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2009年6月19日 (金)

【正論】平和・安全保障研究所理事長・西原正 非核三原則の一部緩和が必要

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090619/plc0906190306005-n1.htm
【正論】平和・安全保障研究所理事長・西原正 非核三原則の一部緩和が必要

≪国連決議の実効性に疑問≫

 北朝鮮が強行した5月の2回目の核実験に対する国連安全保障理事会の制裁決議がようやく成立した。今回の決議は、2006年10月の核実験後の安保理決議1718よりも北朝鮮には厳しいものになった。しかし、肝心の中国が3週間もかけて決議内容を薄めるのに懸命になったことを見れば、再び、その実効性が疑われる。

 決議によると、北朝鮮を出入りする船舶貨物の検査は、加盟国の領海内でも公海上でも、「禁輸貨物を運んでいると信じるに足るもっともな理由を示す情報」を持っていることが条件になった。従って、そういう情報がなかったということにして、検査を怠けることができる。

 また、「人道、開発目的以外の新規融資、開発援助は禁止する」とある。これは中国のこれまでの融資や援助は認められることを意味する。しかも、人道、開発を広義に解釈すれば、中国は北への新規融資、援助も可能となり、結局、これまで通りの経済支援を継続することができてしまう。

 加えて、北朝鮮が突然、態度を変えて6カ国協議への復帰表明でもすれば、これらの制裁措置が2006年の時のようにうやむやになるかもしれない。

 ≪禁輸検査に早期の参加を≫

 こうした状況下では、日本、米国、韓国などが国連決議と並行して、独自の制裁措置をとり、相互に連携して制裁の実効性を高める必要がある。幸い、李明博政権下の韓国は、すでに北に対して厳しい経済制裁を科しており、日本もいくつかの制裁措置を追加している。オバマ米政権も、独自の金融制裁措置やテロ支援国家の再指定を検討しているようだ。これらの相乗的効果に期待したい。

 そのうえで日本は国連決議を踏まえ、米韓との緊密な連携を図りながら、日本海や東シナ海での貨物の検査に参加する姿勢を一刻も早く表明すべきである。安保理に諮った日米の決議草案は、公海上での強制的な貨物検査を求めていた。それより抑制された決議が採択されたのに、「実は、日本は参加できません」では国際社会の失笑を買うだけである。

 麻生政権は、公海上での船舶検査を可能にする新しい特別措置法を今国会で成立させる方針のようである。これは歓迎するが、新法の可決までには時間がかかる。場合によっては時間切れで成立しない可能性もある。その場合は、新法が成立するまでの間、公海上での貨物検査は米軍などに任せざるを得ない。しかし万一、疑惑船舶が米軍などの検査を拒否した場合どうするか。筆者は、船舶の帰属国(旗国)が問題の船を日本の領海内に移動させるのを待って、海上保安庁が連携して検査任務を果たすべきだと考える。

 北を出入りする船舶(軍艦を含む)の検査となると、北側との小競り合いや日本の港湾に入ってからの自爆の可能性なども想定する必要がある。公海上での小競り合いは、他の地域での武力衝突を誘引するかもしれない。ノドンミサイルによる攻撃など不測の事態を考えて、日米の共同対処手順を決めておくことが重要である。

 自民党の国防部会では、日本の敵基地攻撃能力の保有を提言しているとのことである。ところが敵のミサイル基地を攻撃することで武力紛争が拡大した場合に、どう対応するのかがはっきりしない。そうした敵側への攻撃能力を検討しておくことは重要だとしても、より緊急に必要なのは、自衛隊と米軍との共同作戦の策定と指揮権の調整である。

 また米国の核抑止力の効果を高めるために、日本が非核三原則の一部を修正し、米国の核ミサイル搭載艦の日本寄港を容認することも真剣に検討すべきである。北朝鮮の行動を抑止するのは国連決議だけでは不十分である。

 ≪体制変革で拉致問題解決を≫

 北朝鮮の最近の動き、核実験やミサイル発射、南北境界付近にある近海諸島での軍事活動、休戦ライン否認宣言などは異常だ。今回の国連決議に反発して、すでにウラン濃縮作業に着手すると宣言しているが、北朝鮮のこうした恫喝(どうかつ)はむしろ、その体制の脆弱(ぜいじゃく)さの裏返しと見るべきである。強がりを見せることで、今後の6カ国協議への復帰や国連制裁解除などへの交渉条件にしようとしているのではないだろうか。

 日米韓などはこれらの恫喝にひるむことなく、制裁の目標を北朝鮮の核政策の変更だけでなく、一段高いレベルの体制の変革に据えるべきである。拉致問題も体制変革を通してこそ解決の見通しが立ってくる。

 金正日体制を支えるエリート層(金総書記一族、党、政府、軍幹部など)の経済的疲弊や軍隊の弱体化によって士気の低下を強いることが体制変革につながる。米国の金融制裁再開や日本からの送金禁止、武器取引のチェックなどはその士気の低下に効果があるだろう。そうした体制の危機に直面したとき、金正日政権は外部との妥協(例えば、核実験停止、核放棄など)を求めてくるのではないだろうか。(にしはら まさし)

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