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2011年11月 4日 (金)

日米共同演習、空母GWルポ 「同盟の中核」現場で実感

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20111104081.html
日米共同演習、空母GWルポ 「同盟の中核」現場で実感
2011年11月4日(金)08:00

(産経新聞)

 米海軍は2、3の両日、沖縄県南東海域で実施した海上自衛隊との共同演習に参加した原子力空母「ジョージ・ワシントン(GW)」を報道陣に公開した。「特定の国は想定していない」とするが、東シナ海や南シナ海での海洋権益の拡大と空母建造で海軍力の増強を図る中国を牽(けん)制(せい)する意味合いが強いことは間違いない。日本に対する敵国潜水艦や艦艇などからの攻撃を想定した演習の模様をルポする。(峯匡孝)

 ■艦艇50隻が参加

 海自と米海軍の演習は毎年実施され、今年は10月27日から11月4日まで。GWをはじめ第7艦隊所属のイージス艦、原子力艦など日米あわせて艦艇約50隻、航空機約130機が参加した。記者は2日に乗艦取材した。

 洋上演習中で航行を続けるGWへは、米空軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)から米海軍C2輸送機で移動した。搭乗前に手渡されたヘルメットはゴーグルと轟音(ごうおん)を緩和するための耳当てが一体となっている。これも支給されたライフジャケットには緊急時のための笛とライト、それに海面を染色する色剤が詰め込まれていた。もちろん搭乗中は常時装着が義務づけられる。

 C2輸送機の暗く、すべて後ろ向きに設置された座席に座ること1時間余。沖縄本島から約300キロ離れたコバルトブルーの海にGWの姿が見えると、C2は大きく旋回し、着艦体勢に入った。

 「ガリガリガリッ」

 着艦の衝撃と同時に、機体の一部が飛行甲板をえぐるような音が聞こえた。次の瞬間、強い力に引き戻されるかのように、機体はわずかな滑走距離で急停止し、強い衝撃を味わった。

 GWの飛行甲板上では、FA18戦闘攻撃機が発艦・着艦訓練を繰り返していた。海自が年内にも選定する次期主力戦闘機(FX)の候補機の一つである。

 FA18は着艦と同時に、機体後部から出た棒が、飛行甲板を横に張った4本のうち1本のワイヤを引っかけ急減速し、停止する。これは「着艦拘束装置」といわれる仕組みで、約330メートルの飛行甲板を限られた滑走距離で着艦しなければならないからだ。C2輸送機の着艦時の衝撃も同装置で着艦したゆえだったのだ。

 ■2.7秒で速度250キロ

 発艦訓練では、次々とFA18がカタパルト(射出機)にセットされる。赤や緑の服に色分けされた米兵が無駄のない動きを繰り返し、手信号の合図で指示を出す。FA18は爆音を立て、もうもうと白煙を噴き出しながら出撃していく。

 わずか2・7秒で速度は約250キロに達して発艦するため、パイロットはすさまじいG(重力加速度)を受けることになる。

 「中国が空母を建設しても、こうした米軍が持つ離着艦などの高度な技量を身につけられるか疑問だ」

 自衛隊関係者はこう指摘する。空母は建設そのものよりも運用、どう機能させるかが難しいとされる。

 ■膨張する中国軍

 昨年9月に起きた沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件以降、中国軍の日本領空や領海に接近する動きが活発化している。こうした中国の動向に、防衛力整備の基本方針となる昨年12月の「防衛計画の大綱」は、南西諸島の防衛態勢を強化する方針を示している。

 今回、具体的な演習シナリオは明らかにされなかったが、防衛大綱を受けて演習の念頭に海軍を強大化させつつある中国があるのは明らかだ。

 最近では平成20年11月に駆逐艦など4隻が沖縄本島周辺を航行して太平洋に進出したのをはじめ、同海域での活動が目立っている。今年6月には沖縄本島と宮古島の間をミサイル駆逐艦や潜水艦救難艦など過去最大規模の計11隻が通過した。

 空に目を転じてみれば、領空侵犯のおそれがある中国機に対する航空自衛隊機の緊急発進(スクランブル)が今年度上半期(4~9月)は前年同期比で3・5倍増の83回に達した。ロシア機への回数(106回)が最多だが、肩を並べようとしている。

 いずれも台湾有事などに備えて、第1列島線(九州-台湾-フィリピン)の制海権、制空権確保に向けた行為とみられる。

 天然ガスなどの資源に恵まれた南シナ海でも、中国は一方的な実力行使で実効支配を強めようとしている。今年5月にはベトナムが排他的経済水域(EEZ)内とする海域で、調査活動をしていた石油探査船の調査用ケーブルを中国船が切断した。日本の領土、領海にも同様の圧力を仕掛けてくる可能性は否定できないはずだ。

 ■連携さらに強化

 GWの心臓部ともいえる戦闘指揮所(CDC)に入ると、モニターにはGW周辺の日米の艦船や航空機などの位置情報や飛行甲板の状況が映し出されている。

 日米による対潜水艦戦、対空戦闘、対水上戦闘の演習の真っ最中だった。CDCではその様子が一目でとらえられる。

 GWには海自から第3護衛隊群司令の北川文之海将補をはじめ隊員約20人が連絡員として乗艦していた。

 「日米だけのシステムを世界に公開するわけにはいかない」との理由で、室内に並ぶモニターの電源は切られていたが、海自隊員と米兵が交互に座り、常にコミュニケーションを取り合うのが分かる。

 GW艦内では北川氏とジョン・ヘイリー第5空母打撃群司令官がそろって記者団の質問に応じた。

 「海自と共同して強固な連携をさらに強化するものだ。日米同盟の歴史は長く緊密に結びついている」

 ヘイリー氏が演習の意義をこう強調すると、北川氏も「海自と米海軍の相互運用性は日米同盟の中核で財産だ。わが国防衛の現場で今後とも連携を強化したい」と引き取った。

 民主党政権誕生後、鳩山由紀夫元首相の米軍普天間飛行場移設問題をめぐる迷走や、菅直人前首相の無為無策で日米関係がギクシャクしようとも、行動をともにする現場レベルでは信頼関係を保とうと努めている。そんな印象を受けた演習取材だった。

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