世論調査の結果の差について(その2)
昨日も、この問題について書いた。これは産経紙の報道である。この分析にも一定の説得力がある。松本教授も「調査方法」の問題を指摘している。教授が否定する報道機関の「政治色」がここに現れるということは言えるだろう。また、報道機関の政治色を確固たる結論を有しない「読者(調査対象者)」が一種の期待値として意識してしまうこともあるだろう。
「マガジン9条」の分析が「信じちゃいけません」と世論調査への不信一般にとどまっているのは残念だ。これだと、せっかくの9条の世論調査についてもそういえてしまうのではないか。
本欄の昨日と今日の記事などを参考にもう少し分析を深めて頂ければいいなあと思う。ライブドアニュースの記事も掲載した。(高田)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080804-00000943-san-pol
改造効果アリ?ナシ? 支持率まちまち世論調査
福田内閣改造後、報道各社が1~3日に実施した世論調査では、改造効果が内閣支持率アップにつながるかどうかが注目された。だが、ふたを開けると、メディアによって支持率はまちまちで、最大20ポイントもの差が出た。改造効果はあった? それともなかった?
1~3日にかけ、本紙をはじめ朝日、毎日、読売、日経の4紙と共同通信などが世論調査を実施した。
最も支持率が高かったのは読売新聞の41.3%で、前回比14.7ポイントと大幅に上昇し、内閣改造が支持率アップに結び付いたことを示した。
ところが、正反対の結果が出たのが朝日新聞。内閣支持率は24%と前回と変化がなく低迷し、改造は支持率にとっては、プラスにもマイナスにも働らかなかったという評価となった。
支持率が他社に比べて5ポイント以上伸びたのは、伸び率順では読売新聞のほか、日経新聞の38%(前回比12ポイント増)、本社・FNN(フジニュースネットワーク)合同世論調査の29.3%(同7.6ポイント増)の3社だった。
逆に改造効果が5ポイント以下だったのは、変化のなかった朝日新聞のほか、毎日新聞の25%(同3ポイント増)、共同通信の31.5%(4.7ポイント増)だった。
支持率調査の各社ごとの違いについて、報道機関の世論調査に詳しい松本正生埼玉大教授(政治学)は2つの可能性を指摘する。
一つは福田内閣のイメージだ。松本氏は「福田内閣の場合、小泉内閣のような明確なイメージがなく、世論調査の回答者も支持、不支持のどっちにするか、はっきりとした意見を持っていないためにぶれるのではないか」と分析する。
また調査方法の違いが出た可能性もあるという。
「福田内閣に対するイメージがはっきりしていない回答者を支持、不支持のどちらかに“追い込んで”回答を得るか、そうでないかでも変わってくる」
明確な回答を持っていない回答者を、どちらかに振り分けるまで問うか、「わからない・言えない」に計算するかで差ができてしまうというわけだ。
世論調査をめぐっては、今年1月、米国のニューハンプシャー州の民主党予備選で、世論調査と実際の投票結果が10ポイント以上異なり話題になったこともある。
松本氏は、「同じ回答者が調査している報道機関によって、回答を変えることはまずないし、報道機関名を聞いて回答を使い分けることはないだろう」とも語り、報道機関の「政治色」が調査結果に反映するという「うわさ」を否定した。
http://www.magazine9.jp/index.html
世にも不思議な世論調査
ヘンですねえ、そう思いませんか?
福田改造内閣が発足しました。その顔ぶれがヘンだとか、別に、ここでその評価をしようというのではありません。各社が一斉に行った「世論調査結果」がヘンだなあ、と思うのです。だってね、福田内閣支持率の調査結果がこれですよ。(カッコ内は、前回調査との比較です)
朝日=24%(±0%)
毎日=25%(+3%)
読売=41.5%(+14.7%)
日経=38%(+12%)
産経=29.3%(+7.6%)
共同=31.5%(+4.7%)
ね、おかしいと思うでしょ? どんなに読者層が違うといったって、別に読者だけに限定して調査を行っているわけじゃない。それなのに、こんなに支持率が違う。上昇ぶりも、0%から14.7%と天地ほどの差。やはりヘンです。
世論調査の対象者は、各社ともそれなりの社会学的統計手法を用いて選んでいるはずです。つまり、朝日新聞の世論調査対象者が読売新聞購読者である可能性だって高いわけです。だから、対象者が調査した新聞社の論調に左右されているとも思えません。
となれば、これはどういうことなんだろう。質問の仕方に、ある種の仕掛けがあったのか。そうとでも考えるしかないですね。世論調査なんか信じちゃいけない、のかもしれません。
いい頃合いです。みんなと同じ意見じゃなく、自分なりの考えをしっかり持つ。だから世論というやつも、一度疑ってかかる。そのいいきっかけなのかもしれません。
http://news.livedoor.com/article/detail/3759604/(ライブドアニュース)
内閣支持率24%から41%まで・・・新聞世論調査の怪
2008年08月04日10時57分 / 提供:PJ
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8月3日付朝日新聞朝刊
【PJ 2008年08月04日】-『内閣支持 改造後も24%』--これは8月3日付朝日新聞朝刊の一面トップの見出しです。内閣改造後も支持率が上らなかったことを一番に知らせたい気持ちを感じます。これに対して『内閣支持41%に好転』としたのは読売です。朝日の24%と読売の41.3%、これを単なる偶然と考えるべきでしょうか。両者の数値の違いの大きさは統計上の誤差だけでは説明できないような「何か」があるように感じます。
ほぼ同時期の調査による主要紙の内閣支持率と政党支持率を下に記します。
内閣支持率 政党支持率
朝日 24%(支持) 55%(不支持) 自民23% 民主22%
毎日 25%(支持) 52%(不支持) 自民31% 民主46%
東京 31.5%(支持) 48.1%(不支持) 自民28.7% 民主30.2%、
読売 41.3%(支持) 47.0%(不支持) 自民35.1% 民主24.6%
4社とも電話による調査ですが、統計上の誤差が一定範囲内になるよう、十分なサンプル数を確保しているはずです。それにしてもこの大差はどう考えればよいでしょう。不思議なことは、現政権に対立的な新聞ほど内閣と自民党の支持率が低く出る傾向が見られることです。ある新聞社にとって実に都合のよい調査結果であります(読まされる方はたまりませんが)。
世論調査を行う場合、調査主体の意図に沿った調査結果を出すために質問項目を工夫することはしばしば行われます。最高裁の調査にまでこの誘導手法が用いられるのには驚きました(参考)。しかし内閣の支持、不支持の調査では質問が単純なため、そのような操作は困難であると思われます。
そうであるならばサンプルの抽出方法に何らかの作為があるのか、あるいはデータの処理方法に秘密があるのか、などの疑念が生じます。しかし理由はどうあれ、この調査結果の大差を納得することは困難です。新聞の世論調査担当の親切な方、この魔法の種明かしをしていただけないでしょうか。
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