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2013年2月21日 (木)

安倍首相を迎えるワシントン

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130221/plc13022108040005-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130221/plc13022108040005-n2.htm

【宮家邦彦のWorld Watch】
安倍首相を迎えるワシントン
2013.2.21 08:02
米ワシントンでの会合に出席したケリー新国務長官。アジアへの関心は高くないとされるが…=7日(ロイター)

米ワシントンでの会合に出席したケリー新国務長官。アジアへの関心は高くないとされるが…=7日(ロイター)

 このコラムが読者の目に触れる頃、安倍晋三首相は米国への出発準備に追われていることだろう。首相としての訪米は2度目、前回は2007年4月末だった。民主党歴代首相とは異なり、首脳会談に不安はないが、首相を迎える今週のワシントンは6年前とかなり異なっている。

 2007年当時はジョージ・W・ブッシュの時代。彼は育ちの良いエリートの二世政治家。決して秀才とはいえないが、どこか憎めない温かみのある大統領だった。テキサス州知事を2期務め、政治家としてそれなりのキャリアを積んでいた。

 これに対し、今はバラク・オバマの時代。ハワイ出身のアフリカ系少数派であり、ハーバード大学法学院出身の頭脳明晰(めいせき)な大統領。だが、中央政界でのキャリアは意外に短く、何事にもビジネスライクで、ぬくもりが感じられない。これがワシントンでの一般的評価だ。

 そのオバマ政権が先月から2期目に入った。過去4年間、日本はあらゆる意味で幸運だった。確かに日本では首相が4人も変わり、日米関係はギクシャクした。それでも同盟が大きく傷付かなかった理由はヒラリー・クリントン国務長官の存在が大きい。

 彼女の後任はジョン・ケリー上院議員。さらに、クリントン長官とともに対日関係を重視したレオン・パネッタ国防長官も政権を去り、後任にはチャック・ヘーゲル元上院議員が指名された。このオバマ政権2期目の変化も決して無視できない。

 そもそも、ケリー国務長官がアジアに関心を持っているという話は聞かない。それどころか、指名承認公聴会での証言を読むと、新長官の関心は明らかに欧州と中東方面を向いている。1期目に比べれば、大きな様変わりといえるだろう。
国防長官に指名されたヘーゲル元上院議員もアジアには縁がない。それどころか、彼は米国の軍事介入や国際的関与にあまり積極的でない共和党の異端児、というのが大方の評価だ。上院での国防長官人事承認が遅れているのもうなずける。

 要するに、今週安倍首相を待ちうけるワシントンとは、ビジネスライクに徹するクールな大統領と、アジアに関心の低い新国務長官と、同盟関係や米国の指導的役割に強い関心を抱かない次期国防長官候補からなる2期目のオバマ政権なのだ。

 だが、これで落胆する必要はない。オバマ政権1期目の外交・安保チームが例外的に良かっただけだ。ケリーのような欧州・中東重視の政治家はワシントンに大勢いる。異端児ヘーゲルも米国の伝統的「内向き」志向を象徴すると思えば決して不思議ではない。

 大統領がビジネスライクならば、安倍首相は淡々とビジネスを仕込んでくればよい。新国務長官が中東を向くなら、外相がアジアと中東の一体性を知らしめるしかない。同盟に関心のない次期国防長官には防衛相が日米同盟の現実を理解させる以外にない。

 パニックは不要だ。これまでも日本は「アジアに対する関心が低い」米国政府と何度も付き合ってきたではないか。

 日本の民主党政権時代にクリントン、パネッタ両長官がいたことは不幸中の幸いだったが、これが例外的な幸運であったことも忘れてはならない。

 ワシントン政治はほぼ10年おきに「外向き」「内向き」を繰り返す。もし現在が「内向き」の真っ最中であれば、今こそ日本の政治家の真価が問われる。アジアに関心の低い米国にアジアへの関心を持たせることは日本政府の重要な仕事の一つである。

                   ◇

【プロフィル】宮家邦彦

 みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では、首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。

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