無料ブログはココログ

許すな!憲法改悪・市民連絡会

« 安全説明足りず「政争の具」=オスプレイ配備で前米国務省日本部長 | トップページ | 石破、百地両氏が憲法改正訴え »

2012年7月22日 (日)

産経:新たな「国民の憲法」のために 起草委の議論を振り返る(2-2)

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120720/plc12072008480007-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120720/plc12072008480007-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120720/plc12072008480007-n3.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120720/plc12072008480007-n4.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120720/plc12072008480007-n5.htm

新たな「国民の憲法」のために 起草委の議論を振り返る(2-2)
2012.7.20 08:34 (1/5ページ)
「国民の憲法」起草委員会の議論はこれまで8回に及び、白熱した討議が続いている。左から大原康男国学院大学教授、西修駒沢大学名誉教授、田久保忠衛杏林大学名誉教授、佐瀬昌盛防衛大学校名誉教授、百地章日本大学教授(鈴木健児撮影)

「国民の憲法」起草委員会の議論はこれまで8回に及び、白熱した討議が続いている。左から大原康男国学院大学教授、西修駒沢大学名誉教授、田久保忠衛杏林大学名誉教授、佐瀬昌盛防衛大学校名誉教授、百地章日本大学教授(鈴木健児撮影)

 ≪前文いかにあるべきか≫

良き伝統を未来につなぐ

 5月10日の第4回と同月24日の第5回会合では、前文のあり方を議論した。

 百地氏は、今年4月に自民党が発表した「憲法改正草案」や、たちあがれ日本の「自主憲法大綱案」など新しい憲法づくりに取り組む諸団体の前文案を紹介。明治憲法の特徴も解説した。

継ぎはぎの詫び証文

 西氏は、現行憲法前文の成立過程を説明。憲法草案をつくったGHQで前文を担当した民政局のアルフレッド・ハッシー海軍中佐のメモなどを基に、現行の前文には米国の憲法やリンカーン16代大統領の演説、独立宣言、テヘラン宣言、大西洋憲章、マッカーサー・ノートに類似する表現が確認されるとし、「いろいろな歴史的文書の継ぎはぎだ」と強調した。西氏はドイツや中国など諸外国憲法の前文の特色も解説した。

 西氏はさらに、憲法に盛り込むべき国家像、理念像をビジュアル化した独自の「憲法の家」構想を紹介。過去から受け継いだ独自の文化や伝統を土台に、「自律した個人」が家族や地域社会という共同体を構成して支え合い、地方自治体と国家が社会秩序を維持し、国の独立を守り、未来へとダイナミックに進んでいくという縦軸と、国際社会との協調や自然環境との共生を目指すという横軸を憲法は備えるべきだとした。

 そのうえで、「学界などでは国家権力を規制するのが憲法だと言われてきたが、国家は国民の生命と財産を守る一方で、国民は国家や社会に対して応分の協力をするという関係を前文には盛り込むべき」だとした。

自信と誇り取り戻せ

 こうした報告を受けて、前文の必要性などについて検討された。

 百地氏は「明治憲法下の道徳規範だった教育勅語や修身教育が戦後なくなって、現行憲法があらゆる価値の根源であるかのような風潮が醸し出された。その中に自虐史観もある。その反省に立って、『日本の伝統的な価値観』と『新しい価値観』を盛り込み、日本人が自信と誇りを取り戻すことのできる前文が必要だ」と強調した。

 佐瀬氏も「『政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは…各国の責務である』という文言は他国へのお説教だ」と現行憲法前文の問題点を指摘した。

 その結果、委員会が目指す新憲法にも前文は必要であり、(1)先人から受け継いだ歴史ある日本の国柄を将来に受け継ぐこと(2)日本国が天皇を中心に脈々と続いてきた世界に類のない共同体国家であること、日本人のすぐれた特性(3)国の根本原理と国家の目標、国家の目指すべき目標(4)新憲法を打ち出す趣旨(5)国際協調-を盛り込んだまったく新しいものにすることで合意した。

 「先人から受け継いできた日本の国柄」「国家の根本原理」としては、国柄の議論のさいに出された「合議を重んじる政治的伝統」(百地氏)について大原氏が「わが国の基本原理として一貫していた」と指摘。西氏が日本社会の特質として挙げた「重層性」という言葉にも大原氏は「家族、地域共同体、国民共同体としての国家という重層性が日本社会の特性だ」と賛同した。

国の目標に道義明記

 「国家の目標」としては、「独立自存の道義立国を目指す」とすることで合意がなされた。国際社会の中で、日本が道義に則って独立自存を維持していくとともに、国民一人一人が道義を大切にしていくことによって国家を建設することへの自覚を持つ、という二重の趣旨で用いることになった。


 「日本人のすぐれた特性」については、「繊細、勤勉、雄々しさ、穏和、寛容、実直、和の精神」などが検討されたが、「道義」に含めることが可能で、個別に記す必要はないのではないかとの意見も出された。

 「新憲法を打ち出す趣旨」としては、「戦後体制に問題があった」という認識に基づいて新憲法づくりを進めていることを踏まえ、「戦後」とは違った新しい方向での「国づくり」を目指すという趣旨の文言を盛り込むべきだとの意見が大勢を占めた。

 明治憲法や現行憲法との連続性や、両憲法の優れた点、評価できる点についても考慮すべきだとの意見もあった。明治憲法については、百地氏が「民意を国政の基礎におく立憲主義の精神」が評価できるとし、現行憲法では基本的人権の尊重や国民主権について検討していくことにした。

 「国際協調」については、佐瀬氏から、「なんらかの国際規範の尊重」といった趣旨の文言を盛り込むべきだとの提案があった。

 このほか、新しい前文は、格調の高い文章にすること、長さは現行憲法を目安にする方針でも一致した。具体的な文言づくりは、新憲法の各条項を検討したのちに改めて議論することになった。

                   ◇

 ≪天皇どう表記するか≫

「象徴」「元首」詰めの論議

 天皇に関する議論は6月14日、同月28日、7月12日の計3回行われた。主な論点は(1)天皇の地位(2)天皇の行為(3)皇位継承-だった。

 まず、天皇は有史以来、民とともにあって、わが国の安寧を脈々と祈り続ける、世界にも例がない掛け替えのない「ご存在」であり、私たち日本人は先人から受け継いだ歴史ある国柄を未来へと引き継いでいく責任があることがあらためて確認された。

現行憲法の規定にある「象徴」という言葉について大原氏が言葉の語義や由来、定義などを歴史的にひもといた。象徴という言葉はもともと漢語にはない「和製漢語」で、明治の思想家、中江兆民が「symbol(シンボル)」の訳語として用いたのが始まりだったなどと解説。象徴天皇という表現には「象徴とは聖なる言葉で、世俗を超越した存在であることを表現している」などと意義づけた。

 西氏は「象徴天皇」のオリジナルドラフト(草案)を書いたのがGHQ民政局で「天皇・条約・授権規定に関する委員会」にいたジョージ・A・ネルソン、リチャード・A・プール両氏であると指摘。ネルソン氏が「英国の思想家、ウォルター・バジョット氏の著書『英国憲法論』の影響を受けて象徴という言葉を使った」とインタビューで答えたエピソードを紹介した。

 西氏は“押しつけ”との批判が根強い現行憲法制定過程のなかで、天皇については「積極的役割を規定しようとして象徴という言葉が使われた」と肯定的にとらえ「象徴」の表現をその後採用した世界の憲法例なども報告した。

象徴表現めぐる誤解

 白熱したのは「元首」をめぐる論議だった。

 「天皇はわが国の元首である」という点で起草委の認識は一致したが、現行憲法にない「元首」の文言を憲法に明記すべきか、否か。積極論、消極論が出された。

 消極論は、制定史を踏まえると「象徴」という文言に「国家元首」としての意味がすでに含まれており、正されるべき誤りは「象徴にすぎない」といった認識であるとした。君主の地位の世界的潮流は、政治上の実権から分離され儀礼的、尊厳的な立場を担うもので「日本国憲法は世界の先鞭(せんべん)をつけたといえ、大切にしたい」と象徴規定の意義を強調した。

 「元首たる地位に天皇は現にある。象徴という言葉は今考えると無限大に近い広さと深さを持つ表現で、あえて手をつける必要はない」「天皇を元首と規定することで政治的に巻き込むのはいかがだろうか」といった過去のさまざまな慎重論も紹介され、「天皇は、日本国民統合の象徴であり、外国に対して日本国を代表する」とする表現が提案された。

これに対して積極論の立場からは「象徴」だけでなく「元首」を併記する必要性が次のように主張された。

 「元首と明記されたから直ちに政治的権限が強化されることにはならない」「憲法に規定がないことを理由に『天皇は元首ではない』とする解釈の誤りを正し、混乱を解消するには『元首』明記が必要だ」

 さらに「天皇は元首以上の存在で、あえて元首規定は不要」とする慎重論に対しても「『天皇は元首である』と条文に盛り込まない限り、国民的合意が形成される保証はない」と反論が加えられた。

祭祀や皇位継承は…

 さらに議論は現行憲法に規定された国事行為や祭祀(さいし)、地方巡幸など天皇の営みを法的にどう位置づけるかという点や、皇位継承に関する規定のあり方に及んだ。

 大原氏らから、衆議院の解散や国会の召集、外国元首の接遇など天皇が「国務に直接関わる行為」と祭祀や地方巡幸など「精神的、社会的な統合のための行為」に分けて、整理する案が提起された。

 皇室で有史以来、わが国の平安と安寧を願って営まれてきた祭祀はこれまで皇室の「私的行為」とされてきたが、これらを特に重要な「公的行為」として取り扱うべきだ、とする案が示された。

 一方、現行憲法で「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」とした皇位継承の規定についても「男系の子孫」と定める意見が出された。

« 安全説明足りず「政争の具」=オスプレイ配備で前米国務省日本部長 | トップページ | 石破、百地両氏が憲法改正訴え »

改憲動向」カテゴリの記事