[沖縄県知事選]あいまいは許されない
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[沖縄県知事選]あいまいは許されない
政治
2010年7月19日 09時51分
(31時間41分前に更新)
参院選が終わり、11月の知事選へ向けた県内政治の動きが活発化してきた。
社民、共産、社大の県政野党は20日に初会合を予定しているが、民主党県連はその協議に加わらない方針を決めた。理由は「国政で与党と野党の違いがある」というのだが、それだけでは意味が分からない。
国政与党を意識するのは米軍普天間飛行場の移設問題をめぐり、県内移転を進める党本部とのねじれがあるためだ。独自の主張があるのなら知事選で独自候補を擁立して県民に訴えるのが筋だろうが、いまは党本部との距離感に苦慮しているようだ。
民主党県連に留意してもらいたいのは、党本部とのねじれに県民を巻き込まないでほしい、ということだ。
玉城デニー、瑞慶覧長敏両氏は普天間の県内移設反対を訴えて県民から議席を託された。参院選で喜納昌吉氏が落選したのは、普天間の名護市辺野古移設を決めた菅政権に対する有権者の反発だ。
民主政権を批判する県政野党と選挙協力するのが厳しいのは分かる。かといって独自の主張を封印せざるを得ないのでは県連の存在意義を問われかねない。
他県のように選挙区の候補者調整をめぐる対立とは訳が違い、沖縄は政策の根幹で対峙(たいじ)する。中央との調整は果たして可能だろうか。
参院選挙区で当初県連は独自候補を擁立する予定だったが、党中央から「政府方針と違う候補者を応援するな」とねじを巻かれ、抗しきれなかった。
県連の候補者擁立を抑えた安住淳選対委員長は自身のネットサイトで、「沖縄以外の国民1人あたり年間100円の沖縄貢献税を新設し、基地を受け入れてもらうことへの感謝の意向を示す」と提案している。
「感謝」は願い下げだ。このような考えが県連を縛っているのなら問題は根深い。議論すべきは日米関係の将来像であり、沖縄に基地を押しとどめる策ではない。
なぜなら普天間問題は県内移設で着地点を探れる次元ではないからだ。日米安保が大事と口で言いながら、負担は沖縄、という無責任で不健全な状態を解消しなければ沖縄と本土とのねじれは解消しない。
次期知事選の最大の争点となるだろうし、もはやあいまいな態度は許されない。基地問題だけがテーマではない、との主張はその通りだが、あいまいさが招く混迷の政治責任を忘れてはいけない。
工法や建設位置の最終決定を当初予定の8月末ではなく、11月28日の知事選後にずらすとの見方が閣僚から聞かれる。争点ぼかしだ。
県内移設容認派は「政府決定を見て判断する」とはぐらかすことができる。9月の名護市議選と知事選をにらんだ先延ばしは、県民から選択権を奪うのと同じだ。
次期知事選が持つ意味は非常に重い。地域主権の時代に沖縄がどう生きるのかが問われるからだ。
未来にとって「あいまい」が最も始末に悪い。
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