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許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2009年1月 1日 (木)

各紙社説:朝日、東京、毎日、読売

http://www.asahi.com/paper/editorial.html
混迷の中で考える―人間主役に大きな絵を

 何という年明けだろう。

 100日余り前に米国の繁栄の象徴ウォール街を襲った激震は、同じニューヨークの世界貿易センタービルを崩落させた9・11テロをしのぐ破壊力で、地球を揺さぶり続ける。

 お金の流れが滞って、消費も投資も貿易も縮む。経験したことのない経済の急降下。主要国の株は半値になった。先行きへの心配が企業や消費者の心理を凍らせ、デフレ不況へのおののきが世界に広がる。

■市場の失敗の大きさ

 だが、ここはあわてずに深呼吸してみよう。この危機の意味を考え、それを次の時代への手がかりにできれば、不況を乗り越える力ともなる。

 人々を豊かにするはずの自由な市場が、ときにひどい災禍をもたらす。資本主義が本来もっているそうした不安定性が、金融規制を極限まで緩めたブッシュ政権の米国で暴発し、グローバル化した世界を瞬く間に巻き込んだ。それがこの危機だ。

 今年は、ベルリンの壁とともに東西の冷戦秩序が消滅してから20年になる。地球は一つの市場となり、お金、モノ、そしてITによる情報の流れが豊かさと便利さをもたらした。

 このグローバル化を牽引(けんいん)したのが米国だ。株主や投資家の利益を何より重視する。働く人の暮らしや企業の責任よりも、お金を生み出す効率を優先する。1970年代からレーガン革命を貫いて今日に至る「新自由主義」の考え方に支えられた市場のあり方は、世界にも広がった。

 それが行き着くところまで行っての大破局だ。気づいてみれば膨大な数の米国民が仕事や家を失い、社会の格差は広がり、国の象徴だった自動車をはじめ、製造業は見る影もない。

 人間や社会の調和よりも、利益をかせぎ出す市場そのものを大事にするシステムの一つの帰結である。

■格差と貧困の広がり

 この間、日本では何が起きたか。

 バブル崩壊後の不況脱出をめざし、米国流の市場原理を重視した規制緩和が本格化してほぼ10年。小泉構造改革がそれを加速した。その結果、古い日本型の経済社会の構造がそれなりに効率化され、戦後最長の好景気と史上最高水準の企業収益が実現した。

 だが、同時に現れたのは思いもしなかった現実だ。声高な自己責任論にあおられるように貧富の差が拡大し、働いてもまともな暮らしができないワーキングプアが急速に広がった。労働市場の規制緩和で、非正規労働者が働く人の実に3割にまで膨れ上がり、年収200万円に満たない人が1千万人を超えてしまった。

 かつて日本社会の安定を支えた分厚い中間層はもはやない。

 しかも、財政再建の下で雇用保険をはじめ、医療や公的扶助といった「安全網」は細るばかり。いったん貧困の罠(わな)にはまると抜け出せない。それがありふれた現実になった。そこを今度の危機が直撃した。

 こうした現実はしっかりと直視しなければならない。楽観は禁物である。しかし、いたずらに悲観論に陥ることも未来を見る目を曇らせる。

 「100年に1度の津波」。グリーンスパン前米連邦準備制度理事会議長の言葉を多くの人が引用する。だが、たじろぐ必要はない。なぜなら、私たちの国は過去1世紀半近い間に、それこそ国がひっくり返る危機に2度も直面し、克服してきたからだ。

 「一身にして二生を経るが如(ごと)し」と言ったのは、封建の徳川の世と、明治の文明開化とを生きた福沢諭吉だった。軍国主義の帝国日本が滅び、民主主義の新生日本を築いたのは、わずか60年余り前のことである。いずれの場合も、私たちは大規模な変革を通して危機を乗り越えた。

■たくましい政治が要る

 いま直面しているのは、世界的な金融システムの行き詰まりと、様々な矛盾を抱えて立ち往生している国内の経済財政システムの行き詰まりとが重なった、複合的な危機だ。その克服は、もういちど日本を作り直すくらいの大仕事になる。しかも、黒船や敗戦といった外からの力によることなく、みずから知恵と力で、この荷を背負わなければならない。

 国民が望んでいるのは、小手先の雇用や景気対策を超えた大胆なビジョンと、それを実行する政治の力だ。

 ひたすら成長優先できた時代がとうに終わり、価値観が大きく変化するなかで、どんな国をつくっていくか。それは「環境大国」でも「教育大国」でも「福祉大国」でもありうるだろう。将来を見すえた国づくりに集中して資源を投下し、雇用も創出する。そうしたたくましい政治が要るのだ。

 世界の秩序も、これまでの米国一極支配が終わり、中国やインドを含む「多頭世界」が現れつつある。経済危機に対処し、地球環境を守るための国際連携がますます重要になる。政治はおちおちとしていられない。

 米国民は、市場原理主義と金融バブルで生じたゆがみを是正する役目をオバマ次期大統領に託し、彼と肩を組んで危機を乗り越えようとしている。

 日本でも、今年の総選挙がそうした場になるだろうか。冷戦後の20年間、バブルの絶頂からこの不穏な年明けまで翻弄(ほんろう)され続けた日本。有権者の視線はかつてなく厳しいはずだ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2009010102000086.html
【社説】
年のはじめに考える 人間社会を再構築しよう

2009年1月1日

 世界大不況の危機克服が最大テーマの年明けです。この百年に一度の歴史からの挑戦に叡智(えいち)を結集しなければなりません。未来世代のためにも。

 進展するグローバル経済の市場原理主義と競争社会に傷つき倒れる人が続出したということがあります。私たちが社説で訴えてきたのは人間中心の社会でした。

 年のはじめの社説も二〇〇七年が「新しい人間中心主義」、〇八年が「反貧困に希望が見える」。貧困問題に取り組む社会活動家たちへのエールでしたが、事態の悪化は想定を超えるテンポでした。
◆奈落への渦巻き現象

 いつの間にか全労働者の三分の一の千七百万人が非正規雇用、年収二百万円以下の働く貧困層が一千万人。若い世代から「結婚もできない」の悲鳴が聞こえます。

 雇用情勢も底抜けしたような不気味さです。厚生労働省の昨年暮れの調査では、ことし三月までに非正規労働の八万五千人が失職か失職見込み。わずか一カ月前の調査に比べ五万五千人も増えて、歯止めがかかりません。

 かつては失職者を受け入れ癒やした家族や地域コミュニティーも今はその機能をもちません。余剰人員を抱えて頑張った企業も人員削減は加速させます。巨額な内部留保を積み増しながらです。生活に不安とおびえがあってはさすがの千五百兆円の個人資産も動きようがありません。

 日本は奈落への渦巻きに落ち込んでしまったのでしょうか。将来不安の貯蓄-消費冷え込み-企業業績悪化-さらなる雇用削減、これでは世界が壊れます。

 もちろん絶望は愚者の結論。どんな難問にも解決の糸口はあるはずで、財政学の立場から日本の未来について提言しているのは神野直彦東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授。著書の「『希望の島』への改革」(NHKブックス)ではモデルケースのスウェーデンの実践を紹介しています。
◆希望は協力社会から

 神野教授によると、現在は重化学工業の時代が終わり、情報・知識産業を基軸にした二十一世紀の新しい時代が始まろうとしている産業構造の大変革期。混迷と混乱の世紀転換期でもあり、この「歴史の峠」は競争社会では越えられず、協力社会を築くことでやっと切り開けるのだと主張します。

 希望の協力社会とは、利他的行為が結局は自己の利益になるという協力の原理と思想が埋め込まれた社会。教授は財政再建と景気回復の課題に挑み「ストロングウェルフェア(強力福祉)」を実現したスウェーデンに日本の未来を重ねます。人間の絆(きずな)、愛情、思いやり、連帯感、相互理解が重んじられ生きている社会です。

 激烈競争のグローバル世界に高福祉高負担国家が可能なのか-この疑問には藤井威元駐スウェーデン大使が中央公論一月号の論文「スウェーデン型社会という解答」で、わが国の一般的な受けとめ方には全く根拠がなく、適度な高負担を伴う高福祉システムの実現こそ最も望ましいと考えるに至った理由を詳述しています。

 スウェーデン国民の税・社会保険負担は所得の七割にのぼりますが、民主化された地方自治体が提供する親切安心充実の育児、教育、介護サービスは負担の重さを感じさせないようです。国民の需要は、教師、介護士、保育士などの新たな雇用創出となり、失業や景気対策、地方間格差解消とさまざまな効果で国を元気づけているようです。

 日本はどんな社会をめざすべきか。宗教や歴史、政府への信頼の度合いもあるでしょうがスウェーデン型は検討に値します。日本もまた結いの心や惻隠(そくいん)の情、相互扶助の文化と歴史の国だからです。

 〇六年七月、OECD(経済協力開発機構)は、日本が異様な格差社会で、母子家庭で悲惨さは先進国中最悪などと指摘します。企業が日本型経営を捨てた後、政府の小さな所得再配分機能だけが残った結果でした。

 人間社会は弱者が救われるだけにとどまらず、ふつうの人々が安心し恩恵を受ける社会でなければなりません。人間が部品扱いされる労働システムや法は変えられるべきですし、女性が安心して出産し働ける育児サービスや教育、団塊の世代のための介護など高齢福祉の充実も当然で、貧困問題などあってはならないことです。
◆監視と参加が変える

 危機の時代に臨んで米国民は初の黒人大統領を選出、今月誕生の新大統領は五百万人の雇用創出の資源エネルギー革命構想を打ち出しています。

 「人間社会」の再構築は急務でわれわれも一歩を踏み出すべきです。そのためにはどんな社会をめざすのか、政治に何を求めるのか意思表示と政治への監視と参加がいります。

http://mainichi.jp/select/opinion/
社説:日本版「緑のニューディール」を

 年は明けたが、世界不況のまっただなかである。年賀を言うのもはばかられるような、厳しい正月だ。

 問題は経済だ。単刀直入に言って、ここは政府の出番である。

 民間調査機関の予測を平均すると、2年連続でマイナス1%成長だという。戦後の不況で最もきついものとなる。日本は500兆円経済だから、つまりは2年で10兆円の経済縮小だ。

 赤字国債の累増は問題だが、いま政府が出なければ不況の深化は避けられず、財政再建にも悪影響をおよぼす。必要な財政出動をためらってはならない。

 問題は何が「必要」なのかということだ。旧来型の公共事業に予算をばらまくのでは知的怠慢だ。
 ◇新モデルを求める

 これから需要の増加が見込める成長分野に集中投資すべきなのは当然だ。高齢社会に対応した医療、介護、高齢者ケア、そして教育である。実際、米国で雇用が増加しているのはこうした分野だ。

 だが、今後数十年にわたる「国のかたち」を考えれば、環境投資の比重が限りなく重い。

 時代は大きく転換しようとしている。米国発の世界不況が明らかにしたのは、実は資源・エネルギーの大量消費を前提とする成長モデルの破綻(はたん)である。世界はそれに代わる新しい成長モデルを求めている。

 米国のオバマ次期大統領は環境投資をパッケージにした「グリーン・ニューディール」をオバマノミクス(オバマ大統領の経済政策)の柱のひとつとする考えという。大恐慌からの脱却をめざしてフランクリン・ルーズベルト大統領が打ち出したニューディール政策の環境版である。

 10年で中東石油への依存を断ち切るために総額1500億ドルを投資、再生可能エネルギーの開発・普及を推進する。これによって500万人の新規雇用を見込むという。

 李(イ)明博(ミョンバク)韓国大統領もまた「グリーン・グロース(環境成長)」戦略を打ち出した。エネルギー効率を飛躍的に高めることで、持続的な成長を確保する。李大統領は「グリーン成長はその道を歩むか歩まないかの問題ではなく、必ず進むべき道である」とその時代的意味を語っている。

 私たちは日本もまた、日本版の「緑のニューディール」に踏み出すべきだと考える。それも、各国を上回る大胆さで。

 政府資金を環境に集中投資して需要不足を穴埋めし、中長期的に環境産業と環境技術が日本の成長を先導する経済・社会システムをめざすべきだ。

 簡単な話ではないが、李大統領が言うように、そうせざるをえないのである。気候変動対策に必要なのはいうまでもない。しかし、燃費世界一の日本の自動車産業が世界を席巻したように、「グリーン化」の度合いが競争力に直結し、繁栄と安定を決定する時代になったからでもある。

 石油など化石燃料に依存する成長は長期的に持続不可能だ。化石燃料の消費と経済成長をできるだけ切り離す必要がある。

 ここでは、実用段階の太陽光発電と次世代自動車を飛躍的に普及させることを提案しておきたい。

 政府は太陽光発電世界一の座をドイツから奪還するため、設置補助を再開したが、物足りない。この際、2兆円の定額給付金を中止しそれを太陽光発電に回したらどうか。学校には全国くまなく設置しよう。

 太陽光発電の余剰電力を現状より高く電力会社が買い取り、10年程度でモトがとれる制度にしたい。電力会社は電力の安定供給のために新たな負担が生じるが、国が一定期間、一定額を補助してもよい。

 自動車はすべての公用車をハイブリッドや電気自動車に置き換える。電気自動車の充電施設を全国に設置する必要もあるだろう。

 環境省の分析では排ガス規制で自動車メーカーには「費用」が発生したが、それは排ガス機器メーカーの「需要」であり経済全体への悪影響はなく、日本車の競争力強化をもたらしたと結論している。環境投資を軸とする経済成長は可能なのであり、その図柄をどう描くかの国際競争が始まっている。
 ◇潜在力を引き出す

 いま、世界の目は米国のオバマ次期大統領が、20日の就任式で何をいうかに向けられている。「われわれは米国を変えることができる」という力強いメッセージで当選した若い黒人大統領。ワシントンはすさまじい熱気という。

 80兆円規模ともいわれるオバマ次期大統領の空前の景気刺激策で、米国と世界が不況脱出のきっかけをつかめるか予断を許さない。しかし、そのリーダーシップは強烈な磁場で米国人を引き付け、潜在力を引き出そうとしている。

 日本には資金もあれば知恵もある。しかし、政治が明快なビジョンと強いリーダーシップを欠いている。年頭に当たって、改めて早期に衆院を解散し総選挙を行うよう求めたい。新たな民意を得た政権が、日本版「緑のニューディール」に丈高く取り組むことを切望する。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090101-OYT1T00010.htm
急変する世界 危機に欠かせぬ機動的対応、政治の態勢立て直しを(1月1日付・読売社説)

 ◆新自由主義の崩落◆

 新自由主義・市場原理主義の象徴だった米国型金融ビジネスモデルの崩落が、世界を揺るがせている。

 急激な信用収縮は、実体経済にも打撃を与え、世界は同時不況の様相を深めつつある。

 「100年に1度の危機」とさえ言われ、1929年に始まった「世界大恐慌」が想起されたりもしている。

 だが、もちろん、現在の世界は、80年前とは大きく異なる。

 先進諸国は、歴史的教訓を踏まえて、さまざまな政策手法を積み重ねてきた。危機発生後、直ちに協調利下げを実施したのを始め、その後もさらなる金利の引き下げや、通貨供給量を増やすための量的緩和および公的資金の注入、財政出動などを進めている。

 日本は世界第2位の外貨準備から国際通貨基金(IMF)に10兆円を拠出し、新興・途上国支援に充てる方針だ。外貨準備高世界一の中国などにも協調を促して、IMFの機能拡充への外交努力を強めるべきだろう。

 ただし、足元の日本経済自体も、揺らいでいる。

 世界金融危機の発生当初は、日本の傷は世界で最も浅いとの、楽観論、強気論もあった。

 ところが、戦後最長とされる景気拡大を牽引(けんいん)してきた外需・輸出が、にわかに変調を来した。

 「トヨタショック」といわれた自動車業界を始め、輸出関連業界の急速な業績悪化を引き金に、雇用、企業倒産、消費動向など、様々な経済指標が、日々、急速に悪化している。

 ◆内需拡大に知恵絞れ◆

 世界経済の混迷は、数年間は続くという見方が多い。早急に、新たな商品の開発、新市場開拓などによる輸出戦略の立て直しに取り組まなくてはならない。

 景気の底割れを防ぐため、内需拡大を急ぐ必要がある。ただ、少子高齢化、人口減少が進行する中で、従来通りの公共事業を中心とする手法では限界がある。財政事情も厳しい。

 日本の強みは、減少したとはいえ、まだ1467兆円もの個人金融資産があることだ。

 このうち、150兆円から170兆円が平均的な個人のライフサイクルから見て「余剰貯蓄」といえるとの、総合研究開発機構(NIRA)による試算もある。

 また日銀は、いわゆるタンス預金だけでも30兆円、投資や利殖より安全を志向する当座・普通預貯金としてほぼ眠っている資金が、120兆円あると見ている。

 こうした“眠れる資金”を掘り起こして活用することは、重要な政策課題だ。

 内需拡大に向け、社会保障や、雇用対策などを中心とする景気振興に使途を限定すれば、国民も納得するに違いない。

 できれば超党派で知恵を絞るべき課題である。

 ◆日米同盟の維持が重要◆

 世界経済が混迷する中でも、日本の国際社会への関与、協力の在り方は、引き続き、見直しを迫られよう。

 当面は、対外関与の軸足をアフガニスタンに置くとするオバマ米次期政権が、日本にもアフガン本土の治安回復活動への自衛隊参加を求めてきた場合にどう応えるか、という問題がある。

 これに対し、過去の惰性で、憲法問題など国内政治事情を名目に協力を断れば、米国にとっての日米同盟の優先順位が低下していくことになるだろう。

 日本は、たとえば、北朝鮮の核開発問題にしても、日米同盟関係抜きに、単独で解決することはできない。

 急速に軍備増強を進める中国との関係を考える場合にも、緊密な日米同盟の継続が前提となる。だが、米国にとっても、軍事大国化、経済大国化する中国との関係は、ますます重要になっている。

 国連が各国に求めているソマリア沖の海賊対策に中国も軍艦を派遣するのに、日本関係船舶が多数通航するにもかかわらず明確な方針を打ち出せないでいる日本を、米国はどう見るか。

 米国にとっての日米同盟の優先度を、高い水準に維持するためには、日本が信頼できる同盟国だと思わせるだけの能動的な外交・安全保障戦略で応えていかなくてはならない。

 しかし、現実には、その責任を担うはずの政治は、事実上、“空白”状態に近い。

 衆参ねじれ国会の下、麻生政権は、民主党の政局至上主義的な駆け引きに揺さぶられ、緊要な内外政策の決定・実行ができなくなっている。

 景気対策に必要な第2次補正予算案も、関連法案の成立がいつになるか不明で、早急には実施できそうにない。

 まして、2009年度予算案をいつ実行に移せるようになるかは、見通しがつかない状況だ。

 与野党が国内政局次元の争いに明け暮れていては、日本は国際競争から落伍(らくご)しかねない。

 ◆「党益より国益」を◆

 9月の衆院議員任期切れまでには確実に総選挙があるが、党益より国益、政局より政策を優先し、できるだけ早く“政治空白”を解消して、政治の機動性を回復しなくてはならない。

 しかし、次回総選挙では、自民党、民主党とも、単独過半数を獲得するのは難しいとみられている。すでに、与野党を通じ、そうした選挙結果を想定した政界再編、連立絡みの動きもある。

 結果として、それがいかなる形の政権になるにせよ、肝要なのは、世界の先行きについての中長期的展望を踏まえた政策を、迅速かつ強力に推進できる政治態勢であることだ。

 政治家も、国民も、世界と日本が険しい難所に差し掛かっているのだということを、常に心しておきたい。
(2009年1月1日00時27分  読売新聞)

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