政府が秘密独占 秘密保護法案 国会審議へ
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013102690070833.html
政府が秘密独占 秘密保護法案 国会審議へ
2013年10月26日 07時08分
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機密情報を漏らした公務員らに対する罰則を最高で懲役十年に強化することなどを柱にした特定秘密保護法案は二十五日、閣議決定され、衆院に提出された。政府が恣意(しい)的に秘密を指定し、際限なく秘密の範囲が広がる恐れがあるなど「国民の知る権利」を制限する内容は変わらないまま、議論の場を国会に移す。
法案によると、(1)防衛(2)外交(3)スパイ活動の防止(4)テロ活動の防止-の四分野のうち、政府が「国の安全保障に著しい支障がある」と判断した情報を特定秘密に指定。公務員らが漏えいした場合、罰則を科す。
法案には、大きく三つの懸念がある。
一つは、指定が行政機関の長だけの判断で決められ、第三者のチェックを受けないことだ。政府が不都合な情報を隠し、国民から遠ざける恐れがある。
罰則は、秘密を漏らした公務員だけでなく、情報を知ろうとした市民にも適用される。漏えいのそそのかし、あおりたて、共謀も最高懲役五年と定めているためで、調査活動を行う研究者や市民団体のメンバー、記者が罪に問われかねない。
秘密を永久に公表しなくてよい仕組みにもなっている。特定秘密の指定は五年だが、何回でも更新でき、三十年を超えても内閣が承認すれば隠し続けることができる。
法案に対し、多数の憲法学者や刑事法学者が「国民主権などの憲法の基本原理を脅かす」と反対を表明するなど、撤回を求める声は強まっている。
しかし、政府・与党は十二月六日までの今国会で成立させる構えだ。二十五日の衆院本会議で、秘密保護法案とセットにしている日本版「国家安全保障会議(NSC)」創設関連法案が審議入り。政府・与党は同法案を早期に衆院通過させ、秘密保護法案の審議に入る方針で、安倍晋三首相は本会議で「早期に成立させ、漏えい防止の体制を確保することが必要だ」と述べた。
(東京新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131026-00000025-jij-pol
情報活用「縦割り」打破課題=秘密保護法、根強い懸念-日本版NSC〔深層探訪〕
時事通信 10月26日(土)8時32分配信
情報活用「縦割り」打破課題=秘密保護法、根強い懸念-日本版NSC〔深層探訪〕
衆院本会議で、民主党の大島敦氏(手前)の質問を聞く(奥右から)安倍晋三首相と菅義偉官房長官=25日午後、国会内
安倍晋三首相の宿願である日本版NSC(国家安全保障会議)の創設関連法案が25日、審議入りした。障壁となってきた衆参の「ねじれ」は既に解消しており、今国会での成立が濃厚だ。ただ、優秀な人材を確保・育成して首相官邸が情報を吸い上げ、活用するシステムを構築できなければ、器は有効に機能しない。一方、日本版NSCと密接に絡む特定秘密保護法案も閣議決定されたが、「知る権利」を侵害しかねないとの懸念が根強い。
◇首相、司令塔強化に執念
「官邸の安全保障政策の司令塔機能を強化するために必要不可欠だ」。首相は25日の衆院本会議でこう強調、速やかな法案成立を訴えた。首相は第1次内閣の2007年にも創設法案を提出したが、総辞職で廃案となった。当時と比べ、中国の軍備増強など、日本を取り巻く安全保障環境は一段と厳しさを増す。安保政策刷新の必要性が一段と高まっているというのが首相の認識だ。
日本版NSCの中核は、首相、官房長官、外相、防衛相による「4大臣会合」。官邸主導で中長期的な安全保障戦略の基本方針を策定し、迅速な意思決定を図る。自衛隊制服組トップの統合幕僚長も出席し、発言することが可能だ。
事務局となる国家安全保障局は60人規模で発足し、民間の研究者や自衛官も登用する。焦点となるのは事務局トップの国家安全保障局長だ。政府高官は「各国のNSC責任者と電話一本で連絡を取り合えないと駄目だ」と指摘。外交実務の経験や人脈が豊富な外務省OBを充てる案が有力だ。
政府の情報収集では、これまで外務、防衛、警察など各省庁の縄張り意識から、それぞれが情報を抱え込んだり、個別に官邸に報告したりして混乱が生じるケースが多かった。
これを改めるため、各省庁の安全保障に関する重要情報は、国家安全保障局への報告を義務付け、一元的に分析した上で首相らに報告する形を取る。ただ、省庁縦割りの弊害打破は容易ではない。首相周辺は「官邸が『情報を出せ』と言って出さなければ懲戒免職だ」と官僚組織をけん制するが、実効性の確保は運用次第の面が残る。
◇行政裁量、チェック効かず
日本版NSCは米軍情報など、諸外国と機密を共有するため、情報保全の徹底も課題となる。安倍政権が安保などに関する機密を漏えいした公務員らへの罰則を強化する秘密保護法案の今国会成立を目指すのはこのためだ。ただ、特定秘密の対象・範囲が曖昧で、「政府の情報統制が強まる」との懸念は根強い。公明党の要求で法案には「知る権利」への配慮や「取材の自由」などが明記されたが、公務員が萎縮し、報道機関の取材が制約される可能性は否定できない。行政の裁量で秘密を長期間指定することも可能で、政府案のままでは国会や裁判所など第三者のチェックも働かない。
政権側は懸念払拭(ふっしょく)に躍起となっており、首相は24日の参院予算委員会で、政権が交代した場合について「改めて(特定秘密指定の)適否を判断することもあり得る」と説明。同法案を担当する森雅子内閣府特命担当相は、公務員が政府内の違法行為を告発した場合は罰せられないとの見解を示した。
しかし、行政の恣意(しい)的な秘密指定にどう歯止めをかけるのかなど不明確な点は多く、国会審議では野党側の厳しい追及が予想される。
情報保全をめぐっては、米国家安全保障局(NSA)が同盟国に対しても盗聴を行っていた疑惑が浮上。政府機関を狙ったサイバー攻撃もグローバルな問題になっている。政府関係者からは「罰則強化だけでは情報漏えいはなくならない。技術的な対策も必要」との指摘も出ている。
http://www.asahi.com/articles/TKY201310250427.html
秘密保護法案、「知る権利」残る疑問 国会論戦へ
安倍内閣は25日、国の機密情報を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案を閣議決定し、国会に提出した。同法案は秘密の指定範囲や基準があいまいで恣意(しい)的な運用の余地が残り、取材・報道の自由との線引きもわかりにくく「知る権利」を阻害するとの懸念が消えない。
特定秘密保護法案の全文
安倍晋三首相は25日の衆院本会議で「国家安全保障会議(日本版NSC)の審議をより効果的に行うためには、情報保全に関する体制が整備されることが重要だ。法案の早期成立に向けて努める」と述べ、国家安全保障会議設置法案とセットで今国会成立を目指す意向を表明した。
法案では防衛、外交、スパイなどの特定有害活動の防止、テロ活動の防止の4分野で「漏洩(ろうえい)が国の安全保障に著しく支障を与えるおそれがある」と行政機関の長が判断した場合、特定秘密に指定する。ただ、特定有害活動には「漏洩が我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動」を含み、情報を得るための市民活動も対象にするといった拡大解釈も可能だ。
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