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許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2013年11月

2013年11月29日 (金)

【特定秘密保護法案】「秘密国家へ道、廃案に」 分野超え、ノーベル賞学者ら会結成

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/list/CK2013112902100004.html

【特定秘密保護法案】「秘密国家へ道、廃案に」 分野超え、ノーベル賞学者ら会結成

 高まる懸念を置き去りに、衆院で採決が強行された特定秘密保護法案の成立を阻むため、学者らが分野を超えて決起した。二人のノーベル賞受賞者を含む三十一人が「特定秘密保護法案に反対する学者の会」を結成。「法案は憲法の基本的人権と平和主義を脅かす立法で、直ちに廃案とすべきだ」との声明を二十八日発表した。 

 メンバーには、ノーベル物理学賞の益川敏英・名古屋大特別教授、化学賞の白川英樹・筑波大名誉教授のほか、法学、経済学、哲学などの著名学者らが名を連ねた。インターネットを通じ、三百人以上の学者が賛同の意思を示しており、さらに増える見込み。

 政治的な問題で、幅広い分野の学者が団体をつくり、反対の態度を表明するのは異例。大きなうねりとなれば、岸信介内閣だった一九五〇年代に、ノーベル物理学賞の湯川秀樹らが憲法問題研究会をつくって改憲反対の立場を表明して以来、半世紀ぶりとなる。

 声明では「知る権利や国政調査権が制限され、表現や学問の自由が侵害される恐れがある」と指摘。「市民の目と耳をふさぎ、『秘密国家』『軍事国家』への道を開く」と廃案を求めた。衆院で採決強行の末に法案を通過させた自民党の姿勢にも「戦争へと突き進んだ戦前の政府をほうふつとさせる」と抗議した。

 記者会見で久保亨・信州大教授(歴史学)は「日本は世界的に見て、公文書管理や情報公開の取り組みが遅れている国。なぜこんな法律をつくるのか」と疑問を投げかけた。

 改憲に反対する「九条の会」の事務局長も務める小森陽一・東大教授(文学)は「政府が憲法違反の決定をしても秘密にされる。秘密保護法ではなく『秘密隠蔽(いんぺい)法』だ」と憤った。
◆国民が危機感持たねば 益川敏英・名大特別教授

 益川敏英・名古屋大特別教授は会見には出席しなかったが、二十八日、本紙の電話取材に応じた。

 政治をやる上で、秘密にし続けなければならないことはありません。外交や国防に関する内容であっても、後から必ず公開されるのが大原則です。無制限に秘密を指定できる法案を通せば、恐ろしいことが起こります。国民は、政治の決定プロセスが明らかにならないことに、だんだん慣れてしまうでしょう。社会というのはなし崩し的に変わる。安倍晋三首相の施策からは「日本を戦争ができる国にする」という意図が透けて見えます。

 今回、専門分野を超えてこれだけの学者が集まったのは、国民全般の生活に関わるからです。それだけの危機感を持たなければならない問題なのです。

雑記(310)九条りんご

九条リンゴです。実はこの黒いテープをはがすと、白く文字が浮かび上がるのですが。
201311290738

2013年11月28日 (木)

琉球新報社説 県連公約撤回 民意を裏切る行為だ 議員辞職し信を問え

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-215905-storytopic-11.html
琉球新報社説 県連公約撤回 民意を裏切る行為だ 議員辞職し信を問え2013年11月28日

 自民党県連が県議の議員総会を開き、米軍普天間飛行場の辺野古移設容認を決めた。県議らは県外移設を公約していたから、公約の撤回だ。公約を媒介に有権者と候補者が契約を結ぶという代表制民主主義を根底から破壊した。
 それだけではない。沖縄の政治家の公約の軽さを全国に発信した。恫喝(どうかつ)に屈して節を曲げる大人の姿を子どもたちに見せてしまった。自らが県民の命と人権を脅かす側に回る罪深さを自覚しているのか。
 公約を撤回する以上、有権者との信託関係は消滅した。自民党県連の県議は全員、議員の職を辞し、信を問うべきだ。

近現代史に残る汚点

 県連は、党本部と県関係国会議員が合意した内容を進めるという。「普天間の危険性除去へ、辺野古移設も含めあらゆる選択肢を排除しない」というのがそれだ。県外移設も排除しないのだから公約撤回ではないと強弁したいのだろうが、詭弁(きべん)でしかない。
 昨年6月の県議選で、自民党県連の県議15人のうち、無投票の2人と回答保留の1人を除く12人全員が、移設先について「県外」ないし「県外・国外」を公約に掲げていた。「県内」を主張していた者は一人もいない。今後、彼らの公約を信じられるだろうか。
 県議会は2010年2月、「県内移設に反対し、国外・県外移設を求める意見書」を、自民会派も含む全会一致で可決した。ことし1月には超党派の県議団が県内の全市町村長とともに県内移設断念を求める「建白書」を政府に提出した。県連の決定は、民意もこれらすべても裏切る行為である。
 党本部は今回、離党勧告をちらつかせていた。自民党国会議員も県連も、自分の保身のために沖縄を売り渡したに等しい。沖縄の近現代史に刻まれる汚点だ。
 彼らは普天間固定化の危険を方針転換の理由に挙げる。だがキャンベル前米国務次官補は「普天間で事故が起きれば住民の支持は壊滅的打撃を受ける」と述べ、米上院の重鎮マケイン氏も新駐日大使にその危険を警告した。固定化は、実は米側こそが避けたい事態であることを示している。
 こうした情報を収集しようともせず、沖縄に基地を押しつけておきたい側の言をうのみにしたのでは、分析能力が問われよう。
 西銘恒三郎衆院議員は「ボクは、正直だ」と公約違反に居直り、島尻安伊子参院議員は「待望の子どもが生まれた時にはみんなでお祝い」と、辺野古容認を無邪気に称揚した。侮辱的発言だ。

政府がネック

 キャンベル氏もデミング元米国務副次官補も、現行計画と別の選択肢の必要性を示唆している。現行計画をごり押しする言動を繰り返したアーミテージ元米国務副長官ですら、現行案と違う計画「プランB」の必要性を唱えていた。
 米国の財政悪化は深刻で、軍事費削減は焦眉の急である。海兵隊3個師団を2個に減らすことも決定事項だ。黙っていても在沖海兵隊は撤退の流れにある。なのにそれが表面化しないのは、日本政府が妨害しているからではないか。
 復帰後の1972年10月、米国防総省が在沖米海兵隊基地の米本国統合を検討していたのに、日本政府が引き留めたことが豪州の公文書で明らかになった。2005年の米軍再編協議でも、米側が県外移設を打診したのに日本側が受け付けなかった事実がある。
 沖縄の基地負担軽減のネックになっているのは日本政府なのだ。「県外移設などとんでもない」と言い放つ菅義偉官房長官の口ぶりに、政府の体質が表れている。
 県連は今後、知事に埋め立て承認を働きかけるというが、沖縄に犠牲を強いる先兵になるというのか。「県外」を堅持し気骨を見せる那覇市議団には、今の姿勢を貫いてもらいたい。沖縄さえ拒否の姿勢を続けていれば、現行案の断念は時間の問題なのだ。そうした情勢を冷静に見極めておきたい。

国家安保会議法成立 秘密法案は参院審議 解釈改憲への第1弾

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013112802000144.html

国家安保会議法成立 秘密法案は参院審議 解釈改憲への第1弾

2013年11月28日 朝刊

 外交・安全保障政策を協議する日本版「国家安全保障会議(NSC)」創設関連法が二十七日、可決、成立した。来月四日に発足する。特定秘密保護法案も参院で審議入りした。安倍晋三首相にとって、会議の設置は政府の憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を容認するなど、自衛隊の海外派兵路線の第一段階。秘密保護法案まで成立すれば、外交・防衛政策に関する情報は政権の意のままに隠せ、重要な政策変更も検証できなくなる恐れがある。 (関口克己)

 NSC法は首相、官房長官、外相、防衛相で構成する「四者会合」の新設が柱。外務、防衛などの関係省庁に分かれている情報を一元化し、首相官邸の主導で外交・安全保障政策の迅速な決定を目指すとしている。

 「官邸主導」「迅速な決定」を理由にして、首相と少人数の閣僚だけが機密情報に触れ、日本の外交・防衛政策を短時間で決められる仕組みをつくるものだ。

 しかも、もし今国会で秘密保護法案がNSC法とセットで成立すれば、政府は議論の中身や判断の材料となった情報の大半を「特定秘密」に指定する見通しだ。そうなればNSCは完全に「ブラックボックス」となる。議事録の作成も義務づけられていないため、国民はその決定が正しかったのかどうか検証さえできなくなる。

 NSCで最初に大きなテーマとなるのが、国家安全保障戦略だ。そこでは、平和国家として武器輸出を原則的に禁止してきた「武器輸出三原則」を抜本的に見直すことが検討されている。

 秘密保護法案では、武器に関する情報は六十年を超えて秘密指定できる「例外」の一つになっている。武器輸出三原則の見直しという日本の防衛政策の転換を検証する道が閉ざされる可能性もある。

 さらに、安倍首相は国外で同盟国が攻撃されたときに反撃できる集団的自衛権を行使できるよう、政府の憲法解釈を変えることに意欲を示している。現在、首相の私的諮問機関である有識者会議で議論を進めていて、その報告書を受けて解釈変更に踏み切ろうとしている。NSCは政府として議論し、最終的に決定する場となる。

 NSC法の採決では自民、公明、民主、みんな、日本維新の会、新党改革の各党が賛成。共産、社民、生活の党の三党が反対した。

2013年11月27日 (水)

【社説】特定秘密保護法案 国民軽視の強行突破だ

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013112702000131.html
東京新聞社説【社説】特定秘密保護法案 国民軽視の強行突破だ

2013年11月27日

 広く疑念の声があがる特定秘密保護法案が衆院の本会議で可決した。巨大与党が力ずくで、渦巻く反対論をねじ伏せたのだ。強行突破は看過できない。

 福島で二十五日に開かれた地方公聴会は、いったい何のためだったのだろう。首長や学者ら七人が意見を述べたが、賛成者は一人もいなかった。「慎重に、国民のために議論を尽くすことが大切だ」「外国の信頼よりも、国民の信頼を得るべきだ」-。もっともな意見が続出した。

 とくに原発事故で放射能の拡散予測が隠された体験があるだけに、「一番大切なのは情報公開だ」と語った人もいた。
◆数の力でのおごりだ

 その翌日に衆院の本会議で、一部野党との修正協議を経た法案が、駆け足で可決された。つまり、福島の公聴会はたんなる“儀式”にすぎず、与党は耳をふさぎ、尊重もしなかったのだ。あまりに乱暴である。

 さまざまな危うさが指摘される秘密保護法案であるため、報道各社の世論調査でも「慎重審議」を求める意見が、60%台から80%台を占めていた。国民の声すら軽視したに等しい。

 与党は圧倒的な数の力におごっている。修正案に加わった日本維新の会さえ、この採決には退席した。この強行可決をあえて暴挙と呼ぼう。

 修正案自体も評価に値しない内容だ。秘密の有効期間は最長三十年だったが、「六十年を超えることができない」という規定が加わったため、「六十年原則」の方が幅を利かせる恐れがある。

 その場合も七項目の例外が設けられていて、中には「政令で定める重要な情報」という、あいまいな言葉が挿入されている。これでは半永久的に国民から重要情報が遮断されてしまう。
◆議員こそ反対の先頭に

 特定秘密の指定や解除などについて、首相が「その適正を確保するため(中略)指揮監督する」という条文も、効力を発揮しないだろう。首相は行政機関の「長」の上に存在する「長」であるから、公正な審判役たりえない。

 約四十万件とも見積もられる特定秘密の膨大な文書に対し、首相がいちいち目を通すはずもない。全くの空文である。

 有識者会議もたんに基準を示すだけの存在だ。本当に実質的な秘密に値するかどうかのチェックは、司法権さえからも受けない仕組みなのだ。

 付則では「独立した公正な立場において検証し、監察する新たな機関の設置」が書かれた。だが、あくまで検討事項にすぎないし、具体的な中身も不明である。法案が抱える欠陥を補えるとは到底、期待できない。

 国会への特定秘密の提供も付則に記されたものの、その方策はやはり検討事項にとどまる。この法案が国権の最高機関さえ素通りし、官僚機構が情報支配を進める原点に変わりはないのだ。

 問題のありかは特別委員会の審議を経ても山積している。衆院本会議で可決・通過したので、次は参院に移る。もっと議論して、廃案に持ち込んでほしい。

 とくに憲法の観点から疑念が持たれている点を重視すべきである。国民主権や基本的人権、平和主義の三大原則から逸脱していることだ。

 いわゆる「沖縄密約」や「核密約」などの問題は本来、活発に議論されるべき国政上の大テーマである。これに類似した情報が特定秘密に指定されると、国民は主権者として判断が下せない。

 国会議員といえども、秘密の壁に阻まれてしまう。仮に情報を得たとしても、政策秘書や所属政党に口外すると、処罰対象になる。議員は院内での免責特権があるものの、国会追及はとても期待はできないだろう。

 国政上のテーマについての言論を封じ込める法案とは、ほとんど情報統制の世界に近い。国会議員自身の問題でもある。どれだけの議員が、この深刻さを理解しているか。本来は議員こそ反対の先頭に立つべきなのだ。

 軍事面に過度に傾いている法案であるうえ、安倍晋三内閣は来年にも集団的自衛権の行使ができる「国家安全保障基本法案」の提出をめざしている。平和主義とも相いれないはずだ。
◆三角形は美しく保て

 特定秘密の取扱者は、飲酒の節度や借金などまで調べ上げられる。調査は親族にも及ぶ。人権上の懸念が持たれるのも当然だ。反原発運動など、さまざまな市民活動の領域まで、公権力が監視する心配も濃厚だ。

 行政権だけが強くなる性質を持つ法案である。民主主義の三角形を美しく保つためにも、あらためて反対表明をする。

2013年11月23日 (土)

朝日社説:秘密保護法案―これで採決などできぬ

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_gnavi#Edit1
朝日社説:秘密保護法案―これで採決などできぬ

 特定秘密保護法案は、表現の自由という基本的人権にかかわる法案だ。たった2週間あまりの審議ですませるなど、とうてい認められない。

 自民、公明両党と修正案で合意した日本維新の会も含め、野党側は、与党が求める26日の衆院通過に反対している。当然である。

 仮に、採決を1日や2日延ばしたところですむ話ではない。さらに時間をかけた徹底審議が必要だ。

 与党と維新、みんなの党の4党修正案には、あまりに不可解な点が多い。

 特定秘密の指定期間について、与党は「原則30年」といっていたのが、いつの間にか実質的に60年に延びてしまった。しかも、60年を超えられる幅広い例外が認められている。

 また、法施行から5年の間に秘密指定をしなかった役所には指定権限をなくすという。秘密指定ができる役所を絞るためだというが、これでは逆に多くの役所に秘密づくりを奨励するようなものではないか。

 こんな矛盾や疑問を4党はどう説明し、政府はどう運用しようとしているのか。一つひとつ明らかにしていくだけでも、相当の時間がかかる。

 加えて、民主党が独自の対案を5本も出しているのだ。時間をかけるのは当たり前だ。

 審議入りから約10日後の民主の対案提出に、与党は「遅すぎる」と批判する。だが、審議にたえる法案をつくるには時間がかかる。この批判こそ、与党の性急さをかえって浮き彫りにしているのではないか。

 与党が各党と修正協議をしている間、特別委員会での審議は、たるみ切っていた。

 与党側には空席が目立ち、野党の質問に森雅子担当相は「修正協議の内容にかかわるので控える」と繰り返す。議場での質疑より密室での取引のほうが大事だと言わんばかりである。

 こんな茶番が続く一方、国会の外ではこの法案に反対する声が強まっている。

 東京・日比谷でおととい開かれた集会には、主催者発表で約1万人が集まり、法案への反対を訴えた。同様の集会は、大阪、名古屋でもあった。

 この法案が単に取材をめぐる政府と報道機関の関係にとどまらず、市民社会にも大きく影響する問題をはらんでいるとの認識が広まっている表れだ。

 衆院特別委は来週、福島市で公聴会を予定している。これだけに終わらせず、中央公聴会も開いて一人でも多くの国民の声を聴くべきだ。

2013年11月22日 (金)

空中給油機を増強へ-防衛省=与党PT、大綱議論着手

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol
空中給油機を増強へ-防衛省=与党PT、大綱議論着手

 防衛省は新たな防衛大綱に、航空自衛隊の空中給油機増強を明記する方針を決めた。現在4機の空中給油機を2倍程度に増やす。22日に行われた与党の安全保障に関するプロジェクトチーム(PT)で明らかにした。沖縄県・尖閣諸島周辺空域では中国機が領空近辺を飛行し、空自戦闘機が緊急発進(スクランブル)する事態が続いている。空中給油機を増やすことで、南西諸島空域の防空体制の強化を図る。
 自民、公明両党の与党PTは今回が初会合。内閣官房と防衛省が12月中旬に策定する国家安全保障戦略と防衛大綱について、それぞれ現状を説明した。防衛大綱に関しては、機動性の高い装備を増やす必要があるとの認識で一致した。 (2013/11/22-12:17)

2013年11月21日 (木)

琉球新報社説 RSSicon 名護市意見案 埋め立ての不当性暴いた 不承認の結論は自明だ

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-215592-storytopic-11.html
社説 RSSicon 名護市意見案 埋め立ての不当性暴いた 不承認の結論は自明だ2013年11月21日

 まことに論理的な内容だ。名護市が米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に対する市長意見の案をまとめた。
 23ページにも上る大部の意見だ。国の埋め立て計画の非合理性を一つ一つ丁寧に突く内容は、説得力に満ちている。計画の不当性を鮮明に暴き出した。
 合理的な指摘の数々だ。正当に受け止めるなら、知事はよもや埋め立て承認などできまい。国も、この意見に論理的に反論できないのなら、潔く断念すべきだ。

 膨大な土砂

 意見案は明快で、意見の一つ一つが論理に裏付けられている。
 最も説得力ある論点の一つは、大量土砂の問題だ。県庁舎70棟分にも上る大量の土砂が辺野古沖と大浦湾の美しい海に投入される。しかもその8割が県外からだ。外来種が混入し、貴重な生態系がかく乱されるのは間違いない。
 対策について埋め立て申請は「外来生物法に準拠した対策を講じる」と抽象的に書くだけだ。外来生物の混入がないか、1700万立方メートルにも上る膨大な土砂から誰がどうやって確認するのか。意見案が指摘する通り、「供給元での駆除」も「駆除の証明」も何一つないずさんさだ。「これでは混入防止はほぼ不可能」という意見案の論理は当然の帰結であろう。
 公有水面埋立法第4条3項は、埋め立てが環境保全に関する国や自治体の計画や法規に抵触しないことを要件としている。国はやんばるを世界自然遺産に登録しようとしているが、登録には、外来種移入阻止に向けた徹底した対策が必要だ。膨大な土砂で埋め立てるのは明らかに矛盾で、国の「計画」に抵触している。
 県も「自然環境の保全に関する指針」の中で、大浦湾の海域を最も厳しい「ランク1」に指定している。その海を破壊する行為は県の指針に反するはずだ。
 国の評価書はジュゴンがこの海域を「利用していない」とし、埋め立てが「存続にあまり影響しない」と結論付けたが、国自身の調査により予定地内でジュゴンの食(は)み跡が確認された。しかし公表はしなかった。絶滅危惧種のウミガメが毎年、辺野古の浜に上陸している事実も同様だ。
 ジュゴンの餌となる海藻藻場も、国は移植するというが、機械移植も手植え移植も失敗している。通常10%以下のサンゴの被度が辺野古は4割に達する点も見ようとせず、評価書は「サンゴ類の生息状況は良好でない」と書く。市意見案はそれらを列挙し、「不都合な真実を隠してきた姿勢は環境影響評価の基本理念の無視」「科学的でも民主的でもない」と指摘した。正鵠(せいこく)を射ている。

住民の安全が最優先

 埋立法第4条1項2号は、埋め立てが「環境保全および災害防止への十分な配慮」を求めている。辺野古埋め立てが「環境保全」への配慮を欠くのは既に述べた通りだが、市長意見案は「災害防止」への配慮も欠く、と指摘する。
 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが配備される事実は、市が指摘するように、「市民が意見を出すことのできない最終段階の評価書で明らかにした」。国が「住宅地上空は飛ばない」証拠として示した台形の飛行経路も、最終段階で楕円(だえん)形となり、宅地上空飛行が判明した。隠蔽(いんぺい)続きの国の姿勢に照らせば、配備後の安全など信用できるはずもない。騒音被害も目に見えている。埋め立てが「住民の安心・安全を保障する地方自治体の最重要責務の遂行を危うくする」という主張はうなずける。
 埋立法第4条1項は埋め立てが「国土利用上、適正かつ合理的」でなければ承認してはならないと定める。そもそも辺野古移設は海兵隊のグアム・豪州移転と整合性がない。内外の識者は他の方策を講じるよう提言している。
 県内移設は「唯一有効な解決策」などではなく、事業は「適切性」を欠く。いかなる観点からも承認できないのは自明であろう。

朝雲が自衛隊のソマリア多国籍部隊参加を礼賛

http://www.asagumo-news.com/homepage/htdocs/column/sungen/sungen131121.html

 朝雲寸言

 アフリカ・ソマリア沖で続く海賊対策。17次隊となる今回の派遣から、海上自衛隊は各国海軍で構成される多国籍任務部隊「CTF151」に参加する。

 活動内容も変わり、アデン湾の東西を航行する商船団の前後を、2隻の護衛艦が警護する従来のエスコート方式から、商船の隻数に応じて、1隻が随伴し、もう1隻は各国海軍と共に特定海域を監視するゾーンディフェンス方式を採用する。

 海自の海賊対処も新たな段階を迎えたようだ。過去4年、活動を無事やり遂げたという験を担いだわけではないだろうが、11月13日、広島県呉基地から船出したのは、1次隊と同じ「さざなみ」「さみだれ」という顔ぶれだった。

 ソマリア沖の海賊被害は、襲撃件数が年間237件に達した一昨年をピークに激減、昨年は73件、今年も9月末までで10件だけ。極暑の洋上で続く各国軍の献身的な協力に加え、小銃などを携行した民間武装ガードが商船に乗り込み、海賊の襲撃を抑止し始めているという背景もある。

 ジブチを拠点にして、空から監視する海自航空部隊の存在も忘れてはならない。飛行時間は約8000時間。平均1時間に1度は、海賊とみられる不審船の情報を航行する各国艦船に提供しているという。

 早晩、海賊対策も転機を迎えるだろう。しかし、テロとの戦い以来、インド洋で続く多国間協力を途切れさせてはならない。海自がCTF151に初参加する意義はそこにある。
(2013年11月21日付『朝雲』より)

2013年11月19日 (火)

名護市長が異例の意見案 辺野古埋め立て「断固反対」

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013111901001626.html

名護市長が異例の意見案 辺野古埋め立て「断固反対」

2013年11月19日 14時06分

 沖縄県名護市の稲嶺進市長は19日、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古沿岸部への県内移設に「断固反対することが市民の強い決意だ」として、移設に向け政府が県に提出した埋め立て申請を承認しないよう知事に求める市長意見案をまとめた。

 22日に開く臨時市議会の議決を経て、県に提出する。市議会では賛成多数で可決される公算が大きい。国内の公有水面の埋め立てで地元首長が反対意見を出すのは極めて異例。12月以降に仲井真弘多知事が判断する埋め立て承認の可否に影響を与える可能性がある。


http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013111900632

辺野古移設へ環境整備を=安倍首相、自民幹事長に指示

 安倍晋三首相は自民党の石破茂幹事長と19日午後、国会内で会談し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に関し「一つ一つ進めてほしい」と述べ、「県外移設」を主張している同党沖縄県連などへの説得を急ぐよう指示した。政府・自民党は仲井真弘多知事が年内に辺野古埋め立て許可を表明できるよう、環境整備を進める方針だ。
 これに先立ち、石破氏は国会内で、同党の沖縄県選出国会議員と会談。石破氏は昨年の衆院選で県外移設を公約に掲げた国場幸之助、宮崎政久、比嘉奈津美の3氏に対し、政権の方針に沿って辺野古移設を容認するよう求めた。(2013/11/19-16:13)

教科書検定―「重大な欠陥」の欠陥

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_gnavi#Edit1
教科書検定―「重大な欠陥」の欠陥

 執筆者と教科書会社を萎縮させる「改革」はやめるべきだ。

 文部科学省が教科書検定の基準改定を打ち出した。

 一番の問題は、「改正教育基本法の教育目標などに照らし、重大な欠陥がある場合」は不合格にできるという点だ。

 その教育目標には、愛国心や郷土愛、国際協調の態度を養うといった項目がある。具体的には歴史や公民の教科書検定にかかわってくる。

 「目標に照らして重大な欠陥があれば、個々の記述の適否を吟味するまでもなく不合格とする」と下村文科相は説明する。

 個々の記述を吟味しないで、全体として重大な欠陥があるなどと判断できるのか。

 一つ一つ記述を積み上げ、あれもこれも一つの史観に偏っているから不合格だと言われるならまだしも反論はできる。が、「全体に自虐的だ」とか「自国中心主義に過ぎる」とか切り捨てられてしまうならば、抗弁も検証もしようがない。恣意(しい)的な検定になる危険がある。

 歴史学者の家永三郎氏との30年を超える教科書裁判で、国が史実の解釈に介入する是非が問われた。この経験から文科省は価値観への立ち入りを控え、学説に基づく客観的な指摘中心の検定姿勢にシフトした。日本の歴史教科書は他国より冷静で客観的だという評価が、海外の学者から出るようになった。

 書き手や出版社が、指導要領の枠内で特色ある教科書を自由に作り、採択を競い合う。そのことが教科書の質を高め、記述の妥当さを支えてきた。

 今回の改定方針は、その大転換になりかねない。抽象的な基準で不合格にされるかもしれないとなれば、執筆者や出版社は萎縮する。検定制度の根幹である多様さと客観主義が損なわれる。撤回すべきだ。

 文科省は、政府見解がある場合はそれをふまえた記述にすることも求めている。

 賛否にかかわらず自国の公式見解を知っておく必要はある。ただ、今でも、政府見解がある領土問題や、諸説ある南京大虐殺の犠牲者数の記述には、しばしば検定意見がつく。複数の説に目配りする定めがすでに検定基準にある。政府見解を強調する意図には首をかしげる。

 「もちろん、政府見解と違う見解を併記することまで否定しない」と文科相は語る。

 検定はこの一線を越えてはならないし、書く側も異論の併記をためらうべきではない。それが文科省のいう「バランスよく教えられる教科書」を作るために最も大切なことだからだ。

普天間ねじれ:自民県連「県外公約」に再考迫った官房長官

http://mainichi.jp/select/news/20131119k0000m010077000c.html

普天間ねじれ:自民県連「県外公約」に再考迫った官房長官

毎日新聞 2013年11月18日 21時19分(最終更新 11月18日 22時07分)
 ◇辺野古埋め立て申請の年内承認引き出す布石

 菅義偉(すが・よしひで)官房長官が18日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県外移設を掲げる自民党沖縄県連に対し、強く再考を迫った。仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事から同県名護市辺野古沖の埋め立て申請に対する「年内承認」を引き出すため、一気に攻勢に出た形だ。県連側は月内に改めて見解をまとめる方針を示したが、県連は今夏の参院選でも「県外」を訴えており、曲折も予想される。

 自民党沖縄県連の翁長政俊(おなが・まさとし)会長は18日、国会内などで菅氏や自民党の石破茂幹事長、小野寺五典防衛相らと相次いで会談。石破氏から「県外を進めれば(移設が滞り)普天間の固定化がほぼ確実になる」と迫られた翁長氏は、記者団に「もう一度洗い直し、検討せざるを得ない」と述べ、「県外」公約の見直しに含みを残した。

 沖縄県連は2009年衆院選で県選出の衆院議員がゼロになって以降、世論重視の立場から各種の選挙で「県外」を掲げてきた。昨年12月の衆院選後に党本部の意向で県選出国会議員5人のうち2人が「県内」に転じたが、県連は「県外」の主張を維持している。

 移設が焦点となる来年1月の名護市長選では、反対派の現職に対し、容認派が推す候補者2人が立候補を表明している。石破氏は県連主導での一本化を強く要請。地元の容認派が結束すれば仲井真氏の判断を後押しできるとの読みがあり、石破氏は記者会見で「最大与党の自民党が辺野古容認を打ち出せば、知事に少なからぬ影響を与えるだろう」と強調。菅氏も県連幹部に「県連が今のスタンスでは、知事の了解を得るのは厳しい」とくぎを刺した。

 沖縄では菅氏や石破氏が「普天間の固定化」に言及したことに反発が出ている。県幹部は18日、「危険性の除去は政府の仕事だ。辺野古が無理なら固定化という考えはいかがなものか」と批判した。仲井真氏も今月1日の記者会見で「固定化という発想が出てくるのは堕落だ」と強い不快感を示している。

 県選出国会議員5人は18日夜、国会内で翁長氏らと対応を協議したが、「県外」を主張する3議員は考えを変えず、結論は出なかった。【井本義親、青木純】

2013年11月18日 (月)

【私説・論説室から】積極的平和主義って何? 2013年11月18日

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2013111802000145.html

【私説・論説室から】積極的平和主義って何? 2013年11月18日

 安倍晋三首相が最近、よくいう「積極的平和主義」とは何だろうか。

 九月二十六日の国連総会で安倍首相は「積極的平和主義の立場から、PKOをはじめ、国連の集団安全保障措置に、より積極的に参加できるよう図ってまいります」と演説した。

 「PKO」とは、国際紛争を解決し、平和を維持するため、国連が加盟国に参加を呼びかける国連平和維持活動のこと。日本は一九九二年から参加し、自衛隊は道路補修などの後方支援分野で活動している。

 もうひとつの「国連の安全保障措置」とは、平和の脅威となる国への禁輸措置などの経済制裁のほか、武力行使が含まれる。クウェートに侵攻したイラクを撤退させた湾岸戦争の多国籍軍がこれにあたる。

 安倍首相は多国籍軍への参加までは言及していないが、集団的自衛権行使の解禁を検討する首相の私的懇談会の北岡伸一座長代理は十月十六日の記者会見で「憲法解釈を変えなければならないのは、集団的自衛権と集団的安全保障のことである」と明言した。

 経済制裁に参加するのに、憲法解釈を変える必要はない。北岡氏の説明は、集団的自衛権行使とともに海外における武力行使の解禁を検討していくとの意思表示にほかならない。

 平和の前に戦争あり。「積極的平和主義」とは日本国憲法の三本柱のひとつ、「平和主義」とはまるで違うようだ。 (半田滋)

自衛隊訓練に部隊不在、欠点も浮上…台風余波

http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20131118-567-OYT1T00345.html
自衛隊訓練に部隊不在、欠点も浮上…台風余波
読売新聞2013年11月18日(月)10:48

 国内外で多発する台風被害への対応に追われる自衛隊が、相次ぐ訓練中止に頭を悩ませている。

 沖縄県で実施中の大規模演習では、伊豆大島やフィリピンでの救援活動に輸送艦を派遣したことから、メーンの離島奪還訓練を一部取りやめ。米軍輸送機MV22オスプレイを使う予定だった高知県での日米共同訓練も、台風の接近で中止された。自衛隊の輸送力不足も明らかになり、幹部は「今後、訓練の穴をどう埋めていくかが課題」と複雑な表情だ。

 沖縄本島南東、沖大東島上空に航空自衛隊のF2戦闘機が飛来し、爆弾を投下。海上からは護衛艦「あしがら」「おおなみ」が艦砲射撃を加え、陸上部隊の上陸を支援する――。こんな想定の訓練が12日、現地で行われた。ただそこに、肝心の上陸部隊の姿はなかった。

 今月1日から18日まで、自衛隊が沖縄方面などで行っている訓練には、過去最大規模の約3万4000人が参加。中国の海洋進出などをにらんで、先島諸島に初めて対艦ミサイル部隊を配置し、国内初の実戦的な離島奪還訓練も実施する予定だった。

 米軍が普段、爆撃訓練などに使っている沖大東島を舞台にした離島奪還訓練では、「西部方面普通科連隊」(長崎県)の約100人が上陸部隊として、ボートで海岸近くまで迫ることになっていた。ところが海自の輸送艦「おおすみ」が伊豆大島の災害対応で出動し、同連隊員の輸送ができなくなったのだった。

 海自の輸送艦は計3隻で、他の2隻は整備中などだった。「おおすみ」は18日から、台風被害を受けたフィリピンでの活動に出発するなどフル稼働の状態が続き、自衛隊トップの岩崎茂・統合幕僚長は7日の記者会見で「自衛隊の輸送力は必ずしも十分ではない。民間(船舶)の活用も含め、考えなくてはならない」と語った。

 今年の秋はほかにも、台風の影響で訓練の中止や内容変更が相次いでいる。

 米韓豪などが参加し、9月下旬に相模湾で行われた潜水艦救難訓練は、台風による高波の影響で一部の国が参加を取りやめた。10月に高知県で予定されていたオスプレイを使用した日米共同訓練も、台風27号による災害に備えて中止。海自が今月下旬まで沖縄近海で実施する日米共同訓練も、米空母「ジョージ・ワシントン」がフィリピンでの救援活動にあたるため、内容が変更される見通しだ。

「軍国主義回帰の言動」=安倍政権を批判-韓国首相

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013111700107
「軍国主義回帰の言動」=安倍政権を批判-韓国首相

鄭※(※=火ヘンに共)原 韓国首相(EPA=時事)

 【ソウル時事】韓国の鄭※(※=火ヘンに共)原首相は17日、ソウルで開かれた「殉国先烈の日」の式典で、「最近、日本の一部指導者が過去の軍国主義に回帰しようとする言動を見せている。日本はこうした言動が隣国を傷つけ、北東アジアの平和を脅かしていることに気づかなければならない」と訴え、安倍政権を批判した。聯合ニュースが報じた。

 鄭首相は「日本はいまだに過去に対する真の謝罪と反省を見せていない」と主張。さらに「歴史は単純に過去のことではなく、今日の土台であり、未来のかがみだ」と述べた。
 また「特に青少年たちがわが祖国に大きな誇りを持てるよう、正しい歴史教育にさらに努力したい」と強調した。
 「殉国先烈の日」は、日本による植民地時代や、その直前に国を守るため命を落とした人を追悼するために定められた。(2013/11/17-17:36)

2013年11月17日 (日)

疑念消えぬ秘密保護法案に賛成できない

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO62682140W3A111C1EA1000/
疑念消えぬ秘密保護法案に賛成できない

    2013/11/16付

 特定秘密保護法案の審議が国会で続いている。政府・与党は並行して野党側との修正協議を急ぎ、今国会中に成立させる構えだ。

 安全保障にかかわる機密の漏洩を防ぐ枠組みが必要なことは理解できる。だがこの法案は依然として、国民の知る権利を損ないかねない問題を抱えたままだ。

 これまでの国会審議では、疑念がむしろ深まった印象さえある。このままの形で法案を成立させることには賛成できない。徹底した見直しが必要である。

 法案では防衛、外交、スパイ活動、テロの4分野で、特に秘匿すべきものについて各省の大臣が特定秘密に指定する。公務員がこれを外部に漏らした場合は、最長で懲役10年の刑罰を科す。

 法案が定めた秘密に指定できる範囲は、曖昧で広すぎる。政権や省庁が不都合な情報を隠すなど恣意的に利用するおそれがある。何が秘密なのか分からないまま、秘密が際限なく広がってしまう。

 指定できる対象は徹底して絞り込み、明確にしなければならない。そのうえで指定の適否を判断する第三者機関が必要となる。

 指定の期間は5年だが、何度でも延長できるので、永遠に秘密とされる可能性もある。最後は指定を解いて開示し、後世に検証できる仕組みが欠かせない。どうしても開示できない内容のものは、「護衛艦の性能」「自衛隊の暗号」などと理由を説明すべきだ。

 機密の漏洩でどのような場合が罪になるのかや、刑の重さについても、さらに見直しが必要ではないか。いまのままでは公務員が必要以上に萎縮してしまう。漏洩させた側にも広く刑罰を科す余地が残っているため、報道の自由を侵害し、意見が言いにくい息苦しい社会にしてしまう懸念がある。

 国会の審議では防衛相も務めた与党議員が、日々新聞が報じている首相の動静も秘密にあたるのではないかという指摘をした。懸念を裏付けるような発言である。

 法案を担当する森雅子少子化相は、成立後に秘密指定のあり方などを見直す可能性に触れた。不断の見直しといえば聞こえはいいが、懸念を解消しないまま成立を目指す姿勢は問題ではないか。

 法案が成立すると、国政調査権や国会議員の活動を制約するおそれもある。三権分立の根幹にかかわるこうした議論も深まっていない。このまま拙速に成立を急げば、将来に禍根を残すだろう。

九条の会、秘密保護法案を批判「9条改正にもつながる」

http://www.asahi.com/articles/TKY201311160189.html

九条の会、秘密保護法案を批判「9条改正にもつながる」

2013年11月16日19時28分

 【川端俊一】憲法を守ろうと訴える有識者や市民らが結成した「九条の会」の全国交流・討論集会が16日、東京都内で開かれ、国会で審議中の特定秘密保護法案に対する批判が相次いだ。

    法案への意見投稿はこちら

 約600人が参加。呼びかけ人で憲法研究者の奥平康弘さんは、1970年代に米国で政府のベトナム戦争の報告書を暴露した報道を例に、「国家の秘密が明らかになっても混乱は何も生じなかった」と指摘。「未来永劫(えいごう)、秘密を国民に明らかにしないようできる法律。9条改正にもつながる深刻なもの」と訴えた。

 「密約」などの著書のある作家の沢地久枝さんは、自ら取材した沖縄返還時の日米密約問題に触れながら、「どこからどこまでを秘密にするのか。あまりに無限定で、政府がどんなことも秘密にできる法律は前代未聞だ」と批判した。

 「九条の会」は作家の大江健三郎さんらの呼びかけで2004年に発足。全国各地で結成されている。

http://www.47news.jp/CN/201311/CN2013111601001946.html

九条の会「秘密保護法案廃案に 「憲法が形骸化」と反対する声

  ノーベル賞作家大江健三郎さんらが呼び掛け人の護憲団体「九条の会」の第5回全国交流・討論集会が16日、東京都内で開かれた。特定秘密保護法案が成立すれば憲法が形骸化するとして、廃案に向け「結集して運動を起こす他ない」などと、同法案に反対する声が相次いだ。

 機密を漏らした公務員らへの罰則を強める同法案に対し、奥平康弘東京大名誉教授(憲法)は、戦争につながる決定も秘密のまま行われる恐れがあると指摘。「修正すればよいという種類のものではない。憲法改正の外堀を埋める象徴的な意味がある」と強調した。
2013/11/16 18:51   【共同通信】

2013年11月16日 (土)

秘密保護法案:修正協議すり寄る「みんな」ほくそ笑む与党

http://mainichi.jp/select/news/20131116k0000m010131000c.html

秘密保護法案:修正協議すり寄る「みんな」ほくそ笑む与党

 国家機密を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案を巡る自民、公明両党とみんなの党の修正協議が15日、始まった。みんなの渡辺喜美代表は前夜、安倍晋三首相と会食し、連携に前のめりな姿勢をアピール。与党と日本維新の会の修正協議が難航する中、みんなが賛成への意気込みで突出した形だ。両党と与党の修正協議の決着は週明けの18日に持ち越されたが、与党は一部野党を引き込もうと、維新とみんなを「両てんびん」にかけて来週中の衆院通過に向けた合意を狙う。【小山由宇、笈田直樹】

 「安倍内閣はこれをやるべきだ。官邸主導ならこれだ」。渡辺氏は14日夜、東京・赤坂の中華料理店で首相らに修正案を配り、熱弁をふるった。驚いた首相も「(実務者と)よく話してください」と歓迎した。

 与党と維新の協議が12日から始まっており、自民党幹部は「あわてた渡辺氏がラブコールを送ってきた」とほくそ笑み、「維新でもみんなでも、誰かを(賛成させて)道連れにできればいい」と漏らす。ほころびが多い秘密保護法案でいずれか1党を抱き込み、「与野党合意」を演出するためだ。与党実務者も「みんなとは合意できそうだ」と期待を込める。

 みんなの修正案は、閣僚らが行う特定秘密の指定や延長・解除に首相の同意を義務づけるなど5項目。だが15日の初協議で、渡辺氏が特にこだわる首相の同意義務づけについて、与党は「現実的でない」とにべもなかった。公明党の実務者・大口善徳衆院議員は記者団に「みんなの党には満足してもらっている」と述べたが、みんなの山内康一国対委員長は「今日の回答では賛成とは絶対言えない。もう少し与党が歩み寄ってほしい」と不満を示した。

 またみんなは、特定秘密の範囲を示す条文から「その他の重要な情報」という拡大解釈につながる文言を削除し、範囲を限定すべきだと要求。与党は一部削除に応じた。しかし与党案は同時に、特定有害活動とテロの防止で「外国か国際機関から受けた」情報という元の法案にあった縛りを外すなど、実際は「範囲は狭まらない」(与党実務者)仕掛け。江田憲司前幹事長との党内対立もあって存在感を示したい渡辺氏の熱意は、与党に足元を見られた形だ。

秘密保護法案採決へヤマ場=修正協議が焦点-国会

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2013111600177
秘密保護法案採決へヤマ場=修正協議が焦点-国会

 週明けの国会は、機密を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案の採決をめぐり、与野党の攻防がヤマ場を迎える。与党は野党の一部を取り込んで、21日の衆院通過を目指す。日本維新の会やみんなの党と法案の修正で合意できるかが焦点となる。一方、民主党は継続審議に持ち込むことも視野に修正案づくりを進める方針で、与野党の激しい駆け引きが展開されそうだ。
 修正協議に関して安倍晋三首相は16日、羽田空港で記者団に対し「第三者的な仕組みによって適切な運用を確保する、そういう仕組みを作っていくことも重要な課題だ」と語った。野党側の主張に一定の理解を示すことで、採決の環境を整える狙いがあるとみられる。
 秘密保護法案を審議している衆院国家安全保障特別委員会は19日に参考人質疑を行う。与党は20日に委員会で法案を採決した後、21日に衆院本会議で可決させる日程を描く。
 与党は法案審議と同時並行で維新、みんな両党との修正協議も加速させる。18日に両党と個別に協議を行い、19日までに合意を取り付けたい考え。与党はこれまでに維新の修正要求を踏まえ、特定秘密の指定期間を「原則30年以内」とする譲歩案を提示。みんなに対しても、特定秘密の指定など法律の施行状況を国会が監視する制度を整備する意向を伝えた。
 みんなは与党の譲歩案に関し「前に進んでいる」(幹部)と評価しており、修正合意する可能性もある。これに対し、維新は16日の国会議員団幹部による協議で、与党が維新の主張を「丸のみ」しない限り、法案に反対する方針を確認、強硬姿勢を鮮明にした。このため、与党からは「みんなだけで十分だ。一部の野党が賛成するなら採決が楽になる」(公明党幹部)との声も上がっている。
 民主党は19日に修正案を作成し、自民党との協議に臨む。ただ、与党が目指す20日の委員会採決まで時間が少なく、修正合意できるかは微妙。
 民主党の松原仁国対委員長は15日、記者団に「これだけの重い法案の充実した議論を軽々に放棄すべきでない」とさらなる慎重審議を要求。与党が強引に採決に踏み切れば、法案には反対する構えだ。(2013/11/16-17:05)

2013年11月15日 (金)

安倍首相:長く厳しい1年…野田前首相の解散表明後を回顧

http://mainichi.jp/select/news/20131115k0000m010093000c.html

安倍首相:長く厳しい1年…野田前首相の解散表明後を回顧

 「今日であの党首討論から1年が過ぎた」。安倍晋三首相は14日、自らのフェイスブックで、野田佳彦前首相が衆院解散を表明した昨年11月14日の党首討論を振り返り「『あっという間のようですね』と言う友人もいるが、私にとっては長く厳しい1年だった」と心境を吐露した。

 また、14日に発表された7〜9月期の国内総生産(GDP)速報値が年率換算で1.9%増となったことに触れ「民主党政権時代の7〜9月がマイナス3.7%であった事を考えればマイナスからプラスへと大きく変わった」と成果を強調。「景気回復の実感を全国に届けるため、これからも全力を尽くす」と宣言した。

 あの党首討論で野田氏は、解散と引き換えに国会議員の定数削減に協力するよう要求。安倍首相は自民党総裁として「来年の通常国会でしっかりやっていくと、この場で約束する」と確約した。

 あれから1年。いまだ削減は実現していない。【村尾哲】

集団的自衛権~「朝雲」のいらだち

http://www.asagumo-news.com/homepage/htdocs/column/sungen/sungen131114.html

朝雲寸言

 年の瀬が近くなると「越年」という言葉が聞こえてくるが、集団的自衛権の行使を禁じる憲法解釈の見直しも、来年の夏ごろまで先送りされるという。

 見直しに慎重な公明党との調整が進んでいないためだ。だが、先送りによって生じる影響は、集団的自衛権の問題だけにとどまらない。そのことを国会の先生方は、どれだけ認識しているのだろうか。

 例えば、12月には初の「国家安全保障戦略」と新たな「防衛計画の大綱」が策定されるが、そこには、憲法解釈の見直しなどの重要政策は何一つ反映されない。どちらも、10年先を見据えた安全保障政策の根幹であり、日本の姿勢を内外に示す機会を失うことになりかねない。

 それ以上に深刻なのは、集団的自衛権を巡る国会審議を入り口として、主権国家の1丁目1番地である個別的自衛権の行使を巡る問題について、議論できる好機が遠のいてしまったことだ。

 平時と有事の境があいまいな時代の中で、日本は戦争(有事)でなければ、自衛権が行使できないという異質な国だ。尖閣諸島を警備する海保の巡視船が窮地に陥っても、自衛隊にできることはほとんどなく、北朝鮮の弾道ミサイルを海自艦が大気圏外で迎撃する行為も、現行規定は国際法に抵触する疑いがある。

 中国と北朝鮮の脅威と真剣に向き合えば、憲法解釈の見直しなど日本の安全に関わる欠陥を放置したまま、のんびりと正月気分に浸ることなどできないはずだ。
(2013年11月14日付『朝雲』より)

集団的自衛権、賛否割れる=横路・前原氏から意見聴取-民主

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013111500429
集団的自衛権、賛否割れる=横路・前原氏から意見聴取-民主

民主党の安全保障総合調査会で意見表明する前原誠司元外相(中央)と横路孝弘前衆院議長(右)=15日午前、東京・永田町の参院議員会館

 民主党は15日午前、安全保障総合調査会(会長・北沢俊美元防衛相)の総会を参院議員会館で開いた。安倍政権が目指す集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈見直しについて党内からの意見聴取を行ったが、横路孝弘前衆院議長が反対論を展開したのに対し、前原誠司元外相は賛成を表明、安保政策をめぐる温度差が改めて鮮明になった。
 この中で横路氏は「専守防衛の原則が崩れ、先制的攻撃論や攻撃的な兵器を持とうという形に(日本が)変わっていく」と強調。一方、前原氏は「安全保障の実効性を担保するには憲法改正の方がいいが、(改憲が)具体的な政治課題に上がってくるのか。現実的な視点が必要だ」と述べ、解釈の見直しを容認した。
 民主党は、集団的自衛権に関する党見解を年内にまとめる予定。安倍政権に対峙(たいじ)する観点から、反対で集約すべきだとの意見が党内に強い。北沢氏は総会後、記者団に「2人の話を基礎に、集団的自衛権を認めればどんなことが想定されるのかを今後詰めていきたい」と述べた。(2013/11/15-11:57)

2013年11月11日 (月)

琉球新報社説 海兵隊引き留め 歴史的過ち繰り返すな2013年11月11日

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-215090-storytopic-11.html
琉球新報社説  海兵隊引き留め 歴史的過ち繰り返すな2013年11月11日

沖縄の施政権が返還された1972年、在沖米軍基地の過重負担を大幅に軽減する千載一遇の好機が到来したが、日本政府がつぶしていた事実が明らかになった。 米国防総省は、財政難やアジアの緊張緩和を背景に、在沖海兵隊を撤収し、本国への統合を模索したが、日本政府が引き留めていた。
 米国の同盟国であるオーストラリアの外交文書から分かった。
 一方、米国務省は、市街地で騒音被害を振りまく海兵隊の普天間飛行場をめぐり、「明らかに政治的負債だ」と断定していた。この認識は、海兵隊撤退論に影響を与えたであろう。
 国防総省の海兵隊撤退案は、72年10月、駐米豪大使館が本国に宛てた公電に記されている。その後、米政府は在沖基地維持に傾く。沖縄の米軍基地の整理縮小、兵員削減に日本政府が立ちはだかる構図は、当時も今も変わらない。
 超大国の覇権主義の失敗は明らかだった。ベトナム戦争に膨大な戦費を投じた米国は財政危機に直面し、72年当時、在沖海兵隊の本国撤収の検討を余儀なくされる。
 米国防総省の担当者は、沖縄の2海兵旅団を含め、太平洋の全海兵隊をカリフォルニア州サンディエゴに統合する構想を立案し、「相当安く、有効だ」として効率化を最優先する見解を示していた。
 戦争継続中であっても、財政危機の打開策として軍事予算削減に大なたを振るうことが避けられなかったわけだ。日本政府が同意すれば、沖縄の全海兵隊基地が返還されていた可能性が高い。
 ところが、翌73年7月、日米安全保障条約運用会議で、防衛庁が在沖海兵隊の維持を主張し、米本国への撤退は不発に終わった。
 それどころか、78年に始まった在日米軍駐留経費の肩代わり、いわゆる「思いやり予算」が年々膨らみ、世界で屈指の駐留環境を米軍にもたらしてしまった。
 米政府は72年当時と同様に、軍事予算を含む歳出強制削減を強いられている。米有力議員から「歴史の遺物」とも酷評された海兵隊は大幅削減を迫られているが、既得権と化した思いやり予算の維持拡大を日本側に求めながら、生き残りに必死だ。
 沖縄の抜本的な負担軽減に結び付く米軍の戦略配置を、金の力と沖縄への基地押し付けでゆがめる。歴史的な過ちを繰り返してはならない。普天間飛行場の名護市辺野古移設は論外である。

2013年11月10日 (日)

【特定秘密保護法案】<国家のヒミツ>情報保全隊に監視されて 守るのは国民より自衛隊

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/list/CK2013111002000113.html

【特定秘密保護法案】<国家のヒミツ>情報保全隊に監視されて 守るのは国民より自衛隊

2013年11月10日

 政府が指定した秘密を守ることを大義名分に、ジャーナリストや市民が厳罰に処せられる恐れのある特定秘密保護法案。すでに、自衛隊による国民監視の実態がある。さらに国民に圧力をかけようというのだろうか。 (編集委員・半田滋)

 二〇〇七年六月、防衛相直轄の部隊、情報保全隊がイラク派遣に反対する人々の情報を収集していたことを示す内部文書が流出した。陸上自衛隊東北方面情報保全隊が収集した情報を週単位で一覧表にした「週報」で計十一部百六十六ページ。

 名前を掲載された東北六県の住民が精神的苦痛を受けたとして国を訴えた裁判で、仙台地裁は昨年三月、人格権を侵害したとして計三十万円の賠償を国に命じた。原告と国の双方が控訴し、裁判は現在も続いている。

 昨年十二月、原告側は新たに一〇年十二月の三週間分の「週報」を裁判所に提出した。市民集会などの監視結果が詳細に記されている。イラク派遣はこの約二年前に終わっているにもかかわらず、だ。日ごろの国民生活そのものを監視対象にしていたことになる。

 「12月8日」には札幌市であった市民団体「(北海)道平和運動フォーラム」の集会に「約二百人」が集まり、「半田滋東京新聞編集委員」が講演したと私の名前、肩書が出てくる。そして「防衛大綱、武器輸出三原則見直しを終始批判する内容の発言が認められた」と報告している。

 報告は事実をゆがめている。「迷走する普天間問題」の題名で、沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題に解決の道筋がみえないことや、日本全体で受け入れを拒否する米軍基地とは何か、を問いかける内容だった。

 「週報」は明らかに不正確だが、黒枠で「関係者以外閲覧禁止」とあり、これを読んだ「関係者」は事実と受けとめるのだろう。

 週報には「左翼系大衆運動団体及び反戦市民団体」「右翼」「右翼系市民団体」「保守系市民団体」「その他の団体の動向」とあり、国民を分類したうえで幅広く監視していることが分かる。

 憲法で保障された思想・信条の自由、集会・結社の自由など、どこ吹く風だ。「国民を守る」のではなく「自衛隊を守る」のが自衛隊の本分ととらえているかのようだ。

 特定秘密保護法案は何を秘密にするか、判断は行政機関の長に任せられている。例えば、この「週報」のように防衛省にとって不都合な文書が、「特定有害活動やテロの防止」に関する情報として永遠に出てこなくなる可能性がある。さらに、その情報を入手したジャーナリストや市民を厳罰にすることさえできる。何が秘密か、それこそが秘密。「暗黒社会」を連想させる。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/list/CK2013111002000111.html

【特定秘密保護法案】<ウォッチ>「国家の安全に優先せず」  「法案批判は放送法違反」

2013年11月10日

 「知る権利」が国家の安全に優先するとの考えは間違い。法案に批判的なテレビキャスター発言は放送法違反-。特定秘密保護法案をめぐり、自民党の閣僚経験者や政権幹部から、国民の知る権利や報道の自由を軽視するかのような発言が続いている。法案は知る権利と報道・取材の自由に十分配慮すると規定しているが「うわべだけのものだ」との声も上がる。

 自民党の特定秘密保護法案に関するプロジェクトチーム座長を務める町村信孝元外相は、八日の衆院国家安全保障特別委員会で「(知る権利が)国家や国民の安全に優先するという考え方は基本的に間違いがある」と発言。「『知る権利は担保しました、しかし個人の生存が担保できません、国家の存立が確保できません』というのは、全く逆転した議論ではないか」とも述べた。

 一方、小池百合子元防衛相は十月二十八日の衆院特別委で、首相の一日の行動を報道する首相動静について「知る権利(の範囲)を超えているのではないか」との認識を示した。「知る権利もあるが、何を知り、何を伝えてはいけないかを精査してほしい」と求めたが、菅義偉官房長官は同日の記者会見で「(首相動静は)特定秘密には当たらない」と火消しに走った。

 短文投稿サイト「ツイッター」で盛んにつぶやいているのは、法案を担当する礒崎陽輔首相補佐官。十一月七日にはテレビ報道をめぐり「こういう法案にはファイティングポーズをとらなければならないということなのだろうが、放送の中立性を侵せば、放送法違反だ」「キャスターが『廃案にさせなければならない』と明確に言った。明らかに放送法に規定する中立義務違反の発言だ」と投稿した。

 今国会での法案成立を目指す安倍晋三首相は衆院本会議で「国民の知る権利や報道の自由への配慮も重要と認識している。適切に対応する」と述べた。

 しかし、山口二郎北海道大教授(政治学)は、自民党が七月にTBSの取材を一時拒否したことも挙げながら「安倍政権になってメディアに対するけん制、威嚇はずっと続いており、元閣僚らの発言はその一端だ。配慮規定はうわべだけのソフトな言葉を入れ、法の有害さを隠しているにすぎない」と指摘した。

防衛予算2年連続増 政権、防衛力強化めざす

http://www.asahi.com/articles/TKY201311090616.html

防衛予算2年連続増 政権、防衛力強化めざす

2013年11月10日09時41分

 【大日向寛文、園田耕司】政府は、来年度政府予算案で防衛予算を今年度より増やす方向で調整に入った。防衛予算は昨年度まで10年連続で減少していたが、防衛力強化をめざす安倍政権になって、2年連続で増えることになる。

 今年度の防衛予算は4兆7538億円で、前年度から0・8%増やした。防衛省は来年度、さらに2・9%増の総額4兆8928億円の予算を要求している。占領された島を奪還する作戦を念頭に置いて水陸両用車を増やしたり、海上自衛隊の輸送艦を改修したりする予算などだ。

 財務省は、節約を求めつつ、防衛上必要な予算は認める方向で、増額の見通しになった。

 政権が12月中にまとめる「防衛大綱」と「中期防衛力整備計画(中期防)」でも、新型輸送機オスプレイの導入など防衛力強化を打ち出す見通しだ。

朝日社説:国民投票法―「18歳」はどこに行った

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_gnavi#Edit1
国民投票法―「18歳」はどこに行った

 かつて自分たちが法律で決めたことでも「だめなものはだめ」、それが憲法改正の党是を妨げても構わない――。

 改憲の手続きを定めた国民投票法改正をめぐり、自民党内でこんな珍妙なことが起きた。

 国民投票法で認められている18歳からの投票権を実質的に20歳に引き上げる改正案を、自民党がまとめたのだ。

 憲法改正の議論には将来を担う若者に参加してもらいたいという理念にも、18歳以上に選挙権を認める世界の潮流にも反する案だ。再考を求める。

 07年にできた国民投票法は、投票権を18歳以上に認めた。

 ただ、成人や選挙権は20歳以上であるため、それらを18歳にするまでは国民投票も20歳のままとし、2010年までに民法や公選法の改正を進めることが法の付則にうたわれた。

 ところが、その後の与野党対立や政府の検討の遅れにより、成人・選挙権を18歳に改める動きはまだない。

 安倍政権は、国民投票を先行させて18歳以上に確定する法改正を今国会で実現させる方針だった。いまのままでは憲法改正をしたくても国民投票は実施できないと考えたからだ。

 これに真っ向から異を唱えたのが首相にも近い党内保守派だ。「国民投票だけ18歳なのはおかしい」と猛反発し、党憲法改正推進本部の議論は紛糾。結局、民法改正などに期限は設けず、それまでは国民投票も20歳以上とすることで決着した。

 公明党や野党の大勢は投票年齢を18歳とすることで一致しているし、成人・選挙年齢の引き下げにも前向きと言える。

 少子高齢化で、若者に社会保障の負担が重くのしかかる時代だ。選挙権を18歳以上に認め、若い世代の意見も政治に反映させることは望ましい。国立国会図書館などが調べた190カ国・地域のうち、18歳またはそれ以下に選挙権を認めているのは173にのぼる。成人年齢もそれに近い。

 自民党の推進本部の幹部は、憲法改正には衆参両院の3分の2の賛成が必要なことから、「他党と歩調を合わせたい」と説得。それでも保守派は、頑として聞き入れなかった。

 この議員たちは、婚外子への相続差別は違憲との最高裁決定を受けた民法改正にも、最後まで反対した。要は、これまでの社会秩序は変えたくないということのようだ。

 党是の実現が遠のくのは自民党の勝手だ。だが、日本がいつまでも古くさい社会にしばられるのは御免こうむりたい。

2013年11月 9日 (土)

政府、弾道ミサイル対処研究明記へ「敵基地攻撃能力」視野、年末の新防衛大綱

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131109/plc13110911360003-n1.htm

政府、弾道ミサイル対処研究明記へ「敵基地攻撃能力」視野、年末の新防衛大綱
2013.11.9 11:34 [自衛隊]

 政府は8日、年末に策定する新たな防衛力整備の基本方針「防衛計画の大綱」に、弾道ミサイル攻撃への対処能力向上を盛り込む方針を固めた。7日に官邸で開いた安倍晋三首相と菅義偉官房長官、岸田文雄外相、小野寺五典防衛相らの会合で確認した。従来の「弾道ミサイルへの対応」との表現を一歩進め、弾道ミサイル攻撃の研究に踏み出すことで、将来の敵基地攻撃能力保有に向けた布石を打つ狙いがある。

 自衛隊は現在、弾道ミサイル攻撃には地対空誘導弾パトリオット(PAC3)などのミサイル防衛(MD)で対処する態勢をとっている。ただ、周辺国からの一斉発射や連続した攻撃には対応仕切れない問題点がある。

 北朝鮮のミサイル性能が向上し、大規模被害が予想される中、対処能力の向上は避けて通れないと判断した。一方で、最終的な対処には、戦闘機や海上から巡航ミサイルで相手国のミサイル基地を攻撃することも選択肢となるため、研究が進めば日本の被害を防ぐ敵基地攻撃能力の保有の検討へとつながっていくことになる。

 日米両国は来年末までに自衛隊と米軍の防衛協力指針(ガイドライン)を改定する方針。両国の役割分担を見直す一環として自衛隊の対処能力の研究を進め、実際の有事に備えた防衛体制の整備を進める狙いがある。

 ただ、大綱そのものに「敵基地攻撃能力の保有」は盛り込まない方針だ。専守防衛からの方向転換という誤解や、連立与党の公明党の反発が予想されるためだ。具体的には、直接的な表現に代わり「対処能力を高めるため装備や運用構想の研究を進める」などの文言とする方向で調整を進めている。

雑記(309)外苑の銀杏が色づき始めました

17日(16だったかな)からは恒例の銀杏祭りです。去年はまだ青かったのですが。写真がピンぼけですね。
201311090702

山本太郎氏と原発考える講演会中止…会場使えず

この市民団体の苦労はわからないでもないが、静岡福祉大学に抗議して、断固、開催すべきだった。
市民団体の会場内自主警備と、大学の学内自主警備(ガードマンなど)、学外の警察当局の厳重警備を要求して、開催すべきであった。
結果、責任をとって活動停止とは二重の間違いだ。
学校はいったん、会場を貸した以上、責任がある。
市民がきちんと集会を開ける条件を確保するのは、憲法に保障されている基本的権利であり、警察の責任でもある。
警察に右翼対策を講じさせるのは当然だ。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131108-OYT1T01341.htm?from=top
山本太郎氏と原発考える講演会中止…会場使えず

 静岡県焼津市の市民団体「くろしおネットはまおか」は8日、山本太郎参院議員(無所属)を招いて10日に静岡福祉大学(焼津市本中根)で予定していた講演会を中止することを決めた。

 山本氏が秋の園遊会で天皇陛下に手紙を手渡した問題で、大学側から来場者の安全を責任を持って確保できないと警備上の理由を指摘され、会場が使えなくなった。別の会場を探す時間もないとして中止することにした。

 講演会は「山本太郎さんと語る子どもたちの未来~原発についてみんなで考える~」と題し、10日午後から約260人が入る同大の講義室で開催する予定だった。

 同団体は「突然の中止で多くの人に迷惑をかけた。責任を取って活動を停止したい」と話している。

 同団体は東日本大震災をきっかけに、原子力発電所や放射能の問題を考えようと、2011年7月に発足。年5~6回の講演会を開催してきた。今回の講演は、参院選前の今年5月に山本氏に依頼していた。
(2013年11月9日09時52分  読売新聞)

2013年11月 8日 (金)

東京【社説】特定秘密保護法案 議員の良識で廃案へ、他2紙

http://www.asahi.com/paper/editorial.html
社説 特定秘密保護法案―市民の自由をむしばむ

 安全保障にかかわる秘密を漏らした公務員らに厳罰を科す特定秘密保護法案がきのう、衆院で審議入りした。

 安倍首相は、「秘密保全に関する法制を整備することは喫緊の課題」だと訴えた。だが、この日の首相らの答弁を聞く限り、これまで私たちが社説で指摘してきた数々の懸念は解消されていない。

 むしろ、役所だけの判断で特定秘密に指定される情報の範囲が広がりかねないこと、いったん特定秘密に指定されるとチェックのないまま半永久的に隠されてしまうおそれが改めて浮き彫りになった。

 この問題の影響は、情報を扱う公務員や報道機関の記者に限られたものではない。

 例えば、米軍基地や原子力発電所などにかかわる情報を得ようとだれかと話し合っただけでも、一般市民が処罰されかねない。社会全体にそんな不自由や緊張をもたらす危うさをはらんでいる。

 未曽有の原子力災害に見舞われた福島県議会は先月、原発事故に関する情報がテロ活動防止の観点から特定秘密に指定される可能性があるとして、慎重な対応を求める意見書を出した。

 その指摘は決して杞憂(きゆう)ではない。やはり、この法案に賛成することはできない。

■官僚の裁量次第

 特定秘密は、防衛、外交、特定有害活動(スパイなど)の防止、テロ防止の4分野で、法案別表に定めた23項目に該当するものが指定される。

 首相はきのうの質疑で、特定秘密はこの23項目に限定されると強調したうえで、これに該当するかどうかは、「行政機関の長が、専門的、技術的に判断することになる」と答えた。

 23項目といえば限られているように思えるが、多くの項目には「その他重要な情報」とのただし書きがついている。幅広い解釈の余地がある。

 法案が成立すれば、政府全体で万単位の情報が特定秘密に指定されるとみられる。

 それだけの情報を「行政機関の長」である閣僚らが一つひとつ判断することは不可能だ。結局は官僚の裁量に委ねられることになる。

 そしてその是非を、外部から検証する仕組みはない。首相は「一定期間の経過後、一律に指定を解除し、公開することは困難と考える」と答弁した。

 安全保障にかかわる機密は存在するだろう。それを一定の期間保護する必要性も理解できる。それを主権者である国民の目からいったん遠ざけるにしても、後世の検証を担保することが最低限の条件である。

■弱い情報共有の基盤

 そうした仕組みづくりをかたくなに拒む姿勢を見せつけられると、この国では政府が集めた情報は国民のものであるという意識があまりに低く、情報を共有する制度的な基盤が極めて弱いと言わざるを得ない。

 この根本的な構造に手をつけないまま幅広い秘密保護の仕組みを入れてしまえば、国民の知る権利はますます絵に描いた餅になるだけだ。

 本来、知る権利を確保するための市民の武器となるのが、情報公開法と公文書管理法だ。

 ただ、いまの情報公開法のもとで市民が情報を求めても、明確な理由がわからないまま拒否されたり、ようやく開示された文書が墨塗りだらけだったりすることはしばしばだ。

 民主党は、制度の不備を補うため、政権時代に提出して廃案となった情報公開法改正案を再提出した。秘密保護法案とともに審議される。

 改正案の柱は、公開の可否をめぐる訴訟で、裁判官がその目で文書を調べて開示すべきかどうかを判断する「インカメラ審理」を盛り込んだことだ。

 だが、役所は裁判所への文書の提出を拒むことができる。民主党は、秘密指定の乱用に一定の抑止効果があるというが、政府が国民との間に築こうとしている分厚い壁を突き崩すには、あまりにも不十分だ。

 秘密保護法案とセットで成立させればいいというものでは、決してない。

■秘密法案取り下げよ

 一方、公文書管理法は、公文書の作成、保存、一定期間後に歴史的文書として公開するまでのルールを定めている。

 法が施行された11年度に、このルールによって国立公文書館に移された政府文書は、保存期間が終わった約234万件の文書の1%に満たなかった。残りは内閣府などのチェックをへたうえで、未公開のまま捨てられているのが現状だ。

 日本に秘密保護法制を求める米国では、公文書館の情報保全監察局長に機密解除の請求権を与えるなど、政府の恣意(しい)的な運用に幾重もの歯止めがある。

 こうした手立てのない特定秘密保護法案はまず取り下げる。真っ先に政府がやるべきは、情報公開法や公文書管理法の中身を充実させることだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20131108k0000m070143000c.html

社説:秘密保護法案を問う・審議入り 重ねて廃案を求める

毎日新聞 2013年11月08日 02時32分

 特定秘密保護法案が7日、衆院で審議入りした。安倍晋三首相は本会議で、情報漏えいの脅威が高まる中、国家安全保障会議(日本版NSC)を効率的に運営するためには、秘密保全体制の整備が不可欠だとして、法案の意義を繰り返し強調した。

 だが、この法案は、憲法の基本原理である国民主権や基本的人権を侵害する恐れがある。憲法で国権の最高機関と位置づけられた国会が、「特定秘密」の指定・更新を一手に行う行政をチェックできない。訴追された国民が適正な刑事手続きを受けられない可能性も残る。憲法で保障された「表現の自由」に支えられる国民の「知る権利」も損なわれる。

 7日の審議でも根本的な法案への疑問に明快な答弁はなかった。法案には反対だ。重ねて廃案を求める。

 国の安全保障上欠かせない情報はあり、日米同盟に基づく高度な機密は保全すべきだろう。そのために、2001年に自衛隊法が改正され、防衛秘密の漏えいに対し最高懲役5年が科せられた。また、米国から供与された装備品情報の漏えいは最高懲役10年だ。防衛秘密が現行法の下で基本的に守られている中で、新たな立法の必要性はないと考える。

 もちろん、防衛以外にも秘密とすべき情報はあるだろう。だが、この法案では、防衛のほか、外交、スパイ防止、テロ防止の各事項について、行政の裁量で際限なく特定秘密が指定できる。さらに、その漏えいだけでなく、取得行為にも厳罰を科す。あまりにも乱暴な規定だ。

 行政に不都合な情報が特定秘密に指定される恐れはないのか。安倍首相は、別表での細かい規定や、指定の基準を作る際に有識者に意見を聞くことを挙げ「重層的な仕組みになっている」と述べたが、全く不十分だ。国会を含む第三者が個々の指定の妥当性をチェックする仕組みは法案にない。民主党は情報公開法の改正で、裁判所にその役割を担わせる考えだが、実効性が伴わない可能性が大きい。

 7日の審議で、森雅子担当相は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)などの通商交渉や原発事故対応などの情報は、特定秘密の対象にならないと答弁した。ただし、原発でも警備の実施状況は、特定秘密に該当すると述べた。行政任せの根本が変わらなければ線引きは意味がない。

 法案概要が公表されたのは9月である。今から議論を始めてこの国会で成立を図ろうとすること自体、土台無理な話だ。まずは徹底審議で問題点を明らかにしてほしい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013110802000161.html

【社説】特定秘密保護法案 議員の良識で廃案へ

2013年11月8日

 特定秘密保護法案が衆院で審議入りした。国家が国民の思想の領域まで踏み込む恐れがある。国会議員は今こそ良識を発揮して、廃案にしてほしい。

 潜水艦の潜水可能な深度、テロ情報収集のための情報源、公電に使われる暗号…。自民党はホームページで、秘密保護法案により漏えいを禁じる特定秘密の具体例を挙げている。

 国家が秘密にしたい事例として、納得する人も多いだろう。だが、秘密に該当しない情報さえ、恣意(しい)的に封殺しうるのが、この法案である。行政機関の「長」が「秘密」というワッペンを貼れば、国民から秘匿できるのだ。
◆35センチの壁も「防衛秘」

 特定秘密の指定の際に、有識者が統一基準を示すというが、あくまで基準にすぎず、個別の情報を調べるわけではない。国会や司法のチェック機能も働かない。これは致命的な欠陥だ。

 特定秘密は防衛省や外務省、警察庁などが扱い、約四十万件が指定されるとみられる。だが、秘密とするには、実質的に秘密に値する「実質秘」でなければならない。最高裁判例が示している。

 この膨大な秘密の山は、本当に「実質秘」だけで築かれているだろうか。ある情報開示訴訟で国側が敗訴したケースが、その欺瞞(ぎまん)性を象徴している。

 海上自衛隊が那覇基地の建物を「防衛秘」としたことに、最高裁が二〇〇一年、秘匿の必要性を認めなかった。国側は「爆撃機の攻撃力を計算して、耐えうる壁の厚さを設計した」などと、もっともらしい主張をしていた。だが、壁の厚さは、たったの三十五センチだった-。

 要するに行政機関は、隠したいものは何でも隠すことができる。いったん「特定秘密」に指定されてしまうと、半永久的に秘匿されうる。問題点は明らかだ。
◆崖に立つ報道の自由

 法案には防衛や外交の分野のみならず、「特定有害活動」「テロ活動」も加わっている。

 特定有害活動はスパイ活動を指すが、この項目には「その他の活動」という言葉もさりげなく挿入している。テロは人を殺傷したり、施設を破壊する行為だが、条文を点検すると、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若(も)しくは他人にこれを強要」する活動も含まれると解される。

 主義主張を強要する活動が「テロ」とするなら、思想の領域まで踏み込む発想だ。原発をテロ対象とすれば、反原発を訴える市民活動も含まれてしまう。

 秘密を漏らした側にも、聞いた側にも最高十年の懲役刑が科される重罰規定がある。とくに「特定秘密を保有する者の管理を害する行為」を処罰する点は問題が大きい。管理の侵害とは何か、全く判然としていないからだ。

 しかも、既遂や未遂はむろん、共謀、教唆、扇動も罰せられる。これは秘密に接近しようとする行為に対する事前処罰であろう。刑法の共謀は犯罪の実行行為を必要とするが、この法案はその前段階である「話し合い」を共謀、「呼び掛け」を扇動とみなしうる。

 刑罰は強い拘束力をもつため、あらかじめ罪となる行為を明示せねばならない。だが、この法案では処罰範囲が、どこまで広がるかわからない。近代刑法の原則から逸脱する懸念が強い。

 報道の自由について「出版又(また)は報道の業務に従事する者」と限定しているのも、大いに疑問だ。ネット配信する市民ジャーナリストらを排除している。かつ「著しく不当な方法」による取材は、取り締まりの対象だ。

 不当かどうかの判断は、捜査当局が行う。ここにも恣意性が働く。裁判で無罪となるまで、記者らは長期間、被告人の立場に置かれてしまう。強い危惧を覚える。

 ドイツではむしろ「報道の自由強化法」が昨年にできた。秘密文書に基づいた雑誌報道に対し、編集部などが家宅捜索を受けた。これを憲法裁判所が違法としたからだ。今やジャーナリストは漏えい罪の対象外である。

 民主党は情報公開法の改正案を出しているが、秘密保護法案は情報へのアクセスを拒絶する性質を持つ。「国家機密」が情報公開制度で表に出るはずがない。
◆憲法原理を踏み越える

 何より深刻なのは国会議員さえ処罰し、言論を封じ込めることだ。特定秘密については、国政調査権も及ばない。行政権のみが強くなってしまう。

 重要な安全保障政策について、議論が不可能になる国会とはいったい何だろう。議員こそ危機感を持ち、与野党を問わず、反対に立つべきだ。

 三権分立の原理が働かないうえ、平和主義や基本的人権も侵害されうる。憲法原理を踏み越えた法案である。

36の「その他」で指定無限 秘密保護法案条文、ちりばめられた懸念

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131108-00000251-yom-pol

特定秘密は官房と4省庁限定…保護法案審議入り

 安全保障の機密情報を外部に漏らした国家公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案が7日、衆院本会議で審議入りした。

 政府・与党は今国会での成立を目指す。同法案には秘密指定の範囲が不明確という批判があるため、政府は特定秘密の指定対象を内閣官房と外務省、防衛省、警察庁、公安調査庁の4省庁の情報に限る方針だ。

 法案は、特定秘密の指定対象について〈1〉防衛〈2〉外交〈3〉スパイ防止〈4〉テロ対策――の4分野と定めている。

 安倍首相は7日の衆院本会議で「外国との情報共有は、情報が各国で保全されることを前提に行われている」として、政府が設置を目指している国家安全保障会議(日本版NSC)が外国から有益な情報提供を受けるため、機密保全の強化が必要だと強調した。

 国民の「知る権利」が制限されるとの懸念については、「秘密保護の必要性と政府が活動を国民に説明する責務とのバランスを考慮し、法律を適用していく」と述べた。

最終更新:11月8日(金)9時20分

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013110800065
NSC法案が8日参院審議入り

 安倍晋三首相が外交・安全保障政策の司令塔と位置付ける日本版NSC(国家安全保障会議)創設に向けた関連法案は8日午前、参院本会議で、首相も出席して趣旨説明と質疑が行われる。同法案は7日の衆院本会議で、与党や民主党などの賛成多数で可決されており、参院審議を経て、今国会での成立が確実となっている。
 参院本会議では菅義偉官房長官が趣旨説明を行い、自民党の佐藤正久氏、民主党の大野元裕氏らが質問。佐藤氏は、法案成立に向けた決意をただすほか、中韓両国との関係悪化の原因となっている領土や歴史認識に関する問題について、日本側の見解を国際社会に広く伝えるよう首相に求める。
 また、本会議では、NSC関連法案を審議する参院特別委員会の設置を与党と民主党などの賛成多数で議決。本会議後に開く特別委で、委員長に自民党の中川雅治氏を互選する。(2013/11/08-05:45)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013110890070427.html

36の「その他」で指定無限 秘密保護法案条文、ちりばめられた懸念

 機密を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案が七日、衆院本会議で審議入りした。漏えいなどの場合に最高懲役十年の対象になる「特定秘密」が政府の一存で指定され、意のままに広がっていく恐れがある。政府は「特定秘密の範囲は限定している」と説明するが、条文にちりばめられた三十六の「その他」の文字が、特定秘密の範囲を無限に広げる根拠となる懸念をはらんでいる。 (金杉貴雄)

 法案は二十六の条文と付則、別表などで構成されている。まんべんなく使われている「その他」の中でも、政府が特定秘密の対象を「限定列挙した」と説明する別表で十一カ所も登場するのが目を引く。

 別表は特定秘密の対象を(1)防衛(2)外交(3)特定有害活動(スパイ活動)の防止(4)テロリズムの防止-の四つの事項と位置付け、さらにそれぞれ四~十の項目に分けて内容を説明している。

 例えば「外交」のうち、「イ」の外国政府との交渉内容などの情報に関する項目には「生命および身体の保護、領域の保全」とあり、一見すると国民の命や安全に関わる情報に限定しているように読める。だが、その後に「その他」がある。

 法案を担当する内閣情報調査室は「その他」の前の「生命および身体の保護~」は、単なる「例示」と説明する。つまり範囲はこれに限定しているわけではない。この後に書かれた「安全保障に関する重要なもの」の範囲は「その他」によって、全く分からなくなっている。

 「ハ」も同様だ。「国際約束に基づき保護することが必要な情報」は「その他」によって例示の意味しか持たなくなり、その後の「重要な情報」の中身はいくらでも拡大解釈可能となる。

 政府は、環太平洋連携協定(TPP)など通商交渉の情報が特定秘密にあたるか否かについて、答弁が揺れている。だが、「その他」だらけの条文を見る限り、政府の判断で特定秘密に指定するのは可能だ。

 スパイ活動やテロリズムを定義した一二条でも、それぞれ「その他」を使用。例えば、テロリズムの「政治上その他の主義主張」は政治上のもの以外も該当することになる。

 日弁連の秘密保全法制対策本部事務局長の清水勉弁護士は「別表は、厳罰の対象となる特定秘密を位置付けた犯罪の構成要件そのもの」と指摘。その上で「『その他』が何か全く不明で、どの情報が特定秘密か分からない。政府が判断すれば何でも指定できる内容になっている」と批判している。

(東京新聞)

2013年11月 6日 (水)

北海道新聞 社説 秘密保護法案 早くも欠陥を露呈した(11月6日)北海道新聞 社説 秘密保護法案 早くも欠陥を露呈した(11月6日)

北海道新聞 社説 秘密保護法案 早くも欠陥を露呈した(11月6日)

 案の定というべきだろう。秘密漏えいに重罰を科す特定秘密保護法案をめぐり、所管の森雅子少子化担当相はじめ政府・与党の発言がぶれたり、食い違ったりする場面が頻発している。

 保護の対象となる「特定秘密」を、政権の都合の良いように恣意(しい)的に指定できるという法案の根本的な欠陥を早くも露呈したと言える。

 政府は特定秘密が約40万件になるとの見通しを示している。それだけでも膨大だが、担当閣僚ですら秘密指定の判断が曖昧な実態をみれば、秘密が際限なく増える恐れが強い。

 法案は7日にも衆院で審議入りする。国民の「知る権利」や報道の自由を脅かすことが一層、明白になった法案の成立を許してはならない。

 森氏は環太平洋連携協定(TPP)交渉内容について「(特定秘密に)なる可能性はある」と明言した。

 だが、「特定秘密の対象とはならない」とする政府見解との食い違いを指摘されると、その日のうちに訂正した。

 また、沖縄返還に伴う日米密約を報じた記者が、外務省の女性事務官をそそのかしたとして逮捕された西山事件のような取材活動は処罰対象になるとの認識を示したが、批判を受けて「私は過去の事件を述べる立場にない」と軌道修正した。

 さらに原発情報に関し「警察の警備実施状況は特定秘密に指定され得る」と述べたが、これは礒崎陽輔首相補佐官が先に「原発情報が指定されることは絶対にない」と明言したことと食い違う。

 これでは一体、誰の説明を信じればよいのか。

 一方、自民党の小池百合子元防衛相は国会質問で、首相の1日の行動を報道する「首相動静」について「国民の『知る権利』を超えている。日本は秘密や機密の感覚を失っている平和ぼけの国」などと述べた。

 新聞各社が首相動静を報じるのは、日本の最高権力者の動きが、国民の「知る権利」の根幹をなす情報の一つと位置づけているからだ。

 法案は「知る権利」や報道の自由への配慮を盛り込んだ。だが、小池氏の発言は政治家の報道に対する根本的な無理解を示し、法案の危険な側面を端的にあらわにした。

 政府は特定秘密の恣意的な指定を防ぐため、有識者会議を設置して指定基準を策定するとしたが、その基準も拡大解釈は可能だろう。

 政府の勝手な秘密指定を、第三者が排除する仕組みもないままだ。

 法案には多くの市民グループや弁護士会などが批判の声を上げ、共同通信の世論調査では反対が50%を超えた。与野党とも、こうした国民の意見を真摯(しんし)に受け止めるべきだ。

雑記(309)ツワブキの花

道路端の垣根の中にさいていました。
201311060704

2013年11月 5日 (火)

雑記(308)あちこちにこうした菊の花が目に付く季節です

201311030901

2013年11月 4日 (月)

「秘密」は秘密って ばかな話 作家・沢地久枝さん

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013110402000126.html

「秘密」は秘密って ばかな話 作家・沢地久枝さん
2013年11月4日 朝刊

 機密を漏らした公務員らへの罰則を強める特定秘密保護法案に、強い懸念が広がっている。一九七二年の沖縄返還をめぐる日米密約を、著書で取り上げたノンフィクション作家沢地久枝さん(83)は「この法律が成立したら、密約の当時よりもっとひどいことになる。憲法がどんなことを定めていても全部吹っ飛ぶのではないか」と憂える。

 「とんでもない法案だとあきれました。こんなに内容が分からない法案は初めて見た。具体的な部分で『政令で定める』と書いてある箇所がいくつも出てくる。政令は、政府がいくらでも出せるものです」

 特定秘密とは、安全保障に著しい支障を与える恐れがあって特に秘匿する必要のある情報で、防衛相ら行政機関トップが指定する。「一般の人には、自分が特定秘密に触れているのか分からない。文章を書く人が取材した後、これは特定秘密だと言われたらアウト。特定秘密の秘密とは何ですかと聞いても『それは秘密です』なんて、こんなばかな話はない」

 政府は今国会中の成立を目指しているが「戦争中の法律よりひどいのではないか。当時、軍事機密に触れるようなことは一般の人も予測できた。今度の場合、想像ですが、何が特定秘密かはだいたい米政府との話し合いで決まるのではないか。今急いでいる理由は、日米関係を特に軍事面で円滑にするため、日本はこうしますという約束を米国に見せようとしているんだと思いますね」

 沖縄返還の日米密約に迫った新聞記者が逮捕された外務省機密漏えい事件を、著書「密約」で取り上げ、密約の文書開示請求訴訟にも原告として加わった。「法案が成立すれば警察国家のようになる。特定秘密の保護措置として警察庁長官はいろんなことができる。戦争中の日本人は『警察ににらまれたらまずい』と思いながら話していた。そういう時代に戻る可能性が非常に大きい」

 罰則で、公務員らが特定秘密を漏らすと最高十年の懲役に、漏らすよう働き掛けた場合も五年以下の懲役となる。「公務員は恐ろしくて何も言わなくなるし、情報提供を受ける側も取材しにくくなる。おかしいと思うことを調べ、社会のためだと思って発表しても、特定秘密を公にしたと認定されれば罪に問われるかもしれない。記者やライターがさらし者になり、公務員も被告になるのです。われわれがこれも特定秘密かと用心深くなっていけば、この国の言論は窒息します。それが法案の狙いかと思います」

 法案は、平和主義や国民主権、基本的人権の尊重という憲法の基本原理に対する反動とも指摘する。「明らかな憲法違反です。米国の戦略の中で戦争に向かう約束をしても、秘密といえば分からない。この法律が通った瞬間に日本は別の国になる。それほど悪い法律で、憲法を変えなくても何でもできる。憲法九条や九六条を変えると言えば反論できるが、特定秘密の内容には反論できない」

 安全保障に関する情報を守るのが目的としているが「安全保障自体がはっきりしたものでないから、どれがその情報か分からない。みんな特定秘密にしてしまえば国は答えなくていいし、憲法も無視できる。こんな法律のある国を、次の世代に渡せますか」。

   ×   ×

 さわち・ひさえ 三〇年東京生まれ。中央公論社を経て「妻たちの二・二六事件」でデビュー。「火はわが胸中にあり」で日本ノンフィクション賞。ミッドウェー海戦の克明な調査で菊池寛賞。

秘密保護法案:恣意的指定に懸念 野党が猛反発

http://mainichi.jp/select/news/20131104k0000m010086000c.html

秘密保護法案:恣意的指定に懸念 野党が猛反発

毎日新聞 2013年11月04日 00時25分(最終更新 11月04日 01時43分)

 国家機密を漏えいした公務員や民間業者に厳罰を科す特定秘密保護法案は7日にも衆院で審議が始まる。自民、公明両党は同日の衆院本会議で国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案を可決し、特定秘密保護法案の審議に入る構え。野党側は3日のNHK討論番組で特定秘密指定のあり方に改めて疑問を示し、与党と激しく対立した。【高本耕太、木下訓明】

 閣僚ら行政機関の長は、(1)防衛(2)外交(3)特定有害活動(スパイなど)防止(4)テロ防止??の4分野で特定秘密を指定。これを漏らした公務員には最高10年の懲役、秘密を知る立場の民間人には最高5年の懲役が科せられる。指定期間は原則5年で、更新が可能。30年を超える場合は内閣の承認が必要になる。

 民主党の大島敦政調会長代行は番組で「何が特定秘密で、いつ解除し、公開するかなどをすべて政府が決める」と批判した。特定秘密の指定や解除を決める基準づくりには有識者の意見も反映されるが、指定そのものに有識者は関与できない。日本維新の会の山田宏国会議員団筆頭副幹事長も「秘密指定が恣意(しい)的に行われる」と懸念を表明した。

 一方、法案は「国民の知る権利に資する報道または取材の自由に十分配慮しなければならない」と明記した。しかし、知る権利への配慮は努力義務規定に過ぎず、どこまで担保されるかは不透明。自民党の中谷元・元防衛庁長官は「国の安全なくして外国に占領されると、主権も権利も言えなくなる」と述べ、制約はやむを得ないとの認識を示した。

 民主党は保護法案の歯止め策として、行政による情報非開示決定の妥当性を裁判所が検証できるよう情報公開法改正案を今国会に提出し、保護法案との同時採決を求めている。しかし、公明党の上田勇政調会長代理は番組で「法案には評価すべき点がある」と理解を示しつつ、「継続して論議していく」と述べ、早期採決に慎重な考えを示した。

 民主党案は「国の防衛、外交や公共の安全、秩序維持に重大な支障を及ぼす場合」、政府が裁判所への情報提供を拒否できる余地を残す。「政府は例外規定をたてに、裁判所に情報を出さない」(与党幹部)との指摘もあり、実効性に疑問もある。保護法案が国会の秘密会に限って特定秘密を提示できると定めたことに対し、民主党は「政府提出法案が国会の自治権に踏み込むのは前代未聞」と反発している。

2013年11月 3日 (日)

沖縄タイムス社説[山本議員「直訴」]辞職要求はやり過ぎだ

商業紙としては、なかなかしっかりした立論で、さすがと思います。
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-11-03_56119

沖縄タイムス社説[山本議員「直訴」]辞職要求はやり過ぎだ
2013年11月3日 09時14分
(2時間20分前に更新)

 園遊会で天皇陛下に手紙を手渡した山本太郎参院議員(無所属)のとっぴな行動が、問題になっている。

 閣僚や自民党幹部からは「議員辞職もの。政治利用そのものだ」(下村博文文部科学相)などと厳しい処分を求める意見が噴出、野党からも批判の声が相次いだ。

 山本議員の手紙は、東京電力福島第1原発事故による子どもの被ばくや、作業員の労働環境の現状を記したもので、当の本人は「実情をお伝えしたいという気持ちがあふれ出た」と釈明している。

 日本国憲法は第4条で天皇の地位について「国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない」と定める。これを受けて第7条は、国事に関する行為について具体的に10項目を列記している。天皇の国事に関する行為はすべて、内閣の助言と承認が必要だ。

 国会議員が政治家として、天皇に対し、政治的問題についての手紙を渡すことは、天皇を政治の場に引き込む恐れのある行為である。

 思慮分別を欠いた軽率な行動だという批判は免れない。

 それにしても、市民派として脱原発を訴えて当選した新人議員のやむにやまれぬ行動が天皇への直訴だったことを、どう考えればいいのだろうか。民主主義への絶望が天皇直訴という手段を選ばせたとすれば、戦後憲法は根付いていないことになる。

 直訴は天皇の政治利用に当たり議員辞職は当然だ-と主張する強硬派議員の言い分にも強い違和感を感じる。

    ■    ■

 天皇の政治利用に関する規定は憲法にも他の法律にもなく、どのような行為が天皇の政治利用に当たるか、あいまいだ。

 安倍政権は、サンフランシスコ講和条約が発効した日にちなんで、4月28日、天皇・皇后両陛下を招いて「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」を開いた。沖縄にとって「4・28」は、日本本土の主権回復と引き換えに、沖縄に対する一切の統治権を米国に委ねた日である。

 そのような事情を考慮して歴代政権は式典開催を避けてきた。

 それなのになぜ、安倍政権は沖縄の強い反対を押し切って式典開催に踏み切り、天皇・皇后両陛下を招いたのか。

 時の政権は、政治的主張や施策のために天皇の権威を利用することを厳に慎まなければならない。それが、憲法の趣旨だ。

 この際、あらためて政府や政党に問いたいのは、山本議員の行動と、天皇の「4・28式典」出席と、どちらが天皇の政治利用度が高いのか、という点である。

    ■    ■

 自民党の中には、議員辞職勧告決議案を提出すべきだとの意見もあるようだ。

 国会として、議長による注意、けん責処分を検討するのは理解できるが、山本議員は、主権者である国民の信を得て参院選に当選した議員である。辞職要求は議論の走りすぎであり、議員辞職する必要はない。

 この問題は憲法に基づいて議論すべきで、戦前の不敬罪感覚で議論すべきではない。

産経新聞【主張】憲法公布67年 首相は改正へ指導力示せ まず集団的自衛権の容認を

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131103/plc13110303040001-n1.htm

産経新聞【主張】憲法公布67年 首相は改正へ指導力示せ まず集団的自衛権の容認を
2013.11.3 03:04 [主張]

 日本国憲法の公布から67年を経て、今ほど憲法改正が求められているときはない。現憲法がもたらした「空想的平和主義」のままでは、危機的段階に達した安全保障環境に対応できないからだ。

 一日も早く憲法を改め、抑止力を確かなものとしなければならない。それにもかかわらず、改正に向けた歩みが遅々として進んでいないのはどうしたことなのか。

 憲法改正を「私の歴史的使命」と位置付ける安倍晋三首相もトーンを落としている。改正へ強い指導力を発揮してもらいたい。

 ≪改正の世論に耳澄ませ≫

 すでに国民の多数派は憲法改正に前向きといえる。昨年12月の衆院選の結果、憲法改正を志向する自民党、日本維新の会、みんなの党の3党が改正の発議に必要な3分の2以上の議席を得た。現憲法下では初めてのことである。

 今年7月の参院選では、この3党は非改選を含む参院全体では3分の2以上に達しなかったものの改選議席に限れば3分の2を獲得した。憲法に新たな理念を加える「加憲」の公明党や民主党内の改憲派勢力が賛成すれば、参院でも発議の可能性はある。護憲一本やりの政党は、もはや国会では少数派となっている。

 産経新聞社は4月、国づくりの目標に「独立自存の道義国家」を掲げる憲法改正案である「国民の憲法」要綱を発表した。その後、9月の産経新聞社とFNNの世論調査では、憲法改正に賛同する人が52・4%に上った。

 こうした改憲の機運を生かし、指導者として国論を率いていくまたとない環境にあるといえる。

 だが、首相はさきの衆院予算委員会で、改正要件を定める96条の先行改正にこだわらない考えを示した。96条先行改正で「憲法を国民の手に取り戻す」と問題提起したのは首相自身である。今、国民を説得する姿勢に欠けるようにみえるのは残念だ。

 改正を実現するにはさらに国民への説明が欠かせない。首相は自ら憲法改正の必要性を絶え間なく語ることを実践してほしい。

 政党の動きも停滞している。自民党は各地で憲法改正に向けた対話集会を進めるといいながら未開催だ。「加憲」について条文化に乗り出すといっていた公明党にも目立った動きはない。

 民主党の枝野幸男憲法総合調査会長は「憲法改正の優先順位が高いとは思っていない」と語っている。最大の支持団体である連合は、すでに「時期尚早」としてきた改正論議を容認する方針に転じた。党としての改正案を条文化して国民に示す必要がある。

 国民投票法改正案も成立の見通しは立っていない。自民党内には公務員労組が組織ぐるみで改正に反対する運動を展開することを問題視して規制を求める意見がある。そうした懸念を解消したうえで早期に成立させるべきだ。

 ≪積極平和主義の土台に≫

 軍拡を進める中国は尖閣諸島付近に無人機を飛来させ、公船を連日のように日本の領海などに侵入させている。沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ第一列島線を越えた艦隊や軍用機の活動も目立つ。

 最近、弾道ミサイル搭載の原潜部隊を初公開したのは威嚇そのものである。北朝鮮の核・弾道ミサイル開発も容赦なく進む。日本は空想的平和主義の下で自らの抑止力を欠落させてきた。それが周辺国につけ込む隙を与えている。

 首相は「積極的平和主義」を掲げるが、そのために憲法をどう改めたいのかについて、正面から国民に説かなければならない。

 日本の安全を「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」して保持するとした憲法前文や交戦権などを否定する9条を改め、戦争を抑止する軍の保持を明確にしなければならない。それなくして積極的平和主義は確立できまい。

 条文改正の前に、9条の解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認すべきだ。10月の日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、米国は安倍政権の行使容認の検討を歓迎した。日米同盟の抑止力強化は喫緊の課題である。

 その成否は憲法改正への試金石ともなる。所信表明演説や策定中の国家安全保障戦略の「概要」では、行使容認について言及されなかった。容認に慎重な公明党に配慮しているのだろうが、指導力発揮の第一歩として与党内での同意を取り付けてもらいたい。

2013年11月 2日 (土)

自衛隊:「離島奪還」演習 尖閣近くに展開

http://mainichi.jp/select/news/20131102k0000m010091000c.html

自衛隊:「離島奪還」演習 尖閣近くに展開

毎日新聞 2013年11月01日 23時37分(最終更新 11月01日 23時47分)

 自衛隊は1日から、事実上の離島奪還を想定した3自衛隊の統合演習を始めた。北海道や東北の対艦・対空戦に関連する部隊を、沖縄・尖閣諸島に近い宮古島や石垣島に展開させたり、護衛艦や戦闘機による射撃訓練が初めて盛り込まれたりするなど本格的な内容だが、防衛省は「特定の国による離島占領を想定したものではない」と説明している。

 この日は北海道・苫小牧港で、対艦ミサイル「88式地対艦誘導弾」や対空ミサイル「改良ホーク」の発射機などを搭載した車両約40両が民間高速船に積み込まれた。隊員約90人も乗船、仙台港などでも装備や部隊を乗せ、来週中に南西諸島に到着する。

 演習は18日まで続き、隊員約3万4000人が参加。車両約900両、艦艇6隻、航空機約380機を投入する。離島防衛を想定した2年前の統合演習では、発射機を含むミサイル部隊が沖縄本島まで展開したが、今回は尖閣諸島まで約200キロの宮古島にも展開。同じく約170キロの石垣島にはレーダーなど対空戦闘や通信関連の装備が配置される。

 9日からの総合訓練では、米軍が射撃訓練に使う沖縄本島の南東約400キロの沖大東島を奪還する離島と想定し、護衛艦、F2戦闘機、陸自ヘリによる射撃訓練を実施。沖縄本島東方沖では、水陸両用作戦も可能な西部方面普通科連隊による上陸想定の訓練をする。

 西太平洋上では、中国海軍が1日まで9日間、全3艦隊が参加する演習を実施したばかり。宮古島周辺などで中国の艦船や航空機の往来が増えたため自衛隊が警戒監視したことに対し、中国側は「演習を邪魔した」と主張している。【本多健】

東京新聞【社説】山本議員「手紙」 軽挙慎み脱原発を前へ

山本太郎君のお手紙事件が話題を集めている。
山本君とその取り巻きの人びとは日本国憲法をわかっていない。
国会議員になったのだから、もう少し「憲法」を学んでほしいものだ。
引き合いに出された田中正造が泣くだろう。似て非なるものだ。
天皇の園遊会に国会議員が出て行くこと自体が問題外だ。「陛下」などという呼びかけもぞっとする。
あの90度に体を折った太郎君の最敬礼は見るも無惨だ。
批評としては、以下の社説がまだましだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013110202000169.html
東京新聞【社説】山本議員「手紙」 軽挙慎み脱原発を前へ
2013年11月2日

 脱原発を掲げる山本太郎参院議員が天皇陛下に手紙を渡し、「天皇の政治利用」と批判されている。儀礼を欠き、脱原発運動に水を差しかねない軽挙だが、批判する側に処分する資格があるのか。

 山本氏が差し出した手紙は、東京電力福島第一原発事故の現状を伝える内容だという。山本氏は「子どもたちの被ばくや、原発の収束作業員が最悪の労働環境で作業している実情などを知っていただきたかった」と説明した。

 「日本国民統合の象徴」として国民生活の安寧を祈る天皇に、原発を取り巻く厳しい現状を伝えたい気持ちは分からなくもない。

 しかし、山本氏は主権者たる国民の代表である。「国政に関する機能を有しない」天皇に、高度に政治的なテーマと化している原発問題で何かを期待するのは、日本国憲法の趣旨に反する。

 子どもを被ばくから守り、原発作業員の労働環境を改善し、国のエネルギー政策を脱原発に導くのは山本氏自身の仕事だ。国民の負託を受けた以上、どんなに困難でも、やり遂げる責任がある。

 原発推進派は早くも「天皇の政治利用」との批判を強め、議員辞職を求める声すらある。山本氏の行動は、脱原発を求めるうねりに付け入る隙を与え、運動全体にマイナスとなりかねない。慎むべきだった。まずは自覚を促したい。

 参院議院運営委員会は山本氏から事情を聴いた。具体的な処分を来週、検討するという。

 ただ、山本氏を批判する自民、民主両党に「天皇の政治利用」を断罪する資格があるのか。

 最近の例だけでも、自民党が衆院選で開催を公約した「主権回復の日」式典への天皇陛下出席、東京五輪招致に向けた国際オリンピック委員会総会への高円宮妃久子さま出席も、天皇・皇族の政治利用ではないか、と指摘された。

 民主党政権時代にも、天皇陛下と習近平中国国家副主席(当時)との会見を急きょねじ込み、同様の批判を浴びたことがある。

 自らの行動を顧みず、無所属議員を追い詰めるのなら、多数派の横暴、との誹(そし)りは免れまい。

 政府と国会に求められているのは、除染や補償を含む原発事故の収束に全力を挙げる、原発の危険性を認識し、使用済み核燃料の最終処分場のめどもないのに、原発政策を進めることの不合理性に一日も早く気付くことだ。山本氏の処分問題に政治的エネルギーを浪費している場合ではない。

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