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許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2008年3月30日 (日)

雑記(33)チベット問題への原則的立場について

チベットの独立と自由を求める僧侶らの運動に対して、中国政府が武力制圧しようとして死者まで出ている事件を耳にして、私が15年前に「れんたい」という小雑誌に当時書いていた「中国の社会主義」という連載論文を思い起こした。1993年6月1日号から抜萃する。

反帝反封建の革命を成し遂げた1949年の新中国の成立は、アジアだけでなく世界史的にも大きな意義があった。当時の中国の革命家たちは反帝反封建の理想に燃え、大きく時代を切り開いた。少数民族に対する政策のうえでも優れた見地と路線があった。しかし、新中国を建設するや、内外のさまざまな影響からこの路線の変質が始まった。中国共産党指導部自身が当時言っていたことを変えてしまったのであった。今日のチベット問題などはこの路線を踏み外した中国指導部の覇権主義的な民族政策に由来するものである。

当時、私は1945年4月の中共第7回大会で毛沢東が「連合政府について」という政治報告を行ったことに注目し、重要と思われる点をいくつか引用した。いまでもチベット問題を考える上で重要と思われるので、少々長いが引用する。

「民主主義を経なければ、社会主義に達することはできない。これはマルクス主義の不変の真理である。そして中国では、民主主義のための奮闘はやはり長期にわたるものである。連合し、統一した、民主主義の国家がなく、新民主主義の国家経済の発展がなく、私的資本主義経済と協同組合経済の発展がなく、民族的、科学的、大衆的な文化、すなわち新民主主義の文化がなく、何億という人民の個性の解放と個性の発展がなければ、一口に言って、共産党の指導する新しい型のブルジョア的性質をもつ徹底した民主主義がなければ、植民地、半植民地、半封建の廃墟のうえには社会主義を建設しようとしても、それはまったくの空想に過ぎない」

「1924年、孫中山先生は『中国国民党第1回全国代表大会宣言』の中で次のように述べている。『国民党の民族主義にはふたつの面がある。1つは中国民族が自ら解放を求めるということである。もうひとつは中国国内の各民族が一律に平等であるということである』『国民党は、中国国内の各民族の自決権を認め、帝国主義反対および軍閥反対の革命に於いて勝利を得たのちには、かならず自由、統一の(各民族の自由に連合した)中華民国を組織することをあえて厳粛に宣言する』、中国共産党は上述の孫先生の民族政策に完全に同意する。共産党員は、各少数民族の広範な人民大衆が、この政策を実現するために奮闘するのを積極的に援助しなければならない。また大衆とのつながりを持つすべての指導的人物を含めて、各少数民族の広範な人民大衆が、政治、経済、文化の面で解放と発展を勝ち取り、大衆の利益を守る少数民族自身の軍隊を結成するのを援助しなければならない。かれらの言語、文字、風俗、習慣、宗教信仰は尊重しなくてはならない」

当時、これを引用した上で、ソヴェト連邦の民族政策でのレーニンとスターリンの路線の対立、相違に言及し、スターリンがロシア革命で成立した諸民族人民の自由な連合としてのソヴエト同盟を「民族の自治」は認めても、民族自決・分離の自由の承認を実質的に否定したことを指摘した。そして「連合政府論」の「個性の解放」という記述とあわせて、「各民族の自由連合」と「各民族独自の軍隊の結成」という方針に注目した。これはスターリンの誤りを乗り越える一種の連邦制の主張であるとした。ソ連の民族政策が変質していたこの時期に連合政府論が出された意味を重視した。

そしてその後の中国指導部が毛沢東も含めて、この立場を次第に放棄した経過を分析してこう述べた。「新中国の指導部は民族問題を比較的うまく処理してきたといわれている。にもかかわらず、現在でも中国ではチベット問題に象徴されるような深刻な未解決の民族問題が存在するのも事実である。また大漢民族主義への反発も根強い。『うまく処理したこと』は解決ではなかったのである。それは新中国が「連合政府論」にあったような民族自決の原則的承認と連邦制などの路線を放棄し、アメリカ帝国主義の侵略と分割支配の脅威に対抗する国家的統一の範囲内においてのみ民族の自治(すでに民族の独自軍の保有などは問題外になっていた)を承認する政策がとられてきたということと無関係ではない」と。

中国政府が直面するチベット問題を外国勢力の策動に一面化して、民衆の運動の弾圧を正当化するのは許されない。根源的にはこの問題に帰結するからだ。中国指導部はこの連合政府論の立場に立ち戻らない限り、チベット問題を解決することはできないだろう。弾圧はより強固な反発のエネルギーを生み出すにちがいない。(高田)

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