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許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2009年10月16日 (金)

【与那国島が危ない】(中)「やられてから、という姿勢」(下)「ここは日本。屈辱的」

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091015/plc0910150726005-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091015/plc0910150726005-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091015/plc0910150726005-n3.htm
【与那国島が危ない】(中)「やられてから、という姿勢」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091016/plc0910160740004-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091016/plc0910160740004-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091016/plc0910160740004-n3.htm
【与那国島が危ない】(下)「ここは日本。屈辱的」
日本最西端の沖縄県与那国町にとって、近いのに遠くなってしまったのが台湾だ。111キロ先の台湾へは、まず500キロ離れた那覇へ行かねばならない。

 ◆台湾とともに栄えた島

 そもそも台湾が日本統治下の戦前は、東京どころか沖縄より身近で、出稼ぎも台湾、納税も台湾紙幣が通用した。昭和20年8月15日、終戦で国境線が引かれた後も、密貿易で栄えた。駐留米軍の監視も与那国までは届かなかったのである。

 地勢的にも歴史的にも、与那国町と台湾は不可分の関係にある。台湾との国境交流には、人々が島の良き時代へと思いを馳(は)せる側面もあるように感じられる。

 与那国町議会は議長を含めて定数6。ただ一人、自衛隊誘致に反対の小嶺博泉議員(38)は言う。

 「そもそもなぜ誘致なのかです。台湾との地の利や27年になる花蓮市との姉妹都市関係などをもっと生かすべきです。自分は自衛隊アレルギーはないし、国境を守ることは間違いではない。でも防衛力より人間で守る防人政策があってしかるべきだ。馬英九政権で中台関係が安定しているいま自衛隊を配備して緊張を高めるのはどうかと思う。町長は万策尽きたというが、定住促進策とかやることはまだある。町長には本気でやってくれと言いたい」

 町長選で自衛隊誘致に反対し、台湾との積極交流を主張した田里千代基候補(51)は大差で敗れたが、小嶺議員は意気軒高だ。

 昭和2年創業、与那国で一番古い泡盛のメーカー、崎元酒造所代表代行の崎元俊男氏(44)が悩んだ末に田里候補に投票したのも、台湾との交易に一縷(いちる)の望みを託したいからだった。

 島で調達できない瓶やラベルを関西に注文する。関西-沖縄-石垣-与那国の輸送コストは価格を圧迫する。今後、予想される沖縄本島の泡盛や九州の焼酎との競争に勝てるか。台湾との直接航路を切望するのは、崎元氏だけではない。

◆苦しい地場産業の前途

 もっとも外間(ほかま)守吉町長(60)や自衛隊誘致派も、台湾との交流促進に必ずしも反対ではないという。

 ただ、予算ありきでチャーター便を飛ばすだけのイベント頼みでは町の自立につながらない。また姉妹都市も2000人に満たない与那国町と10万人を超す花蓮市では規模が違いすぎて町の負担が大きすぎる。宮古・八重山諸島全体に広げて交流を進めていく考えも浮上している。

 与那国町には集落が3つある。役場や郵便局がある祖納(そない)、テレビドラマ「Dr.コトー診療所」のオープンセットが残る比川、そして最西端の久部良(くぶら)だ。

 かつてカツオやカジキ漁で栄え、戦後は密貿易の舞台ともなった久部良の栄華を物語る挿話は少なくない。

 曰(いわ)く、道路沿いに料亭が軒を連ねていた。曰く、通りを行き交うのに人々は肩をぶつけあうほどだった-など。

 町の最盛期の人口は1万2000人という。いま久部良は森閑としている。

 ◆存亡のふちに立つ漁協

 久部良漁港の傍らに立つビルの与那国町漁業協同組合で、代表理事組合長の上地常夫氏(45)に会った。

 「いまは漁業組合もつぶれる時代。茨城でもつぶれたと聞きます。でもこの島で漁協がつぶれたら痛手は本当に大きい。何とか存続を図らねばならないのです」

 漁協がつぶれることは、辛うじて残る産業の一つ、漁業の壊滅を意味する。上地氏は、思わしくない組合経営に危機感を覚えた町役場が送り込んだ出向第1号だ。

 生き残りへ(1)後継者問題(2)輸送コスト(3)資源問題-とハードルは高い。組合員は即戦力になっていない高齢者も含めて33人。国の支援策でスカウトした後継候補者も「やっぱりできませんと3日で帰ってしまいました」と、お手上げである。

さらに漁獲量が減っている上に、禁漁区に出没する主として台湾からの遊漁や密漁も大きな問題だ。しかもこれら違法行為に町はなすすべがない。

 町には海上保安庁も常駐していない。違法行為を発見すると通報で石垣島から巡視艇が駆けつける。時間にして1時間。外国船が排他的経済水域の外に出ていくのに十分な時間だ。つまり歯止めは何もないも同然なのである。

 対照的に台湾警備艇の取り締まりは厳しく、危ない目に遭っている漁師も少なくないらしいが、多くを語らない。上地氏は言う。

 「国境は本当に手薄です。海保は弱腰ですね。何かあっても与那国がやられてから考えようという姿勢ではないか、私たちにはそうとさえ思えるのです」

 港の船の何隻かには「日の丸」が描かれていた。あまりにもささやかな自衛である。(千野境子)

自衛隊も海上保安庁もない沖縄県与那国町。気象観測所も昨年10月で無人化された。国家公務員は、いまや税関業務の1人だけになった。ガランとした観測所や宿舎が亜熱帯の強い日差しにさらされている。

 ◆警察官2人に拳銃2丁

 日夜、島の安全を守るのは、2人の警察官と彼らの携行する拳銃2丁である。その1人、久部良(くぶら)駐在所の山内聡代巡査部長(38)は沖縄本島の機動隊勤務から転勤し2年になる。

 朝夕は登下校の小中学校を、飛行機の離着陸時は空港を、そしてフェリーの出入港の時刻には港を巡回する。「制服姿がそこにあることが(犯罪の)抑止になる」と考えるからだ。

 赴任してからこれまでの犯罪は盗難が4、5件、交通事故は脱輪に横転、町長選での傷害事件などで殺人はない。ほかは台風による停電、冠水くらいだ。「できるだけ使いたくない」という拳銃の出番は幸いまだない。

 その意味で島の治安は悪くない。だが国境の島としての安心安全となると、すでに書いてきたように事情は異なってくる。

 与那国町が去る6月に防衛省に出した自衛隊配置に関する要望は、「100人規模の駐屯地」だ。

 沖縄には現在、西部方面隊第1混成団が置かれていて、南西諸島の部隊配置は190ある有人島のうち5島(奄美大島、沖永良部島、沖縄島、久米島、宮古島)のみ。陸自部隊に限ると沖縄島だけだ。つまり中国の近海防御戦略の第1列島線に入る与那国島など八重山・宮古の先島諸島は防衛力の空白地帯同然となっている。

 5年前に決定された中期防衛力整備計画(中期防)は第1混成団を旅団に格上げし、防衛省もこれを機に与那国島に沿岸監視隊として数十人程度の部隊を出す意向とされた。しかし政権交代で、防衛大綱も中期防も見直しは来年末へ先送りされた。

 ◆上空は台湾防空識別圏

 さらに自衛隊誘致派も反対派もそろって問題にするのが、島の西側上空3分の2が台湾の防空識別圏であることだ。防空識別圏とは進入する航空機の国籍識別や位置確認、飛行指示を行う空域で、領土の外側400~500キロ圏となっている。日本の領空なのに台湾識別圏なのは沖縄占領時の米軍が設定したままだからだ。

 危険でもあり、人々はことあるごとに問題を訴えてきたが、いまだに「知らなかった」と答える政治家もいて不信感を募らせる。

 「与那国は捨て石みたいに考えられているのではないか。この島は日本の島です。屈辱的です」と与那国町議会の糸数健一議員(56)が言えば、誘致反対派の小嶺博泉議員(38)も「防空識別圏問題も処理せずに自衛隊配備などできますか、できないでしょう」と、7月に視察で訪れた当時の浜田靖一防衛相に迫った。

 遠隔操作に任された気象観測所にも再開の希望は強い。中期防は大型化する台風など「大規模・特殊災害への対応」を新たな防衛力の役割として取り上げている。広義の安全保障の見地から気象観測の重要性は増しているのである。

 とりわけ先島諸島は台風の通り道、台風銀座だ。また与那国島は日本の気象が変わる重要地点でもある。

 歴史学者で与那国町の歴史編纂(へんさん)委員を務め、与那国の事情に詳しい琉球大学の高良倉吉教授は島の今後にこのような提言をする。

 「与那国島を地域の総合的な危機管理の拠点にしていくのはどうか。石油タンカーによる汚染、流木やゴミ被害など問題は与那国島に限らず地域全体の問題となっている。台風や津波など自然災害への対処には気象観測の強化も必要だ。国境の島は元気な方がいい。与那国自身も、国境の島ゆえに広い意味での地域の安全保障を担いたいとアピールするのです」

 自衛隊の部隊配置だけを突出させない効用もあるかもしれない。

 ◆せめて情報活動隊員を

 陸自配備の可能性が不透明になったいま、糸数議員は「ミサイルを置いてほしいとは言わない。せめて1人でも優秀な情報活動のできる人間が要る。そうしないと国境が危ない。いや、島自体もう、つぶさに調べられているかもしれません」と警告する。

 そういえば、隣の宮古島での出来事。何組もの若い男性2人連れが盛んに写真を撮っていた。食堂で彼らと居合わせて何者かが分かった。会話が中国語だったのだ。髪形や体格から「間違いなく人民解放軍」とはこのエピソードを教えてくれた人の解説である。

 国境の島、与那国の自然や、取り巻く東シナ海は美しく穏やかだ。だがこうした海洋の安寧も、中国の存在感の高まりと、日本の防衛の空白とのはざまで薄氷を踏むようなものとなりつつあると危惧(きぐ)せずにはいられない。(千野境子)

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