいるが、準備は必要だ。国民の大多数にかかわる新しい制度なので、あまねく周知する」と説明します。

2007年9月21日 (金)

福田の改憲への姿勢について

自民党総裁選で、二人の最初の立候補表明から改憲が消えたと「赤旗」が指摘していた。確かに、安倍首相と比べて、この二人には憲法問題の言及は極度に少なくなった。
福田が当選したら、改憲問題にどういう態度をとるのか、本日(21日)の毎日の報道する福田へのインタビューから垣間見ることが出来る。
福田は「10年に憲法改正発議を目指す道筋に変わりないですか」と尋ねられて、「発議できるような状況にあるかというのは大前提でしょ。(衆参両院で)3分の2の議決を要するので、大勢をつくらないといけない。国会の議論がどうなるかを見守っていく必要がある」と答えている。
これを毎日は「福田氏 改憲発議に慎重姿勢」というのだが、かならずしも「慎重」というものでもなく、この発言はごく当然のことを言っているだけだ。福田は2010年に参議院で改憲派が3分の2をしめることが出来るのかどうかということを言っている。民主党と改憲の中身で合意できない限り、2010年には不可能であることは当然のことだ。それなしには発議出来ない。国会の論議のなかでそうなるかどうかということを福田は言っている。憲法審査会の議論がそうした方向に進むのかどうかということだ。
福田は自民党新憲法草案起草委員会の安全保障小委員会(9条関連)の座長として、あの草案をまとめた人物だ。条件さえできれば改憲をしたいと思うのは当然だ。
問題は条件(状況)だということだ。
慌てずに、警戒を怠らずに、しっかりと監視し、闘っていかなくてはならない。(高田)

http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20070921k0000e010001000c.html
自民総裁選:福田、麻生両氏へのインタビュー要旨

 自民党総裁選に立候補している福田康夫元官房長官と麻生太郎幹事長に20日、毎日新聞などが行ったインタビューの要旨は次の通り。

 ◇福田氏 改憲発議に慎重姿勢

 --海上自衛隊が参加するテロ対策活動に対する謝意を盛り込んだ国連安保理決議が採択されました。

 ◆期待が表明されたので、当初の予定通り活動を継続できるようにしていきたい。ただ、国会もねえ、だいぶ(会期を)消費してしまった。

 --会期を延長してでもやるべきですか。

 ◆野党ともよく話し合いをしなきゃ。いま、延長がどうのこうのと踏み込んで言えない。

 --公明党が連立政権協議の基本方針に政治資金規正法の再改正を盛り込みました。

 ◆「1円以上の領収書添付を義務づける」と。私も同感するところはある。ただし、政治活動が自由にできなくなることがあってはならない。

 --総裁選で勝ったら、麻生さんの処遇は。また、人事は。

 ◆これはねえ、結果が出た後で考えるべきだ。私が100%絶対に(勝つ)なんて、皆さん方、思ってないでしょ。

 --幹事長にはどういう人材を求めますか。

 ◆国民の信頼を得られる形でのリーダーシップを発揮すること。これはもう、誰がなっても当然ですね。

 --財政再建は。

 ◆基礎的財政収支(プライマリーバランス)を11年度(に黒字化する)と決めているので、達成するよう最大限努力する。先に延びるとかは一切考えていません。

 --女性・女系天皇をどう考えますか。

 ◆(皇室典範のあり方をめぐる)議論の内容をよく承知したうえで判断したい。今のままでは済まないという認識は前から持ってます。

 --10年に憲法改正発議を目指す道筋に変わりないですか。

 ◆発議できるような状況にあるかというのは大前提でしょ。(衆参両院で)3分の2の議決を要するので、大勢をつくらないといけない。国会の議論がどうなるかを見守っていく必要がある。【聞き手・川上克己】

毎日新聞 2007年9月21日 7時24分

2007年8月31日 (金)

中曽根、安倍に渇を入れる

本日(8月31日)の『産経新聞』の「単刀直言」というコラムで、中曽根元首相が「初心忘るべからず」「決戦的指導力 首相は発揮を」と、安倍首相にエールを送っている。
両者の関係は、例えば先の自民党新憲法草案起草委員会の前文委員会で中曽根が委員長、安倍が事務局長だった。このときも党内外で「前文案」への批判が強かったが、動揺する安倍に中曽根は「安倍君、ひるむな!」と渇を入れたことがある。
この一文も安倍に一定の影響を与えるに違いない。(高田)

http://www.sankei.co.jp/seiji/seikyoku/070831/skk070831000.htm
政局は衆院解散総選挙に向かう 中曽根康弘元首相

「初心忘るべからず」。安倍晋三首相にエールを送る中曽根康弘元首相=28日午後、東京・平河町の砂防会館

 改造内閣で安倍晋三首相は、個性の強い、多彩な人材を集めたと思う。自民党三役人事も割合に実力のある人材を抜擢(ばってき)して、一新の気分を出そうとしている。設計図、材料はそろえた。これらを上手に組み立て、国家という家を建てられるかどうか。大工の棟梁(とうりょう)の腕前になる。

 最初の内閣である第1期は総理学を勉強する時代だったと思う。しかし、年金記録紛失や閣僚の失言、政治資金処理をめぐる問題への対応などで安倍氏の指導力が問われ、参院選で自民党は大敗した。

決戦的指導力 首相は発揮を

 これからの第2期で一番大事なことは、摩擦を恐れずに自分の政策、信念を断行していく「陣頭指揮力」が大事だ。日本や外国の最高責任者に国民が魅了されるのは、勇敢さや雄々しさである。

 首相の政治遂行には、長期目標と現実政治と2つ分けて考える必要がある。

 長期目標としてあるのは憲法改正だ。安倍氏は5年以内にやりたいと以前から言っている。今は「初心忘るべからず」の思いで、この目標に対する道筋を一歩ずつ作っていく段階で、そのための準備行為の道筋を作るべきだ。

 自民党内の憲法審査会の構成なども早くやり、研究討議活動をできるだけ早期に再開する必要がある。それが憲法問題に対する安倍氏の信念の不動を示す形になる。ストップさせてはいけない。

 現実政治の問題では、(9月10日召集予定の臨時国会の焦点となる)テロ対策特別措置法の延長問題のほか、小泉純一郎内閣が行った仕事の後始末がある。

 小泉内閣は市場経済を強調しすぎて、地方や労働の格差問題を生んだ。財政再建の問題、結局は税制の問題もある。基礎年金の2分の1国庫負担を実行するために消費税をどうするか。今は手をつけないといっても、6年そのままでよいとは考えられない。政争の具にされやすいが、平成23年のプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化を実現する工程管理計画が要求される。また、日本のこれからの経済、教育や外交をどうするかを、国家的見地に立って自民、民主両党の首脳部は話し合うことだ。

 民主党も参院第1党となり、国家への責任について従来とは異なる立場に変わり、昔の社会党のような反対のための反対は国民に批判される。政権担当能力を示す大局的変化が期待される。

 そして次は、特にアジア外交だ。安倍氏は就任早々、中国と韓国を訪問したが、あれはあいさつ程度であって、本格的に話し合うのはこれからの仕事だろう。

 私の経験だが、外交はトップ間の信頼と友情が生まれないと本格的に進まない。私とレーガン元米大統領との関係や胡耀邦元中国共産党総書記との関係はそうだった。前政権の結果、日本は国連安保理常任理事国入りがかかった選挙で、従来、友好的票田であった東南アジア諸国連合(ASEAN)、アフリカの大部分の票を逃した。中国の進出が目立ち、近来日米関係もギクシャクしている。この失地回復と、中国、北朝鮮と近接し変化しつつある米国と強力な再統合を図るときだ。

 これからの6年間、参院で自民党が多数になる可能性は少ない。そうなると、これから参院のやりかたの基本方針を内閣や自民党が決めないといけない。

 では何か。与党と民主党による政策協議の機関を作る。そこで双方が話し合い、妥協し、法案を処理していく。テロ特措法の延長問題も、このような形で決着を図るべきだ。

 (参院で否決されても衆院で3分の2以上の賛成があれば成立できる規定は)テロ特措法では使うべきではないと思う。妥協・修正で成立を図るべきだ。いわゆる衆院の3分の2で復活を図る方法は、内閣の運命を決める重大な問題に限るべきで、そのときは衆院解散という問題が付随する可能性もある。

 テロ特措法に民主党の小沢一郎代表は反対だと言っているが、このような国家的課題は粘り強く交渉して、国民の前に自民党の誠意と真剣さを示し、両党の国家的課題への協調の先例を作る機会だ。

 また、おそらく民主党は国会などを通じて「年内にでも衆院解散をやれ」と何度も迫るだろう。自民党は「まだそんな時期ではない」との思いがあるだろう。そういう形のままでいろいろな与野党間の駆け引きが行われ、その結果いずれ衆院解散が行われることは想定される。

 衆院解散は、早ければ来年1月くらいにはあり得るし、来年中には十分にあるのではないか。たしかに、民主党の中には自民党と政策的な共通点を持っている勢力がある。しかし、解散総選挙の前に小沢氏に反してまで独自行動を取ることはないだろうし、できないだろう。だから、そういう面から考えて、解散の時期は早まってくる。いずれにせよ、来年の通常国会で審議する平成20年度予算でも、自民党は相当苦労し、危機的政局が続くと思う。

 来年7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)まで解散を遅らせる余裕はないだろう。また、戦った上で堂々とサミットに出るほうが日本の権威のためにもいいかもしれない。

 当然のことだが、自民党は安倍氏のもとで衆院選を戦うべきだ。今度の改造の人的配置、内閣の顔ぶれを見ると、立場は違っても気脈の通じる者を要職に配置し、安倍氏は解散覚悟の体系を作っていると思う。

 衆院選の政治課題は、まさに格差と年金や財政問題だ。そのために、新しい陣容にしたのだろう。そして、新しい考えに立って安倍氏が決戦的指導力を発揮したら、国民は見直すだろう。そのためにも安倍氏に一番大事なことは、断行力となる。

 衆院選の結果で各政党は、国民世論の動向を見て国家の行く末を考えながら、どのような道を選択すべきかを考えないといけない。2大政党制の前進を図るなら、政党が国家的責任を分かち合う大局的な相互関係をつくらなければならない。

 大連立や政界再編は次の総選挙を経た後にあり得るし、終局的には憲法改正問題が国会で議論され、その成否の選択を政治家が決心する時期には確実に起こるものと予測している。

(2007/08/31 07:54)

2007年8月 8日 (水)

憲法審査会は「事実上」設置できなかった

昨日、このブログに「憲法審査会が設置されなかった」と書いたが、正確には「憲法審査会が事実上、設置されなかった」ということだ。多少、七面倒くさい話だが、改憲手続き法によって形式的には自動的にこの臨時国会から「憲法審査会が置かれた」が、その規程や人選が一切決まらなかったので、事実上は機能していない。「ハコだけが置かれたが、中身は何もない」という状況になった。憲法審査会という建物は建てて、表札は付けたが、誰が入るのか、どのように使うのかは何も決まっていないということだ。(高田)
本日の朝日新聞はこれを以下のように報道した。

衆参「憲法審査会」の立ち上げ先送り 民主が反対

2007年08月07日20時03分

 国民投票法に基づいて7日に衆参両院に新設された「憲法審査会」の実質的な立ち上げが、次期国会以降に先送りされることになった。定数や議決要件を定める「審査会規程」の制定に、野党側が応じないため。自民党の参院選公約に「平成22(2010)年の国会において憲法改正案の発議をめざす」と記し、改憲に道筋をつけたい安倍首相にとって、スタートからつまずく形となった。

 国民投票法では、調査に限定されていた「憲法調査会」に代わり、今国会から改憲案を提出・審議できる審査会の設置を規定。与党はこれまで(1)定数50人(2)出席委員の過半数で議決(3)公聴会の開催義務化――などを盛り込んだ規程案を作成し、野党側に提示している。

 これに対し民主党は、国民投票法が成立した先の通常国会で与党が強引な国会運営をしたことなどを理由に、今国会では規程の制定に応じない方針を与党側に伝達。社民党の福島党首も1日の会見で「安倍首相がやりたがっていた憲法改悪など国民は望んでいない」と反対を表明している。

 自民党幹部は「波乱が予想される国会を控え、憲法でごり押しするのは得策ではない」としており、今国会での立ち上げは断念する方針だ。

2007年8月 7日 (火)

憲法審査会が設置されなかった

本日(7日)、院内で開かれた「憲暴走安倍内閣は退陣を!緊急院内集会~憲法改悪反対/憲法9条を守れ/憲法違反の集団的自衛権の行使反対/テロ特措法延長反対」は、80人を超える市民の参加と、福島瑞穂・社民党党首、志位和夫・共産党委員長、糸数慶子(無所属)議員をはじめ10数人の国会議員の参加で開かれた。参加者は会場満員で廊下にあふれていた。社民、共産の両党首の発言に続いて、参加した一人ひとりの国会議員が一言づつ発言した。5・3憲法集会実行委員会の事務局団体もそれぞれ発言した。

集会では参議院選挙の結果は安倍内閣にたいする有権者の審判であり、今後の国会情勢に希望がもてる状況を生み出した、民主党の議員もこうした集会に出てくるように働きかけをつよめよう、などという主旨の発言が相次ぎ、熱気に満ちたものとなった。

最後に行動提起として私から、①本日、この臨時国会では憲法審査会の設置が出来なかった。設置するには、議運で憲法審査会規定を作り、本会議で確認されなければならないが、議運で自民党が提案したものを、社民・共産などが反対し、民主が持ち帰りにしたことで、事実上、今臨時国会の本会議ではかられることはなくなり、次期、臨時国会に持ちこされた。これも先の参院選が生み出した局面の変化のひとつといってよい。②5・3集会実行委員会は、次期、168臨時国会の冒頭に、再度、院内集会を開く。③憲法9条の改悪に反対する署名運動にとり組むので、署名用紙が必要な方は連絡してほしい、の3点を提起した。(高田)

2007年7月25日 (水)

羊頭狗肉とはこのことだ

本日(25日)の朝日新聞の社説は「憲法問題 白紙委任しないために」という主張だ。昨日の毎日新聞の社説も「憲法改正問題 自民も民主も逃げている」というものだった。読売や産経にも同様の論調が見られる。19日には読売の編集委員の尾崎和典が「憲法改正 論議つくせ」と主張しているし、産経などでは首相の支持派である村田晃嗣・同志社大教授らも安倍に「失望」している。
筆者も何度か指摘してきたが、安倍首相と与党は明らかにこの選挙で憲法問題を回避している。155の重点政策の筆頭に改憲をかかげながらこのザマだ。安倍首相は50年ぶりに正面から改憲を問う選挙をやるのかと思ったら、逃げ出した。まさに羊頭狗肉そのものだ。
しかし、安倍首相は選挙が終わったら両院に設置される憲法審査会で、改憲手続き法の施行期間の3年凍結を無視して、事実上の改憲原案(骨子だから違法ではないなどとごまかして)作りに入ろうとしているし、首相の私的諮問機関の有識者懇談会は集団的自衛権合憲論をうちだそうと手ぐすねを引いている。国家安全保障基本法などが準備されている。
このような卑劣で、醜悪な政治手法が安倍の「美しい国」なのだ。
このような欺瞞に満ちた安倍首相の改憲策動を断じて許すことは出来ない。私たちは秋からの本格的なたたかいに備えなければならない。(高田)

http://www.asahi.com/paper/editorial.html
「憲法問題」―白紙委任しないために

 今年初め、憲法改正を参院選の争点に掲げたのは安倍首相だった。ところが、選挙戦に入ってからの首相の街頭演説を聞くと「国民投票法が成立した。新しい憲法を書こうじゃありませんか」などと、極めておざなりだ。

 自民党のマニフェストは、3年後に改憲案を国会で発議することを目指すとし、そのための国民運動を展開するとあるだけだ。憲法9条を改正し、自衛軍を持つのが自民党の改憲草案の根幹だが、そんな中身は一切触れられていない。

 首相の意気込みはいったいどこへ消えたのだろうか。憲法改正は、首相が掲げてきた「戦後レジームからの脱却」の中核の主張だったはずだ。

 代わりに、社会保険庁の改組や国家公務員の天下り規制が「戦後レジームからの脱却」と位置づけられているのは驚くばかりだ。年金問題などで応戦に追われる事情はあるにせよ、当惑する有権者は多いだろう。

 民主党はこの選挙で憲法にはあまり触れない戦術だが、共産、社民などは護憲を前面に立てて、支持を訴えている。奇妙なことに、仕掛けた側の自民党が論争を避け、後ずさりしている印象なのだ。

 だが、論争が低調だからと言って、今度の選挙の結果が憲法問題の行方に大きく影響することは変わりない。

 参院議員の任期は6年だ。自民党の言う通り3年後の改憲発議があるとすれば、今度選ばれる議員はその賛否にかかわることになる。自民党の候補者は、改憲の中身や態度を語る責任がある。白紙委任するわけにはいかない。

 もう一つ、憲法9条の根幹にかかわる集団的自衛権の解釈の問題が、首相の私的な有識者懇談会で議論されているのを忘れてはならない。

 同盟国への攻撃を自国への攻撃と見なして阻止する集団的自衛権は、憲法9条で認める必要最小限の自衛の範囲を超える。だから行使できない。それがこれまでの政府の憲法解釈だ。

 そこを米軍と自衛隊がより緊密に協力できるように、解釈を改めたいというのが、首相の意を受けた懇談会の方向だ。政府がその線で踏み出せば、憲法9条の歯止めが失われることに等しい。

 それほど重要な争点なのに、自民党マニフェストは「集団的自衛権の問題を含め、憲法との関係を整理し、安全保障の法的基盤の再構築を行う」とするだけで、結論をぼやかしている。

 首相も「懇談会で議論を深めている最中だから」と最終的な方向づけは避けているが、それでも解釈変更の必要性は唱えている。

 自民党が勝てば、首相は懇談会の報告に沿って、集団的自衛権の行使容認に踏み込むに違いない。改憲への動きにも拍車がかかるだろう。逆に自民敗北ならば、ブレーキをかけざるを得まい。

 現在の論戦では目立たないが、こうした論点を見落としてはならない。

2007年6月29日 (金)

絶句する安倍夫妻の「公私混同」

なかなか面白い記事です。
http://news.goo.ne.jp/article/facta/politics/20070628-02-00-facta.html

2007年5月25日 (金)

平岡秀夫(民主)さんのも面白い

こういう主張の平岡さんが枝野さんに代わって民主の筆頭理事になったことは結構なことだ。民主の憲法提言に対する平野さんの立場も可能性を秘めているとも言えよう。頑張ってほしいところだ。(高田)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/scope/CK2007052502018846.html
憲法改正を問う<2> 平岡秀夫・衆院憲法調査特別委民主筆頭理事
2007年5月25日 紙面から
 ――与野党対立の下、国民投票法が成立した。衆参両院に設置される憲法審査会で何を議論するのか。
 「国民投票法の中身で、積み残されたことをしっかり検討する。すぐに(憲法改正の)中身についての議論は行われない。円満に(国民投票法の採決が)行われていれば、並行して(中身の議論を)やることも考えられたかもしれない。政局にした安倍首相にすべての責任がある」
 ――自民党は改憲の中身についての議論を求めてくるのでは。
 「民主党は、まだ具体的な憲法改正の中身について議論できる状況ではない。(与党も)公明党は具体的な憲法改正条項ができているわけではなく、同じような状況だ」
 ――憲法で改正しなければいけない部分は。
 「裁判官の報酬(八〇条)や私学助成(八九条)の問題は整理する必要があるかもしれないが、急いでやらないと立ち行かなくなる話ではない」
 ――九条については。
 「日本は九条の下で、もっともっと平和的に国際貢献できるのに、十分やっていない。ただ単に北朝鮮や中国の脅威を言い、日米同盟強化へ集団的自衛権を行使するために憲法改正をするんだという(政府の)安全保障政策そのものを考えなければいけない。残された道が(九条)改正しかない、ということはない。(憲法審査会でも)それは言っていく」
 ――民主党内にも九条改憲論はあるが。
 「(まず)九条の理想を踏まえて何をすべきかについて意見集約が必要。その結果『それではダメだ』となって初めて、九条をどう改正するのかという議論に進んでいくのがあるべき姿だ」
 ――世論調査では昔より改憲派が増えている。
 「具体的な改正の中身を提示して聞いてみないと、本当に国民が望んでいることは分からない」
 ――首相は参院選の争点に改憲を掲げている。
 「憲法改正そのものが是か非かは選挙の争点ではない。改正の中身について『こうしたい』と言って初めて争点になる」
 ――民主党は一昨年に憲法提言をまとめた。
 「国会議員だけの狭い世界で議論したこと。生活を背負った人の声を聞かないで重要な政策を決めてはならず、国民と対話しなければいけない」 (聞き手・清水俊介)



2007年5月24日 (木)

中山太郎の談話に興味

共同の配信だと思うが、中山太郎のインタビューは興味深い。見出しは「『自公民』路線復活を」というもの。
中山は①憲法踏査会報告書の絞り込みから議論をはじめ、②週に2~3回、審査会を開くペースでやる。③私学助成など解釈改憲で対応している部分だと、抵抗は少ないから早くやれるだろう。④改憲案を公募する。⑤新憲法草案の公聴会的なものもやる。⑥自公民路線は復活したいし、可能だ。~などと言っている。
改憲派の改憲戦略の一端が垣間見える。(高田)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/scope/CK2007052402018553.html
憲法改正を問う<1> 中山太郎・衆院憲法特別委員長(自民)

2007年5月24日 紙面から
 国民投票法(憲法改正手続き法)が十八日に公布された。改憲の発議が可能になるのは三年後。与野党はそれまで、どのように議論を進めていくのか。各党の関係者に聞いた。
 ――参院選後の臨時国会で、衆参両院に新設される憲法審査会の会長にあなたを推す声が強い。会長になったとして、何から議論するか。
 「衆院の憲法調査会で総合的に調査をして報告書を作成した。それを絞り込み、問題点を勉強することから始める。論点が多いのは安全保障、社会保障。憲法裁判所やプライバシー権についても勉強したい」
 ――改憲原案の審査は三年間凍結されるが、原案の骨子・要綱の作成は可能との意見もある。
 「審査会が始まった時点で、各党の意見を聞いて調整する。ただ、三年間は決して長くない。だから、週に二、三回は開く必要がある」
 ――最短で二〇一一年後半に改憲が実現するとの見通しもある。
 「やり方による。私学助成は違憲(八九条)の疑いがあるが、解釈で助成を実施している。解釈改憲で対応している部分を改正するのなら、抵抗は少ないのではないか。現行憲法の矛盾を解決することが、(改憲の意義を)国民に理解させる早い方法だ」
 ――国民の意見を反映させる考えはあるか。
 「意見を公募する。特に、投票権者の年齢を十八歳まで下げるから、若い世代が自分の国の形をどう考えているのか、知ることに力を入れたい。今まで国民は国会議員に任せた感じだったが、今度は違う。新しい国をつくる起爆剤になる」
 ――自民党の憲法審議会長に就任した。どう運営していくか。
 「党の新憲法草案はできている。地方に出て意見を聞く。公聴会的なこともやっていく」
 ――「自民党らしさが足りない」と草案を見直して保守色を強めるように求める意見もある。
 「発議には両院の総議員の三分の二以上の賛成が必要だ。民主、公明など各党の意見を踏まえる必要がある。各党には、トップレベルの協議をやってもらう必要がある」
 ――民主党は国民投票法に反対して「自公民」路線は崩壊した。
 「(自公民路線は)復活したいし、復活は可能だと思う。復活すれば、堅持したい」
 ――安倍首相は参院選で改憲を争点にすると表明している。
 「国の基本にかかわることだから、首相と野党の党首がそれぞれの議論を展開するのは、国民にとって好ましい」 (聞き手・東条仁史)