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2009年2月 2日 (月)

朝雲:どう取り組む 海賊対策<下>/司令部組織は不在 ソマリア沖 各国の思惑まちまち

http://www.asagumo-news.com/news.html

どう取り組む 海賊対策<下>/司令部組織は不在 ソマリア沖 各国の思惑まちまち

SH60哨戒ヘリから“不審船”への移乗を訓練する海自特別警備隊員。臨検に対処できる唯一の部隊だが…

 ソマリア沖では現在、欧米を中心に印、中、豪、湾岸諸国、東南アジアなど世界各国の艦艇が海賊取り締まりや船舶護衛に従事しているが、これら各国の連携はどうなっているのだろうか。後から加わる海自部隊は、先発各国とどのように連携していくのだろうか。
 「表向き各国は共同で海賊対策に当たっているように見えるが、実際はバラバラに行動しており、今のところどこにも“総合調整所”といった司令部組織は整備されていない」と話すのは、海洋政策研究財団で調査役として対海賊戦をモニターしている上野英詞氏(元防衛研究所主任研究官)。
 「各国は独自に情報・通信系統を保持しており、海自は事前に関係国としっかり調整してから行かないと、最悪の場合、情報をもらえず現地で孤立してしまう恐れがある」という。
 現地で各国艦艇がソマリアの領海を含む海域で自由に軍事行動が行えるのは、国連の「海賊行為及び武装強盗を制圧するために必要なあらゆる措置」の行使を認めた安保理決議(1816、1838号)に拠る。これを受けて各国から多数の艦艇が現地入りした。
 米同時多発テロ以降、ソマリア沖で対テロ作戦を展開していた米第5艦隊と有志連合による合同任務部隊(CTF150)は、昨年8月、米中央軍がアデン湾に「海洋安全哨戒海域」を設定したのを受けて同シーレーンの哨戒を開始。海自派遣補給部隊も洋上給油支援を通じこれら艦艇への任務に間接的に関与している。
 一方、国連の要請を受けて欧州から派遣されたEU(欧州連合)、NATO(北大西洋条約機構)艦艇は、主にソマリアへの人道支援物資を運ぶ船舶護衛に従事。EUは護衛チームを船舶に同乗させる「近接支援システム」を導入して海賊の急襲に対処。部隊は仏軍駐留のジブチに拠点を置き、哨戒機を使った空からの監視も行っている。
 これに対し、露、中、印、イランなどは単独行動を取る。露はバルチック、バルト両艦隊から海兵隊員と特殊部隊を乗せた艦艇2隻を派遣。目的は「ロシア人の生命保護と海運の安全確保」だ。海軍艦艇が域外で初の海上作戦を行うという中国は、海南島・三亜基地から補給艦を含む艦艇3隻を派遣。目的は「中国船舶と乗組員、人道支援物資輸送船舶の護衛」を掲げている。
 インド洋の“盟主”を自認するインドは、世界から次々到着する各国海軍に対抗するかのように海賊の取り締まりを強化。昨年11月には海賊が乗っ取ったタイの漁船と交戦し、相手船を主砲で撃沈するといった“海戦”も演じている。
 現地にはこのほか、南ア、パキスタン、サウジアラビア、マレーシア、ニュージーランドなども艦艇を派遣、ここに日本や韓国が加わることになる。
 日本政府は現在、韓国政府と現地で両国部隊が情報交換や相互支援ができるよう調整に入っているとされるが、これが実現すれば日韓初の共同海上作戦も実現する。
 「現地ではいかに早く正確な情報を入手するかが課題。海自は日米同盟も最大限に活用し、米軍などと情報共有しながら的確かつ安全に行動できる態勢を整えることが重要」と上野氏は強調する。
 だが、現地には各国部隊を統括する組織がないだけでなく、米、露、中、印などは相手の行動を牽制し合うような一面も見せる。情報収集能力が高い欧米は独自の通信ネットワークを展開、部隊間でリアルタイムでの情報交換が可能だが、域外部隊はもちろんこれに加入できない。このため露、中、印などは限られた情報の下で行動せざるを得ない。
 さらに、各国は「海賊対策」を名目としながら自国の国益のためにも行動している。米国は、各国艦艇がソマリア沖に展開したことによる海賊監視の強化で、テロリストの移動や武器・麻薬等の密輸がより困難になること、また、域内の情報を握ることでリーダー的な役割が担える。
 国際発言力の強化を目指すEUは、積極的なソマリア支援を通じアフリカへのEUの貢献を大きくPR。各国記者を艦艇に乗せ、ジャーナリズムを通じ世界平和へのEUの貢献を積極的に広報している。
 露・中両国は、米第5艦隊の独壇場だった中東、東アフリカに完全装備の艦艇を堂々と派遣できる大義名分を得た。これら艦艇が補給や休養のため沿岸諸国に寄港すれば、自国の存在を誇示することができ、国が進める貿易拡大や資源調達を後押しすることができる。
 さらにライバル関係にある国々は、相手を牽制するような行動も取る。
 「インドは、中国艦がもし(仮想敵国の)パキスタンに寄港したりすれば、中・パの隠された意図を察して警戒感を高めるだろう。中国はこの機会を逃さず、派遣艦艇を使って自国を中東、アフリカ諸国に大いにアピールするはずだ。中国はインド洋に浮かぶ(要衝の)セイシェルにも援助資金をつぎ込んでいるので、艦隊が寄港する可能性も高い」と上野氏は分析する。
 「今後、海賊対策が長引けば中国艦隊は部隊交代で(東南アジアの要衝)マラッカ海峡を頻繁に往復することになる。ASEAN各国も徐々に中国海軍の圧力を感じ始める。それが近い将来、日米にどのような影響を及ぼすか。日本政府はそうした各国の動向も考慮に入れて対処する必要がある」(同)。

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