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2011年7月15日 (金)

自衛隊震災派遣 成果と教訓を今後の糧とせよ(7月15日付・読売社説)

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110714-OYT1T01109.htm
自衛隊震災派遣 成果と教訓を今後の糧とせよ(7月15日付・読売社説)

 東日本大震災で、自衛隊は多くの被災者を助けて、大きな実績を上げた。今回の活動で得た様々な教訓を将来の活動に生かすことが肝要である。

 自衛隊は、「すべては被災者のために」を合言葉に、全隊員の4割強に相当する最大10万7000人という空前の規模で、救援・支援活動を展開した。

 現在は約2万3000人と、ほぼ震災前に近い体制に戻ったが、これまでの人命救助は2万人近くに上り、支援物資の輸送は1万2000トンを超す。

 陸海空3自衛隊による統合任務部隊の編成、米軍との共同調整所の設置、予備自衛官の招集――いずれも初めての試みだが、おおむね順調だったと評価できよう。

 菅政権の震災対応の遅れが批判されたのと対照的に、多くの被災者が自衛隊の活動に感謝し、「極力長くいてほしい」と要望したことが、その成果を物語る。

 一方で、福島第一原子力発電所の事故対応では、自衛隊にも十分な知見がなく、試行錯誤を強いられた。危険を伴ったヘリコプターによる放水の効果は限定的で、放水車による原子炉冷却作業が軌道に乗るまでには時間を要した。

 今回の反省を踏まえ、自衛隊の原子力災害対処計画を見直し、自治体との共同訓練などにきちんと反映させることが大切だ。

 支援物資の輸送や遺体の搬送に関する関係省庁、自治体、民間との役割分担でも課題を残した。

 より効果的な活動を実現するには、民間業者や自治体などでも可能な仕事は他に任せ、自衛隊は、自衛隊にしかできない任務に専念する体制を作るのが望ましい。

 被災者支援の総合調整は本来、政府の司令塔たる首相官邸の役目だ。政治の指導力が問われる。

 部隊移動で、北海道の部隊は民間フェリーをチャーターし、沖縄の部隊は豪州軍の大型輸送機を利用した。海自の輸送艦が修理や海外派遣で使えなかったためだ。

 昨年末の新たな防衛大綱は「動的防衛力」の強化を打ち出している。大型の輸送機や輸送艦の導入が中長期的な課題となろう。

 災害や有事への対応のため、上空から対象を監視する無人航空機の導入も急ぐ必要がある。

 過酷な遺体収容作業に連日従事し、心理的ストレスを抱えた隊員も少なくない。精神面のケアの充実が求められる。

 防衛省は今、震災対応に関する検証作業を進めている。国全体で、大規模災害対処のあり方を検討する機会としたい。
(2011年7月15日01時22分  読売新聞)

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