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2012年7月20日 (金)

新たな「国民の憲法」のために 起草委の議論を振り返る(2-1)

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新たな「国民の憲法」のために 起草委の議論を振り返る(2-1)
各党憲法改正案

 産経新聞創刊80周年と正論40周年となる来年に向けて新憲法の要綱づくりを目指す「国民の憲法」起草委員会(田久保忠衛委員長)による議論が続けられている。国家の羅針盤となる新憲法は如何にあるべきか。私たち日本人にふさわしい憲法はどうあるべきなのか。根本から積み上げられた議論は、前文や天皇の規定のあり方にも及んだ。これまでの計8回の議論を詳報する。(憲法取材班)

                   ◇

 ■委員会の顔ぶれ

 委員長

 ・田久保忠衛(たくぼ・ただえ) 杏林大学名誉教授

 委員

 ・佐瀬昌盛(させ・まさもり)  防衛大学校名誉教授

 ・西修(にし・おさむ)     駒沢大学名誉教授

 ・大原康男(おおはら・やすお) 国学院大学教授

 ・百地章(ももち・あきら)   日本大学教授

                   ◇

 ≪改正なぜ必要か≫

 □国家の危機に対応できぬ

 起草委員会は3月26日の第1回と、4月12日の第2回の会合で「なぜ新憲法が必要か」「あるべき国家・憲法観とは」などをテーマに議論を展開した。中国の台頭に伴う国際情勢の変化に対応するには新憲法が不可欠だとの認識でほぼ一致。国家と国民を対立関係で捉える不毛さも指摘され、「国家権力を制限する規範」と位置付けられてきた従来の憲法観からの脱却を求める意見が相次いだ。

野心を隠さぬ周辺国

 田久保氏が強調したのは領土拡大の野心を隠さない周辺国の脅威だ。「中国の膨張は現行憲法の制定時に想定されていなかった。前文に『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して我らの安全と生存を保持しようと決意した…』と記載してあるが、平和を愛しているのは日本人だけだ」と厳しい国際情勢の現状に対応できない現行憲法の「甘さ」を問題視、「平和のための改憲」を強調した。

田久保氏は「『時には破邪の剣を抜きますよ』という意気込みも必要だ」と続け、戦争の放棄をうたう憲法9条を見直す必要性を強調。また、大規模自然災害や国際テロなどが発生した際の対応を定めた「非常事態条項」が現行憲法に明記されていない点も課題に挙げ、「東日本大震災で国として危機に対処するバックボーン(背骨)が欠けていたことが国民の前に明らかになった」と訴えた。

 西氏は諸外国が改正を通じ、時代に適した憲法を作ってきたと紹介。「日本の建国以来の国民性、国柄を踏まえ、変わらざるもの、変えていいものを仕分けながら、(起草委員として)憲法のありようを考えていきたい」と語った。

 また、「世界のほとんどの憲法には平和条項が設けられている。日本の憲法が唯一ではない」と指摘し、「平和憲法」の独自性を声高に叫んで護憲を訴えてきた勢力を牽制(けんせい)した。

 大原氏は「憲法を神棚に上げておく風潮が戦後日本に蔓延(まんえん)していた」と、日本人独特の憲法観が改正の阻害要因になっていたと分析した。その上で「現行憲法の欠陥を克服し、歴史や文化、伝統に合致した憲法制定に賛同する」と話し、起草委員会設置の意義を語った。

 現行憲法を日本の自主・自立を阻む呪縛、足かせと位置付けたのは百地氏だ。

 「自衛のための軍隊を持っていないことが近隣諸国の軽侮を招き、北方領土、竹島、尖閣諸島での狼藉(ろうぜき)を許している」と言及し、「速やかに憲法を改正し、独立国家にふさわしいものにする必要がある」と問題提起した。

 また、東日本大震災のがれき処理への協力を拒む動きが全国で展開されたことを念頭に「個人を絶対とする戦後価値観の根底には(国民の義務よりも権利についての記述が多い)現行憲法の影響がある」と指摘し、見直しを訴えた。

「同じ敗戦国ながらドイツは完全に自前の憲法を手にしている」。佐瀬氏はドイツ留学の経験をもとに、GHQ(連合国軍総司令部)主導で進んだ現行憲法の制定過程に違和感を示し、国民自らの手で「国のかたち」を練り直す重要性を説いた。

 佐瀬氏の指摘には多くのGHQ関係者から聞き取り調査を行った西氏も同調した。西氏は「対日占領の究極の目的は日本が再び米国、世界平和への脅威とならざる事を確実にすることだった」と説明。日本の自主性を軽んじるこの“米国製憲法”の制定前後には、後に護憲の旗を高々と掲げることになる共産党や旧社会党関係者からも「反対」や「改正」を求める声が続出したと指摘した。

国民はどうすべきか

 「国民に対する国家権力の乱用を抑えるのが憲法だ」。こうした考え方に基づく従来の国家・憲法観にも異論が相次いだ。

 百地氏は「それだけを教えると全体が分からなくなる。国を愛し、国民を守る発想が出てこない」と強調。国家を「単なる個人の集合体にとどまらず、歴史や文化、伝統を共有する国民共同体と捉えるべきだ」と訴えた上で、米国、フランス、ドイツなどの憲法を紹介しながら、「どこの国も歴史の記述が盛り込まれている。独自の国柄を踏まえた憲法があっていい」と指摘した。

 西氏も「国家と国民は対立しているという概念は古い」と百地氏を後押し。「われわれ国民が国家に対してどうすべきかも考えるべきだ」と続け、イタリアやスイスの憲法にならって、国民が国家に負う「責任」や「義務」についても憲法上の議論が必要だとの認識を示した。

                   ◇

 □サンフランシスコ講和条約60周年、各党草案 「国防軍」「非常事態」盛る

 今年がサンフランシスコ講和条約発効60周年の節目に当たることから、政界では憲法記念日を前に自民党が「憲法改正草案」、みんなの党が「憲法改正の基本的考え方」、たちあがれ日本が「自主憲法大綱案」を公表した。


 いずれも天皇を「元首」と位置付け、「国旗は日章旗、国歌は君が代」と明記したのが特徴。どちらも国防や天皇、国旗や国歌など国家の根本をめぐる諸問題を見据え、切り込んでいる。

 たちあがれ日本は天皇の皇位継承の規定についても「男系男子による」と踏み込んで明記した。

 大規模自然災害などが発生した際の対応を盛り込む「緊急事態条項」に関しては、3党とも現行憲法に明記されていないことを問題視し、新たに加える考えを示した。

 現状では衆参各院の3分の2以上の賛成を得て発議し、国民投票の過半数の同意が必要な憲法改正要件は、3党とも緩和する方向で一致している。

 自衛隊の名称は自民党が「国防軍」、たちあがれ日本が「自衛軍」に変更。また、自民党は集団的自衛権の行使を含む自衛権の保持を明記し、たちあがれ日本は「集団的自衛の固有の権利を有し、行使することができる旨を確認する規定を置く」としている。

 参政権については自民党が「日本国籍を有する成年者」、たちあがれ日本が「日本国民のみを対象」と記している。

 みんなの党は国会の一院制(立法議院)、首相公選制、道州制など、連携を模索する橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」の関心が高い制度の導入も打ち出している。

 民主党は平成17年に策定した「憲法提言」を「最も権威を持った決定」(中野寛成党憲法調査会長)と位置付け、新たな憲法案はまとめなかった。

                   ◇

 ≪国柄どう示すか≫

 □皇室や国民性など基軸に

 「憲法を権力を規制するものとしてだけとらえるのではなく、前文を見れば国家像が分かるようなものにしたい」(西氏)

 こうした認識で一致した起草委員会は4月26日の第3回会合で、新たな憲法に盛り込む日本の国家像や国柄について議論した。

権力規制だけでなく

 大原氏は、議論の前提として、明治憲法下で国家像や国柄を表すために用いられた「国体」の概念を紹介。「天皇が国体の一番の中心的課題」だったものの、憲法学者の間で多様な解釈が生まれ、「法的な意味と精神的、歴史的な意味に分化して敗戦まで続いた」と解説した。その上で「現憲法の施行から65年になる。国民にとって受け入れやすい表現の方がよい」(佐瀬氏)として、国家像を表す言葉は「国体」ではなく「国柄」を用いることで一致した。

 具体的な国柄の内容については、田久保氏が「日本が他の国と違うのは皇室の存在で、これを無視すると『どういう国なのか』となりかねない」と皇室の重要性を指摘。百地氏は「日本は単なる君主国ではなく、天皇と国民の間に対立、抗争の歴史がない。天皇が国民の幸福と国家の安寧を祈り、国民が天皇を慕う姿が、まさに日本の国柄だ」と天皇と他国の君主との違いを強調した。

 これに対し、大原氏は「歴史的に天皇が直接政治に関わった時期と遠のいた時期のいずれも、合議や衆議で政治が運ばれてきたのが日本の特色だ」と指摘した。百地氏も「天皇は精神的統合の中心であっても、実際の国政は専断を排し衆議を重んじて行われてきた。だから『天皇中心』(というキーワード)だけで(国柄の)イメージが、語られるのはよくない」と同意した。

重層的な共同体例示

 一方、佐瀬氏は「国柄についてはあまり説明せず、誰が見ても日本の国柄だと納得できるものを例示的に挙げるのがよい」と提言。天皇以外の具体例として「伝統を否定せず、歴史的な連続性を尊ぶこと」「人間が自然を征服する発想がなく自然と一緒に仲良くやっていくこと」を挙げた。西氏は「『自律した個人』、家族、地域社会、地方自治体、国家が重層的な共同体を形成していること」を挙げた。

 また、大原氏は「国民性を国柄の例示として挙げるべきだ」と提言。具体的な国民性については「『和』と寛容の精神を持つ」「進取の気性」「多様な価値観の尊重」などさまざまな意見が出た。

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