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2010年7月28日 (水)

新たな防衛計画の大綱に向けた提言 日本経団連

http://www.asagumo-news.com/news.html

新たな防衛計画の大綱に向けた提言 日本経団連

 日本経団連は、2009年7月14日、政府の防衛計画の大綱および中期防衛力整備計画に向けて「わが国の防衛産業政策の確立に向けた提言」を公表した。その後、政権交代により、防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画の策定は本年末に行われることとなった。
 北東アジアの安全保障環境は緊迫しており、防衛力の整備の必要性は依然として高い。北朝鮮の核や弾道ミサイルの脅威は大きく、特に現在、韓国の哨戒艦沈没事件をめぐり朝鮮半島において緊張状態が続いている。また、わが国の近海において、外国の潜水艦などが活動を活発化させている。
  国際的には、昨年7月に施行された海賊対処法に基づくソマリア沖・アデン湾の海賊対処のための護衛艦や哨戒機の派遣、本年1月に発生したハイチ大地震への国際緊急援助活動など、自衛隊の活動範囲は拡大している。
  本年2月、政府は「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」を発足させ、検討を行っており、近々、新たな防衛計画の大綱に向けた報告書が発表される。
  そこで、日本経団連としては、本年3月の「欧州の防衛産業政策に関する調査ミッション」で得られた成果も踏まえつつ、新たな防衛計画の大綱に向けて改めて提言をとりまとめた。

1 防衛産業の現状と環境変化

 (1)現状
 防衛力は国民の安全・安心を守る安全保障の要であり、その重要な要素となる防衛装備品の開発・生産、自衛隊の運用支援を担っているのが防衛産業である。大企業だけでなく多くの中小企業が関わっており、例えば戦闘機の関連企業は約1200社、戦車であれば1300社に達する。
 しかし、わが国の防衛関係費の減少傾向が続く中で、主要装備品の新規契約額は漸減し、1990年度の1兆700億円をピークとして、2010年度では6割程度の約6800億円に落ち込んでいる。生産数量の減少に伴い、企業は人員の削減や民生部門でのリソースの活用などの努力を行ってきたが、各装備品の運用支援のための人員や設備の維持などを考えると、企業努力も限界であり、防衛生産から撤退を余儀なくされる企業が出ているなど、防衛産業基盤は弱体化しつつある。加えて、中期防衛力整備計画で示された調達数量が達成されず、将来の展望も明確でない。
  防衛装備品の開発や技術者の育成には長期間を要するため、一旦喪失された防衛産業基盤を回復することは極めて困難である。主要装備品の新規契約額が漸減する中で、技術者や現場技能者の減少は防衛産業基盤の喪失につながる恐れがある。
  特に、2011年度に生産が終了する戦闘機については、その後は生産空白期間が生じることから、技術・生産基盤の維持が大きな課題となっている。

  (2)環境変化
 防衛産業は高度な民生技術をベースに、開発・生産設備や人員を民生部門と共用することで効率的な開発・生産を行ってきた。こうした中で、以下のような環境変化が生じており、防衛部門自体としての事業の維持・強化が求められている。民生部門に頼らずに防衛産業が発展し、防衛技術・生産基盤を維持・強化するために、政府の明確な防衛産業政策が必要である。
 第1に、最先端の防衛技術は、たとえ同盟国に対してでも、提供が制限されるようになっている。わが国が主要装備品を中心に行ってきた米国からの技術導入も、技術流出の制限により難しくなっている。装備品の中核技術はブラックボックス化されるなど運用の自律性の面で問題が出てきており、わが国の自主技術力の強化が求められている。
 第2に、企業の格付けや株価、事業ごとの採算性が重視される中で、世界経済危機に端を発する厳しい経営環境が依然として続いている。これにより、民生部門の技術やリソースの活用による防衛事業の運営は難しくなっており、防衛事業の意義や将来性等のステークホルダーへの説明責任も十分果たせない状況に陥っている。

2 防衛技術・生産基盤の意義と欧米諸国の基盤強化策

 (1)防衛技術・生産基盤の意義
  防衛産業は防衛装備品のライフサイクル全般にわたり防衛の一翼を担っている。防衛技術・生産基盤の意義は以下のとおりであり、基盤の維持・強化は、国家としての重大な責務である。
  ①高度な技術力による抑止力と自律性の確保
  高いレベルの技術力を有することにより、他国からの侵略に対する抑止力や外交交渉力を高め、防衛装備品の調達を他国に頼らない国家としての自律性を確保する。
  ②迅速な調達・運用支援と装備品の能力向上
 緊急事態における調達、故障時の不具合の調査や修理等に対する迅速な対応、技術進歩に応じた装備品の改修や能力向上を実施できる。この結果、高い可動率や安全性を確保することができる。輸入品では、海外に返送が必要な修理に長期間を要し、その間の運用に多くの予備品が必要になるなど、かえって費用がかかることも多い。
  ③国土・国情にあった装備品の開発・生産
  四方を海に囲まれ、山岳地帯や離島が多い日本列島の地理的環境や、専守防衛を第一とする基本方針に合った、わが国の防衛にとって最適な装備品の開発・生産と運用支援を行う。
  ④技術・経済波及効果
 防衛技術・生産基盤を活用し、国内への投資により開発・生産を行うことは、国内産業の発展や雇用の創出につながる。最先端技術である防衛技術の開発は、新たな技術的ブレークスルーをもたらし、民生部門への大きな技術波及効果が期待される。
  ⑤輸入やライセンス生産におけるバーゲニングパワーの確保
  外国からの装備品の輸入や、国内でのライセンス生産のための価格や技術開示の交渉にあたって、国としてのバーゲニングパワーの確保につながる。

 (2)欧米諸国の基盤強化策
 テロ、大量破壊兵器の拡散、海賊問題など安全保障をめぐる課題が山積する中で、欧米諸国は、防衛技術・生産基盤の強化に向けた政策を推進している。 米国では、本年2月に国防省が公表したQDR(QuadrennialDefenseReview:4年ごとの国防計画の見直し)で、防衛産業基盤の強化の必要性を初めて指摘した。また、同盟国の防衛産業の能力を評価し、協力の深化を求めている。
 日本経団連の欧州ミッションでは、各国政府が防衛技術・生産基盤の意義を踏まえ防衛産業政策を策定し、基盤強化に取り組んでいる実態を調査した。欧州では、例えばイギリスやフランスでは、国として重点投資すべき分野や、国際共同開発を推進すべき分野を明確にするなど、産業界にとって長期的な見通しが立てられる環境を整えている。また、NATOや、EUの一機関であるEDA(EuropeanDefenseAgency:欧州防衛庁)の枠組みを通じて、参加国間の共同プログラムを推進するなど、防衛産業の競争力を強化している。
 そこで欧州では、国内に技術・生産基盤を維持する必要がある装備品については重点的な研究開発投資により国内の基盤を維持する一方で、国際共同開発の枠組みによる最先端の装備品の効率的で優先的な取得を行ったり、輸入により海外に依存するといったように、装備品ごとに取得政策を明確にしている。
  防衛関連企業としてもこうした方針があれば、計画的な投資や人員の採用により安定的で効率的な開発・生産を行うことができる。欧州の取組みは、わが国の防衛産業政策にとって大変参考になる。

3 わが国としての防衛産業政策のありかた

 (1)重点投資分野の明確化
  財政事情が厳しい中、適正な規模の予算の確保を前提として、防衛技術・生産基盤の意義を踏まえ、防衛産業政策の一環として、わが国の重点投資分野を明確にする必要がある。
  重点投資分野としては、システムインテグレーション能力、最先端の要素技術、固有の運用要求に対応する技術、運用支援能力、国際的優位性を確保する技術の5分野(表1参照)が挙げられる。政府においては、将来必要となる装備体系構想を前提として、それぞれの重点投資分野において具体的な技術と装備品を明示するべきである。
 防衛産業政策の一環として、重点投資分野の明確化による選択と集中が不可欠である。特に、防衛・民生両用技術については、経済効果も大きいと期待されるため、産学官が連携して開発することが適切である。第4期科学技術基本計画の策定にあたっても、国民の安全・安心に関わる技術として、防衛関連技術を明確に位置付けるべきである。
  また、諸外国に比べてわが国の防衛関連の研究開発費は少なく、上記の重点投資分野に対する研究開発費の充実が必要である。
 現在、輸送機や飛行艇など、防衛省が開発する航空機の民間転用が検討されている。航空機の開発には防衛・民生両用技術が多く用いられており、防衛技術・生産基盤を維持・強化する観点から、民間転用を推進することが長期的には有効である。
 重点投資分野の明確化により、①装備品の自律的な運用能力を保持するため、国内で技術・生産基盤を維持するもの、②海外との技術交流や技術導入による国際共同開発やライセンス生産を行うもの、③海外から輸入するものを分類し、明確な装備品の取得政策を策定すべきである。

 (2)新しい武器輸出管理原則の確立
  1967年の武器輸出三原則および1976年の武器輸出に関する政府統一見解(以下、「武器輸出三原則等」)により、わが国ではこれまで一部の例外を除き、武器輸出および武器技術供与が実質的に全面禁止とされてきた。
 一方、日米の安全保障協力が進む中、弾道ミサイル防衛システムの日米共同開発・生産は例外とされている。また、テロや海賊対処のための途上国への貢献の観点から、すでにODAを活用したインドネシアへの巡視船艇の供与も実現している。これに加えて、アデン湾ソマリア沖の海賊対処として、イエメンへの巡視船艇の供与が検討されている。
 現在、装備品の高機能化や開発費の増大に伴い、戦闘機など装備品の多国間による国際共同開発が進んでいる。しかし、わが国は武器輸出三原則等により、国際共同研究開発に参加できず、いわば技術的な鎖国状態に陥っている。そこで、武器輸出および武器技術供与によって同盟国間の連携の強化や紛争の防止が可能となり、国際安全保障や平和維持に貢献する側面があることに注目して、欧米諸国などとの国際共同研究開発に積極的に取り組めるようにすべきである。
 その際、国際共同研究開発において重要な役割を担うには、自主技術力の向上が不可欠であり、研究開発投資による技術基盤の強化が求められる。また共同開発に続く共同生産段階においては、共同生産国からの再輸出についても考慮しておく必要がある。現状では、欧米企業とのライセンスで生産した装備品について、ライセンス提供国からの供給の要請に応えることができないが、こうした対応も検討すべきである。
  このため、政府として、現行の武器輸出三原則等に代わる新しい武器輸出管理原則を確立すべきであり、以下に産業界の考え方を示す(表2参照)。

 (3)取得・調達政策の改善
  防衛装備品の調達数量減少による生産効率の低下に加え、調達予算の減少により、防衛産業は装備品の生産のために投入したコストを回収できないなど、企業収益は圧迫されており、取得・調達政策の改善が大きな課題である。
 防衛装備品の多くは量産開始以降も競争入札による契約となるため、企業は翌年度以降の見通しが立たず計画的な投資や人材の採用ができない。このため、長期的な展望に立った経営が難しく、効率的な生産に支障が生じている。少なくとも主要装備品に関しては、初回の契約で選定された企業を次年度以降も固定して長期契約した方が、効率的な生産やコストの低減に資するため、長期的な装備品調達計画の策定や複数年契約を検討する必要がある。
  契約面でも、複雑な契約制度や企業の間接費用の増大に結びつく細かい企業監査や調査を改め、企業の自主的な経営改善の努力を促し、安価で高品質な装備品の取得につなげることができる取得・調達政策の改善を実施すべきである。

4 防衛における宇宙開発利用の推進

 安全保障の確保に向けて宇宙開発利用が貢献する役割はますます大きくなっている。わが国においても、北朝鮮の弾道ミサイルの脅威をはじめとする北東アジアの緊迫した情勢を踏まえ、防衛目的の宇宙開発利用を推進する重要性が高まっている。
 昨年6月に宇宙基本法に基づいて策定された宇宙基本計画では、安全保障分野での新たな宇宙開発利用として、早期警戒機能のためのセンサーの研究、防衛・民生両用分野における各種衛星の活用の推進等が盛り込まれた。日本経団連の「国家戦略としての宇宙開発利用の推進に向けた提言」(2010年4月12日)で指摘したとおり、防衛計画の大綱および中期防衛力整備計画において、早期警戒衛星、偵察衛星、通信衛星、ロケット等による防衛目的の宇宙開発利用とインフラとしての射場の整備を盛り込む必要がある。予算については、政府に特別予算枠を設け、それを活用することを検討すべきである。

5 新たな防衛計画の大綱への期待

 安全保障政策は国家の根幹であり、それを担保する防衛技術・生産基盤の維持は国が責任を持って行うべきである。わが国の安全保障に係る基本方針を明確に示したうえで、長期的観点に立った防衛産業政策の策定を防衛計画の大綱に盛り込み実行することを求める。
 防衛産業政策の策定にあたっては、国家としての上記の基本方針をもとに、将来の国際的な安全保障環境を想定し、その対処のために必要な防衛能力を明確化することがまず必要となる。それに基づき、必要となる最先端の装備品を検討し、重点投資分野の明確化による防衛技術・生産基盤の維持・強化につながる防衛産業政策を策定すべきである。防衛産業は政府と緊密な連携を図り、最先端の装備品の情報提供や技術的な検討を通じて、防衛産業政策の策定に積極的に協力する。
 防衛産業が国民の安全・安心を守る防衛の一翼を担っているという誇りと使命感をもって、磐石な安全保障体制の構築に貢献できるよう、わが国も政策面で一歩踏み出す時である。また、政府は、防衛産業の役割とその重要性について、国民が認識を深め、正しく理解するように努めるべきである。
  日本経団連としても、安全保障の強化のみならず防衛産業の振興を通じた経済効果も視野に入れ、企業の自主的な研究開発や経営の効率化などを推進する。

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