国民投票法 議論をやり直すべきだ 09月26日(木)
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国民投票法 議論をやり直すべきだ 09月26日(木)
自民、公明両党が憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案を、来月召集予定の臨時国会に共同提出する見通しとなった。
国民投票ができる年齢を「18歳以上」で確定するという改正である。
同法は、付則で(1)成人や選挙権の年齢も18歳以上に引き下げる(2)公務員も自由に改憲論議をできるようにする(3)改憲だけでなく、国民投票の対象拡大を検討する―ことを求めている。合わせて「三つの宿題」といわれる。
国会はこれらの宿題をサボり続けてきた。特に、年齢に関しては2010年5月の法施行を過ぎても実現していないため、“違法状態”になっており、実質的に使えない法律となっている。
使えるようにするために自民党が考えたのが、宿題の棚上げである。解決が難しいからといって、国民投票の年齢問題だけを先行させるのは筋が通らない。
同法をめぐっては、憲法改正を宿願とする安倍晋三首相が第1次政権で、強行採決などで成立を急いだ経緯がある。宿題の解決に見通しが立たないなら、一から議論をやり直すべきだ。
安倍首相は先月、憲法改正に関し、三つの宿題に取り組む考えを示しつつ、「国民の意見を尊重して議論を進めていきたい」と語った。改憲に対する国民の理解が広がらず、連立を組む公明党が9条の改正を警戒していることなどから、慎重な対応を余儀なくされた結果である。
改正案が急に共同提出される展開になったのは、公明党の歩み寄りが大きいようだ。衆院憲法審査会が今月行った欧州視察の際に合意した、とされる。平和主義を掲げる公明党ではあるけれど、護憲政党と一線を画すため、憲法に新たな理念を書き加える「加憲」を主張している。
憲法に手を入れる立場から改憲手続きに一定の理解を示す必要性があったのか。与党の一員として首相との溝を広げるのは得策でない、と判断したのか。さまざまな思惑が透けて見えるようだ。
国民投票法の改正は改憲の環境整備を進めるものだ。国民投票の年齢確定をきっかけに、首相サイドが改憲機運を盛り上げる可能性は否定できない。
安倍政権のブレーキ役を自任する公明党にとって、国民投票法への対応は姿勢が問われる問題である。改憲に向け、外堀が徐々に埋まっていくのを許すことは本意ではないはずだ。改正案に安易に相乗りするべきではない。
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