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2009年11月 1日 (日)

【日曜経済講座】論説委員・岩崎慶市 「東アジア共同体」構想の危うさ

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091101/plc0911010801007-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091101/plc0911010801007-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091101/plc0911010801007-n3.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091101/plc0911010801007-n4.htm

【日曜経済講座】論説委員・岩崎慶市 「東アジア共同体」構想の危うさ
■まだ日韓台の方がいい

 ≪基本的性格さえ不明≫

 鳩山由紀夫首相が打ち出した「東アジア共同体」構想が、さまざまな波紋を呼んでいる。確かに日本の将来はアジア経済との一体化にかかっているが、首相がいまだに輪郭さえ示していないからだ。今後の議論の方向によっては危険性を内包するだけに、そのあり方と道筋を少し考えておきたい。

 

まず疑問なのは、この構想の基本的性格である。経済共同体なのか、それとも安全保障など政治を含めた共同体なのかがはっきりしないのだ。月刊誌に寄稿した鳩山論文が、クーデンホフ・カレルギー伯の汎ヨーロッパ思想から説き起こした欧州連合(EU)を念頭に置いているところをみると、政治を含むのだろう。

 

だとすれば、いくら「東アジア」といっても日米同盟に頼る日本にとって、論文が示唆した“米国抜き”では中国という共産党独裁の軍事大国に呑(の)み込まれるだけだろう。日米両国内で批判されたのも当然である。そのためか、首相は先の東アジアサミットで米国の関与に言及したが、これだと今度は「東アジア」という地域枠組み自体が崩れてしまう。

 つまり、現状での政治を含めた「東アジア共同体」は空想の域を出ない。では、「経済共同体」はどうか。これなら“米国抜き”の理屈が成り立つし、むしろ地域共同体としてはそうあるべきだ。

 欧州は将来の政治統合の理念を掲げつつ、“米ドル支配”からの脱却を目指して市場統合、統一通貨ユーロという経済を先行させた。日本もその時々の米政権の都合による通貨政策で何度も煮え湯を飲まされてきた。アジア諸国にとってのアジア通貨危機も同様の意味を持つ。過度な米経済依存がいかに危険かは、今回の米国発金融危機でも十分に示された。

 ≪ネックは中国の存在≫

 EUのようにアジア経済を一体化すれば、域内での相互依存度を高める形で経済を活性化させ、域外経済のショックにも強い構造になる。だが、いざ共同体となるとこれも夢物語だ。

 価値観と市場経済システムの共通性を有した欧州でさえ、ユーロ創造まで途方もない時間を要した。東アジアはインドやオーストラリアを加えた東アジアサミット構成国でみても、宗教から経済発展段階までばらばらだ。

 何より、この枠組みには異質な社会主義市場経済と体制崩壊リスクを内包する中国が存在し、経済共同体とはいっても危険すぎる。
東アジアサミットの際に合意した日、中、韓の自由貿易協定(FTA)の官民共同研究も慎重であるべきだろう。

 そこで、もっとましな提案をしたい。日本、韓国、台湾による「北東アジア経済共同体」である。
複雑な政治要因を抱えてはいるが、経済の自由度、発展度が近いこの地域の市場規模は2億人に上る。しかも韓国、台湾の成長見通しは日本を大きく上回る。

欧州のように、共同体に不可欠な通貨の安定装置を先行させてもいい。ユーロの前身である欧州通貨制度を参考に、3通貨の加重平均値を中心にした緩やかな変動幅を設ける。そして制度運営に欠かせない政策協調を強めて、ドル、ユーロに次ぐ第3の通貨を目指す。東南アジアの代表としてタイの参加も促したらいい。

 ただ、これも実現可能性となると、低いといわざるを得ない。米国もさることながら、経済でもアジアの覇権を狙う中国が“中国抜き” を容認するとは思えないからだ。市場経済の進展度などの参加基準を設けて牽制(けんせい)する手立てはあるが、鳩山政権には中国と対峙(たいじ)する考えも覚悟もあるまい。

 ≪せめてAMF実現を≫

 こうしてみると、いくら「東アジア共同体」を叫ぼうが、できることはほとんどない。唯一の手がかりといえば「アジア通貨基金(AMF)」構想だろうか。アジア通貨危機の際に日本が提唱し、米中の反対で葬られたこの構想を国家戦略とするのである。

すでに土台はある。東アジアサミットが年内始動で合意した通貨危機時に外貨を融通し合うチェンマイ・イニシアチブのマルチ化がそれだ。これまでは2国間での複数の協定だったのを、「仮想基金」として一本化するもので、資金総額も大幅に拡充した。

 これには中国も賛成し、資金拠出規模を日本と同じにするなど主導権争いを控えている。米国も国際通貨基金(IMF)の補完機能として容認した。だが、これをAMFという「実体」に転換するとなれば、米中とも一筋縄ではいくまい。

 首相はアジア重視の理念を高らかにうたった。理念倒れといわれないよう、AMFくらいは実現することだ。

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