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許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2010年3月 9日 (火)

改憲手続き法は、このままでは施行できない

 本ブログでも引用しておいたが、2月4日の東京新聞の記事で以下のようなことが書いてあった。

 政府は三日、五月十八日に施行される、憲法改正のための手続きを定める国民投票法の投票権者について、十八歳以上とすることを断念し、当面は二十歳以上とする方針を固めた。十八歳以上にするための前提となる、選挙権を十八歳以上に広げる公職選挙法改正や、成人年齢を十八歳に引き下げる民法改正などが間に合わないのが確実となったためだ。
 一部で施行そのものを見送るべきだとの意見も出ていたが、一日の民主党役員会などで予定通り施行する方針を確認した。(以上、東京新聞)

 要するに、政府や民主党役員会の意見では、18歳投票権のための法整備は間に合わなかったが、5月18日がきたら、同法がもし「法整備」が間に合わなかった場合を想定した「経過措置」(註)として規定していることに従い、当面20歳以上で施行できる、というはなしである。

 この「経過措置」についての理解はとんでもない間違いである。
 以下は、憲法学者の小沢隆一さんに教えて頂いて、第166国会(2007年)の4月12日の憲法調査特別委員会での議論に戻って検証してみたことである。

 166国会の憲法調査特別委員会で、自民党の柴山昌彦委員の質問に対して、与党提案者の船田元理事が以下のように答えている。

http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm

○船田委員 私ども与党の併合修正案におきましても、本則において十八歳以上ということを決定させていただいております。これは言うまでもなく、諸外国の例を見ても十八歳以上というのが世界標準である、こう思っております。これを取り入れることといたしました。

 ただ、本法施行までの間に関連法令、私どもが明示をしているものは公選法それから民法その他ということになっておりますが、少なくとも公選法、民法については十八歳、二十から十八になるようにこの期間において法整備をしなければいけないということを附則で載せております。

 なお、経過措置ということで、その関連法令が施行されるまでは二十以上のまま、こういうことにいたしておりますのは、例えば、何らかの理由によりまして公選法の規定が十分整備されないという事態が起こったときに、国民投票法案が十八以上、そして公選法による選挙が二十以上という事態が万が一生じた場合には大変な混乱を招くことが予想されることから、私どもは、万が一を考えての措置ということで書いたわけであります。

 しかし、これを書いたからといって、先延ばしにしようという意図は一切持っておりません。ここまで本則においても十八歳以上ということを明示している以上、我々与党としては十八歳に整備をするということについては政府に対して非常に大きな責任を負ったわけであります。したがって、これを履行することは与党の責任として確実にやらせていただきたいと思っておりますので、そのような心配は無用であると考えております。

 そしてさらに公明党の石井啓一委員の質問に対して船田理事がこう答えている。

○船田委員 先ほども御答弁申し上げたところでございますが、我々は、関連法令の整備、とりわけ公選法、民法、これをきちんと整備することがどうしても必要であるということで例示をさせていただいたわけでございます。

 特に、公選法につきましては、現在二十でございますので、国民投票法案で定められた投票年齢十八というものにできるだけ早くそろえなければいけない。その措置についても、この附則の中できちんと書かせていただきました。

 もちろん、このことについて、そうでないのではないかという御意見もあろうかと思いますが、私たちは、我が党の中でも、また公明党さんの中でも議論していただいたと思いますけれども、与党の立場として、ここまで明記をさせていただいている限りは、当然、この三年の間に必要な法的措置を講じるということについては、これは義務を負ったというふうに我々は認識をしております。したがって、このことについては、提案者である私のみならず、公党としての約束としてこれは必ず実行させていただきたい、このように考えております。

 なお、御質問の中にございました法整備ということはどこまでを指すのかということでありますが、これは公選法あるいは民法の規定にしても、いずれも公布ということを考えております。

 しかし、例えば公選法の場合には、仮に本法施行までの三年間の間のぎりぎりのところで公選法が公布となったとしても、これまでの例からして、おおむね半年間の周知期間があれば、公選法の場合には対応が可能であるということでございます。

 したがって、三年後のぎりぎりのところで公選法が十八歳で公布をされたとしても、それが施行される半年の間に憲法改正の原案が決まりまして、そして、国民投票を行うまでの期間を考えますと、実際に国民投票を行う前に十八歳の公選法の規定が施行される可能性は極めて強いと思っておりますので、実効上の問題はないと思っております。

  従って、法案提案者の船田理事の理解では、法整備が進まなかった場合の「経過措置」で、現行20歳で処理するというのは、民法改正の公布から施行までの最大限、半年程度のことを指しているのであって、現在のように18歳投票権問題に関する民法改正すら全く取り組まれておらず、改正民法が公布されてもいないという状況は想定されていないので、当てはまらないのです。
 これは重大なことです。衆院法制局の見解を求めなくてはなりません。そして、当時、この議論の現場にいた当事者で、先ごろ「今後は内閣法制局長官に代わって私が憲法答弁をする」と見栄をきった枝野大臣の見解を求めたいところです。

 だから、改憲手続き法にもとづいて、この「経過措置」規程を使って、今年の5月18日以降、とりあえず、投票権者20歳で「施行する」ということは、国会の議論に忠実に基づけばあり得ないということなのです。改憲手続き法は、凍結解除の5月18日がきても、施行できないのです。政府や民主党の役員会の諸氏よ、ここのところを勘違いしないで欲しい。とんでもない間違いになりますよ。
 ですから、私たちの主張のように、改憲手続き法はひきつづき凍結延長して、その上できちんと廃止法を成立させ、出直す以外にないのです。
 私たちはこれを求めて、ひきつづき「改憲手続き法の凍結・廃止を求める共同声明運動」を続けます。(高田)

(註)改憲手続き法「附則」 
第三条 国は、この法律が施行されるまでの間に、年齢満十八年以上満二十年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう、選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法、成年年齢を定める民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする。

2 前項の法制上の措置が講ぜられ、年齢満十八年以上満二十年未満の者が国政選挙に参加すること等ができるまでの間、第三条、第二十二条第一項、第三十五条及び第三十六条第一項の規定の適用については、これらの規定中「満十八年以上」とあるのは、「満二十年以上」とする。

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