集団的自衛権~「朝雲」のいらだち
http://www.asagumo-news.com/homepage/htdocs/column/sungen/sungen131114.html
朝雲寸言
年の瀬が近くなると「越年」という言葉が聞こえてくるが、集団的自衛権の行使を禁じる憲法解釈の見直しも、来年の夏ごろまで先送りされるという。
見直しに慎重な公明党との調整が進んでいないためだ。だが、先送りによって生じる影響は、集団的自衛権の問題だけにとどまらない。そのことを国会の先生方は、どれだけ認識しているのだろうか。
例えば、12月には初の「国家安全保障戦略」と新たな「防衛計画の大綱」が策定されるが、そこには、憲法解釈の見直しなどの重要政策は何一つ反映されない。どちらも、10年先を見据えた安全保障政策の根幹であり、日本の姿勢を内外に示す機会を失うことになりかねない。
それ以上に深刻なのは、集団的自衛権を巡る国会審議を入り口として、主権国家の1丁目1番地である個別的自衛権の行使を巡る問題について、議論できる好機が遠のいてしまったことだ。
平時と有事の境があいまいな時代の中で、日本は戦争(有事)でなければ、自衛権が行使できないという異質な国だ。尖閣諸島を警備する海保の巡視船が窮地に陥っても、自衛隊にできることはほとんどなく、北朝鮮の弾道ミサイルを海自艦が大気圏外で迎撃する行為も、現行規定は国際法に抵触する疑いがある。
中国と北朝鮮の脅威と真剣に向き合えば、憲法解釈の見直しなど日本の安全に関わる欠陥を放置したまま、のんびりと正月気分に浸ることなどできないはずだ。
(2013年11月14日付『朝雲』より)
« 集団的自衛権、賛否割れる=横路・前原氏から意見聴取-民主 | トップページ | 安倍首相:長く厳しい1年…野田前首相の解散表明後を回顧 »
「集団的自衛権」カテゴリの記事
- 集団的自衛権・閣議決定と首相記者会見(2014.07.02)
- 集団的自衛権の閣議決定案全文(2014.06.29)
- 自民でうごめく旧主流3派 集団的自衛権で政権牽制、めった切りも(2014.03.30)
- 集団的自衛権「憲法解釈変更は閣議決定」(2014.02.20)
- 集団的自衛権 首相「法案を提出」(2014.02.11)