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2010年7月 9日 (金)

北海道新聞:社説/’10参院選 共通番号制度 増税の地ならしは困る(7月9日)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/240646_all.html
北海道新聞:社説/’10参院選 共通番号制度 増税の地ならしは困る(7月9日)

 国民の所得を正確に把握するために、一人一人に番号をつける-。

 こんな共通番号制度の導入に向け政府が具体的に動きだした。年内に最終案を決め、来年の通常国会に関連法案を提出するという。

 番号制導入は、プライバシー保護の観点から国民の賛否が分かれている問題だ。政府はさまざまな課題を洗い出し、利用者の立場で慎重に制度設計を進めねばならない。

 政府が6月末の検討会で示したのは▽番号制の利用範囲を税務のみとする▽税と社会保障とする▽行政全般で活用する-の3案だ。

 共通番号によって、国民の所得や資産を一括管理する。課税漏れ対策など利点が多いと説明している。

 だが、問題の根っこには、税に対する国民の不公平感がある。

 所得捕捉率は、源泉徴収される会社員の場合は9割に達するが、納税申告する自営業者は6割、農家などは4割程度とされている。

 政府が番号制を透明な税制の構築に生かすというなら、公平性が担保できる税制そのものの改革にまず取り組まねばならない。

 見逃せないのは、菅直人首相が検討会で、消費税増税に伴う基盤整備のために番号制の導入を急ぐ方針を示したことだ。

 番号を活用し、国の支援が必要な低所得者への税の還付などに役立てるという考え方だ。

 首相は、参院選の遊説でも低所得者対策の重要性を訴えている。

 しかし、消費税はもともと低所得者ほど負担感が増す「逆進性」が高い。低所得者への手当ては、現行制度の下でも必要な措置だ。

 番号制の制度設計は、消費税率引き上げの是非や逆進性対策とは分けて考えるべきだろう。番号制導入が増税に向けた地ならしになるようでは、国民の理解は得られまい。

 政府は、健康診断や病歴などの個人情報の一括管理も検討している。

 プライバシーが漏れる危険を防ぐためには、接続記録を確認するシステムの整備や、目的外使用を法令で禁じる対策が必要になる。

 日本では1980年代の「グリーンカード制」以来、番号制が繰り返し検討されたが導入は見送られた。国民の強い反発があったためだ。

 大切なのは、番号制は徴税の効率化など行政のための制度ではないという点だ。首相は「国民本位の制度にする」と強調している。

 そうであれば、番号制の目的や使い道についての慎重な検討と万全の準備が前提となる。国民への丁寧な説明を欠いたまま、導入を急ぐことがあってはならない。

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