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許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2009年8月20日 (木)

〈ルース米大使着任〉助言者のオキモト名誉教授に聞く

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〈ルース米大使着任〉助言者のオキモト名誉教授に聞く

2009年8月19日21時40分
自宅書斎でインタビューに応じるダニエル・オキモト・スタンフォード大名誉教授=カリフォルニア州スタンフォード、加藤写す

 19日に着任した米国のルース米駐日大使の友人で、対日政策の助言をしているダニエル・オキモト・スタンフォード大名誉教授に、当面の日米安全保障関係について聞いた。(聞き手=編集委員・加藤洋一)

 ――経済危機が米国の国防政策に与える影響は。

 経済危機の影響で、ポスト・ブレトンウッズ体制は著しく傷ついた。世界規模での金融機関の弱体化と混乱は今後さらに数年間続くだろう。

 米国の強さは、ドルを基軸通貨としたポスト・ブレトンウッズ体制を支配していたことにある。今回の経済危機ではこの基盤が揺らいでしまった。

 世界規模の不況はおそらくすでに底を打った。しかし米国の消費は依然として低迷しているし、企業の投資も削減が続いている。米国経済の回復は「V字形」とはならず、「のこぎりの歯」形で推移するだろう。

 国防予算は刈り込まれることになる。08会計年度の当初計上額で約5500億ドルだった。補正やイラク、アフガン戦争の経費を含めれば、1兆ドルの巨額にのぼる。

 オバマ政権はすでに、ステルス戦闘機F22の生産打ち切りを宣言するなど、予算削減で成果を上げているが、さらにすすめる必要がある。補正などを含めて08年度で国内総生産(GDP)の約7%を占める予算規模を、約5%まで減らす必要がある。

 それによって生まれる予算の余剰を、高速鉄道など建設的なインフラ整備やクリーンテクノロジー、代替エネルギーの開発などに回すことができれば、米国経済は米国の繁栄だけでなく、世界全体の安定につながるような成長軌道に再び戻ることができるだろう。

 ――対応すべき脅威とは。

 世界経済が成長しないまま、貧富の差が今のように拡大すると世界は不安定化する。ソマリアは「失敗国家」の典型的な例だ。無政府状態でテロリストが生まれる温床となっている。アフリカ大陸やユーラシア大陸を絶望的な貧困に陥れてはならない。それは恐るべき不安定を生み出す処方箋(せん)だからだ。

貧困に加えて、新たな安全保障上の問題となるのが環境へのダメージだ。地球温暖化をみれば、洪水、飢饉(ききん)、疫病など世界規模で大きな安全保障問題を引き起こすことが明らかだ。

 米国と日本が、このような新しい安全保障の概念を世界に広める先導役をつとめるべきだ。今回の経済危機はそのための好機を提供している。

 ――オバマ政権とそれをとりまく米国国内政治の現状は。

 オバマ政権は医療保険改革など大きな懸案に取り組もうとしているが、野党共和党との間で激しい党派対立が起きている。このままでは、内政だけなく外交問題をめぐっても成果を上げることが難しくなる。

 共和党がなりふり構わぬ政権攻撃に出ているのは、オバマ大統領がもし一連の改革に成功すれば、(大恐慌を克服した)フランクリン・ルーズベルト大統領の再来とみなされ、民主党支配が長く続く可能性が浮上するからだ。

 一方、もしオバマ政権が医療保険改革に失敗すると、医療関連の支出の拡大で徐々に米国財政は破綻(はたん)するだろう。世界の超大国としての力も大きくそがれることになる。

 ――米中で世界の秩序づくりを主導するという「G2」論議についての見解は。

 中国が、金融、経済、環境など多くの面で、世界を管理・運営するに重要な国家になったという点でオバマ大統領と同意見だ。その意味で、米中両国の協議の拡大、格上げは歓迎すべきだ。しかし同時に日本との協議メカニズムの格上げ、拡大も実行すべきだと思う。日本は世界第2の経済大国だ。国際基軸通貨やクリーン・テクノロジー等限られた分野において、日中及び米中の二国間関係を三国間関係に発展させ、協調を図ることが望まれる。

 米中関係と日米関係はゼロサムだという固定観念に捕らわれてはならない。

――北朝鮮の核問題と6者協議への取り組みは。

 米国は朝鮮半島の核拡散問題にクリントン政権初期から取り組んできた。しかし、06年と09年には北朝鮮が核実験に成功するという後退を経験した。北朝鮮はさらにミサイル能力の向上にも成功している。核関連技術をシリアやミャンマー、さらにおそらくイランとイラクにも売り渡したと見られる。

 核の魔神が瓶から出てしまった。核不拡散条約(NPT)の加盟国である五つの核保有国に加えて、イスラエル、インド、パキスタンが核兵器を手に入れ、今や北朝鮮までが核保有国になってしまった。イランもその方向に進んでいる。シリアもいずれ興味を持つだろう。核不拡散体制は崩壊しつつあると言える。

 オバマ政権はさらなる拡散をなんとか防ごうとしているが、問題は北朝鮮に核を放棄させることができるかだ。私は無理だと思う。北朝鮮にしてみれば、核兵器が唯一、米国を抑止できる手段であり、力の象徴だからだ。実際に戦争になれば、中国からの支援がなければ、北朝鮮のエネルギーはすぐに枯渇するので、核兵器の力に依存せざるをえない。たとえ米国が、安全を保障したり、経済援助を実施したりしても核兵器は手放さないと思う。

 ではどうするか。まず米国が、拡大抑止(「核の傘」)の信頼性維持に努めることだ。

 万が一、北朝鮮が韓国や日本を攻撃したら、米国は必ず北朝鮮に報復しなければならない。そうしないと信頼性は著しく傷ついてしまう。さらに、北朝鮮が先制核攻撃をしかけてくる可能性に備えて、日本が防衛のための何らかのメカニズムを持つことは必要不可欠だ。それがミサイル防衛だ。拡大抑止の信頼を支える重要な要素だと思う。

 核技術や放射性物質がもし拡散したら、北朝鮮の核の脅威は周辺諸国にとどまらなくなる。拡散には拡大抑止も無力だ。阻止するのは極めて難しい。

北朝鮮が、拘束した米国人ジャーナリスト2人を釈放したからといって、米国はすぐに交渉のテーブルにつくべきではない。2カ国で協議するとしても、あくまで6者協議の枠組みの中で行うべきだ。

 米国がイラク問題に集中するあまり、中国に北朝鮮への働きかけをゆだねたのはあまり賢い選択ではなかった。中国とは国益、目的に違いあるからだ。

 6者協議では今後、北朝鮮が内部崩壊した場合に備え、各国がどのような役割を果たすかを、互い理解しておく必要がある。さらに東北アジアで、新しい安全保障枠組みをどうつくるかについても話し合うべきだ。

 ――日本の流動的な政治状況が日米関係に与える影響は。

 今回の衆院総選挙で民主党が単独過半数を取れるのかどうか、あるいは他党との連立を組まなければならないかによって、政策や党としての立場が変わってくる。

 新しい党が政権を握っても、その基盤が確立するまで少なくともあともう1回、総選挙を経なければならないだろう。そして来年の参議院選挙を通じて安定した権力を保持しなければ円満な国会運営が難しい。政権交代が起きても、その後数年は流動的な状況が続く。

 ここ数週間、海兵隊普天間飛行場の移転問題も含めて、日米同盟管理の課題に関する民主党幹部の発言は、どんどん穏健になっている。同党としてスムーズな政権移行を目指しており、同盟管理の課題が他の改革ともつれてしまうことを避けようとしているようだ。
すでに民主党は多くの政策課題を抱えている。特に国内経済を重視し、子育て支援によって国民の支持を得ようとしている。この上さらに日米地位協定の改定にでも手をつければ、「手の広げすぎ」になってしまう恐れがある。民主党は政権についたらまず状況を把握したうえで、オバマ政権と手を組んで今後の二国間関係の「運用パターン」を作れば、民主党にとって実りある成果が得られるだろう。

――日米同盟の現状をどうみていますか。

 日々の運営という意味では満足できる状態にあると思う。しかし、部分的に新たな方向付けが可能だ。まず、安全保障のより広範な概念づくりだ。環境問題や地球温暖化、アフリカ支援など従来、安全保障メカニズムの一部として取り扱われていない課題も統合することが必要だ。貧困と疫病、自然災害などで対立が深まる世界を安定化するためであり、経済回復に向けた強力な力にもなりうる。

 日米両国で率先して行動を起こせば、世界全体に大きな影響を与えることができる。 ――11月に予定されるオバマ大統領の初来日では、何を達成すべきでしょう。

 日本に滞在するのは1日だけと聞いているので、そう多くのことはできない。主な目的は、日本の指導者と国民に自己紹介することだろう。オバマ大統領はどこの国に行っても人々の情熱と期待を沸き立たせることのできるまれなカリスマ性を持っている。日本でもそれを見たい。例えば大統領がクリーンテクノロジーをめぐる2国間の協力ビジョンを提案し、日本国民がそれを支持すれば、新たな協力に道筋がつくだろう。

     ◇

 〈Daniel Okimoto〉 米カリフォルニア州生まれ。ミシガン大で政治学博士号取得。77年にスタンフォード大政治学部教授に就任、07年から名誉教授。ルース氏とは旧知の間柄で、日本の政治、経済、文化など幅広い分野にわたって助言を続けている。67歳。

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