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許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2008年10月31日 (金)

支離滅裂の麻生の追加経済対策より有効な「解散・総選挙・政治の転換」

30日、麻生首相が鳴り物入りで発表した「追加経済対策」は、麻生首相の性格に似たのか、重みのない、場当たりの、矛盾に満ちた「対策」が目立つものだった。これで現在、日本経済が直面している歴史的な危機に対応できるとは到底思われない。総選挙を先送りしてまで、打ち出した「対策」であるが、「定額給付金」や「高速道路料金引き下げ」などはまさに政策の名にも値しないバラマキ政策で、カネで与党の票を買おうとするような、薄汚いモノであり、有権者をなめきった政策だ。「定額減税」を主張した公明党の政策は、まさに見ているほうが恥ずかしくなるほど質が悪い。今後のこの党によるポスターでの宣伝が目に見えるようだ。
証券優遇課税延長や、住宅ローン減税は富裕層に手厚いものであり、この間の構造改革の犠牲にされて苦しんでいる貧困層には縁がない。
加えて、3代続きで総選挙を経ていない「正当性のない内閣」が3年後の消費税増税に言及するなど、言語同断である。財源の税制をどのように定めるのかは、重大問題だ。消費税のような弱者にも容赦なく降りかかる税制を選ぶのか、金融危機に見舞われているとはいえ、この間、経済構造改革の恩恵を受けて財産をため込んだ大資本と富裕層への累進課税を実施するのかは大きな分岐であり、この問題は全国民的な議論が必要である。それを選挙管理内閣の麻生内閣ごときが3年後の消費税増税などを主張することは不届き千万である。
対策の財源として「埋蔵金」を当てるとした対策も、「埋蔵金」というバカバカしさはさておいても、中長期的には国家財政に大赤字を拡大することにつながっていくのは不可避であろう。
試しに本日の各紙の社説を採ってみた。朝日、毎日、北海道、読売、産経、日経各紙である。読売、産経、日経などの右派紙もこの場当たりにす義理対策を全面的には評価できず、玉石混淆などと言わざるを得なかった。これらの各紙は民主党に圧力をかけるのも忘れていない。給油新法で慎重審議に転じた同党を「ご都合主義」などと避難しながら、解散問題での麻生首相のご都合主義二は理解尾示している。これらのメディアの主張もご都合主義にすぎないか。
「全治3年」などと、どこからか借りてきた用語を何の根拠もなく振り回して、政局より政策などと叫ぶ麻生首相の無責任ぶりも極まった。百歩譲っても、「3年」後には彼は確実に首相ではない。
現下の事態に対する最良の対策はこのような麻生政権と無責任な与党に鉄槌を加え、与野党逆転を成し遂げることだ。昨今の民主党の動向を見ていると、与野党逆転がどれほどのモノかというクエスチョンはつくにしても、緊急対策としてはベターであろう。(高田健)

http://www.asahi.com/paper/editorial.html
朝日新聞社説 衆院解散・総選挙―危機克服にこそ決断を

 11月末にもと見られた衆院の総選挙が先送りされることになった。

 麻生首相は新たな経済対策を発表した記者会見でそう明言はしなかったものの、金融危機や景気後退への対策を最優先すると表明した。総選挙は年明け以降にずれ込む公算が大きい。

 首相自身にとっても、とんだ目算の狂いだったに違いない。

 9月、自民党総裁選の直後に筆をとったという「文芸春秋」への寄稿で、首相は自らの政権プランをこう書いている。

■首相のもくろみ違い

 「私は決断した……。国会の冒頭、堂々と私とわが自民党の政策を(民主党の)小沢代表にぶつけ、その賛否をただしたうえで国民に信を問おうと思う」「強い政治を取り戻す発射台として、まず国民の審判を仰ぐのが最初の使命だと思う」

 臨時国会冒頭の解散シナリオを思い描いていたのだろう。初の所信表明演説で民主党に次々と逆質問をぶつけたまではプラン通りだった。だが、そこから歯車が狂いだした。

 内閣支持率が期待したほど上がらない。米国発の金融危機が深刻な影響を広げ、株価はバブル崩壊後の最安値を更新し、円も急騰した。原油高対策などを盛り込んだ補正予算を成立させた後にともくろんだ次の解散シナリオも、吹き飛んでしまった。

 景気へのてこ入れをいくら強調しても、選挙情勢調査で「自民敗北」の傾向が変わらなかったことも響いた。

 もくろみ違いはそればかりではない。首相は寄稿でこうも書いていた。

 「勝利した側の政党がその直近の民意を背景に政党間協議を主導するのだ」「国民の信が私の背にあれば、粘り強く野党を説得し、不毛な対決に終止符を打てると信じている」

■国会も政策も混迷へ

 安倍政権の時の参院選で惨敗し、与党が多数を失って以来、次の福田政権時代の国会運営は難渋を極めた。仮に総選挙で衆院での3分の2の多数を失うことになっても、過半数を占めれば主導権を取り戻し、政治を前に進めることができる。そんな麻生氏の考え方は極めてまっとうなものだ。

 だが、総選挙の先送りで、今後の国会の状況は再び困難なものになりそうだ。民主党は徹底抗戦にかじを切った。民主党が反対する法案は、衆院で再可決しなければ何ひとつ通らなくなる。何のことはない、福田政権時代への逆戻りである。

 首相が「政局より政策」と力むのも分からなくはない。だが、肝心の政策の方も混迷を深めている。

 新たな対策には、非正規労働者の雇用促進や中小企業の資金繰り支援、金融市場の安定化策など、できるだけ早く実行しなければならない課題が盛り込まれている。

 しかし、景気浮揚効果に疑問符のつく「定額給付金」は、選挙向けの露骨なバラマキといわれても仕方ない。社会保障の財源を明記せよと首相が指示した中期プログラムは、付け焼き刃にも見える。首相は記者会見で「3年後には消費税の引き上げをお願いしたい」と補った。恐れず負担増を語ったのは歓迎だが、与党内の決着は年末の税制論議に先送りされた。

 12月には来年度予算案の編成が待ち受ける。基礎年金の国庫負担引き上げに伴う財源をどうするのか。一般財源化するという道路特定財源をどう振り分けるのか。まさに難題山積だ。

 総選挙後に、と決め込んでいた宿題が一気に降りかかる。首相は泥沼にはまったような思いではなかろうか。

 この難局を首相が本気で打開しようとするなら、結局は原点に戻って早期の総選挙で信を問い、政治に力強さを取り戻すしかあるまい。

 

金融危機の実体経済への影響が深刻になるのはこれからだ。数年は続くと見た方が正解だろう。選挙への思惑を絡めた短期的な対策で貴重な財源を使い果たすのは愚策である。

■遅くとも年明けには

 長期的なビジョンに基づく大胆な内需拡大策を描き、実行していく体制をつくることだ。それが世界経済に対する日本の役割であり、米欧との競争に勝つための方途でもある。国民に痛みを強いることもあるだろう。強い指導力を持つ政権こそが必要なのだ。

 この緊急時に総選挙で1カ月もの空白をつくるわけにはいかない、という見方もあるかもしれない。だが、政治の混迷と指導力に欠ける政権が続く方がはるかに「空白」なのではあるまいか。今のままでは国際的な発信力も地に落ちてしまいかねない。

 首相は、今回の対策を盛った第2次補正予算案の成立を目指す構えだ。だとすれば、解散は早くても年末、もしくは年明けになる。そこを逃せば来年度予算案の審議、東京都議選、主要国サミットなどの日程が続く。ずるずると9月の任期満了選挙に至ってしまう可能性すら出てこよう。それはこの国のためにならない。

 首相は年末か年明けまでに解散を決断すべきだ。補正予算案にしても、与野党で話し合い、早急に実施すべき緊急経済対策と、主張に隔たりがある対策を仕分けし、前者の実現を急ぐ。後者についてはそれぞれのマニフェストに掲げ、総選挙で競い合うのだ。民主党はそのために協力すべきだ。

 それが危機克服の近道である。

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20081031k0000m070146000c.html
毎日新聞 社説:追加経済対策 これは究極のばらまきだ

 政府は30日、追加経済対策を決定した。全治3年の経済危機からの回復が最大の目的だ。また、麻生太郎首相は景気回復後、消費税増税の実施を明言した。そのプログラムを年内に提示することも明らかにした。この点では、従来になく踏み込んだことは間違いない。施策にはメリハリを付け、ばらまきではないとも自賛した。

 本当にそうなのか。言葉とは裏腹に、「究極のばらまき」である。

 家計への給付や住宅ローン減税、高速道路通行料金のさらなる引き下げなどで、事業規模は20兆円まで膨らませた。国の財政支出は約5兆円である。

 政府・与党は8月末段階の緊急経済対策で定額減税を盛り込んだ。今回、所得制限を設けず、全世帯対象の総額2兆円規模の給付金に変更したのはなぜか。仕組みが簡素で、早期実施が可能だからというが、表向きの理由だろう。

 与党の顔が見えにくい減税より、現金給付やクーポン券配布の方が、実績を印象付けやすい。総選挙や来年夏の東京都議選に向け「票をカネで買う」手法とみられてもやむを得ない。

 中長期も見据えているというのであれば、抜本的な個人消費振興策として所得税を含む税の再配分機能を高める施策を検討する必要がある。その中で、消費税率の引き上げも位置付けることができる。

 

過去最大額の住宅ローン減税にも、住宅政策に熱心な政権の姿勢を示したいという思惑が見える。ただ、住宅ローン減税はその時々で制度が異なっている。結果的に不公平が生じている。今回の措置は、その不公平感、不平等感を増幅する。自己資金での住宅取得者も含め、不公平の生じない制度を検討すべきだ。

 8月末の対策に盛り込まれ、既に実施されている高速道路料金の再引き下げ措置にも問題が残る。この間、原油価格が1バレル=60ドル台まで軟化しており、原油価格高騰対策は影響の甚大な業種への経営支援などを除けばピークは過ぎている。メリハリというのならば、再検討が必要だったはずだ。

 政府・与党はこうした施策を赤字国債の増発に頼らず実施するという。しかし、主たる財源とされる財政投融資特別会計の準備金は、国債の償還や消却の原資だ。税収が当初見込みを大幅に下回ることが確実な現状では、その補てんの赤字国債増発は避けられない。

 景気対策で財政が一時的に悪化することはある。ただ、その時には、国民が景気回復を確信できるような施策でなければならない。効果の不透明な対策は赤字膨張を招く。

 今、日本にとって必要なことは、国民が安心できる社会保障制度の構築に加え、経済の土台である家計や中小企業が元気になることだ。政治色の濃い大衆迎合やばらまきでは経済社会は強くならない。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/126486.html
北海道新聞 社説
麻生首相 それでも解散を求める(10月31日)

 十一月末の投開票が想定されていた総選挙日程が先送りされた。

 麻生太郎首相は、金融危機に対処する追加経済対策を発表したきのうの記者会見で「国民の生活不安に応えていくのが優先順位の一番」と強調した。

 確かに各種世論調査で景気対策を優先してほしいという声が増えている。金融危機は地球規模に拡大し、世界恐慌の再来まで懸念する声もある。日本経済への影響が深刻さを増すのはこれからだ。

 こういう歴史的な局面だからこそ国民の支持を背景に政策を実行していく政権が必要だ。そのためには早期に総選挙を実施し、各党が公約を掲げて民意を問わねばならない。

 すでに三代の政権が国民の審判を受けずに誕生した。異常な事態と言わざるを得ない。

 ところが、首相は会見で「正統性の問題はない」と言い切った。

 首相はよもや忘れていまいか。

 現在の衆院議席は小泉純一郎元首相による二〇〇五年の「郵政選挙」でもたらされたものだ。有権者は麻生政権にまで白紙委任状を与えたわけではない。

 驚いたことに、首相は「三年後の消費税率引き上げ」にまで踏み込んだ。増税は国民すべてにかかわる政策テーマである。

 正面から政権公約に据えて、選挙に臨むのが筋というものだ。

 それをしないで、経済危機を理由に政権維持を図ろうとするのは許されない。

 首相は会見で対策を迅速に実行すると表明した。

 それでいながら、追加経済対策を盛り込む肝心の〇八年度二次補正予算案をいまの臨時国会に提出するかどうかは明言しなかった。

 民主党はこれまで早期解散を求める立場から国会運営に協力してきた。それが解散先送りで元の対決姿勢に戻り、審議はとてもスムーズに運びそうにはない。

 政府がまとめた政策を速やかに実行していく上でも、早い時期の解散・総選挙が必要ではないか。

 かりに与党が過半数を握れば、たとえ再議決に必要な衆院の三分の二の勢力を失っても、「直近の民意」をてこに野党側の譲歩を引き出すことはできるはずだ。

 それにしても首相は困難な道を選択したものだ。

 「選挙の顔」として期待を集めながら、自ら解散権を封印してしまった。自民党内ばかりでなく、早期解散を迫っていた公明党内からも不満が漏れている。

 与党の足並みが乱れる中で野党は攻勢を強めてくる。政権運営で主導権を発揮するのは容易ではない。

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20081031k0000m070146000c.html
東京新聞【社説】
追加経済対策 国民に安心を与えるか

2008年10月31日

 政府が追加経済対策を決めた。麻生太郎首相は記者会見で「国民生活の安全保障」と強調したが、景気を支える効果は限定的ではないか。新たな歳出拡大が財政再建を遅らせる懸念もある。

 今回の追加対策は二兆円規模の定額給付金が目玉になった。公明党が要求していた定額減税が給付金に変わった形だ。減税方式では所得税や住民税を納めていない課税最低限未満の世帯は対象にならないが、給付金方式であれば全世帯が対象になる。

 相対的に低所得者層に恩恵が手厚くなるので、公平感を保つ意味合いはわかる。ただ、地域振興券を思わせる金券配布となると、実務を担う自治体には負担だろう。誤配や偽造の懸念もある。

 どれほど消費を拡大するかは不明だ。朗報と受け止める向きもあろうが、麻生首相は三年後の消費税引き上げも明言したので、家計は一層、生活防衛意識を高め、余分な消費を控えて貯蓄に励む可能性もある。

 高速道路の料金引き下げも休日に重点を置いた結果、一般家計の行楽などに恩恵があっても、肝心の経済活動に対する刺激効果にはやや疑問符が付く。

 中小零細企業対策には、信用保証の拡充による資金繰り支援を打ち出した。最近の株価急落で金融機関は貸し出しに慎重な姿勢を強めている。一部では、貸し渋りも始まった。年末にかけて、経営環境はますます厳しくなる。安全網が重要なのは間違いない。

 

財源には、赤字国債に頼らず特別会計の剰余金いわゆる「埋蔵金」を一部活用する方向だ。その分、当面の借金拡大は避けられたが、国の資産負債差額でみれば、負債超過額(純債務)は増える。

 財政再建が重要課題なのに、毎年のように特別会計に多額の剰余金が発生していること自体がおかしい。財務省は無駄な剰余金が発生しないように、特別会計に厳しくメスを入れるべきだ。

 麻生首相は「百年に一度の暴風雨。米国発の金融災害だ」と現状を表現し、当面の衆院解散を先送りした。対策は国民への政権のメッセージといえる。

 一方、今回の対策を盛り込んだ第二次補正予算案をいまの臨時国会に提出するかどうか、明言を避けた。「スピード」が重要と強調するのであれば、野党との駆け引きに走らずに、堂々と政権として臨時国会に提出し、成立努力を明言すべきである。「暴風雨」下の国民に傘を待つ時間はない。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081031-OYT1T00003.htm
衆院解散先送り 一段と厳しさを増す政権運営(10月31日付・読売社説)

 麻生首相は、「衆院解散よりも、金融・景気対策」を選びとった。首相の言う「百年に一度」の世界的な金融危機に対応するためには、スピード感をもって対策を実行していかねばならない。

 しかし、衆院解散・総選挙の見送りにより、民主党が国会での抵抗戦術を強めるのは必至だ。首相の政権運営は一段と厳しさを増すが、首相はこれを乗り切ることができるのか。

 ◆危機の克服に全力で◆

 首相は30日の記者会見で、「11月30日投開票」が想定されていた衆院解散について、当面、見送る意向を表明した。

 米国発の金融危機が、世界の金融システムに動揺をもたらしている。東京市場も、株価が急落し、バブル後の最安値を一時更新するなど、乱高下を繰り返している。円高傾向も続いている。

 地方金融機関の中には「貸し渋り」の動きもあらわれ、実体経済にも悪影響を与えている。

 読売新聞などの世論調査では、景気政策を優先する立場からの解散先送り論が強まっている。首相の判断は、これらを総合的に勘案した結果といえよう。

 首相が記者会見で、大型の追加景気対策を打ち出したのは、日本経済の失速に歯止めをかけるために、当然のことだ。

 追加対策には、総額で2兆円に上る定額給付金を全世帯に支給することや、高速道路料金の大幅な引き下げ、住宅ローン減税の拡充、一般財源化する道路特定財源から地方へ1兆円を交付することなどが盛り込まれている。

 政府は、対策の中で実施を急ぐべき項目を第2次補正予算案に反映させ、関連法案とともに早期成立を図らねばならない。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は29日、短期金利の指標となるフェデラル・ファンド(FF)金利を0・5%引き下げて、史上最低の年1%とした。

 各国とも、金融危機を抑制し、世界の同時不況を回避しようと懸命になっている。11月には、G8(主要8か国)と新興国による緊急首脳会議や、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などが相次いで開かれる。

 麻生首相は記者会見で、金融機関の監督・規制の強化などに関する国際連携のあり方について各国首脳と協議する考えを示した。

 ◆難しい総選挙の時期◆

 ただ、衆院解散先送りは、首相にとって大きな賭けである。

 首相は、自民党総裁に選ばれた直後、小沢代表が率いる民主党との間で雌雄を決するとして、今国会の冒頭解散を示唆していた。

 だが、内閣支持率の動向や自民党の選挙情勢調査の結果などから解散をためらううち、予測以上に金融危機が拡大した。

 今回の「解散せず」の判断は、株価急落など金融危機に手足を縛られた側面も大きい。

 これまで民主党は、早期解散を期待して、第1次補正予算に賛成するなど審議に協力してきた。

 だが、インド洋での海上自衛隊による給油活動延長のための新テロ対策特別措置法改正案の採決は、一転して先延ばしした。ご都合主義きわまる対応だ。

 地方金融機関に公的資金を注入できるようにする金融機能強化法改正案についても、「慎重審議」の構えで、今後の国会運営は、難航が予想される。

 首相は、第2次補正予算案に対する民主党の出方を見極めたうえで、衆院解散・総選挙の時期を探る考えのようだ。

 

仮に首相が年内解散をせずに、通常国会の冒頭解散に打って出たとしても、来年度予算の今年度中の成立は不可能になり、暫定予算の編成に追い込まれてしまう。これでは「景気」を第一とする麻生内閣の看板が問われる。

 一方、与党内にも、解散先送りに反発が出ている。

 早期解散を主張してきた公明党は、先送りに最後まで抵抗したとされる。自民、公明両党間にすきま風が吹けば衆院選での選挙協力にも影響しかねない。

 ◆消費税引き上げの勇断◆

 今年の通常国会では、衆参ねじれの下、政争が繰り返された。現在の金融危機で、政治の機能不全を再現させる訳にはいかない。

 金融危機対応では、与党も野党もあるまい。必要な施策を迅速に具体化するため、各党は力を合わせることが大事だ。

 首相は記者会見で「大胆な行政改革を行った後、経済状況をみたうえで3年後に消費税の引き上げをお願いしたい」と明言した。

 「日本経済は全治3年」という状況を脱し、こうした責任ある政策を実行していくためには、やはり安定した政治の枠組みづくりが肝要だ。

 首相は、できるだけ早期に国民の信を問う必要があるだろう。

(2008年10月31日01時45分  読売新聞)

http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/081031/fnc0810310350006-n1.htm

産経新聞【主張】追加経済対策 市場安定へ全力挙げよ
■消費税上げに法的裏付けを

 麻生太郎首相は事業規模27兆円、国の財政支出が5兆円に上る追加経済対策を発表した。同時に3年後に消費税を引き上げると言明した。追加対策を財政的に裏付ける第2次補正予算案も今国会で成立させる方向だ。

 焦点の衆院解散については当面見送るとした。米金融危機による日本への悪影響をいかに抑えるかを重視する首相の判断は妥当だ。党派を超えて危機を回避する枠組みが必要な時を迎えている。

 選挙もにらんだ追加対策の内容や財源には、その効果や財政規律の面で疑問点が多い。国会は追加対策の中身を十分に吟味する必要がある。首相の消費税発言の意味は大きいが、引き上げにどう道筋をつけるのか。与野党が本格的論議を開始すべきである。

 ≪やむを得ない解散回避≫

 首相は「100年に1度の米国発暴風雨」との経済認識を強調したが、追加経済対策をざっとながめてみると、玉石混交というより玉を見つけるのが難しい。住宅ローン減税の延長・拡充とモラルハザードが懸念されるほどの信用保証制度拡充は一定の効果を期待できるかもしれない。

 

しかし、対策の目玉といわれる2兆円規模の給付金と「1000円走り放題」を含む高速道路料金引き下げは極めてばらまき色が強い。とくに定額減税構想が姿を変えた給付金は問題だらけだ。

 これは1世帯平均4万円弱の“お年玉”みたいなものだ。大半が貯蓄と飲み食いに回り、景気押し上げ効果はわずかだろう。もっと問題なのはその財源である。

 いわゆる埋蔵金と呼ばれる財政投融資特別会計などの積立剰余金を使うという。「赤字国債の発行は避ける」(麻生首相)としているからだが、本当にそうか。

 こうした剰余金は法的に国債償還に充てることになっている。それを別の使途に充てれば赤字国債発行と実質的に同じなのだ。懸念された国債整理基金の流用は踏みとどまったが、もはや財政規律は大きく崩れた。

 与党内には、こうした手法を来年度からの基礎年金国庫負担割合2分の1引き上げの財源確保にも使う動きがある。想定していた消費税の引き上げを先送りしてしまったからだ。

 年金に限らず社会保障制度は一時的な剰余金では持続しない。税収は今年度当初見込みを大幅に下回るのが確実で、来年度も期待できない。安定財源を確保せずにばらまきを続ければ、2011年度の基礎的財政収支黒字化目標どころか、財政は破綻(はたん)する。

 麻生政権はせめて、社会保障財源を確保するための消費税を含む税制改革中期プログラム策定を早急に具体化し、実施を立法化で担保することだ。それが国民に安心を与え、中長期的には最大の景気対策になる。

 あわせて重要なのは市場対策である。米金融危機以降、東証1部の時価総額は100兆円規模で吹き飛んだ。これだけでも逆資産効果は相当だが、株下落で金融機関が傷めば先進国で最も体力がある日本経済ももたなくなる。

 市場動乱の根っこは米金融危機だから限界はあるし、取りまとめた市場対策も問題を含む。だが、緊急事態であり間髪を入れずに実施することだ。時価会計の緩和も直近の決算に適用したらいい。

 もちろん、株価に影響を与える為替の安定も不可欠だから、麻生首相は来月15日の金融サミットで介入を含めた協調を強く促すべきだ。景気対策は金融資本市場次第で足りなくもなるし、逆に不要にもなるのである。

 ≪早急に党首会談を≫

 補正予算案の提出は11月下旬とみられ、今国会成立には来月末で切れる会期の延長が必要だろう。民主党は給付金支給を「効果なきばらまき」と批判しており、その財源を剰余金に求めることには反対する構えだ。

 この手続きには法改正が必要であり、民主党が反対する限り、衆院再議決を経なければ法案が成立しない状況になる。

 首相は解散見送りにより政権運営の選択肢を自ら狭めてでも、政策実現を求めたのだ。追加対策の実施が遅れたのでは、その効果もますます薄れよう。

 直ちに民主党の小沢一郎代表に会談を申し入れ、国政に求められる緊急課題の解決を話し合うべきだ。民主党も危機対応力が試されていることを自覚してほしい。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20081030AS1K3000230102008.html

日経新聞社説 与野党は追加対策の早期実現へ全力を(10/31)

 政府・与党は総額2兆円規模の「給付金」支給などを柱とする追加経済対策をまとめ、麻生太郎首相が記者会見で発表した。この中で首相は「政局より政策、何より景気対策を求める世論が圧倒的に高い」と述べ、政局の焦点の衆院解散を当面は見送る考えをにじませた。

 追加経済対策の中身はよく吟味する必要があり、民主党などがよりよい対案を提示したなら、政府・与党は前向きに受け入れるべきだろう。与野党が共同で追加対策の早期実現に全力を注ぐ局面である。

中身は玉石混交

 首相が経済・金融情勢の悪化に柔軟に対応して、追加対策をとりまとめたこと自体は評価できる。ただ、今回の対策には必要不可欠なものと財政コストと照らし合わせた効果に疑問があるものが混在している。

 世界的な金融危機が続く中で最も重要なのは、日本で信用収縮が広がるのを防ぐことだ。

 

地方金融機関への予防的な資本注入を可能にする金融機能強化法の復活は、自己資本不足の金融機関が貸し出しを過度に抑えるのを防ぐ役割を果たす。すでに法案の修正審議に入っているが、合意を得て早期に成立させるべきだ。中小企業向けの信用保証枠の拡大も、金融機関の貸し渋りを抑制するのに必要な措置だ。

 省エネ関連の投資や、海外子会社の利益の国内還流を促す税制措置も、成長力の強化に資するものであり、評価できる。

 証券優遇課税の延長は、投資家にとってわかりにくい制度見直しを避けるという点で理解できる。金融課税の一体化や長期的な資産形成を促す税制など抜本的な改革へつなげる一時的な措置とすべきだ。最終段階になって、確定拠出年金(日本版401k)に従業員の上乗せ拠出を認める措置も盛り込んだが、これは長期の資産形成に貢献する正しい対策である。

 住宅ローン減税の拡充は、住宅投資のてこ入れや消費のある程度の下支えにつながるだろう。

 一方、前向きな評価ができないのは総額2兆円の給付金の支給である。財政コストと比べた消費刺激効果は小さいと言わざるをえない。給付金は全世帯を対象としており、社会政策としての説明もしにくい。

 揮発油税など道路特定財源を一般財源にするのに伴い、1兆円を地方に回すのはいいが、無駄な使われ方にならないような歯止めも必要だ。また、一般財源化に伴って道路予算が減らないよう建設国債を増発して手当てする考えも浮上しているようだが、そうなれば無駄な道路建設をやめるという趣旨に反する。

 全体として中長期的な成長力の強化や構造転換につながる具体策が乏しいのも気になる。農家向け支援も減反補助金の上乗せのようなものにとどまるなら農業改革に逆行する。

 麻生首相は「経済状況を見ながら、3年後に消費税引き上げをお願いしたい」と述べた。単なる増税だけではなく、それと合わせた年金など社会保障改革の姿が示されなければ国民の安心につながらない。ばらまき批判をかわすだけの「言い訳」で終わらせてはならない。

 金融情勢は依然として不安定であり、政府・日銀は金融の安定化や経済の急激な悪化に柔軟に対応する構えを崩すべきではない。

 首相は記者会見で現在の経済情勢を「100年に1度の暴風雨」と評し、「政策を実現して国民の生活不安にこたえることが優先順位の1番だと思う」と強調した。自民党執行部は11月30日投票の日程で衆院選の準備を進めていたが、選挙が遠のいたとの観測が広がっている。

やむを得ぬ解散先送り

 2005年の衆院選以来、3回も内閣が交代し、政権のたらい回しはもはや限界だ。私たちは麻生内閣発足に際して、実質的には選挙管理内閣だと指摘し、速やかに衆院を解散して民意を問うよう求めてきた。

 だが未曽有の金融危機で世界の株式、為替市場が混乱し、経済の先行きに不透明感が強まっているなかで、首相が解散を先送りしたのはやむを得ない判断だったといえる。本紙の直近の世論調査でも、解散・総選挙よりも景気対策を優先すべきだとの回答が63%に達し、解散・総選挙の29%を大きく上回った。

 民主党など野党側は解散先送りに反発している。補正予算の早期成立などに協力してきた民主党は、徹底審議を求める戦術に転換したが、インド洋での給油活動の延長法案の採決をいたずらに引き延ばしたりするのはあまりにご都合主義である。

 金融機能強化法改正案だけではなく、銀行保有株の買い取りを再開することなどを盛り込んだ緊急市場安定化策関連法案なども速やかに成立させる必要がある。国会は再び衆参ねじれの厳しい現実に直面することになるが、参院第1党の民主党が果たすべき責任は極めて重い。

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