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許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2009年6月11日 (木)

【正論】初代内閣安全保障室長・佐々淳行 防衛費GDP1・5%に増額を

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090611/plc0906110311001-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090611/plc0906110311001-n2.htm
【正論】初代内閣安全保障室長・佐々淳行 防衛費GDP1・5%に増額を
国家使命忘れた党首討論

 麻生太郎、鳩山由紀夫両氏の党首討論は国家の基本使命である治安・防衛・外交を忘れて「友愛」と「西松建設」という不毛の政争に終始し、国民を失望させた。国防上喫緊の重大脅威となった北朝鮮に費やされた時間は46分中わずか2分17秒(朝日)。その間にも北は、改良型テポドンの発射準備や短距離ミサイルの乱射、制裁を審議する国連安保理に対する公然たる恫喝(どうかつ)など軍事瀬戸際外交を展開した。

 果たして金正日総書記は生きているのかと疑いたくなる乱行だが、一方の韓国では盧武鉉前大統領の自殺で政情不安が広がった。一言でいえば、朝鮮半島には暗い戦雲が漂っているのである。

 安保不在の党首討論を終え、解散風が吹く中で、「座して死を待つより(北の)敵基地攻撃を」という出来もしない強硬論がにわかに台頭してきた。「敵基地攻撃も自衛権の範囲内」という政府統一見解は1956年2月、船田中防衛庁長官当時に始まり、その後も連綿として続く。そして去る5月28日、麻生総理が総理として初めて国会答弁したものだ。

 巡航ミサイル「トマホーク」や空中給油機導入という議論になるのだろうが、現行の防衛予算の枠内では実現不可能な画餅(がべい)である。それよりまず実行可能な防衛予算枠の拡大によるハリネズミの防衛策「ミサイル防衛システム(MD)」の緊急整備をはかるのが先決であり、妥当だろう。

「1%枠撤廃」を骨抜きに

 防衛費については、かつて筆者も参加した大平正芳安保研(猪木正道議長)で、「GNP(国民総生産)」比1・5%という提言をした。これは不幸にして大平総理の急死に伴う鈴木善幸内閣の誕生で白紙になった。その後の1986年、中曽根康弘内閣の折、筆者は初代内閣安全保障室長として十数回にわたる安全保障会議の討議に加わった。マスコミあげて賛否両論が渦巻く中、後藤田正晴官房長官裁定で、「三木内閣の『GNP1%枠』はこれを87年度予算には適用しない」との玉虫色の閣議決定で、「3兆5170億円、前年度比5・2%増、GNPの1・004%」と決定された。

 その時の1%枠撤廃論派の目標値は、大平安保研の1・5%だった。当時の安倍晋太郎総務会長は1・999%を、伊東正義政調会長と後藤田官房長官は1%を少し超す程度をそれぞれ主張。宮沢喜一大蔵大臣は1%枠撤廃に強く反対し、言葉の魔術師、竹下登幹事長が「三木内閣の決定はこれを次の予算には適用しない」という名言で締め、妥協が成立した。

 ところがその後、泰平の時代が続き、1%を超えたのは23年間に3回のみ、あとは0・9%台で推移した。さらにバブルの崩壊、世界同時不況と続いて、すっかり経済・財政・金融政策が優勢となった。治安・防衛・外交は後回しになり、政治への無関心が広がる中で大蔵省(現財務省)は、防衛予算を削りに削った。MD予算を従来の防衛費に忍び込ませ、相対的な軍縮をはかる。いつの間にかGNPという概念そのものが「GDP(国内総生産)」にすり替えられた。PAC3(改良型パトリオット)は命中しない、陸上自衛隊は不用といった財政均衡論が支配的となってしまっていた。

 あのGNP1%論争と、1%枠撤廃は一体どうなったのか。安保会議も閣議決定も国民への説明のないまま、「GNP1%」という基準はなくなり、国内総生産を意味した「GDP」に変わる。しかも2008年度0・9%、09年度0・92%と、1%枠撤廃を財務省はなし崩しに骨抜きにしてしまった。本年度の1~3月期のGDPは15・2%減と戦後最悪の下落だから、防衛予算もそれだけ目減りする。「敵基地攻撃論」はおろか北の直接的脅威から日本を守ることさえ出来なくなるだろう。

 

財務省の軍縮政策の誤り

 ここに財務省の軍縮政策の典型的な実例がある。ノドンの脅威に備え防衛庁(現防衛省)が05年度予算に航空自衛隊の6個高射群のうち、せめて首都防衛4個中隊16基48発のPAC3の整備を求めたところ、当時の防衛担当主計官、片山さつき氏(現衆議院議員)は「平和な今日、一体どこの国が日本を攻めるのか」と防衛庁を叱責(しっせき)し、要求の75%を削った。省の方針だろうが、その結果、MD予算は1個中隊4基12発となり、現場配備も06年度末に遅れた。果たせるかな、06年7月5日、北は7発のミサイルを発射、10月9日には核実験を敢行したのである。

 来年度予算の概算要求は始まっている。8月まで「友愛」VS「西松」で不毛な政争をしている場合ではない。4月21日付本欄で筆者は昭和32年の「国防の基本方針」を撤廃し、自主防衛とMD防衛、そして国際貢献を謳(うた)う「新・国防の基本方針」決定を促した。今回は、「自分の国は自分で守る」信念で、防衛予算の緊急増額を安保会議にはかり、早急に閣議決定して概算要求に盛り込み、防衛費枠を「GDP1・5%」とすることを提言する。(さっさ あつゆき)

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