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許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2012年5月15日 (火)

復帰40年、沖縄2紙社説

http://www.okinawatimes.co.jp/article/2012-05-15_33760/
[復帰40年]普天間を解決する時だ

 1965年8月19日、佐藤栄作首相は現職の総理大臣として戦後初めて沖縄を訪れた。那覇空港での歓迎式典で、沖縄の祖国復帰が実現しない限り日本の戦後は終わらない、との歴史的メッセージを発した佐藤氏は、こうも語っている。

 「私たち国民は沖縄90万のみなさんのことを片時も忘れたことはありません」

 のちに行政主席、県知事となる屋良朝苗氏は日記に記している。「総理を迎えた時は正直言ってさすが涙が出た」

 復帰が実現したのはその日から7年後のことである。

 72年5月15日。40年前の復帰の日、東京と沖縄で二つの記念式典が開かれた。対照的だったのは、佐藤首相と屋良県知事の式典での表情である。

 政府にとって復帰を実現することは、何よりも戦争で失った領土を外交交渉で取り戻すことを意味した。

東京での式典で佐藤首相は、高揚感に満ちあふれた表情で万歳を三唱した。

 だが、那覇の式典に出席した屋良知事の表情は終始、硬かった。「復帰の内容をみますと、必ずしも私どもの切なる願望がいれられたとはいえないことも事実であります」

 あの日も、那覇市民会館と隣の与儀公園で、復帰記念式典と抗議集会が並行して開かれた。40年後のきょうも、同じ日に式典と抗議集会が開かれる。

 基地問題をめぐる過重負担の構図はこの40年間、ほとんど何も変わっていない。

 復帰から2009年3月末までに返還された米軍基地は、面積にして約19%にとどまる。この間、本土では約59%が返還されたのに、沖縄の負担軽減は遅々として進まない。

 沖縄タイムス社と朝日新聞社が4月に実施した県民意識調査によると、沖縄の基地が減らないのは本土による沖縄差別だと思うかとの問いに対し、「その通り」だと答えた人が50%に上った。

 「基地の現状は不公平だ」「本土の人たちは沖縄をあまり理解していない」―そう考える人たちが県内で急速に増えている。沖縄の人たちのまなざしが厳しくなっただけではない。本土の側の沖縄理解も、急速に変わりつつある印象を受ける。

 この40年を通して本土と沖縄の心理的な距離は、今が一番開いているのではないだろうか。基地問題をめぐって「心の27度線」が浮上しつつある。危険な兆候だ。

 米軍普天間飛行場の辺野古移設を盛り込んだ06年の日米合意は、死文化した。辺野古移設計画を断念し、早急に日米交渉を始めるべきである。普天間の固定化は許されない。

 沖縄を軍事要塞(ようさい)化し日米で中国を封じ込めるという発想は、米中関係の奥深さや国境を越えた「ヒト・モノ・カネ」の移動、市民レベルの文化交流など、国際政治の潮流を無視した一面的な考えである。冷戦思考を引きずっていては、沖縄の未来を展望することはできない。

 沖縄の民意は変わった。基地依存・財政依存からの脱却を目指した「沖縄21世紀ビジョン」の将来像は、多くの県民に共有されており、これからの沖縄振興は、この自立の動きを後押しするものでなければならない。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-191203-storytopic-11.html
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復帰40年/自立の気概持とう 国の空洞化、無策を憂う2012年5月15日  このエントリーを含む delicious  Yahoo!ブックマークに登録

 米国統治下に置かれていた沖縄が1972年5月15日に日本に復帰してから、満40年を迎えた。
 県民が「復帰」に込めた「基地のない平和な沖縄」「日本国憲法の下への復帰」の理想は今なお、実現していない。
 沖縄に在日米軍専用施設の74%が集中し、基地から派生する事件・事故、爆音被害によって、県民の生命や基本的人権が危険にさらされ続けている。理不尽な状況を招いたのは沖縄ではない。問われるべきは、民主主義や憲法が機能しないこの国の空洞化、為政者の無策ぶりだろう。

「基地依存」は先入観
 米軍普天間飛行場の移設問題について、県民は知事選など各種選挙を通じて繰り返し名護市辺野古への移設を拒否してきたが、日米両国は民意を無視し続けている。
 この国の官僚は垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの本土への一時配備について、「検討する」としながら地元から反対の声が上がるや「理解が得られない」とあっさり引っ込めるありさまだ。
 野田佳彦首相に問いたい。民意無視と危険極まりないオスプレイの配備は、沖縄差別ではないのか。
 琉球新報の最新の世論調査によると、多くの県民が道路、港湾の着実な整備などを背景に「復帰」を肯定的に評価する一方で、沖縄振興の重点として「米軍基地の整理縮小と跡地利用」を求めている。
 県民総所得に占める基地収入の比率は、復帰時の15・5%が2009年度には5・2%まで低下した。本土側から「基地がないと沖縄経済は立ち行かないのではないか」といった声が絶えないが、これは先入観以外の何物でもない。基地返還前と返還後で経済効果が十数倍となった那覇新都心地区や、同じく170倍超の北谷町美浜・ハンビー地区の発展ぶりを見れば納得いくはずだ。沖縄は既に基地依存経済から脱している。
 今後の沖縄振興の指針となる仲井真県政の沖縄21世紀ビジョンも過密な米軍基地を「沖縄振興を進める上で大きな障害」とし、沖縄経済の阻害要因と位置付けた。
 沖縄の県民所得は全国平均の7割、完全失業率は2倍近くで高止まりしたままだ。「基地の整理縮小と跡地利用」と雇用創出を並行して進めなければ、沖縄の自立的発展はおぼつかない。
 幸い沖縄の要求をほぼ満たす形で改正沖縄振興特措法と跡地利用推進特措法が成立した。本県はこの「沖縄2法」と本年度にスタートする新しい振興計画に基づき今後10年間、自立的発展を目指す。

人材育成に注力を
 経済界や個々の企業には、沖縄の自立的発展の主役としての気概を期待したい。いずれ復帰特別措置にも終わりの時が来る。税制優遇措置なしで成長と雇用を維持できる経営基盤を築かねばならない。
 健康産業や観光業界で既に手掛けているように、成長するアジア市場を見据えた商品開発や販売促進活動の強化は各業界で急務だ。
 県の「沖縄21世紀ビジョン基本計画」案では、新振計の基軸の筆頭に「沖縄らしい優しい社会の構築」を定めた。一括交付金を活用し、子育て支援や福祉、環境などソフト事業を想定している。従来の沖縄振興策がハード偏重だけに、ソフト重視で均衡を図るのは当然だろう。県や市町村にとっては、自治力の腕の見せどころだ。
 沖縄が日本とアジアの懸け橋として羽ばたいていけるか否かは、人材の確保が鍵だ。沖縄の大学進学率は36・9%(2011年度)で全国平均の54・3%と開きがある。県内の生活保護世帯の中学3年生(2010年3月卒)の進学率が74・4%にとどまり、県内全体より約20ポイントも低い。
 沖縄の前途にとって危うい状況だ。家庭の経済格差が教育格差につながる悪循環は、断ち切らねばならない。県民所得が低い本県では、他府県以上に人材育成への支援に力を注いでしかるべきだ。関係機関は人材と雇用なくして沖縄に未来はない、と肝に銘じてほしい。

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