朝日社説:南スーダン―国造りを手助けしよう
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南スーダン―国造りを手助けしよう
アフリカで54番目の国、南スーダンが国連に加盟し、国造りを本格化させている。
住民投票でスーダンからの分離・独立を決めた。半世紀に及ぶ2度の内戦で、250万人以上が犠牲になった苦難の歴史を思えば、平和裏に生まれた新国家の成功を心から願わずにいられない。
しかし、キリスト教徒の黒人主体の南スーダンは、イスラム教徒のアラブ人主体の中央政府から見捨てられてきた。
人口は800万いるが、識字率は27%程度で、生活基盤も、教育も、医療も、極めて貧弱な地域だ。
自立と社会の安定化のためには、世界の支援が要る。和平プロセスを後押ししてきた国連には、中長期にわたって支え続ける重い責任がある。
日本も国際社会の一員として積極的にかかわるべきだ。
国連は8千人規模の平和維持活動(PKO)部隊の派遣を決めている。潘基文(パン・ギムン)事務総長は道路や空港づくりで、自衛隊の能力に期待を寄せている。
日本はこれまで、スーダンでのPKO参加を打診されながら、司令部要員2名を出しただけで、部隊の派遣は見送ってきた。安全面での不安などから防衛省が難色を示し、歴代の首相も決断を先送りしてきた。
いま、現地の治安情勢はどうなっているのか。それを見極めることを大前提に、今度は部隊派遣も検討すべきだろう。いったん活動に加われば、長期化は避けられそうにないという実情も踏まえ、しっかりとした対応を考えるときだ。
多くの日本人にとって、アフリカは遠い世界かもしれない。しかし、豊富な天然資源と10億人を擁する大陸は近年、著しい成長を遂げている。将来性を秘めた地域で、平和構築のモデルともいえる事業に貢献をすることは、日本にも有益だ。
もちろん、求められているのは自衛隊ばかりではない。
教育や医療、食糧自給率を高めるための農業支援、行政官や法律家など国を担う人材の育成といった文民支援は幅広い。日本が得意とする分野であり、実力を発揮できる。
南北のスーダン間では、石油収入の分配や国境線の画定など未解決の問題が残っている。南北の対立を再燃させないよう、南だけでなく、北を含む地域全体への目配りをしつつ、新しい国造りを応援する。
そんな国際貢献ができれば、大震災で支援と励ましを寄せてくれた国際社会に対する、何よりの恩返しになるに違いない。
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