東京:【私説・論説室から】あいまい規定の防衛大綱 2014年1月13日
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【私説・論説室から】あいまい規定の防衛大綱 2014年1月13日
安倍政権が年末に閣議決定した日本防衛の指針「防衛計画の大綱」。意味不明の「グレーゾーン」という言葉が七回、「シームレス(継ぎ目がないこと)」が五回登場する。
ふたつ合わせて、略すとこんな言い方になる。「グレーゾーンの事態にシームレスな対応をする」。理解できる人がいるだろうか。文中に「平時でも有事でもないグレーゾーン」とあるが、法的には自衛隊に防衛出動が命じられる有事か、それ以外の平時しかない。その中間のグレーって、どんな事態だ。
なし崩しの自衛隊出動を連想させる「シームレスな対応」もおかしい。平時から有事に移行するには首相が国会の承認を得て防衛出動を下命する必要がある。今後は状況次第で現場指揮官が判断するのだろうか。
新大綱からは中国への対抗意識が色濃く読み取れる。尖閣諸島をめぐり緊張が高まる事態をグレーゾーンと珍解釈して、臨機応変に対応すればよいというのでは、シビリアンコンロールを放棄するのに等しい。
新大綱には「積極的平和主義」も登場した。憲法の平和主義とはまるで違う「武力行使もあり」の考え方だ。特定秘密保護法でみられたように安倍政権はあいまい規定がお好きだ。目的や命令に解釈の幅があってはならない軍事にもかかわらず、この書きぶり。なぜあいまいにしたのか意図が疑われ、危険がにおう大綱といわれても仕方ない。 (半田滋)
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