無料ブログはココログ

許すな!憲法改悪・市民連絡会

« ちょっといい話。沢田研二 我が窮状 | トップページ | 雑記(41)コスモスの花 »

2008年9月12日 (金)

イラク空自撤退、各紙社説

イラクからの空自の撤退に関する本日の朝日、東京、産経の社説である。読売は社説にはない。東京が名古屋高裁判決などにふれ、撤退を当然とし、その総括を要求しているのは商業紙としては大いに評価してよい。それにしても産経紙のぶざまさよ。(高田健)
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
朝日社説:イラク撤収―自衛隊派遣は何を残した

 イラクに派遣されている航空自衛隊が年内に引き揚げることになった。2年前には、南部サマワで活動していた陸上自衛隊が撤収している。4年を超えたイラクへの自衛隊派遣に、ようやく幕が引かれる。

 政府が撤収の方針を決めたのは、自衛隊がイラクで活動する根拠となっている国連安保理決議が年内で切れるという事情が大きい。米国も駐留軍を削減する方針を打ち出した。そろそろ潮時であり、撤収しても対米関係にひびは入るまいと踏んでのことだろう。

 だが、初めからこの自衛隊派遣には無理があった。

 イラクで戦闘に巻き込まれ、「海外で武力行使をしない」という憲法の大原則に反してしまう事態もありえた。そもそも、イラク攻撃に国際的な正当性があるかも疑わしかった。

 その後、開戦の大義とされた大量破壊兵器の存在も、アルカイダとのつながりもなかったことを、米国自身が認めざるを得なかった。そうした事実にまともに向き合わず、ずるずると派遣を続けてきた小泉首相や以後の歴代政権の責任は重い。

 自衛隊の派遣は、確かにブッシュ政権から高い評価を得た。だが、一方で日本に大きな傷跡を残している。

 7年前の9・11テロ以来、国際テロをどう封じ込めていくか、世界は難しい問題に直面した。なのに、日本政府の対応はイラクへの自衛隊派遣で対米関係を良好に保とうという一点に集中し、日本はどのような形で国際責任を果たすべきなのかという議論が、対米協力論の中に埋没してしまった。その後遺症は今も続く。

 また、世論が分裂する中で、無理に無理を重ねた憲法解釈で自衛隊を出したツケもある。

 「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域」というむちゃな論理。自衛隊機が武装した他国の兵員を運んでいるのに、武力行使とは一体化していないという主張。これらは今年4月の名古屋高裁の判決の中で厳しく批判され、イラク派遣は「違憲」とされた。

 強引な政府解釈に対する国民の素朴な疑問に答える判決でもあったろう。

 航空自衛隊の輸送機が実際に何をどれだけ運び、どんな作戦を支援していたか、政府は今なお具体的に明かそうとしない。政府は国民にきちんと説明する責任があるし、国会も自衛隊の活動を検証すべきだ。

 さらに、イラク派遣に自衛隊のエネルギーを集中したあまり、それ以外の地域の平和構築活動に極めて消極的になってしまった。

 憲法の下で日本ができる協力はほかにも多くある。インド洋での給油問題に関心が集まるアフガニスタンについても、より広い視点から支援のあり方を考える時だ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/
東京【社説】
空自イラク撤収 何をしたか検証怠るな

2008年9月12日

 イラク派遣中の航空自衛隊が年内に撤収する。政府は復興支援の目的をほぼ達成したとしている。だが活動実態は不透明なままで米軍支援一辺倒の疑いも強い。すべてを検証し、説明責任を果たせ。

 イラク復興支援特措法に基づき陸上、航空自衛隊は二〇〇四年から支援活動を本格開始。〇六年の陸自撤収後も空自は多国籍軍の要員や支援物資の空輸に従事してきた。年内撤収でイラクでの活動は約五年で幕を閉じることになる。

 撤収理由について、政府はイラク国内の治安状況の回復と、駐留の根拠となる国連決議の期限が年末で切れることを挙げている。

 期限が切れた場合、活動を続けるにはイラク政府と地位協定を締結する必要がある。だが、衆参ねじれの状況下では国会承認の見通しは立たない。一方で各国軍の撤退が相次いでいる。何より名古屋高裁は判決の傍論で「憲法九条違反」の判断を示した。内外の情勢を踏まえての方針決定だろう。撤収は自然な流れだ。

 ただし、忘れてはいけないことがある。イラク派遣に関する一連の経緯と実態の検証だ。

 大量破壊兵器保有を理由に米英が踏み切ったイラク戦争を小泉政権は支持した。攻撃の結果、フセイン政権は崩壊したが、兵器は発見されず、十五万人以上のイラク人が死亡する悲劇を招いた。「誤った戦争」が国際常識になる中、日本政府は開戦支持について非を認めていない。その判断の妥当性をあらためて問いたい。

 活動実態もやぶの中だ。基本計画では「人道復興支援活動を中心とする」と定めている。空自は十日現在で七百六十八回、計六百四十トンの物資を輸送しているが、具体的な中身が判然としない。大半が米兵や米軍物資関連らしいが、そうなると人道復興というよりも米軍支援そのものになる。

 名古屋高裁は「武装兵員を戦闘地域へ空輸するのは武力行使と一体化した行動」と断じている。復興支援を成し遂げたというなら、正確な情報を公開すべきだ。いいかげんな総括では自衛隊活動への理解は深まらない。

 イラク撤収に伴い、政府や自民党はインド洋での給油活動継続に全力を挙げる。「双方とも撤退するのは国際社会の一員として許されない」と、意見の割れる国民に訴えるだろう。しかし、それは性急すぎないか。給油の効果の点検も含め、日本が実行可能な貢献について冷静な議論が必要だ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080912/plc0809120308001-n1.htm

産経【主張】空自イラク撤収 テロと戦う日本はどこに
 町村信孝官房長官は、イラク派遣の航空自衛隊部隊を年内に撤収する方針を表明した。空自も一員である多国籍軍のイラク駐留根拠となっている国連安保理決議が年末で切れることや、イラクの安定化傾向などを理由に挙げた。

 空自は4年前から、クウェートを拠点にバグダッド空港などに国連や多国籍軍の関係者、物資を空輸している。今月10日まで計768回、約640トンを運んだ。

 イラクのマリキ首相は「イラク再建に主要かつ死活的役割を果たしている」と謝意を示した。多くの妨害活動があったが、1人の犠牲者も出さなかった。その労苦に敬意と感謝を表したい。

 しかし、イラク復興支援特別措置法に基づく空自の活動期限は来年7月まである。

 もう少し検討する余地もあったのではないか。米中枢同時テロの発生日にテロとの戦いから撤収する発表には首をかしげる。

 イラクでの空輸と並ぶインド洋での海自による給油支援もきわめて厳しい状況に追い込まれている。来年1月に期限切れを迎える新テロ特別措置法改正案の成立が危ぶまれているからだ。

 臨時国会は24日召集予定だが、民主党などが反対している。衆院再議決に必要な3分の2の賛成には公明党が慎重姿勢なうえ、解散となった場合、確保は至難だ。再び中断の事態を迎えかねない。

 そうなれば米国の新大統領が就任する来年1月、日本はイラクとインド洋というテロとの戦いの現場から姿を消す。日米同盟関係を損ねるだけでなく、日本への国際社会の信頼も失墜しよう。

 空自撤収は、民主党がイラク自衛隊派遣に反対しているためでもある。政府はイラク政府と個別に地位協定を結び、活動継続を検討していたが、参院で多数を占める民主党との調整が困難と判断したようだ。

 イラク多国籍軍の活動は4年前の国連安保理決議1546で認められ、活動期限は延長されている。国連中心の平和活動への積極参加を唱える小沢一郎民主党代表の反対論は、整合性を欠いていないか。給油支援にも「憲法違反」と断じた。国家の危難を招くようなことは本意ではあるまい。

 日本の平和と繁栄は国際社会と共に歩めるかどうかにかかる。やはり党派を超えた国益を実現する枠組みが求められている。

« ちょっといい話。沢田研二 我が窮状 | トップページ | 雑記(41)コスモスの花 »

自衛隊海外派兵恒久法」カテゴリの記事