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許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2013年5月 9日 (木)

【正論】「国民の憲法」考 前防衛相、拓殖大学教授 森本敏

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130508/plc13050803170005-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130508/plc13050803170005-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130508/plc13050803170005-n3.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130508/plc13050803170005-n4.htm

【正論】「国民の憲法」考 前防衛相、拓殖大学教授 森本敏
2013.5.8 03:15 (1/4ページ)[憲法・法律]

改正への道筋を想定してみれば

 現行憲法は戦後日本の発展と繁栄の基礎となり、国民の多くに受け入れられてきた。しかし、国家のさらなる発展と安定のため、時代の要請に応じた改正が求められる時期にきている。それは、戦後体制から脱却して次の時代に対応し得る新たな国家創生の指針を示すものでなければならない。

 ≪96条→前文→9条→の順に≫

 東アジアは「グローバルトレンド2030」(米国家情報会議、12年12月公表)が示すように、経済連携に基づく発展と成長を続ける一方、国家主義、軍事力近代化や領有権・資源・環境問題など多くの不安定要因を内包する。

 特に、中国が影響力を増して覇権国の道を進み、その軍事力が周辺諸国にとって、一段と大きなリスクになるのは間違いない。北朝鮮も金正恩体制の生き残りをかけて核・ミサイル開発を進め、その命運の決め手は中国になる。わが国は米国と価値観を共有する諸国との連携の下に、この地域の発展と安定のために力強い指導力を発揮し続けなければならない。

 憲法は、そのための国家の方向と在り方を示すべきである。

 差し当たり第96条改正から手を付けることに異論はない。が、96条を改正しても、国民投票を維持する限り、次に憲法のどこをどの優先順位で改正するか、理由を付して国民に提示する必要がある。96条改正の次は、憲法の条文の改正になる。その手順は、前文から始めて、優先度に従って条文ごとに行うということになろう。


 前文は国家の理念と性格を決定づけるものであり、その改正は国家の主権と在り様を定めることになる。その際、日本の国体が天皇を元首とする立憲国であることを明確にしなければならない。

 わが国は、アジア太平洋地域において繁栄と安定を維持し、歴史・伝統・文化や人権を重んじ、産業・医療・環境・技術の面で世界をリードする国でなければならない。アジアをはじめ諸外国の人々が一度は住みたい、子供を留学させたいと思うような国であるためには、開かれた社会であると同時に、治安・交通・住環境・福祉に優れ、コンパクトな防衛力によって領域・国民を効率的に守れる体制が維持される必要がある。

 ≪9条の修正はなぜ不可欠か≫

 そのためには、現行の前文にあるように、「諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」するのではなく、国民が法に基づく国際秩序を重んじて、その領域、国民、及び国益を守るとの確固とした信念をもつ国家でなければならない、のである。

 この原則に基づき、第9条を改正して、国際法上、国家に認められている自衛権を、集団的自衛権を含めて行使できるようにしなければならない。わが国は国防軍を有し、法律の定めに従い、国防のほか、国際の平和と安全に寄与することができると規定する。第9条2項の改正は当然である。

第9条1項は不戦条約の趣旨に沿ったもので、改正する必要はないという意見があるが、賛成できない。「国権の発動たる戦争」を「永久に放棄する」ことは変更の要ないとしても、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段として」永久に放棄するとなれば、集団安全保障に参加できないだけでなく集団的自衛権すら行使できなくなる。

 日本が平和維持活動(PKO)で「駆けつけ警護」もできず、多国間の上陸演習や海・空演習にも参加できないのは、この1項の解釈から生じている問題だ。これを放置したままでは国防軍が本来の役割と機能を発揮できない。

 そもそも、現行憲法の規定は自衛権を発動する要件を、武力攻撃が行われた場合に限っており、武力攻撃に至らない事態には警察権によって対応するほかない。国家が武力攻撃に至らない急迫不正の侵害に対して自衛権を行使し、均衡のとれた対抗措置の範囲内で武力を行使することは、国際法上認められている、にもかかわらずである。これでは国家の防衛は不可能であり、従って、2項と同様に1項の改正も不可欠である。

 ≪安全保障の法体系再構築を≫

 9条改正が成ったら、これに基づく国家の安全保障に関わる法体系が、大本を定める安全保障基本法と、同盟協力基本法、国際協力基本法の3本の基本法によって構築されることが適当である。

 国家の緊急事態に対する危機管理体系の細部は安全保障基本法で定める方が望ましい。内閣総理大臣が国家緊急事態を宣言し、国民が所要の義務を果たすべきことは憲法に明記する必要がある。

 そのうえで、従来、各種事態が発生するたびにつぎはぎ細工のように制定してきた国内法を、基本法体系の中に整理し直す作業が必要となる。集団的自衛権が行使できるようになれば、それを実行するために、日米安全保障条約第5条を改定しなければならないことはいうまでもない。それに伴い、日米地位協定の性格も変質することは避けられないであろう。(もりもと さとし)

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