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2012年10月22日 (月)

産経新聞 【言(こと)のついでに】論説委員・清湖口敏 朝日歌壇が映す「思想」

閑話休題です。
産経の八つ当たりのコラムを見つけました。
石川啄木などの伝統ある朝日歌壇だそうですが、近藤芳美さんが亡くなっていらい、とんとおもしろみがなくなったと思いつつ、
それでも趣味でときおり、目を通します。産経がこれだけいちゃモンを付けるのだから、まだ存在価値があるのかな。(高田)

http://sankei.jp.msn.com/life/news/121021/trd12102103140000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121021/trd12102103140000-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121021/trd12102103140000-n3.htm

【言(こと)のついでに】論説委員・清湖口敏 朝日歌壇が映す「思想」
2012.10.21 03:09 (1/3ページ)[文学]

 今年4月に没後100年を迎えた石川啄木は、東京朝日新聞に校正係として入社した翌年の明治43年、新設されたばかりの朝日歌壇の選者に抜擢(ばってき)された。同歌壇の由緒はなかなかのものなのである。

 その朝日歌壇の、日付はやや古いが8月20日付の入選歌を見て驚いた。反原発の歌がずらりと並び、どこの運動組織が発行する機関紙の短歌欄かと思ったほどだ。便宜上、番号を付して引けば、(1)原発の再稼働否(いな)蟻のごととにかく集ふ穴あけたくて(2)100円の帽子被って参加した脱原発デモの後のかき氷(3)原発を残して死ねじと歩く老爺気負わずノーと夕風のごと(4)国会を囲む原発NOの輪に我も入りたし病みても切に-といった具合で、4人の選者のうちS氏が(1)、(2)、(3)を第1、第2、第3首に入選させ、T氏が(2)を第1首、(4)を第2首に選んでいる。

 入選歌の序列は明確ではないが、新聞の俳歌壇では第1句(首)から1席、2席、3席…とする例が多く、評が付くのも主に第3あたりまでだから、その日の朝日歌壇では反原発の歌が上位を独占したと受け止めた読者も少なくなかったに違いない。ちなみにT氏選の第3首は「まほろばの青海原を飛ぶ鶚(みさご)その名を騙(かた)るものをにくしむ」で、垂直離着陸輸送機オスプレイ(鶚の英語名)の沖縄配備を批判する歌だった。

 短歌における私の美意識では、(1)の「否」といい(3)の「ノー」、(4)の「NO」といい、まるで学生運動の立て看板に殴り書きされたスローガンみたいな措辞で何とも粗々しく、(2)の定型律の緩みも気になる。もちろん歌の巧拙は選者の主観、短歌観が決めるものだから、ここで選を難じても仕方がないのだが、それにしても他を押しのけてまで“上位”に来るような歌だろうか。

 そこでこんな想像をした。もしや選者は、歌の出来より朝日新聞の主義論調を優先させたのではなかろうかと。ばかな、錚々(そうそう)たる同歌壇の選者に限ってそんな俗念などあるはずがないと反論されるのは承知している。私もそう信じたい。が、以前に読んだ『「差別表現」を考える』(平成7年、光文社刊)の中の一文がどうしても忘れられないのだ。

 某新聞地方版で俳句の選をしているという人が、こんな告白をしていた。彼は新聞社から、「雲の峰畦(あぜ)づたいに来る郵便夫」の「郵便夫」は差別語だから選からはずしてほしいと言われた。その後も何かとやりとりがあった末に、「私は、『夫』に恐怖症となり、それらしい文字のある俳句は、選からはずしてしまう」ようになったという。朝日歌壇で「反原発」が優遇される背景に選者の“配慮”があったとしても、特段の不思議はなさそうである。

また、こうも考えた。情念を歌い上げる短歌にはおのずと作者の思想やイデオロギーが投影され、選者がそれらにいたく感銘する場合だって当然、あり得よう。18年1月30日付朝日歌壇で「戦犯を祀る日本の気が知れぬ ヒトラーを祀る国など無きに」が入選したのも、選者T氏が思想的に共感したからだろうか。

 真相はどうあれ、戦勝国の論理で不当に戦犯とされた日本人と、ユダヤ人を大量に虐殺したヒトラーとを同質にみる歌が日本の新聞に載るとは尋常でない。まさか朝日新聞が、「力をも入れずして天地(あめつち)を動かし」と紀貫之が称(たた)えた歌の力を以(もっ)て、世論をわが方に動かそうとしているとも思えないが…。

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