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2013年1月16日 (水)

毎日特集ワイド:カムバック「安倍政権」を読む 対談 山崎拓・自民党元副総裁/加藤紘一・自民党元幹事長

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特集ワイド:カムバック「安倍政権」を読む 対談 山崎拓・自民党元副総裁/加藤紘一・自民党元幹事長

毎日新聞 2013年01月16日 東京夕刊
 ◇価値観外交、通用せず

 90年代、自民党旧経世会の支配に対抗し、当時の同党ニューリーダー3人がYKKを結成した。小泉純一郎元首相(71)と山崎拓・自民党元副総裁(76)は現役を退き、加藤紘一・自民党元幹事長(73)は昨年末の衆院選で落選。YKKが政治の表舞台から姿を消すこととなった。安倍晋三内閣をどう見るか。去る政界への懸念は? 加藤、山崎両氏に聞いた。司会は松田喬和・専門編集委員。【構成・戸田栄、梅村直承撮影】
 ◇集団的自衛権行使、解釈改憲では無理−−山崎拓・自民党元副総裁
 ◇平和外交宣言の9条には手をつけるな−−加藤紘一・自民党元幹事長

 −−安倍政権は異例の首相経験者のカムバックという形でスタートしました。1948年の第2次吉田茂内閣以来ですが。

 加藤 麻生さん(太郎副総理)も再登板に意欲的らしい。何をしたいかが明確ならいいでしょう。新政権の試金石は景気回復。円安を進め、製造業の輸出による回復を狙っていますが、今やその構造で進めるのはなかなか難しいのではないでしょうか。

 山崎 安倍さんの総裁再任からして意外でしたが、首相就任後の円安・株高の景気回復基調の展開はさらに意外。衆院選後、安倍首相の高揚した気分に景気も国民全体のムードも引っ張られている。いい方向だが、絶好調が早く出過ぎた。いつまで続くか心配です。問題は大胆な金融緩和政策。一時的効果はあるが、雇用や所得が増えなければ国民負担は重くなる。実体経済が伴わない名目成長には危険な要素があります。ただ景気が本当に回復すれば、長期政権も夢ではありません。

 −−日本の右傾化への懸念が海外からも示されています。

 加藤 非常に危ないと思います。日本のふわふわとした右傾化に拍車がかかるのではないか。本当に国を守るには、まず自分の地域、家族を守る決心でなくては。頭で考えたナショナリズムが多い。今や有力政治家が「自衛隊は中国と戦争をしても意外に強いかも」と発言しています。今回、議員バッジを失って最も残念なのは、今後はそれを止める大きな捨て石になれないことです。
山崎 中曽根康弘元首相は83年、冷戦を背景に日本を不沈空母とする発言をしたとして物議を醸しました。あれから30年、旧ソ連に代わって中国との第2次冷戦構造が生まれる可能性がある。第1次安倍内閣は、民主主義などの価値を共有する国家との関係を強化する「価値観外交」を基本方針とし、中国封じ込めの考えにも見えた。そのスタッフがまた新内閣に入り、焼き直しの外交をやろうとしている。だが、同じことが通用するのか。6年前と今では、中国の力が違う。中国の海外進出は国内矛盾を克服するためなのです。日中協商の方向で説得する必要があります。

 加藤 日中で戦争をするわけにはいきません。

 −−安倍政権は憲法改正を目指しています。

 山崎 安倍政権は憲法解釈の変更、いわゆる解釈改憲によって集団的自衛権の行使を可能にしようとしているが、うまくいくのか。集団的自衛権は有しているが憲法上行使は認められないという現行の解釈は、歴代の自民党首相が是認し積み重ねてきたもの。自由に変えられるとなると、内閣法制局の存在意義にかかわるので法律上の措置が必要でしょう。さらに安倍政権の安保政策を象徴するのが自衛隊の「国防軍」化です。9条2項に「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とあり、憲法を改正せずに解釈改憲では、いくらなんでも国防軍とはいきません。

 加藤 環境権や私学助成などの問題があり、基本的に憲法改正には賛成です。だが、9条には手をつけるなと言いたい。9条は戦後のわが国の平和外交宣言のようなものです。まだ戦争の傷は癒えていない。北朝鮮のミサイルが米国を狙うという時、知らん顔をするのかという集団的自衛権の問題は、解釈改憲で対処すべきです。

 −−右傾化に歯止めをかける自民党内の勢力は著しく弱くなっていませんか。

 加藤 そうですが、国全体では必ずしもそうではない。ネット右翼はにぎやかだけれど、ネット上だけ。それに政治家が踊らされていることが危ないのです。

 −−環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加問題では、自民党内は二分されています。

 加藤 昔は党内合意を得るために徹底的に議論しましたが、最近は首相になったら何でもできると思う政治家が増えた。TPPでは自民党分裂の恐れがあります。

 山崎 安倍首相は出たとこ勝負でいこうとしています。計算を間違うと党が割れ、参院選でしっぺ返しに遭う。最初の日米首脳会談が天下分け目じゃないですか。

 −−国政の混乱の根本的原因はどこにありますか。
 加藤 日本は明治時代に「脱亜入欧」という言葉でグローバリズムを導入しましたが、90年代以降、国民は限界を感じ始め、いまだに答えが出ていません。アジアに回帰して欧米と仲良くする、今はその転換の過程にあるのではないか。約30年前からそう考えていたのが大平正芳元首相だ。だから民主党内に宏池会研究グループをつくりたいという動きがある。日本維新の会の橋下徹代表代行とは面識がありませんが、彼も迷いに迷っている感じです。一方、石原慎太郎さんは古いグローバリズムの典型だ。

 −−選挙制度にも混乱の原因はある?

 山崎 小選挙区では自民党は今回、4割の得票で8割の議席を得た。民主党の前政権も同様です。前政権は数におごり、消費増税をした。今度は自民党が同じ失敗をする可能性がある。こういう大きな弊害があるので、穏当な結果が出る中選挙区制に戻すのがよいと思います。また小選挙区制は党で人を選ぶ選挙になります。この方法では自力で有権者の支持を得て、たくましく当選する政治家が出てきません。

 −−最後に政界に語り置きたいことを。加藤さんには00年11月の野党による森喜朗内閣不信任案提出に同調する動きを見せて、森内閣を揺さぶった「加藤の乱」の真相も聞きたい。次期首相の最有力候補と当時は言われていた。

 加藤 自民党に対する世論は厳しかった。そこに気づかなきゃいけないと問題提起したつもりが、あれだけの大騒ぎになりました。やはり自分の感覚は正しかったというのと、党内政治的には幼かったというのと複雑な気持ちでした。自民党への国民からの批判は今も続いていると思います。

 山崎 その経緯は私の方が客観的に分かる。今は人騒がせなことは言いたくないが、いずれ明らかにします。

 私自身は幹事長として関わった北朝鮮との国交正常化問題が印象深い。02年の日朝平壌宣言は対話の成果で拉致被害者5人、その後家族も帰国を果たした。問題の解決は圧力一辺倒では果たせません。

 加藤 政治家は地域社会に根を下ろし、丁寧な政治をしてほしいと思います。

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 ■人物略歴
 ◇やまさき・たく

 中国・大連生まれ。戦後は福岡市で育つ。衆院議員12期。防衛庁長官、建設相、自民党幹事長、副総裁などを歴任。自民党総合政策研究所長。

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 ■人物略歴
 ◇かとう・こういち

 山形県鶴岡市で育つ。外務省を経て、衆院議員13期。防衛庁長官、官房長官、自民党幹事長などを歴任。日中友好協会会長。

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