許すな!憲法改悪・市民連絡会

« 2008年3月 | トップページ | 2008年5月 »

2008年4月30日 (水)

図書紹介「軍隊のない国家~27の国々と人びと」

図書紹介
「軍隊のない国家~27の国々と人びと」日本評論社発行1900円四六判256頁前田朗著

帯には「想像してください。憲法9条が世界を変えることを」とある。著者の前田さんの3年にわたる努力の結果、結実した労作で、それはまさに足で歩いて書き上げられたものである。本書は図書館などで調査をしただけのものとちがい、きわめて実証的なものである。
しばらく前、私は前田氏のこの仕事に注目して市民連絡会の会報「私と憲法
(2006年8月号)」で少し紹介したことがある。そこに当時私が、前田さんにメールをだして、返事を頂いたメールを紹介している。「クリストフ・バルビーさんが言う軍隊の1ない国家27を全部まわろうとして始めましたが、ただいま10カ国をまわり、9カ国について報告してきました。まだまだこれからですが、南太平洋やカリブ海など遠方かつ不便なところが多いので大変です。(略)」
当時私はこう書いた。「このクリストフ・バルビーという人は、前田さんの紹介によると、スイスの弁護士で、『脱軍事化を求める協会コーディネーター』でその著書『非軍事化と軍隊のない国家』(同協会、2001年)で軍隊のない国家を列挙している。現在バルビーさんが掲げる非武装国家は27国である。前田さんはこの27カ国をまわろうとしている。こうした足で確かめた報告は基調であり、その努力に敬意を表する」と。
軍隊のない国家というとコスタリカが有名である。しかし、前田さんは世界に27カ国もあることを自分の足でたしかめたのだ。入国できないでトランジットだけだったという国も一カ国あったようだ。
27の国々の各章ごとに、ひとつひとつ形容詞がついている。前田さんが歩い手考えたオリジナルである。これがなかなか面白い。例えばこうである。史上初の非核憲法ーミクロネシア。リン鉱石の島ーナウル共和国。最初に夜が明ける国ーキリバス共和国。国が海に沈んでいくートゥヴァル。女性がつくった憲法ーヴァヌアツ共和国。豊かな虹の国ーモーリシャス共和国。700年の平和の旅ーアンドラ公国。君主が軍隊を廃止ーリヒテンシュタイン市国。白夜の国から米軍撤退ーアイスランド共和国。ハミングバードの聖地ードミニカ国。奴隷解放の闘いーセントルシア。運河に翻弄された国ーパナマ共和国。軍隊を捨てた国ーコスタリカ共和国。ざっと、これだけでも興味をそそられるだろう。
国連に入っていない国が2つあるから、加盟国25カ国、国連加盟国192カ国中、こんなに沢山の国が軍隊を持っていないということを、多くの人々は知らない。その一事からだけでも、本書は一読の価値がある。ここからどういう結論を導き出すか、それは読者の仕事である。(高田)

2008年4月27日 (日)

改憲容認の道民 九条維持58%に増加「戦力明記を」14ポイント減 北海道新聞世論調査

北海道新聞の世論調査の結果である。全面改憲14%、一部改憲57%であるがそのなかでの、9条維持が昨年より9ポイント増加し、2004年以降、初めて過半数を上回ったという。9条を変えて戦力保持を明記するという考えの人は14%減って31%になった。これらは昨一年で大きく世論が変化したことを物語っている。安倍内閣の下で9条改憲の動きが強まったことや、教育基本法改悪、改憲手続き法制定など、改憲の動きに対する危機感の表れであり、防衛省の一連の事件などへの不信のあらわれであろう。ただし、一般的な改憲容認は読売の調査などと比べて、道新の調査はたかい。詳細な分析が必要だ。(高田)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/89642.html
改憲容認の道民 九条維持58%に増加「戦力明記を」14ポイント減 世論調査(04/27 06:48)

 北海道新聞社は五月三日の憲法記念日を前に、憲法に関する道民世論調査を行った。「憲法を全面的に改めるべきだ」あるいは「一部を改めるべきだ」とした「改憲容認」は71%に達したが、戦力不保持を明記する九条については、その六割近くが「変更しなくてもよい」と回答。国民投票法が昨年五月に成立して改憲への手続きが整った中で、九条変更に対しては警戒感が高まっていることが浮かび上がった。

 全面的な改憲容認は14%、一部改憲容認は57%と、昨年四月の調査に比べ、改憲を容認する人は約1ポイントの微増だった。「改めずに、このまま存続すべきだ」とする「護憲」は24%と約5ポイント減少した。いずれの年代でも改憲容認が護憲を上回り、二十代と四十代では八割を超えた。

 改憲を容認する人に理由を尋ねたところ66%が「時代の変化に応じた方がよいから」と回答。「解釈が分かれる条文をはっきりさせた方がよいから」の27%を大きく引き離した。

 戦力不保持を定めた九条については、改憲容認の58%が「変更しなくてもよい」とし、昨年の調査に比べて9ポイント弱上昇。同じ質問を設定した二〇〇四年四月調査以降、初めて過半数を占めた。

 これに対し、「変更して戦力を持つことを明記すべきだ」は31%で、昨年に比べ約14ポイントも減少し、〇四年以降で最低となった。

 年代別では、いずれの層も「変更しなくてもよい」が五割を超え、二十代は72%と特に高かった。性別でみると、男女ともに「変更しなくてもよい」が最多だったが、男性の45%は「戦力保持を明記すべきだ」と答えた。

 一方、護憲の理由では、「世界に誇る平和憲法だから」が48%と最多で、昨年に比べ約7ポイント上昇した。だが、今回を含む五回の調査の中では昨年の41%に次ぐ少なさだった。

 代わって護憲の理由として伸びているのは、「いま変えれば、九条改正につながるから」で、昨年比10ポイント以上増の38%を占めた。年代別では二十代と四十代で最多の理由となり、二十代では75%と高率だった。

2008年4月26日 (土)

「九条の会」7千突破

本日の赤旗紙の報道である。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-04-26/2008042601_02_0.html
「九条の会」7千突破
運動への不当な干渉に抗議
記者会見で発表

 憲法九条の改定に反対し、九条を守り生かす活動をすすめている「九条の会」は二十五日、国会内で記者会見し、同会アピールに賛同する地域・職場・分野別などの「会」が七千を突破したことを明らかにしました。会見では運動への不当な規制・干渉に抗議する事務局見解も発表しました。

 「会」結成数は、昨年十一月段階の六千八百一から二百三十八増加し七千三十九になりました。

 会見した事務局長の小森陽一・東大教授は、小学校区単位の会づくりを提起した第二回全国交流集会(昨年十一月)以降、地域住民の身近なところで会を広げていくとりくみがすすめられていると指摘。「こうした草の根からの運動を四年近く続けてきたことが、『読売』調査でも改憲反対が多数派になった世論の形成に大きな役割を果たしている。この草の根の活動をいっそう広げたい」と述べました。

 また、六月二十一日(岐阜市)と七月十二日(宮崎市)に開く「憲法セミナー」の詳細な内容を紹介しました。

 この間、神奈川県箱根町では、地域の「会」が公民館を借りる際、町教育委員会が「九条堅持に偏って主張することは避ける」と条件をつけるなどの事態が起きています。事務局見解では、この事態について「教育委員会による検閲にほかならず、表現の自由、集会の自由に対する明らかな侵害」と批判。

 映画「靖国」への助成をめぐる自民党議員の攻撃を含め、見解は「9条改憲をもくろむ勢力のあせりが、権力の側から言論・表現・集会の自由の侵害という形で現れている」と指摘。「憲法をめぐる議論は最も手厚く保障されるべき言論だ」とし、不当な規制や干渉に抗議しました。

2008年4月25日 (金)

九条の会事務局見解・憲法9条を守る運動に対する不当な規制・干渉に抗議する

九条の会事務局は25日、国会内で記者会見を行い以下の見解を発表した。

九条の会事務局見解

憲法9条を守る運動に対する不当な規制・干渉に抗議する

 

 今年の3月4日に、「新憲法制定議員同盟」の総会が開催され、「われわれと正反対の勢力、『九条の会』と称する勢力」(同同盟幹事長の愛知和男衆院議員の表現)が全国に細かく組織作りができているとして、「九条の会」への対抗意識をあらわにし、「拠点となる地方組織」を作っていくことを方針に掲げました。

 私たち「九条の会」の運動は、憲法9条の「改正」に反対し、9条を守り実現しようと市民が進めているものであり、憲法9条の擁護は市民の自由闊達な議論を通じてこそ実現できると確信しています。それだけに憲法「改正」の是非をめぐる旺盛な議論の自由は絶対に守られなければなりません。

ところが、この間、こうした市民の言論や九条の会の活動を権力的に押さえ込むかのような、表現の自由や集会の自由に対する規制や干渉が目立っています。

 神奈川県の

箱根町

では、地域の九条の会が会合のために公民館を借りた際に「9条堅持に偏って主張することは避ける」などとの条件を町教育委員会からつけられたり、施設に掲示された「憲法9条が危ない情勢」という表現について「内容が中立的でない」として紙で覆い隠したりされました。

これは、町教育委員会による検閲にほかならず、憲法が保障する表現の自由、集会の自由に対する明らかな侵害です。また、憲法の趣旨に沿って公の施設の平等な利用を定めた地方自治法や、公民館の目的を住民の教育・学術・文化に関する事業とし、その事業のなかに「討論会」も含めている社会教育法にも反する違法な規制です。

 また、映画「靖国」が日本芸術文化振興会から助成を受けたことを問題にした自民党の議員は、国会の質問で、助成対象の選定にあたった専門委員の一人が「映画人九条の会」のメンバーであることを取り上げて、「専門委員の中立性」を問題にしています。しかし、文化的な活動への助成の内容に党派的な国会議員が干渉することこそ、文化行政の公正さ・中立性を損なうといわねばなりません。

 こうした規制や干渉の口実として、憲法9条の擁護を訴えることは「政治的」で「偏った」言動だという主張がありますが、憲法をめぐる議論は決して一党一派の立場を主張する「政治」的言論ではなく、むしろ自由な社会では最も手厚く保障されるべき言論です。

 私たち「九条の会」の運動が地域や職場に広がる中で、憲法9条を守ろうという声は着実に大きく確固としたものになってきています。4月8日に読売新聞が発表した世論調査で、憲法「改正」に「反対」(43.1%)と答えた人が「賛成」(42.5%)と答える人を上回り、9条の明文改憲に否定的な回答が60.1%にのぼったことは、その一端を示すものです。

 そうした中で9条改憲をもくろむ勢力のあせりが、権力の側から国民運動の提起や言論・表現・集会の自由の侵害という形で現れているのです。私たちは、こうした規制や干渉に断固抗議するとともに、今後とも、憲法9条を守る運動を進めていく決意を表明するものです。

 

 

2008年4月24日 (木)

思いやり予算継続へ 参院委で否決、衆院優越規定で

 24/TKY200804240153.html

思いやり予算継続へ 参院委で否決、衆院優越規定で

そうだよ。こういうこともできるんだよね。参院の野党3党協力がなせる業でした。パチパチ。も しも衆議院で過半数持っていれば、思いやり予算など、廃止できるんだ。こうした採決をした民主党への米国筋からの圧力が予想されるが、民主党が踏ん張るこ とを期待したい。昨年の参院選の結果の重さを示したものです。(高田)
http://www.asahi.com/politics/update/04

 

2008年04月24日14時06分

 在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)を3年間延長する特別協定案について、参院外交防衛委員会は24日、民主、共産、社民の反対多数で否決し た。25日の参院本会議でも否決される見通しだが、協定案は先に衆院で可決されているため、同日中にも憲法の衆院優越規定で承認される。

 特別協定は条約扱い。衆参両院で賛否が分かれれば、首相指名や予算案と同様、衆院の判断が優先される。外務省によると、衆参いずれも条約案の否決は戦後例がない。

 年度末までに承認されなかったため、4月1日から支出できない状態になっていた。ただ成立する運びになったことで、予算の大半を占める基地労働者の労務費(給料)を米軍が立て替えることにはならない見通しだ。

 過去2回の延長時に日米同盟重視の立場から賛成した民主党は、米軍基地内で日本人従業員が娯楽目的で雇われている実態や不透明な工事契約 が表面化したことを理由に今回は反対に回った。委員会で高村外相は「米国の日本政府に対する信頼が損なわれる。抑止力の点でもよいことではない」と、日本 側負担を続ける意義を強調してきた。

超党派の安保議連 3年ぶり活動再開

本ブログで既報であるが、本日の東京新聞の記事である。(高田)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2008042402006129.html

超党派の安保議連 3年ぶり活動再開

2008年4月24日 朝刊

超党派の「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」=23日、衆院第二議員会館で

 安全保障分野の法制充実を訴える超党派の議員連盟「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」が二十三日、約三年ぶりに活動を再開した。今後、週一回のペースで会合を重ね、自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法について、今秋にも独自の法案骨子を取りまとめる考えだ。

 代表幹事には、自民党の中谷元・元防衛庁長官、民主党の前原誠司副代表、公明党の上田勇氏が就任し、同会には三党を中心に約百十人が名を連ねた。

 同会は二〇〇一年十一月に結成。集団的自衛権行使を容認する「安全保障基本法」の制定などを目指して活動していたが、〇五年以降は休止状態だった。

 今年一月に成立した新テロ対策特別措置法(給油新法)の議論をきっかけに、恒久法の必要性を訴える意見が自民、民主両党から相次いだことなどが活動再開につながった。

 同会に対しては、政界再編を見据えた動きだとして警戒する声もあるが、前原氏は記者団に「(自民、民主両党の)どちらが政権をとっても、外交安全保障政策の根本は一致すべきだ。政界再編より、お互いの共通認識を作ることが主眼だ」と述べた。

2008年4月21日 (月)

日経・内閣支持率、29%に低下・日経世論調査

日経新聞の内閣支持率調査結果。
http://www.nikkei.co.jp/sp2/nt22/20080420AS3S2000F20042008.html
(4/20)内閣支持率、29%に低下・日経世論調査

 日本経済新聞社が18―20日に実施した世論調査で、福田内閣の支持率は29%と3月の前回調査から2ポイント低下し、内閣発足以来、最低となった。不支持率も5ポイント上昇の59%で最高を更新した。ガソリン税の暫定税率については「上乗せを再開し一般財源として使う」「上乗せを再開して道路整備を続ける」をあわせた復活容認論が49%で、撤廃論の42%を上回った。

 内閣支持率の30%割れは昨年7月の参院選直後の安倍内閣(28%)以来。内閣を支持しない理由を複数回答で聞くと「指導力がない」が62%で最多。「政策が悪い」が44%で、前回より10ポイント上昇し2位になった。年代別では60歳代以上の支持が落ち込んだのが特徴で、4月に始まった後期高齢者医療制度の混乱などが影響したとみられる。

 支持する理由は「人柄が信頼できる」の46%が最も多く「自民党の内閣だから」(35%)が続いた。

最近の改憲動向について・山内敏弘さん

憲法問題で奮闘する法学館のサイトに掲載された山内敏弘さんの論文である。いつもながら、鋭く、沈着な分析だと思う。一読をおすすめする。(高田)
http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20080421.html
最近の改憲動向について
2008年4月21日

山内敏弘さん(龍谷大学法科大学院教授)
 今年もまた、憲法記念日の5月3日が近づいてきた。今年の特徴は、昨年の5月3日と比較して、明文改憲の主張が比較的弱くなっているということである。その直接的な背景にあるのは、いうまでもなく、明文改憲論者であった安倍首相が昨年7月の参議院選挙で敗北して退陣して、代わって福田内閣が登場し、福田首相は明文改憲をあからさまにいうことを差し控えているという政治状況である。
 ちなみに、この4月8日に読売新聞は、同社がこの3月に実施した憲法に関する全国世論調査の結果を掲載した。それによると、今の憲法を改正する方がよいと思う人は42.5%、改正しない方がよいと思う人は43.1%になったという。同社が従来実施してきた憲法に関する世論調査では1993年以来一貫して改憲派が改憲不要派を上回ってきたが、今回の調査はその従来の傾向を逆転させるものとなったのである。憲法9条についても、この調査によると、9条1項を改正する必要があると思う人は12.5%、その必要がないと思う人は81.6%となっており(答えない人が5.9%)、また、9条2項については、改正する必要があると思う人は36.8%、その必要がないと思う人は54.5%(答えない人が8.6%)であるという。改憲論議の最大の争点である9条2項についても、改憲論よりも改憲不要論が多数を占めているのである。
 このような世論動向の背景要因について、読売新聞の社説は、「最大の要因は、国会や各政党の憲法論議の沈滞にある」として、福田首相が改憲問題についてほとんど触れなくなったことや民主党が改憲問題に正面から取り組もうとしない姿勢をあげている。そのこと自体は間違っていないが、問題は、どうして安倍内閣に代わって登場した福田内閣が明文改憲をあまり言わなくなったのか、また民主党が改憲問題に正面から取り組もうとしないのかである。そのことを考える場合に想起されるのは、1960年の国民的な安保反対闘争に直面して改憲派の岸内閣が安保改定は強行したが、その直後に辞職して、代わって登場した池田内閣は「所得倍増政策」を掲げて、明文改憲は言わなくなり、いわゆる解釈改憲論路線をとることになったことである。今回、明文改憲を掲げた安倍内閣に不信任を突きつけたのは、安保闘争のような国民的運動ではなかったが、しかし、昨年の参議院選挙に示された国民世論であったと思われる。
 もちろん、選挙では、改憲問題だけが争点となっていたわけではない。しかし、安倍内閣が憲法改正国民投票法の制定など、明文改憲路線を突き進んできたことに対して少なからざる国民が危惧の念をもち、それが投票行動に少なからず反映されたことは否定できないであろう。しかも、そのこととも関連するが、この間、明文改憲の動向を憂える多くの市民が全国各地で改憲反対の運動を繰り広げてきたということである。その一つが、大江健三郎氏や加藤周一氏などが中心となってつくった「九条の会」の運動であり、この運動は全国に草の根的に広がり、現在では6000以上の「九条の会」ができているという。この運動はマスコミではあまり大きく取り上げられていないが、しかし、上記の読売新聞社の世論調査にも反映しているであろうことは、この3月に中曽根康弘氏などがつくっている「新憲法制定議員連盟」がその総会で「九条の会」に対抗するためには改憲のための「拠点づくり」が必要性であると説いたことにも示されている。
 また、9条改憲論が後退したことの背景には、おそらくは、この間の一連の防衛省・自衛隊の不祥事も一定程度影響していると思われる。昨年に発生した防衛省の最大の不祥事は、いうまでもなく「防衛省(庁)の天皇」とも言われた守屋前防衛事務次官の収賄事件であった。守屋前事務次官は在任中に軍需産業の専門商社である「山田洋行」の元専務から300回以上にわたって接待ゴルフを受けていたこと、それと見返りにするかのように「山田洋行」は防衛省(庁)から総額174億円もの受注を受けていたことなどが判明したのである。防衛省(庁)をめぐっては、このように「官」と「財」の不正な癒着のみならず、「政」との癒着も問題となったのである。
 さらに、今年2月に起きたのは、ハワイでのMD(ミサイル防衛)訓練の帰路にあったイージス艦「あたご」(一万トン)が千葉県・野島崎沖で漁船「清徳丸」(七・三トン)と衝突して、「清徳丸」を真っ二つに切断して沈没させて、乗組員の吉清治夫・哲大の両氏を行方不明にさせたという事件である。この事件の全貌はいまなお明らかにされていないが、しかし、この事件は、かつて20年前の1988年に潜水艦「なだしお」が「第一富士丸」と衝突して30名の乗客を死亡させた事故の教訓を自衛隊がなんら学んでいないことを示すとともに、自衛隊の体質がどのようなものであるかをも示すものとなっているように思われる。かつての「なだしお」事件の場合もそうであったが、今回の「イージス艦」事件でも、防衛省の説明は二転三転して、事実を正確かつ迅速に国民の前に明らかにしようとしない防衛省の秘密主義的な体質が明らかになった。さらに、明らかになったのは、自衛隊は真剣に国民の生命や安全の確保を考えているわけではないということである。日本近海で多数の漁船が航行していることは誰れでも知っているにもかかわらず、「イージス鑑」は衝突直前まで「自動操舵」を続けていたことや、「漁船の方がよけてくれる」と考えて、海上衝突予防法の規定をも無視して直進したことなどに、自衛隊が国民の生命や安全を真剣には考えていないことが端的に示されている。
 このように重大な不祥事が防衛省や自衛隊に起きていることを目の当たりにすれば、9条を改憲して防衛省・自衛隊にさらに大きな力を付与することに多くの人々が警戒心を抱いたとしてもなんら不思議ではない。読売新聞の前記社説は、世論動向の背景にあるこのような要因については十分に思いを致していないようにみえる。
 このように明文改憲を支持する世論が減少したことは積極的に評価されるべきことであるが、しかし、同時に見過ごしてはならないのは、岸内閣の後に池田内閣が解釈改憲路線をとったと同様に、福田内閣も解釈改憲路線を推進しようとしているということである。しかも、ある意味では究極の解釈改憲路線を推進しようとしているのである。福田首相は、今年1月の施政方針演説で自衛隊の海外派兵のためのいわゆる恒久法(一般法)の制定への強い意欲を示したのである。最近の新聞報道によれば、自民党は、恒久法制定に向けて「国際平和協力活動の一般法に関するプロジェクトチーム」の初会合を開いたという。同チームの座長の山崎拓氏は、5月の連休明けには活動を本格化して、今国会中にも法案を上程することを目指しているという。見過ごすことができない重大な動向と思われる。自民党が現在考えている恒久法の概略は、(1)国連決議などがなくても、国際社会の要請ということで自衛隊の海外出動を可能とする、(2)しかも、自衛隊の海外出動については、この一般法があれば、政府の判断でいつでも、どこにでも出動することができて、いちいち国会の事前承認は必要としない、(3)武器使用についても、正当防衛の場合のみならず、「任務遂行のため」に必要な場合にも認められるなどである。このような法律がかりに制定されたならば、従来政府が言ってきた専守防衛や集団的自衛権行使の禁止などは事実上棚上げにされて、自衛隊は海外でのさまざまな武力紛争に本格的に介入するであろうし、しかも国会によるシビリアンコントロールも形骸化することは必至であろう。究極の解釈改憲と言わざるを得ない所以である。
 憲法施行以来61年を経過しようとしている今日、明文改憲論がトーンダウンしていること自体は歓迎すべきであるが、その一方でこのような解釈改憲の動きがあることについても、十分に警戒することが必要であろう。それと同時に、明文改憲が現在トーンダウンしているといっても、護憲運動が少しでも手を緩めれば、政府自民党はすぐにでもまた明文改憲論を鮮明に打ち出すであろうことにも留意することが必要であろう。おりしも、この5月4日から千葉の幕張メッセなどで、「九条世界会議」が「世界は九条をえらび始めた」というスローガンを掲げて開催される。ノーベル平和賞受賞者のマイレッド・マグワイア氏をはじめとして海外からも多数の人たちが参加する予定である。私もこの会議に参加して、憲法九条の世界的意義を改めて勉強したいと思っている。
(2008年4月16日記)

内閣支持25%、不支持60% 朝日新聞社世論調査

本日発表の朝日新聞世論調査でも福田内閣支持率は急落。前回調査から6%も落ち込んだ。(高田)

http://www.asahi.com/politics/update/0420/TKY200804200195.html
内閣支持25%、不支持60% 本社世論調査

2008年04月21日00時38分

 朝日新聞社が19、20の両日実施した全国世論調査(電話)によると、福田内閣の支持率は25%で、3月29、30日の前回調査の31%を大きく下回り、内閣発足以来、最低だった。不支持率は60%(前回53%)。内閣支持率が20%台に落ち込んだのは、07年7月に自民党が参院選で大敗した直後の調査で、安倍内閣の支持率が同内閣で最低の26%となって以来のことだ。

福田内閣の支持率

  

 内閣支持率を年代別にみると、70歳以上で前回は支持46%、不支持34%だったのが、今回は支持36%、不支持50%と逆転している。また、50代の支持率は20%にとどまっており、4月から始まった後期高齢者医療制度に直接かかわる人たちや、その子にあたる世代への影響が目立つ。

 内閣不支持の人に理由を聞くと、69%が「政策の面から」を選び、「自民党中心の内閣だから」(17%)、「首相が福田さんだから」(5%)などを引き離している。

 また、後期高齢者医療制度について聞いたところ、この制度が始まったことを「評価しない」が71%にのぼり、「評価する」は18%だった。「評価する」は内閣支持層でも34%にとどまり、「評価しない」の51%を大きく下回った。

 ガソリン税の暫定税率を衆議院での再議決で復活させることについては、賛成が24%、反対が63%。暫定税率の期限が切れてガソリン価格が下がる直前の前回調査では賛成24%、反対61%で、今回もほぼ同じ傾向だった。自民支持層でも賛成47%、反対40%と意見が分かれている。

 政党支持率は自民が前回の31%から大きく下がり26%。民主の22%(前回20%)と接近した。

 (数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で、該当する回答者の中での比率。〈〉内の数字は全体に対する比率。丸カッコ内の数字は、3月29、30日の調査結果)

◆福田内閣を支持しますか。支持しませんか。

 支持する25(31)

 支持しない60(53)

◇それはどうしてですか。

(選択肢から一つ選ぶ。左は「支持する」25%、右は「支持しない」60%の理由)

 首相が福田さん  17〈4〉   5〈3〉

 自民党中心の内閣 29〈7〉  17〈10〉

 政策の面     21〈5〉  69〈41〉

 なんとなく    28〈7〉   7〈4〉

◆あなたはいま、どの政党を支持していますか。

 自民党26(31)▽民主党22(20)▽公明党2(3)▽共産党2(1)▽社民党1(1)▽国民新党0(0)▽新党日本0(0)▽その他の政党0(0)▽支持政党なし41(39)▽答えない・分からない6(5)

◆ガソリン税が4月1日から下がりました。政府・与党は、税収が不足するため、ガソリン税の上乗せを元に戻す法案を衆議院で再議決して上乗せを復活させる方針です。あなたは上乗せを復活させることに賛成ですか。反対ですか。

 賛成   24 反対    63

◆75歳以上のお年寄りを対象にした後期高齢者医療制度が4月から始まりました。このことを評価しますか。評価しませんか。

 評価する 18 評価しない 71

◆福田首相と民主党の小沢代表についてうかがいます。2人の発言や行動を比べてみて、あなたはどちらを評価しますか。福田さんですか。小沢さんですか。

 福田さん 32 小沢さん  28

 〈調査方法〉 19、20の両日、全国の有権者を対象にコンピューターで無作為に電話番号を作る「朝日RDD」方式で調査した。対象者の選び方は無作為3段抽出法。有効回答2084人、回答率58%。

2008年4月20日 (日)

長崎新聞、世界会議に注目

長崎新聞のコラムである。
世界会議に注目している。こういう記者さんがいることがうれしい。(高田)

http://www.nagasaki-np.co.jp/press/mizusora/top.html
 九条の世界
    (2008年4月16日付)
 米陸軍長官ロイヤル氏が「日本を反共の防壁にする」と演説したのが60年前の1948年1月だった。日本の非軍事化、民主化を軌道修正する占領政策の大転換を意味した。東西冷戦を意識した新たな世界の動きが理由だ▲それはまた、戦争放棄と戦力の不保持、交戦権を否定した憲法9条がお荷物となる始まりでもあった。新憲法施行からまだ半年過ぎたばかり。自衛隊発足の前年(53年)に来日した副大統領ニクソン氏(当時)の演説「憲法9条は米の誤りであった」が端的でわかりやすい▲米国のご都合主義に、わが国為政者もべったり同伴者となった。だが、憲法は容易にいじれない。そこでこの60年、何事も「解釈改憲」で乗り切ってきた▲その究極は自衛隊をいつでも海外派遣できる「恒久法」制定だろう。衆参の「ねじれ国会」も意識した自民党が10日、法案づくりのプロジェクトチームを立ち上げた▲一方、この時期、対極にある動きとして興味深いのが、来月4日から千葉や広島などで開かれる「9条世界会議」。ノーベル平和賞受賞者マイレッド・マグワイアさん(北アイルランド)らの講演など、各国非政府組織(NGO)が集まる▲護憲派には追い風の一大イベントだが、注目したいのは、「9条」をテーマにした初の国際会議ということ。日本の9条が、世界の平和や非軍事化の流れを広める道具となるかもしれない。(剛)

派兵恒久法で与野党合作の動き

20日の読売新聞の報道では、「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」(自民党の中谷元・安全保障調査会長、民主党の前原誠司副代表、公明党の上田勇衆院議員ら、与野党の若手有志議員で構成)は3年ぶりに活動を再開する方針で、23日に総会を開き、海外派兵恒久法の制定に向け、独自案の検討を進めようとしているという。同会は活動方針で、会の目的を「政党の垣根を越えて連携し、我が国の安全保障・危機管理態勢を確立する」と明記した。
これは先ごろ開かれた自民党の恒久法PTの会合で、ISAF合憲論が出ていたこととあわせ、衆参ねじれ国会の下で、自公民連合の動きを探るものとして、警戒を要する動きである。福田内閣がいま、派兵恒久法を実現しようとすれば、この動きは不可避である。しかし、これは広範な民意に背くものであり、民主党内でもおいそれと合意ができるものではない。これらを見据えた、国会外での運動の強化が重要になっている。(高田)

日経社説・違憲判断を機に集団的自衛権論議を(4/18)

名古屋高裁判決への日経紙の社説の紹介を落としていたので、改めて紹介しておきたい。
この社説は判決を契機に「集団的自衛権」についての議論を活発化させよと主張している。本末転倒、盗人に追い銭、転んでもただでは起きない、などなどが思い浮かんだ社説である。小泉内閣はなぜ非戦闘地域などというあいまいな概念を持ち込んだのか、それはイラク特措法が憲法9条に反するからである。判決でこのことが違憲と指摘されると、日経紙は、9条の「解釈」そのものを根本から変えるための集団的自衛権の議論をせよなどという。ルール違反を指摘されると、違反にしないためにルール自体を変えようというのである。日経紙はこうして安倍内閣が破綻した集団的自衛権の政府解釈の変更に踏み込むよう、福田内閣の尻たたきをしている。集団的自衛権の行使の合憲解釈化と派兵恒久法をあわせれば、まさに9条はあってなきがごとし、日本は軍隊をいつでもどこへでも出して、米軍と共に武力行使ができる「普通の国」になる。日経がめざしているのはそうした日本である。(高田)

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20080417AS1K1700817042008.html
社説1 違憲判断を機に集団的自衛権論議を(4/18)

 航空自衛隊がイラクで行っている空輸活動には、憲法上許されないものが一部ある、との判断を名古屋高裁が示した。

 自衛隊のイラクでの活動が憲法9条に違反するとして、全国の約1100人が派遣差し止めなどを国に求めた訴訟の控訴審判決の判決理由で述べた。判決主文は原告の請求をすべて退けており、自衛隊のイラクでの活動を制限する法的効力はない。

 今回の違憲判断は、イラク特措法の国会審議でも問題になった「戦闘地域」「非戦闘地域」の区分け基準のあいまいさと、その大本にある集団的自衛権を巡る政府の憲法解釈の無理を浮かび上がらせたものとして注目したい。

 違憲とされた自衛隊の活動は、多国籍軍の武装した兵員をバグダッドへ運ぶ行為である。

 政府はバグダッドの航空自衛隊が活動する地域を「非戦闘地域」とするが、判決は、現地から伝えられる状況から「バグダッドはイラク特措法にいう『戦闘地域』にあたる」と認定。そのうえで戦闘地域への武装兵員の輸送は、政府が憲法上許されないとしている「他国による武力行使と一体となる協力」に該当する ――と結論づけた。

 私たちは国連平和維持活動(PKO)や多国籍軍の平和構築活動に対し自衛隊が協力をするに当たり、戦闘活動には参加すべきでないが、後方支援には幅広く参加すべきであると考えてきた。

 このためには集団的自衛権をめぐる憲法解釈の変更が必要となると指摘してきた。

 イラク特措法に、定義があいまいな「戦闘地域」「非戦闘地域」の概念を持ち込まざるをえなかったのも、現在の政府の憲法解釈に抵触せずにイラクで自衛隊が活動できるようにするためだった。安倍晋三前首相は、この点を整理し、新たな解釈を打ち出す必要があると考え、柳井俊二元駐米大使を座長とする有識者懇談会をつくった。

 福田康夫政権が発足してから柳井懇談会は一度も開かれておらず、福田首相は、この議論を事実上停止した格好だ。一方で福田首相は、自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法(一般法)案をまとめ、今国会提出に向けて与党内調整を進めるよう指示している。

 集団的自衛権の解釈変更をめぐる議論に目をつぶったままで恒久法を制定すれば、いま起きている混乱は続く。名古屋高裁の判断は、福田政権のちぐはぐな姿勢に対する批判のようにも見える。

2008年4月19日 (土)

内閣支持率続落・時事通信調査

時事通信の世論調査でも福田内閣支持率続落・不支持が52.4%、支持が27.6%でダブルスコアである。与党幹部は支持率が落ちても総辞職はしないなどと突っ張っているが、さて、どこまで持つのか。(高田)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008041800603&j1

2008/04/18-19:54 福田内閣、不支持が5割超=支持続落27.6%に-時事世論調査
 時事通信社が11-14日に実施した4月の世論調査によると、福田内閣の支持率は前月比3.3ポイント減の27.6%で下落傾向に歯止めは掛からず、昨年9月の発足後初めて2割台に落ち込んだ。一方、不支持も同4.7ポイント増の52.4%と5割を超えた。揮発油(ガソリン)税の暫定税率失効や、日銀総裁人事をめぐる混乱で福田康夫首相の指導力を問う声が高まったことに加え、後期高齢者医療(長寿医療)制度の説明不足などが響いたとみられる。
 不支持の理由(複数回答)では「期待が持てない」が同2.4ポイント増の30.2%でトップ。これに「リーダーシップがない」27.4%、「政策が駄目」16.5%などが続いた。
 不支持は、20歳代を除くすべての年代で前月よりアップし、30歳代では初めて6割を突破。40歳代から60歳代までの各年代で5割を超えた。男女別では男性56.5%、女性48.0%だった。

イラク輸送違憲:空幕長「関係ねえ」

なんという傲慢無礼な態度か。これではシビリアンコントロールもなにもあったものではない。田母神空幕長がお笑いタレント小島よしおのせりふをまねて、「そんなの関係ねえ」と記者会見で述べたのだ。冗談にも程がある。「自衛隊が巻き込まれる危険はない」だって?それでよく空幕長が務まるよ。(高田)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080419k0000m010156000c.html
イラク輸送違憲:空幕長「関係ねえ」会見で隊員の心境代弁

 航空自衛隊トップの田母神俊雄・航空幕僚長は18日の会見で、前日の名古屋高裁の違憲判決がイラクに派遣中の隊員に与える影響について尋ねられ、有名お笑いタレントの流行語を引用して「私が心境を代弁すれば『そんなの関係ねえ』という状況だ」と述べ、隊員の士気に影響はないと強調した。

 田母神幕僚長は「非常に純真な隊員については、一部、心を傷つけられているかもしれない」としつつ、「大多数はほとんど影響ない」と語った。

 高裁がイラク特措法の定める「戦闘地域」に該当するとした空自の空輸先の一つ、バグダッド空港については、「予断を許さない状況だと思う。ただ自衛隊が戦いに巻き込まれる危険はない」と強調した。

 また、元文部科学相の中山成彬衆院議員(宮崎1区)は18日夜、宮崎市内で講演。名古屋高裁判決について「問題のある裁判長で、変な判決だった。3月末で辞め『最後っぺ』(おなら)を出したようなものだ」などと語った。【本多健、中尾祐児】

毎日新聞 2008年4月19日 0時12分(最終更新 4月19日 1時30分)

2008年4月18日 (金)

イラク派兵、名古屋高裁違憲判決・各紙社説

昨日の名古屋高裁におけるイラク派兵違憲判決に関する各紙の社説である。政府はこうした判決が出ても、傍論だとして従おうとしていない。政府のこの姿勢は立憲主義と三権分立主義に真っ向から反する態度である。朝日、毎日、東京、北海道の各紙はイラクは兵の再検討を主張しているが、読売紙は判決に正反対の態度を取っている。
先のプリンスホテルの日教組問題での仮処分判決無視の態度といい、権力や力のあるもの達がこうした判決を無視する風潮をいかにすればいいのか。(高田)

イラク派兵、名古屋高裁違憲判決・各紙社説

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#syasetu1
イラク判決―違憲とされた自衛隊派遣

 あのイラクに「非戦闘地域」などあり得るのか。武装した米兵を輸送しているのに、なお武力行使にかかわっていないと言い張れるのか。

 戦闘が続くイラクへの航空自衛隊の派遣をめぐって、こんな素朴な疑問に裁判所が答えてくれた。いずれも「ノー」である。

 自衛隊が派遣されて4年。長年、疑念を抱いていた人々も「やっぱり」という思いを深めたのではないか。

 航空自衛隊の派遣に反対する3千人余りの人々が派遣差し止めを求めて起こした訴訟で、名古屋高裁が判決を言い渡した。

 差し止め請求は退けられ、その意味では一審に続いて原告敗訴だった。だが、判決理由のなかで憲法などとのかかわりが論じられ、派遣当時の小泉政権が示し、その後の安倍、福田両政権が踏襲した論拠を明確に否定した。

 判決は、イラクの現状は単なる治安問題の域を超え、泥沼化した戦争状態になっていると指摘した。とくに航空自衛隊が活動する首都バグダッドの状況はひどく、イラク特措法の言う「戦闘地域」にあたるとした。

 小泉政権は、イラクのなかでも戦火の及ばない「非戦闘地域」が存在し、そこなら自衛隊を派遣しても問題ないと主張した。陸上自衛隊を派遣した南部サマワや、首都の空港などはそれにあたるというわけだ。

 判決はそれを認めず、空輸活動はイラク特措法違反と明確に述べた。空自の輸送機はこれまで攻撃を受けなかったものの、何度も危険回避行動をとったことを防衛省は認めている。実際に米軍機などが被弾したこともあった。判決の認識は納得がいく。

 もう一つ、多国籍軍の武装兵員を空輸するのは、他国による武力行使と一体化した行動であり、自らも武力を使ったと見られても仕方ない、つまり憲法9条に違反するとした。

 もともと、無理のうえに無理を重ねた法解釈での派遣だった。当時の小泉首相は、非戦闘地域とはなにかと国会で聞かれ、「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域」などと開き直ったような答弁を繰り返した。

 判決後、町村官房長官は派遣続行を表明した。最高裁による最終判断ではないからということだろう。それでも、高裁の司法判断は重い。判決を踏まえ、与野党は撤収に向けてすぐにも真剣な論議を始めるべきだ。

 日本の裁判所は憲法判断を避ける傾向が強く、行政追認との批判がある。それだけにこの判決に新鮮な驚きを感じた人も少なくあるまい。

 本来、政府や国会をチェックするのは裁判所の仕事だ。その役割を果たそうとした高裁判決が国民の驚きを呼ぶという現実を、憲法の番人であるはずの最高裁は重く受け止めるべきだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2008041802004496.html
【社説】
イラク空自違憲 『派兵』への歯止めだ

2008年4月18日

 航空自衛隊のイラク派遣は憲法九条に違反している。名古屋高裁が示した司法判断は、空自の早期撤退を促すもので、さらには自衛隊の海外「派兵」への歯止めとして受け止めることができる。

 高裁の違憲判断はわかりやすい論理になっている。

 イラク特措法は、人道復興支援のため「非戦闘地域」での活動を規定している。空自のC130輸送機は、武装した米兵らをバグダッドなどに空輸している。ところが、バグダッドは戦闘地域、すなわち戦場である。

 戦場に兵士を送るのは軍事上の後方支援となる。これは非戦闘地域に活動を限定したイラク特措法から逸脱し、武力行使を禁じた憲法九条に違反するとした。

 イラク戦争開戦から五年余。大量破壊兵器の保有、国際テロの支援を理由に米英両国は攻撃に踏み切った。「事前に悪をたたく」という米ブッシュ政権の先制攻撃論が理論的支柱となった。

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20080418k0000m070137000c.html
社説:イラク空自違憲 あいまいな説明は許されない

 イラク復興特別措置法に基づく航空自衛隊のバグダッドへの空輸活動を違憲とする判決が出た。自衛隊のイラク派遣に反対する市民グループが国を相手取って、派遣が憲法違反であることの確認を求めた控訴審で、名古屋高裁(青山邦夫裁判長)が17日、判断したものだ。

 陸上自衛隊は06年7月にイラク・サマワから撤退したが、空自は昨年6月のイラク特措法改正で活動が2年間延長された。イラクで5年目の活動を展開しており、クウェートから首都バグダッドへの輸送などを担当している。

 判決はまず、バグダッドで米軍などと武装勢力との間で激しい武力衝突が起きていることを指摘し、特措法でいう「戦闘地域」にあたると認定した。そのうえで、「多国籍軍の武装兵員を戦闘地域であるバグダッドに空輸する活動は、他国による武力行使と一体化した行動で、武力行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」とした。

 政府と同じ憲法解釈で特措法を合憲としたとしても、活動を「非戦闘地域」に限定した特措法と、武力行使を禁じた憲法9条に違反するとの判断である。

 重要なのは、判決がイラク国内の紛争は多国籍軍と武装勢力による「国際的な武力紛争」であるとの判断に基づき、バグダッドを「戦闘地域」と認定したことだ。政府がイラクでの自衛隊の活動を合憲だと主張してきた根拠を根底から覆すものだからだ。

 イラクに自衛隊を派遣した小泉純一郎首相(当時)は、国会で非戦闘地域について質問されて、「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域である」と答弁し、物議をかもしたことがある。また、党首討論では、イラク国内の非戦闘地域について聞かれ、「イラク国内の地名とかを把握しているわけではない。どこが非戦闘地域かと聞かれても、分かるわけがない」と発言したこともあった。

 判決は、極めてあいまいだった当時の首相発言を指弾する内容でもある。政府は判決を真摯(しんし)に受け止め、活動地域が非戦闘地域であると主張するなら、その根拠を国民にていねいに説明する責務がある。

 さらに、判決が輸送対象を「武装兵員」と認定したことも注目に値する。政府はこれまで、空自の具体的な輸送人員・物資の内容を明らかにしてこなかった。小泉首相は、当時の記者会見で「空自による物資の輸送はしている。しかし、どんな活動をしているかは部隊の安全の面があり、公表できない部分もある」と述べていた。

 しかし、輸送対象に米軍を中心とする多国籍軍が含まれており、当初の「人道復興支援」から「米軍支援」に変質したのではないかとの見方が前からあった。

 政府は、輸送の具体的な内容についても国民に明らかにすべきである。

毎日新聞 2008年4月18日 0時01分

 いずれも見込み違いの「大義なき開戦」だったことは明らかだ。この五年は、イラク人にとり苦難と混乱の日々であった。世界保健機関(WHO)によると、十五万人以上のイラク人が死亡した。

 米兵死者が四千人を超す米国も、厭戦(えんせん)気分が満ちている。秋の大統領選ではイラク問題が最大争点となりそうだ。

 では、小泉政権の「開戦支持」は正しかったか。この支持の延長に自衛隊の派遣があった。イラク南部サマワに派遣された陸上自衛隊は、インフラ整備など復興支援の活動を展開したが、空自は情報開示に乏しく、活動実態は伝わっていない。

 高裁が違憲とした以上、空自の輸送活動をこのまま継続することは難しく、撤退も視野に入れた検討が必要ではないか。福田政権にとっては、道路財源や高齢者医療の内政問題に加え、日米同盟にかかわる安全保障上の外交課題を背負うことになった。

 もう一つ、今回の違憲判決が明確にしたのは、自衛隊海外派遣と憲法九条の関係である。与党の中には、自衛隊の海外派遣を恒久法化しようという動きがある。しかし、九条が派遣でなく「派兵」への歯止めとなることを憲法判断は教えた。

 イラク派遣に限らず、司法は自衛隊に関する憲法判断を避けてきた。今回の踏み込んだ判決を受け止め、平和憲法の重さとともに、世界の中にある日本の役割を考える機会としたい。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/87943.html
社説
イラク空自違憲判決 まだ派遣を継続するのか(4月18日)

 自衛隊の海外活動について、司法が初めて違憲判断を示した。

 イラクで航空自衛隊が行っている米軍の武装兵などの空輸活動は憲法九条に違反する。他国による武力行使と一体化しているからだ-。

 名古屋高裁の判決文は明快だ。

 空自が活動するバグダッド周辺は「戦闘地域」だとも認定した。

 画期的ではあるが、きわめて常識的な判断ともいえる。

 国内の反対の声を押し切って派遣を進めてきた政府の主張には、やはり無理があったということだ。

 自衛隊の海外派遣には、慎重さが求められる。九条をないがしろにするような派遣は認められない。

 ここはいったん空自を撤退させ、自衛隊の海外活動のあり方を根本から論議し直すべきだ。

*司法が疑問に答えた

 イラク復興支援特別措置法には、自衛隊の活動は「武力による威嚇または武力の行使に当たるものであってはならない」と明記されている。

 活動地域についても「戦闘行為が行われていない」ところと限定している。

 だが、イラク国内でテロや宗派間抗争が絶えなければ、そこは戦闘地域ではないのか。米軍を中心とした他国の武装兵などを運ぶ後方支援は、武力行使の一環ではないのか。

 多くの国民が抱いてきた疑問だ。

 これに対し、政府はあくまで武力行使ではなく人道復興支援だといってきた。派遣を決めた小泉純一郎首相は「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域」という粗雑な論理を振りかざした。

 判決は、そうした政府の言い分を真正面から否定している。

 判決はいう。

 イラクの現状は「泥沼化した戦争の状態」だ。自衛隊が活動する首都バグダッド周辺は「戦闘地域」に該当する。輸送などの補給活動も戦闘行為の重要な要素だ。

 こちらの方が、はるかにすっきりと納得できる説明ではないか。

 米国が主導して始めたイラク戦争には国際社会に強い反対の声があった。大量破壊兵器の存在など、米国が主張した「開戦の大義」が偽りだったことも明らかになっている。

 日本が自衛隊を派遣したのは、国際世論や国民の声より日米同盟の維持・強化を優先させたからだ。

 復興支援という派遣の名目も非戦闘地域の強引な定義も、結局はそのための理屈付けだったといわざるを得ない。

*厳格な基準が必要だ

 昨年一月の自衛隊法改正で、自衛隊の海外活動が本来任務に格上げされた。

 インド洋では、海上自衛隊が他国の艦船への給油活動を再開した。

 政府・与党は自衛隊の海外派遣の恒久法制定を目指している。

 いつの間にここまで来てしまったのだろう。

 イラクでの活動を政府は今後も継続する方針だ。司法判断を軽んじる態度といっていい。

 今回の名古屋高裁の判断が指し示しているのは、自衛隊の海外活動にはもっと厳格な基準と抑制が必要だということではないのか。

 この判決を待つまでもなく、憲法九条は自衛隊の海外での武力行使を禁じている。

 だから九条は変えるべきだ、という声も出てくるかもしれない。

 しかし、それは逆だろう。九条は日本が平和国家を目指すという宣言である。各種世論調査でも九条を守ろうという国民の意識は強い。

 九条の理念に立ち返って考える。政府はそこから再出発すべきだ。

*国会は実態の解明を

 国会の責任も重い。

 活動の実態をできるだけ詳しく国民の前に明らかにする。その上で憲法論議を具体的に積み上げていく。

 それこそが国会の使命だ。

 空自がイラクで輸送活動に従事して四年あまり。政府が実際の活動の一端を説明し始めたのは、ようやく昨年の通常国会からだった。

 詳細はいまだに明かされていない。にもかかわらずイラク特措法は昨年六月に二年間延長された。

 国会の監視機能が不十分なまま、文民統制は形骸(けいがい)化していた。

 すでに撤退したとはいえ、二年半にわたる陸上自衛隊の活動も検証が必要だ。

 年内には延長論議が始まる新テロ対策特別措置法に関しても、海自による給油活動の実態把握が論議の前提にならねばなるまい。

 もう一つ、判決が示した重要な判断がある。平和的生存権を「憲法上の法的権利」と認めたことだ。

 自衛隊のイラク派遣によってこの権利が侵害されたとはいえないとしながらも、「基本的人権は平和の基盤なしには存立し得ない」と明言した。平和は何にもまして大切だという指摘だ。

 近年、この当たり前のことが置き去りにされてきた。

 政府・与党のみならず、すべての国民が、じっくりとかみしめてみる必要のある判決だ。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080417-OYT1T00786.htm
イラク空自判決 兵輸送は武力行使ではない(4月18日付・読売社説)

 イラクでの自衛隊の活動などに対する事実誤認や、法解釈の誤りがある。極めて問題の多い判決文である。

 航空自衛隊がクウェートとイラクの間で実施中の空輸活動の一部について、名古屋高裁は、国際紛争解決の手段としての武力行使を禁じた憲法9条に違反するとの判断を示した。

 市民団体メンバーらが空自のイラク派遣の違憲確認と差し止め、損害賠償を国に求めていた。

 判決は、原告の請求をいずれも退けた。違憲確認の請求についても「利益を欠き、不適法」と判断している。それなのに、わざわざ傍論で「違憲」との見解を加える必要があったのだろうか。

 国は、訴訟上は勝訴したため、上告できない。原告側も上告しないため、この判決が確定する。こうした形の判例が残るのは、好ましいことではない。

 イラク復興支援特別措置法は、自衛隊の活動について、人道復興支援などを「非戦闘地域」で行うよう定めている。

 判決文は、イラクでの多国籍軍と国内の武装勢力との抗争を「国際的な戦闘」と“認定”した。それを前提として、空自による多国籍軍兵の空輸は「他国による武力行使と一体化した行動」で、武力行使に当たる、と結論づけた。

 だが、多国籍軍による武装勢力の掃討活動は、イラクの安定と安全への貢献を求めた2003年5月の国連安全保障理事会決議1483などを根拠としている。イラク政府も支持しており、正当な治安維持活動にほかならない。

 仮に掃討活動が武力行使だとしても、憲法上の問題はない。空自による多国籍軍兵の空輸は、武力行使と一体化しないからだ。

 内閣法制局は、「一体化」の有無を判断する基準として、地理的関係、密接性など4項目を挙げている。空自の輸送機から降り立った兵士がすぐに戦闘活動を開始するなら、一体化する恐れもあるだろうが、実態は全く違う。

 判決文は、バグダッドが「戦闘地域」に該当するとしている。

 だが、イラク特措法に基づく基本計画は、空自の活動地域をバグダッド空港に限定している。空港は、治安が保たれ、民間機も発着しており、「戦闘地域」とはほど遠い。空港が「戦闘地域」になれば、空自は活動を中止する。

 イラク空輸活動は、日本の国際平和活動の中核を担っている。空自隊員には、今回の判決に動じることなく、その重要な任務を着実に果たしてもらいたい。
(2008年4月18日01時23分  読売新聞)

2008年4月17日 (木)

イラク派兵違憲判決

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080417-00000087-jij-soci

自衛隊イラク派遣に違憲判断=請求は棄却-名古屋高裁

4月17日14時32分配信 時事通信

 自衛隊のイラク派遣は違憲として、愛知県の弁護士と全国の住民らが国を相手に、派遣差し止めと慰謝料などを求めた訴訟の控訴審判決が17日、名古屋高裁 であり、高田健一裁判長は「米兵らを空輸した航空自衛隊の活動は憲法9条1項に違反するものを含んでいると認められる」と指摘、憲法違反に当たるとの判断 を示した。
 自衛隊イラク派遣をめぐる同様訴訟は全国で起こされているが、違憲判断は初めて。 

http://www.asahi.com/national/update/0417/NGY200804170005.html
「空自イラク派遣は憲法9条に違反」 名古屋高裁判断

2008年04月17日14時17分

 自衛隊イラク派遣の差し止めや派遣の違憲確認などを求めて全国の市民3千人以上が提訴した集団訴訟の控訴審判決が17日に名古屋高裁であった。青山邦夫裁判長は原告の請求を退けた一審・名古屋地裁判決を支持、控訴は棄却したが、「現在の航空自衛隊のイラクでの活動は日本国憲法9条1項に違反している」との判断を示した。全国で起こされたイラク派遣をめぐる訴訟で、一、二審を通じて違憲判断が示されたのは初めて。

イラク派兵の違憲判決を受け、喜び合う原告ら=名古屋高裁前で

 判決は、首都バグダッドで米軍と武装勢力との間で激しい紛争が起き、一般市民に多数の犠牲者が出ていることを指摘。「イラク特別措置法にいう『戦闘地域』に該当する」と認定し、空自のイラクでの活動は武力行使を禁じたイラク特措法に違反し、憲法9条に違反する活動を含んでいると結論づけた。

 裁判は04年2月に最初の提訴があり、7次にわたって3237人が原告として名を連ねた。名古屋地裁は06年4月、派遣差し止めを却下、慰謝料請求を棄却、憲法判断を避ける判決を言い渡していた。

 控訴審には1122人の原告が参加した。審理の中ではイラクの現状を記録したDVDを見たり、原告側が申請した証人2人が陳述するなどして、裁判官側も原告の主張に耳を傾ける姿勢を示した。

 イラク派遣差し止めをめぐっては、北海道、仙台、栃木、東京、静岡、京都、大阪、岡山、熊本で各地裁に市民が提訴したが、これまで原告敗訴の判決が出ている。

2008年4月15日 (火)

読売調査でも内閣支持率最低を記録

 本日発表された読売新聞社が12、13日に面接方式で実施した全国世論調査によると、福田内閣の支持率は30・0%(3月調査比3・9ポイント減)、不支持率は58・4%(同4・4ポイント増)だった。記事の冒頭で、面接調査と、電話方式の調査の結果に表れる違いも説明されている。支持率は昨年9月の内閣発足以降、面接調査では最低を記録した。支持率は、変化がより強く出る傾向がある電話方式による緊急調査(4月1、2日実施)では28・0%まで落ち込んでいる。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080116-907457/news/20080414-OYT1T00449.htm
内閣支持率30%、前月より3・9ポイント減…読売調査

 読売新聞社が12、13日に面接方式で実施した全国世論調査によると、福田内閣の支持率は30・0%(3月調査比3・9ポイント減)、不支持率は58・4%(同4・4ポイント増)だった。

 支持率は昨年9月の内閣発足以降、面接調査では最低を記録した。

 支持率は、変化がより強く出る傾向がある電話方式による緊急調査(4月1、2日実施)では28・0%まで落ち込んでおり、低落に歯止めはかかっていない。

 該当者不明の約5000万件の年金記録について、政府は3月末までに約1000万件の持ち主を特定した。この問題で政府の対応を評価する人は「大いに」と「多少は」を合わせて35%で、評価しないと答えた人(「あまり」「全く」の合計)の63%が上回った。民主党は舛添厚生労働相の問責決議案を参院に提出する構えを示しているが、厚労相は辞任すべきだと思う人は12%に過ぎず、辞任する必要はないという答えが84%に上った。

 ガソリン税の暫定税率を政府・与党が4月末にも復活させる方針を示していることには賛成が30%、反対が61%となった。ただ、暫定税率がどうあるべきかについては「暫定税率を続け、幅広い目的に使う」42%、「道路整備に使う」9%で、維持すべきだとの考えが5割を超えた。「廃止する」は40%だった。

 【調査方法】▽調査日=4月12、13日▽対象者=全国有権者3000人(250地点、層化2段無作為抽出)▽方法=個別訪問面接聴取法▽回収1753人(58.4%)
(2008年4月14日22時52分  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080116-907457/news/20080414-OYT1T00589.htm
与党支持層に「福田離れ」、民主にも厳しい評価…読売調査

 読売新聞社の面接方式による全国世論調査で、福田内閣の支持率が発足以来最低を記録したのは、特に与党支持層で「福田離れ」が進んだためだ。

 自民支持層の内閣支持率は64・7%(3月調査比6・7ポイント減)、不支持率は28・4%(同6・9ポイント増)となった。公明支持層の支持率は3月の6割強が約5割に目減りし、不支持率は3割強から4割に増えた。

 福田首相はガソリン税を巡る問題で、来年度からの道路特定財源の一般財源化などを提案した。この問題で首相が指導力を発揮したと思うかどうかを聞いたところ、「そう思う」は全体で23%(「どちらかといえば」を含む)に過ぎず、「そうは思わない」が72%に上った。与党支持層も冷ややかで、「そう思う」との答えは自民支持層で43%(「そうは思わない」53%)、公明支持層で3割強(同7割弱)と少数だった。

 ただ、内閣支持率の低迷が民主党の追い風になっているわけではない。ガソリン税を巡る首相の提案を拒否した小沢代表の対応については「評価する」(「大いに」「多少は」の合計)は33%で、「評価しない」(「あまり」「全く」の合計)の62%が大きく上回った。政党支持率は自民の30・6%(3月調査比2・5ポイント減)に対し、民主は17・4%(同0・2ポイント減)で横ばいだ。

 民主党は早期の衆院解散・総選挙を求めているが、次の衆院選の時期について「できるだけ早く行う」と答えた人は23%にとどまった。「今年7月のサミット後」20%、「今年中」22%、「任期満了までに」24%を合わせると、「サミット後」は6割を超え、同党の戦略は国民の支持を得てはいないようだ。さらに、望ましい政権の枠組みを聞いたところ、最も多かったのは「現在の自民党と公明党の連立政権」20%で、「自民党と民主党を中心とする連立政権」19%、「与野党を再編した新しい枠組みの政権」18%が続き、「民主党を中心とする野党の連立政権」は16%に過ぎなかった。
(2008年4月14日23時06分  読売新聞)

8日の読売社説

今回の読売の憲法世論調査は各方面の注目を集めている。同日の(8日の)読売の社説を掲載し忘れたので、遅ればせながら掲載する。(高田)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080407-OYT1T00791.htm
憲法世論調査 改正論を冷やす政治の混迷(4月8日付・読売社説)

 日本政治の混迷が、憲法改正の世論を冷やしているのだろう。

 読売新聞の世論調査で、憲法を「改正する方がよい」と思う改正派が42・5%へ減少した。「改正しない方がよい」という非改正派は、43・1%になった。

 1993年調査以来、改正派が非改正派を常に上回ってきた。わずかな差だが、今回逆転した。改正派は、4年連続の減少だ。

 最大の要因は、国会や各政党の憲法論議の沈滞にあるだろう。

 昨年5月、憲法改正手続きを定めた国民投票法が成立した。だが、それに基づき設置された憲法審査会が、いまだ始動していない。

 憲法改正に積極姿勢をみせていた安倍前首相が、昨夏の参院選での自民党惨敗のあと、突然辞任した。後継の福田首相は、打って変わって、憲法改正問題には、ほとんど触れなくなった。

 今回、自民党支持層のうち改正派は47%と、98年以降では初めて、5割を切った。衆参ねじれ国会の下、憲法改正論議の進展は困難、という判断と、憲法改正への首相のメッセージの乏しさが、影響しているのではないか。

 民主党は、参院選を前に、与党との対決色を出す思惑から、国民投票法に反対した。党内にある憲法改正慎重論や、「護憲」を掲げる社民党との選挙協力などへの配慮もあった。

 民主党支持層の改正派は、2005年には67%に達し、自民党支持層の64%を上回っていた。それが今回は41%に減った。

 憲法改正問題に正面から取り組もうとしない民主党の姿勢が、支持層の改正派減少をもたらす一因になっていないか。

 先の臨時国会では、インド洋での海上自衛隊の給油活動再開や、自衛隊の国際貢献のあり方が焦点になった。だが、前防衛次官の汚職事件や、海自の燃料の対イラク作戦転用問題などが重なり、憲法論議は深まらなかった。

 今回、こうした自衛隊の海外派遣についてのルールを定める「恒久法」についての質問では、「必要だと思う」が46%で、「思わない」42%を上回っている。

 「国際貢献など今の憲法では対応できない新たな問題が生じているから」――。改正派があげた改正理由のトップは、これまでと変わっていない。これから憲法論議を「活発化させるべきだ」と思う人も、7割にのぼる。

 安全保障や環境問題など、さまざまな観点から憲法を議論しあうことが求められている。
(2008年4月8日01時30分  読売新聞)

2008年4月14日 (月)

恒久法 早期整備見通し立たず(NHK報道)

NHK4時21分の報道である。公明党が世論の動向を気にして躊躇しているようである。恒久法を成立させれば、9条の下で事実上、集団的自衛権を行使することになってしまう。公明党や民主党への世論の圧力が必要なときである。(高田)

恒久法 早期整備見通し立たず
http://www3.nhk.or.jp/news/k10013549181000.html#
自民党は、自衛隊を迅速に海外に派遣するための恒久的な法律について、今の国会に法案を提出したいとしていますが、予定していた公明党との協議に入れずにいるなど、早期に法律を整備できる見通しは立っていません。

自民党は先週、自衛隊の海外派遣のための恒久的な法律を検討するプロジェクトチームの初会合を開き、今の国会への法案提出を目指し議論を進めていく方針を決めました。自民党が議論を急ぐ背景には、海上自衛隊がインド洋で給油活動を行うための新テロ対策特別措置法が来年1月に期限切れを迎えることから、それまでに恒久法を整備することで、活動の中断を回避したいというねらいがあります。石破防衛大臣も記者会見で、「新テロ対策特別措置法の審議の際、『恒久法を作って対応すべきだ』という意見が与野党ともに多かった」と述べ、意見集約が進むことに期待を示しました。ただ、公明党は、与野党の対立が続く国会対応を優先させたいとしているため、与党としてのプロジェクトチームの議論は始まっていません。また、法案の提出にこぎつけても、その後、民主党の協力を得られるかどうかはわからず、早期に法律を整備できる見通しは立っていません。

2008年4月13日 (日)

雑記(35)福田は封建領主以下の感覚

以下は「共同通信」が報じたことである。
 
首相主催の「桜を見る会」が12日午前、東京の新宿御苑で開かれ、暖かい日差しの中で、約1万人の招待客が満開の八重桜を楽しんだ。福田首相はあいさつで「こんな桜ばかりのような日本にしたい。政治と行政をしっかりさせるのが私の役割」と強調。ただ「まあ、いろいろありますよ。物価が上がるとか、しょうがないことはしょうがないのだから、耐えて工夫して切り抜けていくことが大事だ」とも述べた。

なんという言いぐさか。「こんな桜ばかりのような日本にしたい」という福田康夫首相の美学あるいは価値観の貧困さへの批判はとりあえずおいといて、いまは日本社会は閉塞感ばかりで花など咲けない状態である。
なかでも大きな問題は福田首相の以下のような発言なのである。「まあ、いろいろありますよ。物価が上がるとか、しょうがないことはしょうがないのだから、耐えて工夫して切り抜けていくことが大事だ」という。このほんとうに政治の最高責任者の他人事のような発言に、現局面が象徴されている。「物価があがるのはしょうがない。しょうがないことは耐えてくれ」だと。年金問題、後期高齢者の保険、ガソリン税特定財源問題、諸物価の高騰、貧困と格差問題、労働現場の諸問題、防衛省の諸問題、これほど社会に政治がらみの問題が累積しているのである。これが「まあ、しょうがないと思って耐えてくれ」ですまされようとしている。もとはといえば、この問題は「痛みに耐えて改革を!」などと叫んだ小泉内閣以来の自民党政治の問題である。小泉が言った「痛み」に、わたしたちはいま、十分に味あわされている。福田康夫に「耐えて、工夫して」などといわれなくても、庶民はとっくに「工夫して耐えている」。問題はそれが限界状態なのだ。
 この無責任首相の下で、給油新法再議決、立川反戦ビラ有罪の最高裁判決、映画「靖国」上映中止問題、鳩山法相下での死刑実行の頻発、などなど、社会に閉塞感が蔓延しつつある。
 庶民に「工夫して耐えよ」とは封建時代の殿様並みの政治のいうことであろう。こんな無責任首相を筆頭とした福田内閣をなんとしても打倒しなければならない。(高田)

2008年4月12日 (土)

雑記(34)憲法おじさん、署名1万筆達成

北海道新聞コラム「卓上四季」九条署名1万筆
簑輪さんに7日にお電話を頂いた。土曜日(5日)で1万筆を超えたと。数日前、体調が優れないというお話を聞いて、無理しないでくださいとお願いしたばかりだった。北海道新聞が書いてくれた。「幸せをいまそっとかみしめている」という結語が優しくていい。(高田)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/fourseasons/
続・憲法おじさん(4月12日)

東京・小金井市の武蔵野公園で憲法九条を守る署名を呼びかけている簑輪喜作さん(78)。二月下旬のこの欄で紹介した。こつこつ集めた署名が最近一万人を超えた▼二〇〇五年十二月から始めて二年四カ月。予想以上の反応と、多くの出会いに励まされた。「署名終えわれに手を振る女子学生君らのあれば明日も続けん」。簑輪さんが昨年春に自費出版した歌集にそんな一首がある▼「戦争をしない、戦争に反対している九条を守ってほしいという署名なんです」。だれにでもそう話しかける。柔らかく丁寧に。意見が違っても決して無理強いはしない。次に会った時にまた話を聞いてもらいたいと思うからだ▼声をかけた人の六割は賛同してくれる。北朝鮮の核疑惑を理由にためらう人が二割。個人情報なのでと断る人が一割。署名板をひったくられたこともあった。脅されたこともあったが、九条絶対反対は一割ぐらいというのが実感だ▼出会いは公園にとどまらない。「(太平洋戦争の)フィリピン戦線で生き残った父の遺言が九条を守れでした」。新聞で見たと言ってそんな手紙をくれた年配の女性がいる。「私も署名を始めました」という便りもあった。たった一人の行動がじわじわと共感の輪を広げている▼「念願の一万筆を果たし来て夜の炬燵(こたつ)に足のばしおり」。そう心境をうたった簑輪さん。幸せをいまそっとかみしめている。

2008年4月11日 (金)

恒久法制定へ初会合/自民チーム ISAF参加も検討

本日の赤旗紙の報道である。防衛省の相次ぐ問題で公明党が「与党協議会」の始動に応じていない。じれた自民党が自民党だけのPTを開いて、場をつなごうとしている。また自民党の中で蠢いてきたISAF合憲論も例の小沢理論との関係で危険な動きだ。過日の読売の世論調査でも、この派兵恒久法のひどさを知らない人が多い。世論を喚起するときだ。市民運動全国交流集会で決議した共同アピールへの賛同が全国から多数来た。近く記者会見などで、公表する予定である。心強い限りである。自民党は手をゆるめていないことを肝に銘じて、運動を作り出そう。(高田)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-04-11/2008041102_02_0.html
恒久法制定へ初会合
自民チーム ISAF参加も検討

 自民党は十日、自衛隊の海外派兵をいつでも可能にし海外での武力行使に道を開く恒久法の制定に向けたプロジェクトチーム(PT)の初会合を開きました。今国会での法案提出を目指します。

 会合では恒久法をめぐる諸論点を検討。(1)国連決議の考え方(2)メニュー(活動類型)(3)憲法と武器使用の関係(4)国会の同意とシビリアンコントロール―について論議しました。

 「メニュー」の中では、停戦監視活動や「人道復興支援」活動のほかISAF(アフガニスタン国際治安支援部隊)の治安維持活動への参加を検討対象にしています。

 政府・与党は当初、ISAFの治安維持活動は戦闘行為を含み憲法違反になるとして参加に否定的でしたが、民主党の小沢一郎代表が雑誌などで「ISAF参加」を表明してから歩み寄りの姿勢を見せていました。米政府関係者からも小沢氏の主張を評価する見解が出ています。

 また一月の臨時国会で与党が強行した新テロ特措法への対案として民主党が提出したアフガン復興支援法案は、アフガン本土への陸上部隊の派遣を盛り込んでいます。与党は異例の取り扱いとして同法案を衆院で継続審議にしています。

 同PTは週一回のペースで開催予定。「公明党が出てくるまでのつなぎ」(幹部)といいます。

2008年4月 9日 (水)

日本青年会議所が改憲議員同盟に呼応する意志表明

日本青年会議所の小田会頭は改憲議員同盟総会に際して、これと積極的に連携し、憲法審査会の早期立ち上げをめざして、全国各地でタウンミーティングを開くなど、活動を展開していく会頭声明を出した。注意を要する。(高田)
http://www.jaycee.or.jp/message_13.html
新憲法制定議員同盟総会開催に対して

 超党派の国会議員で構成される「新憲法制定議員同盟」の総会が昨日開催され、 衆議院では野党第一党、そして参議院では第一党の地位を占める民主党の国会議員も同組織の役員に就任し、新役員体制が発足することが確定しました。 これにより現在全く機能していない両院の憲法審査会が、本来の機能を発揮し始める可能性が高まることとなりました。 また同会議には、日本JCより常任理事・早山康弘君と憲法改正運動実践委員会・説田和彦委員長もオブザーブとして同席いたしました。 その会議において、会長代理の中山太郎代議士より、「JCからも国会に憲法審査会の早期立ち上げに向けた請願書を提出いただいており、 また、JCのような政治家ではない若い世代の皆様とも連携し憲法改正について考えていかなければならない。」との発言もいただきました。    

昨年の国民投票法成立と、2010年からの施行により憲法改正が法的に可能になりました。 これを受け憲法のあり方に対する幅広く活発な議論を行う目的で、本年連携推進運動のひとつとして、 地区・ブロック協議会及び関心があるLOMとの「国民参加型憲法タウンミーティング」の全国的な開催を予定している我々日本JCにとって、この動向は望ましい進展であるといえます。 昨日の総会開催時において、同議員同盟への参加議員数は191人に上り、その内訳は自民党167人、公明党10人、民主党14人、国民新党3人、その他・無所属6人となっており、さらに元職議員が48人参加されています(合計239名)。 (なお、同議員同盟への署名に賛同された議員数は、自民党282人、公明党35人、民主党26人、無所属10人の353人です。)

日本JCの担当役員(中島副会頭、早山常任理事、説田憲法改正運動実践委員長、そして私)は上記にあるように1月31日衆議院議員会館を訪問し、同院議長に対し「憲法審査会規定の制定に関する国会請願書」を提出してきました。 憲法審査会は、昨年5月に成立、公布された「日本国憲法の改正手続きに関する法律」にて「(衆参)各議院に憲法審査会を設ける」旨が規定され、「公布の日以後初めて召集される国会の召集の日から施行する」とされています。 しかしながら、昨年8月召集の国会に設置されて以来一度も開催されていないのが現状です。 これは国権の最高機関であり唯一の立法機関である国会のあり方として、また法治国家として看過できるものではなく、直ちに対処がなされなければなりません。 特に現憲法96条で定められるように改正の発議は国会で行われるわけですから、その国会において十分な議論が行われるべく審査会の早急な設置に議論の余地はないといえます。

また市民意識の変革を通じて社会の変革を目指し多様な運動に取り組むJCが、これに対し果たすべき役割は、市民が主権者としての主体性を持ち、日本という国と「日本人として何を大切にするのかという価値観の集合体」である日本国憲法のあり方を考え、 議論を行う機会を提供することで、市民一人ひとりが国家観を確立出来るようにすることだと信じています。 日本JCも2005年以来、憲法草案JC版の作成、改定を行い世間に憲法のあり方を問い続けてきました。 今年は、昨年の国民投票法の成立を受けて、より具体的な議論を幅広く行うべくタウンミーティングなどの計画を進めています。 これにより、憲法は国民生活に深く根ざしたものであり、国や社会のあり方に対し深く関連することを市民一人ひとりが自覚し、国づくりに積極的に参画することの重要性を広く喧伝してまいりたいと思います。 そのために、全国711の地域で、市民と地域社会の開発に献身的に取り組んでいる4万人のメンバー一人ひとりの深い理解と参画が必要とされています。

この国とこの国の根幹をなす憲法は、人任せではなく、市民一人ひとりが自分自身の事として、自らの手で作り上げるのだという気概をJCから醸成して行こうではありませんか。
社団法人日本青年会議所
会頭 小田 與之彦

赤旗の読売調査報道

本日の赤旗紙の報道である。同紙はこれを1面トップ記事で取り上げた。重視の程度がよくわかる。憲法会議の川村さんのコメントがよい。(高田)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-04-09/2008040901_03_0.html
「改憲反対」が15年ぶり上回る/「読売」世論調査/「9条守れ」6割に

 読売新聞が一九八一年から実施している面接方式の「憲法」世論調査で、「憲法改正」反対が賛成を十五年ぶりに上回ったことが、同紙八日付の報道で明らかになりました。「今の憲法を改正しない方がよい」と思う人は43・1%で昨年調査より4・0ポイント増、「改正する方がよい」は42・5%で同3・7ポイント減でした。

 同紙調査では、九条については改定反対が一貫して多数でしたが、憲法全体については九三年から改定賛成が反対を上回り、二〇〇四年には賛成65・0%と最高を記録していました。しかし、同年に「九条の会」が結成され、翌年からは四年連続で改憲反対が増加、昨年は賛成が過半数割れしていました。

 反対の理由(複数回答)では、「世界に誇る平和憲法だから」が6ポイント増の52・5%でトップ、「基本的人権、民主主義が保障されているから」も4ポイント増やして26・6%でした。支持政党別でも、自民支持層で賛成が九七年以来の半数割れ、無党派層でも九三年以降はじめて反対が賛成を逆転しています。民主支持層では二年連続で反対が多数で、50・2%と過半数でした。

 九条については、「これまで通り、解釈や運用で対応する」と「九条を厳格に守り、解釈や運用では対応しない」のいずれも増加し、あわせて60・1%に。「九条を改正する」は30・7%で5ポイントも減少、九条改定反対が圧倒していることを示しています。本来一体である九条を一項、二項に分離して改定の賛否を聞いた設問でも「改正する必要がない」が一項で81・6%、二項で54・5%を占めました。同紙は、これらの結果について「憲法改正に強い意欲を示した安倍前首相の突然の退陣」などに原因を求めています。

憲法会議代表幹事 川村 俊夫さんの話/草の根の運動の力

 「読売」調査の転換点は二〇〇四年です。この年の六月に「九条の会」が結成され、全国で草の根の「会」が結成されていくのとほぼ並行して九条改定反対が増加し、賛成派との差は年々拡大しています。そして、今回、憲法改定そのものへの反対も賛成を十五年ぶりに上回りました。草の根の運動の力です。

 草の根の運動が広がったのは、改憲の中身がたんに自衛隊を合憲とするなどということではなくて、「海外で戦争をする国づくり」なのだということをみんなが知り始めたからです。海外派兵・武力行使恒久法についても、海外での武力行使を可能にする中身を知らせていくことが大事です。

 改憲派も草の根の運動の重要さに気づきつつあります。「新憲法制定議員同盟」は「九条の会」に対抗する国民運動を提起し、それと連携して日本青年会議所が「憲法タウンミーティング」を全国で開催する計画です。

 だからこそ、「九条の会」を小学校区単位で結成するなど、憲法を守り生かす草の根の取り組みをますます強めて、職場・地域・学園で世論を動かしていくことが大事になっています。

2008年4月 8日 (火)

読売世論調査についての分析と評価

読売世論調査についての分析と評価

4月8日、発表された「読売新聞」の世論調査(3月15、16日実施。調査方法=全国の有権者3000人に250地点、層化2段無作為抽出法で戸別訪問面接聴取法、有効回収1786人、59.5%)で、画期的な結果が出た。読売新聞が過去に行ってきた憲法に関する世論調査(81年、86年、91年、93年以降は毎年)で、93年(改憲賛成50.4%、改憲反対33.0%)以来、15年ぶりに、改憲反対派が改憲賛成派を上回ったのである。 改憲賛成42・5、反対43・1%である。改正反対の理由の最多は「世界に誇る平和憲法だから」が52・5%(反対意見中、複数回答)を占めた。ここでいう改憲賛成派とは焦点の「9条」に限らず、環境など「新しい人権の付加」などを含め、憲法のいずれの箇所かを変えた方がいいという意見の人を指している。この意見は2004年にピークに達し、その時点では改憲賛成65.0%、反対22.7%となっていた。以降、この意見は年々減少傾向を示し、昨年は賛成46.2%、反対39.1%まで接近していた。
 第9条を今後どうするかについては、「厳密に守り、解釈や運用では対応しない」が23.9%で昨年より3.9%増、「これまで通り、解釈や運用で対応する」が36.2%で昨年より0.4%増加、計60.1%が改憲に反対か現状維持、「解釈や運用で対応するのは限界なので、改正する」は30.7%と昨年より5%減で、ほぼダブルスコアとなった。2004年以来の改憲反対派増の傾向は、ここにきて、憲法全般、9条の両指標とも、改憲派を追い越したのである。9条については、さらに別に第1項と2項に分けて、改憲の必要性が設問されている。戦争放棄の1項の「改憲」は12.5%、「改憲必要なし」は81.6%である。戦力不保持などの2項は「改憲」36.8%、「改憲必要なし」は54.5%であった。

この調査での集団的自衛権についての設問は異常に誘導的なものであった。「日本と密接な関係のある国が武力攻撃を受けたとき、この攻撃を、日本の安全を脅かすものと見なして、攻撃した相手に反撃する権利を『集団的自衛権』と言います。政府の見解では、日本もこの権利を持っているが、憲法の解釈上、使うことはできないとしています。この集団的自衛権について、次の中から、あなたの考えに最も近いものを、1つだけあげてください。・憲法を改正して、集団的自衛権を使えるようにする ・憲法の解釈を変更して、集団的自衛権を使えるようにする ・これまで通り、使えなくて良い」とした。しかし、かくも誘導質問的なものに対して、結果は、「改憲して」が18.7%、「解約拡大で」が22.1%、「これまで通り」が51.6%であった。先の9条改憲反対の世論と同様に、平和憲法への確固たる支持の堅さが見える結果である。

 これは全国各地の草の根に急速に形成された「九条の会」をはじめ、この間の改憲に反対するさまざまな人々の運動の成果である。この間、実に多様な「市民」が、さまざまに自らの言葉で改憲反対、9条擁護の発信を次々としてきた。こうした努力が世論を掘り起こし、耕したのである。それは小泉内閣から安倍内閣にいたる経過の中で、「改革」を旗印にして「日本会議議連」など新国家主義的な改憲派がこの国の政治の中心に座り始めたことに対する、憲法3原則に代表される「戦後民主主義」的な価値に根ざしたこの社会の良心的な人々の危機感の発露であった。

今回の世論調査を発表した同紙の中で、駿河大学長の成田憲彦学長(政治学者・元細川護煕首相秘書官)は「(この結果は)安倍内閣の失敗の影響」だと断じて、「昨年の参院選前に、野党の反対を押し切って国民投票法(改憲手続き法=筆者)を成立させた。これが与野党が協調して憲法改正に取り組むという雰囲気を失わせ、いまだ国会の憲法審査会で論議が始まらない状況に至っている。参院選後は『ねじれ国会』が自民、民主の対決色を強め、一緒に憲法改正に取り組もうというムードはさらに後退した。憲法を改正しないほうがよいという理由では『世界に誇る平和憲法だから』が増えている。イラク戦争の泥沼化と、安倍内閣が憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を認めようと結論を急ぎすぎたことが、ここでも影響している」と評価した。これらの評価はおおむね妥当であると思われる。この評価は私が本ブログで昨年5月14日、「この10年のたたかいをふりかえって」で書いたことに通じるものがある。当時、私は「改憲手続き法の成立は政治的には敗北だが、運動として敗北感はない」と主張していた。この10ヶ月余り、それを裏書きする事態が進んできた。私たちは確信を持って良いのではないか。

それにしてもこの点はどう評価すべきだろうか。この世論踏査で、自衛隊の海外派兵恒久法を必要と思う人は46%で、「そうは思わない」の42%を上回った。まず、この設問も集団的自衛権問題以上に誘導的であることを指摘しなくてはならない。それはこうである。「政府は、国連のPKO、平和維持活動以外で、自衛隊を海外に長期間派遣するときには、その都度、特別な法律を作って対応してきました。あなたは、これを改めるために、自衛隊の海外派遣のルールを総合的に定めた新しい法律、いわゆる『恒久法』が必要だと思いますか、そうは思いませんか」というものである。これでは「そのつどやるのは大変だから一般法は必要と思う」といってしまいそうである。しかし、誘導的であるにしても、集団的自衛権では拒否が多かったのであるから、この問題は軽視できない。これは自衛隊海外派兵恒久法がいかに危険なものであるかの暴露の作業が進んでいないことの現れであろう。この問題を克服することが、改憲反対運動を進めてきた私たちの今後の緊急の課題である。私たちには広範な9条支持の世論を基盤にして、自衛隊海外派兵恒久法が9条を根底から破壊する悪法であることを暴露する仕事に取り組まなくてはならない。(高田)