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2012年5月 8日 (火)

日経5・3社説:憲法改正の論議を前に進めよう

http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE6E3E2E4E0E0E5E2E2E1E2E7E0E2E3E08297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D
憲法改正の論議を前に進めよう

 日本国憲法が施行されて3日で65年を迎えた。自民党が新たな憲法改正草案をまとめるなど改憲にむけた議論を巻きおこそうとしているものの、憲法改正を審議する国会の憲法審査会は本格的に動く気配を見せていない。

 2011年3月の東日本大震災を経て、戦後日本が新たな段階に入った現在。国家の将来像をどう描くかも含め、憲法と真っ正面から向き合い、改憲論議を前に進めるときだ。

改正条項と緊急事態

 改憲の手続きを定めた国民投票法は07年5月に成立し、3年後の10年5月に施行され、憲法審査会による憲法改正原案の発議が可能になった。11年10月、ようやく衆参両院で憲法審査会の初会合が開かれたが、その後、実質審議には、いたっていない。

 国民投票法が制定されたとき、付則に追加された「3つの宿題」がこなされていないためだ。

 宿題は(1)投票年齢を18歳にするのに伴い、公職選挙法などの現行20歳の対象年齢を引き下げる(2)公務員が憲法改正に関する意見の表明などを制限されないようにする(3)国民投票の対象を憲法改正以外にも拡大できるかどうかを検討する――の3点だ。

 5年間も放っている政治の怠慢は批判されてしかるべきだ。「動かない政治」そのものである。

 こうした改憲の取り付け道路の整備と併せて、憲法の館の工事に取りかかるための工程表と設計図の検討も進めていく必要がある。

 工事は新築ではない。増改築である。現行憲法は、わずか9日間でGHQ(連合国軍総司令部)がまとめた案がもとになっているとしても、けっこう良くできているからだ。それは、大枠を維持しながら手直しする自民党の改憲草案が、はしなくも物語っている。

 最大の工事が9条であるのは論をまたない。自民党案のように自衛隊を「国防軍」と呼び、集団的自衛権の行使ができるようにしよう、というのは有力な考え方だ。

 しかし、いきなり9条問題を取りあげて、国論を二分した議論を繰りひろげるよりも、まずは工事しやすい箇所から憲法の館に手を加えるのが現実的な対応だろう。

 2カ所ある。ひとつは96条の改正条項の改正である。発議には両議院のそれぞれ総議員の3分の2以上とあるのを、過半数に改めるものだ。改築である。自民党の保利耕輔・憲法改正推進本部長はこれがもっとも実際的だとみる。

 もうひとつは、緊急事態への対応である。東日本大震災で明らかになった大規模災害時をはじめとして、武力攻撃やテロなどの際に首相への権限を集中するなどの規定を設けるものだ。増築である。自民党の草案にも盛り込まれた。

 民主党の中野寛成・憲法調査会長は「緊急事態への対応や地方分権、環境権など与野党合意が可能なテーマから入っていくのがひとつの方法だ」という。

 かしいでいる館をいかに補強するかの工事も忘れてはならない。「強すぎる参議院」の改修がそれだ。「決められない政治」の制度的な背景が、衆参ねじれのもと、「政局の府」となってしまった参院にあるからだ。

 自民党の改憲草案では触れていないが、衆院で可決し参院で否決した法案を、衆院で再議決して成立させるためには3分の2以上の賛成が必要となっているのを過半数に改め、衆議院の優越をはっきりさせるのが一案だ。

「真に血みどろの苦心」

 参院での首相への問責決議には、内閣の解散権で参院に対抗する規定の新設も考えていい。法的な拘束力のない問責決議が竹光であることを、衆院の信任決議をぶつけるなどして、現実の政治プロセスで明らかにしていくのが当面のやり方だろう。

 国会に憲法調査会が設置され論議されるようになったのが00年1月。5年間の議論で、すでに論点は出尽くしている。要は、各党が本気でやるかどうかに尽きる。

 いま一度、1946年の憲法制定のころを思いおこしてみよう。

 「私は議会の速記録や当時の新聞紙も読み、苦難の条件の下で国民が如何に心血をそそいで考慮を尽したかを察して珍しく緊張した。民族発展の前途を考えて、国民は真に血みどろの苦心をした」

 憲法担当相をつとめた金森徳次郎氏が当時をふりかえって書き残した言葉である。

 大震災を経験しても「動かない政治」「決められない政治」がつづく。憲法改正は、この国の将来をどうしていくかの議論である。血みどろの苦心をした先人たちは、今の日本をどうみるだろうか。

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