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許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2008年5月

2008年5月30日 (金)

中国への空自機派遣見送り、発表

結局、自衛隊機は中国に行かないことになった。この問題を巡って、中国指導部が自衛隊機導入を日本に要請したことは、いかに緊急時であれ、中国指導部の判断の問題として汚点を残したと思う。中国指導部が民衆の反発を計算できないほどに、民心から遊離していたことの証左だ。
震災の現場では、学校などの倒壊の原因が手抜き工事にあるとの指摘が出ているが、こうした事態はこの間の中国共産党の改革・解放経済政策のひずみであり、結果だ。その責任も問われざるをえまい。くわえて、自衛隊機の導入だ。
自衛隊機の災害派遣というと、日本の市民運動側も反対しにくい問題であるが、これが実施されたならいま政府がねらっている海外派兵恒久法への援護射撃になったに違いない。いま、自衛隊が内外でどのような危険な役割を果たしているか、この問題への考慮なしに、ただただ緊急事態だからということにはなるまい。憲法違反の自衛隊を使わないでできる方法があるかどうか、最大限の検討をすべきではないだろうか。日本共産党は「スマトラ沖地震の際に、きわめて大きな自然災害が起きたときは自衛隊が海外でも救援救出に活動することを否定するものではないと表明したが、今度も変わりはない」という態度で、自衛隊機派遣を容認したが、社民党は「中国の国民感情も考慮し、反対だ」と福島党首が発言した。共産党が「緊急事態が起きたときには」というのはわからないでもないが、結局、自衛隊機を派遣せず、民間機で緊急援助物資の搬送を実施することになったわけだから、その判断は拙速にすぎたのではないか。ここは日本共産党にはよく考えてもらいたいところだ。(高田)

http://www.asahi.com/politics/update/0530/TKY200805300046.html
中国への空自機派遣見送り、発表

2008年05月30日11時25分

 政府は30日、中国・四川大地震の被災者支援物資を運ぶための自衛隊機派遣を見送ることを発表した。中国国内で自衛隊機受け入れに反発があることを考慮した。中国側が求めているテントなどの物資は民間機をチャーターして輸送する。

 町村官房長官は同日午前の記者会見で「今回は自衛隊機派遣を行うことはない。中国国内で一部慎重論が出始めていることを考慮し、日中間で協議した結果、自衛隊機による輸送は見送ることにした」と述べた。

 自衛隊機による救援物資の輸送は、中国政府が27日、北京の日本大使館にテントなどの支援を要請したことで浮上した。中国側が輸送手段として自衛隊機も受け入れる考えを示したことから、日本政府は迅速に派遣が可能な自衛隊機を使用する方向で検討に入った。

 自衛隊の部隊が中国国内に入るのは初めてで、実現すれば、日中関係進展のシンボルになるとの見方がでる一方、中国国内ではインターネット上に反対意見が書き込まれるなど、世論が二分されていた。

 町村氏は会見で「摩擦を起こしてまでやるような話ではない」と指摘。首相周辺は「中国政府内のコンセンサスが得られなかった」と語った。石破防衛相は30日の記者会見で、「中国の日本に対する信頼を獲得するための努力を今後も地道にやっていかなければいけない」と述べ、日中間の防衛交流については、「淡々と進める」と語った。ある日本政府関係者は「自衛隊機の使用は選択肢の一つだったが、そこだけ報道で大きくクローズアップされ、中国側も戸惑ったのではないか」との見方を示した。

 政府は今後、チャーター機による輸送を本格的に検討、早期の支援物資輸送を目指す。雨期を控え、中国側の要望が強いテントについては、自衛隊のものに加え、兵庫県が無償提供を表明しているものなどを集めて運ぶ方向だ。

 自衛隊機派遣について、政府は国際緊急援助隊派遣法に基づき、愛知県の航空自衛隊小牧基地所属のC130輸送機3機でテントや毛布、医薬品などを運ぶ派遣計画の原案を作成、早ければ週末にも第1便を出発させる態勢を整えつつあった。一方で、自衛隊機の受け入れについて、中国側の最終的な確認を待っていたが、両政府間の協議の結果、自衛隊機の活用は今回見送ることになった。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080530/plc0805301012007-n1.htm

2008年5月26日 (月)

与党PTの法案論点

赤旗紙報道。いよいよ動き出した。週2回ペースで急ぐようだ。民主党の取り込みをどうするかが、同法の行方を占うことになる。(高田)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-05-26/2008052602_05_0.html
与党PTの法案論点
派兵恒久法で警護・治安活動

 自衛隊の海外派兵を常時可能にする恒久法を検討する与党のプロジェクトチームが二十三日に初会合を開きました。
福田・太田会談

 初会合は二月以来先送りされていましたが、十七日の福田康夫首相と太田昭宏・公明党代表との会談を機に動き始めたもの。週二回ペースで議論し、今国会中の要綱とりまとめをめざします。

 恒久法制定を最大のテーマとして四月に活動を再開した「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」も、週一回の学習会の一方で自民・民主・公明議員による法案づくりを検討しています。同会には与党から七十人以上が参加する一方、前原誠司民主党副代表、長島昭久同党副幹事長ら三十人以上の民主党国会議員が参加しています。

 恒久法検討の動きが活発化しているのは、来年一月の新テロ特措法の期限を考えれば、秋の臨時国会では活動継続の方策を確定しなければならないという“事情”があります。新テロ法の改定か恒久法かで与党内の意見は分かれるものの、福田首相らは民主党を誘い出せる恒久法推進に執着しています。
海外での武力行使

 二十三日の与党のプロジェクトチームでは、「一般法(恒久法)の主要な論点」とするペーパーが配られました。与党が目指す恒久法の骨格を示すものです。重大なことは、恒久法が単に従来の海外派兵法の延長にとどまらず、これまで憲法に違反するとして認められてこなかった海外での武力行使に向けたものであることが大きく浮かび上がってきたことです。

 「主要な論点」では、「我が国が行う活動のメニュー(類型)」として、(1)停戦監視(2)人道復興支援(3)後方支援などに加えて、(4)警護 (5)治安維持(6)船舶検査などを行うことが検討項目に加えられました。警護や治安維持、強制的な船舶検査は武力行使を伴うことからこれまでの海外派兵法では盛り込まれなかったものです。

 さらに「我が国が行う活動のメニューにあわせて、それに必要な武器使用権限(いわゆる『駆けつけ警護』や任務遂行のための武器使用など)についても検討が必要」だとしています。

 これらをあわせて考えるとどうなるか―。「警護」や「治安維持」活動は、怪しい人物に対する停止・身体検査・拘束のほか、住宅や建物への立ち入り、捜索・押収などの強制措置を中心内容とします。「それに必要な武器使用」を認めれば、“怪しい者”が抵抗したり、それを手助けする者がいる場合には武器を使用してもよいことになります。アメリカ軍がイラクなどで住民虐殺につながっている対テロ掃討作戦と同じです。憲法が禁じる海外での武力行使であることは明白です。

 「駆けつけ警護」は、同盟国の軍隊などが攻撃を受けたときに「駆けつけ」て反撃するもので、集団的自衛権の行使につながります。

 二十三日の会合では、「憲法の範囲内」「解釈改憲はおこなわない」などを検討の原則としましたが、検討内容は憲法の範囲をはるかに超えているのです。(中祖寅一)

与党 イラク空自撤収検討 『特措法延長なし』で調整

本日の東京新聞報道。他紙にも同様の記事有り。名古屋高裁判決や米国の大統領選挙での世論の動向などから、与党にも動揺が広がっている。イラク特措法の廃止は当然であるが亜、新テロ特措法も廃止すべきだ。派兵恒久法をやめよの世論を盛り上げよう。(高田)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2008052602000133.html
与党 イラク空自撤収検討 『特措法延長なし』で調整

2008年5月26日 朝刊

 与党は二十五日、イラクへの航空自衛隊派遣の根拠で、二〇〇九年七月末に期限を迎えるイラク復興支援特別措置法の延長を求めない方向で調整に入った。延長には野党が反対するのが確実な情勢なのに加え、名古屋高裁がイラクでの空自の活動を違憲としたことや、ブッシュ米大統領が来年一月に退任することなど内外の情勢を踏まえたもの。これを機に、自衛隊のイラクからの撤収時期について議論が行われる見通し。

 自民党外交調査会長の山崎拓前副総裁は同日、都内で行われた討論会で「イラク特措法の延長は難しい」との見通しを示した。

 討論会後、山崎氏は記者団に、多国籍軍の駐留根拠である国連決議が十二月末で期限切れとなることも指摘した。

 公明党幹部も「そろそろイラクからの撤退時期を考えてもいい」と述べた。

 一方、政府・与党は海上自衛隊によるインド洋での給油活動については、八月中旬に召集する方針の臨時国会で、来年一月に失効する新テロ対策特別措置法(給油新法)の期限を延長する方針。

2008年5月24日 (土)

給油新法延長と派兵恒久法策定の二段構え

福田内閣は再議決のウルトラCを前提に、会期を引き延ばすために臨時国会の8月開会を企てているそうである。派兵給油新法の延長と、派兵恒久法の策定の二段構えで準備が始まった。東京新聞、毎日新聞、赤旗しんぶんの3紙から関連のニュースを採録した。(高田)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2008052402000136.html
臨時国会8月中旬に 政府・与党方針 給油新法改正案再可決見据え

2008年5月24日 朝刊

 政府・与党は二十三日、秋の臨時国会を八月中旬に召集する方針を固めた。政府が臨時国会に提出する予定の新テロ対策特別措置法(給油新法)の期限を延長する改正案を、二〇〇九年度予算編成と税制改正が本格化する十二月までに確実に成立させるためには、召集日を例年より大幅に前倒しする必要があると判断した。

 給油新法は海上自衛隊によるインド洋での給油活動の根拠法。一年間の時限立法のため来年一月十五日に失効するが、与党では「危険が少なく効果が大きい国際貢献。絶対に継続するべきだ」(公明党幹部)との意見が支配的だ。

 一方、民主党は「国連決議に基づかない活動は憲法違反だ」(小沢一郎代表)として給油新法に反対。主導権を握る参院では、参院送付後六十日で否決とみなす憲法の規定が適用される直前まで審議を引き延ばし、徹底抗戦した。改正案についても、同じ対応を取る可能性がある。

 自民党幹部は「給油新法改正案のみなし否決を前提に日程を組み立てていくと、そういう召集日になる」と指摘。公明党幹部も「妥当な線だ」と述べた。
給油新法延長 引き続き反対 民主・鳩山氏

 民主党の鳩山由紀夫幹事長は二十三日の記者会見で、来年一月に期限が切れる新テロ対策特別措置法の延長について「(民主党は)前回も反対した。反対を賛成に変える理由はまったく見あたらない」と、引き続き反対する考えを示した。


http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2008052402000127.html

自衛隊海外派遣恒久法 今国会中に与党要綱合意 法案提出めどなく

2008年5月24日 朝刊

 与党は二十三日、自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法に関するプロジェクトチーム(PT)の初会合を開いた。今国会中に法案の要綱をまとめることでは合意したものの国会提出のめどは立っていないままの状態での「見切り発車」となった。 (古田哲也)

 会合では、(1)現行憲法の範囲内とし、集団的自衛権の行使に関する政府解釈は変更しない(2)国会承認などで文民統制を確保する(3)国会提出する場合は内閣提出にする-で合意。六月十五日の国会会期末までに計六回の会合を開き、武器使用基準や国会承認の在り方などを要綱にまとめる。

 自民党の山崎拓前副総裁は、インド洋での給油活動を継続する新テロ対策特別措置法(給油新法)が来年一月に期限切れとなることを踏まえ、恒久法による活動継続を目指し、「臨時国会に提出できるよう環境整備したい」と強調した。だが、政府・与党が給油新法延長を念頭に臨時国会を八月中に召集する方針を固めたこともあり、恒久法制定の機運はしぼんでいる。公明党は「提出ありきで決め打ちしない」(山口那津男政調会長代理)と、依然として慎重姿勢だ。

 自民党は、民主党との政策協議も模索しているが、鳩山由紀夫幹事長は二十三日の記者会見で「こんな低支持率の福田内閣の下で仕上げることは不可能ではないか」と切り捨てている。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080524k0000m010100000c.html
自衛隊海外派遣:与党が「恒久法」PT初会合 公明は慎重

 自民、公明両党は23日、自衛隊の海外派遣の一般的要件を定める「恒久法」を検討する合同プロジェクトチーム(座長・山崎拓自民党前副総裁)の初会合を国会内で開いた。来年1月に期限切れとなる新テロ対策特別措置法などをその都度延長する事態を避けるため、今国会中に恒久法案の要綱を作成し、8月下旬に召集が検討される臨時国会に政府が法案提出できるように準備する。ただ、公明党は要綱作成まで容認するが、法案提出には慎重論が強く、見通しは不透明だ。

 会合では、恒久法検討に際し、(1)憲法の枠内にとどめ集団的自衛権行使に関する政府解釈を変更しない(2)国会承認など文民統制を確保する(3)法案を提出する場合は政府提出とする--との3原則を確認した。【西田進一郎】

毎日新聞 2008年5月23日 20時50分
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-05-24/2008052401_07_0.html
派兵恒久法
臨時国会に提出狙う
与党チーム初会合 今国会中に要綱

 自民党と公明党は二十三日、自衛隊の海外派兵を随時可能にする恒久法にかんする「与党プロジェクト・チーム」の初会合を国会内で開き、今国会中に法案要綱をまとめる方針を確認しました。

 同日、自民・民主・公明・国民新の国防関係議員でつくる「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」も会合を開き、恒久法の法案化を目指し協議を続けることを確認しました。六月十五日の通常国会会期末を控え派兵恒久法策定の動きが加速しています。

 与党チームの会合では、通常国会の期間中は週二回のペースで会合を開くことを確認。座長に就任した自民党の山崎拓前副総裁は「精力的に論議を進め、今国会中に政府の法案要綱を持つことができるように与党として議論を整理したい。次の臨時国会に政府が法案提出できるように環境整備をしたい」とのべ、必要な段階で政府・与党協議会を開くとしました。公明党の山口那津男参院議員も「(法案の)姿が見えてくるのは臨時国会の前ぐらい」としました。

 また、「憲法の範囲内とする。集団的自衛権の行使に関する解釈を変更しない」などとする検討の原則を確認。一方で、これまでの派兵法の「メニュー(類型)」に「警護」「治安維持」「船舶検査」を加え、それにあわせて「必要な武器使用権限(いわゆる『駆けつけ警護』や任務遂行のための武器使用など)についても検討」としており、海外での武力行使に道を開く危険な内容であることがあらためて浮かびあがりました。

2008年5月21日 (水)

ミサイル監視衛星も保有可能に 宇宙基本法が成立

ゲ、ゲ、ゲ!こんなスターウォーズ法が自公民3党合意だと衆参で2時間の実質審議で通ってしまうのだ。宇宙で専守防衛かよ。「憲法の平和主義の理念をふまえ」と入れたから大丈夫なんだって。これじゃあ、「憲法の平和主義の理念をふまえ、海外で戦争をやる」という戦争法だって通ってしまう。民主党にバンバン文句を言おう。(高田)
http://www.asahi.com/politics/update/0521/TKY200805210132.html
ミサイル監視衛星も保有可能に 宇宙基本法が成立

2008年05月21日12時25分

 宇宙の軍事利用も可能にする宇宙基本法が、21日の参院本会議で、共同提案した民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決・成立した。

 同法は宇宙開発を「我が国の安全保障に資するよう行わなければならない」と明記。宇宙開発が進む一方、高度なミサイル監視衛星を持つ可能性も生まれるなど、宇宙政策の転換点となりそうだ。

 また内閣に「宇宙開発戦略本部」を新設し、総合的な宇宙計画を作る。首相が本部長となって担当閣僚を置き、研究開発は文部科学省、産業振興は経済産業省にと分かれていた宇宙政策を集約する。

 自公両党は昨年6月、議員立法で今回とほぼ同じ内容の法案を提出。第1条に「憲法の平和主義の理念を踏まえ」との一文を加えたことで、民主党との共同提案にこぎ着けた。3党は審議で「宇宙開発は専守防衛の範囲内に限る」と強調、委員会の実質審議は衆参とも約2時間だった。

自衛隊恒久法、与党検討チームが23日に初会合

本日の日経紙の報道。赤旗も報道していたが、インターネットで採れない記事だった。
いよいよ、与党PTが発足する。山口さん、恒久法でも自民党に付いていくの?これでは加憲の看板が泣きますね。秋の臨時国会に法案を提出するという。反撃する運動の強化が急務だ。(高田)

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080521AT3S2001C20052008.html
自衛隊恒久法、与党検討チームが23日に初会合

 自民党の山崎拓外交調査会長と公明党の山口那津男外交安全保障調査会長は20日、国会内で会談し、自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法(一般法)に関する与党プロジェクトチームの初会合を23日に開く方針で合意した。今国会への法案提出は見送るが、秋の臨時国会への提出を視野に議論を進める。

 与党チームの座長には山崎氏が就任する。山崎氏は6月15日までの今国会会期中に恒久法の骨格か要綱を取りまとめ、秋の臨時国会への提出に備えたい考え。公明党側には慎重論が残っており、曲折も予想される。(07:03)

憲法審査会の始動ねらい/規程づくり要請へ/衆参議運委員長

日民党の笹川氏に民主党に西岡紙が同調したことが問題。以前から西岡氏は憲法審査会を始動させるべきとの意見を持っていたが、動き出した。(高田)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-05-21/2008052102_04_0.html
憲法審査会の始動ねらい/規程づくり要請へ/衆参議運委員長

 笹川堯衆院議運委員長は二十日、参院の西岡武夫参院議運委員長と会談し、憲法審査会の規程づくりを急ぐよう、来週にも衆参の各党議院運営委員に要請することを決めました。

 これに先立ち開かれた同日の衆院議院運営委員会理事会で自民党の小此木八郎理事は、「昨年の通常国会で改憲手続き法が成立しており国会の責任として憲法審査会を設置(始動)すべきだ」と述べ、参院側とも協議し「憲法審査会規程」の制定を今国会中に行うよう提起しました。

 日本共産党の佐々木憲昭議員は、国民は憲法改正を求めておらず、審査会始動はするべきではないと強く反対しました。

 民主党理事は、憲法審査会始動は、衆参同時でなければ意味がなく、昨年の改憲手続き法採決の経緯もあり、参院はそういう状況にないと述べました。

 二十一日に改めて議運理事懇で協議することになりました。

 昨年成立した改憲手続き法で憲法審査会は改憲原案を審査する権限を持つ機関として設置されましたが、委員定数などを定める規程が制定されておらず、立ち上っていません。「新憲法制定議員同盟」など改憲派は、同審査会の始動を最優先に位置づけてきました。

2008年5月20日 (火)

今、平和を語る:哲学者・梅原猛さん

毎日の大阪本社版の記事で、梅原さんが九条の会などについて語っている。梅原さんがこうしたことを語るのはあまり多くないので採録しておく。(高田)
http://mainichi.jp/select/wadai/heiwa/talk/news/20080428ddf012070018000c.html
今、平和を語る:哲学者・梅原猛さん
 ◇真の道徳教育が必要

 リベラル保守で知られる哲学者の梅原猛さん(83)は「最後の戦中派」として、腹の底から戦争を憎み、その一念から平和憲法を守る「九条の会」の呼びかけ人になった。愛国心教育に反対し、今こそ真の道徳教育が必要と説く、梅原さんに登場願った。<聞き手・広岩近広>
 ◇戦争を憎み、人類理想の憲法守る
 ◇19世紀的国家主義が復活しようとしている。「九条の会」参加を幅広く呼びかけ国民運動に。核戦争をなくし地球環境改善を最優先すべし。賢治、漱石、太宰…文学こそが最良の教科書だ。

 --大江健三郎さん、井上ひさしさんらと「九条の会」の呼びかけ人になられて間もなく4年になります。マルクス主義による国家体制を批判し、その崩壊を予言するなど、保守主義を通されてきた梅原さんが「九条の会」に参加されたのは。

 梅原 私は一貫して、社会主義には賛成してこなかったが、平和憲法は守らなければならない、そのうえで民主主義国家をつくっていくべきだと、ずっと主張してきました。私は憲法9条の支持者です。保守政党も憲法が成立したときは、そういう思想だった。ところが最近になって、憲法はアメリカから強要されたもので、日本の伝統が謳(うた)われていないなどという批判もあって、改憲の動きが出てきた。私に言わせたら、改憲派は19世紀の国家主義の原理を信じていて、日本を再び19世紀並みの国家主義を目指す国にしようとしているのではないか、と非常に危惧(きぐ)します。私は戦争中は国家主義を、戦後はマルクス主義を強く批判してきました。マルクス主義はつぶれたものの、またぞろ国家主義が復活しようとしているように思われてなりません。

 --そんな状況もあって「九条の会」が生まれました。

 梅原 どちらかといえば、社会主義者といわれた方々が多いですね。しかし私は、「9条を守る」「平和憲法を守る」という精神において、それらの人に劣りません。だから自分の信念で、9人の呼びかけ人の1人になったのです。ただ、もっと幅広い層の人たちに呼びかけて、平和を守る国民運動にしていく必要があると思っています。

 --日本を「普通の国」にするために、改憲が必要だとの意見があります。

 梅原 普通の国というのは、国家を絶対化する19世紀的国家主義の理念に従った国です。今は単なる国家主義では困ります。なぜなら核戦争や地球環境の問題があるからです。21世紀以後の世界は核戦争を避け、地球環境問題を解決することを最優先しなくてはいけない。それは国家を絶対とする憲法では不可能ではないですか。現在の憲法にこそ新しい人類の理想が盛られており、だから私は改憲に反対なのです。

 --少し補足説明を。

 梅原 地球環境問題という国家を超えた課題に対処していくには、カントが「永遠の平和のために」で提唱した「国家間の連帯によって平和を築く」理想に立たねばなりません。憲法にはカントの永久平和論に通じる恒久平和の理想、つまり人類の未来への理想が語られています。

 --改憲の前に教育基本法が改正され、先月に告示された小中学校の学習指導要領では「愛国心教育」を明記しています。

 梅原 愛国心は教えられるものではありません。真の道徳教育を通じて自然と育っていくものです。ドストエフスキーの小説でしたか、愛国者という者は国という観念のみを愛するだけで、国民を少しも愛さない者だとあります。国民を愛せない権力者に黙って従えというのが愛国心教育であれば、私は断固として反対ですね。

 --最初にありきの道徳教育はいかにして。

 梅原 私は文学を通して教えるのがいちばんいいと思う。生きとし生けるものの命がいかに大切かは宮沢賢治の童話「よだかの星」が語り、ウソをついてはいけないと語るのは夏目漱石の「坊っちゃん」です。約束を守る大切さは太宰治の「走れメロス」が語ってくれます。こうした文学による道徳教育こそが大切で、教育勅語に帰れというのはとんでもない。

 --道徳教育は子どもより、むしろ大人のほうが必要かもしれません。

 梅原 だいたい日本の政治家に愛国心があるような人は、ほとんどいないでしょう。理想が低くなって、私利私欲にはしっている。平気でウソをつく政治家も多い。

 --かつての日本の道徳教育はいかがでしたか。

 梅原 日本人は長い間、仏教や儒教や神道の思想を心の糧にしてきた。多神教の神仏習合ですね。生きとし生けるものを殺さない、平等でなければならない、これが基本です。だから日本の伝統は戦争の礼賛ではなく、平和を愛することなのです。平安時代は250年、徳川時代は300年も平和が続きました。こんな国は日本だけです。

 ところが明治政府は富国強兵を掲げて、国家神道という一神教にしてしまった。廃仏毀釈(きしゃく)です。このため平和と平等が奪われました。私が「神殺し」と呼ぶ廃仏毀釈は教育勅語と結びつき、国家主義を強めていった。その結果、とんでもない戦争をして、おびただしい数の人間が死んだではありませんか。

 --名古屋大空襲(1944年12月13日)を体験されたのですね。

 梅原 旧制八高生のときです。三菱発動機に勤労奉仕に行っていたのですが、私が入るはずの防空壕(ごう)に爆弾が直撃して大勢の中学生が座ったまま死にました。そして死骸(しがい)が吹き飛ばされて屋根の鉄骨の上に引っかかっているのを見て、深く戦争を憎みました。私は、原爆を落とした者と、特攻というおぞましい死の道具を考えた者を許すことができない。

 --戦争をしない、平和を愛する日本の伝統に戻るためには。

 梅原 真の道徳教育が必要です。道徳なしに国家の品格はありません。政治家は愛国心を口にする前に、日本の文化のすばらしさを勉強してほしい。伝統思想に従って、世界の平和と人類の繁栄に貢献するように努めてほしい。私は95歳まで生きて、親鸞と世阿弥というすばらしい日本人の人生を明らかにするとともに、これからの人類の生き方を説く哲学を作りたいと思っています。(専門編集委員)

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 毎月最終月曜日の夕刊に掲載、次回は5月26日の予定です。

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 osaka.yukan@mbx.mainichi.co.jp ファクス06・6346・8106

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 ■人物略歴
 ◇うめはら・たけし

 1925年、仙台市生まれ。京都大文学部哲学科卒業。立命館大教授、京都市立芸術大学長、国際日本文化研究センター初代所長を経て、現在は顧問。日本ペンクラブ会長を務め、1999年に文化勲章を受章。「隠された十字架」で毎日出版文化賞、「水底の歌」で大佛次郎賞をそれぞれ受賞。近著に「神と怨霊」(文芸春秋)。「梅原猛著作集」(小学館)など著書多数。

毎日新聞 2008年4月28日 大阪夕刊

内閣支持19%、不支持65% 朝日調査

内閣支持率がひきつづき急落している。朝日が19%で、読売が26.1%。この差も妙なものだが、両調査とも急落ぶりは同じだ。最近、内閣支持率について、ブログに載せる意欲を失い気味だ。傾向が同じで、「さもありなん」というだけだからだ。福田は進退窮まっているのではないか。伊吹幹事長までが、福田の支持率を茶化して発言する有様だ。(高田)

http://www.asahi.com/politics/update/0519/TKY200805190225.html
内閣支持19%、不支持65% 本社世論調査

2008年05月19日19時29分

 朝日新聞社が17、18の両日実施した全国世論調査(電話)によると、福田内閣の支持率は19%で、前回調査(4月30日、5月1日)の20%に続いて低い水準だった。不支持率は65%(前回59%)と内閣発足以来最高となった。一般財源化される道路財源の使い道について福田首相は「大きく変えることはできない」との答えが82%に達し、首相の実行力を疑問視する意見が大勢を占めた。

 ガソリン税を道路財源に使うための法案の再議決に先立って、09年度からの一般財源化を閣議決定した政府の対応を「評価する」が41%、「評価しない」は46%と、見方が分かれた。一方、民主党のガソリン税・道路財源問題への対応を「評価する」人は31%にとどまっており、民主党も得点を挙げたとはいえないようだ。

 また、後期高齢者医療制度で、これまで保険料を払う必要がなかった会社員などの扶養家族も含めて、10月以降、75歳以上のほぼ全員が保険料を徴収されることについては、反対が75%と賛成の17%を大きく上回った。

 さらに、低所得者の負担軽減などの見直しをしたうえで制度維持を図る政府・与党と、制度そのものの廃止を主張する野党のどちらを評価するかを聞いたところ、政府・与党の対応を評価する人が30%、野党の対応を評価する人は53%だった。

 衆院の解散・総選挙の時期については、「できるだけ早く総選挙の実施を」が49%、「急ぐ必要はない」が41%。今年2月の調査ではそれぞれ34%、56%だったが、数字が逆転した。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080519-OYT1T00650.htm
内閣支持率26・1%、発足以来最低を更新…読売世論調査
世論調査・支持率

 読売新聞社が17、18日に実施した全国世論調査(面接方式)によると、福田内閣の支持率は26・1%(前月比3・9ポイント減)に下落し、発足以来、最低を更新した。

 不支持率は64・7%(同6・3ポイント増)だった。

 内閣支持率を支持政党別に見ると、与党でも公明支持層で不支持率は5割強で、支持率の4割弱を上回った。支持政党のない無党派層は不支持率が76・1%を記録した。

 支持しない理由では「政治姿勢が評価できない」47%が最も多く、「経済政策が期待できない」45%などが続いた。

 支持率低下の背景には、ガソリン税の暫定税率復活や後期高齢者医療制度(長寿医療制度)導入への国民の強い不満がうかがえる。

 暫定税率復活について「良かった」と答えた人は25%にとどまり、「良くなかった」との答えは66%だった。後期高齢者医療制度に対しては「評価する」は30%で、「評価しない」は69%に上った。さらに制度導入に向けた政府の準備や説明が「不十分だった」と思う人は94%に達した。

 政党支持率は自民が28・5%(前月比2・1ポイント減)で民主の18・4%(同1・0ポイント増)を上回った。

 ただ、次期衆院選の比例代表選で投票しようと思う政党を聞いたところ、自民28%(同1ポイント減)と民主26%(同4ポイント増)が拮抗(きっこう)した。衆院選の時期については「できるだけ早く行う」が29%で最も多く、前月から6ポイント増えた。「任期満了までに」25%、「7月のサミット後」21%、「今年中」18%が続いた。
(2008年5月20日02時08分  読売新聞)

2008年5月17日 (土)

政府、臨時国会早期召集を検討・給油法延長など再可決にらむ

本日の日経新聞サイトからである。派兵恒久法での公明党との協議の遅れなどを見越して、とりあえず臨時国会で給油新法の延長を射程に入れ始めたうごきである。先の新法以降、全く民意を問わないままで衆院再議決をする等という法外なことを許すことはできない。支持率10%台にまで落ち込んだ福田内閣はただちに解散をして民意を問うべきである。
2つめの記事は赤旗紙で、自民党PTの山崎氏は難航していた与党PTを来週中に設置し、今国会中に恒久法の与党要綱案を出すと福田首相に述べたという。
3つめの記事は北海道新聞の記事で、防衛省が防衛法制に関する検討委員会を設けるという話である。(高田)

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080517AT3S1602616052008.html
政府、臨時国会早期召集を検討・給油法延長など再可決にらむ

 政府・与党は野党との対決法案の成立を先送りすることを受け、秋の臨時国会をできるだけ早期に召集する方向で検討に入った。インド洋での給油活動特別措置法の延長措置をはじめ、憲法の「60日ルール」に基づく衆院再可決を視野に入れざるを得ない重要法案がそろっているためだ。

 「海上自衛隊派遣の活動延長は60日ルールを使わざるを得ない。それを前提に臨時国会のスケジュールを考えないといけない」。自民党の大島理森、公明党の漆原良夫両国会対策委員長は15日、福田康夫首相にこう伝えた。「12月は予算編成に集中してほしい」と、臨時国会の会期を11月末までにしたい意向も示した。(07:02)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-05-17/2008051701_05_0.html
今国会中に要綱案
自民座長が首相に報告

 福田康夫首相は十六日、自衛隊の海外派兵をいつでも可能にする恒久法の制定について、自民党プロジェクトチーム(PT)の山崎拓座長と首相官邸で会い、検討状況の説明を受けました。山崎氏は与党のPTを来週設置し、六月十五日までの今国会会期末までに要綱案を策定したいとの考えを伝えました。首相は「公明党とよく協議して取り組んでほしい」と指示しました。

 派兵恒久法で自民党は、これまでの派兵法の単なる延長ではなく、武器使用基準の緩和や活動類型の拡大などを通じて、海外での武力行使に道を開くことを狙っています。

 自民党は当初、与党PTを二月下旬に発足させる予定でしたが、海上自衛隊のイージス艦衝突事故や国会情勢の影響で遅れていました。

 与党などは、新テロ特措法の期限が来年一月に切れることから年内にも恒久法を制定しようと狙っています。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/93223.html?_nva=14
自衛隊の武器使用基準を検討 防衛省が委員会設置 恒久法制定にらむ(05/17 00:00)

 防衛省は十六日、自衛隊関係の法律全般を検証する「防衛法制に関する検討委員会」(委員長・寺田稔政務官)を設置した。自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法制定の議論本格化に備え、武器使用基準のあり方など、同省としての見解をまとめる。

 同検討委は背広組から事務次官と局長・審議官クラス、制服組から統合、陸海空四幕僚長ら計約十人で構成。

 省内で開かれた初会合では寺田氏が「米同時テロ以降の多様な事態に対処しなければならない。法制面の検討なくして自衛隊の将来の姿は描けない」とあいさつし、自衛隊関連法制の改正に、同省が積極的にかかわる考えを示した。

 また同日の会合では、テロ攻撃の恐れがあるハイジャック機への警戒監視や、宇宙の防衛利用などで、法的不備があれば関連法改正を目指すことも確認した。

2008年5月14日 (水)

世論調査のひとつの見方

北海道新聞のコラム「卓上四季」に載っていた記事を見つけた。読売と北海道新聞(朝日も同類形)の一般的改憲についての数値の相違をどう読み解くかを筆者も考えていただけに参考になる文章であった。
9条についてはこの指摘で間違いないと思う。一般的改憲が多いことが、環境や貧困についての願いの表現だとすれば、これは9条護憲派の運動のあり方への問題提起として受け止めるべきであろうか。私たちは幸福追求権や25条の活用で現行憲法を生かして行こうという声をもっと9条との関係で強調して行かなくてはならないのではないか。
「護憲的改憲論」というのは東大の大沼教授の表現で手あかが付いてしまっているから、あまり頂けないが。(高田)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/fourseasons/90700.html?_nva=13
改憲論(5月3日)

北海道新聞社が行った道民世論調査で、改憲を容認する人が71%を占めた。先月の読売新聞の全国調査では、改憲への賛成は43%だった。北海道はずいぶん高い。どう考えたらいいのだろう▼道内の数字を眺めると見当がつく。改憲を認める人の中でも九条への支持は多い。改憲して戦力保持を明記するべきだとする回答は31%にとどまった。改憲を認める七割のうちの三割だから、全体では二割余りになる▼「改憲容認」は七割。「戦力保持の明記へ改憲」は二割。同じ調査の表と裏だ。どちらを見るかで印象が変わる。ともあれ、戦力不保持の削除を含む自民党憲法草案などと共通の意味での「改憲派」は、多くはないことになる▼九条改憲に反対して、旧防衛庁の竹岡勝美・元官房長も書いていた。「(戦後)日本が一人の外国兵も殺さず、一人の自衛隊員も殺されなかった世界に誇る名誉の看板は、取り外すべきではない」(「我、自衛隊を愛す 故に、憲法9条を守る」かもがわ出版)▼一方で、憲法も時代と共に変化した方がいいと考える人は多かった。貧困が深刻になる。地球環境への貢献が問われる。こうした問題を解決するため憲法を生かしたい、といった願いが見て取れるようだ▼平和条項を前提にして、憲法の将来を考える。「護憲的改憲論」とでも呼ぶのだろうか。改憲を認める人の中にも、少なくない考えだと思う。

2008年5月12日 (月)

福田内閣の分析

毎日紙の分析である。参考までに掲載する。(高田)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080512ddm001010071000c.html
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080512ddm003010054000c.html
読む政治:内閣支持率低下(その1) かえって結束
 ◇首相「何があっても、解散も辞職もしない」
 ◇「みのさんに理解してもらわないと…」

 ガソリン(揮発油)税の暫定税率が復活した直後のマスコミ各社の世論調査で、内閣支持率はさらに下がり、毎日新聞では18%を記録した。極めて低い水準で政権に黄色信号がともった。支持率低下の動揺が解散回避の一点で、かえって自民党の結束を促している。

 衆院山口2区補選で自民党候補が敗れた4月27日夜、福田康夫首相はひそかに首相公邸に森喜朗元首相、青木幹雄前参院議員会長を呼んだ。

 首相は2人に「国内の政治状況で外交日程がなかなか決められない」とぼやいた。そして首相はこう続けた。「何があっても、衆院解散も内閣総辞職もしない」「支持率は気にせず、外交を粛々と進めていく」

 首相の弱気を心配していた森、青木両氏には安堵(あんど)のセリフで、いきおい話題は内閣改造に及んだ。3人は改造時期を巡り▽北海道洞爺湖サミットより前▽サミット直後▽党役員改選期の9月--の各案について意見交換したという。

 青木氏は「支持率なんて気にしたって仕方ないわね」と周囲に語る。青木氏の「100%理論」。世論調査の支持率が低くても、党内の支持率と合わせて100%になれば、政権は維持できるというものだ。人事で人心を掌握する改造がその決め手というわけだ。

 この会談は党内の動揺を先手を打って封じ込めようという、実力者の腹合わせだった。

 しかし、その翌28日、国会内で開かれた首相と公明党の太田昭宏代表らとの党首会談。公明党の出席者からこんな指摘が出された。

 「新聞の論説委員だけに理解してもらっても仕方がない。みのもんたさんに理解してもらわないといけない」

 日銀総裁人事での武藤敏郎副総裁の昇格提案などで、首相は新聞の社説から比較的、好意的な評価を受けた。しかし、テレビ番組の人気司会者から批判を受ければ、支持率上昇はないという懸念だ。

 特にガソリン価格や後期高齢者医療制度などの生活テーマでは、自民党もテレビに神経をとがらせる。党の部会などでは「朝の番組でみのさんが、民主党と同じ主張をした」などと話題になり、「テレビ出演する議員は、執行部が人選して弁の立つ人を送り込め」などの注文も出る。

 7日の津島派幹部会。津島雄二会長は「『次の選挙では自民党に入れない』という人が増えている。地殻変動が起きている」と語った。連休中に選挙区でベテラン議員が感じた支持率低下を裏付ける逆風。多くの自民党議員の共通認識だろう。

毎日新聞 2008年5月12日 東京朝刊
読む政治:内閣支持率低下(その2止) 反転なるか

 <1面からつづく>
 ◇森内閣は20%以下で持続/「外交カード」で上昇狙う

 解散回避で自民党内の結束を保っても、議員の動揺がいつマグマになって噴き出すかわからない。18%は歴代政権を見ても「政権末期」の数字だ。

 さらに「ねじれ国会」で野党の圧力が強く、今の通常国会を乗り切っても秋の臨時国会、来年の通常国会とハードルは高い。

 佐藤栄作、田中角栄、鈴木善幸各内閣は支持率20%を割って3カ月以内に退陣。竹下登、森喜朗両内閣は10%台からさらに9%まで下がり、宮沢喜一内閣の退陣直近の支持率は14、12、18%だった。

 福田内閣の今後を読む場合、森内閣が参考になるだろう。00年4月に支持率40%でスタートし「日本は神の国」という森氏の問題発言を受け、5月に20%に下落。その後20%を超えることはなかったが、1年間政権を維持した。00年11月に非主流派の加藤紘一元幹事長が森退陣を要求する「加藤の乱」を起こすが、主流派が数の力で抑え込んだ。

 その後、「ポスト森」の動きも、加藤氏の失敗にこりて「出ればつぶされる」と顕在化しなかった。この様子見の状況も、現在の「ポスト福田」候補の動きと似ている。しかし、年が明けると主流派は一転して「森おろし」に動き、01年4月に退陣に追い込んだ。7月に参院選を控え「森首相では勝てない」と判断したためだ。

 つまり、低支持率でも首相が「辞めない」と踏ん張れば政権維持は可能だが、選挙が近くなっても低いままでは「選挙の顔」にならないと、退陣包囲網を張られてしまう。森首相の退陣時の官房長官は福田首相だ。福田氏は、「支持率が1けたになった時に内閣は持たないと思った」と周囲に語ったことがある。

    ◆

 過去の例を見る限り支持率の反転は容易なことではないが、このまま回復しないとは言い切れない。

 「今回の外交成果が内閣支持率のアップにつながると思うか」

 中国の胡錦濤国家主席との首脳会談を終えた福田首相は7日夕、記者団から単刀直入にこう質問された。

 「あなたは自分のために仕事をしているわけではないでしょ?」

 首相は記者とのやりとりを切り上げてしまった。「支持率のために政治をしているのではない」という不快感だが、首相は「今の若い記者は」と、森氏らにも不満をぶちまけたという。実際、中国国家主席との会談が支持率上昇につながるか不明で、13日の道路整備財源特例法改正案の再可決に対する批判で、上昇分が吸収されてしまうかもしれない。

 ただ、北海道洞爺湖サミットは政権浮揚の有力カードであり、北朝鮮政策などで新たな外交カードを切る可能性も否定できない。

 歴代内閣で20%割れの逆境を一時的にせよはね返したのは、小渕恵三内閣だ。

 参院では過半数を割り、凡人、冷めたピザと酷評の中での支持率25%のスタートだった。16%、18%、16%と続くが、自由党との連立を機に30%に倍増。公明党との連立で48%にまで上昇したこともあった。小渕政権の番頭格だった野中広務元官房長官は「小渕さんの着実な姿勢が徐々に評価された。福田さんも仕事はきっちりやっており、日中首脳会談も評価すべきだ。もう少し何をしたいかはっきりさせるべきだ」と言う。

 政策研究大学院大の竹中治堅(はるかた)准教授は、支持率上昇の可能性にも言及する。

 「福田首相は世論の声に応えていない。世論に応えるということは迎合とは違う。小泉純一郎元首相の場合、郵政民営化を打ち出した結果、世論が歓迎した。迎合するための郵政民営化ではなかった。首相は道路特定財源の一般財源化を打ち出したが、やる気があるなら、政権発足当初から言わないといけない。世論に動かされるのでは駄目だ。首相が『これを頑張る』と言って実際に頑張れば、世論は支持すると思う」<読む政治は、政治部・犬飼直幸 世論調査室・中山裕司、田村佳子が担当しました>
 ◇世論調査 小選挙区導入で重み

 自民党も民主党も独自に世論調査を実施して政策判断や候補者選びに利用している。背景には96年衆院選から始まった小選挙区制の導入と政党の組織力低下がある。中選挙区時代は、同じ選挙区で自民党が複数候補を擁立。派閥単位の争いという性格が強く、有権者は人物本位で投票する傾向があった。小選挙区では候補は各党1人で、投票は政党単位の選択となる。党首の魅力に選挙結果が大きく左右される。

 小泉氏が郵政民営化を争点に解散に踏み切り、自民党が圧勝した05年衆院選がその典型だ。国民の人気を知る手段として、世論調査に頼らざるを得なくなった。その傾向に、政党支持組織の衰退が拍車をかけた。

 早稲田大学政治経済学部の谷藤悦史教授は「社員の組織化の難しい第3次産業が盛んとなり、政党の系列団体や労働組合が衰退した。政党も『個人』を相手にした世論調査をするようになった」と指摘する。

 「自民党をぶっ壊す」と宣言した小泉氏の5年半で、業界団体の自民党離れは進み、「風」に頼らざるを得なくなっている。野中元官房長官も「世論調査を気にしているのは小泉・安倍(晋三)政権以後のことだ」と言う。

 世論調査が本格的に広まったのは戦後、連合国軍総司令部(GHQ)が普及を指導してからだ。調査の持つ意味は時代とともに変わっている。谷藤教授は「かつては政策の成果を問うものだったが、今は世論調査の結果を受けてから政策が選択される。時代の流れが速くなり、短い期間で成果が出ないと、国民も満足しない」と話す。

==============

 ◆暫定税率再可決後の各社内閣支持率(%)◆

     支持   不支持

毎日新聞 18   61

朝日新聞 20   59

日経新聞 21   68

共同通信 19.8 66.6

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◆毎日新聞調査による歴代内閣の発足時と退陣前の支持率(%)◆

      支持      不支持

内閣    発足時 退陣前 発足時 退陣前

吉田茂   55  38  14  35

鳩山一郎  35  34  14  33

石橋湛山   -   -   -   -

岸信介   46  28  24  34

池田勇人  40  33  26  36

佐藤栄作  46  19  18  46

田中角栄  53  18  13  48

三木武夫  47  32  12  30

福田赳夫  27  25  38  29

大平正芳  27  21  24  46

鈴木善幸  38  16  21  35

中曽根康弘 39  30  31  30

竹下登   30   9  20  63

宇野宗佑  22   -  40   -

海部俊樹  31  36  27  24

宮沢喜一  31  18  22  49

細川護熙  75  74   9  12

羽田孜   43   -  23   -

村山富市  40  24  31  37

橋本龍太郎 59  27  16  41

小渕恵三  25  28  48  43

森喜朗   40   9  24  75

小泉純一郎 85  45   5  37

安倍晋三  67  29  16  58

 (注)宇野、羽田の両内閣は在任中1回しか調査がなく、石橋内閣は在任中の調査がなかった。吉田内閣の発足時の数字は、第3次内閣のもの。支持20%未満は太字にした。

毎日新聞 2008年5月12日 東京朝刊

派兵恒久法へあせる読売社説

本日の読売の社説である。突然のように「許されない」などと大上段から公明党、民主党を批判し、若手議員の会を持ち上げ、死に体になった安倍「安保法制懇」答申への期待を表明した。秋の臨時国会に向けて、何とか動きを作り出したいとの読売の焦燥感が露出している。
先の名古屋高裁判決などの流れを受けて、こうした動きを許さない運動を強めよう。(高田)

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080511-OYT1T00725.htm
自衛隊恒久法 「泥縄」の対応は許されない(5月12日付・読売社説)

 「テロとの戦い」を着実に継続するためにも、泥縄式の対応を繰り返すことは許されない。

 自衛隊の海外派遣に関する恒久法の検討作業が大幅に遅れている。

 インド洋での海自の給油活動の根拠である新テロ対策特別措置法は、来年1月に期限が切れる。今秋の臨時国会で、新テロ特措法に代えて恒久法を整備するには、残された時間は決して長くない。

 早急に与党のプロジェクトチーム(PT)を設置し、具体的な検討を開始すべきだ。

 与党は当初、2月末にPTを設置する予定だった。ところが、海上自衛隊イージス艦の漁船衝突事故を受けて、公明党がPT設置に「今は、その環境にない」などと難色を示した。いまだにPTは発足していない。

 今国会中に法案の要綱ないし骨子を策定しなければ、秋の臨時国会前の法案化は困難になる。その場合、政府の対応は新テロ特措法延長などに限定されてしまう。

 イージス艦事故などは、恒久法とは全く別の問題だ。公明党は与党PT設置に前向きに対応してもらいたい。

 民主党も、恒久法論議に積極的に加わるべきである。

 民主党は、自衛隊の国際平和協力活動の本来任務化に賛成した。新テロ特措法の対案には恒久法整備の方針も盛り込んだ。対案は参院で可決され、衆院で継続審議となっている。党派を超えて、国際協力のあり方を考える時だ。

 どんな場合に自衛隊を海外に派遣するのか。どんな任務を担わせるのか。大いに議論すべきだ。

 4月下旬には、自民、民主、公明など超党派の議員連盟「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」が3年ぶりに活動を再開した。約110人が名を連ね、週1回、恒久法や集団的自衛権の問題などの勉強会を開くという。

 恒久法論議の活性化に、側面から貢献してほしい。

 忘れてならないのは、政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の作業だ。柳井俊二・元駐米大使が座長を務めている。

 安倍政権時に発足し、昨年8月以降は会合を開いていないが、いずれ懇談会の報告書を福田首相に提出することが決まっている。

 報告書は、自衛隊の国際平和協力活動に関して、自衛官の武器使用基準を国際標準に緩和することなどを提言する見通しだ。提言は当然、今後の恒久法論議にきちんと反映させるべきだろう。
(2008年5月12日01時49分  読売新聞)

2008年5月11日 (日)

社説ウオッチング:憲法記念日 「9条改正」主張なし

毎日の社説ウォッチングである。
商業紙のプロ記者が折角書くのなら地方紙の動向にも注意を払ってもらいたかったところだが。本ブログでもすでに紹介したが、この特徴の指摘はだいたい妥当であろう。(高田)

http://mainichi.jp/select/opinion/watching/
社説ウオッチング:憲法記念日 「9条改正」主張なし
 ◇「9条改正」主張なし--各紙
 ◇生存権の侵害に警鐘--毎日

 61回目の憲法記念日の3日、各紙は社説で一斉に憲法を取り上げた。昨年の60回目の記念日は「戦後レジームからの脱却」を掲げた安倍晋三首相が憲法改正を7月の参院選の争点にする、と意気込み、憲法改正の手続き法である国民投票法案が成立直前だったため、各社とも戦争放棄と軍隊不保持をうたった9条問題への言及が中心だったが、今年は福田康夫首相が改憲路線とは一線を画し、各社世論調査でも改憲反対が増えた中で、改憲を主張する読売、日経、産経が正面切っての9条改正論を打ち出さず、衆参ねじれ国会打開のための2院制改革などに焦点を移したのが特徴だ。一方、ワーキングプアや非正規労働者の激増という新しい貧困がクローズアップされる中、毎日、朝日、東京は憲法前文や25条が定める生存権をいかに生かすか、という新たな視点で憲法の血肉化を求めた。また、3紙は表現の自由を守る大切さを訴え、毎日は「ことなかれ」世論に警鐘を鳴らした。
 ◇2院制のあり方焦点

 94年に憲法改正試案を発表後、一貫して改憲を訴える読売は、昨年5月の国民投票法成立で衆参両院に設置された憲法審査会がまったく動いていない、と批判。2010年に憲法改正発議が可能になるが「これ以上、遅延させては、国会議員としての職務放棄に等しい」と断じた。また「ねじれ国会」打破のために2院制のあり方を「大いに論議してもらいたい」と注文した。しかし、あれほど熱心だった「9条改正」「安全保障」の文言は見当たらない。新聞社は重要な節目には通常2本で構成する社説を長文の1本社説にするが、この日の読売は2本社説で、風向きの変化を印象付けた。

 日経も「ねじれ国会の迷走を貴重な教訓」に衆院再可決の要件を3分の2から過半数に緩和する59条改正を改めて主張。1本社説の大半を2院制改革論にあてた。
 ◇産経「9条解釈変更を」

 産経は4月に中東イエメン沖で日本郵船の大型タンカーが海賊に襲われ被弾したのに、周辺海域で多国籍軍への給油活動を行っていた海上自衛隊の補給艦と護衛艦が憲法の制約で撃退できなかったことを取り上げ、「憲法守って国滅ぶである」「海賊も撃退できない憲法解釈がいかにおかしなものか」と悲憤慷慨(こうがい)したが、解釈改憲で対応可能とし、正面切っては9条改正を主張しなかった。

 読売、産経の社説に世論の変化の影響が読み取れる。各社世論調査を見てみよう。読売調査(3月15、16日)は改憲賛成が42・5%、改正反対が43・1%と93年以来では初めて非改正派が改正派を上回った。日経調査(4月18~20日)は「改正すべき」が48%、「現在のままでよい」43%だが、前回(07年4月)比で改正支持は3ポイント低下、現状維持支持は8ポイント上昇した。朝日も改憲派が07年の58%から56%へ、護憲派が27%から31%。同様の傾向を見せた。特徴的なのは朝日調査で9条改正反対が昨年の49%から66%に激増し、改正賛成が33%から23%に減ったことだ。毎日は「あれほど盛んだった改憲論議が、今年はすっかりカゲをひそめてしまった。国民の関心は憲法よりも、暮らしに向かっている」と解説する。

 毎日、朝日、東京は生存権にスポットライトを当てた。

 毎日はイラクの航空自衛隊の活動に対する名古屋高裁の違憲判決が憲法前文の「平和のうちに生存する権利」を法的権利と認めたことに触れ「ダイナミックにとらえ直された『生存権』。その視点から現状を見れば、違憲状態が疑われることばかりではないか」と指摘。後期高齢者医療制度、ワーキングプア、消えた年金などを例示して「『生存権』の侵害に監視を強める地道な努力」を訴えた。

 東京は憲法25条が「すべて国民は、健康で文化的な生活を営む権利を有する」とあるのに、生活保護辞退の強制などが相次ぐ現状を「弱者に対する視線の変化」として「行き過ぎた市場主義、能力主義が『富める者はますます富み、貧しい者はなかなか浮かび上がれない』社会を到来させ」たと分析した。

 朝日も雇用、社会保険、公的扶助の3段階のセーフティーネットの脆弱(ぜいじゃく)さを問題にした。年収200万円に満たずワーキングプアとされる労働者が1000万人を超え、非正規労働者が働く人の3分の1を占める中、「憲法と現実との間にできてしまった深い溝」を埋める必要性を訴えた。
 ◇表現の自由の危機

 右翼のいやがらせへの懸念を理由に、裁判所決定を無視し、日教組の集会を拒んだ東京のホテル。国会議員の介入を機に映画館の上映中止が相次いだ映画「靖国」。毎日は「『面倒は避けたい』と思うのは人情だ。しかし、このとめどもない『ことなかれ』の連鎖はいったいどうしたことか。意識して抵抗しないと基本的人権は守れない。私たちの現状は、やや無自覚に過ぎるように見える」と、集会の自由、表現の自由が脅かされている問題を「『ことなかれ』に決別を」のメーン見出しで取り上げた。【紙面研究本部・長田達治】

2008年5月 9日 (金)

9条に世界からエール 初の世界会議に2万人

本日の朝日の記事である。5/4~6の熱気が冷めやらぬ記事。しっかりとした立場で書かれている良い記事である。(高田)
http://www.asahi.com/national/update/0509/TKY200805080312.html

9条に世界からエール 初の世界会議に2万人
2008年05月09日03時01分

 戦争の放棄をうたう憲法9条に、世界で平和運動に取り組む人たちがエールを送っている。千葉市の幕張メッセで6日まで開かれた初の「9条世界会議」は約2万2千人が訪れた。なぜ9条なのか。海外から来たゲストは「支持するのは、あなたたちだけじゃない」と日本の参加者を勇気づけた。

 会議初日の4日。予想以上の人出で会場に入れなかった人々のもとに、基調講演を終えたアメリカの平和運動家が駆けつけた。

 「9条を広めるために私は来た。日本はひとりぼっちではない。世界から支持されているのです」

 99年にハーグ平和市民会議を開いたコーラ・ワイスさん。21世紀の世界のあり方を模索した同会議には、100カ国以上のNGOが参加し、「9条を見習うべきだ」と宣言した。そのワイスさんの励ましに何度も拍手がわいた。

 9条世界会議は、「世界がもし100人の村だったら」の著者池田香代子さんらが中心となり、井上ひさしさん、ピーコさんら約90人が呼びかけ人に名を連ねた。

 国際貢献のためには日本も血を流す必要がある――そんな改憲派の主張は本当なのか。「それを確かめたかった」と、実行委員でピースボート共同代表の吉岡達也さんは趣旨を語る。海外のゲストは31の国と地域からノーベル平和賞受賞者や大学教授ら150人余りがやってきた。

 答えの一つはイラクから寄せられた。

 イラクで人道支援をしているカーシム・トゥルキさんは「戦争のない世界をつくる」と題された全体会で体験を語った。03年の開戦時、共和国防衛隊として米軍と戦った。兄もいとこも友人も失った。「軍は国民を守ると教えられたが、そうではなかった。非暴力こそ人々を守る最善の方法だ」

 そのイラクに派遣された元米兵のエイダン・デルガドさん。アブグレイブ刑務所での虐待を見て、兵役を拒否した。「9条は国際的な問題だ。同じ道を歩いていこうと決意した」

 中国・韓国・台湾などからは、9条は戦後日本の対外公約だ、というメッセージが異口同音に語られた。

 現実として世界有数の「軍事力」を持っている日本。台湾で憲法に平和条項を入れる運動をしているピースタイム財団理事の徐斯倹さんは「もし日本が9条を放棄すれば、周辺に悪いシグナルを送ることになる」と語った。「アジアのなかの9条」という分科会で韓国の聖公会大教授・権赫泰さんはこう発言した。「9条は日本だけのものではないのです」。(谷津憲郎)

5月3日、新聞各紙社説紹介

この間、運動の多忙さの故に手抜きになっていたが、遅ればせながら5月3日の各紙社説を拾った。読売、日経、産経、朝日、毎日、東京、北海道、神奈川各紙である。
特徴は改憲派の読売、日経が9条改憲論を正面から展開できずに、衆参ねじれ国会状況に引っかけて二院制のあり方を論じて改憲へと誘導しようとしていること(産経は海賊事件に例を借りて、自衛隊派兵改憲を主張したが)、朝日や各地方紙が、この1年で憲法状況が大きく変化したことを指摘し、9条護憲の意見が国民の間で急増していることや、貧困と深刻な格差社会、名古屋高裁判決、立川反戦ビラ判決、プリンスホテル問題などに触れ、「憲法と現実の乖離」を指摘し、9条だけでなく、21条や25条の問題でも、憲法の理念を実現することを主張していることである。
この間、9条改憲論の根拠として強大な自衛隊保持などの現実と憲法の乖離が主張され、憲法を現実にあわせるための改憲が語られてきた。ではお聞きしたい、21条や、25条での現実との乖離も改憲派の諸君は憲法を現実にあわせろと主張するのだろうか。これらの深刻な乖離は名古屋高裁判決を受けての福田首相の発言や海上幕僚長の「関係ねえ」発言にみられるように、憲法無視、立憲主義の否定の態度と共通する問題である。各紙社説氏は、こうした指摘を5月3日の一時の憲法論に終わらせるのではなく、ジャーナリズムの使命としての恒常的な権力批判として展開しなければならない。この社会の現状にはマスマディアにもまた重大な責任があるからだ。
地方紙各紙の社説を集めたNPJの資料は迫力がある。
http://www.news-pj.net/siryou/shasetsu/2008.html#anchor-kenpou(高田)


http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080502-OYT1T00753.htm

憲法記念日 論議を休止してはならない(5月3日付・読売社説)

 この国はこれで大丈夫なのか――日本政治が混迷し機能不全に陥っている今こそ、活発な憲法論議を通じ、国家の骨組みを再点検したい。

 昨年5月、憲法改正手続きを定めた国民投票法が成立し、新しい憲法制定への基盤が整った。

 ところが、同法に基づいて衆参両院に設置された憲法審査会は、衆参ねじれ国会の下、民主党の消極的姿勢もあって、まったく動いていない。

 超党派の「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根元首相)が1日主催した大会に、顧問の鳩山民主党幹事長らが欠席したのも、対決型国会の余波だろう。

 大会では、憲法改正発議に向けて憲法問題を議論する憲法審査会を、一日も早く始動させるよう求める決議を採択した。これ以上、遅延させては、国会議員としての職務放棄に等しい。

 与野党は、審査会の運営方法などを定める規程の策定を急ぎ、審議を早期に開始すべきだ。

 憲法審査会で論じ合わねばならぬテーマは、山ほどある。二院制のあり方も、その一つだ。

 現行憲法は、衆参ねじれ国会を想定してはいた。例えば、憲法59条。衆院で可決した法案を参院で否決、または60日以内に議決しない場合、衆院は3分の2以上の賛成多数で法案を再可決し、成立させることができる。

 政府・与党は、これに基づき、インド洋での海上自衛隊の給油活動再開のための新テロ対策特別措置法と、ガソリン税の暫定税率を復活させるための税制関連法をそれぞれ再可決、成立させた。

 この再可決は、憲法の規定上、何の問題もない。

 かつて、参院議長の私的諮問機関は、参院改革の一環として、衆院の再可決要件を、「3分の2以上」から「過半数」に緩和することを提言した。自民党が新憲法草案を作成する過程でも、同様の案が一時、浮上した。

 もちろん、こうした改革には憲法改正が必要で、直ちに実現できることではない。

 ただ、参院の機能は、衆院に比べてあまりに強すぎないか。衆参両院の役割分担を見直す必要はないか。与野党には、こうした憲法改正にかかわる問題を大いに論議してもらいたい。

 衆参ねじれ国会は、国として迅速にしなければならぬ意思決定を困難にしている。こうした国会機能をめぐる議論を積み重ねることが、新しい国会ルールの形成にもつながるのではないか。
(2008年5月3日01時45分  読売新聞)

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20080502AS1K3000302052008.html
日経新聞 社説 憲法改正で二院制を抜本的に見直そう(5/3)

 衆参両院の多数派が異なるねじれ国会で政局が迷走する中で、61回目の憲法記念日を迎えた。現行の二院制度は日本国憲法の最大の欠陥である。議院内閣制がきちんと機能するように憲法を改正し、よりよい二院制度をめざしたい。ねじれ国会の迷走を貴重な教訓として憲法改正論議に生かすべきである。

 私たちはかねて、参院が大きな権限を持つ現行制度の下では議院内閣制が立ち往生しかねないと指摘してきた。そうした懸念が現実となったのがねじれ国会の迷走である。

衆院の優越より明確に

 テロ防止のための国際協力に4カ月近くの空白が生じた。日銀総裁の決定も混迷に混迷を重ねた。予算を執行するための関連法案の成立も容易でない状況が続いている。

 現在は与党が衆院で3分の2以上の多数を握っており、参院で法案が否決されるか、2カ月以内に議決しない場合に衆院で再可決できるので国政の混乱もまだこの程度で収まっている。しかし、与党が衆院で3分の2以上の勢力を持つのは極めてまれである。与党が衆院で単なる過半数しか持っていない場合、政治はたちまち行き詰まってしまう。

 議院内閣制は衆院多数派が内閣を組織し、国会と国民に責任を負う仕組みだ。参院はこれに対する「チェック機関」「再考の府」であり、参院が強大な権限を持つと議院内閣制の趣旨は貫徹できなくなる。現行憲法は首相指名、予算、条約承認で衆院の優越を明確に認めているが、普通の法案については衆院の3分の2の再可決規定があるだけである。

 衆院の優越規定がそれだけでは明らかに不十分である。予算が成立しても歳入などの裏付けとなる関連法案が成立しなければ予算執行に支障が出る。条約が承認されても関連の国内法が成立しなければ実際の効力が発生しないケースも出てくる。国会同意人事も最終的には内閣の責任になるのだから衆院の優越を認めないのは不自然である。

 英国の上院は貴族院であり、ドイツの連邦参議院は州政府の代表で構成されている。いずれも国民の直接選挙ではなく、その分、権限は制約されている。一方、イタリアの上院は国民の直接選挙で下院と完全に同等の権限を持っており、解散の場合は常に上下両院同時である。解散がないのに大きな権限を持つ日本の参院は世界的に見ても異様である。

 私たちは衆院の優越をより明確にするため憲法59条を改正し、衆院の再可決の要件を3分の2から過半数に緩和すべきだと主張してきた。参院に従来通り2カ月の審議期間を保証すれば、チェック機関、再考の府としての機能は十分に果たせるはずである。道路特定財源問題では参院が2カ月間審議を引き延ばした結果、内閣は再可決の条件整備のために一般財源化方針に踏み切らざるを得なくなったのが一例である。

 現行の二院制度を前提とする限り、ねじれを解消する手段は最終的に衆院第一党と参院第一党の大連立しかないだろう。衆院選の民意を踏まえた結果なら大連立もやむを得ないと考えるが、大連立が常態化するのは好ましくない。議院内閣制はやはり二大政党による政権交代可能な政治体制が基本である。

 憲法を改正して参院の権限を縮小し、衆院の優越をより明確にするのに合わせて、参院の選挙制度も抜本的に見直すべきである。現行の3年ごとの半数改選は米国上院をまねたものでほとんど無意味だ。6年の任期も長すぎる。全国単位の比例代表制は廃止した方がいい。

参院は地方代表で構成

 衆院議員が全国民の代表とするなら、参院議員はドイツのように地方の代表として位置づける。将来の道州制導入をにらんでブロックごとの比例代表選挙か、あるいは直接選挙をやめて間接選挙とし、総定数は100人程度とする。このような案も一考に値しよう。

 自民党は2005年に新憲法草案を公表したが、参院の改革には全く触れていない。民主党も憲法に関する基本的な考え方をまとめているが、参院のあり方への言及がない。両党ともこれまで参院をタブー視して党内議論を封じ込めてきた。ねじれ国会の迷走はそうした両党の姿勢に反省を迫っているともいえよう。民主党も将来政権を担うときに参院が足かせになる可能性があることをもっと真剣に考えた方がいい。

 昨年5月に成立した国民投票法で衆参両院に憲法審査会を設置することが決まった。だが、同審査会の組織や運営ルールを定める審査会規程の協議を民主党が拒否し続け、いまだに憲法審査会が活動できずにいる。議論すべきテーマは二院制度見直しだけにとどまらない。自衛隊の国際貢献などの安全保障、抜本的な地方分権、環境や生命倫理などいくらでもある。一刻も早く憲法審査会を始動させるべきである。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080503/plc0805030149000-n1.htm
憲法施行61年を迎えた。施行された昭和22年当時には想定できなかった事態が続発している。

 サブプライム問題に伴う金融危機、資源争奪に加え、中国の軍事力強大化や北朝鮮の核の脅威にさらされている。この国際環境の激変とパワーゲームを前に日本は日銀総裁を空席にしたように国家意思を決められなくなっている。

 より深刻なのは、日本が国家として当たり前のことを実行できなくなっていることだ。4月21日、中東イエメン沖で日本郵船の大型タンカー「高山」が海賊に襲われ、被弾した事件は、日本が公海上で海賊を撃退することに無力なことをみせつけた。憲法解釈によりがんじがらめだからである。

 これでは日本は国際社会の平和と安定に寄与することはむろん、国の安全を保っていくことも難しい。憲法守って国滅ぶである。

 高山が被弾した海域の周辺では海上自衛隊の補給艦と護衛艦が多国籍海軍へ給油支援を行っている。普通の国の海軍なら、自国船舶が海賊に襲撃されたら、自衛権によって不法な暴力を撃退するが、海自はそうした行動を取れない。

 それは、新テロ特別措置法が給油支援に限定しているだけでなく、不法な暴力を抑止する国内法規定がないうえ、普通の軍隊に付与される「平時の自衛権」が認められていないためだ。

 日本は自衛権の発動に急迫不正の侵害などの厳格な要件を課している。このため海賊の攻撃に自衛権は適用されず、撃退は憲法解釈で禁止されている「武力行使との一体化」行為とみなされる。

 ≪自衛権がなぜ使えない≫

 国連安保理は現在、海賊を領海内まで追跡、逮捕できる権限を付与する決議を準備しているが、日本はパトロールすら実施できないと弁明するのだろうか。

 問題海域は日本の海上交通路(シーレーン)と重なる。日本の国益にかなう国際共同行動に日本がもし憲法を理由に参加しないなら、国際社会はどう受け止めるだろうか。国際社会との連携こそ、貿易立国・日本の基軸であり、その実現に総力を挙げるべきだ。

 この国際社会の行動を国会はどの程度直視しているのだろう。政争に明け暮れているのが実態ではないか。憲法問題の調査、研究を行うために昨年8月、衆参両院に設置された憲法審査会がいまだに、定員や審議方法などを定める規程を決められないまま、開店休業なのは、その一例である。

 この怠慢に民主党の責任は大きい。同党は国民投票法採決を与党が強引に進めたと批判、昨秋の執行部人事でも憲法調査会長を置くことなく、憲法問題に背を向けている。憲法審査会での憲法改正原案の起草・審査は現在凍結されているが、平成22年5月に解除される。それまでに国民の平和と安全をきちんと守れる国のありようを与野党で論じ合うのが、立法府の最低限の責務だろう。

 ≪タブーなく参院見直せ≫

 衆参両院の意思が異なる「ねじれ」が日本を停滞させてもいる。この問題では国民の利益や国益を守るため、与野党の歩み寄りが必要不可欠だが、参院のあり方もタブーなく見直すべきである。

 自民党が平成17年10月にまとめた新憲法草案や参院憲法調査会の報告書でも、参院は現状維持にとどまっている。参院見直しに参院側が反発したためである。

 フランス革命の理論的指導者だったシェイエスは「第二院は何の役に立つのか。第一院と一致するなら無用、異なれば有害」と語ったが、日本における二院制のあるべき姿を憲法改正を含めて明確にしなくてはなるまい。

 これまでの日本は憲法解釈に基づき、できることとできないことを仕分けしてきた。できることは超安全な地域での給油支援などだった。武力行使との一体化を避けるためだが、憲法第9条の「国際紛争を解決する手段としての武力行使」は2国間の戦い、いわば侵略戦争のための武力行使を意味している。国際的な警察行動や制裁はそこに含まれないと考える有力説もある。

 海賊も撃退できない憲法解釈がいかにおかしなものか。自民党の新憲法草案で自衛軍保持と集団的自衛権の行使容認をまとめた福田康夫首相は熟知していよう。小沢一郎民主党代表も「普通の国」が持論だったはずだ。国民の常識が通用する憲法体制の構築に与野党は競い合ってほしい。

http://www.asahi.com/paper/editorial20080503.html
朝日新聞社説 日本国憲法―現実を変える手段として

 たった1年での、この変わりようはどうだろう。61回目の誕生日を迎えた日本国憲法をめぐる景色である。

 昨年の憲法記念日のころを思い出してみる。安倍首相は、夏の参院選に向けて憲法改正を争点に掲げ、そのための手続き法である国民投票法を成立させた。集団的自衛権の政府解釈を見直す方向で、諮問機関も発足させた。

 ところがいま、そうした前のめりとでも言うべき改憲気分は、すっかり鳴りを潜めている。福田首相は安倍時代の改憲路線とは一線を画し、集団的自衛権の見直しも棚上げにした。

 世論も冷えている。改憲の旗振り役をつとめてきた読売新聞の調査では今年、93年以降の構図が逆転し、改憲反対が賛成を上回った。朝日新聞の調査でも、9条については改正賛成が23%に対して、反対は3倍近い66%だ。

 90年代から政治やメディアが主導する形で改憲論が盛り上がった。だが、そもそも政治が取り組むべき課題を世論調査で聞くと、景気や年金など暮らしに直結する問題が上位に並び、改憲の優先順位は高くはなかった。イラクでの米国の失敗なども背景に、政治の熱が冷めれば、自然と関心も下がるということなのだろう。

 むろん、政界再編などを通じて、9条改憲が再浮上する可能性は否定できない。ただ、今の世の中の流れをみる限りでは、一本調子の改憲論、とりわけ自衛隊を軍にすべきだといった主張が訴求力を失うのはあたり前なのかもしれない。

■豊かさの中の新貧困

 9条をめぐってかまびすしい議論が交わされる陰で、実は憲法をめぐってもっと深刻な事態が進行していたことは見過ごされがちだった。

 すさまじい勢いで進む経済のグローバル化や、インターネット、携帯電話の広がりは、日本の社会を大きく変容させた。従来の憲法論議が想像もしなかった新しい現実が、挑戦状を突きつけているのだ。

 たとえば「ワーキングプア(働く貧困層)」という言葉に象徴される、新しい貧困の問題。

 国境を超えた競争の激化で、企業は人件費の削減に走る。パートや派遣の非正規労働者が飛躍的に増え、いまや働く人の3分の1を占める。仕事があったりなかったりの不安定さと低賃金で、生活保護の対象になるような水準の収入しかない人たちが出てきた。

 本人に問題があるケースもあろう。だが、人と人とのつながりが希薄になった現代社会では、個人は砂粒のようにバラバラになり、ふとしたはずみで貧困にすべり落ちると、はい上がるすべがない。

 戦後の日本人は、豊かな社会をめざして懸命に働いてきた。ようやくその目標を達したかに思えたところで、実は袋の底に新しい穴が開いていた。そんな状況ではあるまいか。

 東京でこの春、「反貧困フェスタ」という催しがあり、そこで貧困の実態を伝えるミュージカルが上演された。

 狭苦しいインターネットカフェの場面から物語は始まる。カフェを寝場所にする若者たちが、かたかたとキーボードをたたきながらネットを通じて不安や体験を語り合う。

 長時間労働で倒れた人、勤め先の倒産で給料未払いのまま職がなくなってしまった若者、日雇い派遣の暮らしから抜け出せない青年……。

 最後に出演者たちが朗唱する。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」。生存権をうたった憲法25条の条文だ。

 憲法と現実との間にできてしまった深い溝を、彼らは体で感じているように見えた。

■「自由」は実現したか

 民主主義の社会では、だれもが自分の思うことを言えなければならない。憲法はその自由を保障している。軍国主義の過去を持つ国として、ここはゆるがせにできないと、だれもが思っていることだろう。だが、この袋にも実は穴が開いているのではないか。そう感じさせる事件が続く。

 名門ホテルが右翼団体からの妨害を恐れ、教職員組合への会場貸し出しをキャンセルした。それを違法とする裁判所の命令にも従わない。

 中国人監督によるドキュメンタリー映画「靖国」は、政府が関与する団体が助成金を出したのを疑問視する国会議員の動きなどもあって、上映を取りやめる映画館が相次いだ。

 インターネット社会が持つ匿名性は「両刃の剣」だ。多数の人々に個人が自由に発信できる世界を広げる一方で、無責任な書き込みによる中傷やいじめ、プライバシーの暴露が、逆に個人の自由と人権を抑圧する。

 こうした新しい現実の中で、私たちは自由と権利を守る知恵や手段をまだ見いだしていない。

 憲法で「全体の奉仕者」と位置づけられている公務員が、その通りに仕事をしているか。社会保険庁や防衛省で起きたことは何なのか。憲法の精神への裏切りではないのか。

 憲法は国民の権利を定めた基本法だ。その重みをいま一度かみしめたい。人々の暮らしをどう守るのか。みなが縮こまらない社会にするにはどうしたらいいか。現実と憲法の溝の深さにたじろいではいけない。

 憲法は現実を改革し、すみよい社会をつくる手段なのだ。その視点があってこそ、本物の憲法論議が生まれる。

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20080503ddm005070099000c.html
毎日新聞 社説:憲法記念日 「ことなかれ」に決別を 生存権の侵害が進んでいる

 あれほど盛んだった改憲論議が、今年はすっかりカゲをひそめてしまった。国民の関心は憲法よりも、暮らしに向かっている。

 戦後最長の大型景気も天井を打って下り坂に転じた気配が濃厚である。ガソリンだけでなく、食品も値上げラッシュだ。

 ところが、所得は一向に伸びない。老後を支える年金や医療保険改革は前進しない。暮らしの悪化の実感の前に、憲法問題は背後に追いやられてしまった。

 しかしながら、実は今年ほど、憲法が切実な年もないのではないか。

 右翼のいやがらせへの懸念を理由に、裁判所の決定を無視してかたくなに日教組の集会を拒んだ東京のホテル。国会議員の介入を機に映画館の上映中止が相次いだ映画「靖国」。

 憲法の保障する集会の自由、表現の自由が脅かされている。「面倒は避けたい」と思うのは人情だ。しかし、このとめどもない「ことなかれ」の連鎖はいったいどうしたことか。意識して抵抗しないと基本的人権は守れない。私たちの現状は、やや無自覚に過ぎるように見える。

◇感度が鈍っている

 NHKが5年ごとに「憲法上の権利だと思うもの」を調査している。驚いたことに「思っていることを世間に発表する」こと(表現の自由)を権利と認識するひとの割合が調査ごとに下がっている。73年は49%だったのが、03年は36%まで落ち込んだ。表現の自由に対する感度が鈍っているのが心配だ。

 その意味で注目されるのが、イラクでの航空自衛隊の活動に対する名古屋高裁の違憲判決だ。

 高裁は「バグダッドは戦闘地域」と認定し、空輸の法的根拠を否定した。対米協力を優先させ、憲法の制約をかいくぐり、曲芸のような論理で海外派遣を強行するやり方は限界に達している。そのことを明快に示す判決だった。

 しかし、この判決の意義はそれにとどまらない。憲法の前文は「平和のうちに生存する権利」をうたっているが、それは単なる理念の表明ではない。侵害された場合は裁判所に救済を求める根拠になる法的な権利である。そのような憲法判断を司法として初めて示したのである。

 ダイナミックにとらえ直された「生存権」。その視点から現状を見れば、違憲状態が疑われることばかりではないか。

 4月から始まった「後期高齢者医療制度」は高齢の年金生活者に不評の極みである。無神経な「後期高齢者」という名称。保険料を年金から一方的に天引きされ、従来の保険料より高い人も多い。「平和のうちに生存する権利」の侵害と感じる人が少なくあるまい。

 「憲法」と「現実」の懸隔が広がっている。働いても生活保護以下の所得しか得られないワーキングプアの問題など典型だ。年金を払い込みながら記録されていない「消えた年金」もそうであろう。「生存権」の侵害に監視を強める地道な努力が必要である。

 その努力の中心になるべきは、言うまでもなく国会だが、野党はもとより、与党もひたすら「生活重視」を唱えている。むしろ「内向き」過ぎると心配したくなる。ところが「生活重視」で一致するのに、スムーズに動かない。いわゆる「ねじれ国会」の弊害である。

 しかし、「ねじれ国会」の非効率性だけを言うのは一方的だ。「ねじれ」になる前の自民党はどうだったのか。強行採決を連発する多数の横暴そのものだったと言えるだろう。

 「ねじれ」以降、自民党は話し合い路線の模索に転じ、福田康夫首相は道路特定財源の一般財源化を約束するに至った。「ねじれ」なしでは起こりえなかったことである。カラオケ機を買うなど、年金や道路財源のデタラメな運営も「ねじれ国会」の圧力があって明らかになったことだ。
 ◇ルールの整備急げ

 私たちは「ねじれ国会」は、選挙で打開を図るのが基本だと主張している。選挙のマニフェストを発表する際、喫緊の重要課題について選挙結果に従うことを約束しておくのも一案だろう。こうしたルールの整備によって「ねじれ」を消化していくことが、民主政治を成熟させることにほかなるまい。

 憲法が両院不一致の場合の打開策としている両院協議会は、いま、ほとんど機能していない。両院それぞれ議決した側から10人ずつ委員を選ぶ仕組みだから、打開案がまとまりにくい。委員選出の弾力化など、その活性化に早急に取り組んでもらいたい。

 ただ「ねじれ」の有無にかかわらず、参院は「ミニ衆院」という批判を払拭(ふっしょく)する必要がある。明治から約120年の歴史を有する衆院と違い、参院は戦後改革で生まれた。憲法の精神の体現といってよい。参院はその自覚に立って独自性の確立を急ぐべきである。

 憲法で保障された国民の権利は、沈黙では守れない。暮らしの劣化は生存権の侵害が進んでいるということだ。憲法記念日に当たって、読者とともに政治に行動を迫っていく決意を新たにしたい。

毎日新聞 2008年5月3日 東京朝刊

東京新聞 http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2008050302008501.html
憲法記念日に考える 『なぜ?』を大切に

2008年5月3日

 日本国憲法の規範としての力が弱まっています。現実を前に思考停止に陥ることなく、六十年前、廃虚の中で先人が掲げた高い志を再確認しましょう。

 昨年七月、北九州市で独り暮らしの男性が孤独死しているのが発見されました。部屋にあった日記に生活の苦しさがつづられ、最後のページには「おにぎりが食べたい」と書いてありました。

 男性はタクシー運転手をしていましたが肝臓の病気で働けなくなり、四月まで生活保護を受けていました。病気が少しよくなり、福祉事務所の強い指導で保護を辞退したものの働けず、にぎり飯を買うカネさえなかったようです。
 忘れられた公平、平等

 全国各地から生活に困っていても保護を受けられない、保護辞退を強要された、などの知らせが後を絶ちません。憲法第二五条には「すべて国民は、健康で文化的な生活を営む権利を有する」とあるのにどうしたことでしょう。

 国が抱える膨大な借金、将来の社会を支える若者の減少など、日本は難局に直面しています。しかし、最大の要因は弱者に対する視線の変化でしょう。

 行き過ぎた市場主義、能力主義が「富める者はますます富み、貧しい者はなかなか浮かび上がれない」社会を到来させました。小泉政権以来の諸改革がそれを助長し、「公平」「平等」「相互扶助」という憲法の精神を忘れさせ、第二五条は規範としての意味が薄れました。

 リストラでよみがえった会社の陰には職を失った労働者がたくさんいます。「現代の奴隷労働」とさえ言われる悪条件で働くことを余儀なくされた非正規雇用の労働者が、企業に大きな利益をもたらしています。

 年収二百万円に満たず、ワーキングプアと称される労働者は一千万人を超えると言われます。
 黙殺された違憲判決

 安い賃金、不安定な雇用で住居費が払えず、インターネットカフェや漫画喫茶に寝泊まりしている人が、昨年夏の厚生労働省調査で五千四百人もいました。これは推計で実際はもっと多そうです。

 憲法には第二五条のほかに「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」(第二七条)という規定もあります。

 「なのになぜ?」-ここにもそう問いたい現実があります。

 「戦力は持たない」(第九条第二項)はずの国で、ミサイルを装備した巨船に漁船が衝突されて沈没しました。乗組員二人はいまだに行方が分かりません。「戦争はしない」(同条第一項)はずだった国の航空機がイラクに行き、武装した多国籍兵などを空輸しています。

 市民の異議申し立てに対して、名古屋高裁は先月十七日の判決で「自衛隊のイラクでの活動は憲法違反」と断言しました。「国民には平和に生きる権利がある」との判断も示しました。

 しかし、政府は判決を黙殺する構えで、自衛隊幹部の一人は人気お笑い芸人のセリフをまね「そんなのかんけえねえ」と言ってのけました。「判決は自衛隊の活動に影響を及ぼさない」と言いたかったのでしょうが、「憲法なんて関係ねえ」と聞こえました。

 イラク派遣反対のビラを自衛隊官舎に配った東京都立川市の市民は住居侵入容疑で逮捕され、七十五日間も拘置されたすえに有罪とされました。団地の新聞受けにビラを静かに入れて回っただけなのに「他人の住居を侵し、私生活の平穏を害した」というのです。

 ビラ配布は、組織、資力がなくても自分の見解を広く伝えることができる簡便な手段です。読みたくなければ捨てればいいだけでしょう。それが犯罪になるのなら憲法第二一条が保障する「表現の自由」は絵に描いたモチです。

 これでは、民主主義にとって欠かせない自由な意見表明や討論が十分できません。

 国民から集めた税金で職場にマッサージチェアを設置したり豪華旅行をするなど、「全体の奉仕者」(第一五条第二項)である公務員による私益優先のあれこれが次々明るみに出ました。

 長い間に「主権在民」(前文)が無視されて、主権在官僚のようなシステムを組み上げられてしまったのです。

 憲法は政府・公権力の勝手な振る舞いを抑え、私たちの自由と権利を守り幸福を実現する砦(とりで)です。
 国民に砦を守る責任

 憲法を尊重し擁護するのは公務員の義務(第九九条)です。国民には「自由と権利を不断の努力で保持する」責任(第一二条)、いわば砦を守る責任があります。

 その責任を果たすために、一人ひとりが憲法と現実との関係に厳しく目を光らせ、「なぜ?」と問い続けたいものです。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/90699.html?_nva=24
北海道新聞 憲法記念日 平和に生きる権利 今こそ(5月3日)

 昨年のいまごろは、安倍晋三政権下で改憲の手続きを定める国民投票法案が大きな議論になっていた。

 いま、福田康夫首相が憲法に言及する場面はほとんど見られない。

 ねじれ国会の下、年金や道路財源問題など早急に取り組まねばならない課題が山積しており、それどころではないというのが本音だろう。

 衆参両院に設けられた憲法審査会は運営規定もまだ決まっていない。二〇一〇年に改憲発議は可能になるが、改憲の動きは表面的にはやや勢いが落ちてきたようにも見える。

 日本国憲法が施行されてきょうで六十一年となる。憲法とは何か、私たちの暮らしにどうかかわるのか。この機に思いをめぐらせてみたい。

*軽視された違憲判断

 国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を基本原理とする現憲法には人々の「戦争は二度といやだ」という強い願いが込められている。

 なかでも前文と九条は世界に向けた平和と不戦の表明でもある。

 その誓いを戦後、政府はないがしろにしてきたのではないか。そう問いかける司法判断が四月十七日、名古屋高裁で示された。

 イラクに派遣された航空自衛隊の活動は武装兵士を戦闘地域に輸送するものであり、憲法九条が禁じる武力行使にあたると指摘したのだ。

 自衛隊を海外に送り出すために憲法を拡大解釈してきた政府の姿勢を厳しく戒めるものとなった。

 政府は、判決をことさら軽視しようとしている。隊員の心境について航空幕僚長はお笑いタレントのせりふを引用し、「そんなの関係ねぇという状況だ」と言った。

 憲法は国の最高法規だ。九九条は大臣や国会議員、公務員らに憲法の尊重と擁護義務を負わせている。

 にもかかわらず政府が違憲判断を真摯(しんし)に受け止めず、文民統制を崩しかねない制服組の発言を放置する。法治国家としてどうなのだろう。

 政府はイラク派遣を人道支援、国際貢献と言ってきた。しかし、政府がいまなすべきことははっきりしている。イラクから撤退し、憲法にのっとって武力に頼らない国際貢献のあり方を考え直すことではないか。

*生存権が脅かされる

 憲法の前文に「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免(まぬ)かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とある。

 その「平和に生きる権利」がいま脅かされ、侵害されてはいまいか。

 三十一歳のフリーターが月刊誌に発表した「希望は戦争」という論文が昨年、反響を呼んだ。

 戦争は社会の閉塞(へいそく)状態を打破してくれる。生活苦の窮状から脱し、一人前の人間としての尊厳を得られる可能性をもたらしてくれる。戦争は悲惨でもなくむしろチャンスだ-。

 慄然(りつぜん)とさせられる物言いだが、こうした発言が出てきた社会のあり様(よう)を深刻に考えなければなるまい。

 米国では実際に、貧しい若者たちが生活の保障を求めて軍に志願し、イラクへと送られている。

 憲法二五条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とうたっている。

 しかし、ワーキングプアと呼ばれる新たな貧困層が増え続けている。年収二百四十万円以下が一千万人を超え、百万円以下も珍しくない。

 後期高齢者医療制度にお年寄りから悲鳴が上がっている。社会保険庁のずさんな管理で、わずかな年金さえ受け取れない人がいる。生活保護世帯は全国で百万を超えた。

 二五条は二項で「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めている。それを実践し、憲法を暮らしに定着させるのは国の責務なのだ。

*軍事に頼らぬ平和を

 北海道新聞社が四月に行った世論調査によると、七割の人たちが憲法を改めるべきだと答えている。

 「時代の変化に応じた方がよい」との理由がもっとも多かった。環境権やプライバシー権、知る権利といった、新たな権利の保障などが念頭にあるのだろうか。

 ただ、これらの人権は現憲法でも保障されているとする憲法学者は多い。確かに憲法は「不磨の大典」ではない。国民的論議を広げていくことは必要だろう。

 九条については改憲容認の人たちでも、六割近くが変更しなくていいと答えた。逆に変更して戦力保持を明記するべきだとした人は大幅に減って、三割にとどまった。

 自民党の新憲法草案は、現憲法前文の「平和のうちに生存する国民の権利」を捨て、戦力不保持と、交戦権の否認を定めた九条二項を削除し自衛軍の創設を盛り込んでいる。

 戦後、海外で一度も武力行使をせず、血を流さなかった日本の姿を大きく変えることになる。

 イラクの惨状は、武力で平和はつくれないという当たり前のことを見せつけた。軍事力に頼らず平和を目指そうとの流れが世界で生まれつつある。平和憲法を持つ日本がその先頭に立ってもいいのではないか。

http://www.kanaloco.jp/editorial/entry/entryxiiimay08051/
神奈川新聞 人権擁護し理想の追求を

 「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」-。前文で国際社会にこう誓った日本国憲法が、きょう施行六十一年を迎えた。

 焦土から復興に立ち上がった先達の努力によって、現在の日本は自由な民主主義諸国の一角を占めるに至った。先輩たちへの感謝を忘れてはなるまい。ところが、最近、この成果を土台から腐食させるような問題が続いている。

 第一が、ドキュメンタリー映画「靖国」の上映中止、日教組集会の会場使用拒否などで表面化した表現の自由、集会の自由の危機である。一部の映画館、ホテルが右翼団体の街頭宣伝活動などに萎(い)縮(しゅく)した結果、自由が封じられた。嫌がらせや不法行為には警察を含めて行政、社会が毅(き)然(ぜん)とした態度を取るべきだ。ところが「靖国」の例では、騒ぎの発端をつくったのは与党の国会議員だった。

 そこで思い出されるのが、反戦ビラ配布が狙い撃ち同然に検挙された立川反戦ビラ事件だ。政府に批判的な表現を抑圧し、萎縮させるような権力の動きがあった。

 表現の自由は民主主義の土台である。もし萎縮の連鎖や権力の暴走が続くようなら、日本は戦前のような「物言えぬ社会」「専制と隷従、圧迫と偏狭」の社会に戻ってしまうだろう。国民一人一人が、表現の自由を守り抜く決意を持たなければならない。

 第二は、貧困、格差の問題だ。憲法二五条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と、生存権を定めた。高齢者や障害者の福祉が切り捨てられ、汗水流して働いても生活保護水準、貧困ラインを抜け出せない人々がいるのは、大きな人権侵害であると指摘したい。
 世界を見渡せば、医療福祉が整備され、格差の小さな国は、社会経済も安定し、国民の幸福度も高い。日本がこのまま福祉や年金、医療を崩壊させ、働く貧困層を拡大させたらどうなるか。社会はすさみ、経済の底力も失われるだろう。選ぶべき道は明らかだ。

 最後に、平和主義の問題だ。名古屋高裁は先月、航空自衛隊によるバグダッドへの多国籍軍武装兵員輸送を憲法九条違反とした。しかし、政府は判決を無視したままだ。なし崩し的な自衛隊の運用、平和主義からの逸脱をこのまま進めていいのだろうか。あすから三日間、千葉市で「9条世界会議」が開催される。憲法九条の世界史的な意義を再確認したい。

 日本人は今、目先の利益や安心に汲々(きゅうきゅう)としているように見える。果敢に難問に挑み、世界に理想や模範を示すという気概を失ってはいないか。日本国憲法は人類の経験と知恵、理想の集積である。この憲法から勇気を得て「名誉ある地位」への努力を進めたい。

2008年5月 7日 (水)

中曽根康弘元首相インタビュー 早期に憲法審査会を始動せよ

5月3日、産経紙は中曽根康弘にインタビューした。安倍内閣が倒れてから後の改憲派の焦りと、飽くなき改憲への動機が読み取れる。安倍の退陣がいかに彼らにとって痛手であったか、がよくわかると同時に、決してあきらめていないことが読み取れる。興味深い記事である。心しておこうではないか。(高田)

中曽根康弘元首相インタビュー 早期に憲法審査会を始動せよ

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080502/plc0805022104011-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080502/plc0805022104011-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080502/plc0805022104011-n3.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080502/plc0805022104011-n4.htm

 超党派の国会議員らでつくる「新憲法制定議員同盟」の会長を務める中曽根康弘元首相(89)に、始動の見通しが立っていない憲法審査会やねじれ国会など憲法問題についてインタビューした。(聞き手 榊原智)

 -昨年の今ごろは国民投票法の制定が大詰めを迎え憲法問題が盛んに議論されていたが、今は政治の争点から外れている。憲法論議をどう展望するか

 「安倍晋三君が首相になって憲法改正と教育改革という保守本流の主義主張を表に出したが、彼は昨年7月の参院選で挫折し、心の傷を負った。福田康夫首相は施政方針演説で憲法審査会に触れたが、現実問題の処理に忙しい。安倍内閣が続いていれば憲法論議の方へ動いたろうが、福田君の時代は国会対策と外交問題で余裕がない。福田君の次だね。特に次の解散総選挙で当選する新しい議員たちは、憲法問題を国家構造の問題として真剣に考え、取り上げるだろう」

 -民主党の小沢一郎代表は福田首相と同様、憲法問題に優先順位を与えていないようだ

 「小沢君は以前は、憲法改正にはっきりした考えを持ち熱心だった。だが、民主党の内部は旧社会党系の人もいて複雑だから、党の代表として慎重になっている。憲法改正の風が強く吹いているなら彼もその方向に党を引っ張っていけるが、今は解散総選挙の対策が第一になっている」
 -国民投票法によつて昨年8月に衆参両院の「憲法審査会」が法的に設置されたが、「審査会規程」の制定が見送られていることから実際には始動していない

 「国民投票法の成立は画期的で、憲法改正への基礎工事ができたと思った。だが、審査会規程の制定が政局の具合で、今にいたるまで放棄されているのは残念だ」

 -国会が法律を無視している。審査会は動き出す気配がない

 「早くても7月の北海道洞爺湖サミット以降だろう。衆院議員の残り任期が約1年になる。来年の9月までが衆院議員の任期だが、それまでには与野党の関係や政局に変化もあり得る。そういう変化の時に政界の指導者たちがどんな政治見識を持つかにかかってくる。民主党の諸君と話してみると、審査会規程は早晩作る用意があるという心境にあるようだ。多少時間を待てば審査会規程(の制定)には乗ってくると期待している」

 -与野党の激しい政争が続いている

 「政党間の交渉で憲法問題をどう国会で審議するか、具体的には憲法審査会の早期開会の合意を作るのが賢明だろう。憲法問題が本格的に動くのは解散総選挙後になるのではないか。民主党にも憲法問題を重視する人はかなり多い。憲法問題の結論を作っていく段階に必ず入っていける。解散総選挙後の新しい政局のもと、戦後日本の政治の歩み、国家構造あるいは国家機能を再点検する観点から、(政界で)憲法改正作業が出てくる」
 -衆参で与野党がそれぞれ多数を占める「ねじれ国会」をどうみる

 「不便を感じるが、世界各国の議会政治全般からみれば、与党がいつも多数を占め法案がスムーズに成立するわけではないということだ。今まで自民党は安心しすぎていた。昨年の参院選後、与野党の首脳部間で話し合いの体系、原則を話し合っておくべきだった。今はノールールの乱戦になっている。これは失敗だ」

 -「大連立」や「政界再編」はあるだろうか

 「当面はないだろう。小沢君も野党の諸君もそういう選択はしにくい。衆院選が遅くとも1年数カ月後にあるのだから。解散総選挙後は状況次第だ」

 -平成17年の自民党新憲法草案は、当時の参院自民党の反発から現憲法の国会条項の改正に踏み込まなかった。ねじれ国会を踏まえ、国会や衆参両院の関係を見直すべきか

 「当然、議論しなくてはならない。ねじれの問題と絡んでいる。自民党の新憲法草案は立党50年のお祝いを前に急いで作り上げた第1次草案だ。第2次草案作りにいよいよ取りかかるべきだ。そこでは、参院の権能が現状でいいのかどうかが非常に大きな課題となる」

 -2院制がいいか、1院制がいいか

 「衆院議員と同じような方法で参院議員が選ばれ、参院は衆院と同格で肩を張って対抗する存在になっている。このような第2院は世界でも非常に少ない。これは見直すべきだ。その代わり、新しい参院は選出方法を変え、人事や決算、会計検査などで衆院にない特別な権限が与えられるべきだ」

 -そもそもなぜ憲法改正が必要か

 「現憲法は占領下に作られたが、自由、民主主義、平和の面で特段の長所をもつ。だが戦後60年の経験からみても重大な欠陥がある。憲法9条はもちろん、前文、教育、新しい人権概念、議会や内閣制度、環境などといった点の改正を検討すべきだろう」

 -憲法改正を訴える政治家の声が小さい

 「欠陥のある憲法を改めるのは国民と政治家の当然の責任だ。そのことを政治家は国民によく説明しなければいけない。一般国民は憲法をじっくり読む暇はない。政治指導者は国のあり方についての自己の信念を国民に訴え、国の歩みを正しい方向へ持っていく責任を負っている。だから憲法の長所と同時に欠陥を国民に指摘して、是正しようと説得すべきだ。あるいは政治勢力を形成して運動を起こすべきだ。だから私は議員同盟の会長になった」

 -韓国の李明博大統領が、日本に永住外国人への地方参政権付与を求めている

 「付与の必要はないと思う。憲法上の日本国民という概念には過去、現在、そして将来生まれてくる国民が含まれる。(地方選挙権も含む参政権付与の条件であるべき)国籍は非常に貴重なポジションだ。帰化すれば選挙権は即座に得られる」

九条世界会議

画期的な九条世界会議を報道した各メディアの記事です。のべ2万人以上の参加でした。各紙の写真は野外の特設会場でのが多かったです。(高田)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/news/20080504-OYT8T00628.htm
「9条会議」1万人殺到

 憲法9条と、武力によらない世界平和について考える「9条世界会議」が4日、千葉市美浜区の幕張メッセで開幕。北アイルランド問題の平和的解決に取り組み、1976年にノーベル平和賞を受賞したマイリード・マグワイア氏らの基調講演が行われた。夜には、趣旨に賛同する加藤登紀子さんやUA(ウーア)さんらのコンサートも行われた。

 幕張メッセ前には1万人を超える来場者が殺到し、会場内に入りきれない人が続出。当日券の販売は中止となり、前売り券の払い戻しも行われた。このため、近くにある野外のメッセモールで入場待ちをしていた約1000人を前に、急きょ、マグワイア氏らが追加講演を行う一幕もあった。

 マグワイア氏は「9条は全世界にとって重要なもの。紛争などは話し合うことで解決できる」と訴え、「会場に人が入りきらなかったのは、世界中の人が平和を求めているからだ」と熱弁を振るった。会議は5日にシンポジウムなどが行われ、6日に閉幕する。
(2008年5月5日  読売新聞)


http://www.asahi.com/national/update/0504/TKY200805040139.html
「9条世界会議」開幕 市民続々、約3千人会場に入れず

2008年05月04日19時13分

 作家の井上ひさしさんらが呼びかけ人となった「9条世界会議」が4日、千葉市の幕張メッセで始まった。憲法9条の意義や核兵器撤廃などについて議論する。9条を守ろうという趣旨に賛同する市民らが主催者の予想を超えて各地から集まり、主催者によると、3千人以上が会場に入りきれない事態になった。

会場に入れなかった人たちを前にハンドマイクで話しかけるマグワイアさん(中央右)=4日午後2時59分、千葉市美浜区

広島・平和公園を2月に出発したピースウオークの一行も4日、会議場にゴールした

 この日は、9条にエールを送る海外ゲストの発言が相次いだ。76年にノーベル平和賞を受賞した北アイルランドのマイレッド・マグワイアさんは「9条を放棄しようとする動きが日本にあることを憂慮している」と述べた。

 約1万2千人が入れる会場からあふれた人たちは近くの広場で、講演を終えたアメリカの平和活動家コーラ・ワイスさんらを囲んで、集会を開いた。バス2台で福島県郡山市から来た星光行さん(57)は「会場に入れなかったのは残念だが、ゴールデンウイークのさなかに9条のためにこれだけ人が集まったことに感動した」と話していた。

 会議は5日に分科会などを開き、6日に閉会する。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805030074.html

戦争出前噺の94歳男性、海外で憲法9条語る計画

2008年05月03日

 戦争体験を各地で語る「戦争出前噺(ばなし)」に1200回以上取り組んできた和歌山県みなべ町の本多立太郎さん(94)が、千葉市の幕張メッセで4日から開かれる「9条世界会議」に参加する。数え年95歳の本多さんは、5日の同会議のプログラムの中で「本多立太郎 95歳の決意表明」と題し、9条を外国語に翻訳したパンフレットを自ら海外で配る構想を披露する。

戦争体験を話す本多立太郎さん=和歌山市鷺ノ森の本願寺鷺森別院本堂

 本多さんは知り合いの研究者や外国人らに依頼し、9条を英語、フランス語、中国語など約10カ国語に翻訳してもらった。今後、パンフレットを作り、09年からヨーロッパ各国で配りたいという。「今までは、どのようにして9条を守っていくかということを考えてきた。これからは他国でも9条のような憲法があるのが普通の世の中になるように積極的に広めていきたい」と意気込んでいる。

 本多さんは、第2次世界大戦で中国大陸に従軍し、シベリアに抑留されて1947年に帰国。「再び同じ過ちを繰り返さないために、誰かが語らなければならない」と決心し、86年2月から「戦争出前噺」を始めた。47都道府県を回り、回数は計1222回になる。中国やシンガポールを訪問し、そこで戦争体験を語ったこともある。

 9条世界会議は、市民団体「ピースボート」など50近くの団体で組織する「9条世界会議日本実行委員会」が主催。6日まであり、北アイルランドの女性平和運動家で76年にノーベル平和賞を受賞したマイレッド・マグワイアさんが基調講演をする。(森本未紀)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008050490202002.html

「9条は希望与え続けた」 平和憲法を考える世界会議
2008年5月4日 20時20分

 戦争放棄をうたった日本の憲法9条の意義を話し合おうと、非政府組織(NGO)の「ピースボート」などが4日、「9条世界会議」を千葉市の幕張メッセで開き、主催者発表で約1万2000人が参加した。

 基調講演した英国北アイルランドの平和運動家で、1976年にノーベル平和賞を受賞したメイリアド・マクガイアさんは「9条は60年間にわたって世界の人々に希望を与え続けた」と評価。「北アイルランド紛争で、私たちは武力なしで平和をつくることが可能だと実践した」と非暴力の重要性を説いた。

 一方で「9条をないがしろにすることは、広島、長崎の被爆者への侮辱でもある」と憲法改正の動きを批判した。

 スイスに本部がある平和団体「国際平和ビューロー」元会長のコーラ・ワイスさんは、中米のコスタリカにも常備軍の保有を禁止する憲法があることなどを報告。「日本が"自衛"を拡大解釈すれば平和な国際社会はつくれない」と訴えた。

(共同)

http://mainichi.jp/select/today/news/20080505k0000m040054000c.html

9条世界会議:千葉で開幕 1万人が「不戦の精神」考える

9条世界会議で映し出されたワンガリ・マータイさんのビデオメッセージ=千葉市の幕張イベントホールで2008年5月4日午後3時24分、塩入正夫撮影
憲法9条の「戦争放棄」の理念を世界に発信しようというイベント「9条世界会議」(主催・同会議日本実行委)が4日、千葉市美浜区の幕張メッセで始まった。6日までの3日間「世界の紛争と非暴力」「アジアの中の9条」などの分科会を開催、憲法にうたわれた不戦の精神について意見交換する。

 初日の全体会は約1万人(主催者発表)が参加。ノーベル平和賞受賞者による講演や加藤登紀子さんらのコンサートに聴き入った。同賞受賞者の元ケニア副環境相、ワンガリ・マータイさん(68)はビデオメッセージで登場。スクリーンを通じ「世界は9条という夢、ビジョンを実現すべきだ。9条は人類全体が賛同すべきものだ」と訴えた。

 第二次大戦後、GHQ(連合国軍総司令部)の一員として憲法起草にかかわった米国人女性ベアテ・シロタ・ゴードンさん(84)は当時のエピソードを披露したうえで「戦争放棄という9条の精神は、さまざまな国のモデルになると思う」と話した。【柳澤一男】

毎日新聞 2008年5月4日 20時20分(最終更新 5月4日 20時42分)


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-05-05/2008050501_02_0.html

平和憲法の価値再発見
9条世界会議開幕 内外参加者熱く交流

 憲法九条の意味を世界の人々と考える「9条世界会議」が四日、千葉・幕張メッセで開かれ、講演や合唱、アーティストによるライブなど多彩な催しが行われました。全国から参加者がかけつけ、満席となった会場にはのべ一万二千人が入場。三千人以上が入りきれませんでしたが、外でも海外ゲストとの交流が行われました。

 実行委員会共同代表の池田香代子さん(翻訳家)は、「平和憲法は日本の市民が日々選びとり、六十一年間努力して維持し続けてきたもの」と強調。イラク派兵を憲法九条違反と断じた名古屋高裁判決を原告の一人として法廷で聞いた感動を述べ、「民主主義は戦争を否定して初めて本物になる」と訴えました。

 講演したノーベル平和賞受賞者のマイレッド・マグワイアさん(北アイルランド)は、「日本の平和憲法は、世界中の人々に希望を与え続けてきた」と指摘。一九九九年のハーグ平和会議を主宰したコーラ・ワイスさん(アメリカ)は環境や経済の面からも戦争をなくす大切さを訴えました。

 トーク企画「イラク、アメリカ、日本」では、いまでは平和活動に身を投じているイラク帰還米兵、元イラク兵、元米陸軍大佐のアン・ライトさんが、高遠菜穂子さん(イラク支援ボランティア)や雨宮処凛さん(作家)と討論。雨宮さんは貧困と戦争の関係にふれ、「解決策は、軍事費を削って生存の方に回すことだ」と訴え。高遠さんはイラクでの人質事件の体験から「九条で命が守られた。二度と同じようなことが起きてほしくない」と話し、盛んな拍手に包まれました。

 会議には、海外からも法律家団体やNGO(非政府組織)代表など三十カ国百五十人以上が参加しました。会議の日程は三日間の予定です。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-05-06/2008050604_01_0.html
世界史変える「改憲ノー」
9条世界会議 多彩に分科会

(写真)話し合う、シンポジウム「平和を創る女性パワー」の参加者たち=5日、千葉市

 「9条世界会議」は五日、二日目の「九条を生かす分科会」を開き、会場の幕張メッセ国際会議場にはのべ六千五百人がつめかけました。大小三十近い多彩なシンポジウムやパネル討論、各団体の自主企画が催され、どの会場も立って聞く参加者がでる盛況でした。ミニライブや映画上映も行われました。

 「九条の危機と未来」の分科会で、経済同友会終身幹事の品川正治さんは「九条改憲にノーということはアジアを変え、アメリカの世界戦略も変える。われわれ日本国民は世界史を変える立場に置かれている」と訴えました。「核時代と九条」では、広島平和研究所所長の浅井基文さんが「九条と核廃絶は切っても切れない」とのべ、「力によらない平和」という九条の思想の大切さを強調しました。

 「アジアの中の九条」では、フィリピン代表が米軍基地追い出しの経験から、九条が平和運動発展の契機になったと発言。「平和を創る女性パワー」では、バウネット・ジャパンの西野瑠美子さんが「慰安婦問題の解決は、真のアジア和解に欠くことのできないプロセスであり、九条の要請だ」と発言。米陸軍元大佐のアン・ライトさんは米軍の性暴力について「部隊ではなんのとがめもない」と告発しました。

 新日本婦人の会の高田公子会長は、「九条の会」などでの活動を紹介し、「草の根でのがんばりが改憲キャンペーンの影響を押し返している」と報告しました。

 「世界の紛争と非暴力」では、アフガニスタンで軍閥の武装解除を成功させた伊勢崎賢治東京外国語大学教授が自らの体験を踏まえ「いかに紛争を起こさないかが現代の最大の問題だ」と提起。ボスニア出身のジャーナリスト、ヤスナ・バスティッチさんは、紛争を未然に食い止める市民の取り組みの重要性を語りました。

 また、いくつかのパネル討論では、九条にかんするグローバル・ネットワークづくりの提案も出ましたが、「それぞれの国の政治状況、実情に応じてそれぞれが頑張ることが重要だ」など各国の自主的な取り組みを尊重するべきだとの発言が相次ぎました。

5・3集会、東京日比谷

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-05-04/2008050401_01_0.html
憲法守る運動さらに
施行61周年 全国で行動
東京 4300人が集会・パレード

 「憲法守れ」の世論の大きな広がりのもと、憲法施行六十一周年を迎えた三日、「憲法を生かそう」「海外派兵恒久法やめよ」と全国で行動がくり広げられました。

 東京では、日比谷公会堂で「5・3憲法集会」(憲法会議、許すな!憲法改悪・市民連絡会など八団体で構成する実行委員会主催)が開かれ、四千三百人が参加。小雨のなか、開場二時間前から参加者が列をなし、会場からあふれた参加者が場外に設置された大型スクリーンの前を幾重にも囲みました。

 「毎月の宣伝で、最近はビラの受け取りがいい。署名も増えている」というのは東京土建本部の瀬田宗市さん(60)。「福祉を削って軍事費に回すような悪政に国民のがまんは限界。これからも燃えて駅頭に立つ」。けさ、地元で宣伝してきたという集会初参加の女性。地元の若者に誘われ、二月から活動を始めたばかりです。「私の家の近くにも平和を守ろうとする同年代がいると知ってうれしかった」

 集会では、女性の憲法年連絡会の堀江ゆりさんが、改憲を掲げた安倍政権を退陣に追い込むなどこの一年間の変化をのべ、「憲法九条を守ろうという世論の高まりのなかで開かれた集会。もっともっと運動を強めよう」と主催者あいさつ。日本共産党の志位和夫委員長、音楽評論家・作詞家の湯川れい子さんら四氏がスピーチしました。

 元米陸軍大佐・元外交官のアン・ライトさんは、「憲法九条をもつ日本は平和な世界のモデル。九条を世界に」と語りました。

 社民党の福島瑞穂党首は、憲法二五条を守れとたちあがった若者など「この数年の国民の力を実感する」とのべ、「人間を尊重する幸福の社会をつくろう」と訴えました。

 集会後、うちわや風船を手に銀座パレードが行われ、志位氏、笠井亮衆院議員、福島氏らも参加しました。
志位委員長が発言

 志位和夫委員長は発言で、憲法をめぐる国民世論の前向きの変化をつくりだした「九条の会」の草の根の組識の成長をあげ、改憲派の新たな巻き返しの危険を軽視せず、彼らが何より恐れる国民世論と草の根の運動で包囲し「ゆるぎない国民的多数派をつくりあげよう」と力を込めました。

 「憲法を平和に生かし、暮らしに生かすための攻めのたたかいを、あらゆる分野で発展させよう」とよびかけた志位さんは、平和に生かす点で、名古屋高裁判決は自衛隊イラク派兵に真正面から憲法違反と断じた歴史的・画期的なものと指摘。

 暮らしに生かし、貧困と格差をただす点では、日本国憲法が三十条におよぶ人権条項をもつ世界で最も豊かな人権憲法だとのべました。

 志位さんの発言に、随所で「そうだ」の声援と拍手が送られ、「憲法の輝く値打ちを国民が体験をつうじてつかむことが、憲法改悪のたくらみを阻止する一番の力となります。ともにがんばりましょう」と結びました。

9条改正反対66%に増、賛成23%に減 朝日世論調査

九条世界会議でパソコンに向き合う時間がとれず、掲載が遅れました。この朝日の記事は読売型とは異なり、先の北海道新聞の調査結果に類似しています。分析が必要です。世界会議のレセプションで司会の小森陽一さんがこの記事を振りかざして「九条の国へようこそ」と挨拶したのが印象に残っています。(高田)
http://www.asahi.com/national/update/0502/TKY200805020272.html
9条改正反対66%に増、賛成23%に減 本社調査

2008年05月02日21時33分

 3日の憲法記念日に合わせて、朝日新聞社が実施した全国世論調査(電話)によると、憲法9条を「変えない方がよい」との回答が66%にのぼり、「変える方がよい」の23%を大きく上回った。憲法改正が「必要」とする人は56%いるが、その中で9条改正を支持する人の割合は37%にとどまり、54%が「9条は変えない方がよい」と答えた。

  

 調査は4月19、20の両日に実施した。

 前の安倍内閣時代の07年4月に実施した調査でも、9条は「変えない方がよい」が49%で「変える方がよい」の33%を上回っていたが、今回は大きく差が広がった。

 この1年間は、安倍内閣が改憲への準備や集団的自衛権の議論を進めたほか、福田内閣のもとでもインド洋への海上自衛隊派遣をめぐる国会論戦が続くなど、9条や自衛隊の対米協力にかかわる論議が具体性を帯びた時期だった。

 一方、憲法全体について聞くと、憲法改正が「必要」とする人は56%なのに対し、「必要ない」は31%。07年調査で「必要」58%、「必要ない」27%だったのと大きな変化はなかった。

 憲法改正が「必要」と答えた人に理由を聞くと、74%が「新しい権利や制度を盛り込むべきだから」と答えた。「9条に問題があるから」は13%、「自分たちの手で新しい憲法を作りたいから」は9%にとどまった。

 また、憲法改正が「現実的な問題」と思う人は52%、「まだ先の問題」とする人は35%。07年調査ではそれぞれ59%、31%だった。「先の問題」とする人に理由を聞くと、71%が「国民の間で機運が高まっていない」を選んだ。国会で与野党の対立が深まっていることを挙げたのは19%、安倍首相が退陣したことを挙げた人は5%だった。

 衆参両院で多数派が異なるねじれ国会への評価を聞いたところ、「好ましくない」が62%を占めた。ただ、憲法を改正して衆議院の権限をさらに強めることについては、反対が58%だったのに対し、賛成は23%だった。

2008年5月 2日 (金)

雑記36「蟹工船」再脚光…格差嘆き若者共感、増刷で売り上げ5倍

本日の読売新聞夕刊の一面トップの記事である。記事は蟹工船の初版本のカラー写真入りである。記事にはサイトにはないが、「あらすじ」が付いている。それはこうだ。
オホーツク海で操業し、暴利をむさぼる蟹工船の内部で、国策の名のもと、リンチなど過酷な労働を強いられた労働者たちが、団結して闘争に立ち上がる。一度は、駆逐艦から乗り込んできた水兵に代表たちが拉致されるが、労働者たちは再び闘いに立ち上がっていく。
かつて読んだ記憶が蘇ってきた。現代に復活した古典の威力である。小林多喜二よ、もって瞑すべし。「九条の会」は7月12日、宮崎市で憲法セミナーを開く。タイトルは「人間らしく生きる~憲法9条と25条」で、講師は暉峻淑子さん、湯浅誠さん、大江健三郎さんだ。乞う、ご期待。(高田)

http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20080502-OYT1T00457.htm
「蟹工船」再脚光…格差嘆き若者共感、増刷で売り上げ5倍

 プロレタリア文学を代表する小林多喜二(1903~1933)の「蟹工船(かにこうせん)・党生活者」(新潮文庫)が、今年に入って“古典”としては異例の2万7000部を増刷、例年の5倍の勢いで売れている。

 過酷な労働の現場を描く昭和初期の名作が、「ワーキングプア」が社会問題となる平成の若者を中心に読まれている。

 「蟹工船」は世界大恐慌のきっかけとなったニューヨーク株式市場の大暴落「暗黒の木曜日」が起きた1929年(昭和4年)に発表された小説。オホーツク海でカニをとり、缶詰に加工する船を舞台に、非人間的な労働を強いられる人々の暗たんたる生活と闘争をリアルに描いている。

 文庫は1953年に初版が刊行され、今年に入って110万部を突破。丸善丸の内本店など大手書店では「現代の『ワーキングプア』にも重なる過酷な労働環境を描いた名作が平成の『格差社会』に大復活!!」などと書かれた店頭広告を立て、平積みしている。

 多喜二没後75年の今年は、多喜二の母校・小樽商科大学などが主催した「蟹工船」読書エッセーコンテストが開催された。準大賞を受賞した派遣社員の狗又(いぬまた)ユミカさん(34)は、「『蟹工船』で登場する労働者たちは、(中略)私の兄弟たちがここにいるではないかと錯覚するほどに親しみ深い」と、自らの立場を重ね合わせる。特別奨励賞を受けた竹中聡宏(としひろ)さん(20)は「現代の日本では、蟹工船の労働者が死んでいった数以上の人々が(中略)生活難に追い込まれている」「『蟹工船』を読め。それは、現代だ」と書いている。

 また一昨年、漫画版「蟹工船」が出版され、文芸誌「すばる」が昨年7月号で特集「プロレタリア文学の逆襲」を組むなど、再評価の機運が盛り上がっている。

 新潮社によると、購読層は10代後半から40代後半までの働き盛りの年代が8割近く。同文庫編集部は「一時期は“消えていた”作品なのに」と驚きつつ、「ここまで売れるのは、今の若い人たちに新しいものとして受け入れられているのでは」と話している。
(2008年5月2日15時13分  読売新聞)

福田康夫内閣支持率、とうとう10%台に降下。共同通信速報で。

福田康夫内閣支持率、とうとう10%台に降下。共同通信速報で。

http://www.47news.jp/news/flashnews/
自民、民主の支持率逆転、共同通信世論調査 

共同通信社が実施した全国電話世論調査で、自民党と民主党の支持率が逆転。昨年12月以来。
2008/05/02 16:06  【共同通信】

内閣支持率19・8%、共同通信世論調査 

共同通信社が実施した全国電話世論調査で、福田内閣支持率は19・8%。森内閣以来の低水準。
2008/05/02 16:03  【共同通信】

改憲議員同盟の集会

本日の読売と赤旗紙の記事である。昨1日、改憲議員同盟が集会を開いた。国会議員51人をはじめ、1000人ほどの集会だったようである。朝日紙などの記事によると中曽根会長は「戦後生まれた憲法を正しい憲法に作り直して、子孫に対する責任を果たしたい。これを実現するまでは、命の限りを尽くして頑張っていく」と発言。安倍前首相も「憲法を自分たちの手で書いていく決意こそ、新しい時代を切り開いていく魂につながっていく」とのべたという。民主党鳩山幹事長の代理として長嶋昭久副幹事長は「民主党も憲法改正を党是とし、創憲を掲げている。この大会を機に憲法審査会を動かしていこうと言うことだ」と発言して満場の拍手を浴びた。(高田)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080501-OYT1T00697.htm
「憲法審査会の早期始動を」超党派議員ら憲法の4目標提示

 超党派の国会議員らでつくる新憲法制定議員同盟(会長・中曽根元首相)は1日、東京・永田町の憲政記念館で「新しい憲法を制定する推進大会」を開き、衆参両院に設置された憲法審査会を早期に始動させ、憲法改正論議を前進させるよう求める決議を採択した。

 決議では、国会の憲法審査会が昨年8月の設置以来、野党側の反対で一度も開かれていないことを踏まえ、早期の開催を「強く願う」とした。また、新たな憲法のあり方について、〈1〉日本の歴史・文化・伝統の香り高い憲法〈2〉自由・民主・人権・平和・国際協調を基本とする〈3〉国際平和を願い、他国と共にその実現のため協力し合うことを誓う〈4〉自然との共生を信条に、美しく豊かな地球環境をまもる――の四つの目標を掲げた。

 大会で、中曽根氏は「一意専心、不惑の信念を持って、戦後に生まれた憲法を正しい憲法に作り直し、責任を果たしたい。今の憲法体制、政治体制では、日本の地位が低下するのは必至だ」と訴えた。

 自民党の伊吹幹事長、安倍前首相、民主党の長島昭久衆院議員、公明党の白浜一良・党憲法調査会長らのほか、政府から町村官房長官が出席した。
(2008年5月1日22時42分  読売新聞)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-05-02/2008050202_02_0.html
憲法審査会の始動要求
自・民・公議員ら改憲推進大会

 自民、民主、公明、国民新各党などの改憲派議員らでつくる新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)が主催する「新しい憲法を制定する推進大会」が一日、国会の憲政記念館で行われ、国会議員五十一人を含め、自民党地方関係者、日本経団連や日本商工会議所などの財界関係者ら千人が参加しました。

 三月の総会で、民主党幹部を役員にすえるなど新体制とし、改憲世論を盛り上げる「国民運動」の契機にしようと計画されたもので、大会では、改憲原案の審査権をもつ憲法審査会の始動と改憲論議の再開を求める決議を採択しました。

 自民党の伊吹文明幹事長は、あいさつで「変化に対応した憲法をつくるのが党是」と表明。民主党からは、鳩山由紀夫幹事長の代理として長島昭久副幹事長が登壇し、「昨日は敵味方に分かれて国会で対決したが、民主党も憲法改正を党是とし『創憲』をかかげている。この大会を機に憲法審査会を動かしていこうということだ」と述べました。公明党の白浜一良憲法調査会長、国民新党の亀井久興幹事長があいさつしました。

 「福田総理の名代」と紹介された町村信孝官房長官は「憲法審査会がせっかくできているのに、いまだに議論が一度も行われていないのは国会の怠慢」などと攻撃しました。

 自民党地方組織の代表が「地方にもこの声を広げ国民運動にする」と表明しました。

福田内閣、朝日、日経の調査で急落

福田内閣支持率、ガソリン値上げで急落。朝日は危険水域の20%。日経は21%。解散もできない状況に追い込まれた。小泉内閣の官房長官だった当時、突然、官房長官を辞任した福田康夫を思い出す。果たしてこの背水の陣内閣の絶体絶命状況はサミットやパンダ外交で助けられるのか。(高田」)

内閣支持率20% 自民落胆「しばらく選挙できない」

2008年05月02日00時03分
http://www.asahi.com/politics/update/0501/TKY200805010260.html
 朝日新聞社が4月30日と5月1日に実施した全国緊急世論調査で、福田内閣の支持率が発足以来最低を更新し、20%にまで落ち込んだ。政党支持率でも民主党が自民党を上回った。政党支持率の逆転は昨年夏の参院選直後以来。自民党執行部の一人は「しばらくは選挙ができない」と落胆を隠さない。

 ガソリン値上げにつながる税制改正関連法を再可決で成立させたため、政府・与党内では、内閣支持率の低下は織り込み済み。首相周辺は「何とか踏みとどまった。これが福田内閣の固い支持層だ」と胸をなで下ろす。しかし、自民党内には「10%台になったら完全にアウトだ」(中堅議員)との声もある。

 自民党の二階俊博総務会長は「今が自民党にとって最悪の事態。悪い条件が重なったが、これから反転攻勢する。国民も平静さを取り戻す」と強調。公明党幹部も「後期高齢者医療問題やガソリンの問題で感情的になっている」と指摘し、こう漏らした。「歯を食いしばって耐え、もっと落ち着いて考えてもらえるようにしないといけない」

 参院で首相問責決議案が可決した場合の対応について、6割が福田首相に解散を求めていることについても、自民党三役経験者は「ますます解散はなくなった」と否定的。同党の中堅議員は「福田首相で選挙なんて、周りが許さない」と厳しい見方を示した。

 一方、民主党は勢いづく。山岡賢次国会対策委員長は「とにかく一度、民主党にやらせてみようという機運が高まっている。そういう民意を受けていることを意識して連休明けも行動したい」。鳩山由紀夫幹事長も「後期高齢者医療制度の廃止を巻き込んで首相問責決議案を出し、総辞職もしくは解散・総選挙をするのが筋と訴えていく」と意気が上がる。

 こうした状況に、政府関係者は、こんな見方を示した。「首相はどんなことがあっても解散できない。民主党は解散に追い込むつもりでやっている。お互い根比べだ」

http://www.asahi.com/politics/update/0501/TKY200805010244.html

内閣支持率20% 政党支持は民主が逆転 本社世論調査

2008年05月01日22時30分

 ガソリン税の上乗せ法案の衆院再議決を受けて、朝日新聞社が4月30日夜から5月1日夜にかけて実施した全国緊急世論調査(電話)によると、上乗せの復活に「賛成」は22%、「反対」は66%だった。福田内閣の支持率は20%で、発足以来最低だった前回4月19、20日調査の25%からさらに下落した。不支持は59%(前回60%)だった。

 政党支持率でも自民が24%(同26%)、民主が28%(同22%)と逆転した。民主が自民を上回るのは、安倍内閣時代だった参院選後の昨年8月以来だ。「いま投票するとしたら」として聞いた衆院選比例区の投票先でも、民主が39%で自民の22%に大差をつけた。今年2月の時点では、投票先は民主32%、自民30%で接近していた。民主は弱いとされてきた女性の支持が増えている。

 政府・与党は今回の再議決に続き、ガソリン税を道路整備に使うための法案も再議決で成立させる方針だが、これについても「妥当だ」が28%、「妥当ではない」が59%と否定的な見方が強い。一方、道路特定財源を一般財源化することは、「賛成」が67%と「反対」の22%を大きく上回り、支持されている。

 一般財源化に賛成する人にガソリン税上乗せについて聞くと、「一般財源にするなら上乗せはあってよい」と「廃止した方がよい」がともに44%で、意見が分かれた。今後、一般財源化の議論に加えて、税率をどうするかも焦点になってきそうだ。

 福田首相の問責決議案の参院提出を検討している民主党の姿勢を「評価する」は42%、「評価しない」は40%。問責決議案が可決された場合に福田首相はどうするべきかについては、「衆院を解散して総選挙をする」が60%で多数を占めた。「辞職も解散もする必要はない」は25%、「辞職するべきだ」は9%だった。

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080502AT3S0101U01052008.html
内閣支持率21%に急落・日経世論調査

 日本経済新聞社が4月30日と5月1日に実施した緊急世論調査で、福田内閣の支持率は21%と4月中旬の前回調査から8ポイント低下し、内閣発足以来、最低となった。不支持率は9ポイント上昇の68%で最高を更新した。ガソリン税の暫定税率の復活や、4月の後期高齢者医療制度の導入などが影響したとみられる。政党支持率は自民党が33%、民主党が36%で8カ月ぶりに逆転した。

 内閣支持率は前回調査で、福田内閣では初めて30%を割った。安倍、小泉両内閣では20%台前半になったことがない。森内閣末期の2001年2月の16%に近づいており、福田康夫首相が厳しい政権運営を強いられるのは必至だ。(00:03)

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080502AT3S0102101052008.html
政治混迷、首相に厳しい目・日経世論調査

 日本経済新聞社の緊急世論調査で福田内閣の支持率が21%に急落した背景には、道路特定財源や後期高齢者医療問題を巡る政治の混迷がある。福田康夫首相はこれまで以上に厳しい政権運営を迫られている。民主党は政権批判層を取り込み、政党支持率で自民党を逆転したが、この傾向を定着させられるかどうかは同党の対応次第だ。

 首相の仕事ぶりを聞くと「評価しない」が70%で「評価する」の19%を大きく上回った。評価しない理由は「後期高齢者医療問題への取り組み」の21%が最も多く、「道路特定財源問題への対応」(16%)、「経済活性化への取り組み」(同)などが続いた。(07:03)

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