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許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2008年11月26日 (水)

田母神前空幕長論文 小池・加茂市長に聞く

朝日新聞の新潟版である。
http://mytown.asahi.com/niigata/news.php?k_id=16000000811140004
田母神前空幕長論文 小池・加茂市長に聞く

2008年11月14日

小池清彦・加茂市長

 「我が国が侵略国家だったなどというのは濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)だ」。航空自衛隊トップの田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長が日本の侵略行為を正当化する論文を発表して、2週間。空幕長更迭、参院への参考人招致を経ても、問題の波紋は広がる一方だ。かつて防衛庁幹部を務め、自衛隊の海外派兵に反対の姿勢を貫いた小池清彦・加茂市長(71)は「いつか来た道をたどって悔やんでも、後の祭り」。そう警告する。(構成・渋谷正章)

   ◇

 私は防衛庁在職時代、内部部局(いわゆる内局)にいた。制服組とはずっと仲がよかったが、今回の「事件」は別だ。言うべきことは言わないといけない。

 ●「戦後教育による『侵略国家』の呪縛が、自衛隊の士気を低下させた」(3日の会見で前空幕長)

 少し前まで、大東亜戦争の苦い経験から、戦後は「軍人は政治に関与せず」ということが国の鉄則だった。軍人が政治にかかわり、戦争の惨禍を招いた反省に基づくものだ。

 ところが、田母神氏は今や堂々と侵略を正当化し、「自分の国をいい国と言って何が悪い」と開き直る。軍部が暴走し、実質的に統治権を握った戦前の日本の行為を正しいと言っている。彼が言う「いい国」とは「軍国主義時代の日本」のことだ。

 ●「一言も反論できないようでは、北朝鮮と同じ」(3日の会見で前空幕長)

 言論の自由も曲解している。一般の公務員と同様に、自衛官は政治的行為を制限され、日本国憲法の順守義務を厳しく課せられている。彼も入隊時、大きな声で宣誓したはずだ。憲法改正を唱えるというのは誓約違反だ。

 海上自衛隊での暴力事件も、田母神氏の事件と根は同じだ。元々自衛隊の中では暴力は厳しく禁じられていたが、旧軍のあしき伝統がよみがえり、はびこり始めた。

   ◇

〈小泉・安部氏も同罪だ〉

 田母神氏のような人物が統幕学校長時代には軍国時代を肯定したり、憲法問題を採り上げたりする講座をつくり、空幕長まで上り詰めた。これらすべての背景には、小泉、安倍の元首相と2人に任命された防衛庁長官の存在があるのではないか。

 首相時代、小泉氏は憲法改正を目指し、安倍氏は戦後レジームからの脱却を図った。戦後レジームとは民主主義、平和主義、地方分権のことで、これを否定する動きだった。これが田母神氏のような自衛官を甘やかす空気をつくった。田母神氏と彼らは同罪だ。

 ●「悪い国だ、悪い国だと言っていては、自衛隊の士気も崩れる」(11日の参考人招致で前空幕長)

 民主主義社会においては、軍人がこの世で最高の職業で、「我々に誇りを持たせろ。誇りがなければ戦えない」という考えの人は軍人になってはいけない。

 米軍はそんな跳ね上がった考えを持たなくても精強な軍隊をつくっている。「よき軍人はよき市民でなければならない」との考えで強い軍隊をつくっているではないか。

   ◇

〈内局の権限を奪うな〉

 田母神氏を更迭すれば問題は終わりではない。

 今年7月、防衛省改革会議が出した報告書は危険極まりない。作戦運用について、防衛相の命を受け統合幕僚長の下で実施するとある。大臣だけで制服自衛官を抑えきれるのか。戦前は、国会で議員が軍人に「黙れ」と怒鳴りつけられたが、そのうち、軍人に大臣が怒鳴られ、言いなりになってしまいかねない。

 ●「日本では自衛官の一挙手一投足まで統制する。これ以上やると、自衛官が動けなくなる」
(11日の参考人招致で前空幕長)

 

私の経験上、政治家を尊敬している制服自衛官幹部はあまりいない。他方、今の政治家は国会と大臣だけでシビリアンコントロールをしようとしている。戦前、軍部をコントロールできなかったからこそ、戦後の自衛隊には内部部局ができた。報告書はその権限を奪おうとしている。絶対に許してはいけない。

 国民の間には、田母神氏の主張に賛同する声がないとは言えないかもしれない。それは戦争の悲劇を知らない人が大多数となったからだろう。いつか来た道をたどって悔やんでも、後の祭りだ。断言する。3年あれば、本当にかつての軍国主義日本に戻ってしまう。

   ◆◆◆

《前空幕長「論文」問題》

 10月31日、ホテルチェーンなどを展開するアパグループがホームページで「真の近現代史観」懸賞論文の最優秀作品(賞金300万円)を発表。「我が国は蒋介石に日中戦争に引き込まれた被害者」「多くのアジア諸国が大東亜戦争を評価している」などとする田母神俊雄・航空幕僚長(当時)の論文が選ばれ、浜田防衛相は同日、「政府見解と違い、空幕長としてふさわしくない」と更迭を決めた。

 田母神・前空幕長は11月3日、「日本は侵略国家ではない。自虐史観から解放されるべきだ」などと改めて会見で持論を展開し、謝罪しなかった。この日、防衛省は同氏に事情聴取したが、辞職の考えがなく、論文発表が懲戒処分に相当するか前例がないため、空将の定年(60歳)を過ぎているとして定年退職を決めた。

 しかし、約6千万円にのぼるとみられる退職金を支払うことになるなど、政府の対応に批判が集中。同省の調査では、前空幕長のほかにも多くの自衛官が同じ論文懸賞に応募していることも明らかになった。11日、参院での参考人招致でも、前空幕長は憲法改正に言及したほか、「政府見解による言論統制はおかしい」と述べ、論文に「逸脱」はなかったとの見解を鮮明にした。野党は首相の任命責任を追及するなど、国会運営にも影響が及んでいる。

   ◆◆◆

こいけ・きよひこ 37年生まれ、加茂市出身。三条高、東大法学部を経て、60年に防衛庁へ。英国王立国防大に留学後、防衛局計画官などとして防衛力整備にあたった。90年以降、防衛研究所長、教育訓練局長を歴任し、92年に防衛庁を退職。95年、加茂市長に初当選し、現在4期目。「国家衰亡につながる」として海外派兵、憲法改正に反対し、03年にはイラク特措法案の廃案を求める要望書を全国会議員に送った。

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