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2013年6月23日 (日)

高橋昌之のとっておき】それはやめた方がいい安倍首相 憲法改正発議要件を「分野別」にする議論は

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130623/stt13062312000001-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130623/stt13062312000001-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130623/stt13062312000001-n3.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130623/stt13062312000001-n4.htm

高橋昌之のとっておき】それはやめた方がいい安倍首相 憲法改正発議要件を「分野別」にする議論は
2013.6.23 12:00 (1/4ページ)

 1カ月前にこのコラムで、憲法改正の発議要件を衆参各院の3分の1から過半数に緩和する96条先行改正について、「日本国憲法を制定以来初めて国民のものにする」ことなど意義を書かせていただきました。これには多くの方々から支持するご意見をいただき、安倍晋三首相らも以降、この点を強調するようになりました。

 ただ、自民党は結局、20日に決定した参院選公約に「96条先行改正」は盛り込みませんでした。個人的には残念ですが、憲法改正は国民の理解が得られなければ実現しませんから、「急いで実現できなくなる」より「実現するための戦略的遠回り」(首相周辺)もやむをえないと思います。

 安倍首相自身は引き続き憲法改正の実現に強い意志を持ち続けているようで、そこは安心しているのですが、懸念せざるをえない首相の「発言」がありますので、今回はその点を指摘したいと思います。それは「改正の発議要件を分野別にすることも検討する」というものです。

 安倍首相は16日夕(日本時間17日未明)、訪問先のポーランドでの同行記者団との懇談で、憲法改正について「参院選を終えたうえで多数を得るよう努力していく。日本維新の会、みんなの党だけでなく、民主党の中にも条文によっては賛成する人がいる」と述べ、改正発議に必要な衆参各院の3分の2以上の勢力確保を目指していく考えを示しました。

 維新、みんな両党に加え、憲法改正とくに96条先行改正に賛成する民主党の議員とも連携できれば、改正の発議を行える可能が出てきますから、安倍首相には参院選後、ぜひともそのリーダーシップを発揮してもらいたいと思いますが、問題は次の発言です。

 96条の改正発議要件を衆参各院の過半数に緩和することについて「平和主義や基本的人権、国民主権に関わるものは3分の2のまま据え置くべきだとの議論もある。そうしたことも含めて議論する」と述べたのです。この発言を公明党幹部は「配慮してくれている」と評価したそうですが、それだけに党利党略と受け止められかねませんし、私はこの議論は基本的に間違っていると思いますので、安倍首相に再考を求めます。

 その理由は第1に、96条の改正発議要件を過半数に緩和することは、先に述べたように「日本国憲法を制定以来初めて国民のものにする」という極めて大きな意義を持っています。現在の条文では、衆参各院のいずれかで3分の1以上の議員が反対すれば改正は発議されませんから、現在の憲法はいわば「3分の1の国会議員のもの」になっているわけです。これを過半数に緩和すれば、現実の政治情勢として改正の発議が可能になりますから、国民投票が行われる、すなわち「国民のもの」になるわけです。
安倍首相が「平和主義や基本的人権、国民主権に関わる条文は憲法の中でもとくに重要だ」と考えているとしたなら、それこそ、それらの条文を改正するかどうかは「衆参各院いずれかの3分の1の議員」ではなく、「国民」に委ねるべきではないでしょうか。それを、現在の3分の2以上のまま据え置くということは、安倍首相が考える憲法の根幹部分の改正について、引き続き国民の手から遠い所に置き続けることになってしまいます。これは96条改正の本来の意義に反します。

 第2に、「どの分野や条文は重要だから、3分の2以上に据え置く」ということを、だれがどんな基準で決めるというのでしょうか。もし、こんな議論を始めたら、分野や条文ごとに賛否両論が巻き起こって、収拾がつかなくなるのは目に見えています。大体、96条を改正する際に、どういう表現でこれを条文化するのでしょうか。現実問題として不可能です。

 したがって、「特定の分野については現在の発議要件を維持する」という議論は、96条さらには憲法そのものの改正論議を混乱させ、改正させないための「わな」というべき議論なのです。安倍首相はこのことに気づいて、「憲法改正の発議要件を分野別にする」という議論は封印した方がいいと思います。

 私は96条の改正発議要件の緩和は、賛成する政治家やマスコミ、学者がきちんと意義を説明すれば、良識ある国民の支持は必ず得られると考えています。ですから、憲法改正はすべての分野や条文について衆参各院の過半数で発議され、国民投票では現行法通り、「投票総数の過半数の賛成で承認される」ということでいいと思います。
百歩譲って、国民全体で憲法改正はどうあるべきかについて真剣に議論した結果、仮に国民の間に「憲法改正はある程度高いハードルを課した方が望ましい」という意見が強かったとすれば、国民投票での改正承認要件を「投票総数の過半数より高く設定する」という議論の方が、まだ筋はいいと言えるでしょう。

 ただ、それも改正発議要件について述べたように、「特定の分野については承認の要件を高く設定する」という議論をしたら、やはり「どの分野のどの条文が重要なのか」という迷路に陥ってしまいますから、行うべきではありません。仮に国民投票での承認要件を高く設定するという議論をするとしても「一律」で考えるのが妥当です。

 前にこのコラムで述べたように、ここまで議論が盛り上がってきたら、7月の参院選では憲法改正、そして96条の先行改正は否が応でも争点になります。そして改正が現実味を帯びるに従って、反対する政治勢力やマスコミ、学者はますます攻勢を強めています。

 だからこそ、真に国のあり方、つまり憲法のあり方を考える人々は、ぶれずに主張し、そして丁寧に国民の理解を求めていくべきなのです。先頭に立つ安倍首相にはとくにその意志と姿勢を堅持してもらいたいと思います。「わな」にはまってはいけません。

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