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許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2012年1月22日 (日)

エネルギー政策 電力危機の回避を最優先せよ(1月22日付・読売社説)

3・11から1年も過ぎないうちに、このキャンペーンだ。メディアのおごりと腐敗そのものだ。(高田)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120121-OYT1T00826.htm
エネルギー政策 電力危機の回避を最優先せよ(1月22日付・読売社説)

 国民生活に不可欠なエネルギーを、どう確保していくか。今年は、この難問を解決せねばならない重要な年である。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響が続いている。定期検査で停止した原発を検査終了後も再稼働できない。このままでは4月下旬にも全54基の原発が止まり、電力の3割を失う非常事態に陥る。

 野田首相は、安全を確認できた原発を再稼働させると繰り返しているが、実現のメドは立っていない。首相は強い危機感を持ち、原発の早期再稼働に指導力を発揮するべきだ。

 ◆原発再稼働が急務だ◆

 経団連の調査では、電力不足が2~3年続くなら、製造業の6割が国内生産を縮小・停止させるという。電力不足は、産業空洞化と雇用の減少を引き起こす。

 原発に代わって火力発電で供給能力を補う対応にも限界がある。追加の燃料費が全国で年3兆円以上もかかり、経済的な損失が大きいためだ。

 東電は増えた燃料費を賄うため、4月から、工場やオフィスなど大口契約者向けの電気料金を、平均17%値上げする。家庭向けも値上げを検討中だ。

 電気料金の上昇は生産コストに跳ね返り、企業の経営体力と競争力を弱める。家計の負担も増え、消費などの内需を冷やす。

 “電力不況”を防ぐためにも、安全が確認された原発の再稼働は欠かせない。各原発の安全性を国の責任で確保し、地元自治体などの理解を得る必要がある。

 ◆現実的な電源構成示せ◆

 エネルギー政策の抜本的な見直しが大きな課題となる。首相は、中長期的には原発依存度をできるだけ下げる方針を示しているが、具体策はあいまいだ。

 政府は今夏、新たなエネルギー戦略をまとめる。審議会や会議が乱立し、議論は拡散気味である。首相が主導して、将来のあるべき電源構成について明確な方針を示してもらいたい。

 太陽光や風力など再生可能エネルギーへの期待は大きい。エネルギーの国内自給や環境保全の観点から、普及拡大が望ましい。

 だが、水力を除けば全発電量のわずか1%で、現状では発電コストも割高だ。天候などによって電力が大きく増減する弱点もある。基幹電源に育つには、長い年月がかかるだろう。

 電源構成の将来目標は、安定供給や経済性、安全性などを総合的に考慮した、現実的な内容としなければならない。

 政府は唐突に原発を原則として稼働から40年で廃炉にする方針を決めた。60年まで延長できる例外規定を設けるというが、代替電源のあてもなく「40年廃炉」を打ち出したのは無責任だ。

 古い原発を安全な新型炉に更新する選択肢も示すべきである。

 政府が将来の「原発ゼロ」を掲げてしまうと、原子力分野の人材が海外に流出するだけでなく、後進も育たなくなる。技術は衰退し、既存原発の安全操業や廃炉さえ困難になりかねない。

 中国など新興国は原発の増設を進めている。日本は高い技術を維持し、安全な原発の輸出や操業ノウハウの提供で貢献すべきだ。

 政府は電力制度改革にも着手した。電力会社が発電から送電を一貫して行う体制を見直す「発送電分離」が主要テーマだ。電力会社の見積もった経費をもとに電気料金を決める「総括原価方式」の見直しも議論されている。

 競争原理を導入してコストを軽減する狙いはいい。だが、性急な改革で電力供給が不安定になる恐れはないだろうか。

 10年ほど前に米カリフォルニア州で頻発した大規模停電は、発送電分離に伴う送電設備更新の遅れなど、電力改革の副作用が一因とされる。教訓としたい。

 東電の経営改革も急務だ。政府などが出資する原子力損害賠償支援機構の設立で、被害者に対する当面の賠償資金は確保された。

 しかし、福島原発の廃炉費用などは支援機構による資金援助の対象外だ。東電は10年で2・6兆円のリストラを行うが、経営努力だけでは巨額の費用を賄えない。

 ◆国も事故コスト分担を◆

 政府は支援機構を通じて公的資金を注入し、東電を実質国有化する方針だ。経営破綻を防ぎ、東電に事故収束、損害賠償、電力安定供給という三つの責務を果たさせるために必要な措置といえる。

 ただし、損失拡大と追加支援の悪循環に陥る恐れがある。国有化を契機に、廃炉や除染などのコストを、国がきちんと分担する仕組みを検討すべきだろう。

 原発事故の賠償責任を民間電力会社だけに課す原子力損害賠償法の妥当性や、原発事業の「国策民営」の是非などについても、本格的に論議しなければならない。
(2012年1月22日01時16分  読売新聞)

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