許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2009年11月 3日 (火)

集団的自衛権の行使めぐり首相と小沢氏が責任のなすり合い

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091102/plc0911022346014-n1.htm
集団的自衛権の行使めぐり首相と小沢氏が責任のなすり合い
2009.11.2 23:45
このニュースのトピックス:財政

 集団的自衛権の憲法解釈をめぐり、鳩山由紀夫首相と民主党の小沢一郎幹事長が2日、責任のなすり合いを演じた。

 首相は衆院予算委で集団的自衛権の解釈について「変えるつもりはない」と答弁。これを受け、自民党の大島理森幹事長は、小沢氏がかつて内閣法制局の解釈にかかわらず、内閣が解釈変更すると決めれば、集団的自衛権の行使は認められるとの考えを披瀝(ひれき)していたことを念頭に「小沢氏は違うことを述べてきたが、政府と民主党が違うこともあり得るのか」と指摘した。

 首相は「党は党としての判断がある。党に聞いていただければ」とかわしたが、小沢氏は2日夕の記者会見で「僕は政策論はやらない。最初から言っているでしょ。政府に聞いてほしい。私は党務の方ですから、そういうたぐいのことに発言する立場ではない」と一蹴(いっしゅう)。集団的自衛権をめぐる政権のスタンスはますます定まらなくなった。

2009年8月14日 (金)

朝雲/安保・防衛懇が報告書 「動的抑止」など提言/「専守防衛」今日的視点で検証を

http://www.asagumo-news.com/news.html
安保・防衛懇が報告書 「動的抑止」など提言/「専守防衛」今日的視点で検証を

 安全保障問題を総合的に検討する首相の諮問会議「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・勝俣恒久東京電力会長)の会合が8月4日、首相官邸で開かれ、安全保障に関する基本方針の見直しをはじめ、国際平和協力活動への参加5原則の見直しと恒久法の制定、集団的自衛権の解釈の見直し、武器輸出3原則の一部例外化などの提言からなる報告書をまとめ麻生首相に提出した。政府はこれを踏まえ年末に予定されている「防衛計画の大綱」や中期防の改定作業に取り組む。
  報告書は、米国の国際的な影響力に変化がみられる現在、日本が健全な国際システムの維持・構築に努力することが重要とし、さまざまなアプローチを重層的に進める「多層協力的安全保障戦略」を提唱。
 日本の防衛力のあり方では、防衛力の「存在による抑止」に加え、平素からの活動を通じた「運用による抑止」(動的抑止)を重視し、自衛隊は事態の進展にシームレスに対応しなければならないと指摘。弾道ミサイルや特殊部隊、テロ等への対応、周辺海空域、離島の安全確保、大規模災害などに実効的に対処可能な防衛力整備が必要としている。
 また、昭和32年策定の「国防の基本方針」が50年以上修正されていないとしたうえで、「専守防衛」「軍事大国にならない」「文民統制の確保」「非核三原則」の4方針は歯止めとしての意義はあったものの、現状は専守防衛で想定していた世界ではなくなっているとして、今日的視点からの再検証を求めている。

2009年8月 8日 (土)

安保防衛懇報告書全文

麻生自民党が企てる「安保防衛政策の転換」=安全保障と防衛力に関する懇談会
報告書の全文です。
要注意文書です。是非ご覧下さい。(高田)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ampobouei2/200908houkoku.pdf

2009年8月 6日 (木)

琉球新報社説:防衛力懇報告 看過できない軍拡後押し

この社説が指摘する03年の官房長官談話は私も忘れていましたよ。該当項目はこれですね。
 BMDシステムは、弾道ミサイル攻撃に対し、我が国国民の生命・財産を守るための純粋に防御的な、かつ、他に代替手段のない唯一の手段として、 専守防衛の理念に合致するものと考えております。したがって、これは周辺諸国に脅威を与えるものではなく、地域の安定に悪影響を与えるものではないと考え ております。
集団的自衛権との関係については、今回我が国が導入するBMDシステムは、あくまでも我が国を防衛することを目的とするもの であって、我が国自身の主体的判断に基づいて運用し、第三国の防衛のために用いられることはないことから、集団的自衛権の問題は生じません。なお、システ ム上も、迎撃の実施に当たっては、我が国自身のセンサでとらえた目標情報に基づき我が国自らが主体的に判断するものとなっています。

福田康夫でしたかね。こういう事を言っておきながら、自己を客観的に見ることのできる福田さんの感想を聞きたいものです。
政府と、安保防衛懇と自民党国防部会が次期防衛大綱にむけて呼応して、わめいて世論を作ろうとしている。とんでもないことだ。(高田)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-148045-storytopic-11.html
琉球新報社説:防衛力懇報告 看過できない軍拡後押し
首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」が、ミサイル防衛の対米協力を前提に、集団的自衛権の行使容認や武器輸出三原則の見直しを求める報告書を麻生太郎首相に提出した。このところの軍拡の方向性をさらに後押しするもので看過できない
 政府が年内策定を目指す新「防衛計画大綱」(2010年~14年度)案は防衛予算の増額への転換や敵基地攻撃能力の検討など、軍拡と「専守防衛」見直しをにじませる。報告書はこの軍拡路線に沿って、日米の軍事強化・一体化のお先棒を担ぐものと言える。
 5年前の現防衛計画大綱の策定時にも懇談会報告は「武器輸出三原則の緩和」を提言し、これを受ける形で政府は外国への武器輸出禁止を見直し、ミサイル防衛システムの日本製関連部品の米国向け輸出に踏み切った経緯がある。
 今回の懇談会報告はその延長線上にあり、北朝鮮の長距離弾道ミサイルを想定し、日本のミサイル防衛システムによる「米国に向かうミサイルの迎撃」と、「ミサイルを警戒する米艦船の自衛隊による防護」をも踏み込んで提言するものだ。
 日本のミサイル防衛導入決定にあたっては「第三国の防衛には用いず集団的自衛権の問題は生じない」との官房長官談話(03年)があったはずだ。懇談会報告は「日米同盟の強化」を強調するが、集団的自衛権の行使へなし崩しに突き進むことは許されない。
 憲法の観点だけではない。北朝鮮はミサイル発射、核実験について一貫して「米国の北朝鮮への敵視政策に対抗するため」と主張している。北朝鮮の挑発行為に対し厳しく対処することは当然だ。しかし「核の脅威」を前面に押し出す北朝鮮に対し、ミサイルを無力化する「迎撃」戦略を日本側が打ち出すことは、いたずらに北朝鮮を刺激し“日本敵視”を助長することにはならないか。
 米軍の「核の傘」を頼み、「ミサイル防衛」に傾斜する日本政府の姿勢に対して、北朝鮮の矛先が北朝鮮をにらむ広大な米軍基地を抱える沖縄に向かいかねないことを危惧(きぐ)する。
 懇談会報告書は「日本、同盟国、国際」の協力による「多層協力的安全保障」をも提言する。日米軍事同盟一辺倒でない、アジア各国の包囲網を考え合わせるべきだ

沖タイ社説【安保懇報告]専守防衛の価値は不変

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-08-05-M_1-005-1_001.html

[安保懇報告]専守防衛の価値は不変

 「専守防衛」の見直しや「集団的自衛権行使」を解禁するなど、戦後日本の国防政策の基本を根幹から変更する内容だ。米国に向け発射された北朝鮮ミサイルの迎撃やミサイル警戒に当たる米艦船の防護を自衛隊ができるようにする。欧米諸国との武器共同開発を可能にするよう武器輸出三原則も緩和する。

 年末の防衛計画大綱(2010~14年)策定に向け、日本の防衛力や同盟関係を検討した「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・勝俣恒久東京電力会長)が麻生太郎首相に報告書を提出した。

 集団的自衛権の憲法解釈を変更するよう政府に求めたが、北朝鮮が米国にミサイルを撃つ事態を想定するなど冷戦期を思わす防衛政策は果たして現実的なのだろうか。日米同盟の深化を目指すにしても、これまで国民に支持されてきた「専守防衛」を基盤とした日本独自のやり方があっていいはずだ。

 集団的自衛権をめぐる憲法上の制約は日米同盟の障害とみなされ、解釈改憲を求める攻勢は勢いを増している。

 07年に米政府元高官らが出した報告書(ナイ・アーミテージ・リポート)は、「パートナーとして日本の行動の自由が拡大されることを歓迎する」と制約解除を促すなど、同盟国による対米協力を求める外圧が強まった。

 自民党は衆院選マニフェスト(政権公約)で、政府の憲法解釈見直しを明言していないが「米国に向かうミサイルの迎撃」を可能とする手当てを行うとしており、報告書と基調は同じだ。

 安保懇で出された意見をみると、米国が中国やインドとの関係を深めると日米同盟が絶対的に不可欠なものでなくなってくるとの危機意識があった。米国へ基地を提供しているだけでは、日本に対するありがたみが薄れてしまうという見通しなのだろう。

 戦後64年にわたり、日本は外国と交戦することなく、武装部隊を派遣して外国人を殺傷していない。国連平和維持活動(PKO)などが制限されるという意見もあるが、それが国防政策を変える理由になるのだろうか。

 「専守防衛」はいうまでもなく日本が平和憲法の精神を具現化する政策である。安全保障を米国に一方的に依存してきたからといって、見直す必要がどこにあるのか。

 武器輸出三原則について安保懇は、国際共同開発に参画できなければ技術進展に遅れる、と危惧する。しかし、これまでも柔軟に対応しており、不都合は生じていない。

 安保懇でこんな意見も。「米国が矛、日本が盾という大枠は変えないが、米軍に一方的に依存する部分で自衛隊が果たすべきものがある」

 「矛」を置く在日米軍専用施設の75%を沖縄に一極集中させてきた。米国の外圧もある国防政策の見直しは時流に乗った論議なのかもしれないが、沖縄基地を前提とした発想をそろそろ転換してもらいたい。

 民主党中心の政権が誕生すれば報告書は封印される可能性が高いというが、こうした論調に危機感を抱く。

2009年8月 5日 (水)

「専守防衛」をなげ捨て「戦争する国」への集大成

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-08-05/2009080502_03_1.html
安保防衛懇の報告書
「専守防衛」をなげ捨て「戦争する国」への集大成

 米国の一国覇権主義が破たんし、軍事よりも外交の比重が高まっている国際情勢下での「安全保障戦略」とは何なのか。

 政府の「安全保障と防衛力に関する懇談会」が4日にまとめた報告書は序章で、「安全保障戦略」の具体的な手段として「防衛力だけでなく、外交力、経済力、文化交流などさまざまな方法」が必要だとしています。
日米同盟に固執

 米国の一国覇権主義を全面的に肯定した5年前の報告書とは一変して、「米国の力に変化がみられる一方で、1国だけでは解決し得ず国際協力を必要とする多岐にわたる問題が増えている」と指摘。1990年代以後、圧倒的な力を誇示してきた米国の地位低下と国際協調の重要性を認めました。

 しかし報告書は、米国の力の低下が顕著であるがゆえに、逆に日米軍事同盟にますますしがみつき、同盟関係における日本の軍事的な役割・任務をいっそう高めようと主張しています。

 来年に締結50年を迎える現行日米安保条約に触れ、「同盟の次の半世紀」を主張。米軍「思いやり」予算や、核兵器を含む脅しの戦略である米国の「拡大抑止」を維持する考えを示しています。

 同時に、(1)海外派兵を新たな段階に引き上げる=派兵恒久法の制定、自衛隊の継続的な派兵体制の整備、PKO(国連平和維持活動)の拡大(2) 「日本の安全確保」における軍事分担を拡大する=集団的自衛権の行使、米国の打撃力を補完する形での「敵基地攻撃能力」保有の検討―など、軍事力ばかりが突出した「安全保障戦略」となっています。
諸原則に否定的

 重大なのは、これまで政府が軍事力の保持を禁じた憲法9条と自衛隊の存在との整合性を保つためにつくってきた諸原則―「専守防衛」「軍事大国にならない」「文民統制」「非核三原則」に、根本的な疑義を投げかけていることです。

 報告書は、これらについて「…をしない」という否定形で「日本の防衛政策に歯止めをかける意義を持ってきた」とする一方、「『日本は何をするのか』についての十分な説明をするものではない」と指摘。とりわけ専守防衛について、「受動的な防衛戦略の姿勢」であると否定的な見方を示しています。

 憲法は日本の軍事的な役割を拡大する上での障害でしかない、という発想が報告書の根底にあることがうかがえます。

 冒頭に述べたような軍事よりも外交の比重が高まった国際環境においては、むしろ憲法9条に基づく平和外交・国際貢献で世界を引っ張ることこそ、日本に求められている戦略です。

 今回の報告書に盛り込まれた軍事政策の大転換―集団的自衛権の行使、派兵恒久法、武器輸出三原則の見直しなどは、いずれも自公政権下で具体的な検討が始まったものです。報告書は「海外で戦争する国」づくりを進めた自公政権のいわば集大成とも言える物です。総選挙後の新政権がどう受けとめるのかが、問われます。(竹下岳)

 「安全保障と防衛力に関する懇談会」 政府が年末に改定する「防衛計画の大綱」に向けた報告書を提出するため、外務省・防衛省の元高官や研究者などで構成された会合。1976年に決定された防衛大綱はこれまで94年、2004年に改定されましたが、そのたびに同様の懇談会が開かれ、報告書を提出してきました。
世界の流れに逆行 志位氏

 日本共産党の志位和夫委員長は4日、東京都内で記者会見し、記者団から「安全保障と防衛力に関する懇談会」が取りまとめた報告書について問われ、「武器輸出三原則を緩和し、集団的自衛権に踏み込む(報告書の)動きは、いまの世界の流れをおよそ見ていないもので、私たちはもちろん反対です」と述べました。

 志位氏は「もめごとが起こったときに平和的な話し合いで解決することが、いまの世界の圧倒的な流れになっている」と指摘。「そういう時代にあって(日本が)きな臭いところにだけ熱中するのは、この世界の流れの逆行以外のなにものでもない」と強調しました。

安保防衛懇・各社説など

麻生・安保防衛懇(座長は勝俣恒久・東電会長)は委員のうち半数(北岡伸一・東大教授、田中明彦・東大教授、中西寛・京大教授)が安倍の安保法制懇メンバーであり、専門委員3人のうち1人(佐藤謙・元防衛事務次官)が安保法制懇メンバーだ。これでははじめに安倍路線(集団的自衛権の見直し)ありきだ。安保・防衛懇がこうした報告をだすのははじめから分かり切ったことだった。加えて、この報告書は歴代の政権の中で大前提(国是)とされてきた「専守防衛」や「武器輸出3原則」の見直しまで主張する。とんでもないことだ。麻生政権が厳しく批判され、政権交代が現実味を帯びている中で、どさくさにまぎれて駆け込み的にこうした危険な報告書を出す政治手法は批判されなくてはならない。なあお、委員は他に青木節子・慶大教授、植木千可子・早大教授、専門委員は加藤良三・前駐米大使、竹河内捷次・元統幕議長。(高田)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009080400957
民主、安保防衛懇の提言見直しを宣言=論議曲折も

 政府の「安全保障と防衛力に関する懇談会」が4日、集団的自衛権の解釈見直しなどを求めた報告書をまとめ、8月30日投開票の衆院選に向け、政府・自民党と民主党の安保政策をめぐる「違い」が改めて鮮明になった。ただ、民主党は政権を獲得すれば、提言の内容を見直す方針で、防衛政策の転換をめぐる論議は曲折をたどりそうだ。
 「年末の防衛計画大綱の修正(改定)に向け、報告書の内容を十分踏まえていきたい」。浜田靖一防衛相は4日の記者会見で、大綱見直しでは提言の内容を反映させていく考えを強調した。安保政策であいまいさが残る民主党との論戦については、「議論が起きることは望ましい」と、衆院選での争点化にも意欲を示した。
 自民党は、衆院選マニフェスト(政権公約)で、米国に向かう弾道ミサイル迎撃などのため、「必要な安全保障の手当てを行う」との方針を示した。公明党への配慮もあり、最終案にあった「集団的自衛権の政府見解見直し」との文言を削って表現を弱めたものだが、提言は「解釈見直し」に踏み込んだ。
 このため、公明党の山口那津男政調会長は「武器輸出三原則や(集団的自衛権の)憲法解釈を変える必要があるのかは、もっと慎重な検討が必要だ」と強調した。自民党内からも「歴代政権が踏襲してきた解釈を変えることはできない」(山崎拓外交調査会長)との声が出ている
 衆院選での政権交代を目指す民主党も冷ややかだ。鳩山由紀夫代表は4日の記者会見で「政権を取った暁には、われわれの視点を入れた見直しを、人選を含めて行わないといけない」と、提言の全面見直しを宣言した。(2009/08/04-22:05)

http://www.asahi.com/paper/editorial.html
朝日社説:安保懇報告―憲法原則踏まえて論戦を

 日本の安全保障をめぐる環境は激変しており、それに応じて防衛力のあり方を変えなければならない。専守防衛の原則にも整理が必要だ――。

 こんな内容の報告書を、政府の「安全保障と防衛力に関する懇談会」がまとめ、麻生首相に提出した。

 日本はどんな防衛力を持つべきか、その基本方針を定めた「防衛計画の大綱」を、政府は年内に改定する予定だ。この報告書はそれに向けて有識者の意見を聞いたものだ。

 もっとも、今月末には総選挙が行われ、政権交代もありうる。報告書は自民党の防衛政策と重なる点も多く、民主党政権になれば棚上げにされる可能性も大きい。

 報告書でまず目を引くのは、北朝鮮の弾道ミサイルに対応するためとして集団的自衛権をめぐる解釈の見直しを求めたことだ。

 具体的には▽北朝鮮から米国に向けて発射されたミサイルを、日本の自衛隊が迎撃できる▽ミサイル警戒にあたる米軍艦船を、日本が直接の攻撃を受けていなくても防護できる。この2点に道を開くべきだという。

 軍事技術の高度化で、従来の法的概念では対処しにくい問題が生じてきたのは確かだ。ただ、現在の技術の限界も含めて現実に即して運用を論議すべきであり、憲法上、行使できないとしている集団的自衛権の問題と関連づける必要があるとは思えない。

 より問題なのは「専守防衛」の原則について、その意味を明確にし、できることとできないことを整理すべきだと指摘した点だ。

 専守防衛の「語感」が、日本防衛のためにどんな装備体系や部隊運用が必要かを自由に議論する妨げになっているというのが理由だという。これはあまりに短絡な主張ではないか。

 

専守防衛は、憲法9条のもとで自衛隊を持つにあたって、ゆるがせにできない原則である。報告書は「先制攻撃は憲法で禁じられているという基本は押さえつつ」としているが、自衛隊の果たせる役割を拡大したいという考え方だろう。ならば、どう広げるのかを具体的に指摘し、専守防衛原則との整合性を厳密に論じるべきだ。

 また、兵器の国際共同開発に日本企業も加われるよう、武器輸出3原則の緩和を提言した。防衛産業のビジネス拡大が絡む話だ。だが、平和国家としての日本のソフトパワーが損なわれるデメリットは小さくない。

 報告書を受け取った麻生首相は、防衛に対する自民党の責任感を強調した。一方の鳩山民主党代表は「政権をとったら我々の視点で見直す」と述べた。だが、政権選択の総選挙で、安全保障政策があいまいなままではならない。憲法原則を含め、民主党の考えをはっきり聞かせてもらいたい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2009080502000085.html
東京【社説】
安保懇報告書 専守防衛も外せとは

2009年8月5日

 首相の諮問機関である「安全保障と防衛力に関する懇談会」がまとめた報告書は、多くの問題をはらんでいる。平和憲法の下、戦後歩んできた日本の国防政策の根幹を揺るがしかねない内容だ。

 安保防衛懇が麻生太郎首相に提出した報告書は、年末に予定される、防衛力整備の基本方針を示す「防衛計画の大綱」改定に反映される運びだ。衆院選後に「民主党政権」が誕生した場合、棚上げされる可能性があるとはいえ、見過ごせない提案が少なくない。

 国際テロや大量破壊兵器の拡散など国境をまたぐ安全保障上の脅威の増加を指摘。日本周辺では、核・ミサイル開発を継続する北朝鮮や、軍事力の増強を図る中国などの存在に触れ、自衛隊活用の積極論を展開している。

 安全保障をめぐる国際環境は確かに楽観を許さない。それを口実に従来の自衛隊海外活動の制約を、次々と外そうとしているのではないか。

 自衛権の行使は必要最小限度の範囲に限られるとし、集団的自衛権は保有しているが行使できないというのが政府の憲法解釈だ。報告書は米国に向かう弾道ミサイルの迎撃や、ミサイル警戒に当たる米艦船の防護を可能にすべきだと解釈見直しに言及した。

 現実問題として実行可能かどうか分からない活動にゴーサインを出すことで、解釈変更の風穴をあける意図が見え隠れする。

 外国への武器輸出を禁じた三原則緩和や、敵基地攻撃能力の検討なども盛り込んだ。

 極め付きは、専守防衛の基本政策の見直しである。「専守防衛の持つ語感は率直かつ自由な思考・発想を止める要因になっており、不必要に広く解釈されることは好ましくない。意味を明確化させることが有益だ」。まわりくどい言い回しだが、要は国是の「看板」を外すべきだと読み取れる。

 メンバーには、安倍政権時に発足し集団的自衛権行使容認を打ち出した有識者会議に参加したタカ派論客が複数いる。初めに結論ありきの印象が否めない
。海外に誤ったメッセージを送る恐れもあり、提言のタイミングや外交センスを疑わざるを得ない。ハト派を自任する自民党議員や公明党の受け止めを聞きたい。

 

政権交代が取りざたされる衆院選へ各党が事実上の選挙戦に突入したどさくさの中で、駆け込み的に安保政策の大転換が促される。これほど危険なことはない

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009080590070509.html

安保懇報告書 “国是”転換さらに

2009年8月5日 07時05分

 政府の「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・勝俣恒久東京電力会長)が四日に提出した報告書は、憲法に基づく防衛政策の基本方針の大転換を求める内容となった。二〇〇四年の「防衛計画の大綱」から顕著となった平和主義をめぐる“国是”の転換を、さらに進めたいとの狙いがにじむ。

 これまで、日本の防衛政策は憲法で定める戦争放棄に基づいて「歯止め」を中心に構築されてきた。自衛隊が武力を使うのは専ら日本防衛に限るとして「専守防衛」を定め、他国防衛のための武力行使を封じるため「集団的自衛権」の行使も否定。防衛力も自衛のための必要最小限として「基盤的防衛力」の概念を打ち立てた。「武器輸出三原則」を定めたのも、他国の戦争を支援しないためだ。

 だが、〇四年の大綱で基盤的防衛力は「多機能弾力的防衛力」へと移行。航続距離の長い輸送機を開発し、海外活動専門部隊を創設する根拠となった。年末の大綱見直しに向けた今回の報告では、さらに専守防衛もやり玉に。「装備体系や部隊運用を議論するのに自由な思考を止める要因」として、その見直しを提言する。集団的自衛権の行使にも踏み込み、国際共同開発に加わるため、武器輸出三原則の緩和も求めた。

 政権交代が現実味を帯びる中、これらの提言が実際に採用される見通しは立たない。だが、政府の懇談会が報告をまとめた以上、これらの歯止めを日本の障壁と見なし、国是の転換を求める主張は、将来的な防衛政策の課題としてくすぶり続けることになりそうだ。 (三浦耕喜)

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090804-OYT1T01186.htm
防衛有識者会議 大胆な提言を新大綱に生かせ(8月5日付・読売社説)

 防衛力整備の指針である「防衛計画の大綱」の改定を検討してきた有識者会議が、報告書を麻生首相に提出した。大胆かつ重要な提言が多数含まれている。

 国際的な安全保障環境が変化する中、日本の平和と安全を確保し続けるには、従来のタブーを排し、防衛政策や自衛隊の部隊編成・装備を見直すことが肝要だ。

 衆院選後の政権をどの政党が担うにせよ、年末に策定する予定の新防衛大綱に、この提言を極力反映させるよう努めるべきだ。

 報告書は、「自由で開かれた国際システム」を牽引(けんいん)してきた米国の力が相対的に低下したとの現状認識を示した。そのため、日本や欧州諸国が共同で米国を補完し、国際的な安全保障問題の解決を目指す必要性を主張する。

 具体的には、自衛隊が国際平和協力活動に、より積極的に参加するよう、国連平和維持活動(PKO)の参加5原則の見直しやPKO協力法の改正を提唱した。

 国際テロや海賊の脅威に象徴されるように、日本の安全は世界の平和と連動している。日本は国際社会による平和構築活動の一翼を担う責任がある。だが、日本の6月末のPKO参加人数は39人で、世界82位にすぎない。

 自衛隊の参加を増やすには、PKOの実態に即して、柔軟に部隊を派遣する体制を整えることが大切だ。武器使用権限の拡大と、自衛隊の海外派遣に関する恒久法の整備にも取り組む必要がある

 報告書は、集団的自衛権について、米国に向かう弾道ミサイルの迎撃や、ミサイルを警戒する米軍艦船の防護を可能にするよう、政府の憲法解釈の変更を求めた。

 4月の北朝鮮のミサイル発射時に自衛隊と米軍は共同対処した。日米同盟の信頼性を高めるには政府解釈の変更を急ぐべきだ。

 報告書は、敵基地攻撃能力の保有についても、日米共同対処を前提に、日本として適切な装備体系や運用方法、費用対効果を検討する必要性を強調している。

 米国の攻撃力を補完する形で、どんな役割分担が可能かを冷静に議論する意味は大きい。

 武器輸出3原則について、報告書は、日本が装備品の国際的な共同開発・生産に参加できない問題を指摘し、3原則の例外化を求めた。テロ・海賊対策支援目的の輸出の解禁も提唱した。

 日本が最新の軍事技術から取り残される事態は避けるべきだし、国際平和に寄与する武器輸出は容認するのが当然だろう。

(2009年8月5日02時09分  読売新聞)

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090805/plc0908050307000-n1.htm
産経【主張】安防懇報告書 専守防衛見直しは当然だ
麻生太郎首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」の報告書は、年末に予定される「防衛計画の大綱」の改定に向け、日本の防衛の基本姿勢とされてきた専守防衛を見直すことを提言した。

 専守防衛とは憲法の理念にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢とされる。具体的には(1)武力攻撃を受けたとき、初めて防衛力を行使する(2)自衛のための必要最小限の防衛力の保持-をうたっている。

 だが、これでは、北朝鮮が核弾頭を搭載した弾道ミサイルを発射した場合、攻撃された後しか対応できない。日本の平和と安全は確保されないことになる。

 憲法9条の戦力不保持規定と結びつき、防衛政策を縛ってきた専守防衛を「今日の視点で検証する」のは当然だ。日本の防衛を具体的に考える上で「専守防衛という言葉が、自由な思考・発想を止めてしまう要因になっている」という報告書の指摘はその通りだ。専守防衛の姿勢が「日本は国際社会で何をするのか」についての説明になっていないという問題点も挙げている。

 これまで専守防衛は「聖域」とされてきたが、これを再検討して現実的な防衛政策を求めた提言を評価したい。その意味で、50年以上前に決定され、国連外交の努力などを盛り込んだ「国防の基本方針」に代えて、「安全保障政策の基本方針」を新たに定めるべきだとする主張もうなずける。

 北の米国向けミサイルを迎撃するため、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更も求めた。ほとんど同じ考えを自民党はマニフェスト(政権公約)に掲げた。これらの問題を民主党はどう考えるのか。国を守る基本的な考え方を正面から論じ合うべきだ。

 また、中国の軍事力増強が地域の不安定要因になり得ると指摘した。中国海軍の活動を念頭に東シナ海など日本周辺海域で自衛隊が警戒監視などの日常的活動を続けることが、米軍との連携とともに重要な抑止力になると強調した意味は大きい。国際平和協力活動についても「G8(主要8カ国)に並ぶ応分の努力」を課した。

 これらの「役割の拡大」に対し、財政状況から防衛力の縮減・効率化を迫られてきたことについては「現状の水準が十分かどうかを検証すべきだ」と結論づけた。高まる脅威への万全な備えを強く求めたい。

2009年8月 4日 (火)

米国へのミサイル、迎撃も可能に…安保懇報告書

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090804-00000352-yom-pol

米国へのミサイル、迎撃も可能に…安保懇報告書

8月4日10時37分配信 読売新聞
 麻生首相が主宰する「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長=勝俣恒久・東京電力会長)は4日午前、集団的自衛権の政府解釈見直しや、武器輸出3原則の緩和などを求める報告書をまとめ、首相に提出した。

 政府は年末に予定する「防衛計画の大綱」(防衛大綱)の改定に報告書の内容を反映させる方向で作業に着手する
が、衆院選後に政権交代が起きた場合は、報告書がどの程度反映されるかは不透明となりそうだ。

 報告書では、米国の影響力がテロとの戦いやイラク戦争に伴う軍事的負担増や一国主義的行動への批判を受けて変化し、最近の経済危機もあって、世界の安全保障への関与が縮小する可能性があると分析。それを踏まえ、今後は〈1〉日本自身の努力〈2〉同盟国との協力〈3〉地域協力〈4〉国際社会との協力――による「多層協力的安全保障戦略」が必要になると指摘した。

 また、安倍政権当時に発足した政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」が2008年6月の報告書で、米国に向かうミサイルの迎撃や米艦防護を可能とする集団的自衛権の行使容認を求めたことを強く支持。北朝鮮の弾道ミサイルは「日米共通の脅威」とし、従来の集団的自衛権に関する解釈を見直し、米国に向かうミサイルの迎撃を可能にすべきだとした。米艦防護でも、集団的自衛権の解釈見直しも含めた「適切な法制度の整備」を求めた。

 諸外国への武器、関連技術の輸出を禁じた武器輸出3原則に関しては「国際的な技術発展から取り残されるリスクが高まっている」を指摘。厳格な管理を条件に、日米をはじめとする国際的な共同開発・生産への参加や、民間企業による他国の装備品開発・生産計画への参加などを例外として認めるよう提言した。

 自衛隊の国際平和協力活動では、現行の参加基準の見直しや、海外派遣に関する一般法(恒久法)の制定を提言国連の集団的措置の一環である国際平和協力や他国部隊の後方支援は違憲ではないとした安保法制懇の結論を強く支持する」とした。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009080400157
安保政策、転換を意図=実現性は不透明

 「安全保障と防衛力に関する懇談会」が4日まとめた報告書は、安全保障に関する従来の政府方針から大きく踏み出し、集団的自衛権の憲法解釈変更や武器輸出三原則の緩和などを求める内容となった。これを踏まえ、政府は年末に防衛計画大綱を改定する方針だが、衆院選後の政権交代が現実味を帯びる中、報告書の扱いは宙に浮く可能性もある。
 戦闘機など最先端の兵器は、先進的な技術が必要で巨額の開発費用がかかるため、欧米を中心に共同開発の流れが強まっている。こうした状況を受け、報告書は「日本は国際的な技術発展から取り残される」として、外国への武器輸出を禁じた三原則見直しに踏み込んだ。
 集団的自衛権については、(1)米国に向かう北朝鮮のミサイル迎撃(2)ミサイル対処に際しての自衛隊艦船による米艦船の防護-のための解釈見直しを求めた。弾道ミサイル発射や核実験などで北朝鮮の脅威が高まる中で、解釈変更の好機との判断も働いたとみられる。
 ただ、この提言が今後どう扱われるかは不透明だ。衆院選で優勢が伝えられる民主党は、マニフェスト(政権公約)では集団的自衛権には一切触れていない。同党が連立相手と想定する社民党が防衛政策の転換に強く反発するのは必至。大綱が改定されても提言の内容が反映されないか、改定そのものが先延ばしされる可能性も否定できない。(2009/08/04-09:59)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009080400157
集団的自衛権、解釈変更を=武器輸出三原則は緩和-政府懇談会

 政府の「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・勝俣恒久東京電力会長)は4日午前、首相官邸で会合を開き、年末に予定する防衛計画大綱の改定に向けた報告書をまとめ、麻生太郎首相に提出した。報告書は「米国に向かう弾道ミサイルの迎撃」などを可能にするため、集団的自衛権に関する従来の政府解釈を見直すよう提言。海外への武器輸出を禁じた武器輸出三原則の緩和も打ち出した。
 報告書の提出を受け、首相は「日本を守る、国民を守るのは、政府の重要な目的だ。日本の安全保障に引き続き、責任を果たさないといけない」と述べた。 
 今後、政府は大綱改定の本格検討に着手する。ただ、「対等な日米同盟関係」の構築を目指す民主党が衆院選後に政権を獲得した場合、改定論議が混迷する可能性もある。
 報告書は、北朝鮮の弾道ミサイル発射に備え、日米の連携強化の重要性を強調。その上で米国に向かうミサイルの迎撃について、集団的自衛権の行使に当たる場合もあるとしたこれまでの憲法解釈を「見直すべきだ」と提言した。また、ミサイル警戒に当たる米艦船を自衛隊の艦船が防護できるよう、日本有事の場合にのみ防護が認められるとした従来の解釈の「見直しも含めた適切な法整備が必要」と踏み込んだ。敵基地攻撃能力の保有についても、「適切な装備体系、運用方法、費用対効果を検討する必要がある」と明記している。武器輸出三原則に関しては、最先端技術の獲得や日米防衛協力の促進を妨げ、「日本の防衛力低下につながっていくことが懸念される」と指摘。国際的な共同研究開発・生産への参画や、ライセンス生産した装備品の対米輸出などは、例外扱いとするよう提起した。
 さらに、日本が国際平和協力活動へ積極的に参加できるよう、「自衛隊による文民や他国要員の防護を含め、武器使用の在り方を見直す必要がある」と主張。自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法の早期制定も盛り込んだ。(2009/08/04-09:58)

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090804/plc0908041000001-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090804/plc0908041000001-n2.htm
北ミサイルに日米共同対処 集団的自衛権行使を勧告 政府安防懇が報告書 武器輸出三原則は緩和
首相の私的諮問機関である「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・勝俣恒久東京電力会長)は4日午前、今後の防衛力整備のあり方を示した報告書を麻生太郎首相に答申した。北朝鮮弾道ミサイルの迎撃にあたる米艦船を自衛隊が防護できるよう、集団的自衛権行使を禁じてきた憲法解釈を見直すよう勧告。装備品の国際的な共同開発・生産に日本が参加するため、武器輸出三原則の早急な緩和も求めた。

 報告書は、政府が年末に改定を予定する「防衛計画の大綱」のたたき台となる。ただ衆院選で民主党が政権をとった場合報告書が空文化する可能性もある。

 報告書では現大綱で示されている「多機能弾力的防衛力」に代わる概念として「多層協力的防衛力」を提示。(1)日本自身の努力(2)同盟国との協力(3)地域協力(4)国際社会との協力-の組み合わせによって「多層協力的安全保障」を構築すべきだと指摘した。

 このため、「専守防衛」をうたった「国防の基本方針」を見直し、国連平和維持活動(PKO)に積極参加していく必要性を強調。武器使用基準の緩和を含むPKO参加五原則の見直しや、自衛隊派遣を随時可能にする恒久法(一般法)制定を政府に要望した。

 武力行使にあたる可能性があるなどとして認めてこなかった「駆けつけ警護」「後方支援」についても「国際協力における実態と乖離(かいり)している」として、実施が可能となるよう憲法解釈の是正を求めた。

 また北朝鮮の弾道ミサイルを「日米共通の脅威」ととらえ(1)米国に向かうミサイルの迎撃(2)ミサイル迎撃のため公海上に展開している米艦船の自衛隊艦船による防護で、集団的自衛権を行使すべきだと勧告。憲法解釈の「見直しも含めた適切な法整備が必要」と指摘した。

 外国への武器の輸出を禁じる武器輸出三原則については、最先端技術の獲得や日米防衛協力の促進を妨げると懸念を表明。「世界の平和と安全に寄与する性格の武器輸出は容認する」との新方針を定め、それまでの間は個別案件ごとに三原則の例外として早急に緩和を実施していくよう訴えた。三原則の例外となる範囲については▽国際的な共同開発や生産への参加▽共同開発した装備品の相手国から第三国への移転▽テロ・海賊対策への支援-などを挙げた。

 一方、「早期警戒衛星の開発」は盛り込みを見送った。敵基地攻撃能力の保有については「適切な装備体系、運用方法、費用対効果を検討する必要がある」との表現にとどめた。

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090804k0000e010018000c.html
安保防衛懇:集団的自衛権見直しを提言、武器輸出三原則も
安全保障と防衛力に関する懇談会で勝俣恒久座長(左)から報告書を受け取る麻生太郎首相=首相官邸で2009年8月4日午前9時15分、藤井太郎撮影

 政府の「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・勝俣恒久東京電力会長)は4日、年末に予定される「防衛計画の大綱」(防衛大綱)に向けた報告書をまとめ、麻生太郎首相に提出した。日本を飛び越えて米国へ向かう北朝鮮の弾道ミサイルの迎撃などを可能とするため、憲法で禁じられている集団的自衛権の解釈の見直しを提言。海外への武器輸出を禁じた武器輸出三原則の緩和も求めた。報告書を受けて政府は大綱の改定を進めるが、そのまま反映されるかどうかは不透明だ。

 報告書は、大きな柱の一つに、北朝鮮の弾道ミサイルに対する防衛策を設けた。米国へ向かうミサイルの迎撃以外に、ミサイル警戒に当たる米艦船が攻撃を受けた際に、自衛隊が防護することも認めるよう求めた。

 小泉内閣時代に報告書をまとめた前回の安保・防衛懇(04年)よりも踏み込み、集団的自衛権行使の必要性を明確に打ち出した。敵基地攻撃能力の保有についても、米国と役割分担を協議する前提で、「検討する必要がある」と明記した。

 武器輸出三原則に関しては、「日本の安全保障上の要請に適合する」場合は緩和すべきだと指摘。F35戦闘機などを念頭に、世界で進む共同開発から取り残されるリスクが高い点に懸念を示した。

 日本が持つべき戦略として、現大綱で打ち出した部隊や装備に多様な機能を持たせる「多機能弾力的防衛力」に加え、新たに「多層協力的安全保障戦略」という概念を提示した。日本の安全▽脅威の発現の防止▽国際システムの維持・構築--との3目標を、日本自身の努力や国際社会の協力などと連携させて達成するとしている。

 防衛力の役割としては、「存在による抑止」(静的抑止)から「運用による抑止」(動的抑止)を重視すべきだと提起した。

 安保・防衛懇は、北岡伸一東大大学院教授▽田中明彦同教授▽中西寛京大公共政策大学院教授ら6委員で構成。加藤良三前駐米大使ら3人が専門委員を務める
。【仙石恭】

 ◆安保・防衛懇報告書の骨子

・弾道ミサイルに対応するため、集団的自衛権の憲法解釈見直し

・武器輸出三原則を修正し国際共同開発などを容認

・敵基地攻撃能力保有を検討

・日本の安全保障を確保するため「多層協力的安全保障戦略」が必要

・「存在による抑止」に加え「運用による抑止」を重視

2009年8月 1日 (土)

産経【主張】自民党公約 米へのミサイル迎撃評価

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090801/stt0908010405000-n1.htm
産経【主張】自民党公約 米へのミサイル迎撃評価
自民党は衆院選マニフェスト(政権公約)で、「日本を守る責任力」を強調した。

 その柱のひとつは、北朝鮮が米国に向けて発射した弾道ミサイルの迎撃が可能となるように「必要な安全保障上の手当てを行う」と明記したことだ。加えて、ミサイル防衛(MD)で連携する米艦艇の防護も挙げた。

 いずれも、これまで憲法上許されないとされる集団的自衛権の行使に抵触するとして、認められなかったものだ。集団的自衛権の表現は用いられなかったが、憲法解釈の変更に踏み込むことを明確にしたもので評価したい。

 また、日米安保体制の強化やテロとの戦いへの参加継続などを明示したのは、政権政党として当然だ。民主党はインド洋での海上自衛隊の補給支援を来年1月で終了するとしている。国益維持に何が必要かの論戦を求めたい。

 自民党らしさに関しては、自主憲法制定の方針を改めて打ち出した。教員の政治的中立の徹底を掲げ、教育現場に労組のイデオロギー闘争を持ち込ませない姿勢も明確にした。

 昭和30年の立党時の精神にもつながる政策を強固にし、国のかたちを考える基本的な立場を国民に見せる必要がある。

 財政健全化については、今後10年以内に国・地方のプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化を達成する目標を明示し、この問題への取り組みが欠落している民主党との違いを示した。

 消費税を含む税制の抜本改革について、平成23年度までに必要な法整備を行い、景気回復後に実施する既定方針も明記した。税率は4年間上げないとする民主党との論争を聞きたい。

 自民党の「幼児教育無償化」と民主党の「子ども手当」など、似通った人気取りの政策を競っている側面もある。ポピュリズムに陥りすぎないよう、財源やその効果のバランスを考慮した政策をとることも責任力といえる。

 自民党が明確にすべきは、この国をどうするかの具体的な全体像だ。外交・安全保障や財政再建などを中心に、民主党よりも政権担当能力を持っていると訴えたが、民主党批判だけにとどまっている限り、建設的とはいえない。

 日本丸のかじ取りを継続して担おうという麻生太郎首相は、その決意と覚悟、そして国家像をもっと語るべきだ。

自民公約<1>…日米同盟は日本外交の基軸

http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin2009/news1/20090801-OYT1T00190.htm
自民公約<1>…日米同盟は日本外交の基軸

 自民党は31日に発表した衆院選政権公約(マニフェスト)について、政権担当政党としての「責任」をキーワードに、実行可能な施策を並べたとしている。しかし、裏付けとなる財源や実現に至る工程の説明は不十分で、「民主党の財源のあいまいさを批判できない」という指摘も出ている。

          ◇

 外交・安全保障では、日米同盟を「我が国外交の基軸」と位置づけた。在日米軍再編は予定通り進め、インド洋での海上自衛隊の給油活動も継続するとした。

 注目されるのは、米国に向かう弾道ミサイルの迎撃や弾道ミサイル防衛で連携する米国艦艇の防護のため、「必要な安全保障上の手当てを行う」と明記した点だ。「北朝鮮の弾道ミサイルから日本国民の安全を守るため」という条件を付けているが、集団的自衛権の行使は禁じられているとする政府の憲法解釈にも影響する可能性がある。

 自衛隊を国際平和協力活動に派遣するための恒久法(一般法)制定も盛り込んだ。「いちいち特別法を制定していては迅速に対応できない」(防衛相経験者)という事情があるからだ。

 また、首相官邸に「国家安全保障会議」を設置する方針も盛り込んだ。安倍内閣で検討された構想で、外交・安保の司令塔機能を強化する狙いがある。拉致問題は、国家の威信をかけて被害者全員の帰国を実現するとした。

2009年7月30日 (木)

政府安防懇原案 集団的自衛権行使を勧告 武器輸出三原則は緩和

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090730-00000078-san-pol

政府安防懇原案 集団的自衛権行使を勧告 武器輸出三原則は緩和

7月30日7時56分配信 産経新聞
 日本の防衛力整備の基本方針である「防衛計画の大綱」改定に向け、政府の「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・勝俣恒久東京電力会長)がまとめた報告書の原案が29日、明らかになった。原案では、現在の政府見解で自衛隊の活動が不可能な「公海上での米艦船防護」などについて憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を認めるよう勧告した。戦闘機などの国際共同開発への参加を可能とするため、外国への武器の輸出を禁じる武器輸出三原則の緩和も打ち出した。

 安防懇は、8月4日に報告書を麻生太郎首相に提出する予定で、報告書は、年末に予定されている大綱改定のたたき台となる。しかし、衆院選での優勢が伝えられる民主党が政権を取れば、改定論議が混乱するのは必至だ。

 同党が先に発表したマニフェスト(政権公約)では、集団的自衛権への言及がないうえ、同党の「政策集2009」でも、自衛権の行使について、「個別的・集団的といった概念上の議論に拘泥せず、専守防衛の原則」に基づいて行う方針を打ち出している。

 このため、党内には、「党内論議に入ると、意見集約ができず政権運営が混乱する。年末の大綱改定は見送った方がいい」(幹部)との意見もあるほか、改定しても、報告書の内容に沿わない可能性もある。

 報告書原案で憲法解釈変更の対象となるのは、(1)公海上で並走中の米軍艦船が攻撃された際の反撃(2)米国を狙った弾道ミサイルの迎撃(3)国連平和維持活動(PKO)で他国軍への攻撃に反撃するための武器使用(『駆けつけ警護』)(4)共通の目的で活動する多国籍軍への後方支援-。いずれも首相などが国会で政府見解変更の答弁を行えば適用が可能となる。

 「米艦船防護」と「米国を狙った弾道ミサイルの迎撃」は、日米同盟を維持・強化する観点から、集団的自衛権の行使を否定している憲法解釈を変更し、行使を可能とするよう提起した。「武力行使」にあたる可能性があるなどとして認めてこなかった「駆けつけ警護」「後方支援」についても自衛隊のPKO参加の拡大などのため容認を求めた。

 また、4月の北朝鮮による弾道ミサイル発射を踏まえ、熱源でミサイル発射を探知できる早期警戒衛星の開発を政府に要請した。安全保障会議の機能強化や、昭和32年に策定されたまま改正されていない「国防の基本方針」見直しも盛り込んだ。

 防衛力のあり方については、現行の大綱がうたう「多機能弾力的」な防衛力から「多層・協力的」な防衛力の整備に切り替えることを提唱した。具体的には国防中心の備えから、日米同盟や国連、多国間での安保協力に、軸足を移した防衛力の整備を求めている。

 この考えに基づき、他国との連携をとるために、PKO参加の際の武器使用基準の緩和や、自衛隊派遣を随時可能にする一般法の整備の必要性にも言及した。

                   ◇

【用語解説】安全保障と防衛力に関する懇談会

 首相の私的諮問機関。これまでも「防衛計画の大綱」の策定・改定のたびに同様の懇談会が設置され、報告書を提出。麻生太郎首相は今年1月に設置。新大綱は、平成22~26年度の防衛力整備の基本方針を示す。

自民政権公約 米狙うミサイル迎撃 憲法解釈を変更も

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090730-00000075-san-pol

自民政権公約 米狙うミサイル迎撃 憲法解釈を変更も

7月30日7時56分配信 産経新聞
 自民党の衆院選マニフェスト(政権公約)の全容が29日判明し、北朝鮮などが米国を標的とした弾道ミサイルを発射した場合に自衛隊による迎撃を可能にするため、集団的自衛権の行使に関する憲法解釈の変更の検討を盛り込むことが分かった。自衛隊が米軍によるミサイル迎撃を支援するケースも想定している。

 マニフェストは31日に麻生太郎首相が発表する。キャッチフレーズは「日本を守る責任力」で、各論に当たる「政策BANK」は安心・活力・責任の3分野68項目となっている。

 政府見解変更の検討を明記したのは、首相が指示したもの。国の安全に密接にかかわる日米同盟を重視し、集団的自衛権の一部行使に踏み切るため、「政府見解の変更を検討する」と明記した。

 一方、雇用対策では、3年間で100万人の職業訓練を実施を盛り込んだ。「70歳はつらつ現役プラン」を策定し(1)50歳代から定年後に備えた教育訓練(2)就労を希望する高齢者の知識、技能を登録するシニア・エキスパート・データベースの構築-を行う。

 幼児教育は無償化する。3~5歳児の幼稚園、保育所、認定こども園の入園・授業・保育料を、平成22年度から3年間かけて3分の1ずつ減額し、24年度から完全無料化する。原案では、4年間かける予定だったが、1年前倒しした。

 また、消費税を含む税制の抜本的改革について、「23年度までに必要な法制上の措置を講じ、経済状況の好転後遅滞なく実施する」とした。

 社会保障番号・カードを23年度中に導入。年金記録問題は来年末をめどに解決する。道州制基本法を早期に制定し、その後29年までに道州制を導入する。衆院議員定数は次々回の衆院選から1割以上削減。また、素案にあった「永住外国人の地方参政権」と人権擁護法案など「人権救済制度の確立」は党内の慎重論に配慮し除外した。

2009年7月23日 (木)

【09衆院選】民主・岡田幹事長、自公との連立可能性を否定

http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090722/elc0907222327026-n1.htm
【09衆院選】民主・岡田幹事長、自公との連立可能性を否定
2009.7.22 23:26
このニュースのトピックス:自民党

 民主党の岡田克也幹事長は22日、都内の講演で、衆院選後の公明党との関係について「選挙で戦う相手と組むことはまったく考えていない」と述べ、連立など協力関係を結ぶことを否定した。自民党との連立についても「大連立は民主主義ではない」と述べた。

 また、集団的自衛権の行使に関し「憲法9条の根本的な考え方を変える問題につながることを認識した上で議論すべきだ」と述べ、集団的自衛権の行使と憲法改正に消極的な姿勢を示した。

2009年6月11日 (木)

敵基地攻撃、麻生首相に申し入れ=自民国防会議

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009061100487
敵基地攻撃、麻生首相に申し入れ=自民国防会議

 自民党の中谷元安全保障調査会長、中山泰秀国防部会長らは11日午前、党本部で麻生太郎首相と会い、年末の防衛計画大綱策定に向け、敵基地攻撃能力の保有などを柱とする党国防関係合同会議がまとめた提言を手渡した。これに対し、首相は「政府の方でも(有識者による)懇談会がある。その結果も踏まえて検討したい」と述べた。
 提言には、敵基地攻撃力の保有のほか(1)武器輸出三原則の緩和(2)集団的自衛権の行使容認(3)国防費の縮減方針見直し-などが盛り込まれた。(2009/06/11-13:00)

【正論】初代内閣安全保障室長・佐々淳行 防衛費GDP1・5%に増額を

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090611/plc0906110311001-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090611/plc0906110311001-n2.htm
【正論】初代内閣安全保障室長・佐々淳行 防衛費GDP1・5%に増額を
国家使命忘れた党首討論

 麻生太郎、鳩山由紀夫両氏の党首討論は国家の基本使命である治安・防衛・外交を忘れて「友愛」と「西松建設」という不毛の政争に終始し、国民を失望させた。国防上喫緊の重大脅威となった北朝鮮に費やされた時間は46分中わずか2分17秒(朝日)。その間にも北は、改良型テポドンの発射準備や短距離ミサイルの乱射、制裁を審議する国連安保理に対する公然たる恫喝(どうかつ)など軍事瀬戸際外交を展開した。

 果たして金正日総書記は生きているのかと疑いたくなる乱行だが、一方の韓国では盧武鉉前大統領の自殺で政情不安が広がった。一言でいえば、朝鮮半島には暗い戦雲が漂っているのである。

 安保不在の党首討論を終え、解散風が吹く中で、「座して死を待つより(北の)敵基地攻撃を」という出来もしない強硬論がにわかに台頭してきた。「敵基地攻撃も自衛権の範囲内」という政府統一見解は1956年2月、船田中防衛庁長官当時に始まり、その後も連綿として続く。そして去る5月28日、麻生総理が総理として初めて国会答弁したものだ。

 巡航ミサイル「トマホーク」や空中給油機導入という議論になるのだろうが、現行の防衛予算の枠内では実現不可能な画餅(がべい)である。それよりまず実行可能な防衛予算枠の拡大によるハリネズミの防衛策「ミサイル防衛システム(MD)」の緊急整備をはかるのが先決であり、妥当だろう。

「1%枠撤廃」を骨抜きに

 防衛費については、かつて筆者も参加した大平正芳安保研(猪木正道議長)で、「GNP(国民総生産)」比1・5%という提言をした。これは不幸にして大平総理の急死に伴う鈴木善幸内閣の誕生で白紙になった。その後の1986年、中曽根康弘内閣の折、筆者は初代内閣安全保障室長として十数回にわたる安全保障会議の討議に加わった。マスコミあげて賛否両論が渦巻く中、後藤田正晴官房長官裁定で、「三木内閣の『GNP1%枠』はこれを87年度予算には適用しない」との玉虫色の閣議決定で、「3兆5170億円、前年度比5・2%増、GNPの1・004%」と決定された。

 その時の1%枠撤廃論派の目標値は、大平安保研の1・5%だった。当時の安倍晋太郎総務会長は1・999%を、伊東正義政調会長と後藤田官房長官は1%を少し超す程度をそれぞれ主張。宮沢喜一大蔵大臣は1%枠撤廃に強く反対し、言葉の魔術師、竹下登幹事長が「三木内閣の決定はこれを次の予算には適用しない」という名言で締め、妥協が成立した。

 ところがその後、泰平の時代が続き、1%を超えたのは23年間に3回のみ、あとは0・9%台で推移した。さらにバブルの崩壊、世界同時不況と続いて、すっかり経済・財政・金融政策が優勢となった。治安・防衛・外交は後回しになり、政治への無関心が広がる中で大蔵省(現財務省)は、防衛予算を削りに削った。MD予算を従来の防衛費に忍び込ませ、相対的な軍縮をはかる。いつの間にかGNPという概念そのものが「GDP(国内総生産)」にすり替えられた。PAC3(改良型パトリオット)は命中しない、陸上自衛隊は不用といった財政均衡論が支配的となってしまっていた。

 あのGNP1%論争と、1%枠撤廃は一体どうなったのか。安保会議も閣議決定も国民への説明のないまま、「GNP1%」という基準はなくなり、国内総生産を意味した「GDP」に変わる。しかも2008年度0・9%、09年度0・92%と、1%枠撤廃を財務省はなし崩しに骨抜きにしてしまった。本年度の1~3月期のGDPは15・2%減と戦後最悪の下落だから、防衛予算もそれだけ目減りする。「敵基地攻撃論」はおろか北の直接的脅威から日本を守ることさえ出来なくなるだろう。

 

財務省の軍縮政策の誤り

 ここに財務省の軍縮政策の典型的な実例がある。ノドンの脅威に備え防衛庁(現防衛省)が05年度予算に航空自衛隊の6個高射群のうち、せめて首都防衛4個中隊16基48発のPAC3の整備を求めたところ、当時の防衛担当主計官、片山さつき氏(現衆議院議員)は「平和な今日、一体どこの国が日本を攻めるのか」と防衛庁を叱責(しっせき)し、要求の75%を削った。省の方針だろうが、その結果、MD予算は1個中隊4基12発となり、現場配備も06年度末に遅れた。果たせるかな、06年7月5日、北は7発のミサイルを発射、10月9日には核実験を敢行したのである。

 来年度予算の概算要求は始まっている。8月まで「友愛」VS「西松」で不毛な政争をしている場合ではない。4月21日付本欄で筆者は昭和32年の「国防の基本方針」を撤廃し、自主防衛とMD防衛、そして国際貢献を謳(うた)う「新・国防の基本方針」決定を促した。今回は、「自分の国は自分で守る」信念で、防衛予算の緊急増額を安保会議にはかり、早急に閣議決定して概算要求に盛り込み、防衛費枠を「GDP1・5%」とすることを提言する。(さっさ あつゆき)

2009年6月 2日 (火)

防衛次官、F22の情報提供を要望=米国防次官補と会談

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009060100856
防衛次官、F22の情報提供を要望=米国防次官補と会談

 防衛省の増田好平事務次官は1日、同省内でグレグソン米国防次官補(アジア・太平洋担当)と会談した。増田氏は、航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)選定に関し、有力候補となっている最新鋭ステルス戦闘機F22の性能や装備などの情報提供を改めて要望。これに対し、グレグソン氏はF22の禁輸措置を継続中の米議会の状況を説明するにとどめた。
 また両氏は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)への移設など、2006年の日米合意に基づき、在日米軍再編を着実に進めていくことを確認した。(2009/06/01-19:26)

2009年5月30日 (土)

【政治部遊軍・高橋昌之のとっておき】(上)麻生首相が腹を固めた!集団的自衛権の憲法解釈見直し

この高橋記者の情報が事実なら、事態は重大だ。麻生・自民党のマニフェストに改憲がどのように盛り込まれるか、しっかり監視しながら、私たちの反撃の行動を起こして行かなくてはならない。(高田)

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090530/plc0905301302011-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090530/plc0905301302011-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090530/plc0905301302011-n3.htm
【政治部遊軍・高橋昌之のとっておき】(上)麻生首相が腹を固めた!集団的自衛権の憲法解釈見直し
今回で3回目のブログになります。おかげさまで2回目のブログ(上)「小沢氏辞任の裏側」、(下)「鳩山代表選出の裏側」も、予想を大きく上回るアクセスをいただきましてありがとうございます。今後とも、「とっておき」の情報をお届けしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 また、4月20日に発売した私の初の著書「外交の戦略と志-前外務事務次官 谷内正太郎は語る」(産経新聞出版、1200円+税)も、引き続き売れ行き好調で、某有名書店の週間ランキングで11位になりました。ご購入いただいた方には重ねて感謝申し上げます。

 今回のテーマは、私がずっと日本の安全保障の懸案だと考えてきた「集団的自衛権の憲法解釈の見直し」についてです。この問題は日本の国際貢献が問われた平成2(1990)年の湾岸危機(後に戦争)以来、クローズアップされ、国会でも自衛隊を海外に派遣するための法案が審議される度に、大議論が行われてきました。しかし、戦後60年経過して国際情勢が変わっても、「集団的自衛権は保有しているが、行使は許されない」との政府の憲法解釈は変わっていないのです。

 ところが、その憲法解釈がようやく、見直されそうな状況になってきました。というのも、麻生太郎首相(自民党総裁)が9月までに行われる次期衆院選の党のマニフェスト(政権公約)に「集団的自衛権の憲法解釈の見直し」を盛り込む腹を固めたようなのです。次期衆院選では民主党もマニフェスト(政権公約)に、現行憲法解釈を見直して、国連を中心とした国際平和協力活動に積極参加することを打ち出す見通しです。

 自民、民主両党が次期衆院選で、憲法9条の解釈見直しを打ち出せば、大きな争点になるでしょうし、選挙後は政権がどちらになるにせよ、自民、民主の2大政党が一致点を見いだせば、長年の懸案である憲法解釈の見直しが実現する可能性が高いのです。

 ある自民党幹部から得た「とっておきの情報」を披露すると、その幹部が麻生首相と会った際、首相は「安倍(晋三元首相)さんは教育改革をやった。オレは集団的自衛権の憲法解釈見直しをやる。オレの腹は固まっている」と、決意を表明したそうです。

 首相は4月23日、安倍首相当時に設置された「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)で座長を務めた柳井俊二元駐米大使と会談し、集団的自衛権の現行憲法解釈見直しに前向きな考えを示しました。また、首相は前日の22日には安倍氏と会談、安倍氏から、集団的自衛権の憲法解釈見直しを次期衆院選のマニフェストに盛り込むよう促されていました。そうした経緯の中で、首相は「腹を固めた」ようです。

 ただ、実際に「集団的自衛権の憲法解釈見直し」をマニフェストに盛り込むとなると、自民党の中には「社会党か」と言いたくなるような左寄りの議員も少なくないので、そういう議員らが強く反対するかもしれません。しかし、自民党の大勢は賛成するでしょう
。麻生首相が本当に腹を固めたのであれば、最後は多数決をしてでもマニフェストに盛り込んでもらいたいと思います。

 現時点で次期衆院選の情勢は、有権者の間に政権交代願望が強いことから、「民主党が優勢」と言われています。世論調査を分析すると、民主党が支持されているというよりは、「自民党はダメになった。一度政権を代えた方がいい」と思っている有権者が多いようなのです。

 その一つの原因は自民党が「保守政党らしさ」を失って、保守層が自民党離れを起こしていることです。その離れた保守層を引き戻すためにも「集団的自衛権の憲法解釈の見直し」をマニフェストに盛り込むべきでしょう。もし、マニフェストに憲法解釈の見直しを盛り込まなかったら、自民党は今の憲法解釈を守り続けることになり、これからどうやって国際平和協力をしていくのかという議論になったら、民主党に勝つことはできないと思います。

 「集団的自衛権」についてはご存じない方もおられるでしょうから、分かりやすく説明したいと思います。集団的自衛権は「他国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていなくても、自国への攻撃とみなして実力で阻止する権利」のことです。国連憲章では主権国家の「固有の権利」と明確に規定されており、もちろん行使も認められています。しかし、日本政府の憲法9条の憲法解釈は、集団的自衛権について「保有しているが、行使は許されない」という、世界中の国とは全く異なる奇妙な解釈をしているのです。

(下)へつづく

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090530/plc0905301302012-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090530/plc0905301302012-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090530/plc0905301302012-n3.htm
こうした日本政府の集団的自衛権の憲法解釈は、国会では古くから問題として議論されてきました。ただ、冷戦時代は米ソ超大国による力の均衡で世界の安全保障が支配されていたため、日本がこれに加わらなくても許されていたので、解釈を見直さなくても済まされてきました。

 しかし、湾岸危機以降は、日本に対して世界の安全保障に「カネ」だけではなく、「人」の貢献も求められるようになりました。湾岸危機の際、政府・自民党内では集団的自衛権の憲法解釈見直しが検討されましたが、内閣法制局などの反対で結局、見直しは行われませんでした。そして、見直しを行わないまま、自衛隊などを多国籍軍の後方支援のために派遣する「国連平和協力法案」が提出されましたが、国会論議ではまさに憲法解釈と法案の矛盾が露呈して、廃案となりました。

 この結果、日本は多国籍軍への人的貢献は行わず、130億ドルものカネを出しましたが、国際的には「日本はカネだけで汗は流さない」と厳しい批判を浴びました。その反省から、「国連平和維持活動(PKO)協力法」が作られ、自衛隊が海外に派遣されるようになりました。さらに、2001(平成13)年の米同時多発テロでは、テロ対策特別措置法が作られてインド洋に、2003(平成15年)のイラク戦争では、イラク復興支援特別措置法が作られてイラクなどに、それぞれ自衛隊が派遣されました。

 ただ、これらの法律はすべて「集団的自衛権は行使できない」とする憲法解釈に基づいて作られているため、これに少しでも抵触する活動は一切禁止されています。たとえば、自衛隊が派遣された地域では、日本の部隊は他国の軍隊に守ってもらっていますが、他国の軍隊が攻撃を受けた場合は、日本の部隊は駆けつけて援護すると集団的自衛権に抵触してしまうため、できないのです。こうした国際的常識に合わない問題は山ほどあるのですが、その矛盾は派遣される自衛官に背負わされています。

これを一般世間に例えて説明しましょう。ある地域で不審者が度々出没して、このままではだれかが襲われるかもしれないという状況が起きたとします。そこで、自治会ではみんなで話し合った結果、大人の男性が複数で夜の見回りをやることになりました。しかし、「日本さん」は「うちの家訓では『人と争ってはいけない』ということになっていて、争い事はできませんから」と言って見回りへの参加を断るか、参加したとしても「だれかが不審者に襲われても私は何もできません」と宣言します。

 これを他の人はどう思うでしょうか。間違いなく、「日本さん」は自治会の中で批判の的になって、だれからも相手にされなくなるでしょう。もし「日本さん」が普段の生活で困ったことが起きたとしても、だれも助けてくれないでしょう。国際社会も同じで、これが日本の現実なのです。

 憲法解釈の見直しというと、昔は左翼の人々が大反対してなかなかできませんでしたが、今は世論も大きく変わったと思います。政府や政党がきちんと論理立てて説明すれば、多くの国民は理解してくれると思います。もはや実態とかけ離れた憲法解釈を引きずり続ける時代は終わりました。自衛隊を海外に派遣するたびに、国際社会の現実とかけ離れた法律を作るのではなく、憲法解釈をきちんと見直して、自衛隊を海外に派遣するための恒久法を作るべきです。

 本来は憲法9条を改正すべきですが、日本の憲法を改正するには、衆参両院国会議員の3分の2以上の賛成で発議し、国民投票で過半数の賛成を得なければなりません。世界の中でも極めて改正が難しい憲法で、これを改正するには相当の年数がかかると思われます。その前に憲法の趣旨をゆがめない範囲で、時の社会情勢に合わせて解釈を見直すことはまさに「法の知恵」と言えます。そしてこれによって、日本は憲法前文にうたっている「国際社会において名誉ある地位」を得ることができます。

私の著書「外交の戦略と志」の中でも、谷内氏は「現在の政府の憲法9条の解釈は日本の安全保障政策、国際平和協力に大きな支障になっている」と指摘し、「この問題を政府部内や与野党間で真剣に議論していくべきだ」と、議論を呼びかけています。同書の第6章「安全保障」では、谷内氏が詳しく、論理的にこの問題を解説していますので、よろしければご一読ください。

 自民党も民主党など各政党も、そして政府も、国家国民のため、次期衆院選を機に、勇気をもって憲法解釈の見直しに取り組んでほしいと思います。

2009年5月25日 (月)

【正論】防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 集団的自衛権の保有確認求む

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090525/plc0905250316000-n1.htm
【正論】防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 集団的自衛権の保有確認求む

 ≪鳩山代表も制限行使に関心≫

 何回目のことだろうか。政治家の間に集団的自衛権への関心が戻ってきたらしい。安倍政権当時にこの問題で安保法制懇座長を務めた柳井元駐米大使が先般、麻生首相に1年前の懇談会報告書の内容を説明した。安倍元首相も総選挙用マニフェストに集団的自衛権行使不可なる現行憲法解釈の変更を謳うよう、首相に進言したようだ。首相自身は就任時に、解釈変更への賛意を語っていた。

 21世紀に入ってから小泉、安倍、福田、麻生の4代の自民党首相中、この問題に無関心だったのは懇談会報告書をお蔵に入れた福田氏だけ。この人は自衛隊最高指揮官意識までもが不足していたのだから、例外なのだろう。他方、ことと次第で次期首相の可能性がある鳩山民主党新代表も先日、集団的自衛権の制限的行使についての関心を語った。因みに、小沢前民主党代表が現行政府解釈を正解視していないことも周知だ。

 昭和56年に出た現行の政府見解のままでいいと考えているリーダー格の政治家は、探しても見つけるのが困難だ。この事実があるのに集団的自衛権問題が現実には一歩も動いていないことは、不思議千万。が、不思議がっていても始まらない。観察が必要である。

 ≪現行では日米安保ももたぬ≫

 右の政治家や関係諸家の議論におおむね共通するのは、現行解釈のままでは日米安保体制がもたなくなるとの危惧である。日米安保体制がもたなければ日本の防衛も危うくなる。この危惧は正しい。そこで、日米安保体制が危うくなる事態とは何かが洗い出され、せめてその種の事態だけでも回避するための方策が探られる。「四類型」への対応を検討した安倍政権時代の安保法制懇の報告書は、その意味では画期的であった。

 因みに「四類型」とは(1)公海上での米艦の防護(2)米国に向かう弾道ミサイルの迎撃(3)国際的平和活動での武器使用(4)国際的平和活動での「後方支援」における武器使用、である。報告趣旨が活かされるならば、米国側の対日不満は大幅に解消されよう。

 ただ、同懇談会に加わった私は検討が四類型に絞られ、集団的自衛権に関する政府見解そのものの欠陥性が議論されなかったことに、当初から疑問を感じた。

 政府見解は、わが国は集団的自衛権を「国際法上は保有するが、憲法上その行使は不可」というものである。その際、「憲法上は保有か、非保有か」は全然吟味されていない。過去に法制局長官は「結局は行使は違憲なのだから、その吟味は無意味」との趣旨を述べた。シニカルな議論であり、ここに政府見解の最大の欠陥がある。分かりやすい例で考えてみよう。

 被選挙権なる権利がある。公職選挙法第11条、同11条の2の該当者以外、法定年齢以上の日本国民は誰もがそれを有するし、理論上はそれを行使できる。が現実には「地盤、看板、鞄」の3バンなき人間はその行使を考えまいし、その行使は茶番だろう。落選確実だからだ。ただ重要なのは、誰もが被選挙権を有するという確認が先行していることだ。

 個別的、集団的自衛権は国連憲章がすべての国家に認めている権利である。政府見解が日本は憲法上その行使は不可と言うのなら、まずその前提、つまり集団的自衛権の憲法上の保有、非保有の確認から始めるべきなのだ。後述するように、私は保有確認が可能と考える。ところが現実の政府解釈はそこのところを逃げてしまった。

 ≪原則解釈の確立が先決だ≫

 被選挙権論を3バン論から始めるのは順序が狂っている。同じように、集団的自衛権論議を「憲法上行使不可」論から始め、「保有・非保有」確認を飛ばしてしまうのもおかしい。今日出回っている集団的自衛権行使制限論ないし限定的行使論は、言ってみれば「3バン」論で被選挙権を論じるのに似ている。ボタンは上から掛けるべきで、「急がば回れ」なのだ。さもないと将来、「四類型」以上の新しい事態が予測されると、またもや議論が一から始まる。現に類型(2)、(3)、(4)などは十数年前には論議する人とてなかった。他方、「集団的自衛権を保有、その行使は合憲」の原則解釈を確立すれば、行使の範囲、態様などは爾後の政策マターとなる。

 鳩山民主党新代表の祖父鳩山一郎首相は就任早々の昭和29年12月、自衛権の保有に関する政府統一見解を出した。いわく、「憲法は、自衛権を否定していない。自衛権は国が独立国である以上、その国が当然に保有する権利である。憲法はこれを否定していない。従って現行憲法のもとで、わが国が自衛権を持っていることはきわめて明白である」。

 立派な解釈であり、以後、自衛権存否論争は止んだ。今日、右の文中の自衛権の語にそのつど「個別的および集団的」という言葉を冠すればよい。現行憲法中に集団的自衛権保有を否定する文言はないからだ。これで保有を確認し、しかるのち、保有する権利の行使の範囲、態様などにつき、国益の観点から活発に議論すべきなのだ。(させ まさもり)

2009年5月16日 (土)

北ミサイル報告 「敵基地攻撃」は冷静に議論せよ(5月16日付・読売社説)

読売新聞の驚くべき社説である。
冷静に「敵基地攻撃能力の保有を研究する」べきだというのである。この社説は田母神発言などを契機にして活発になっている一部右翼論壇にみられる「対米自立」「自主的軍事力確立」「核保有」などの煽動的言論に対して「冷静な議論」を要求しているポーズを示しているのかも知れないが、「日米軍事同盟の強化と集団的自衛権行使を前提にした敵基地攻撃能力の保持」を主張する極めてヒートアップした議論である。
この主張は北朝鮮のミサイル能力の向上を理由にして、日本国憲法の第9条、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。……国の交戦権は、これを認めない」に真っ向から反するものであることはいうまでもない。国内最大の発行部数を誇る新聞が、こうした憲法違反の主張をすることは容認できるものではない。
この社説には戦争を如何にして防ぐかの真剣な考察が全くない。9条を持つ日本が北東アジアで如何にしてその9条力と外交能力を発揮して、平和を構築すべきか、そのための努力の重要性が全く論じられていない。はじめに日米軍事同盟強化ありき、「北朝鮮=敵」という危険な思考に凝り固まっている。これでは活路は開けない。MD万能論のような議論で、MD導入を煽動していたのは誰だったのか。いまさら、MDの限界などという話は無責任きわまりない。そんなことは、はじめから分かり切ったことであった。
6者協議が頓挫した現在、日朝関係の正常化を如何にして実現するのか、今必要なことは、こうしたヒートアップした読売社説のような議論ではなく、そのための努力である。(高田)

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090515-OYT1T01083.htm
北ミサイル報告 「敵基地攻撃」は冷静に議論せよ(5月16日付・読売社説)

 

ミサイル防衛(MD)に限界があるとすれば、敵基地攻撃能力の保有を研究することは、重要な意義を持つ。ただし、冷静に議論を進めることが肝要である。

 防衛省が、4月の北朝鮮のミサイル発射に関する報告書を公表した。ミサイルの2段目以降の飛行距離は3150~3200キロで、テポドンの「長射程化を進展させた」と分析している。

 長射程のミサイル実験は、射程の短いミサイルの射程の延伸や、弾頭重量の増加、命中精度の向上に資する、とも指摘している。

 確かに、日本の安全保障にとって警戒すべきは、日本を飛び越えるテポドンの長射程化よりも、日本を射程に収めるノドンの性能向上である。

 政府は、イージス艦発射型と地上発射型の2種類のMD配備を着実に進めるべきだ。

 だが、一度に多数のミサイルが発射された場合、MDで完璧(かんぺき)に迎撃するのは極めて難しい。

 

日本は専守防衛の方針の下、自衛隊は防御に徹し、報復の攻撃力は米軍に依存する、という役割分担をしている。日米同盟が機能すれば、現体制でも軍事的抑止力は基本的に維持される。

 

ただ、現体制を補完する形で、自衛隊が一定の攻撃力を持つ選択肢も排除すべきではあるまい。

 敵基地攻撃の手段を大別すればトマホークのような巡航ミサイルと、攻撃機による爆撃がある。

 巡航ミサイルは、攻撃目標の正確な位置を発射前に入力することが必要なため、ノドンのような移動式発射装置の攻撃は難しい。

 攻撃機による爆撃は、敵の防空網を突破するため、爆撃機だけでなく、制空目的の支援戦闘機や、妨害電波を出す電子戦機、空中給油機など、大規模な航空部隊の編成が必要となる。

 いずれにせよ、米軍との緊密な協調が前提となる。

 そもそもミサイル発射の兆候の探知や攻撃目標の位置特定には、米軍の情報協力が不可欠である。自衛隊単独での全ミサイル基地攻撃というのは、膨大な費用と時間を要し、非現実的だ。

 どんな場合に、自衛隊が米軍の攻撃力をどう補完するのが効果的なのか。部隊運用の実情を踏まえて、客観的に研究したい。

 日米同盟を機能させるには、政府の憲法解釈が禁じている集団的自衛権の行使を可能にすることも必要だ。米国に向かうミサイルは憲法上、迎撃できないというのでは、同盟が揺らぎかねない。

(2009年5月16日01時27分  読売新聞)

2009年5月 4日 (月)

集団的自衛権:強まる「解釈変更論」 首相、慎重に見極め

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090504k0000m010064000c.html
集団的自衛権:強まる「解釈変更論」 首相、慎重に見極め

 集団的自衛権の行使を禁じた政府の憲法解釈の変更を検討すべきだという声が、政府・自民党内で再燃している。北朝鮮の弾道ミサイル発射などを受け、安倍晋三元首相が麻生太郎首相に衆院選の政権公約(マニフェスト)に掲げるよう求めたのが発端。首相自身、解釈変更すべきだとの持論を崩していないが、検討を本格化させれば、与党・公明党が抵抗するのは必至。衆院選前の火種にならないよう、首相は与党内の空気を慎重に探る構えだ。【西田進一郎】

 「(報告書を)読ましていただいて、勉強しなきゃいかんと思ってます」

 首相は4月23日夜、安倍氏が首相時代に設置した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の座長を務めた柳井俊二元駐米大使と首相官邸で会い、懇談会が昨年6月にまとめた報告書の説明を受けた。面会は柳井氏側の要請。首相は前日、首相官邸で面会した安倍氏から集団的自衛権の行使について、「(総選挙の)マニフェストに盛り込んだほうがいい」と申し入れを受けていた。

 懇談会は、米艦船の防護、弾道ミサイル防衛、武器使用基準、後方支援の4類型に絞って議論した。4類型は小泉内閣のころ、安倍官房長官-麻生外相のラインで協議された内容がベース。安倍氏が首相を退陣した後の08年6月、憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使は可能との報告書をまとめたが、当時の福田康夫首相は解釈変更に否定的で、報告書は「たなざらし」となっていた。

 麻生首相は就任直後の昨年9月、憲法解釈の変更について「基本的に変えるべきものだ。ずっと同じことを言っている」と述べている。衆院選で対決する民主党の安保政策が定まらない中で、「安全保障の問題は衆院選に向けて民主党との対立軸を示すことができる大きなテーマ」(首相周辺)との思いが強い。

 ただ、平和志向をアピールする公明党が解釈変更に強く反発しており、首相や安倍氏らが強行突破をはかれば、衆院選などでの自公協力にも影響が出かねない。また、自民党内にも麻生-安倍ラインの保守色に抵抗感を示す議員も少なくない。このため、政府関係者は「仮に解釈を変更すれば、今の法体系全体の見直しにつながるが、そこまでは今の政治状況ではできないだろう」と語った。

2009年4月30日 (木)

安倍晋三の懲りない策動~自民党:政権公約づくりで政策の売り込み活発化

安倍晋三はまことに懲りない人である。それほど「軽い」人だということなのかもしれない。集団的自衛権問題について、米国で演説したり、麻生首相に働きかけたり、1年半前の自分の失態はもう忘れたかのようだ。しかし、私たちは忘れない。安倍が教育基本法改悪、防衛省昇格と自衛隊の基本任務の改変、改憲手続き法の強行などの希代の悪政をやったあと、無責任に政権を放りだしたことを。(高田)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090430k0000m010035000c.html
自民党:政権公約づくりで政策の売り込み活発化

 次期衆院選へ向けた自民党の政権公約(マニフェスト)づくりをめぐり、政策の売り込み合戦が始まっている。安倍晋三元首相が憲法解釈で禁じられている集団的自衛権の行使を掲げれば、中川秀直元幹事長は持論の公務員制度改革を提唱。存在感をアピールする狙いとともに、「選挙後」の政局もにらんだ主導権争いの側面もありそうだ。

 安倍氏は22日、麻生太郎首相と首相官邸で会談し「集団的自衛権の行使が可能になるよう公約に掲げるべきだ」と進言。首相として臨んだ07年参院選で大敗し、退陣後は動きを控えていたが、今月の訪米で米政府要人と相次いで会談するなど外交・安全保障面で発信を強めている。

 自民党は28日、細田博之幹事長が委員長を務める政権公約策定委員会を設置。5月の大型連休明け以降、取りまとめ作業を本格化させる。メンバーの一人は、安倍氏の提言について「安倍内閣が掲げたテーマは07年参院選で国民の心に響かなかった。公約のメーンは景気対策や雇用、社会保障など国民生活に身近な問題だ」と警戒感を隠さない。

 一方、中川氏は幹部公務員の降任、降給を内閣が弾力的に行えるようにする公務員制度改革や、議員定数削減の実現を目指す。27日夜、東京都内の日本料理店で武部勤元幹事長ら約20人と会食し「霞が関改革が選挙の大きな争点になる。国家ビジョンを語っていかないといけない」と公約化に意欲を示した。

 「いろいろな反発もあるが全力で頑張りたい」

 28日、自民党本部で開かれた若手議員の会合。菅義偉選対副委員長は持論の「世襲制限」の公約化に強い決意をにじませた。当選4回の菅氏のもとには中堅・若手が集まり、ベテラン主導の公約策定をけん制している。会合では、政権公約として定年制導入の是非も話題に上り「選挙後の党運営をにらみ、つばぜり合いが始まった」(若手)との見方も出ている。【近藤大介】

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2009043002000084.html
容認論が再浮上 集団的自衛権行使

2009年4月30日 朝刊

 政府・自民党内で、憲法解釈で禁じられた集団的自衛権行使を認めるべきだとの議論が再浮上している。党内のタカ派議員が北朝鮮の弾道ミサイル発射を機に仕掛けたもので福田政権以降“お蔵入り”になっている解釈改憲を再燃させたい思惑が見え隠れする。

 仕掛け人は、首相在任中に集団的自衛権行使問題に取り組んだ安倍晋三元首相。安倍首相時代に設置された「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」で座長だった柳井俊二元駐米大使が二十三日、「憲法九条は集団的自衛権行使を禁ずるものではないと解釈すべきもの」とした懇談会の結論を麻生太郎首相に説明。同日夜には安倍氏自らが首相に対し、憲法解釈を変えることを自民党マニフェストに盛り込むよう進言した。

 集団的自衛権とは、同盟国などへの武力攻撃があった場合、自国が直接攻撃を受けていなくても、その攻撃を実力で阻止する権利。政府は国際法上、権利は持っているが、憲法解釈上、行使は許されないとしている。

 米国を狙った弾道ミサイルの迎撃も違憲とされ、自民党の国防族議員を中心に集団的自衛権の行使を認め、日米が連携して「北の脅威」に対抗すべきだとの意見が出ている。

 ただ、麻生政権がこの問題に本腰を入れれば、近隣諸国の反発は確実で、北朝鮮問題での中韓両国との連携にはマイナス。党内には保守色の強い政策を前面に出し、負けた二〇〇七年参院選の記憶も残る。首相も「よく勉強させていただきます」と述べるにとどめている。
 (荘加卓嗣)

2009年4月29日 (水)

【正論】平和・安全保障研究所理事長 西原正 日米の「共同対処」が試された

集団的自衛権行使へ産経のキャンペーンである。
今回の北朝鮮のロケット発射に際して現れたような日米間の矛盾への対応は保守派(右派)のなかでも対応は二つに分かれる。主流はこの西原のように、「だからもっと米国の要求する集団的自衛権について日本が行使できるようにすべきだ。そうしないと日米同盟が壊れてしまう。たいへんだ~」と主張する。一方、そんなに多くはないが、田母神俊雄前空幕長のように「だから、次第に日本独自の防衛力を強化すべきだ」という者もいる。今回出てきた「核保有論」者はそうした傾向にある。
いわば対米従属派と対米自立志向派だ。米国にはこの自立志向を警戒して「安保ビンのふた論」がある。
あえて言うが、日米安保体制は日本の平和を守るためにあるのではなく、あくまで米国の世界戦略の一環として存在する。このもとで、日本は米国の世界戦略に限りなく奉仕させられる。今回のグアム移転協定が端的にそれを示している。来年は日米安保50周年。これを機に西原氏の言うような日米軍事同盟ではなく、朝鮮問題での6カ国協議のような、日本国憲法第9条を生かした北東アジアの平和共生体制が目指されるべきだ。日米軍事同盟を破棄して、日米平和友好条約を結ぶことだ。(高田)

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090429/plc0904290333002-n1.htm
【正論】平和・安全保障研究所理事長 西原正 日米の「共同対処」が試された
≪日米安保5条想定の事態≫

 去る4月5日、北朝鮮が発射した「人工衛星」という名目のテポドン2号(改良型)ミサイルは大気圏外で軌道に乗ることなく、太平洋に落下したようだ。この予告された発射は日本への直接的脅威となる可能性があったため、日米両国はこれに備えたわけだが、幸い大事には至らなかった。

 今回のミサイル発射は、日米安全保障条約第5条の定めた事態、つまり「共同対処」の最初のケースになりえたのである
。果たして日米同盟は期待通りに機能したのだろうか。両国はどうすべきだったのか。

 まず、日米両国は安保条約第5条の「共同対処」をどこまで行ったのかという点である。

 第5条には「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」とある。今回の発射は名目上は「人工衛星」の打ち上げで、初めから日本への武力攻撃を表明したものではなかった。しかし、日本の「平和及び安全を危うくするもの」であることは明白だった。だからこそ日米はイージス艦やパトリオットを要所に配備して、「共通の危険に対処」する準備をしたのである。

 ミサイル発射後の情報伝達および日米間の連携に関しては、同盟は見事に機能した。発射後、直ちに米国の早期警戒衛星が認知し、1分後には日本側に連絡があった。政府の地方への連絡も極めて迅速に行われた。

 ≪北の核威嚇抑止するには≫

 

しかし問題は、ミサイル発射に関して日米が異なる対処方針を示していたことであった。日本はミサイル、あるいはその一部が日本の領土に落下するようであれば破壊する(3月27日安全保障会議)が、米国に向かって飛んでいく場合には迎撃しないとした。いわゆる個別的自衛権の行使であって、集団的自衛権の行使を拒否したものであった。

 

だが米国も、「米国に落下するのでなければ迎撃しない」(3月29日ゲーツ国防長官)としていた。つまり日本に落下する場合には迎撃しないということであった。これは米国が集団的自衛権行使を否定したことになる。

 日米安保条約にあるように「共通の危険に対処する」行動が情報収集および伝達に限られたのは、将来に問題を残す。

 米軍は自衛隊の対処で十分と考えたのか、あるいは北朝鮮を必要以上に刺激したくなかったのか。それとも日本側の集団的自衛権の行使否認の姿勢への不満の表明だったのか。理由は不明であるが、条約第5条に沿った「共同対処」とは言えなかった。米国の方針は安保条約第5条下の義務違反ではなかったとしても、将来日本への核の威嚇があった際にも、同じような方針をとることはあるのだろうかという不安が残る。

 次に気になったのは、日米を含む国際社会が再三北朝鮮に対して「人工衛星」の発射を国連安保理決議違反とし、さらに日本は飛んでくるミサイルは破壊すると表明したにもかかわらず、北朝鮮がそれを無視してしまった点である。このことが将来も起こるとすれば、深刻だ。将来、北朝鮮が日本に対して核による脅しをした時に、米国がこれに核報復の可能性を表明しても、核抑止の効果が働くだろうか、という疑問が生じる。

 今回の発射後、国連安保理で採択された議長声明を受けて、北朝鮮は非難声明を発し、「6カ国協議を悪辣(あくらつ)に妨害してきた」と日本を名指しで非難した。北朝鮮の敵意に満ちた言辞や挑発は自らの脆弱(ぜいじゃく)性を隠す「空威張り」のことが多いし、また譲歩を引き出すための常套(じょうとう)手段でもある。とはいえ、北朝鮮がどんな挑発行為に出てくるか分からないのであるから、当方は冷静さを失わずに警戒を強めておく必要がある。

 日米は北朝鮮に対しては何が抑止効果になるのかを真剣に検討すべきである。

 ≪グアム防衛と集団的自衛権≫

 最後に、今度のミサイル発射は失敗したとはいえ、北朝鮮は3800キロを飛ばしたことで、1998年の発射(これも失敗している)よりも技術を向上させた点である。これで重要なのは、北朝鮮が、太平洋で米軍の一大戦略基地になろうとしているグアム基地を間もなく射程圏に入れることができることである。

 グアムは今後、数隻の空母用の埠頭(ふとう)、戦略潜水艦基地、戦略爆撃機基地、海兵隊司令部などを擁する重要な基地になると言われる。そしてなによりも米軍が有事の際の日本防衛のために作戦を展開する基地となる。

 日本は自国の安全のために、グアムを狙うミサイルを迎撃できる法的、政治的態勢を整えるのが急務である。日米同盟の最大の弱点は日本が集団的自衛権の行使を拒否していることである。

 日米双方とも、同盟の機能を高めるためにすべきことは多い。(にしはら まさし)

http://www.nikkei.co.jp/neteye5/sunohara/index.html
シリーズ:米大統領選と日米関係・オバマ政権下の日米関係を考える(最終回) 対日厚遇と同盟再漂流(2009/3/27)

クリントン米国務長官との会談に臨む麻生首相(2月17日午後、首相官邸)
 対中重視と思われていたヒラリー・クリントン米国務長官は就任後、最初の訪問国として中国ではなく、日本を選んだ。バラク・オバマ大統領は外国要人としては初めて、日本の麻生太郎首相をホワイトハウスに招き入れ、日米連携の姿勢を強調した。

 連続して起こった2つの外交事例によって、導き出される結論は1つ。「過去の民主党政権と違い、オバマ政権は日米関係を極めて重視している」――。

 ある種の陶酔感に浸りながら、日本では今、そんな感覚が水面下で広がっているように見える。だが、本当にそれでいいのだろうか。事はそれほど単純なのだろうか。日米関係にありがちな日本側による勝手な「独りよがり」ではないだろうか。そんな問題意識を抱えながら、3月24日から久しぶりに米国の首都、ワシントンDCを訪ね、旧知の米外交専門家やオバマ政権の現役高官、ブッシュ前政権の高官らと意見交換を重ねてみた。

 彼らの声を通じて見えてきたものは懸念した通り、日本で聞かされていた「風景」とは全く異なるものだった。

日本の対米離反を懸念

 もちろん、国務長官と大統領による異例とまでいえる対日厚遇の背景には「それなりの意味」(ハムレ米戦略国際問題研究所所長)がある。第1に日本に強い「民主党アレルギー」を踏まえ、オバマ政権がブッシュ前政権と同じぐらい日本との関係を重く見ているというメッセージを伝えること。第2に、日本に対して「責任ある大国」としての自覚を促し、政治・経済をはじめとする、あらゆる側面で日本に応分の負担を求める狙いもある。

 だが、そうした表向きの理由をはるかにしのぐ懸念材料が今、オバマ政権の中枢には渦巻いている。すなわち、「日本が対米離反を加速させるのではないか」という不安感である。

 クリントン長官が来日した際、日本側は再三にわたって、北朝鮮による拉致被害家族との面談を求めていた。最終的にクリントン長官は自らの「政治決断」で面会に応じることを決めたが、当初、国務省を中心とするアジア政策グループは面会に否定的だった。ブッシュ前大統領がホワイトハウスで拉致被害家族と会ったように国務長官が会談に応じれば、日本では「オバマ政権も拉致問題の解決に最高レベルでコミットした」と解釈されかねない、と懸念したからである。ある国務省関係者は当時、「(日本の)外務省はとても危険なゲームを演じている」とあからさまに不平を漏らしていた。

 だが、そうした政府内の反対論をクリントン長官は一蹴した。「自分の政治家としての判断を踏まえれば、彼らには会うべきだ。同時に1人の人間として、また母親として愛する家族を拉致された人たちの思いはよく理解できる」。複数の米政府関係者によれば、事前に行われた部内会合でクリントン長官はそう述べたという。

 その判断の背景にはブッシュ前政権の末期、あまりにも米朝合意を急いだ結果、日本との十分な対話や根回し、また拉致問題への目配りをなおざりにしたライス前国務長官による対日外交での「減点」を何とか取り戻したいという動機があったのは明白だ。

 来日中、クリントン長官は民主党の小沢一郎代表とも面会した。時に日米関係軽視とも対米批判とも取れる言動を繰り返す小沢代表についても長官は「同じ政治家として、ああした言動を取る心情、立場はある程度理解できる」と語り、あえて問題視せずに小沢代表との面会に踏み切ったとされる。

 一連のクリントン長官による「高度な政治判断」の背景について、ある国務省OBはこう指摘する。

 「オバマ政権は日米関係が今、極めて難しい状態にあるという認識を持ちつつある」――。

関係悪化をいかに食い止めるか

 片や、与党・自民党に目をやれば、麻生内閣は史上まれにみる低い支持率から脱することもままならず、酩酊者のようなおぼつかない足取りでかろうじて政権運営を続けている。一方の民主党でも「次の総理」と呼ばれる人たちから次々と信じられないような言動が後を絶たない。小沢代表による「在日米軍は(横須賀を母港とする)第七艦隊だけいてくれればいい」といった趣旨の発言はその代表例だ。

 近い将来、確実に現実のものとなる総選挙はもちろん、いくつかの政治的ヤマ場を越えなければ日本の政局、ひいては政情、政権の安定は望めない。米国から見て深刻な問題はその「移行期」をいかにしのぎ、日米関係の悪化を最低限に食い止めるか、という点にある。

 アーミテージ元国務副長官をはじめとするワシントンの日本専門家が在日米軍・第七艦隊を巡る「小沢発言」について「意図的に相手にせず、無視することにしよう」というコンセンサスを作り上げた理由も同じところにある。つまり、「下手に反論すれば、日本のナショナリズムをいたずらに刺激し、かえって対米離反をあおりかねない」という政治的な判断が背景で働いているのである。

 加えて、野球でいえば守りの要とされるセンター・ラインに相当する駐日米大使、アジア担当国務次官補の2つの要職の人選も固まらず、オバマ政権のアジア政策もまだ、確固たる羅針盤を持つには至っていない。こうしたいくつかの要因が複雑に絡み合って、日米同盟は今、糸の切れかけた凧(たこ)のように逆風の中で揺らいでいるというのが偽らざる「実像」だといっても過言ではない。

 日米間に生じた空隙(くうげき)を最大限に利用し、自らの利益誘導を目指す者(国)は誰か。その筆頭はもちろん、弾道ミサイル「テポドン」の発射を予告し、またも国際社会に恫喝(どうかつ)外交を展開する北朝鮮である。さらに日本側の度重なる要請、警告にもかかわらず、東シナ海や尖閣諸島周辺で一定の軍事力を背景に威嚇行為を続ける中国の存在も見逃せない。

 にもかかわらず、日米両国には今、その同盟関係のタガを締め直し、力強く前進させるパワーもエネルギーもない。その深遠には日米双方の人脈パイプの枯渇や、ポスト冷戦後における同盟関係の在り方を十二分に位置付けられていない現状、日米双方の政策決定者による同盟の必要性に関する透明性・説明責任の欠如など様々な理由が山積している。

同盟関係は「酸素のようなもの」

 著名な日本研究家の1人、ケント・カルダー氏が「同盟の自己資本」と呼ぶ、種々の同盟支持基盤は一夜にしてできるものではない。それらを着実に強化していくためには忍耐強い愛情・尊敬の念や丹念な気配りなどが欠かせない。だが、相も変わらず、「拉致問題」を北朝鮮政策における最重要課題と位置づける政府・与党や、日米同盟の中核的存在である在日米軍を政争の具に仕立てようとしているような民主党にはそうした姿勢は垣間見えない。彼らに共通しているのは漂流寸前にある日米同盟に対する危機感の欠如である。

 「同盟関係は酸素のようなもの。日ごろはその存在の重要性に気付きもしないが、なくなって初めて、いかに大切なものであったのかが分かる」――。

 オバマ大統領によって次期駐日米大使就任を打診されているジョセフ・ナイ米ハーバード大学教授はかつて、日米同盟についてこう評したことがある。冷戦終結後の1990年代半ば、戦略的目標を喪失し、漂流し始めていた日米同盟はその後、ナイ教授らの努力もあって、何とか元の軌道へと回帰した。だが、日米両国は今、再びその軌道を見失いつつある。

 日米両国だけでなく、21世紀のアジア太平洋地域において平和と安定を維持するためには欠かせない「公共財」とまでいわれるようになった日米同盟。空気のような、その存在の意義を我々は改めて自らに問い直すべきではないだろうか……。

2009年4月24日 (金)

麻生首相 集団的自衛権行使の解釈変更を本格検討へ

憲法審査会の始動に向けてのきな臭い動きと共に、改憲派の麻生太郎が、この政局の変化を奇貨として、集団的自衛権の政府解釈の変更に触手を伸ばしはじめた。これを見逃さずに、丁寧に反撃する努力とあわせて、麻生内閣を打倒することこそ最大の反撃になる。(高田)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090424/plc0904240136001-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090424/plc0904240136001-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090424/plc0904240136001-n3.htm

麻生首相 集団的自衛権行使の解釈変更を本格検討へ

 麻生太郎首相は23日、安倍晋三首相(当時)の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)で座長を務めた柳井俊二元駐米大使と首相官邸で会談し、集団的自衛権の行使を違憲とする現行の政府解釈について意見を聞いた。北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射や、海上自衛隊による海賊対策の本格化を受け、集団的自衛権を行使できるように解釈変更が必要な状況が差し迫っていると判断したとみられる。首相が解釈変更に踏み切れば、日米同盟の強化や国際貢献に向け、大きな一歩を踏み出すことになる。

 会談には、柳沢協二官房副長官補(安全保障担当)も同席した。柳井氏は安保法制懇の議論の経緯をたどりながら、解釈変更が喫緊のテーマであることを説明したという。

 会談後、首相は記者団に対して、「安保法制懇の話がそのままになっているので話を聞いた。長い文章なので勉強しなければならないと思っている」と解釈変更に前向きな姿勢を示した。再議論の必要性については、安保法制懇が平成20年6月に報告書を福田康夫首相(当時)に提出していることを踏まえ、「きちんとした答えは作られており、内容もまとまったものがある」と述べた。

 安保法制懇の報告書は、(1)公海における米軍艦艇の防護(2)米国を狙った弾道ミサイルの迎撃(3)国際的な平和活動における武器使用(4)国連平和維持活動(PKO)での他国部隊の後方支援-の4類型について、集団的自衛権の行使を認めるなど政府解釈を変更すれば、現憲法のまま実施できると結論づけた。

 しかし、福田首相(当時)は記者団に「(解釈を)変える話などしたことはない。報告は終わったわけだから完結した」と語り、解釈変更を否定。安保法制懇の報告書は封印されたままとなっていた。

 一方、麻生首相は首相就任直後の平成20年9月26日、米ニューヨークで「基本的に解釈を変えるべきものだと言ってきた。大事な問題だ」と述べ、いったんは解釈変更に前向きな考えを表明したが、10月3日の参院本会議では「解釈について十分な議論が行われるべきだ」と答弁し、早急な変更には慎重な姿勢を示した。

 現行の集団的自衛権に関する政府解釈は、昭和47年10月の田中角栄内閣で「わが国は集団的自衛権を有しているとしても国権の発動としてこれを行使することは許されない」という政府見解で示された。

 ■集団的自衛権 同盟国など密接な関係にある他国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていなくても、自国への攻撃だとみなして実力で阻止する権利。国連憲章51条で、主権国家の「固有の権利」と規定され、国際法上の権利として広く認められている。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090424/plc0904240134000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090424/plc0904240134000-n2.htm
集団的自衛権行使で“呪縛”を断てるか 現行解釈は現実と乖離

 集団的自衛権を「持っているが行使できない」とする奇妙な政府解釈は、歴代政権の懸案だったが、内閣法制局や野党の激しい抵抗により棚上げされてきた。だが、国連の平和維持活動(PKO)に加え、「テロとの戦い」や海賊対策などにより、自衛隊が海外で活動する場が増えるにつれ、避けては通れない喫緊の課題となっている。「国民の生命と安全を守ることが国家最大の責務だ」と断じてきた麻生太郎首相は、戦後民主主義の呪縛(じゆばく)を断ち切ることができるのか-。

 憲法が禁じる「海外での武力行使」の解釈が国会の争点となったのは、1990年の湾岸戦争がきっかけだった。多額の資金援助をしながら国際社会の批判を浴び、政府・自民党はPKO参加に向け、方針を転換。野党との攻防の末、平成4年6月にPKO協力法を成立させた。

 だが、国連の活動でも「武力行使にあたる場合がある」とする政府解釈により、現在でも他国の部隊が攻撃された場合に助けに向かう「駆け付け警護」や任務の妨害を排除するための武器使用は認められない。同じ議論がインド洋での給油活動やソマリア沖の海賊対策でも繰り返され、「国際水準」での他国との連携ができない状況にある。

 集団的自衛権では、94年の朝鮮半島危機と96年の台湾海峡危機を受けて見直された「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」とその後の有事法制の整備過程で対米支援の限界が明らかになった。政府は戦闘が行われていない「後方地域」という概念を生み出して補給や避難民の輸送を行うとしているが、実効性がどの程度あるかは疑問だ。

 弾道ミサイル防衛(MD)でも、政府は米国を狙ったミサイルの迎撃は「集団的自衛権の行使で憲法上の問題を生じる」(内閣法制局)としている。だが、仮に日本が迎撃しなかった場合、日米同盟が重大な危機を迎えるのは明らかだ。

 米オバマ政権は国際社会の秩序維持に対する同盟国の役割増加を求めており、今後、自衛隊への海外派遣や対米協力の圧力はますます高まるとみられる。
このまま、政府が集団的自衛権や国連など集団安全保障への参加をめぐる現行解釈を維持し続ければ、法解釈とのギャップを埋めるため、現場の自衛官に「違憲」な行動を強要することにもなりかねない。(田中靖人)

2009年3月 1日 (日)

産経【主張】北のミサイル 日米の迎撃準備は当然だ

産経の主張は迎撃そのものが9条違反であり、集団的自衛権行使に踏み切ることもまた9条違反である点で、二重に憲法違反の勧めだ。人工衛星が弾道ミサイルと技術的に違いはないという主張は、日本が言う場合は自分のことを棚に上げているという意味で、二重基準だ。こんなご都合主義は許せるものではない。北東アジアでの緊張を煽る行為は許せない。北朝鮮も軍事力至上主義を棄て、平和と緊張緩和の実現に向けて舵を切らなくてはならない。(高田)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090301/plc0903010232004-n1.htm
産経【主張】北のミサイル 日米の迎撃準備は当然だ
 北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射した場合に備えて、日米両国の防衛当局が迎撃を含めた対応を検討していることがわかった。

 北朝鮮は「衛星の打ち上げ」としているが、弾頭部分を除けば衛星打ち上げと弾道ミサイルに技術的違いはない。北の核実験を受けた2006年の国連安保理決議1718は「ミサイル計画に関連するすべての活動」を停止し、核実験とミサイル発射をしないよう求めている。決議は今も有効だ。

 米政府のヒル国務次官補は「本質的にミサイル打ち上げだ」として発射が同決議に違反するとの見方を示し、日韓両国も懸念を高めている。北朝鮮は国際社会の意思を尊重し、無謀な発射準備を直ちにやめるべきである。

 北はこれまでも国際的な取り決めを踏みにじり、ミサイル発射や核実験をした。今回も国連決議に従おうとしないならば、日米両国が北東アジアの安全を守るために迎撃準備を進めるのは当然だ。

 北のミサイル発射に備えて、米国防総省報道官は「挑発への準備は万全だ」と語り、浜田靖一防衛相も2月27日の会見で「(迎撃を)検討している」と述べ、北の弾道ミサイルが日本に向かう場合はミサイル防衛(MD)システムで迎撃する可能性を示唆した。

 日本政府のMDシステムは、日本に飛来する弾道ミサイルをイージス艦搭載の迎撃ミサイル(SM3)で防ぎ、阻止できなかった場合は地上発射型迎撃ミサイル(PAC3)で撃ち落とす。

 

実際に迎撃に踏み切れば、自衛隊法で規定された「弾道ミサイル等に対する破壊措置」を初適用することになるが、問題はこれに必要な情報の入手に集団的自衛権の問題が問われていることだ。

 日本の情報収集衛星などでは十分でなく、米国との情報共有が不可欠だ。そのためには憲法上、集団的自衛権を行使できないとする解釈を早急に改めなければならない
。実際の迎撃についても、シーファー前駐日米大使が「米国はミサイルが日米どちらに向かっても撃墜するが、日本はそうなっていない」と懸念を表明してきた。

 米政府は新たな北朝鮮問題担当特使を今週、アジアに派遣し、日中韓ロシアとの協議に入る。ミサイル発射阻止へ向けた協調外交が重要な段階を迎えるが、その一方で発射に備えた迎撃準備も怠らずに進める必要がある。

2009年2月 9日 (月)

自衛隊の役割拡大を評価=駐日米大使候補ナイ氏

http://www.jiji.com/jc/zc?k=200902/2009020800045&rel=j&g=pol
自衛隊の役割拡大を評価=駐日米大使候補ナイ氏

 【ミュンヘン8日時事】次期駐日米大使の有力候補ジョセフ・ナイ・ハーバード大教授(元国防次官補)は7日、当地で浜田靖一防衛相と会談し、かつてアーミテージ元国務副長官らと日米同盟強化を柱とする対日政策を提言したことに触れ、「日本は現行憲法下でもいろいろとできることがある。平和維持活動(PKO)やインド洋での給油活動、海賊対策は良い例だ」と述べ、自衛隊の役割拡大を評価した。
 ナイ氏はまた、「エネルギーや環境、気候でも、日米で共にやることがあるはずだ」と語り、軍事面だけでなく、広い視野で安全保障を見ることが必要と強調した。
 ナイ氏は8日には、伊藤信太郎外務副大臣と会談。「教授の立場での発言」と断った上で、北朝鮮による拉致問題について、「オバマ政権はブッシュ前政権と同様、あるいはそれ以上に日本と歩調を合わせて強く臨む」との見方を示した。 
 ナイ氏は「拉致問題で日米間にくさびを打ち込めるとの間違ったメッセージを北朝鮮に受け取らせないようにすることが大事だ」と指摘。両氏は、拉致は日朝の二国間問題ではなく、人間の安全保障の問題との認識で一致した。(了)(2009/02/08-23:42)

2009年1月 5日 (月)

産経【主張】首相年頭会見 憲法解釈見直しの好機に

昨日の麻生首相年頭記者会見に早速、産経の「主張」が飛びついた。集団的自衛権の従来の政府解釈を見直そうという主張だ。その支えに安倍晋三がつくった「安保法制懇」の提言を使おうとしている。
九条の明文改憲ではなく、解釈を変えることで、九条を破壊しようという動きである。麻生内閣のこうした動きに対して、この法制懇提言自体が、はじめに結論ありきの噴飯ものであったことを改めて暴露しなくてはならない。ソマリア沖海賊対策派兵法が、特措法にするか、恒久法にするか、自衛隊法などの解釈の拡大でやってしまうかなど、さまざまな要因で法制化が困難になっているときに、その困難を集団的自衛権の解釈変更で突破してしまおうというわけだ。
支持率の急落など、内外の懇案の前で立ち往生しつつある麻生内閣が、野党分断などによる失地回復の手段の一つにしようとして、こうした集団的自衛権の解釈変更に手を付ける企てを許してはならない。(高田)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090105/plc0901050231001-n1.htm
【主張】首相年頭会見 憲法解釈見直しの好機に
麻生太郎首相は年頭の記者会見で、ソマリア沖に海上自衛隊の艦船を派遣する場合、現行の憲法解釈のために海賊対策の効果が上がらず、海自隊員が危険に遭うことはあってはならないと明言した。同時に「議論を行う必要がある」と強調した。

 これは集団的自衛権の行使を禁止としている憲法解釈の見直しなどを具体的に検討していく意向を示唆したものだ。

 海賊対策やテロとの戦いなど、自衛隊がその能力を効果的に発揮するには、集団的自衛権行使に関する解釈の変更は不可欠だ。首相が改めて前向きな姿勢を示したことを評価したい。

 外国船が海賊に襲撃された場合、海自艦艇が海賊を抑止するための実力行使は、内閣法制局の判断で「武力行使と一体化する」として容認されずにきた。そうした解釈は現実的でないことを首相が事実上認めた意味は大きい。

 昨年6月、福田内閣で政府の懇談会から従来の憲法解釈の変更を求める提言が出されている。

 提言には、国連などが行う国際的な平和活動における武力行使につながる可能性のある行為について、これまでの憲法違反との解釈を改め、「集団安全保障への参加は憲法第9条で禁止されないと整理すべきだ」としている。

 米国をねらった弾道ミサイルの迎撃や国際平和活動を行う友軍が攻撃された場合の反撃なども問題はないと整理されている。当たり前のことが放置されてきた。

 

麻生首相は「この報告書を踏まえて検討する」と述べた。首相の指導力で現実的な解釈に移行する時期を迎えている。

 民主党の小沢一郎代表もソマリア沖への海自艦派遣について、憲法解釈の明示を条件に一定の理解を示している。党首間で論議する格好のテーマだろう。

 一方、5日召集される通常国会に関し、首相は予算案や関連法案の早期成立を最優先させると表明し、民主党との話し合い解散には応じない見解を繰り返した。

 これに対し、小沢代表は4日の会見で定額給付金の撤回と解散を求める姿勢を崩さなかった。

 こうした対立状況の下で「100年に1度」の経済危機を乗り切ることができるのだろうか。

 深刻化する雇用情勢への対処など、党派を超えて政治が緊急に果たす役割を双方が模索すべき時であることを強調したい。

2009年1月 4日 (日)

麻生首相:年頭記者会見の全文(3) 外交・防衛など

首相の年頭記者会見での表明である。集団的自衛権の行使を検討すると言っている。また、安倍内閣のヤラセ懇談会である安保防衛懇の答申をそれなりに有用なものと見ている点も要注意である。(高田)

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090104k0000e010024000c.html
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090104k0000e010024000c2.html
麻生首相:年頭記者会見の全文(3) 外交・防衛など(1/2ページ)

【集団的自衛権行使】

Q 集団的自衛権について。総理は去年、国連総会で集団的自衛権行使できるように憲法解釈を変えると言ったが、いつごろ、どのような手順で解釈を変えるのか。

A 私の立場は一貫しているんだと思いますが。従来から、政府は集団的自衛権の行使は憲法上、許されないと言う解釈を採ってきて、その立場は変わっている訳ではありません。一方、これは非常に重要な課題なんでして、これまでさまざまな議論がなされて来てということを踏まえ、かなり議論される必要があるのではないか。ソマリア沖の海賊なども含めて、具体的なことになってきていますので、そういったことも含めて対応を考えていかないと。我々としては、自衛官、海上自衛官でもいいですが派遣して、派遣をしたけれども効果がまったく上がらなかった、派遣された隊員、非常に危険なことになったのでは意味がない。私はそう思ってますので。こういった問題に関しては、懇談会の報告書も出されていますので、そういったものを踏まえて引き続き、検討していかねばならんと思っています。

Q ソマリアに派遣する前にということですか?
A 既にいろいろな形で検討がなされています。それ以上、ちょっと答えられません。

2008年12月 1日 (月)

集団的自衛権行使容認の持論展開 田母神氏が講演

田母神が図に乗って吠えつづけている。陳腐な議論だが、前航空幕僚長の田母神が語るところに危険性がある。産経と毎日の報道である。(高田)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081201/plc0812011441007-n1.htm
集団的自衛権行使容認の持論展開 田母神氏が講演
2008.12.1 14:39
日本外国特派員協会での講演に向かう田母神俊雄・前航空幕僚長=1日午後、東京・有楽町

 歴史認識に関する政府見解を否定する論文を発表して更迭された田母神俊雄・前航空幕僚長(60)が1日、都内の日本外国特派員協会で講演し「自衛隊は集団的自衛権(の行使)が許されていない。イラクに派遣されて他国が攻撃を受けても助けることができない」と述べ、集団的自衛権の行使容認を求める持論をあらためて展開した。

 また「普通の国のように自衛隊を『軍』として使えないのは歴史認識の問題と考えた。自衛隊の力が大きくなれば周辺に迷惑を掛けるという間違った歴史観があるためだ」と強調した。

 田母神氏はマンション・ホテル開発企業「アパグループ」主催の懸賞論文で「わが国が侵略国家だったというのはまさにぬれぎぬ」などと主張し、侵略と植民地支配を認めた平成7年の「村山談話」や政府見解を否定。防衛省はシビリアンコントロール(文民統制)の観点から不適切として10月31日に更迭した。

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081202k0000m040065000c.html
田母神前空幕長:戦中に核兵器あれば…「やられればやる」
日本外国特派員協会で講演する田母神俊雄・前航空幕僚長=東京都千代田区で2008年12月1日午後1時6分、馬場理沙撮影

 政府見解と異なる文書を懸賞論文に公表し更迭された田母神(たもがみ)俊雄前航空幕僚長(60)が1日、日本外国特派員協会で講演し「普通の国のように軍を使うことができないのは歴史認識の問題」と従来の考え方を繰り返し強調した。「(核保有を)議論するだけで(核)抑止力が向上する」などと国内外での「本音の安全保障論議」の必要性を訴えた。

 「危険人物の田母神です」とユーモアを交えつつ講演を始めた田母神氏だが、本題では「白人国家がアジアを侵略したことはそっちのけだ」などと第二次大戦の戦勝国による歴史観の定着に危機感を示した。統幕学校長として4年前、親善訪問の場で、日本の侵略の歴史を話し続ける中国軍幹部を遮り、日本の立場を擁護する発言をしたと語った。「どんな国家にも光と影があり、触られたくない歴史がある。原爆を落とされたとか日本からは(米国に対し)言うべきではないが、言われたのなら言い返すべきだろう」と述べた。

 また核保有国に従属せざるを得ないのに、核武装論議をタブー視してきた現状の安全保障論議に不満を表明。欧米メディアから「戦中の指揮官で核兵器を保有していたらどうしたか」と聞かれ、「(連合国側に)落としたかと言われると、やられればやるのではないかと思います」と述べた。アジア、欧米など十数カ国の記者ら数百人が集まったが、田母神氏を問いつめるなどのシーンもなく、講演は淡々と進んだ。【本多健】

2008年11月 6日 (木)

空自隊員78人が投稿 田母神氏と同じ懸賞論文

田母神俊雄航空幕僚長がホテルチェーンなどを経営するアパグループの懸賞論文に応募し、「日本が侵略国家だったというのは濡れ衣だ」とか、「日本は集団的自衛権を行使すべきだ」という主旨の主張をしたことに抗議し、市民団体が4日、防衛省正門前に結集することを呼びかけたことにたいする右翼の反応が興味深かった。
この間、軍隊慰安婦問題についての女性の市民運動に対して暴力的な妨害行動を繰り広げてきた札付きの右翼集団・西村修平らの「主権回復をめざす会」などは、このよびかけに過敏に反応し、「反日左翼を蹴散らせ」「田母神更迭は自衛隊という国軍に対する死刑宣告だ」「田母神幕僚長を更迭した麻生総理大臣は売国奴」などとして、同時刻の結集を呼びかけた。
 当日、帰宅する防衛省職員に向かって行った彼らのアジテーションは「防衛省の職員は立ち止まって反日左翼を粉砕しろ」「そのまま帰って酒でも飲む気か、おまえらは税金泥棒だ」「田母神空幕長に呼応する者は一人もいないのか」「国軍は村山談話を継承する麻生太郎を許すな」などというものであり、あきらかに三島由紀夫を気取って演説していた。
市民団体からあらかじめ要請され、正門の前に出て応対した防衛省の係官に対しては、要請文を読み上げている間中、「受け取るな、受け取るな」の奇妙なコールを行った。そして防衛省の職員が受け取ると「おまえも同罪だ」と罵声をあびせる始末だった。
この日の市民団体の行動が右翼分子の琴線に触れたのがよくわかる。
田母神が応募した懸賞論文には230件の応募があり、うち自衛隊員の応募は少なくとも78人以上になったという。田母神は「他の人に強制はしていない」などと語っているが、彼が部下に応募を薦めた可能性は十分にある。かつて、「二・二六事件」では日本軍の中に青年将校の政治的なフラクションがあって、それが行動の起爆剤になったのだが、この応募数の多さを考えると、今日の自衛隊の中にそうした秘密結社が出来ている可能性がある。これは、立憲主義と文民統制の立場から極めて重大な問題で、本来、厳重に調査されるべき事柄だ。
ところが今回の防衛省の対処は何とも奇妙だ。田母神は懲戒処分の手続きの一つの場である「審理」の場で「議論したい」と主張していたにもかかわらず、「処分手続き」に入らず、「審理」を忌避して「定年退職」とした。それを防衛省は「田母神が処分手続きに応じない」からなどと、虚偽の説明をしていた。本来、この「審理」の場でこうした多数の自衛官が応募したことについても厳重に審査すべき事柄だ。防衛省は事実が明らかになることを畏れているのではないだろうか。
このアパグループという会社も何とも得たいの知れない存在だ。自衛隊との癒着は異常なものだと言われている。こうした連中が自衛隊の思想工作にたずさわっているとしたら、それは北一輝ばりの動きだ。
折しも防衛装備品の調達をめぐる汚職事件で、守屋前防衛次官に東京地裁で実刑二年半の判決がでた。いまこそ、自衛隊・防衛省の闇を暴かないと大変なことになりかねない。
関連して産経と読売の記事を貼り付けます。(高田)

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081106/plc0811061113003-n1.htm
空自隊員78人が投稿 田母神氏と同じ懸賞論文
田母神俊雄前航空幕僚長が歴史認識をめぐり政府見解と異なる論文を公表した問題で、防衛省は6日午前の民主党外交防衛部門会議で、田母神氏のほかに航空自衛隊員78人が同じ懸賞論文に応募していたことを明らかにした。内部部局(背広組)や陸海両幕僚監部、統合幕僚監部からの投稿者はなかった。

 防衛省の示した資料によると、階級別では1佐、2佐がそれぞれ3人、3佐、曹クラスが各4人、尉官が64人だった。防衛省は、内規に義務づけられた上司への報告を怠った例がなかったかについて今後調べるとしている。

 一方、浜田靖一防衛相は同日の参院外交防衛委員会で、田母神氏の論文について「自分の立場を理解してもらえなかったのは憤りを感じる。今回の件を許すまじという思いでしっかりと対処する」と強調。田母神氏に対し、退職金の自主返納を求める考えを明らかにした。

 また、自衛隊幹部の歴史教育について「(植民地支配と侵略を謝罪した)村山談話を踏まえて適切な幹部教育に努めていきたい」と述べた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081106-OYT1T00405.htm?from=main4
前空幕長投稿の懸賞論文、空自の78隊員も応募

 田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長(60)が、昭和戦争などに関して投稿した懸賞論文の内容を巡って更迭され、3日付で定年退職となった問題で、この懸賞論文には、田母神氏以外に78人の航空自衛隊の隊員が応募していたことが、6日わかった。

 航空幕僚監部教育課が全国の部隊に懸賞論文の応募要領を紹介していたことも判明。防衛省では、田母神氏が呼びかけ、空自が組織を挙げて応募した可能性があるとみて調べている。民主党の外務防衛部門会議で、防衛省が明らかにした。

 この論文は、ホテル・マンション経営のアパグループ(本社・東京都港区)が主催した懸賞論文で、テーマは「真の近現代史観」。235人が応募していた。

 応募した自衛官78人の内訳は、佐官級が10人、尉官級64人、曹クラス4人。また、78人中62人は空自小松基地の隊員だった。

 防衛省や田母神氏によると、5月から募集が始まり、田母神氏は周囲に「こんな論文がある」と紹介。さらに、空幕教育課は5月末、この論文の応募要領を全国の部隊にファクスで知らせていた。同省では、田母神氏が教育課に対し、全国の部隊に通知するよう持ちかけていたかどうかさらに調査を進める方針。

 空幕広報室は「田母神前空幕長からの依頼で行ったわけではない」と話している。

 一方、田母神氏が昨年5月、空自の部内誌「鵬友」でも、今回問題となった懸賞論文と同じ趣旨の論文を投稿していたことがわかった。部内誌で田母神氏は、「戦後教育の中で我が国の歴史はひどい無実の罪を着せられてきた。その代表的なものが、日本は朝鮮半島や中国を侵略し残虐の限りを尽くしたというものである」と記していた。問題発覚後、防衛省が田母神氏の過去の論文の内容を精査する中で判明した。同省では、「明らかに政府見解と異なっている」と釈明している。
(2008年11月6日14時18分  読売新聞)

2008年11月 2日 (日)

田母神論文問題で各紙社説

各紙社説の多くは田母神論文の危険性と水準の低さを指摘しているが、産経は擁護した。この問題では読売と産経の立場が分かれた。朝日、東京、読売、産経のみを紹介する。東京が首相の認識を問うているのは正解だ。読売の集団的自衛権にふれた箇所が、苦しくて、面白い。(高田)
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
空幕長更迭―ぞっとする自衛官の暴走

 こんなゆがんだ考えの持ち主が、こともあろうに自衛隊組織のトップにいたとは。驚き、あきれ、そして心胆が寒くなるような事件である。

 田母神(たもがみ)俊雄・航空幕僚長が日本の植民地支配や侵略行為を正当化し、旧軍を美化する趣旨の論文を書き、民間企業の懸賞に応募していた。

 論文はこんな内容だ。

 「我が国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた被害者」「我が国は極めて穏当な植民地統治をした」「日本はルーズベルト(米大統領)の仕掛けた罠(わな)にはまり、真珠湾攻撃を決行した」「我が国が侵略国家だったというのはまさに濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)である」――。

 一部の右派言論人らが好んで使う、実証的データの乏しい歴史解釈や身勝手な主張がこれでもかと並ぶ。

 空幕長は5万人の航空自衛隊のトップである。陸上、海上の幕僚長とともに制服の自衛官を統括し、防衛相を補佐する。軍事専門家としての能力はむろんのこと、高い人格や識見、バランスのとれた判断力が求められる。

 その立場で懸賞論文に応募すること自体、職務に対する自覚の欠如を物語っているが、田母神氏の奇矯な言動は今回に限ったことではない。

 4月には航空自衛隊のイラクでの輸送活動を違憲だとした名古屋高裁の判決について「そんなの関係ねえ」と記者会見でちゃかして問題になった。自衛隊の部隊や教育組織での発言で、田母神氏の歴史認識などが偏っていることは以前から知られていた。

 防衛省内では要注意人物だと広く認識されていたのだ。なのに歴代の防衛首脳は田母神氏の言動を放置し、トップにまで上り詰めさせた。その人物が政府の基本方針を堂々と無視して振る舞い、それをだれも止められない。

 これはもう「文民統制」の危機というべきだ。浜田防衛相は田母神氏を更迭したが、この過ちの重大さはそれですまされるものではない。

 制服組の人事については、政治家や内局の背広組幹部も関与しないのが慣習だった。この仕組みを抜本的に改めない限り、組織の健全さは保てないことを、今回の事件ははっきり示している。防衛大学校での教育や幹部養成課程なども見直す必要がある。

 国際関係への影響も深刻だ。自衛隊には、中国や韓国など近隣国が神経をとがらせてきた。長年の努力で少しずつ信頼を積み重ねてきたのに、その成果が大きく損なわれかねない。米国も開いた口がふさがるまい。

 多くの自衛官もとんだ迷惑だろう。日本の国益は深く傷ついた。

 麻生首相は今回の論文を「不適切」と語ったが、そんな認識ではまったく不十分だ。まず、この事態を生んだ組織や制度の欠陥を徹底的に調べ、その結果と改善策を国会に報告すべきだ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2008110202000086.html
空幕長更迭 首相の認識も聞きたい

2008年11月2日

 侵略を正当化する偏った歴史観を持つ人物が空自トップを務めていた。論文にまでしたのは確信的な行為だ。更迭は当然だが内外の信頼を損ねた。最高指揮権を持つ首相の歴史認識を聞いておきたい。

 防衛省の綱紀の緩みを象徴する事件が起きた。航空自衛隊トップの肩書を持つ田母神俊雄航空幕僚長が政府見解を真っ向否定する論文を世に問うた。

 「わが国が侵略国家だったというのはぬれぎぬ」「日本政府と日本軍の努力で現地の人々は圧政から解放された」などと、侵略や植民地支配を正当化した。一方で「自衛隊は領域の警備もできない、集団的自衛権も行使できない、がんじがらめで身動きできないようになっている」と、暗に集団的自衛権行使を求める主張もした。

 政府は一九九五年の村山首相談話で「植民地支配と侵略でアジア諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えた」と、侵略を明確に認めて謝罪、歴代政権も踏襲している。

 個人がどのような歴史認識を持とうが自由である。しかし、武装実力組織を指揮し、その発言が対外的にも責任を伴う立場にある自衛隊首脳が、政府見解に反する主張を論文という形で勝手に訴えるのは不見識極まりない。

 集団的自衛権行使に関しても、政府の憲法解釈で禁止されていることへの不満がうかがえる。制服組が軽々しく言及すべきことではない。文民統制を逸脱しているのは明らかだ。

 浜田靖一防衛相は即座に更迭を決めた。今のところ中国、韓国側の反応は冷静なようだが、この問題が蒸し返されることがあれば、良好になりつつある関係もおかしくなるだろう。アジアの人々から日本人の歴史観に疑念を抱かれることがあっては、先人たちの苦労が水の泡になる。

 麻生太郎首相は先の訪中で中国メディアに村山談話踏襲の意向を説明している。田母神論文は「適切でない」と語ったが、適切でないのはその中身かどうか、ぜひ確認しておきたい。麻生内閣には、歴史問題に絡んだ発言で過去に物議を醸した中川昭一財務相もいる。

 この問題に対する首相の処理が早かったのは、事態を重視した表れで妥当だった。しかし野党は政権の体質がにじみ出た事件だとして、国会で徹底追及する構えだ。首相は今後禍根を残さないよう、明確なメッセージを発信してけじめをつけるべきではないか。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081101-OYT1T00763.htm
空幕長更迭 立場忘れた軽率な論文発表(11月2日付・読売社説)

 航空自衛隊のトップという立場を忘れた、極めて軽率な行為だ。

 政府は、「我が国が侵略国家だったというのは濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)だ」などとする論文を発表した田母神俊雄・航空幕僚長を更迭した。

 麻生内閣も、「植民地支配と侵略によって、アジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」として反省と謝罪を表明した1995年の村山首相談話を踏襲している。

 浜田防衛相は、「政府見解と明らかに異なる意見を公にすることは、航空幕僚長として、大変不適切だ」と更迭の理由を述べた。当然だろう。

 論文の内容が判明した直後、迅速に人事を断行したのは、国会審議や近隣諸国との関係に及ぼす悪影響を最小限に抑える狙いもあったとみられる。

 論文は、民間企業の懸賞論文に応募したものだ。戦前の日本による植民地支配や昭和戦争について、一貫して日本の立場を正当化しようと試みている。

 日中戦争については、「我が国は蒋介石により引きずり込まれた被害者」と主張している。だが、戦争全体を見れば、日本の侵略だったことは否定できない。

 日米戦争の開戦も「アメリカによって慎重に仕掛けられた罠(わな)」と決めつける。

 論文は、事実誤認や、歴史家の多くが採用していない見方が目立っており、粗雑な内容だ。

 もとより、歴史認識というものは、思想・信条の自由と通底する面があり、昭和戦争に関して、個々人がそれぞれ歴史認識を持つことは自由である。

 しかし、田母神氏は自衛隊の最高幹部という要職にあった。政府見解と相いれない論文を発表すれば重大な事態を招く、という認識がなかったのなら、その資質に大いに疑問がある。

 論文には、集団的自衛権が行使できないとする政府の憲法解釈や自衛隊の武器使用の制約など、重要な問題提起も含まれている。だが、この論文の文脈の中で主張しても、説得力を持たない。

 こうした問題の多い論文の発表を、なぜ、だれもチェックできなかったのか。これでは、自衛隊に対する国民や諸外国の信頼が揺らぎかねない。

 防衛省は、今回のような事態の再発を防ぐには、制服組の自衛官の教育と人事管理を強化する必要がある。政治の文民統制(シビリアンコントロール)のあり方も問われかねない。
(2008年11月2日02時16分  読売新聞)

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/081102/crm0811020318002-n1.htm

産経【主張】空自トップ更迭 歴史観封じてはならない
2008.11.2 03:17

 航空自衛隊の田母神俊雄幕僚長が、先の大戦を日本の侵略とする見方に疑問を示す論文を公表したとして更迭された。異例のことである。

 田母神氏の論文には、日本を「蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた被害者だ」とするなど、かなり独断的な表現も多い。

 さらにそうした論文を公表すれば、インド洋での給油支援を継続するための新テロ対策特措法の国会審議などに影響が出るのは明らかである。政府の一員としてそうしたことに配慮が足りなかったことは反省すべきだろう。

 だが第一線で国の防衛の指揮に当たる空自トップを一編の論文やその歴史観を理由に、何の弁明の機会も与えぬまま更迭した政府の姿勢も極めて異常である。疑問だと言わざるを得ない。

 浜田靖一防衛相は、田母神氏の論文が平成7年、村山富市内閣の「村山談話」以来引き継がれている政府見解と異なることを更迭の理由に挙げた。確かに「村山談話」は先の大戦の要因を「植民地支配と侵略」と断じており、閣議決定されている。

 だが、談話はあくまで政府の歴史への「見解」であって「政策」ではない。しかも、侵略か否かなどをめぐってさまざまな対立意見がある中で、綿密な史実の検証や論議を経たものではなく、近隣諸国へ配慮を優先した極めて政治的なものだった。

 その後、談話を引き継いだ内閣でも新たな議論はしていない。このため、与党内には今も「村山談話」の中身の再検討や見直しを求める声が強い。田母神氏の論文がそうした政府見解による呪縛(じゅばく)について、内部から疑問を呈したものであるなら、そのこと自体は非難されることではないはずだ。

 政府としては、参院での採決の時期が微妙な段階を迎えているテロ特措法や、来月に予定されている日中韓首脳会談への影響を最小限に抑えるため、処分を急いだとしか思えない。

 テロ特措法の早期成立も中国や韓国との関係も重要である。しかし、そのために個人の自由な歴史観まで抹殺するのであれば、「言論封じ」として、将来に禍根を残すことになる。

 むしろ今、政府がやるべきことは「村山談話」の中身を含め、歴史についての自由闊達(かったつ)な議論を行い、必要があれば見解を見直すということである。

2008年11月 1日 (土)

田母神空幕長の論文と、抗議行動

例の田母神空幕長の論文「日本は侵略国家であったのか」のPDFです。長いですが、これで全文を読めます。こんな低水準の論文を1位という賞を与えた人々の水準が笑えます。

http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf

これに抗議して以下の緊急行動を入れました。3日、4日、5日と連続行動できついモノがありますが、ガンバらなくてはと思います。つまらない話ですが、郷里の福島県には田母神(たもかみ)という姓があります。「あいつ、福島かな」とおもったら、やっぱりそうでした。(高田)

侵略戦争美化と集団的自衛権行使要求の田母神航空幕僚長の暴論糾弾!

田母神罷免だけで終わらせない。政府・防衛省は責任を明確にせよ。

11・4防衛省前市民緊急抗議・要請行動

 

田母神空幕長は「我が国が侵略国家だったというのは濡れ衣だ」とか「(自衛隊が)集団的自衛権も行使できない(のはおかしい)」などとする論文を公表しました。これは日本国憲法の精神に真っ向から反するものであり、現役自衛官のトップとしての憲法尊重義務に反する、きわめて重大な問題です。田母神空幕長は、先ごろ、空自のイラクでの戦争協力を違憲と判断した名古屋高裁判決に際して「そんなの関係ねぇ」と発言した札付きの人物です。こういう人物をそのまま空自の最高責任者にすえていた防衛省と政府の責任も重大です。その責任は田母神罷免だけでは終わりません。

私たちは下記の次第で緊急に市民の抗議・要請行動を呼びかけます。この行動に一人でも多くの市民や団体の皆さんが駆けつけて下さるようお願いします(参加に際して各団体の抗議・要請文が用意できればベストです)。

 

                     憲法を生かす会

                     平和をつくり出す宗教者ネット

                     許すな!憲法改悪・市民連絡会

                     (11月1日午後3時現在)

                  問い合わせ先03-3221-4668

 

日時:11月4日(火)午後6時半

~  

場所:防衛省正門前(市ヶ谷)

2008年10月31日 (金)

空幕長、過去の侵略否定論文 集団的自衛権行使も要求

イラク派兵差し止め訴訟の名古屋高裁判決に対し「そんなの関係ねえ」と言い放った田母神航空幕僚長の発言である。怒りの抗議を巻き起こし、こんなやつをクビにすべきだ。(高田)
http://www.47news.jp/CN/200810/CN2008103101000632.html

空幕長、過去の侵略否定論文  集団的自衛権行使も要求

 防衛省の田母神俊雄航空幕僚長が、過去の中国侵略や朝鮮半島の植民地支配を「わが国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた被害者」「条約に基づいたもの」とした上で「わが国が侵略国家だったなどというのはまさにぬれぎぬ」と主張する論文を発表していたことが31日、分かった。論文は、政府の憲法解釈で禁止されている集団的自衛権行使や「攻撃的兵器」の保有解禁も事実上要求している。

 空自トップの制服組が、侵略、植民地支配を正当化する歴史認識を示し、憲法にも異を唱えるような論文を公表したことは、中韓両国などの反発が必至の上、シビリアンコントロール(文民統制)の観点からも論議を呼びそうだ。

 論文は「日本は侵略国家であったのか」と題し、19世紀後半以降の日本の朝鮮半島や中国への軍事的行動について「相手国の了承を得ないで一方的に軍を進めたことはない」と主張。

 論文はマンション・ホテル開発企業「アパグループ」(東京)主催の懸賞論文で、31日に最優秀賞(懸賞金300万円)を受賞したとして公表された。

防衛省代表電話03-3268-3111  03-5366-3111

2008年10月 1日 (水)

集団自衛権 議論を指示/首相“国会の場で早く”

赤旗紙の報道である。
これに関連して、毎日新聞の報道では、麻生が中山ら自民党憲法審議会の幹部3人と会談。中山が首相の解釈見直し発言に対して「見直しは国会の場で」と述べたのに対して、「国会で議論してほしい」とのべ、中山らが行使が違憲とされてきた経緯を報告すると、「憲法審査会を早く宇動かして、議論してほしい」と指示したという。末尾に時事通信の記事を添付した。
麻生は中川昭一らと同じで、どちらかと言えば自公民協調を重視する中山らの姿勢に不満があるようだ。麻生が指示したのだから、憲法審査会始動への動きは強まることになりそうだ。麻生から目が離せない。(高田)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-10-01/2008100101_03_0.html
集団自衛権 議論を指示/首相“国会の場で早く”

 麻生太郎首相は三十日、首相官邸で自民党の中山太郎憲法審議会長らと会談し、海外での武力行使を可能にする集団的自衛権の行使について、「国会に設置されている憲法審査会を早く動かして、与野党一体となって国民のために議論してほしい」と述べました。(2面に解説)

 また、中曽根弘文外相は同日、麻生首相の憲法解釈変更の考えについて問われ、「安全保障の環境は変わってきた。国連平和維持活動(PKO)で一緒にいる外国軍、近海で共同演習している米軍が攻撃された場合、どうするかを考えておかないといけない」と述べました。

 麻生首相は二十五日、ニューヨークの国連本部で記者団の質問に答え、集団的自衛権の行使をめぐる憲法解釈について「基本的に変えるべきものだとずっと言っている」と述べていました。これまで政府は、集団的自衛権の行使について「憲法上許されない」という立場をとってきました。

 しかし、安倍晋三元首相は昨年五月、米軍と海外で共同作戦を行うことを念頭に、公海上で併走中の米艦船が攻撃を受けた場合など四類型で集団的自衛権の行使の可否についての研究を指示。諮問を受けた「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は今年六月、福田康夫前首相に対し、憲法解釈の変更によって「可能」とする「報告書」を提出していました。福田前首相は集団的自衛権の解釈変更に慎重姿勢を示し、同報告書は事実上放置されてきました。

解説
首相発言 憲法審査会始動狙う

 麻生太郎首相が集団的自衛権の議論の場に指示した憲法審査会は、二〇〇七年五月に強行された改憲手続き法に基づく機関です。衆参各院に設置され、改憲原案の審査権限を持っています。

 安倍自公政権が同年夏の参院選で惨敗したため、野党の反対で、同審査会の定員や審査のルールを定める審査会規程がいまだに議決されず、始動していません。改憲派は、憲法審査会の始動の遅れに焦りを強めています。

 憲法審査会は「日本国憲法に密接に関連する基本法制」についての調査を行うことも権限としています(国会法一〇二条の六)。改憲手続き法案審議の中では、集団的自衛権の行使についての憲法解釈の見直しも「九条に密接に関連するものとして当然(行われる)」(自民党・船田元衆院議員)とされていました。

 麻生首相の発言は、集団的自衛権の行使に向けた憲法解釈の変更をおしすすめるとともに、改憲策動の場となる憲法審査会の始動をはかる狙いがあるといえます。(中祖寅一)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008093001019
集団的自衛権「国会で議論を」=麻生首相

 麻生太郎首相は30日夕、首相官邸で自民党の中山太郎憲法審議会長らと会談した。中山氏は、首相が集団的自衛権の行使を禁じた政府の憲法解釈を変更する必要性に言及したことについて、国会で議論すべき問題だと指摘。首相は「国会に設置されている憲法審査会を早く動かして、与野党一体となって国民のために議論してほしい」と求めた。(了)
(2008/09/30-19:54)

2008年9月27日 (土)

産経新聞【主張】首相国連演説 給油継続をどう実現する

(下線は引用者)
麻生の国連演説に対して、産経がその実行方法を問いただしている。「」首相は臨時国会で給油支援継続の措置を取るのか、総選挙で是非を問うのか、明確にすべきだ。」と。まさにその通りである。
麻生は解散して、給油法改定案を廃案にするのか、その場合、解散議後、再議決に必要な議席数、3分の2をとらなければ、法案は通らない。その可能性はだれも信じないだろう。では、解散前にいまの衆院議席を使って再議決するのか、と問うている。それでは臨時国会は長期間になる。すでに与党も野党も解散・総選挙に走り出している。いずれも、ほとんど不可能である。
麻生は大見栄を切った国際公約を実行する手段がなくなる。日米関係がデットロックに乗り上げることになる。これは安倍と福田が追い込まれた道だ。それとも総選挙後は自分の政権はないから、あとは野となれ山となれと考えているのか知らん。国連演説で格好をつけたものの、実行不可能なところに麻生は追い込まれているのだ。米国大統領選挙で、オバマ、マケインのどちらが当選するかにもよるが、麻生は米国の要求にいかに対応できるのか。
もう一つ、麻生の集団的自衛権行使合憲論と関連して、産経紙がいう安保法制懇答申の活用は許してはならない。これは重大な闘いだ。私たちもこれへの対応を考える必要がある。「集団的自衛権行使は憲法違反だ」との世論を巻き起こさなくてはならない。(高田健)

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080927/stt0809270347003-n1.htm
産経新聞【主張】首相国連演説 給油継続をどう実現する
麻生太郎首相が国連総会で演説した。日本の首相としては3年ぶりだ。厳しい日程の中、オーストラリアのラッド首相や潘基文国連事務総長などと会談し、ライス米国務長官ともあいさつを交わした。

 2年連続で首相が交代した日本の不安定な政治情勢に対し、国際社会が厳しい視線を注いでいる。それだけに初外遊は日本の存在感をアピールする契機になった。さらなる発信を期待したい。

 

首相は演説でインド洋での海上自衛隊による給油支援に触れ、「日本が今後も国際社会と一体となり、テロとの戦いに積極的に参加していく」と述べた。来年1月15日に期限切れを迎える新テロ対策特別措置法改正の決意表明である。歓迎したいが、問題はいかにして給油支援を継続するかだ。

 民主党などが給油支援に反対している現状では衆院での再議決が必要だが、公明党の腰は定まっていない。近くと伝えられる衆院解散・総選挙で与党が3分の2以上を確保できるかは不透明だ。

 

首相は臨時国会で給油支援継続の措置を取るのか、総選挙で是非を問うのか、明確にすべきだ。

 給油支援の意味をもっと国民に説明しなくてはなるまい。本社とFNN合同世論調査で給油支援は賛成43・6%、反対43・7%と拮抗(きっこう)している。8月の福田内閣改造後の調査では新テロ法継続反対(53%)が賛成(32%)を上回っていたが、首相らが総裁選で給油支援の意義を強調したことが浸透しているともいえよう。

 注目したいのは、集団的自衛権行使容認に向けた憲法解釈見直しについて「重要な問題で解釈を変えるべきだとずっと言っている」と述べたことだ。この問題については政府の懇談会が6月、集団的自衛権行使を認めないとする政府解釈では新たな安全保障の重要問題に適切に対処できないとの報告書をまとめた。だが、福田康夫前首相は黙殺した。集団的自衛権問題を避けている限り、日本は国際社会の責務を担えない。

 小沢一郎民主党代表は給油活動を集団的自衛権行使との見解を示したが、党首討論で国際平和協力の在り方を含め徹底討論してはどうか。国家像も比べられる。

 今回の世論調査で麻生内閣支持は44・6%だ。首相は「仕事をしたうえでの評価ではない」と語った。日本をこうしたとの実績を数多く示すことが必要だろう。

http://www.47news.jp/CN/200809/CN2008092701000198.html

中曽根氏「給油継続へ努力」表明  日米外相会談

 【ニューヨーク26日共同】中曽根弘文外相は26日午後(日本時間27日午前)、ニューヨークの国連本部でライス米国務長官と会談した。中曽根外相はインド洋での海上自衛隊による給油活動を「ぜひ継続したい」と表明、ライス長官は「政治的に難しい状況は理解しているが期待している」と述べた。

 会談では「日米同盟」強化の重要性を確認、米国発の金融危機に対応するため緊密に連携していくことで一致した。北朝鮮が寧辺の核施設を近く再開する意向を示していることには「状況が後戻りする懸念がある」として、両者とも6カ国協議参加国の結束強化が必要との認識を示した。

 中曽根氏は北朝鮮による拉致問題解決へ協力を要請、ライス氏は「米国にとっても非常に重要な問題だ」と言明した。グルジア問題におけるロシアの姿勢やイランの核開発問題についても懸念を共有した。

 またライス氏は米国産牛肉輸入再開を求めたが、中曽根氏は「食の安全の問題だ」と明言を避けた。
2008/09/27 10:26   【共同通信】

2008年9月26日 (金)

集団自衛権、解釈変更が必要=麻生首相

総裁選では何も言わず、首相になったらこんなことを言い出した。麻生首相の危険な路線を暴露し、総選挙ではどうしても麻生自民党を敗北させねばならない。(高田)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008092600270
集団自衛権、解釈変更が必要=麻生首相

 【ニューヨーク25日時事】麻生太郎首相は25日夜(日本時間26日午前)、集団的自衛権の行使を禁じた政府の憲法解釈について「基本的に変えるべきものだとずっと言っている」と述べた。ニューヨークの国連本部で記者団の質問に答えた。
 首相は、外相時代を含めて、以前から解釈変更の必要性を主張していた。ただ、新テロ対策特別措置法に基づき海上自衛隊が行っているインド洋での給油活動に関しては「補給活動は憲法違反ではないから、このために集団的自衛権の解釈を直ちに変える必要はない」と述べ、活動継続の是非とは分けて議論すべきだと指摘した。 (了)

http://www.asahi.com/politics/update/0926/TKY200809260073.html
麻生首相、集団的自衛権容認へ「憲法解釈変えるべきだ」


 【ニューヨーク=田伏潤】麻生首相は25日夜(日本時間26日午前)、国連総会での演説後、記者団に対し、集団的自衛権の行使について「基本的には(憲法の)解釈を変えるべきものだと、これまでずっと同じことを言っている」と語った。憲法の解釈を変更して、集団的自衛権の行使を容認できるようにすべきだとの持論を説明したものだ。

 ただ、首相は「集団的自衛権の解釈を今すぐ直ちに変える必要はないと思う」とも述べ、当面は政府見解を変更しない方針も示した。

 集団的自衛権の行使をめぐっては、安倍元首相が置いた「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使)が憲法解釈の変更を福田前内閣に求めたが、棚上げされていた。衆院選の結果次第で、再び焦点となる可能性もある。

 一方、報道各社の世論調査で、麻生内閣の支持率が5割を切っていることについて、首相は「仕事をしたうえでの評価でないと、見た目だけでどうのこうの言われてもあまり興味ない」と述べた。

http://www3.nhk.or.jp/news/k10014359441000.html#
“集団的自衛権 議論慎重に”

河村官房長官は、閣議のあとの記者会見で、麻生総理大臣が集団的自衛権の行使を将来的には認めるべきだという考えを示したことについて「日本の専守防衛の国のあり方は非常に大事で、慎重に議論すべき課題だ」と述べました。

麻生総理大臣は、日本時間の26日朝、訪問先のニューヨークで記者団に対し、政府が憲法解釈上認められないとしている集団的自衛権の行使について「基本的に解釈を変えるべきものだと、ずっと言っている」と述べ、将来的には認めるべきだという考えを示しました。これについて、河村官房長官は、26日、閣議後の記者会見で「日本の専守防衛の国のあり方は非常に大事なものであり、当然議論はあってよいと思うが、日本の国の形を考えるうえで慎重にすべき課題だ」と述べました。また、浜田防衛大臣は「衆議院の解散・総選挙があるかもしれないなかで、いきなり表面上だけの議論をするのはきわめてよくない。もう少し腰を落ち着けてゆっくりと話をしたほうがよい」と述べ、今は議論する環境にないという認識を示しました。

2008年7月 9日 (水)

拓殖大学学長・渡辺利夫 「集団的自衛権」の解釈変更を

拓大の渡辺学長、使い古された論理で、集団的自衛権行使を主張。安保法制懇報告を「久方ぶりに気概に満ちた報告書に接したとの感が強い」と最大級に評価したが、いらだちが隠せない文章だ。改憲派の典型的な論理のサンプルとして掲載する。(高田)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080709/plc0807090304007-n1.htm
【正論】拓殖大学学長・渡辺利夫 「集団的自衛権」の解釈変更を

 ≪日米同盟の脆弱性露呈≫

 日米同盟は日本の安全保障の「基軸」である。しかしNATO(北大西洋条約機構)などに比べると相互防衛条約としての性格は弱い。相互に不信と猜疑(さいぎ)が生まれれば毀損(きそん)されかねない脆弱(ぜいじゃく)性が日米同盟にはある。日米が相互に守るのは日本の施政下にある地域に限定され、何より集団的自衛権に関する日本の解釈が日米同盟を損ねる危険な可能性を秘めている。

 米ソ冷戦時代にあっては日本に存在する米軍基地の戦略的重要性は決定的であり、片務的な条約であっても存在理由は十分にあった。しかし冷戦崩壊とともに日米が共同して防衛すべき対象が不鮮明となり、日米条約の在り方について過去の解釈を踏襲していては危うい。

 集団的自衛権についての日本政府の解釈は「わが国は独立国として集団的自衛権を保有するが、それを行使することは自衛の限度を超え、したがって憲法上許されない」というものである。“保有するが行使できない”などというのは誰がどう考えたって奇妙な論理である。そういう論理が許されるような「太平楽」な安全保障環境が長くつづいたというだけのことである。

 集団的自衛権は国連憲章51条で諸国家に固有の権利として認められ、日米安保条約の前文でも日米双方が集団的自衛権を保有する旨が明記されている。日本国憲法第9条はもとより、国内法のどこをどう探してみても集団的自衛権を禁止する文言などない。

 ≪期待にたがわぬ安保懇≫

 北朝鮮が6カ国協議の議長国・中国に核申告をしたという事実を受けて米国は北朝鮮をテロ支援国家指定国から解除するという挙に出た。申告がプルトニウムを中心とし、日本が最も知りたい核兵器保有の数や場所などを含まないと知った上での指定解除である。日本の米国に対する不信の高まりは避けられないが、米国の方にも集団的自衛権行使に踏み切れずにいる日本への不信が根強い。

 集団的自衛権に関する法的制約はないのにもかかわらず、“行使できない”ということはありえない。これは法理的解釈というより政策的解釈である。そうであれば政策的解釈を変えればいいのだが、その勇気が日本の政治家や官僚にはないのである。

 安倍政権下のことである。「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保懇)の設置が内閣総理大臣決裁として発表された。指名されたメンバーのリストを眺めて、日本もついにまっとうな方向に歩みを始めたかと快哉(かいさい)を叫んだ。

 検討さるべきテーマとして首相から示されたのは、(1)日米が公海で共同行動している際に米艦船が攻撃された場合、わが国自衛隊の艦船が何もしないという状況が生じていいのか(2)米国に向かう蓋然(がいぜん)性が高いミサイルをわが国がレーダーで捕捉した場合、自衛隊がこれを迎撃しないといったことが許されるか(3)PKO(国連平和維持活動)において他国の部隊や隊員が攻撃された場合、わが国自衛隊が武器をもって駆けつけ友軍を助けないでいいか(4)補給、輸送、医療などそれ自体は武力行為ではない「後方支援」を武力行使と「一体化」したものとみなしてこれを拒否していいか、であった。

 ≪「お蔵入り」は許されず≫

 安保懇は平成19年5月18日に第1回会議が開催され、第5回の会議が8月30日に終わり、それ以降は会議はまったく開かれなくなった。政権交代がその原因なのかと気をもまされたが、結局はこの6月24日に最終報告書が首相に提出された。

 結論は期待を裏切らぬ明快なものであった。集団的自衛権の行使ならびに国連憲章にもとづく集団的安全保障措置への参加は日本国憲法の「法理」にまったく抵触しない。かつ法的解釈は安全保障環境の変化に応じて変更さるべきは当然であり、集団的自衛権の行使は憲法改正を要しないことを明示した。

 その上で先の4つの検討事項について(1)と(2)には個別自衛権ではなく集団的自衛権として解釈を変更すべきこと、(3)と(4)は集団的自衛権には当たらず、国際平和維持のためにむしろ積極的にこれを行うべきこと、というのがその論旨であった。

 個別的自衛権の「姑息(こそく)」な解釈変更は安全保障の法的基盤の全体を崩しかねないという。「集団的自衛権の対象となるべき事項を個別自衛権の適用範囲を拡張して説明しようとすることは、国際法では認められない」と明言する。

 政府の審議会や懇談会というのは、とかく政府の方針の「追認」の域を出ない。久方ぶりに気概に満ちた報告書に接したとの感が強い。支持基盤の弱い福田政権がこれを「お蔵入り」させてしまうことだけを私は恐れる。(わたなべ としお)

2008年7月 4日 (金)

朝雲、法制懇報告を大々的に報道

防衛省・自衛隊の準機関紙「朝雲」最近号(7月3日付)はトップ記事に安保法制懇の報告書提出を載せた。
サイトからは採れない。報告書の概要を記事として書いている。見出しは「集団的自衛権 行使へ解釈変更を」「有識者懇談会首相に報告書提出」「信頼関係維持に不可欠 米艦防護」というもの。
要旨を載せて、評価は書いてないが、何とも残念、という感じの報道である。見方によっては、「行使へ解釈変更を」という大見出しが、朝雲の意見のようにもとれる書き方である。それにしてもトップ記事だというのには恐れ入った。(高田)

2008年6月26日 (木)

赤旗・主張/安保法制懇報告/派兵恒久法への危険な執念

安保法制懇報告への赤旗紙の主張での批判を採録します。(高田)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-06-26/2008062602_01_0.html
主張
安保法制懇報告/派兵恒久法への危険な執念

 安倍晋三首相(当時)が集団的自衛権についての政府の憲法解釈を見直すために設置した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使)が福田康夫首相に報告書を提出しました。予想された通り、憲法九条のもとでは不可能な軍事行動を可能にする解釈改憲の提言です。

 福田首相は憲法解釈の変更には否定的ですが、懇談会がいまになって報告書を提出したのは、解釈改憲の布石を打つと同時に、自民党と公明党が進めている海外派兵恒久法づくりを後押しする狙いもあります。具体化を許さないことが重要です。

改憲派の異常な議論

 安倍前首相が当初めざしたのは、昨年秋までに懇談会の提言を受け、それをテコにして解釈改憲を強行することでした。昨年七月の参議院選挙で自民党が大敗したことで野望は崩れました。諮問した当人がいなくなった以上、懇談会の役割は終えるのが筋です。懇談会が議論を続け、報告書をだしたのは、諮問機関の報告書をテコに、なにがなんでも解釈改憲の筋道をつけるためです。

 柳井座長は、「今までの憲法解釈では、激変する安全保障環境に対応できない」とのべました。安全保障環境とは、アメリカが先制攻撃戦略と一国覇権主義にもとづき、イラクなど世界各地で軍事介入をつよめている事態のことを意味します。このアメリカの軍事戦略に参加するうえで邪魔になる憲法解釈を変えるのが、懇談会の狙いです。解釈改憲先にありきの、対米追随の異常な議論がそれを示しています。

 そもそも懇談会が議論した「四類型」は、いずれも集団的自衛権の行使が前提です。集団的自衛権とは、日本が攻撃もされていないのに、武力を行使してアメリカなど他国を助けることです。日米同盟強化を口実にして集団的自衛権の行使を認めるなど言語道断です。

 たとえば「公海における米艦の防護」では九条のもとでなぜ自衛隊が米艦を守れるのかの法理も示さず、「日米同盟の効果的機能が一層重要」だから「集団的自衛権の行使を認める必要がある」というだけです。「米国に向かうかもしれない弾道ミサイルの迎撃」も、自衛隊が撃ち落とさなければ「日米同盟を根幹から揺るがすことになる」といって、集団的自衛権の行使を認めるというのではあまりにも乱暴です。

 報告書は、他国の部隊・兵員などを守る「かけつけ警護」とそのための武器使用を「憲法で禁止されていない」と言い切っています。自衛隊が米軍の補給車両や兵員などを警護すれば、米軍を狙う勢力と自衛隊が戦闘することにもつながりかねません。憲法のもとで許されるはずはありません。

 「警護」問題は、自民党と公明党が現在進めている海外派兵恒久法づくりのなかでも焦点の一つです。懇談会の報告書が恒久法づくりを後押しすることにもなっています。どこから見ても危険な報告書の具体化を認めるわけにはいきません。

九条守り生かしてこそ

 いま国際社会は、紛争を戦争ではなく平和的・外交的方法で解決するという新しい平和の流れを強めています。報告書は、「国際的安全保障環境の変化」を解釈改憲の口実にしながら、世界の平和の流れと変化を無視しています。報告書は日本を世界から孤立させるだけです。

 憲法九条は、世界の平和の流れと合流して戦争のない世界をつくる原動力です。改憲ではなく九条を守り生かすことこそ、焦眉(しょうび)の課題です。

2008年6月25日 (水)

夏の日の亡霊ー憲法解釈変更、集団的自衛権の行使容認を…政府懇が報告書

夏だからということでもあるまいに、安保法制懇の亡霊が今頃出てきた。読売が社説で取り上げているのがおかしい。「画期的意義を持つ報告だ」と!。安倍の置きみやげである。これを派兵恒久法論議などにつなげさせてはならない。(高田)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080624-OYT1T00596.htm
憲法解釈変更、集団的自衛権の行使容認を…政府懇が報告書

 政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の柳井俊二座長は24日夕、集団的自衛権の行使は禁じられているとする政府の憲法解釈を変更し、行使容認を求める報告書を福田首相に提出した。

 憲法解釈の変更には与野党に慎重論があり、福田首相が報告書の内容を実行に移すのは当面、難しいとみられる。

 懇談会は、集団的自衛権の行使などの点で憲法上のグレーゾーンと見られてきた4類型を検討した。報告書はこのうち、対米支援に関する「公海上での米艦防護」と「米国に向かう可能性のある弾道ミサイルの迎撃」の2類型について、「集団的自衛権の行使を認める必要がある」と明記した。

 自衛隊の国際平和活動に関する「国連平和維持活動(PKO)などで他国部隊が攻撃された際の駆けつけ警護」と「他国軍に対する補給、輸送などの後方支援」の残りの2類型については集団的自衛権とは別問題だとし、「参加の可否は国益に照らして政策的に決定すればよい」と指摘した。一方、関係法律で自衛隊の具体的措置の範囲と手続きをあらかじめ規定するなど、集団的自衛権行使の「歯止め」を設けることも併せて求めた。

 首相は24日夜、首相官邸で記者団に、憲法解釈の変更について、「変えるという話はしたことはない」と述べ、慎重姿勢を示した。
(2008年6月24日21時24分  読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080624-OYT1T00725.htm
集団的自衛権 行使容認へ具体論の検討を(6月25日付・読売社説)

 日本の安全保障政策を考え直すうえで、画期的な意義を持つ報告だ。

 有識者による「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が、集団的自衛権の行使の容認を提言する報告書を福田首相に提出した。

 米国向けの弾道ミサイルが発射されたり、公海上で米軍艦船が攻撃されたりした際、日本はどう対応すべきなのか。仮に黙って見過ごすようでは、日米同盟の根幹が揺らぎかねない。

 報告書は、いずれの場合も、集団的自衛権の行使を認める必要があるとして、「保有するが、行使できない」とする政府の憲法解釈の変更を求めた。

 国際平和協力活動に参加する自衛隊の武器使用基準は、国際標準に合わせる。任務遂行のための武器使用や、他国の部隊に救援を頼まれた際の「駆け付け警護」に道を開くものだ。

 自衛隊が他国軍を後方支援する際の「武力行使との一体化」という概念も見直す。補給、輸送、医療支援などを他国軍の戦闘との関連の度合いで武力行使に当たるとみなす考え方をやめ、支援の是非は総合的に政策判断する。

 いずれも妥当な提言だ。政府・与党は、憲法解釈変更に向けて具体的な対応を検討すべきだ。

 終戦直後の憲法制定時には、自衛権に様々な制約を加えることに意味があったかも知れない。だが、時代は大きく変化した。

 国際テロや核、ミサイルなど新たな脅威が広がる今、日本の安全保障環境は極めて厳しい。日米同盟をより強固にする必要がある。日本が国際平和協力活動でより大きな役割を果たすことへの国際社会の期待も高まっている。

 報告書は、集団的自衛権行使の“歯止め”にも言及した。行使の範囲や手続きを定める関連法の整備や、国の安全保障に関する基本方針の閣議決定などだ。

 集団的自衛権の行使は、日米同盟の維持に不可欠で、日本の安全保障に資する場合に限定する。戦闘行為が主任務の国際活動に、自衛隊は参加しない。こうした基本方針の具体例も挙げている。

 政府の憲法解釈を変更しても、日本が海外での戦争に参加するわけではない。そうした意思を内外に明示することは大切だ。

 衆参ねじれ国会の下、集団的自衛権行使の関連法整備は簡単ではない。まずは、与党が、自衛隊の海外派遣に関する恒久法の論議を再開してはどうか。武器使用や一体化論の見直しをめぐる報告書の提言は重要な論点となろう。
(2008年6月25日01時23分  読売新聞)

2008年4月 5日 (土)

忘れられた「集団的自衛権」 政治課題に上らず 

3日付の産経の「政論」というコラムである。福田内閣を極右派がどう見ているかを考える上で参考になる記事である。安倍内閣の退陣がこの人々にとっていかに打撃であったかが、よく現れている。この文章の最後のところは泣かせるね。阿比留さんよ、今は福田康夫首相はそれどころではないんだよ、安倍の二の舞を演じないためにもね。(高田)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080403/stt0804031812003-n1.htm
忘れられた「集団的自衛権」 政治課題に上らず 

昨年9月の福田内閣発足以降、福田康夫首相が隅に追いやり、政治課題としてすっかり話題に上らなくなった重要問題がある。安倍晋三前首相が推進していた集団的自衛権の行使と憲法の関係の再整理がそれだ。安倍氏が、日米同盟の双務性を高め、米国に対して対等の発言権を持つために打ち破ろうとした安全保障上のタブーは、福田首相によって再び厳重に「封印」されようとしている。

 安倍氏は昨年4月の訪米時に、ブッシュ大統領に対しこの問題を再整理する方針を伝え、5月に「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を設置。周辺事態に公海上で米艦船が攻撃を受けた際、近くの海上自衛隊艦船が敵に反撃できるかどうかなど4つの事例を示し、検討を指示した。

 懇談会では「権利」はあるが、憲法上「行使」はできないとする政府解釈に対する批判が相次ぎ、昨年中に解釈の見直しを求める報告書を出す方向だった。

 安倍氏は集団的自衛権の全面容認ではなく、昭和35年に祖父の岸信介元首相が示した「他国の領土、領空、領海では集団的自衛権を行使しない」とする「制限行使論」に立ち戻る考えだったとされる。自国の領土などでは集団的自衛権を行使できるという論理だ。

 日本近海の公海上で米軍艦船が攻撃を受けた際に、日本は何もできないとする政府解釈に従えば「日米同盟は崩壊する」(防衛庁長官経験者)とされる。国際テロ組織の脅威も顕在化した現在、この問題は喫緊の課題であるはずだ。

 ところが、福田内閣発足後、懇談会は開かれていない。福田首相に提出されるはずの報告書は「中身はできている」(政府筋)が、たなざらしのままだ。

 福田首相が国会運営に苦慮しているのはわかるが、この問題はそれとはかかわりなく首相の決断で前に進められる。首相には安倍氏がまいた種を枯れさせず、育てる度量を見せてほしい。(阿比留瑠比)

2008年1月 6日 (日)

安保法制懇:前首相退陣で宙に浮いた報告書、近く提出へ

この6日の毎日紙の記事は、福田内閣の性格一端をよく表現していて面白い。
安倍晋三が政治生命を賭けて設置し、推進しようとした「安保法制懇」に、安倍に代わって登場した福田はこういうやり方で決着をつけつつある。
①安保法制懇をすぐ解散はさせず、継続させ、報告書を提出することを容認した。②しかし、首相の私的諮問機関なのに、福田自身は受け取らず、官房長官に受け取らせることで、安保法制懇のやり方に消極的であることを表明する。これで法制懇を終わらせ、集団的自衛権の憲法解釈に手をつけようとした安倍の計画を打ち切り、従来の自民党の路線に戻す。③しかし、これは記事で「なお、福田首相は解釈変更には否定的だが、「駆けつけ警護」など海外での武器使用に関する議論の一部は、民主党との大連立構想でテーマになった自衛隊海外派遣の要件を定める恒久法案を策定する際、参考にしたい考えを持っているとされる」とあるように、恒久法の際に活用するというのである。
なんとも福田の狸ぶりがよく現れた動きである。今となっては安倍は道化にすら見えてくるが、福田という人物は本当に食えないやつだ。狸汁というのはうまいそうだが・・・。(高田)


http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080106k0000m010076000c.html

安保法制懇:前首相退陣で宙に浮いた報告書、近く提出へ

 憲法9条解釈の見直しを検討していた安倍晋三前首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二前駐米大使)は、安倍前首相の突然の退陣で宙に浮いていた報告書を、新テロ対策特別措置法案成立後の1月中旬をめどに首相官邸に提出することになった。ただし、福田内閣の政策には反映されず、当面は「お蔵入り」になる見通し。

 内容は安倍前首相の期待通り、憲法解釈で認められていない集団的自衛権の行使を容認するよう政府に求めるものになる予定。だが、福田康夫首相は解釈変更に否定的で、報告書は首相の代わりに町村信孝官房長官が受け取る変則的な形になりそうだ。著名な学者らを集めた懇談会に区切りをつけるセレモニーの意味合いが強い。

 懇談会は昨年5月に発足。5回の会合で、(1)公海上で米軍艦船が攻撃された際の自衛隊艦船による反撃(2)米国を狙った弾道ミサイルに対するミサイル防衛(MD)システムでの迎撃(3)国際活動中に攻撃を受けた他国軍隊の救援(駆けつけ警護)(4)戦闘地域内での輸送など後方支援の範囲(武力行使との一体化)--の4類型について議論し、いずれも憲法解釈を変えるよう結論付けた。

 昨年秋には報告書をまとめる予定だったが、7月の参院選で与党が惨敗した後、公明党は憲法解釈の変更に反対する姿勢を強め、安倍前首相も「(解釈変更は)困難な状況になったと覚悟している」とトーンダウンした。福田首相は懇談会を存続させたが、新テロ特措法案の国会審議への影響を懸念し、会合を開いていなかった。

 なお、福田首相は解釈変更には否定的だが、「駆けつけ警護」など海外での武器使用に関する議論の一部は、民主党との大連立構想でテーマになった自衛隊海外派遣の要件を定める恒久法案を策定する際、参考にしたい考えを持っているとされる。【古本陽荘】

毎日新聞 2008年1月5日 21時13分

2007年11月25日 (日)

ミサイル防衛、来月から訓練実施…新宿御苑など10か所で

こんなこと、ゆるせるものか。(高田)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071125i402.htm?from=main4
ミサイル防衛、来月から訓練実施…新宿御苑など10か所で

 弾道ミサイル攻撃から首都は守れるのか――。防衛省は12月から、ミサイルを地上から撃ち落とす地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の移動展開訓練を、東京・新宿御苑や防衛省のある市ヶ谷駐屯地など都内約10か所の公園や施設で実施する。
 緊急時に迎撃部隊が展開する場所を決めるためで、精密兵器の運用に重要な通信環境、障害物の有無などを綿密に調査し、“その時”に備える。
 PAC3は今年3月、埼玉・航空自衛隊入間基地に初配備された。だが、発射される迎撃ミサイルの射程は15~20キロと短く、都心まで約40キロも離れた同基地からでは、皇居や首相官邸、国会議事堂のほか、中央省庁が集中する霞が関を狙った弾道ミサイルを迎撃することはできない。
 このため、ミサイルが発射される兆候をつかんだ段階で、政府は速やかに自衛隊に出動を命じ、発射機やレーダーなどPAC3本体を、都心に移動させておく必要がある。
 訓練はまず、防衛省が迎撃時にPAC3を展開する候補地として検討中の新宿御苑(環境省所管)や陸自第1師団(練馬区)、市ヶ谷駐屯地など、国が管理する施設からスタートする。その後、都が管理する晴海ふ頭公園(中央区)やお台場海浜公園(港区)などでも実施する予定だ。
 訓練では、実際に入間基地からPAC3本体を移動させ、迎撃ミサイルを発射する際に障害物となる高層ビルの有無を調べる。
 また、弾道ミサイルを追尾するレーダーなど射撃管制機器の通信環境を確認する。
 日本のミサイル防衛(MD)は、海上からイージス艦が迎撃ミサイルSM3を発射し、撃ち漏らした場合、PAC3が地上から再迎撃する2段階システム。
 来月には、SM3を搭載した海自のイージス艦「こんごう」が、ハワイ沖で初の実弾迎撃訓練を行う。
 今回の訓練に続き、防衛省は来年度以降、阪神・中京・北部九州などでも訓練を実施する方針。
(2007年11月25日9時24分  読売新聞)

集団的自衛権 報告先送り 政府有識者会議 首相の慎重姿勢受け

25日の東京新聞のトップ記事である。
安部前首相の企てはあまりに乱暴すぎたと言うことだろう。
しかし、解釈改憲を進めるよりほかにない福田首相がこのあと、どうでてくるか、注目をつづけよう。(高田)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2007112502067108.html
集団的自衛権 報告先送り 政府有識者会議 首相の慎重姿勢受け

2007年11月25日 朝刊

 安倍晋三前首相の下で設置され、憲法解釈で禁じられている集団的自衛権行使の事例研究を進める政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(柳井俊二座長)は二十四日、今秋予定していた報告書の取りまとめを年内は見送る方針を固めた。福田康夫首相が性急な憲法解釈見直しに慎重な上、海上自衛隊によるインド洋での給油活動を再開させる新テロ対策特別措置法案の国会審議への影響も考慮した。 
 懇談会はことし五月から八月まで五回開催。検討対象となった四類型について、集団的自衛権の行使などにあたるとの従来の憲法解釈を見直す意見が大勢を占め、報告書に盛り込む方針だった。
 しかし、安倍前首相は九月に突如退陣。その後、福田首相は国会答弁でも憲法解釈見直しについて「扱いは十分慎重でなければならない」と表明していた。
 さらに新テロ特措法案の審議の過程で、自衛隊の海外派遣のあり方を定める一般法(恒久法)制定論議も浮上。一般法の論議は、武器使用基準の緩和など懇談会の四類型とも重複しており、政府内からも「懇談会だけが結論を急ぐべきでない」との意見が強まっていた。
<メモ> 安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会が検討した4類型 (1)公海上での自衛艦による米艦船の防護(2)米国向け弾道ミサイルの迎撃(3)国際平和協力活動に参加中の自衛隊が、攻撃を受けている他国部隊の活動場所に赴いて武器で援護する「駆け付け警護」(4)戦闘地域での輸送、医療など後方支援の拡大-の四つの事例。これまで集団的自衛権の行使((1)と(2))や海外での武力行使((3))、武力行使との一体化((4))にあたるとされてきたが、安倍前首相が懇談会に憲法解釈の見直しを提起した。

ちなみに本日の読売はこんな社説を載せた。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20071124ig90.htm

2007年11月 2日 (金)

テロ特措法の期限切れの評価の仕方について

自衛隊のインド洋での給油活動の期限切れに関してのWORLD PEACE NOWの声明は市民連絡会のサイトのトップ頁から見ることができるので読んで頂けたかと思う。
ここに紹介するのは北海道新聞の31日の社説である。WPNの声明との共通性に注目して欲しい。ジャーナリズムの精神が地方紙では発揮されているところもある。これはひとつの見本ではないか。
いくつかの新聞はこのテロ特措法の期限切れを「給油活動の中断」と書いた。朝日新聞や東京新聞もそうである。単なる言葉の問題ではない。ここに書いた者の「権力との距離」「緊張関係の程度」が表現されてしまっているのだ。石破防衛相ですら「終結」と表現したのに、「中断」とはどういうことだ。私は朝日新聞に電話してこの問題を指摘した。福田政権にとっては中断としたいということに過ぎない。法的にも終結したのは間違いない。政府は新法でやろうとしているが、これは先行き不明である。どう見ても「中断」ではないのだ。(高田)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/57996.html?_nva=27
社説
海自、インド洋撤収へ 武力でテロはなくせない(10月31日)

 対テロ戦争は本当に有効なのか。武力によってテロをなくすことはできるのか。
 そんな根源的な問いがいま、目の前に突きつけられている。
 灼熱(しゃくねつ)のインド洋で、海上自衛隊の補給艦が最後の給油活動を終え、あす十一月一日限りで撤収する。テロ対策特別措置法が期限切れとなるためだ。
 「国際貢献」の名のもとに続けてきた給油は、そもそも日本の正しい選択だったのだろうか。この機会にあらためて考えてみる必要がある。
 テロリスト掃討を掲げながらアフガニスタンの人々の命と暮らしを踏みにじってきた現実にも、目を向けなければならない。そこから日本の果たすべき役割が見えてくるはずだ。
*空爆の惨禍が憎悪を生む
 海自の給油は「9・11テロ」のあと、米国主導で始められた対テロ戦争の後方支援だった。この六年間で、計十一カ国の艦船に約四十九万キロリットルを無償提供してきた。
 政府は国際社会から高い評価を受け、感謝されていると強調する。しかし、その八割は米国向けのものだった。事実上の米国支援といっていい。言葉を換えれば「日米同盟のあかし」ということだ。
 日本から補給を受けた艦船は、アフガンの空爆作戦に参加してきた。爆撃の巻き添えになったり誤爆にあったりして幾多の命が奪われ、国土と生活が破壊されてきたことも隠しようのない事実だ。
 確かにアフガン攻撃は、テロリストの拠点をたたいた。だが、理不尽に家族や友人を奪われた人々の憎悪は新たなテロを生み出す。
 旧政権タリバンが人々の根強い支持を得て復活したことを見れば、対テロ戦争の限界は明らかだろう。
 自衛隊という実力部隊の参加こそ国際社会への貢献策だと考える政府は六年前、反対世論を押し切ってインド洋への海自派遣を決めた。しかし、実態は戦争の後押しだった。
 しかも給油をめぐっては、イラク戦争への転用疑惑や給油量ミスの隠ぺい疑惑が浮上している。文民統制が機能しない自衛隊活動が許されぬことはいうまでもない。
 政府は最近、シーレーン(海上交通路)防衛という考えも強調し始めた。中東に石油を依存する日本にとって、海上阻止活動に貢献することは国益にかなうとの主張だ。
 だが、広大なインド洋でその実効性はどれほど期待できるのか。国益をいいだせば世界中どこにでも自衛隊を派遣できるということにもなる。
*求められるのは民生支援
 アフガンの人々を苦しめているのは戦争だけではない。すさまじい干ばつと食糧不足も、たくさんの命を危険にさらしている。
 そうした人々を救うために現地で汗を流す日本人は少なくない。
 武器の代わりにスコップを握り、井戸を掘る。貧しい患者のために病院をつくり、治療に当たる。たとえば非政府組織(NGO)のペシャワール会は、かんがい事業ですでに千数百ヘクタールの土地を潤した実績がある。
 住民たちの声をくみ取り、信頼関係を築きながら地道に民生支援を続ける。現地で評価され、感謝されているのは、実はそんな活動だ。
 力ずくでテロリストをやっつけるという米国などの論理と、何より平和な生活を求めるアフガンの人々の願い。双方の間には埋めがたい溝がある。
 「国際社会」という言葉に、当のアフガンは含まれているのか。そこで一人一人の人間が生きている現実にどれほど想像力が及んでいるのか。
 そう問われたら、日本はどう答えることができるだろう。
 カルザイ大統領は先日、米テレビのインタビューに答え、多くの市民を巻き添えにしている空爆の停止をはっきりと求めた。それこそがアフガンの切実な声にほかならない。
*日本への信頼あってこそ
 国会では給油継続をめぐる論戦が本格化している。日本の国際貢献や自衛隊の海外活動のあり方について議論を深めるのは結構なことだ。
 ただし、その前提に憲法九条があることは忘れないでほしい。日本にはやってはいけないことがあるのだ。
 民主党の小沢一郎代表が提唱する国際治安支援部隊(ISAF)への参加も、九条を踏み越える発想だ。
 日本のNGOがアフガンで武器も持たずに活動できるのは、日本は戦争をしない国だという信頼があるからだ。
 日本がアフガン軍閥の武装解除にいったんは成功したのも、日本なら安心して武器を放棄できると協力してくれたためだ。
 では、日本がこれからできること、なすべきことは何か。
 二○○二年に東京で開かれたアフガン復興支援会議は、五年間で四十五億ドルの資金拠出を決めた。こうした国際的経済支援の枠組みづくりなどは日本のもっとも得意な分野ではないか。
 あるいはカルザイ政権と穏健なタリバン勢力との和解をバックアップし、内政の安定を図ることも必要だ。
 給油はできなくなるが、今後は民生分野で積極的に貢献したい。そういう日本の立場を丁寧に説明すれば、必ず国際社会の理解は得られるだろう。

2007年11月 1日 (木)

海外派兵恒久法

本欄でも幾度か指摘してきたことだが海外派兵「恒久法」の問題は重大な問題だ。与党と民主党の見解には違いがあるが、与党は事態を一歩でもすすめる上で、どんな手段にでてくるか、警戒を緩めることはできない。
こんな時期の自民・民主党首会談など「百害あって一利なし」だ。先ごろ、小沢党首はシーファー駐日米国大使の会談要求に対して、全面公開で応じたことがある。「なかなかやるな」と思ったものだが、今度の非公開の党首会談はなんとも無様で、議会制民主主義に反するものだ。それも明日、またやるという。ここで、この海外派兵恒久法も話題になるという報道がある。
小沢政権獲得戦略も雲行きが怪しくなってきた。憲法審査会の再開に向けた自民党憲法審査会の動きもあわただしくなってきたようだ。
われわれは気持ちを引き締め、どのような事態にも対応できる態勢をもって運動を進めて行かなくてはならない。(高田)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20071101it07.htm
自衛隊の海外派遣、恒久法を検討…官房長官が表明

 町村官房長官は1日午前の衆院テロ防止特別委員会で、自衛隊の海外派遣のあり方を総合的に定める一般法(恒久法)の制定について、新テロ対策特別措置法案をめぐる対応が決着後、早急に検討に着手する方針を表明した。

 町村氏は、この問題で与野党協議の場の設定が必要だとの考えを示した。2日に行われる福田首相と小沢民主党代表との2回目の党首会談でも、この問題が議題となる見通しだ。

 一方、現行のテロ対策特別措置法が1日いっぱいで期限切れとなるのを受け、石破防衛相は同日午後3時、インド洋で活動する海上自衛隊に撤収命令を出す。2001年の米同時テロ後、「テロとの戦い」の一環として6年近く続いてきた補給活動は、これをもってひとまず終了する。

 政府は、自衛隊の海外派遣に関する一般法の検討について、これまでも内部で準備作業を続けてきたが、町村氏の発言は、福田政権として与野党で検討に取り組む方針を示したものだ。

 町村氏は「自民党はすでに案を作り、国民に示している。まず、与党の皆さん方、そして野党も含めて、政策協議とか(国会の)委員会といった場がいいのか関係者で議論していただき、新テロ特措法案(の審議)が決着した段階で、できるだけ早く努力していかなければいけない」と述べた。

 石破防衛相も、「国会において、そういう場ができることを政府としても期待している」と強調した。

 一般法の制定を巡っては、福田首相も30日の同委で「今後の大事な課題だ。そういう(議論の)場をなるべく早く作らないといけない」と前向きな考えを示している。

 自衛隊の海外派遣に関し、インド洋での海自活動のような時限立法の特措法の制定で対応することについては「泥縄式で迅速・的確な対応ができない」との指摘が出ている。

 自民党は06年8月、党国防部会の防衛政策検討小委員会が自衛隊の海外派遣に関する恒久法となる「国際平和協力法案」をまとめ、参院選の公約にも「国際平和協力に関する一般法の制定を目指す」と明記した。

 一方、民主党内でも一般法制定が必要だとの意見は多い。同党の前原誠司・前代表らは今年8月、自衛隊の海外派遣などに関する一般法の議論を始めるよう提案した。小沢氏も基本的には前向きで、かつて率いた自由党が01年、国連決議などに基づき、自衛隊の海外活動への参加を認める「国防・自衛隊国際協力基本法案」を衆院に提出している。

 自民、民主両党の関係が激突型から調整型に移る中、自衛隊の海外派遣に関する一般法をめぐる議論が、与野党協議の“触媒”となる可能性が出てきた。
(2007年11月1日14時37分  読売新聞)

2007年10月24日 (水)

「いらない!10・23インド洋派兵・給油新法」国会前ヒューマンチェーン報告

「私と憲法」用に、(D)さんから昨日の報告を書いてもらったので掲載します。
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 10月23日午後6時半から、東京・永田町の衆院第2議員会館前で「いらない!インド洋派兵・給油新法」国会前ヒューマンチェーンが行われた。この日は衆議院本会議で同法案が審議入りしており、300人が集まり、“武力で平和はつくれない!”、“米軍の戦争に加担するな!”、“給油は戦争加担だ!”などのメッセージを貼ったキャンドルを灯したり、メッセージボードを手にしたりして訴えた。
 ヒューマンチェーンでは議員や市民が次々に発言し、発言の間にシュプレヒコールを繰り返した。
スピーチでは社民党党首・福島瑞穂さん、共産党参議院議員・井上哲史さん、民主党衆議院議員の原口一博さん、民主党参議院議員の喜納昌吉さん、共産党参議院議員の紙智子さんが発言した。原口さんは「武力で平和はつくれないというのはその通りだ。給油は給油先も問題だが、どこから買っているかも問題だ。油の精製の質からして購入先は米軍以外に考えられない」と指摘し、注目された。
 参加者の中からは「JVC」でアフガニスタン事業を担当している長谷部貴俊さんがアフガニスタンの状況を報告し、自衛隊の給油活動が問題解決に役立たないことを話した。次に弁護士の日隈一雄さんが、イラク派遣自衛隊の「駆けつけ警護」による自衛隊の武力行使の企てについて話し「世論を盛り上げよう」と話した。ピースボートの田村美和子さんは、世界の友人とのつながりの中で給油反対と平和を訴えた。アジア女性資料センターの本山央子さんはアフガンの女性が今も人権を奪われている実態を報告し、女性の人権が保障されなければ平和はないとはなした。「不戦へのネットワーク」山本みはぎさんは名古屋での派兵と給油反対の取り組みを報告した。座間市の「バスストップから基地ストップの会」の原順子さんは、米軍第一軍団司令部の移転が進んでいることを報告し、ともに闘おうと訴えた。「教科書ネット21」の俵義文さんは日本軍による集団自決強制を教科書から削除する検定意見の撤回と沖縄県民の怒りを報告した。
 リレートークの最後は全員のコールで締め、市民連絡会の高田健さんが今後の闘い方などを訴えた。短い時間だったが、国会の動きとも合い、民主、共産、社民など野党各党へもしっかりとエールを送ることができた行動となった。(D)

2007年10月18日 (木)

小沢一郎氏の外交観 国連中心主義、ルーツは…

毎日新聞夕刊の特集ワイド。小沢民主党代表がISAFに関する発言をして以来、いろいろ話題になるが、これは「特集」としては物足りないが、その問題についての初歩的な資料としては使えると思うので掲載する。ご一読ください。(高田)

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071017dde012010016000c.html
特集ワイド:小沢一郎氏の外交観 国連中心主義、ルーツは…

 国連の活動に積極的に参加することは武力の行使を含んでも憲法には抵触しない--小沢一郎民主党代表が月刊誌「世界」(岩波書店)11月号に寄せた論文が波紋を広げている。それによると政府がこだわるインド洋上の給油活動はノーだが、政府もためらうアフガニスタンのISAF(国際治安支援部隊)への参加はできるという。小沢氏の国連重視の外交・安全保障観のルーツを探った。【山田道子、田中義宏】

 ◇湾岸戦争の教訓、戦後の憲法観を整理

 「国際平和の維持・回復のために国連が行う実力行使に日本が参加・協力することは『正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求』する日本国民にとって当然のことであり、憲法9条の趣旨に沿ったものだ」。「そのような国連の実力行使に対し日本が参加しても国連の行動の一環であって、日本国の主権発動の性格を有しないものであり、憲法9条が放棄した戦争・武力行使とはまったく異質のものと考えられる」

 これは、1993年2月、自民党総裁直属機関で小沢氏が会長を務めた「国際社会における日本の役割に関する特別調査会」(通称「小沢調査会」)の答申の一節だ。背景には、90年のイラクのクウェート侵攻から91年の湾岸戦争に至る冷戦崩壊後の国際情勢の変化があった。

 当時、日本は初めて「国際貢献」という問題を突きつけられた。自民党幹事長だった小沢氏は「あの戦争は幕末の黒船来航と同じ」「日本はこういう時にこそ国際社会できちんとした役割をシェアする一人前の国家にならなければならないと考えた」と「小沢一郎政権奪取論」(朝日新聞社)で振り返る。小沢氏は野戦病院での医療活動や難民輸送をしようと動いたが、実現しなかった。政府は130億ドルを拠出したものの、国際的には全く感謝されないどころか、「金は出すが汗はかかない」と批判され日本外交のトラウマとなった。

 戦争終結後、ペルシャ湾に掃海艇が派遣されたのを機に長期的な日本の国際貢献のあり方を検討するため設置されたのが小沢調査会だった。答申は「我々の行う憲法解釈はこれまで議論されてこなかった政府解釈の空白を埋めるものだ」としたが、自民党内からも反対意見が出て、最後は小沢氏らの離党で答申は宙に浮いた格好となった。

 その後も小沢氏は著書「日本改造計画」(講談社)などで「国連の平和活動への協力は今の憲法のままでできる」と繰り返し、憲法9条を改正して国連常備軍を創設することも主張している。その流れから、今回の「世界」の論文の趣旨も唐突なものではない。

       *

 「あの答申の考えは我々二人の共同作品だ」と語るのは、一緒に答申をまとめた平野貞夫元参院議員だ。湾岸戦争時、衆院委員部長だった平野氏は日本の対応を検討するため小沢氏の指示で資料を集めた。そしてまとめあげたリポートが「護憲開国論」だった。

 平野氏によると、答申のポイントは憲法前文の精神を体して9条を読みかえた点。大きな示唆を受けたのが、1946年の憲法制定論議での南原繁貴族院議員や吉田茂首相らの考え、国際法学者の横田喜三郎氏や憲法学者の佐藤功氏の見解などだったという。

 南原氏は9条の問題点として、国連加盟後の国際貢献の妨げになることをあげ、吉田首相は独立の回復が第一だとして明確に答えなかった。横田氏は「国連の強制措置は国際警察活動なので憲法と矛盾しない」、佐藤氏は「国連軍に参加することは9条の理念に合致する」と主張した。つまり「昭和20年代の共通認識が冷戦でゆがめられたのを湾岸戦争を機会に整理し直した」(平野氏)。

 今の状況について平野氏は「憲法に基づいて対応するには小沢理論しかない。第二次世界大戦での日本の悲劇は基本原則がないままズルズルと戦争に突入したことだ。原則なしで事実関係を積み重ねていくことが一番危険だ」と指摘する。

 小沢氏の論文は「世界」10月号で国連本部政務官の川端清隆氏が小沢氏のテロ対策特別措置法の延長反対姿勢に対し、「実効ある代替案を用意する準備と決意があるのか」と疑問を投げかけたことに対する回答だった。民主党事務局長も務めた政治アナリストの伊藤惇夫氏は「政府・与党が特別措置法を積み重ねていいかげんなのに対し、小沢さんは原理原則に基づくきちんとした対応があることを示したかったのでは」と見る。

 しかし実際には、政府・自民党は「国連決議があれば武力行使もいいというのは、わが国が一貫してとってきた考え方と相いれない」(高村正彦外相)とし、民主党内からも「党の決定ではない」との声が上がる。

 「今出すのはどうかという話はあるが、小沢氏の反論と理解していい。党内には個人的意見としておけばいい」と藤井裕久・民主党最高顧問は語る。また小沢氏はISAFに参加するにしても民生安定分野を想定していることを明らかにした。

 「この問題について世論は与党案のほうが安全でお金でカタがつくからいいというのが大勢だ。民主党にとって、これを争点にすること自体がマイナスだった。自民党のステージに乗せられてしまった」と伊藤氏は指摘する。

 日本は戦後、外交の柱として「対米協調」「アジア重視」と並んで「国連中心主義」を位置づけてきた。しかし、今回の小沢氏の発言に伴う与野党の論争は、その柱そのものがいかにあいまいなものであるかをはからずも証明したことになったのではないだろうか。

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 ◇解釈に無理ある--改憲論者の小林節慶応大教授(憲法)

 湾岸戦争で小沢さんと同じような問題意識を持ち、小沢調査会で講演するなど協力したが、「国連の下では武力行使できるという解釈は無理だ」と当時伝えた。

 小沢氏は憲法前文で「平和を維持し、専制と隷従……を除去しようと努めている国際社会において名誉ある地位を占めたい」とうたっているから国連の活動に積極的に参加するとしているが、この憲法は日本が戦争をあきらめれば世界は平和になるという前提で書かれた。つまり日本が非戦非武装を貫くことがここでの「名誉ある地位」だ。

 憲法9条1項で「国権の発動たる戦争」という表現をしているのは、宣戦布告がなくても国家以外の集団による交戦でもすべての「戦争」を否定するためだ。「日本国権」と「国連権」を区別するためではない。小沢さんは国連理想主義だが、現実には世界中央政府のような国連は存在しない。正式な国連軍はなく、実際には多国籍軍だ。そこに各国は自国の決断で自国の旗を立てて参加する。あくまでも国権の発動となる。従って国連による国際安全保障活動でも、日本は憲法上、海外で武力行使はできない。

 民主党はまず小沢氏の論文が個人的見解であることを確認したうえで、むしろアフガニスタンにおける米軍等の軍事活動に不可欠な給油活動こそが違憲であることを明らかにすべきだろう。

新法・閣議決定抗議、WPN緊急官邸前行動

昨日(17日)、衆院議面と官邸前で緊急行動を行いました。
ちょうど、午後7時頃に官邸で派兵給油新法案の決定をする閣議が開かれたので、タイミングとしては絶好でした。閣僚の連中はこの抗議行動のシュプレヒコールにきっと気づいたことでしょう(9・11のWPNの官邸前行動は翌日、安倍首相が辞任するという絶妙なタイミングでしたが)。
参加者は、議面が30人、官邸前が50人と少なめでしたが、12日の夜に決めたのでやむを得ないというか、よかったと思いました。キャンドルや、横断幕で、にぎやかな彩りの行動でした。いよいよこれからだと思います。
集会では民主党の佐々木隆博衆院議員、社民党の保坂展人衆議院議員が挨拶し、川田龍平参院議員がメッセージを届けて来ました。また、ちょうど、岩国から緊急に上京していた田村順玄岩国市議が来られたので、報告を受けました。(高田)

2007年10月17日 (水)

本日、夕刻、閣議決定される「派兵・給油新法案」全文

本日、夕刻、閣議決定される「派兵・給油新法案」全文です。毎日新聞の報道から。

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071017ddm012010106000c.html
新テロ特措法:法案要綱

 16日明らかになった「新テロ対策特措法案」(テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案)の要綱は次の通り。

 ◇第一 目的

 この法律は、我が国がテロ対策海上阻止活動を行う諸外国の軍隊その他これに類する組織(以下「諸外国の軍隊等」という)に対し旧平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(平成十三年法律第百十三号)に基づいて実施した海上自衛隊による給油その他の協力支援活動が国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に貢献し、国際連合安全保障理事会決議第千七百七十六号においてその貢献に対する評価が表明されたことを踏まえ、あわせて、平成十三年九月十一日にアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃によってもたらされている脅威(以下「テロ攻撃による脅威」という)がいまだ除去されていない現状において、同理事会決議第千三百六十八号、千三百七十三号その他の同理事会決議が国際連合のすべての加盟国に対し国際的なテロリズムの行為の防止等のために適切な措置をとることを求めていることを受けて、国際社会が国際的なテロリズムの防止及び根絶のための取組を継続し、その一環として、諸外国の軍隊等がテロ攻撃による脅威の除去に努めることにより国際連合憲章の目的の達成に寄与する活動を行っていること、及び同理事会決議第千七百七十六号において当該活動の継続的な実施の必要性が強調されていることにかんがみ、テロ対策海上阻止活動を行う諸外国の軍隊等に対し補給支援活動を実施することにより、我が国が国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に引き続き積極的かつ主体的に寄与し、もって我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的とすること。

 ◇第二 基本原則

 一 政府は、この法律に基づく補給支援活動を適切かつ迅速に実施することにより、国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に我が国として積極的かつ主体的に寄与し、もって我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に努めるものとすること。

 二 補給支援活動の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならないこと。

 三 補給支援活動については、我が国領域及び現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域において実施するものとすること。

  1 公海(インド洋<ペルシャ湾を含む。以下同じ>及び我が国の領域とインド洋との間の航行に際して通過する海域に限り、海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。第五の五において同じ)及びその上空

  2 外国(インド洋又はその沿岸に所在する国及び我が国の領域とこれらの国との間の航行に際して寄港する地が所在する国に限る。以下同じ)の領域(当該補給支援活動が行われることについて当該外国の同意がある場合に限る)

 四 内閣総理大臣は、補給支援活動の実施に当たり、第四の一の実施計画に基づいて、内閣を代表して行政各部を指揮監督すること。

 五 関係行政機関の長は、第一の目的を達成するため、補給支援活動の実施に関し、防衛大臣に協力するものとすること。

 ◇第三 定義

 この法律において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによること。

  1 テロ対策海上阻止活動 諸外国の軍隊等が行っているテロ攻撃による脅威の除去に努めることにより国際連合憲章の目的の達成に寄与する活動のうち、テロリスト、武器等の移動を国際的協調の下に阻止し及び抑止するためインド洋上を航行する船舶に対して検査、確認その他の必要な措置を執る活動をいう。

  2 補給支援活動 テロ対策海上阻止活動の円滑かつ効果的な実施に資するため、自衛隊がテロ対策海上阻止活動に係る任務に従事する諸外国の軍隊等の艦船に対して実施する自衛隊に属する物品及び役務の提供(艦船若しくは艦船に搭載する回転翼航空機の燃料油の給油又は給水を内容とするものに限る)に係る活動をいう。

 ◇第四 実施計画

 一 内閣総理大臣は、補給支援活動を実施するに当たっては、あらかじめ、補給支援活動に関する実施計画(以下「実施計画」という)の案につき閣議の決定を求めなければならないこと。

 二 実施計画に定める事項は、次のとおりとすること。

  1 補給支援活動の実施に関する基本方針

  2 補給支援活動を実施する区域の指定に関する事項

  3 補給支援活動を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等(自衛隊法<昭和二十九年法律第百六十五号>第八条に規定する部隊等をいう。以下同じ)の規模及び構成並びに装備並びに派遣期間

  4 自衛隊がその事務又は事業の用に供し又は供していた物品以外の物品を調達して諸外国の軍隊等に譲与する場合には、その実施に係る重要事項

  5 補給支援活動の実施のための関係行政機関の連絡調整に関する事項

  6 その他補給支援活動の実施に関する重要事項

 三 実施計画の変更については、一と同様とすること。

 ◇第五 補給支援活動としての物品及び役務の提供の実施

 一 防衛大臣又はその委任を受けた者は、実施計画に従い、補給支援活動としての自衛隊に属する物品の提供を実施するものとすること。

 二 防衛大臣は、実施計画に従い、補給支援活動としての自衛隊による役務の提供について、実施要項を定め、これについて内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊等にその実施を命ずるものとすること。

 三 防衛大臣は、二の実施要項において、当該補給支援活動を実施する区域(以下「実施区域」という)を指定するものとすること。

 四 防衛大臣は、実施区域の全部又は一部がこの法律又は実施計画に定められた要件を満たさないものとなった場合には、速やかに、その指定を変更し、又はそこで実施されている活動の中断を命じなければならないこと。

 五 補給支援活動のうち公海若しくはその上空又は外国の領域における活動の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の長又はその指定する者は、当該補給支援活動を実施している場所の近傍において、戦闘行為が行われるに至った場合又は付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合には、当該補給支援活動の実施を一時休止し又は避難するなどして当該戦闘行為による危険を回避しつつ、四による措置を待つものとすること。

 六 二の実施要項の変更(四により実施区域を縮小する変更を除く)については、二と同様とすること。

 ◇第六 物品の無償貸付及び譲与

 防衛大臣又はその委任を受けた者は、その所管に属する第五の一の物品につき、諸外国の軍隊等からテロ対策海上阻止活動の用に供するため当該物品の無償貸付又は譲与を求める旨の申出があった場合において、当該テロ対策海上阻止活動の円滑な実施に必要であると認めるときは、その所掌事務に支障を生じない限度において、当該申出に係る物品を当該諸外国の軍隊等に対し無償で貸し付け、又は譲与することができること。

 ◇第七 国会への報告

 内閣総理大臣は、次に掲げる事項を、遅滞なく、国会に報告しなければならないこと。

  1 実施計画の決定又は変更があったときは、その内容

  2 補給支援活動が終了したときは、その結果

 ◇第八 武器の使用

 一 補給支援活動の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官は、自己又は自己と共に現場に所在する他の自衛隊員若しくはその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、武器を使用することができること。

 二 一による武器の使用は、現場に上官が在るときは、その命令によらなければならないこと。ただし、生命又は身体に対する侵害又は危難が切迫し、その命令を受けるいとまがないときは、この限りでないこと。

 三 一の場合において、当該現場に在る上官は、統制を欠いた武器の使用によりかえって生命若しくは身体に対する危険又は事態の混乱を招くこととなることを未然に防止し、当該武器の使用が一及び四に従いその目的の範囲内において適正に行われることを確保する見地から必要な命令をするものとすること。

 四 一による武器の使用に際しては、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十六条又は第三十七条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならないこと。

 ◇第九 政令への委任

 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定めること。

 ◇第十 附則

 一 この法律は、公布の日から施行すること。

 二 自衛隊法について、所要の整備を行うものとすること。

 三 この法律は、施行の日から起算して一年を経過した日に、その効力を失うこと。ただし、その日より前に、補給支援活動を実施する必要がないと認められるに至ったときは、速やかに廃止するものとすること。

 四 三にかかわらず、施行の日から起算して一年を経過する日以後においても補給支援活動を実施する必要があると認められるに至ったときは、別に法律で定めるところにより、同日から起算して一年以内の期間を定めて、その効力を延長することができること。

 五 効力を延長した後その定めた期間を経過しようとする場合については、四と同様とすること。

毎日新聞 2007年10月17日 東京朝刊

2007年10月16日 (火)

念のため

今後の国会審議予測について、こういう情報もあります。この説はまんざらでもないので、念のため、掲載します。(高田)

http://news.livedoor.com/article/detail/3345916/
福田首相「9月まで生き延びる」
2007年10月16日10時00分
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「遅くとも来年春までには解散・総選挙がある」――多くの国会議員がこう見ているが、福田首相の本音は違うらしい。世論調査の内閣支持率が6割に迫る勢いだったことに気をよくして、「来年9月まで選挙を延ばせないか」と考え始めているというのだ。そのためには、不安要素はすべて取り除いてしまう。もちろん、テロ新法も先送りの魂胆だ。

 福田政権は新テロ特措法について、今月17日に閣議決定、19日に衆院本会議で審議入りし、その後、特別委員会で約30時間の審議を考えている。特別委員会は毎日でも開けるので、早ければ、今月26日に委員会を通し、即刻、本会議で可決させることもできる。

 しかし、法案を参院に送って、たなざらしにされると、審議未了、廃案になってしまう。継続審議になっても、通常国会で法案がたなざらしにされる恐れがある。法案が2国会にまたがると、参院送付後、2カ月たてば衆院に差し戻して再議決する3分の2条項も使えない。

「そのため、テロ新法は衆院でも採決しないで、継続審議にする案が現実的になってきているのです。その場合、国会は会期末の来月10日で閉じてしまう。福田首相は来月20日からAPECに行く。その前に訪米して、ブッシュ大統領に経緯を説明、通常国会で新法を通すことを約束するとみられています」(自民党国会議員)

 通常国会では予算審議を優先させ、テロ新法は後回しにする。通常国会の会期末に3分の2条項を連発して、テロ新法と予算関連法案を通し、すぐに国会を閉じてしまう。

 その後は洞爺湖サミットで逃げ切る。こんな算段だ。

「そうすれば、臨時国会冒頭解散まで生き延びられる。福田周辺はそう言い出しています。早期の解散説が流れましたが、解散・総選挙で与党が過半数を得ても3分の2の勢力を保てなければ、衆院差し戻しの“伝家の宝刀”も抜けなくなる。そうなれば、本当に予算案以外は通らないわけです。福田首相は、そんなリスクは冒しませんよ」(国会関係者)

 一日でも長く首相の座にいたいらしいが、9月まで粘ったところで展望ゼロ。

 最後は醜態をさらすことになるだけだ。

【2007年10月13日掲載】

姑息な情報隠匿

「開いた口がふさがらない」とはこのことだ。石破防衛相が「情報はきちんとだす。そのうえで野党も責任をもってもらいたい」などという啖呵の、舌の根も乾かないうちに、こういう話が飛び出した。こんな情報隠しは許せない。これでは何度、「陳謝」しても意味がない。「法律違反ではない」だって。これではシビリアンコントロールなど問題外だ。(高田)

http://www.47news.jp/CN/200710/CN2007101601000261.html
補給艦の航海日誌を廃棄  防衛省「誤って」と説明

 防衛省は16日、インド洋で給油活動に従事していた海上自衛隊の補給艦「とわだ」について、2003年7月から11月までの5カ月分の航海日誌を、文書の保存期間内にもかかわらず廃棄したことを明らかにした。

 海自の文書管理規則によると、艦船の航海日誌の保存期間は4年間になっている。同補給艦は03年7月中旬から同11月中旬まで給油活動にあたっていた。イラク作戦への燃料転用疑惑が指摘される中、防衛省のずさんな管理体制が批判される可能性がある。

 16日午前、民主党の外務防衛部門会議での資料要求に対し答えた。防衛省側は「07年7月に『とわだ』艦内で保存期間が過ぎている資料を整理した際に、誤って保存すべき資料も廃棄した」と説明。分量は1航海分の日誌すべてという。
2007/10/16 13:09  【共同通信】

http://www.asahi.com/national/update/1016/TKY200710160214.html
防衛省、補給艦の航泊日誌「誤って破棄」

2007年10月16日13時24分

 防衛省は16日午前、民主党の外務防衛部門会議で、インド洋で給油活動をしていた海上自衛隊の補給艦「とわだ」の03年7~11月の航泊日誌について「今年7月に誤って破棄した」と説明した。文書保存期間は5年。同省は「省内の内規に違反しており、事実関係を調査中」とも説明。同党は関係者の処分を求めた。

 航泊日誌には、給油した日時や場所、給油先の艦船名などが記載されており、国会でイラク作戦への転用疑惑を追及している民主党が資料請求をしていた。航泊日誌をめぐっては、同省が補給艦「ときわ」の03年2月分について「破棄した」との説明を覆して公開。石破防衛相が「文書管理が徹底されていなかった」と陳謝した経緯がある。 (朝日)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20071016i104.htm

インド洋補給艦の航泊日誌、保存期間中に一部破棄

 防衛省は16日午前の民主党外務防衛部門会議で、テロ対策特別措置法に基づきインド洋で給油活動を行っていた海上自衛隊の補給艦「とわだ」の航泊日誌の一部を、文書保存期間が過ぎていないにもかかわらず、今年7月に破棄していたことを報告した。

 破棄していたのは2003年7~11月の5か月分。防衛省側は「誤って破棄した」と説明した。

 民主党議員が「法律違反ではないか。関係者の処分は行うのか」とただしたのに対し、防衛省側は「文書保存期間を定めた内部規則に反しているが、法律違反ではない。処分は、現在、経緯を調査しており、結果を待ちたい」と述べるにとどめた。
(2007年10月16日13時39分  読売新聞)

2007年10月12日 (金)

武力で平和はつくれない-道新社説に寄せて

北海道新聞の10日の社説はなかなかだと思う。
商業新聞としてはギリギリのところまで腰をためて問題をつきだしている。
民主党小沢代表が与党や右派言論に釣り出されるようにして「世界」誌に例の論文を書いて以降、運動圏の一部にも方向を定めきれない迷いが生じているのも確かである。
今が大事なときで、小沢氏も民主党も「対案」などであれこれ迷わずに正攻法で派兵・給油新法を追いつめていく必要があると思う。
①日米政府がウソをつき、違法行為をしていること、②テロ特措法は違憲であること、③この6年が証明するように、このやり方でテロはなくならないこと、④武力で平和はつくれないこと、これらの原則的視点を腹に据えて、与党との論戦に向かえば勝ち抜けるはずだ。
市民運動も迷ってはならない。「武力で平和はつくれない」というスローガンは、この間の全世界の反戦運動が獲得した綱領的スローガンなのだ。ISAFであれ、武力行使への加担はしてはならない。(高田)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/54328.html?_nva=27
社説
海上給油活動 憲法の原点に返る時だ(10月11日)

 今国会最大の争点である海上給油活動継続問題をめぐり、衆院予算委員会で攻守ところを変えたような憲法論議が行われている。
 政府・与党が野党党首の自衛隊派遣論に対し、「憲法違反につながる」とかみついているのだ。
 火種を提供したのは民主党の小沢一郎代表だ。月刊誌の論文で、自分が政権を取ったらアフガニスタンで活動する国際治安支援部隊(ISAF)に自衛隊を参加させると明言した。
 国連決議に基づく活動は日本の主権に基づく行為とは区別される。仮に武力行使を含んでも「国権の発動たる武力行使」を禁じる憲法九条には抵触しない。そう主張している。
 海外での武力行使を認めるこの憲法解釈を私たちは到底容認できない。たとえ国連決議があっても、平和憲法の精神に照らせば自衛隊が海外で血を流すことは許されないはずだ。
 政府も自衛隊が海外で武力を行使するのは憲法違反だとの立場をとっている。だからこそ、陸上自衛隊をイラクに派遣する際、当時の小泉純一郎首相は「自衛隊の行くところは非戦闘地域」と強弁したのだ。
 石破茂防衛相も小沢論文を「武力行使を伴うISAFへの参加は認められない」と批判した。
 ただ論文が給油活動が抱える問題の本質を突いている面は否定できない。
 政府は、給油活動はテロ活動の抑止を目指す国際社会の取り組みに協力する国際貢献だと説明する。これに対し、実態は米軍への支援で集団的自衛権の行使に当たり、憲法に反しているというのが小沢氏の指摘だ。
 福田康夫首相は予算委員会で、海上自衛隊は非戦闘地域に限って行動し、後方支援で武力行使をしないのだから憲法に違反しないと反論した。
 政府はこの見解にのっとり、十一月一日で期限が切れる現行のテロ対策特別措置法に代わる新法案を来週にも国会に提出する予定でいる。
 だが、後方支援が軍事活動の一環だというのはむしろ常識だ。
 集団的自衛権行使の問題を含め、自衛隊の海外派遣と憲法との関係をめぐる政府の説明は、およそ説得力を持っているとは言えない。
 一九九一年の湾岸戦争の際、日本は百三十億ドルもの巨費を拠出しながら国際社会から評価を得られなかった。
 これがトラウマ(心的外傷)となり、政府は以後、国連平和維持活動(PKO)法を作り、特別措置法も成立させて自衛隊を海外に送り出してきた。
 この間、強引な解釈改憲を重ねてきたことは否定できまい。新法案をめぐる国会論議が再び原理原則をないがしろにしたものになってはいけない。
 あらためて憲法という原点に立ち返る-。それが小沢論文の問題提起だと受け止めることもできよう。

2007年10月11日 (木)

またイラク作戦転用疑惑が浮上

国会論戦で、首相や石破防衛相が給油のイラク戦争への転用はないと弁明に大わらわになっている最中、また疑惑が露呈した。本日の「赤旗」紙の記事である。今度は昨年9月の事例だ。(高田)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-10-11/2007101101_02_0.html
2007年10月11日(木)「しんぶん赤旗」
海自給油の米艦イオウジマ
イラク戦争参加
米軍資料で判明

 海上自衛隊の補給艦「ましゅう」から昨年九月に給油されアフガニスタン攻撃に参加した米海軍強襲揚陸艦イオウジマが、その直後に改めて「ましゅう」から給油を受けてイラク戦争にも参加していたことが、米軍資料で判明しました。アフガン戦争支援に限定するテロ特措法に違反して、海自の給油が米国のイラク戦争支援に転用されていたことを示すものです。

 米海軍ホームページによれば、「ましゅう」は昨年九月二十二日、ペルシャ湾でイオウジマに給油しました。米海兵隊の「海兵隊ニュース」同年十二月四日付によれば、イオウジマを中心とする遠征打撃群(ESG)はその後、十月上旬までにペルシャ湾に入り、イオウジマ搭載の垂直離着陸攻撃機ハリアーが、イラク南部のバスラ周辺で駐留英軍部隊を支援する活動をしました。

 十月中旬には同ESGの海兵隊地上戦闘部隊がイラク西部アンバル州の作戦に参加。十一月一日には同部隊の突撃兵一人が道路脇に仕掛けられた爆弾で戦死しました。

 同ESGは昨年六月六日から十二月六日までの六カ月間、地中海・インド洋周辺海域に展開。このうち七月四日から十一月八日までの四カ月間は、対イラク作戦と対アフガン作戦を統括する米中央軍の担当地域に入りました。

 七月中旬以降にイスラエルのレバノン攻撃に関与した後、九月にはパキスタン海軍と合同演習。自衛隊が支援対象にするとしている「海上阻止活動」を実施した形跡はありません。(表)

 同ESGのこの航海の中心任務は、アフガン・イラク両作戦を直接支援することとされます。「海兵隊ニュース」十一月十日付も、イオウジマ搭載のハリアー機は「アフガンとイラクで戦闘飛行を実施した」と報じ、それを確認しています。

 「ましゅう」が昨年九月四日にアラビア海で「イオウジマ」に給油したこと、その後イオウジマ搭載のハリアー機がアフガン空爆のために百三十六回の攻撃飛行を実施したことは、すでに明らかにされています。

 イオウジマ遠征打撃群(ESG) 強襲揚陸艦イオウジマを旗艦とし、ミサイル巡洋艦フィリピン・シー、攻撃型原潜アルバカーキーなど計七隻で構成され、約六千人の兵力。特殊作戦遂行能力をもつ海兵遠征隊(MEU)や、ハリアー機、海兵隊ヘリコプター部隊などを載せています。

新法をめぐる国会の攻防日程について

政府・与党は「派兵・給油新法」案を17日に閣議決定し、18日ないし19日に衆院本会議で趣旨説明、ただちに衆院テロ対策特別委員会で審議入り、30時間程度の審議で、最短では、26日の委員会採決、同日、本会議採決、という日程をめざすという。
しかし、野党の抵抗にもかかわらず参院否決とみなすことができる「60日」を計算すると、参院否決は12月下旬になり、それから衆院での3分の2による再議決となる。しかし、与党内では国会延長は12月10日まで、とか15日までとか言われているので、日程設定の辻褄が合わない。
このため、本日の産経の記事の最後の部分、 「自民党内には法案を衆院特別委では採決せず、継続審議にすることで、来年の通常国会で成立を期すことを模索する動きもある」という話が出ている。
であれば、169通常国会の予算成立後の衆院再議決という目論みか。これには野党が参院で問責決議を採択して対抗するだろう。この場合、衆院は解散せざるを得ない状況に追い込まれる可能性が濃厚になる。
こうした国会内の与野党の攻防は、国会外の運動と世論の動向に大きく影響される。さあ、これからが頑張りどきになる。(高田)

【産経新聞】テロ新法、26日にも衆院通過 政府・与党方針
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/071010/stt0710102311010-n1.htm
政府・与党は10日、インド洋での海上自衛隊の補給活動を継続するための「新テロ対策特別措置法」(仮称)を17日夕の臨時閣議で決定し、19日にも衆院テロ対策特別委員会で審議入りする方針を決めた。法案の衆院通過は早ければ26日となる見通し。ただ、参院で多数を占める野党は補給継続に反対姿勢を崩しておらず、現行法が期限切れを迎える11月1日までの成立は絶望的だ。

 自民、公明両党の幹事長、政調会長、国対委員長と町村信孝官房長官はこの日朝、都内のホテルで会談し、17日夕の閣議決定後、ただちに衆院に法案を提出することで一致。11日の衆院議院運営委員会理事会に大野松茂官房副長官が出席し、一連の方針を説明する。与党は18日の衆院本会議で趣旨説明したい意向を伝えるが、野党の反発を織り込み、19日へずれ込むことを想定している。

 与党は法案の委員会審議時間について、現行のテロ対策特別措置法が平成13年に成立した際、衆院で29時間の審議を行ったことを踏まえ、30時間程度にしたい方針だ。最短なら26日に委員会採決し、同日中の衆院通過が可能となる。

 与党は17日までの衆参予算委の期間を与野党協議に充てたい考えだったが、野党側は協議に一切応じず反対姿勢を貫いていることから、「野党から建設的な提案はなさそうだ」(自民党国対幹部)と判断した。

 町村官房長官はこの日午前の記者会見で「閣議決定は17日夕以降」と明言。新法案は5日に野党側に提示した骨子案とほぼ同じ内容となる。

 野党は反発を強めており、参院で会期末まで審議を引き延ばし、廃案に持ち込む可能性がある。参院送付後60日で否決とみなし、衆院で再議決するためには、年明けまで会期の大幅延長が必要だが、最大12月中旬までの延長幅にとどめることを決めている。

 このため、自民党内には法案を衆院特別委では採決せず、継続審議にすることで、来年の通常国会で成立を期すことを模索する動きもある。

2007年10月10日 (水)

集団的自衛権 首相『行使許されない』  前政権と違い鮮明

福田内閣をどう見るか。まだ運動圏での評価は必ずしも定まっていない。
私はこのところ、こういっている。安倍前首相が超タカ派だったので、福田首相があたかもハト派に見えるが、彼は本質はタカ派だ。いまのところ低姿勢でいく決意をしているタカ派だと。安倍との差は超タカ派とタカ派の差だ。
注目の「集団的自衛権」の行使問題で、福田首相は昨日、公明党の議員の質問に答えて、事実上、この方面での安倍路線を否定した。これはひとつの変化である。
警戒すべきことは、①集団的自衛権の行使は米国の要求であり、親米福田政権が暫定政権に甘んぜず、長期政権をめざそうとするなら、集団的自衛権の行使への踏切は避けられず、それはとりもなおさず9条改憲をめざすことになる。②憲法解釈は変えなくとも、例えば昨今の「テロ特措法は非戦闘地域での後方支援であるから、憲法違反ではない」という釈明に見られるような、拡大解釈は進めるに違いないこと。要するに歴代自民党政権の立場に戻ったというだけだ。(高田)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2007101002055249.html
集団的自衛権 首相『行使許されない』 衆院予算委 前政権と違い鮮明

2007年10月10日 東京新聞朝刊

 衆院予算委員会は九日午後、福田康夫首相と全閣僚が出席して基本的質疑を続行した。首相は集団的自衛権の行使を禁じた政府の憲法解釈について「どこまで憲法解釈上許される国際活動なのかの扱いは十分に慎重でなければいけない。政府は従来、憲法上(行使は)許されないという解釈をしていて、今もその通りだ」と、行使容認に否定的な考えを表明した。 

 安倍晋三前首相は集団的自衛権の行使容認に積極的で、有識者会議を設置して憲法解釈見直しに向けた議論を進めていたが、福田氏は安倍氏との姿勢の違いを鮮明にした形だ。

2007年10月 8日 (月)

新法の帰趨は院内外呼応したたたかいにこそ

インド洋給油・派兵新法をめぐる国会論戦が始まった。これを与党の思惑通りに成立させるのか、それともこの法案を阻止して、海上自衛隊を帰国させ、この問題での違憲状態を修復させるのか、重大なたたかいが始まった。このねじれ国会での与野党のたたかいの帰趨を決めるのは、院外の民衆の運動と、世論の動向だ。
この問題で、本日(8日)の「赤旗しんぶん」の中祖記者の論評は全く共感できるので、以下、掲載します。(高田)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-10-08/2007100802_02_0.html
2007年10月8日(月)「しんぶん赤旗」
新テロ特措法案 与党作戦に壁
戦争支援の核心 変わらず

 福田内閣が固執し続けるインド洋での海上自衛隊の給油活動の継続―。政府・与党は現行のテロ特措法(十一月一日失効)の延長をあきらめ、「新テロ特措法」案を国会に提出しようとしています。しかし、参院で与野党逆転した状況の下で、新法成立を阻止できる可能性も出てきています。
予算委で実質協議

 衆参の代表質問が終わった直後の五日夕、与党側は野党に新法の骨子案を示しました。政府提出法案を骨子段階から野党に示すのは異例のこと。法案に野党側の意見を「反映」させるとして、与野党協議に持ち込む作戦でした。

 しかし、野党側の拒否で、この作戦はあえなくとん挫。九日から始まる衆院予算委員会での審議を、法案作成にむけての「実質的な与野党協議とみなし、論戦の内容を踏まえながら、法案作成作業にあたっていく方針」(自民党ホームページ)です。

 「今の法律は米国の戦争支援法という性格が強い。9・11テロの直後にみんなワーッとなってつくったもので、大規模戦闘が終結した後につくられたイラク特措法のように復興支援という要素は入っていない」

 ある防衛庁長官経験者はこう語り、新法での“性格変更”の勧めを説きます。「新法では、戦時法、戦争支援法という法律の性格を変える必要がある。給水・給油への活動内容の限定や復興支援という要素を入れることで民主の理解も得られるのではないか」

 復興支援などは、これからののりしろというわけです。しかし、米艦船への給油・給水こそが戦争支援の核心である以上、その継続を前提に“法的性格の変更”を強調しても通りません。

 民主党幹部の一人も「その給油こそが軍事活動の一環であって、アメリカの戦争のために行うことは憲法で禁止された集団的自衛権の行使にあたる」とのべます。
世論が一番の変数

 民主党などを取り込むために、与党が力を注いでいるのが世論対策です。国連に強く働きかけ、海上阻止活動への貢献に「謝意」を示す文言を安保理決議に盛り込ませるなど、問題を「国際信用」にかかわる事柄として描き出しています。「ていねいな話し合い」の姿勢を強調するのも、国民の理解を広げようという思惑からです。

 伊吹文明自民党幹事長は、「民主党がどう対応するかは、国民の気持ちが一番大きな変数になる」(「毎日」九月二十八日付)とのべています。

 前述の長官経験者も「世論が大きく動いてこない限り、なかなか民主党は動かない。(参院で新法が否決された場合は衆院での)再議決も無理だ。公明党がついてこない」と言います。

 しかし、この長官経験者自身が「戦争は二年ぐらいで終わると思っていたが、六年たった今もまだ続いている」と嘆くように、想定がはずれた自衛隊の活動実態が国会審議では問われます。とりわけ、アフガニスタン情勢やイラク戦争との関係が明らかになれば、「戦争でテロはなくせるか」という根本問題がいっそう明確になります。

 国民的議論が起これば、米軍の戦争支援を見直す好機です。(中祖寅一)

2007年9月21日 (金)

国連アフガン決議:露が批判声明文 小沢氏主張裏付ける

毎日紙の速報である。
日本政府の姑息な策動が裏目に出た。
どこかの報道が安倍首相の最後の努力が「感謝決議」に結実した、などと書いていたが、安倍首相はほんとうになにからなにまでKY(空気が読めない)だったことが証明されてしまった。
民主党よ、動揺するなかれ。時の利は諸君等に有り、だ。(高田)

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070922k0000m030066000c.html
国連アフガン決議:露が批判声明文 小沢氏主張裏付ける 

 【モスクワ杉尾直哉】アフガニスタンに展開する国際治安支援部隊(ISAF)に関する国連安保理決議案の採択でロシアが棄権した問題で、ロシア外務省は20日、「これまで安保理で議論されたことがないインド洋の海上阻止活動が盛り込まれ、棄権せざるを得なかった」とする報道声明文を発表した。

 安保理で拒否権を持つロシアが、現時点で海上阻止活動を受け入れていないことを明確にしたもので、「米国の活動を国連安保理で承認する決議はない」とする民主党の小沢一郎代表の主張が逆に裏付けられた形。民主党対策で採択を急いだ日本政府の読みの甘さが浮き彫りになった。

 今回の決議案では、日本などがインド洋の海上阻止活動に参加する米軍主導の「不朽の自由作戦」(OEF)への謝意が盛り込まれた。これに対し露外務省は「アフガンやほかの紛争に関する過去の国連決議で扱われたことがないまったく新しい要素だ。海上阻止活動を行う根拠について米国などの提案国に説明を求めたが、無視され、性急な採択が行われた」と批判した。

 露外務省の声明文によると、ロシアは、これまでISAFを原則的に支持し、国連決議にも賛成してきた。だが、今回の決議案では、海上阻止活動に触れた文言を米国代表が議論の最終段階で追加。これに対しロシアは説明を求めたが、無視されたという。

 ロシア側は妥協案として、「いかなる海上阻止、臨検活動も国際法と国内法にのっとって行われなければならない」との文言を盛り込むよう提案したが、これも無視されたという。

毎日新聞 2007年9月21日 19時40分

福田の派兵恒久法の再登場

18日の共同通信のインタビューで福田氏が恒久法について触れている。彼は小泉内閣での官房長官時代にこれを積極的に進めようとした過去を持っている。首相になったら再度、これをやろうということだろうが、危険な道だ。
テロ特措法、イラク特措法に代わる派兵恒久法をねらっている。心しておこう。(高田)


http://www.47news.jp/CN/200709/CN2007091801000797.html

海外派遣で恒久法目指す  福田氏インタビュー

 自民党総裁選で優勢となっている福田康夫元官房長官(71)は18日午後、共同通信の単独インタビューに応じ、自衛隊の海外派遣を随時可能とする「恒久法」制定を目指す考えを示した。自民党が参院選で公約した「3年後の憲法改正案発議」は事実上棚上げする意向を表明。首相に就任した場合の組閣については、臨時国会開会中を理由に閣僚の大幅入れ替えは困難との考えを重ねて示した。

 恒久法は福田氏が官房長官当時の2003年7月に制定方針を表明し、安倍政権も来年1月からの通常国会への提出を目指していたが、参院選惨敗により当面凍結を決定。これについて福田氏は「何か起こった時に慌てて法律を作るということでは機敏な対応はできない。きちんと整えておくことは大事だ」と述べ、あらためて制定の必要性を強調。
2007/09/18 20:41  【共同通信】

2007年9月14日 (金)

雑記(18)公園で守る9条

8月14日の朝日新聞夕刊(関東)に「公園で守る9条」「戦中派78歳、署名集めを歌集に」「若者たち関心高い」という大きな記事が載り、目をひいた。

箕輪喜作さん(78歳)、東京・小金井市在住。05年11月、地元の小金井市に「九条の会・こがねい」が結成されたのを契機に、9条を守る署名を始め、1年8ヶ月で6千筆以上集めたという記事だ。そしてこのほど、歌集「九条署名の1年」(光陽出版社)を出したのだという。

●声かければ赤ん坊をわれに抱かせて署名してくれしお母さんあり

などの短歌も紹介されていた。

その後、私は箕輪さんのこの歌集を読む機会も得た。

箕輪さんにあってみたくなり、ツテをたどって箕輪さんに連絡し、武蔵小金井駅で待ち合わせをして頂いてお宅を訪ねることができた。

署名はすでにあと数十筆で7000になろうとしているという。休日には近くの武蔵野公園で1日50筆くらい集まると言うから、明日は7000筆を超えているかも知れない。公園にもつれていって頂いたが、本当にひろーい公園で、森があり、川があり、バーベキュー広場があり、スケボー練習場があり、という具合で、近県からの人びとも含めて若者や子ども連れの若い親たち、近くに大学などもあって外国人も多いという。箕輪さんはこれらの人たちに話しかけ、署名を集める。署名簿は「9条の会・こがねい」が作ったシンプルなもので、

We Love 憲法 We Want Peace 請願書 衆議院議長殿 参議院議長殿 請願項目 日本国憲法第九条を守ってください  とだけ書いてある。それに憲法九条の条文が添えてある。

これはいいと思った。いずれ5000万署名運動などにとり組むときは、これがいいのではないかと思った。

箕輪さんは新潟の山村の小学校の用務員を44年間務めて、その後、東京に出てきた。子どもたちや、教師や、村の人びとと箕輪さんの交流は熱いものだったようだ。聞いていて、箕輪さんの人との対話術、とくに子どもとの対話術はこの箕輪さんの長い人生経験のなかで作られたものであることがよくわかった。どんな話をして署名をもらうかの実演も聞いた。最初はつっけんどんだったお姉さんが涙を流したり、悩みをもつ若者の相談にのったり、ときに歌を歌ったり、ときには公園で同郷人に会えば十日町小唄まで踊るという。右翼に署名簿を強奪されたときも、やんわりと抗議し、公園にいたまわりの人びとが守ってくれたともいう。米軍人の家族も、創価学会の会員も、ほんとうに公園にくる人びとは多様だ。最初は「義務感」を伴いながらの署名活動だったが、だんだんにこうした人びととの出会いが楽しくなってきたという。交流したある学校の子どもたちは「九条おじさん」の演劇をつくって上演した。箕輪さんは、その写真を「これは私の宝物です」と微笑みながら見せてくれた。

●田舎弁まるだしなれど若者は戦争体験聞いてくれたり

2007年9月 2日 (日)

集団的自衛権*説得力ない身内の議論

31日の「北海道新聞」の社説である。
日本の各マスメディアもジャーナリズムとして、せめてこの程度の批判精神を発揮できないものか。(高田)


http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/46582.html?_nva=28

集団的自衛権*説得力ない身内の議論(8月31日)

 やはり、はじめに結論ありきだったようだ。
 集団的自衛権の憲法解釈見直しを検討する政府の有識者会議が、安倍晋三首相が示した四つの類型について、ひと通りの議論を終えた。
 《1》近くにいる米国艦船が攻撃された場合の応戦《2》米国に向けて発射されたミサイルの迎撃《3》他国の軍隊が攻撃されたときの駆けつけ警護《4》戦闘地域での後方支援の拡大ーである。
 会議ではいずれについても、現行の憲法解釈を改めるなどして認めるべきだという意見が大勢だった。
 メンバーは、集団的自衛権の行使や自衛隊の海外での武力行使を認めようという人ばかりだ。多様な観点から是非を論じる場とは思えない。
 専門家による検討という看板を掲げて権威づけしても、これでは説得力はない。会議は十一月にも最終報告書をまとめる予定だというが、こんな会議の議論を、憲法解釈見直しのよりどころにされては困る。
 ただ当面、政府の解釈見直しは棚上げせざるを得なくなっている。先の参院選で自民党が惨敗したうえ、連立を組む公明党も反対しているためだ。各種世論調査でも、見直し不要派が多数を占めている。
 国民の声をないがしろにして、結論を急ぐ必要はない。
 日本は国際法上、集団的自衛権を有しているが、憲法九条が許容する必要最小限度の自衛権の範囲を超えるため行使できない、というのが政府の一貫した立場だ。
 ところが首相は、この憲法解釈はおかしいと考えている。念頭にあるのは日米同盟だ。
 日米の軍事一体化が進めば進むほど、集団的自衛権の不行使原則は邪魔になる。米国も行使容認を求めて首相を後押ししている。
 これまでの政府見解は、内閣法制局が理論的裏づけを担ってきた。政府・自民党内には、役人がとりまとめた見解に政治がしばられる必要はないといった主張もある。
 だが政府見解には、国会でいく度となく議論を重ね、練り上げてきた歴史的経緯がある。国民的合意を得た見解だといっていい。その重みを無視することはできない。
 インド洋やイラクへの自衛隊派遣も、米国と共同で導入を進めるミサイル防衛システムも、すでに集団的自衛権の行使につながりかねない危うさをはらんでいる。
 陸上自衛隊のイラク派遣先遣隊長が、現地で駆けつけ警護を検討していた事実は、その懸念が決して非現実的なものではないことを示している。
 自衛隊のきわどい活動を既成事実として積み上げ、憲法解釈を現実に合わせてねじ曲げる。それは無理、乱暴というものだ。

2007年8月27日 (月)

集団的自衛権法制化、当面棚上げへ

26日の日経新聞の報道だ。集団的自衛権の法制化はいったん棚上げになった。しかし、日本政府にとって、テロ特措法、派兵恒久法などが焦眉の課題であることは変わりない。与党がこれらについてどういう手だてをうってくるのか、その過程で集団的自衛権問題が再浮上するのは火を見るより明らかだ。ゆるめることなく、キャンペーンを強化しなければならない。(高田)
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT3S2200O%2025082007&g=P3&d=20070826
自民、集団的自衛権の解釈変更棚上げ・公明反対、法整備も困難

 自民党は、今秋をメドにまとめる予定だった集団的自衛権の解釈変更に関する提言を事実上棚上げする方針を固めた。公明党が集団的自衛権の行使容認のための憲法解釈変更に反対を表明。先の参院選での与党大敗による参院の与野党逆転で自衛隊法改正など必要な法整備は困難な情勢となったため。

 党の「集団的自衛権に関する特命委員会」(委員長・中川昭一党政調会長)は4月下旬、政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」に対応して設置。政府の有識者懇談会に先行して提言する予定だったが、安倍内閣の求心力低下が響き「とても落ち着いて議論ができる環境ではなくなってしまった」(同特命委幹部)。集団的自衛権の現状と課題に関する党の意見はまとめるが、提言としての方向性付けは控える方針だ。 (07:01)

2007年8月21日 (火)

豊下楢彦氏の岩波新書「集団的自衛権とは何か」

豊下楢彦(関西学院大学法学部教授・国際政治論、外交史)氏が岩波新書で「集団的自衛権とは何か」を出した。豊下氏は前に出版された同新書の「安保条約の成立」がとても面白かった記憶があるので早速買って読んだ。

集団的自衛権に関する理論的問題が整理されていて、憲法や平和に関する市民運動に携わっている者の必読の本だと思う。タイムリーでとてもよい本だと思った。秋の臨時国会での政治的なたたかいを前に、ぜひ皆さん、読んでおいていただきたいと思う。

それにしては各メディアの書評などにいまのところあまり登場していないのが気になるところだ。

「序章」では安倍首相の集団的自衛権についての議論を「俗論」として完膚無きまでにうち破っている。「第1章」では国連憲章51条の集団的自衛権規程が書き込まれた経過を解説し、合わせてブッシュドクトリンによる「先制攻撃論」との違いを丁寧に説明している。「第2、第3章」ではこの問題の日本に於ける議論の経過を詳しく追っている。大事な問題だが、少し冗長に過ぎるきらいもあるので、忙しければ、読み飛ばしておいてもいいかもしれない。第4章では「ミサイル防衛」の問題も論じている。個人的に言えば、このテーマは私自身もこの間、方々で語ってきた問題であり、全く同感だった。第5章は国際情勢の現状。第6章は「日本外交のオルタナティブを求めて」で、私たち運動家にとってはここが大事なところなのだが、豊下氏はここでは政府レベルのオルタナティブしか提示していない。豊下氏の専門領域からしてやむを得ないことではあるが、これでは本当のオルタナティブは出てこないのではないかとも思う。
提示されている「非核の論理」は確かに重要だが、もうひとつ、「9条の論理」が重要で、オルタナティブを提示するとすれば、これは車の両輪ではないだろうか。たとえば私たちが関係している「九条世界会議」あるいは「東北アジアのGPPAC」などはこの問題へのひとつのチャレンジであるのだが。(高田)

2007年8月19日 (日)

注目される民主の対応

 次の臨時国会をめざして、テロ特措法の延長に反対する団体署名は9日間で135団体になった。本サイトのトップ頁から入って見ていただきたい。今は、こうした民主党を含む野党への働きかけをガンガンやっていくことが肝心だ。まずはここからが第一歩だ。
 その上でだが、本日の「赤旗しんぶん」で、中祖寅一記者が書いていること(注目される民主の対応)は頭に入れておきたい。(高田)

  一方、民主党内で集団的自衛権の行使に反対する議員でつくる「リベラルの会」に属する議員は別の危惧を表明します。
 「テロ特措法の延長問題で、小沢代表の対応は一応納得できるが、懸念は国連の枠組みのもとで自衛隊を派遣することに積極的な姿勢を示していることだ」
 小沢氏は8日のシーファー大使との会談で、こう述べています。
 「(アフガニスタン駐留の)国際治安支援部隊(ISAF)は純粋の平和維持活動ではないが、PKOと同じ任務と性格が付与されている」「われわれの政権では、喜んで国際社会の平和活動に積極的に参加したい」
 国連の枠組みのもとで自衛隊が海外で武力行使することは現行憲法9条に違反しないというのが小沢氏の持論。特異な憲法解釈によって海外での武力行使を実現するという立場です。
 前出の民主党議員は言います。
 「国連の枠組みのもとだとはいっても、自衛隊が戦闘に参加し、銃撃することになれば、日本の国際的地位は従来と異なる評価を受けざるを得ない」

2007年8月11日 (土)

有識者懇、会議は踊る、されど……

有識者懇は集団的自衛権に関する検討を続けている。しかし、メディア各紙が報じているように、先の参院選の結果を受けて、安倍首相は、解釈変更は事実上不可能との判断に傾きつつある。朝日が指摘している「恒久法」と国家安全基本法との関連などひきつづき安倍首相の出方に注目が必要だ。(高田)

http://www.asahi.com/politics/update/0811/TKY200708110004.html
駆けつけ警護に容認論 集団的自衛権、有識者懇で大勢

2007年08月11日07時17分

 政府が憲法解釈で禁じる集団的自衛権の行使について議論する有識者の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二前駐米大使)が10日、首相官邸で開かれた。海外に派遣された自衛隊が、共に活動する外国軍が襲われた際に援護に向かう「駆けつけ警護」について、国際的常識で容認すべきとの意見が大勢を占めた。

 駆けつけ警護は、安倍首相が同懇談会に「憲法との関係の整理」を諮問した4類型の一つ。首相はあいさつで「国際的な平和活動に一層積極的に関与することが必要だ。他国と共通の基準をふまえないと効果的な活動を行えない」と述べ、必要性を強調した。

 政府は国連平和維持活動(PKO)協力法やテロ特措法、イラク特措法で、武器使用を自身や同じ場所の隊員、宿営地を訪れた他国部隊や国連関係者などの防護に限定。離れた所への「駆けつけ警護」は集団的自衛権の行使と関係はないが、憲法が禁じた海外での武力行使につながりかねないとして認めていない。

 これに対し委員からは「憲法解釈と国際社会の現状の整合性をとるべきだ」「国際平和活動では他国軍との信頼関係が不可欠。自衛隊に自己防衛しか認めないのは非常識だ」などの発言が出た。

 政府は自衛隊の海外活動に関する一般法(恒久法)を検討中で、自民党からは「駆けつけ警護」を盛り込むべきだとの提言も昨年に出ている。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007081001000725.html
武器使用拡大で大筋合意 海外派遣の自衛隊活動で
2007年8月10日 23時35分

 政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二前駐米大使)の第4回会合が10日夕、首相官邸で開かれた。国連平和維持活動(PKO)などで海外に派遣された自衛隊が、同じ目的で活動している他国部隊も警護できるよう武器使用権限を拡大すべきだとの意見で大筋一致した。

 他国部隊が攻撃を受けた際、その場に駆け付けて救援のため武器使用する「駆け付け警護」は、PKO協力法など現行法では認められていないが、この日の議論は従来の政府の政策判断見直しを求める内容となった。

 会議では委員から「同じミッションで自分しか守らないというのは常識はずれだ。国際的に通用しない」などの意見が相次いだ。

 安倍晋三首相は冒頭のあいさつで「世界の平和と安全なくして日本の平和と繁栄はない。PKOなど国際的な平和活動にわが国が一層積極的に関与していくことが求められている」と強調した。(共同)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2007081102040280.html
集団的自衛権 解釈変更今秋は断念

2007年8月11日 朝刊

 政府は十日、集団的自衛権行使の一部を容認するための憲法解釈変更を九月召集の臨時国会では行わない方針を固めた。解釈変更に伴う関連法の整備にも当面は着手しない。先の参院選で自民党が惨敗し、参院で与野党逆転した政治状況を踏まえ、憲法解釈を変更するのは事実上、不可能と判断した。 

 安倍晋三首相は、昨年九月の就任前から集団的自衛権に関する憲法解釈の見直しに意欲を示してきた。今年四月には有識者による「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(柳井俊二座長)を発足させ、「公海上で自衛艦と並走中の米艦船が攻撃された際の反撃」など具体的な四類型について、解釈変更の可能性を検討している。

 十日夕の懇談会では、国連平和維持活動(PKO)などで海外に派遣された自衛隊が、他国部隊も警護できるよう武器使用権限を拡大すべきかどうか議論された。首相は「他国の要員と共通の基準で緊密に助け合わなければ、各国の信頼を得ることも、効果的な活動もできない」と強調。武器使用権限を見直す方向で意見が一致した。

 懇談会はこうした議論を踏まえ、集団的自衛権行使を認める最終報告を今秋に提出する予定だが、政府は選挙後、強まった公明党の慎重論に配慮し、すぐに解釈変更はしない方針。変更に伴う自衛隊法やPKO協力法の改正も、参院の与野党逆転によって難しくなった。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070810i115.htm
自衛隊の武器使用「国連基準で」…集団的自衛権有識者懇

 政府は10日、集団的自衛権に関する個別事例を研究する有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長=柳井俊二・前駐米大使)の第4回会合を首相官邸で開き、国際平和協力活動中に他国部隊が攻撃された際、自衛隊が駆けつけて反撃することの是非などについて集中的に議論した。

 自衛隊の武器使用基準を国連が平和維持活動で運用している基準に合わせ、こうした「駆けつけ警護」を可能にすべきだとの意見が大勢を占めた。

 現行の国連平和維持活動(PKO)協力法やイラク復興支援特別措置法などでは、自衛隊員の武器使用は、隊員と「自己の管理下に入った者」を守る際の正当防衛や緊急避難時などに限られている。

同じ活動に従事する他国部隊が攻撃された場合に助ける駆けつけ警護に関しては、「憲法が禁じる海外での武力行使にあたる可能性がある」などの理由で、認められていない。

 会合では、駆けつけ警護などの活動について、集団的自衛権の問題ではなく、国連の枠組みで加盟国が一致して平和回復を図る「集団安全保障」の一環とみなし、認めるべきだとの認識で一致した。

メンバーからは、「同じ任務を行っているのに、自分しか守らないのは常識外れだ」「国際的なルールに基づく形で活動するのが基本だ」など、自衛隊の武器使用基準の緩和を求める声が相次いだ。

 懇談会は11月をめどにまとめる提言で、集団的自衛権の行使を禁じた政府の憲法解釈を変更するよう求める方針だ。ただ、自民党の参院選惨敗などで、安倍首相が提言を具体化できるかどうか、不透明な情勢だ。

 首相は10日夕、首相官邸で記者団に「政策を進めていく上においては困難な状況になったと覚悟しているが、私が続投するのはあくまでも政策を前に進めていくためだ」と述べた。
(2007年8月10日23時53分  読売新聞)

2007年7月18日 (水)

国家安全保障基本法問題について

7月11日に書いた集団的自衛権「行使容認」報告の意向 懇談会座長が見解の記事の問題意識をひきつづき考えている。
これを検討する上で、少し古い文献だが以下の二つは重要だと思っている。
ひとつは中曽根康弘の(財)世界平和研究所が2002年3月19日に発表した「国家安全保障基本法要綱案について」http://www.iips.org/nsc2002.pdf#search='%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E5%AE%89%E5%85%A8%E4%BF%9D%E9%9A%9C%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E6%B3%95'、もうひとつは自民党政調の国防部会が2001年3月23日にまとめた「わが国の安全保障政策の確立と日米同盟~アジア太平洋地域の平和と繁栄に向けて」http://web.sfc.keio.ac.jp/~takaki/hpdata/seisaku-038.htmという文書だ。これらと派兵恒久法を合わせた構想が次期通常国会あたりから具体化してくる可能性がある。もとより、今次参院選の結果がこれらの動向に大きく影響して来ることは間違いないが、巷間、語られているように参院選での与野党議席の逆転があり得るとすれば、秋の有識者懇談会の総括提言を契機に、法案の具体的な名称はさておき「国家安全保障基本法」問題が当面の重要課題として与党側から提起されてくることは確実なのではないだろうか。
われわれがこれに向けて可能なかぎり広範な戦線を形成し立ち向かうことが、9条改憲を阻止する上で極めて重要な闘いになる可能性があることを、あらかじめ考慮に入れておかねばなるまい。(高田)

2007年7月13日 (金)

有識者懇メンバーの坂元教授の論理

本日(7月13日)の「毎日新聞」討論の広場は「どう考える 集団的自衛権行使」と題して坂元一哉(大阪大教授)、梅林宏道(ピースデポ代表)、田中秀征(福山大客員教授)の各氏がそれぞれの視点で寄稿している。梅林氏は「国際的マイナス甚大(一度容認すれば武力行使は容易に拡大 『専守防衛』失い周辺国との緊張高める)」、田中氏は「米との一体化は危険(米国に『ノー』と言えないうちは控えよ イスラム圏などへの貴重な立場堅持を)」というもので、それぞれ耳を傾けるに値するものがある。

問題は坂元氏だ。見出しは「9条解釈変更で実現を(現行解釈では防衛体制の土台掘り崩す 法律制定で武力行使拡大の歯止め可能)」となっている。「なるほど」と妙に感心してしまった。彼は安倍首相の私的諮問機関=集団的自衛権問題の有識者懇(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)のメンバーだ。「有識者懇を構成する人びと」というのはこうした論者ばかりだ。彼は国際政治学、日本外交論が売り物の学者で、中西輝政・京大教授や前原誠司・民主党前代表らと同様に故・高坂正尭京大教授の弟子の親米派論客だ。

坂元氏は要旨、次のようにいう。

「集団的自衛権行使についての従来の政府解釈は『権利があるからあなたに助けてもらえるが、行使できないのであなたを助けることはできない』と公言するようなものだ。しかし憲法に米国に向かう核ミサイルの撃墜を禁じる文言があるわけではない。解釈の変更が武力行使に慎重な憲法の精神と齟齬をきたさないように、『行使できる』という解釈に基づく法律の制定が必要になる。そのなかで、できることは『ここまで』と書き込めば歯止めになる」と。

この場合の坂元氏の思考からは「憲法」が全く欠け落ちている(否、正確に言うと、「憲法には核ミサイル撃墜を禁ずる文言はない」という迷言はある)。憲法が軽んじられている、「立憲主義」のなんたるかが全くわかっていないというべきか。

坂元のいう「法律」、たとえば「安全保障基本法」が歯止めになることはあり得ない。こうした法律は、この解釈を成立させるための便法にすぎない。歴代政府の憲法解釈ですら、一内閣(私的諮問機関をつくった安倍内閣)の都合で変更してしまおうとするような安倍政権のことだ。都合がわるくなれば法を修正すれば事足りる。そうなれば4類型の合憲化から、全面的な合憲化へ、絶対に渡れない川は存在しない。

この坂元氏のような輩が、この秋、有識者懇の答申を安倍内閣に出してくる。心しておかなくてはなるまい。(高田)

2007年7月11日 (水)

集団的自衛権「行使容認」報告の意向 懇談会座長が見解

「有識者懇」(柳井座長)は既定の集団的自衛権の行使の容認に向けて、一路、突っ走っている。下記の朝日新聞の記事がそれを物語っている。
柳井氏の結論はすでにある。柳井氏は「(報告書で)法整備の必要性を盛り込む」と述べている。秋以降、「国家安全保障基本法」の問題が浮上することを私たちはあらかじめ折り込んで、これとの闘いを「集団的自衛権行使反対」の闘いの柱に据えていかなくてはならない。
ここでははっきりしていないが、柳井懇談会が、「集団的自衛権の行使」全体を合憲という解釈改憲の立場を打ち出すのか、それとも安倍首相が提起した4類型のみの「行使可能=合憲化」を言うのか。おそらく柳井懇は前者の立場を容認しながら、とくに4類型については「合憲」とする、その場合、公明党の立場を考慮にいれて、国家安全保障基本法での正当化を前提に、集団的自衛権の行使が合憲か、違憲かについては先送りしてもいいということもあり得るのではないか。要、警戒だ。
いずれにしても国家安全保障基本法問題が焦点になるのではないか。(高田)

http://www.asahi.com/politics/update/0710/TKY200707100466.html
集団的自衛権「行使容認」報告の意向 懇談会座長が見解

2007年07月11日03時01分

 集団的自衛権の研究を進めている有識者懇談会の柳井俊二座長(前駐米大使)は10日、朝日新聞のインタビューに答え、集団的自衛権の行使容認を安倍首相に求める報告書を今秋まとめる意向を表明した。政府の憲法解釈では集団的自衛権の行使は禁じられているが、柳井氏は「現実に合わない憲法解釈はもうやめるべきではないか」と語り、解釈変更が必要との認識を示した。

 懇談会は首相の私的諮問機関。首相が検討を指示した4類型のうち、これまで(1)公海上の米艦防護(2)米国向けの可能性があるミサイル迎撃の2点について議論し、いずれも集団的自衛権の行使容認が大勢だった。

 柳井氏はインタビューの中で冷戦終結後の北朝鮮の核・ミサイル問題や中国の軍拡を指摘。そのうえで「背景が変わったのだから憲法解釈も変わってしかるべきだ。みんなの考え方もそういう方向だ」と語り、懇談会の議論に沿った結論を出す考えを明らかにした。

 首相は5月の初会合で、4類型を可能だとする場合には「明確な歯止めを国民に示すことが重要」と要請している。柳井氏はこの点について「歯止めは(自衛隊の海外派遣に関する)一般法など基本的政策を法律の形で表す」と述べ、法整備の必要性も報告書に盛り込む考えを示した。

 また、有識者懇談会の結論について「足して2で割るような結論は出したくない。政治がどこまで採用するかは政策判断の問題」と述べ、参院選後の政治状況にかかわらず行使容認を打ち出す意欲を強調した。

 首相が示した4類型のうち、国連平和維持活動(PKO)などで行動をともにする他国軍への攻撃に自衛隊が対処することは8月8日に議論する。政府はこれを憲法上禁じている海外での武力行使につながりかねないとしてきた。その後、周辺事態などで行う後方支援の範囲を広げる検討をする予定
だ。

 〈集団的自衛権研究〉 安倍首相は4月に有識者懇談会を設置し、(1)公海上の米艦防護(2)米国向けの可能性があるミサイル迎撃(3)PKOなどで他国軍が攻撃された場合に駆け付けて警護する(4)海外での後方支援活動の拡大――の4類型を示し、憲法上どこまでできるのか、集団的自衛権との関係を含めて検討するよう指示した。集団的自衛権は自国と密接な関係がある他国が攻撃された時に反撃する権利で、日本は憲法解釈で行使を禁じている。(1)と(2)、さらに(4)で周辺事態を想定した場合には米国との関係で集団的自衛権の行使が焦点となる。(3)と(4)は、国連の集団安全保障などの活動にかかわる。

2007年6月12日 (火)

有識者懇などに本来何の権威もないのだ

安倍首相が集団的自衛権問題で暴走中だ。「有識者懇談会」などという口にするのもいやになる名称をつけたお友達だけの「私的サロン」で話し合っている内容を、マスコミを通じて垂れ流し、あたかもそれが権威を持った解釈であるかの如きキャンペーンをしている。
本日(6月12日)の東京新聞でインタビューを受けている阪田雅裕・前内閣法制局長官の話は、私とは考えの違うところもあるがそれなりにひとつの見識だ。
とくにこの点は重要だ。

質問・集団的自衛権という権利はあるが、行使できない政府解釈がわかりにくいとの批判がある。
阪田・法律のイロハを知らない人の議論だ。国際法は国家にあらゆる権利を認めている。国際法上権利があるというなら戦力を持つことも出来る。国民の意思で国家の権利を制限しているのが九条だ。

その通りだ。改憲派はこうした姑息な論理のすり替えをやっている。そこで後ろめたいから有識者懇談会などで、権威づけようとしている。有識者懇談会に答申を出させて国家安全基本法などを制定して、例の「4類型」を合憲だと強弁するつもりか、あるいは基本法すら作らないでやってしまうか。
東京新聞の同じ欄で柳井俊二有識者懇座長(元駐米大使)が「(解釈変更するなら、改憲すべきとの意見があるが、と問われて)4類型は解釈の余地が相当あると思う。改憲には何年かかるかわからない。その間、国際環境は待っていない。出来ることはやらないといけない。どこまでやれて、どういう歯止めをかけるか。これからの議論に期待されるところだ」と本音を言っている。そうだ、米国が「待っていられない」といっているのだ。こんな法のなんたるかもまともに知らない人物が、日本から出た国際海洋法裁判所判事だというから恥じ入るばかりだ。(高田)

2007年5月27日 (日)

集団的自衛権行使反対団体共同声明

団体共同声明賛同募集 /東アジアの軍事的緊張を拡大する集団的自衛権の行使に反対する

5月14日の参議院本会議で、安倍内閣と与党は18項目にわたる付帯決議をつけ、自ら欠陥法案と認めたような悪法=改憲手続き法制定を強行し、憲法9条改悪の準備を大きく一歩すすめた。

そ して18日には、明文改憲を待たずに9条の「解釈」を大きく変え、米国と共に戦争のできる体制を整えようと、お手盛りのメンバーを集めてつくった首相の私 的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(通称=有識者懇談会)の初会合を開いた。これは多くの人々が指摘しているように、「はじめに結 論ありき」の人選のもとでおこなわれた、ほとんど「ヤラセ」といってもよいものだ。安倍首相はこのような小手先細工を弄して、歴代の自民党政権ですら憲法 違反だと言ってきた集団的自衛権行使の「合憲化」に踏み切ろうとしている。

「集 団的自衛権の行使」とは自衛の名の下で行われる日米の攻守同盟体制であり、アジア・太平洋の広大な地域で日米両軍が一体になって戦争をすることを可能にす るものだ。安倍首相は「集団的自衛権は数量的概念だ。4つの類型について容認されるかどうか検討する」などといって、強引に憲法第9条の解釈を拡大し、憲 法9条を変える前に、憲法9条の制約を外して、日米共同作戦体制作りを進めようというのだ。このような動きはいたずらにアジアの軍事的緊張を激化させるも のであり、大多数の人々が望んでいる平和の実現にとって百害あって一利なしだ。

憲法をないがしろにする安倍内閣のこのような無法は断じて許されない。

安倍内閣は憲法違反の集団的自衛権行使に道を開く解釈改憲の企てを止めよ

はじめに結論ありきの、首相の私的諮問機関=有識者懇談会を解散せよ

東アジアに戦争を引き寄せる日米軍事同盟の強化反対

安倍内閣は憲法第9条を遵守せよ

以上連名をもって要求する。

呼びかけ団体 

平和を実現するキリスト者ネット/平和をつくり出す宗教者ネット/許すな!憲法改悪・市民連絡会 

愛徳カルメル修道会/姶良ユニオン/姶良伊佐ブロック平和運動センター/アジア共同行動―九州・山口実行委員会/アジア連帯講座/ATTACジャ パン/あだち憲法問題懇談会/新しい反安保行動をつくる実行委員会/厚木市民九条の会/アンポをつぶせ!ちょうちんデモの会/いせ九条の会/インド・パキ スタン青少年と平和交流をすすめる会/うちなんちゅの怒りとともに!三多摩市民の会」/NCC教育部/おおさかピースサイクル/大阪YWCA/岡山カト リック教会 平和共生委員会/沖縄・日本から米軍基地をなくす草の根運動/沖縄一坪反戦地 主会・関東ブロック/改憲に反対する大学人ネットワーク有志/「輝け!九条」新護憲市民の会・神奈川/核とミサイル防衛にNO!キャンペーン/学習ぐるー ぷこすもす/学校事務職員労働組合神奈川/学校に自由の風を!ネットワーク/カトリック正義と平和仙台協議会/神奈川・平和憲法を守る会/かながわ歴史教 育を考える市民の会/関西共同行動/樹花舎/9条の会・おおがき/9条 を広める女たちの会/共生のまちー狛江をめざす会/キリスト者遺族の会/キリスト者政治連盟/原発いらん!下関の会/憲法改悪に反対する会・北九州/憲 法・教育基本法改悪に反対する市民連絡会おおいた/憲法を生かす会/憲法を生かす会東京連絡会/憲法を活かす市民の会・やまぐち/憲法を考える集い/国 連・憲法問題研究会/護憲ネット小金井/「子どもと教科書兵庫県ネット21」/子どもの人権擁護協会/子どもの未来を望み見る会/こまえ九条の会/ごまめ 通信舎/「婚外子」差別に謝罪と賠償を求める裁判を支援する会/在日外国人の参政権を考える会 福井/在日韓国民主統一連合/相模原市民自治を考える会/ 相模原住基ネットを考える会/静岡YWCA/JCJ日本ジャーナリスト会議東海/市民の意見30の会・東京/自由大すき!市民の会/住民アクション新宿/市民運動ネットワーク長崎/市民自治を創る会/市民自治をめざす1000人 の会/銃後に学び未来に活かす会/人権平和・浜松/STOP!改憲・市民ネットワーク/全国一般労働組合全国協議会山口連帯労働組合/全国労働組合連絡協 議会(全労協)/全国労働組合連絡協議会東京協議会(東京全労協)/全石油昭和シェル労働組合/戦争に協力しない!させない!練馬アクション/戦争反対・ 平和の白いリボン神奈川/戦争への道を許さない北・板橋・豊島の女たちの会/戦争への道を許さない女たちの会・札幌/戦争をなくそう!多摩フォーラム/
第九条の会ヒロシマ/多摩女性学研究 会/黙っちゃらんない・神奈川市民の会/千葉高教組東葛支部「ひょうたん島研究会」/東京YWCA/盗聴法(組織的犯罪対策立法)に反対する神奈川市民の 会/東北アジア情報センター
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賛同してくださる団体はkenpou@annie.ne.jp またはFAX03-3221-2558へ御連絡ください。第一次締切は5月27日で、28日の院内集会で発表致します。その後もひきつづきあつめますので、よろしくお願いします。

2007年5月20日 (日)

団体共同声明賛同募集

団体共同声明賛同募集
東アジアの軍事的緊張を拡大する集団的自衛権の行使に反対する

   

5月14日の参議院本会議で、安倍内閣と与党は18項目にわたる付帯決議をつけ、自ら欠陥法案と認めたような悪法=改憲手続き法制定を強行し、憲法9条改悪の準備を大きく一歩すすめた。

   

そして18日には、明文改憲を待たずに9条の「解釈」を大きく変え、米国と共に戦争のできる体制を整えようと、お手盛りのメンバーを集めてつくった首相の 私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(通称=有識者懇談会)の初会合を開いた。これは多くの人々が指摘しているように、「はじめに 結論ありき」の人選のもとでおこなわれた、ほとんど「ヤラセ」といってもよいものだ。安倍首相はこのような小手先細工を弄して、歴代の自民党政権ですら憲 法違反だと言ってきた集団的自衛権行使の「合憲化」に踏み切ろうとしている。

   

「集団的自衛権の行使」とは自衛の名の下で行われる日米の攻守同盟体制であり、アジア・太平洋の広大な地域で日米両軍が一体になって戦争をすることを可能 にするものだ。安倍首相は「集団的自衛権は数量的概念だ。4つの類型について容認されるかどうか検討する」などといって、強引に憲法第9条の解釈を拡大 し、憲法9条を変える前に、憲法9条の制約を外して、日米共同作戦体制作りを進めようというのだ。このような動きはいたずらにアジアの軍事的緊張を激化さ せるものであり、大多数の人々が望んでいる平和の実現にとって百害あって一利なしだ。

   

憲法をないがしろにする安倍内閣のこのような無法は断じて許されない。
      安倍内閣は憲法違反の集団的自衛権行使に道を開く解釈改憲の企てを止めよ
      はじめに結論ありきの、首相の私的諮問機関=有識者懇談会を解散せよ
      東アジアに戦争を引き寄せる日米軍事同盟の強化反対
      安倍内閣は憲法第9条を遵守せよ

   

以上連名をもって要求する。

   

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      呼びかけ団体 平和を実現するキリスト者ネット/平和をつくり出す宗教者ネット/許すな!憲法改悪・市民連絡会 
      賛同団体連絡先・FAX 03-3221-2558  kenpou@annie.ne.jp
      第一次集約は5月27日(日)とし、28日の緊急院内集会(13:30~衆議院第2議員会館第4会議室)で発表します。
      それ以降も賛同団体を集めます。各団体の支部や地域組織などの賛同もそれぞれ1団体として扱います。

                 

2007年5月18日 (金)

緊急院内集会/集団的自衛権行使は憲法違反です

緊急院内集会/集団的自衛権行使は憲法違反です
日時:5月28日(月)13:30~15:30
会場:衆議院第2議員会館第4会議室
(地下鉄永田町駅または国会議事堂前駅徒歩3分、会館ロビーで入場券を配布します)
内容:(スピーチ)集団的自衛権問題、安倍首相のねらうもの
小沢隆一さん(憲法研究者)
(発言) 国会議員、市民など

安倍内閣と与党はこの国会で、大変な悪法=改憲手続き法制定を強行し、憲法9条改悪の準備を大きく一歩すすめました。
あわせて、明文改憲を待たずに9条の「解釈」を大きく変え、米国と共に戦争のできる体制を整えようと、お手盛りのメンバーを集めて「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(通称=有識者懇談会)をつくり、歴代の自民党政権ですら憲法違反だと言ってきた集団的自衛権行使の「合憲化」に踏み切ろうとしています。
事態は極めて重大です。黙っていたら安倍内閣はいっそう暴走するに違いありません。緊急ですが院内集会にぜひおいでください。

呼びかけ:平和を実現するキリスト者ネット03-5272-8312
平和をつくり出す宗教者ネット 03-3461-9363
許すな!憲法改悪・市民連絡会 03-3221-4668

2007年5月14日 (月)

共同通信世論調査 集団的自衛権

本日の東京新聞などに掲載された共同通信社の世論調査、安倍内閣のお手盛り「有識者懇談会」などの策動に痛撃。(高田)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007051301000421.html

見直し必要なしが62% 集団的自衛権の憲法解釈

2007年5月13日 20時34分

 共同通信社が12、13両日に実施した全国電話世論調査で、集団的自衛権行使は憲法で禁じられているとの政府解釈に関し「今のままでよい」が 62・0%と、4月の前回調査より7・4ポイント上回った。解釈見直しを検討する政府の有識者会議の初会合が18日に開かれるが、変更の必要はないとの声 が強まる結果となった。

 安倍内閣の支持率は47・6%と3・4ポイントの増。初めて40%を割り込んだ3月を底に4月に反転し、今回、回 復基調に乗っていることが確認された形。安倍晋三首相が4月下旬の靖国神社の春季例大祭で供物を奉納したことに関し、事実を明確に認めていないことについ ては「適切だと思わない」(62・1%)が「適切だと思う」(32・2%)に大きく差をつけた。

 集団的自衛権行使禁止の解釈で「今のままでよい」が増える一方、「憲法解釈を変更し、行使できるようにすべきだ」との回答は5・0ポイント減の13・3%。「憲法改正し、行使できるようにすべきだ」はほぼ横ばいの19・1%だった。

(共同)