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2010年6月 6日 (日)

沖縄タイムス社説: [新首相に菅氏]前政権の失敗に学べ/説得すべき相手は米国だ

http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-06-05_7014/

[新首相に菅氏]前政権の失敗に学べ/説得すべき相手は米国だ
政治

2010年6月5日 09時35分                   
(24時間53分前に更新)

 民主党の新代表に選ばれた菅直人氏が4日の衆参両院本会議で第94代、61人目の首相に指名された。

 政治家一族でない「非世襲」の国会議員が首相に就くのは、社会党の村山富市氏から実に14年ぶりだ。1974年の参院選で市川房枝氏を担ぎ出し、選挙事務長を務めて当選させた市民派として知られる。その看板を実際の国政運営に反映できるかどうかが菅内閣の生命線になるだろう。

 代表選後に菅氏は「ノーサイドを宣言したい」と党内融和を呼びかけた。もちろん鳩山由紀夫前首相を8カ月で辞任に追いやった米軍普天間飛行場の移設問題がある沖縄に対して「ノーサイド」と言えるような情勢にはない。

 鳩山前首相と運命共同体だった副総理が首相に繰り上がっただけで「新鮮味」に欠ける、と野党側は批判している。民主党の統治能力に対する懸念が鳩山首相の退陣で払拭(ふっしょく)されるわけではない。

 「政治とカネ」の問題については鳩山前首相と小沢一郎前幹事長のツートップが共に身をひくことで幕引きを図った。菅首相も小沢氏と一定の距離を置くことでこの問題に一区切り付けるつもりだ。

 他方、解決のめどがまったく見えていない普天間問題は、菅首相が日米合意を尊重する意向を早々と打ち出したことで、今後の「迷走」を確定的にしてしまった。

 この問題は自民党政権の積み残しで、一朝一夕に解決できない根深さがあることは誰もが知っている。政権交代後の8カ月で片付けようとした拙速さと手法の稚拙さが鳩山前政権の命取りとなった。

 この失敗から何を学ぶかが新内閣にとって最も大事な視点になるはずだ。

 無批判に日米合意の継承を宣言した菅首相は果たして基地問題を解決する秘策があるのだろうか。民主党が真の意味で再生するには国民との約束を誠実に果たす政治意思と実行力を示せるかどうかにかかっている。

 菅首相は過去に何度も「海兵隊撤退論」を主張した。「常時駐留なき安保」の考えは鳩山前首相と気脈を通じる。

 98年に沖縄で開催した党大会で、党代表だった菅氏は「海兵隊を米領に戻しても日米安保上支障はない。どうしても必要であれば削減して本土へ移転するのも当然だ」と海兵隊の県外・国外移転を打ち出した。

 沖縄の基地問題に関する超党派勉強会の会長に就任した2005年、普天間の辺野古移転について「不可能だ。県外、国外へ移転すべきだ」と発言した。

 日米同盟を維持するにしても在日米空軍と第7艦隊を継続駐留させれば海兵隊が米国へ退いてもアジアの安保環境へダメージを与えない、との論陣を張った。米軍再編を受けた日米交渉で在沖米海兵隊司令部など8000人のグアム移転が決まった後も同じように主張していた。

 ところが鳩山内閣で副総理に就任してからは普天間を含む安保問題について発言を控えていた。

 いまは鳩山前首相による日米合意を継承するという。政治家が「言葉の重み」を顧みなかったことが前内閣の致命傷だった。菅首相も同じ過ちを繰り返すのか。

 地元の名護市は一貫して反対している。辺野古周辺の埋め立ては県知事の認可が必要だが、知事が地元の反対を無視できるはずもない。日米合意を実行するには国が知事から権限を取り上げる強行突破しか打開の道はない。

 「地域主権」を政策の一丁目一番地としている民主党が、国家権力で地域を押しつぶす愚行に走ればこの国の民主主義は死ぬ。外国軍基地の問題で首相が交代し、民主主義を見失う国はおかしい。

 普天間問題で政府が説得する相手は沖縄ではなく米政府であるはずだ。鳩山前首相はそれを怠ったため、国民は民主党に失望した。

 普天間をめぐる鳩山内閣の迷走を「無意味な8カ月」にしてほしくない。

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