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2011年7月 8日 (金)

京都大学教授・中西寛 日米関係の「復興」も忘れるな

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110708/plc11070802470003-n1.htm
京都大学教授・中西寛 日米関係の「復興」も忘れるな
2011.7.8 02:43

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 東日本大震災の巨大な衝撃から4カ月近くたっても、日本人は虚脱状態から脱け出せていない。震災と原発への政権の拙劣な対応が政治的紛糾を招き、復旧、復興をさらに遅らせる悪循環に陥っていることも、日本人が国内問題に心を奪われる原因となっている。

 もちろん、原発事故の収束を含む大震災からの復興は巨大な課題だが、世界は大きな変動期にあり、日本の復活をいつまでも待ってくれない。例えば、原発の稼働率が低下し、自然エネルギーの普及に時間がかかるとするなら、当面は石油や天然ガスといった化石燃料への依存度が高まるだろう。とすれば、中東情勢の大変動、資源大国ロシアとの関係、あるいはアメリカ、カナダなどで注目される「シェールガス革命」、温暖化ガスの排出を制限する京都議定書の今後にも無関心でいられないはずだ。国際政治の舞台で役割を果たす意思と能力を示すことが、日本の復興を支えることにもなるのである。

 外交再建の出発点が対米関係の調整にあるのは明らかだろう。民主党発足以来の日米関係の混乱、なかんずく同盟国としては驚くほどの首脳間の意思疎通の欠如(2年近くの間に日米首脳会談は、国際会議の機会を除けば2009年11月のオバマ米大統領訪日時だけであり、それも東アジア歴訪の一環としてであった)にもかかわらず、今回の大震災で直ちに「トモダチ作戦」を発動し、2万人の兵員を投入したことで、アメリカは日本にとって最も重要な友邦であることを示した。日米関係の安定した基盤を回復することが日本外交立て直しの第一要件である。

 ◆米軍と自衛隊の力見せた震災

 この点で、震災対応における自衛隊と米軍の能力の高さが示されたことの意義が大きい。震災後数日で自衛隊は陸海空の統合任務部隊を編成して10万人規模の活動を行えたこと、日米間で連絡調整機関が立ち上がり、連携しつつ被災者の救難活動を実行し得たことは偶然ではない。

 04年の防衛大綱は即応性、機動性を重視する方針を採り、05年から06年にかけて日米間で合意された一連の同盟強化策の焦点が、相互運用性の強化であった。海兵隊の移転と普天間飛行場の移設はこの枠組みの中で決して小さな要素ではないが、最も中核となる要素でもなかった。今回の震災での活動は、海兵隊移転問題の行き詰まりにもかかわらず、自衛隊の柔軟性の向上と日米間の相互運用性の進歩を示したといえよう。

 ◆新脅威に対応した2プラス2

 さらに、先日の日米外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)会合での合意は、震災対応のみならず、過去数年間の日米を取り巻く戦略環境に対応し、同盟強化の方向を示したものとして重要である。日本は北朝鮮の軍事的脅威を引き続き警戒するだけでなく、中国の軍事力の向上とその強圧的な姿勢に対しても警戒を強め、昨年末に新防衛大綱を策定し、南西諸島方面の重視と機動性のさらなる向上、複数の危機が同時に起きる複合事態への対処能力を整備目標に掲げた。

 国際テロ組織アルカーイダの指導者ビンラーディンの殺害は、アメリカの国防政策の転機を象徴している。9・11から10年間、アメリカは「テロとの戦い」に全力を傾注し、大きな犠牲を払ったが、中東の政治変動はイスラム過激派の影響力の低下を示唆している。米国防政策は焦点を次第に東アジアに移しつつあり、中でも、中国の海空およびミサイル能力への対応を重要な要素としている。

 ◆テロ指導者殺害で対中シフト

 昨年来、アメリカが尖閣諸島問題や南シナ海での領土紛争に積極的に関与する姿勢を示しているのも、日本、韓国、東南アジア、オーストラリア、インドといった同盟国および友好国との関係を強化しつつ、中国を牽制(けんせい)する政策の一環であると考えられる。今回の日米合意でも、北朝鮮の非核化や中国の軍事力の透明性の要求に加え、宇宙、公海、サイバー空間での脅威や、日米韓、日米豪の三国間安保協力の強化など、目立たないが意味のある言及がある。

 もちろん日米同盟にとり、最大の懸案が普天間移設と海兵隊移転問題であるのは間違いない。今回の合意は、ゲーツ前米国防長官の置き土産として現行案の実行方針を確認した。しかし沖縄政治の現状だけでなく、日米の財政悪化を考えると、巨費を要する辺野古沖基地建設がますます実現性を低下させていることは否定できない。米議会の有力議員から提案されている嘉手納空軍基地の再編や、今回の合意で言及された馬毛島の施設検討などと併せ、米軍の東アジアでの前方展開の再編と自衛隊の役割の強化を踏まえ、普天間問題は再検討されるべきであろう。

 こうした方針の前提となるのは指導者の信頼関係である。退陣を表明した菅直人首相の在任中における最大の責任は、大幅に低下したアメリカ、および沖縄との指導者間の信頼関係の回復を託せる安定した後継体制の構築に力を尽くすことでなければならない。(なかにし ひろし)

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