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許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2008年3月

2008年3月30日 (日)

雑記(33)チベット問題への原則的立場について

チベットの独立と自由を求める僧侶らの運動に対して、中国政府が武力制圧しようとして死者まで出ている事件を耳にして、私が15年前に「れんたい」という小雑誌に当時書いていた「中国の社会主義」という連載論文を思い起こした。1993年6月1日号から抜萃する。

反帝反封建の革命を成し遂げた1949年の新中国の成立は、アジアだけでなく世界史的にも大きな意義があった。当時の中国の革命家たちは反帝反封建の理想に燃え、大きく時代を切り開いた。少数民族に対する政策のうえでも優れた見地と路線があった。しかし、新中国を建設するや、内外のさまざまな影響からこの路線の変質が始まった。中国共産党指導部自身が当時言っていたことを変えてしまったのであった。今日のチベット問題などはこの路線を踏み外した中国指導部の覇権主義的な民族政策に由来するものである。

当時、私は1945年4月の中共第7回大会で毛沢東が「連合政府について」という政治報告を行ったことに注目し、重要と思われる点をいくつか引用した。いまでもチベット問題を考える上で重要と思われるので、少々長いが引用する。

「民主主義を経なければ、社会主義に達することはできない。これはマルクス主義の不変の真理である。そして中国では、民主主義のための奮闘はやはり長期にわたるものである。連合し、統一した、民主主義の国家がなく、新民主主義の国家経済の発展がなく、私的資本主義経済と協同組合経済の発展がなく、民族的、科学的、大衆的な文化、すなわち新民主主義の文化がなく、何億という人民の個性の解放と個性の発展がなければ、一口に言って、共産党の指導する新しい型のブルジョア的性質をもつ徹底した民主主義がなければ、植民地、半植民地、半封建の廃墟のうえには社会主義を建設しようとしても、それはまったくの空想に過ぎない」

「1924年、孫中山先生は『中国国民党第1回全国代表大会宣言』の中で次のように述べている。『国民党の民族主義にはふたつの面がある。1つは中国民族が自ら解放を求めるということである。もうひとつは中国国内の各民族が一律に平等であるということである』『国民党は、中国国内の各民族の自決権を認め、帝国主義反対および軍閥反対の革命に於いて勝利を得たのちには、かならず自由、統一の(各民族の自由に連合した)中華民国を組織することをあえて厳粛に宣言する』、中国共産党は上述の孫先生の民族政策に完全に同意する。共産党員は、各少数民族の広範な人民大衆が、この政策を実現するために奮闘するのを積極的に援助しなければならない。また大衆とのつながりを持つすべての指導的人物を含めて、各少数民族の広範な人民大衆が、政治、経済、文化の面で解放と発展を勝ち取り、大衆の利益を守る少数民族自身の軍隊を結成するのを援助しなければならない。かれらの言語、文字、風俗、習慣、宗教信仰は尊重しなくてはならない」

当時、これを引用した上で、ソヴェト連邦の民族政策でのレーニンとスターリンの路線の対立、相違に言及し、スターリンがロシア革命で成立した諸民族人民の自由な連合としてのソヴエト同盟を「民族の自治」は認めても、民族自決・分離の自由の承認を実質的に否定したことを指摘した。そして「連合政府論」の「個性の解放」という記述とあわせて、「各民族の自由連合」と「各民族独自の軍隊の結成」という方針に注目した。これはスターリンの誤りを乗り越える一種の連邦制の主張であるとした。ソ連の民族政策が変質していたこの時期に連合政府論が出された意味を重視した。

そしてその後の中国指導部が毛沢東も含めて、この立場を次第に放棄した経過を分析してこう述べた。「新中国の指導部は民族問題を比較的うまく処理してきたといわれている。にもかかわらず、現在でも中国ではチベット問題に象徴されるような深刻な未解決の民族問題が存在するのも事実である。また大漢民族主義への反発も根強い。『うまく処理したこと』は解決ではなかったのである。それは新中国が「連合政府論」にあったような民族自決の原則的承認と連邦制などの路線を放棄し、アメリカ帝国主義の侵略と分割支配の脅威に対抗する国家的統一の範囲内においてのみ民族の自治(すでに民族の独自軍の保有などは問題外になっていた)を承認する政策がとられてきたということと無関係ではない」と。

中国政府が直面するチベット問題を外国勢力の策動に一面化して、民衆の運動の弾圧を正当化するのは許されない。根源的にはこの問題に帰結するからだ。中国指導部はこの連合政府論の立場に立ち戻らない限り、チベット問題を解決することはできないだろう。弾圧はより強固な反発のエネルギーを生み出すにちがいない。(高田)

派兵恒久法許さないたたかいを、高田健さんが記念講演  ~生かそう憲法世田谷の会第4回定期総会ひらく~

27日、世田谷で私が講演したものの要旨が「世田谷九条の会」のブログに載っているので紹介します。参加して、「生かそう憲法世田谷の会」という団体が、超党派で結集している活発な会の様子がよくわかった。(高田)
http://setagaya-9jou.at.webry.info/

派兵恒久法許さないたたかいを、高田健さんが記念講演  ~生かそう憲法世田谷の会第4回定期総会ひらく~

                     
2008/03/28 13:41

         「生かそう憲法!今こそ9条を!世田谷の会」は、3月27日、世田谷区民会館集会室で第4回定期総会を130人が参加して開催しました。記念講演で高田 健さん(許すな!憲法改悪・市民連絡会、「九条の会」事務局員)は、「改憲を許さない多数派の結集へ~自衛隊海外派兵恒久法と9条改憲をめぐる最近の動 き」と題して話しました。

 講演要旨は次の通りです。
 福田首相は施政方針演説で憲法に関係して2つ触れている。恒久法の成立と憲法審査会の始動。福田さんはこの間憲法問題で何をやってきたか。1つは、自民 党新憲法草案の非常に危険な特徴である9条の「自衛軍」規定を作りあげ、それに直接責任をもって起草した。もう1つは、小泉首相の官房長官のときに派兵恒 久法のための私的諮問機関をつくり、答申を出させている。この派兵恒久法を首相としてやろうとしている。この半年間の彼の「業績」は衆議院の3分の2の強 行採決の給油新法しかない。そのほかはほとんどうまくいっていない。これは特別措置法だから1年間の時限立法。1年後にはまたこの問題が来る。いま出てい る恒久法は、そういう特措法をつくらなくても政府の判断で自衛隊を海外に自由に出せるようにするという、防衛庁・外務省の悲願だったもの。これを今国会中 に提案し、秋の臨時国会での採決を狙っている。その中身は、2002年の答申と2006年8月に石破さんが自民党防衛小委員会でつくった平和協力法案をみ るとだいたいわかる。
 自衛隊を海外に出す法案で、いつでもどこでも自由に出す法案。国連の要請など関係ない。「国連加盟国のいずれかの要請によって自衛隊を海外に出すことが できる」としている。それだけではなく、日本政府が必要と判断した場合には兵を出すことができる。派兵恒久法ができたら自衛隊はどうなるか。いまのイギリ ス軍のような位置になる。憲法9条は変えないで、そのもとでこういう派兵恒久法をつくるといっている。これはもう憲法9条あってなきが如しにする。
 憲法9条を安倍さんのようにはっきり変えないから、福田さんは安心だなんて絶対思えない。変えないままに変えたと同じ役割にすることに福田さんがこれだ け執心している。私たちはこの法案を絶対に許すわけにはいかない。9条の明文改憲ではないが、あってなきが如しにする、解釈改憲の究極の極致の派兵恒久法 を阻止する運動をこれから全国で強めることができるかどうかが非常に大事な問題。福田さんはどんどん支持率が下がり、ほとんど解散をする力もない。しかし 政権を維持しようとすればアメリカからの要求もあるし、防衛庁・外務省の悲願だった恒久法もやらなければいけない、そのジレンマに彼は陥っている。
 5月の「9条世界会議」は、派兵恒久法との関係でも非常に大事だと思っている。改憲派の新聞の世論調査でも2004年を境に憲法9条を変えないほうがよ いという人が年々増え、いまでは過半数になっている。この過半数の声を本当に力にするには超党派の努力が非常に大事だ。この仕事は一党一派ではできない。 思想・信条・政治的立場・歴史的経過の違う人たちがお互いに協力し合って、この過半数の世論を掘り起こす必要がある。私たちが勝てる可能性はここにある。 いろんな立場の違いを超えて、9条が大事だ、憲法改悪をさせない、派兵恒久法を絶対に許さない、そういう運動を共同してつくり上げよう。

 総会議事では、経過報告、運動方針、会計報告、予算、役員の提案がされ、採択・承認されました。

2008年3月27日 (木)

恒久法 今国会への法案提出 首相トーンダウン

昨日のブログで産経と東京の記事を紹介したが、本日、両紙ともこの福田発言を修正した福田談話を載せている。福田は「自分の意見ではない、山崎さんの発言を紹介しただけ」とお得意の無責任おとぼけ発言でごまかした。福田はこの発言が民主党への揺さぶりであると民主党幹部を怒らせることになることを怖れ、この修正にでたのだと思われる。それにしても無責任だ。こんな人物に「首相の資格なし」である。以下、産経紙の報道。(高田)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080326/plc0803262343008-n1.htm
恒久法 今国会への法案提出 首相トーンダウン
2008.3.26 23:42
このニュースのトピックス:官房長官会見

 福田康夫首相は26日夜、首相官邸で記者団に対し、自衛隊の海外派遣を随時可能にする「恒久法」(一般法)制定に向けた法案の今国会提出について「民主党が賛成しているのだから早くした方がいいと申し上げた」と述べた。そのうえで、自身が25日、今国会提出に意欲を示した発言については、同日会談した山崎拓自民党元副総裁の発言を紹介したにすぎないと説明した。

 町村信孝官房長官も26日の記者会見で、今国会への法案提出に関し「そういう判断はしていない。国会の状況を見ながら総合的に判断をしたい」と述べた。

 恒久法制定は民主党の小沢一郎代表の持論。首相の25日の発言には、法案の今国会提出に意欲を示すことで、国会で対決姿勢を強めている民主党を揺さぶる狙いがあったともみられる。現に民主党の鳩山由紀夫幹事長は26日、都内で記者団に対し、今国会で審議時間を確保するのは難しいとの認識を示す一方で、「なんらかの形で自衛隊海外派遣のしっかりした法律を作るのは望ましい」と語った。

 しかし、恒久法の検討を進める自民、公明両党のプロジェクトチームの初会合がイージス艦衝突事故の影響もあり、4月に延期されるなど、政府・与党の動きは減速。また、民主党は日銀総裁人事や揮発油(ガソリン)税の暫定税率を含む歳入関連法案で徹底抗戦の構えをみせており、「恒久法どころではない」(自民党中堅)のが実情だ。

2008年3月26日 (水)

福田首相、派兵恒久法、今国会提出を指示

このところ、支持率が急落し、進退窮まって来つつあるかに見える福田首相だが、自衛隊海外派兵恒久法成立への意欲は強いようだ。本日、各紙が昨日の福田首相の記者会見での話を載せた。東京新聞と産経新聞から関連記事を掲載する。この問題の緊急性を訴える運動を強めなくてはならない。こんな悪法を強行しようとする福田内閣を倒さなくてはならない。民主党もこの福田首相につけ込まれるような恒久法への曖昧な態度を撤回し、自民党の海外派兵恒久法には断固反対だとの立場を明らかにすべき時である。
私たちが」2月17日に発表した共同アピールへの賛同も、ぜひ広くお願いしたい。(高田)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008032501000886.html
「恒久法」を今国会提出 自衛隊の海外派遣

2008年3月25日 21時54分

 政府は25日、国際協力での自衛隊の海外派遣を随時可能にする「恒久法」を今通常国会に提出する方針を固めた。福田康夫首相は自民党の山崎拓前副総裁に、法案提出に向けて民主党との事前協議を進めるよう指示した。

 先に衆院再議決により成立させた新テロ対策特別措置法が来年1月に期限が切れた後も、インド洋での海上自衛隊の給油活動を継続するのが当面の狙い。民主党を与党との政策協議に誘い出す“呼び水”にしたい思惑もありそうだ。

 首相は、官邸で記者団に「この国会中に法案をまとめ、審議できればいい。民主党からもやるべきだと随分前から言われており、ぜひやりたい」と強調。これに先立ち、自民党の「国際平和協力の一般法に関する合同部会」の座長を務める山崎氏と官邸で会い「民主党とも協議を続けながら今国会提出の方向で進めてほしい」と与野党調整を指示した。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080325/plc0803252052015-n1.htm
「恒久法」今国会提出の意向 福田首相
2008.3.25 20:52

 福田康夫首相は25日夜、自衛隊の海外派遣を随時可能にする「恒久法」(一般法)について「今国会中に法案をまとめたい。審議できればいいが国会の状況にもよる。随分前から言われているのでぜひやりたい」と述べ、今国会での法案成立に意欲を示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 これに先立ち首相は、自民党の「国際平和協力の一般法に関する合同部会」座長の山崎拓元副総裁と官邸で会談し、「民主党ともいかなる形にせよ協議を続けながら、今国会に法案提出の方向で進めてもらいたい」と指示した。

 ただ、山崎氏は会談後、記者団に、恒久法に関する自民・公明両党の与党プロジェクトチームの初会合は国会情勢などから4月にずれ込むとの見通しを示した。

2008年3月24日 (月)

雑記(32)憲法会議第34回全国総会来賓挨拶

憲法会議第43回全国総会にあたり、許すな!憲法改悪・市民連絡会から心からの連帯の挨拶を送ります。
ことし日比谷公会堂で開かれる2008年5・3憲法集会は第8回目になります。2000年秋から、5月3日の憲法集会を共同で開こうではないかという声が期せずして起こり、以来、さまざまな立場の違いを超え、憲法改悪に反対するという点での行動の一致を大切にして、5・3憲法集会実行委員会が続けられてきました。今日では5月3日の一日だけの共同にとどまらず、憲法問題で情勢の要所、要所で、共同の行動を展開することができるようになってきました。とりわけ、昨年の安倍内閣による改憲手続き法の強行に反対する国会闘争では毎週のように共同行動を提起し、多くの市民の皆さんの行動のよりどころとなって闘うことができました。この役割は大変重要であったと思います。
こうした共同の努力がいま、「9条の会」の運動をはじめ全国各地で大きく発展しております。
憲法会議の皆さんは常にその共同の先頭に立って努力し、この共同を広げるために誠実に奮闘してきました。私たちは皆さんのその努力に心から敬意を払っております。
多くの世論調査が示すように9条改憲に反対する世論は多数であります。改憲に反対する声がこの数年、年を数えるごとに大きくなっております。この多数派の声を現実の力に組織する仕事はさまざまな勢力による共同の仕事の正否にかかっていると思います。憲法改悪、とりわけ第9条の改悪に反対する壮大な運動を共同して作り上げ、改憲派の危険な企てを打ち破る課題は、いま緊急で、重大な課題であると思います。
とりわけ私たちに要求されているのは、福田内閣とその与党による究極の解釈改憲の策動・自衛隊海外派兵恒久法の制定の動きに反対する運動の強化であると思います。私たちはいま9条をはじめとする明文改憲の動きに反対しながら、このいつでもどこでも海外で自衛隊が武力行使をできるという海外派兵恒久法を阻止する共同の運動を作り出さなくてはならないのではないかと思います。この点でも、本日の総会を経て、憲法会議の皆さんが先駆的な役割を果たされることを期待したいと思います。
ことしも5・3憲法集会が目前に迫ってきました。私どもは憲法会議をはじめとする各界の皆さんと共に、全国各地でこの日の共同行動を成功させるために奮闘すると共に、いま4日から幕張メッセ、仙台、大阪、広島で準備されている九条世界会議を成功させるため、皆さんと共に奮闘したいと思います。
1999年のオランダ・ハーグで開かれたハーグ世界市民会議、2006年にバンクーバーで開かれた世界平和会議と、日本国憲法9条の価値が確認されたこの世界的潮流を受け継ぎ、さらに発展させ、憲法9条を守り、世界に輝かせるために共に協力したいと思います。
本日はお招き頂きましてありがとうございました。(2008年3月22日)

2008年3月20日 (木)

雑記(31)3・20中央集会への連帯挨拶

本日、芝公園23号地で開かれた安保破棄中央実行委員会などの集会で連帯のスピーチをした。以下、その原稿。(高田)
3・20中央集会にお集まりの皆さんに、許すな!憲法改悪・市民連絡会からこころからの連帯の挨拶を申し上げます。

私ども市民連絡会が参加するWORLD PEACE NOWは明後日、22日午後、皆さんと同じこの場所からアメリカ大使館に向けてパレードをおこないます。イラク戦争を直ちにやめよ。航空自衛隊はイラクからすぐに撤退せよ。自衛隊海外派兵恒久法の制定反対。皆さんと思いはひとつであります。

5年前、私たちは全世界の1000万を超える人々と共にこの場で集会を開き、アメリカ大使館に向けて5万人のデモを行いました。

強引に開戦したブッシュ大統領と戦争に反対した私たちと、いずれに道理があったのか、これは今日、明白です。ブッシュ大統領が主張した戦争の根拠はすべて嘘っぱちでした。その結果はブッシュのいう「中東での平和と自由と民主主義の確立」どころか、10万とも、数十万とも言われる殺戮と、果てしない戦争と破壊でした。国連イラク人道問題調整官が最近発表したところによれば、2700万人の人口のイラクで、400万人が飢餓に直面し、40%もの人々が安全な水を手に入れることができず、国内難民もこの2年で倍増し250万人になったと言われています。国外には200万を超える難民がいます。米軍人の死者も4000人になろうとしています。

この戦争を支持し、協力した小泉内閣以来の日本政府の責任は重大です。安倍内閣もこの戦争を支持し、福田内閣も今年年頭、派兵給油新法を強行して、米国の戦争政策を支持しました。そして今、また派兵恒久法の制定を画策しています。

この5年、イラク反戦の声は全国各地で途絶えることなく続きました。私たちは絶対にあきらめません。イラクから中東から、世界から、戦火が止む日まで、皆さんと共に連帯して反戦平和を叫び続けたいと思います。5月3日、ことしも日比谷公会堂を中心に広範な人々が共同して8回目の憲法集会を行います。4日からは幕張メッセを中心に仙台、大阪、広島と計2万人規模の9条世界会議があります。みなさん、力を合わせてこれらを成功させ、戦争に反対し、9条を擁護し、生かし、世界に広げる運動を強めましょう。

2008年3月18日 (火)

イラク戦争5年―大失敗をどう克服するか-各新聞はどう総括したか

この20日でイラク戦争まる5年である。米国ブッシュ政権による開戦の理由がウソで塗り固められていたことは米国自身が認めている。反テロ戦争を呼号して、ブッシュ大統領はこの21世紀初頭を取り返しの付かない「戦争の時代」にたたき込んだ。全世界2000万の人々の怒濤のように広がった反戦デモを無視してである。憲法9条を持つにもかかわらず、わが国の小泉純一郎政権とその後継政権も問答無用でこれに付き従い、英国のブレア政権とくつわを並べた責任は重大である。この結果、数十万人、あるいは100万人になんなんとする人々が殺され、傷ついて倒れた。そして今なお戦火は止まない。
この死者たちをはじめとする悲惨な事実をまえに、今を生きるすべての人々がその姿勢を厳粛に問われざるをえない。メディアも例外ではない。それどころか、第4権力と呼ばれるメディアの責任は重大である。この問題での朝日、毎日、読売の社説を掲げる。読売がいまなお「フセインが招いた戦争」「米国の力の低下が心配だ」などというのを見るとき、この連中はどうしようもない戦争共犯者であると断ぜざるをえない。こお酔筆さながらの文章を見て、死者たちは怒っているに違いない、読売の社説子よ、怖れるがよい。
あのとき5万人の米大使館包囲デモを組織したWORLD PEACE NOWは、この22日も同じ芝公園23号地から米国大使館にむけて抗議のデモを組織する。我々はあきらめていない。ひとときもあきらめることがなかった。憲法9条を持つ国である日本でのイラク反戦の火はこの5年間、止むことがなかったことにささやかな誇りを持って、仲間たちと共に私は22日の会場に行く。(高田)

http://www.asahi.com/paper/editorial.html
イラク戦争5年―大失敗をどう克服するか

 イラク戦争が始まって5年がたとうというのに、この歴史的な大失敗をまだ正当化しようとする人々がいる。

 ブッシュ米大統領は1月の一般教書演説でこう述べた。

 「大規模なテロは減った。イラクにはまだ多くの課題があるが、和解が始まっている。イラク人の未来は彼ら自身の手中にある」

 昨春以降、約3万人の米軍部隊が増派されて、イラク国内でのテロ事件などが減少している。そんな統計が米政府から明らかにされている。

 ●イラクの死者15万人

 だが、それをもってこの戦争が好転してきた、やはり米国のイラク攻撃は誤りではなかった、と言うのは無理がある。

 米軍兵士の死者は約4千人。イラク市民の死者は昨年6月までに15万人に達したはず、と世界保健機関(WHO)が推計結果を発表した。いま、それが何人に増えていることだろう。

 「家を出発して1時間後には涙が止まった。ビルや家々は崩れ、煙が立ちこめている。……そんな光景を見て、自分はまだ運が良かったと気づいた」

 イラク人少女の英文ブログ「バグダッド・バーニング(燃えるバグダッド)」にこんな一節がある。彼女は昨年、家族とともにシリアに避難した。首都を脱出した時の思いをつづったものだ。

 命からがらイラクを後にした難民は200万人を超える。国内の避難民がさらに200万人いる。

 こうした人々にとって、ブッシュ大統領の演説は、まるで違う惑星の出来事に聞こえたのではないか。

 米軍は治安回復のために危険なかけに出た。反米的な地域のスンニ派に武器と資金を与え、国際テロ組織のアルカイダ系勢力と戦わせる方式を編み出したのだ。米軍の犠牲は最小限にできるし、事情に通じた地元の住民なら攻撃も効果的だろう。

 ●「敵」を間違えた

 しかし、それで一時的に治安が回復したとしても、その武器は将来の宗派対立に使われ、犠牲者を生んでいくのではないか。現地事情に詳しい専門家の間ではそう懸念する声が高まっている。

 失敗はイラク国内だけではない。9・11同時テロ直後にイスラム原理主義のタリバーン政権を倒したアフガニスタン。イラクに足をとられているうちにタリバーンが勢いを取り戻し、治安情勢が逆戻りしつつある。

 それと連動するように隣のパキスタンの政情がおかしくなり、ブット元首相の暗殺まで起きた。米国の「テロとの戦い」を支えたムシャラフ大統領は、退陣寸前の窮地に立たされている。

 パレスチナ和平はさらに混迷を深め、トルコ軍はイラク北部のクルド人地域を攻撃した。イランの議会選挙では反米保守強硬派のアフマディネジャド大統領系が圧勝した。

 もともと危機の種の多い地域ではあった。だからこそ慎重に対応しなければならなかったのに、イラク攻撃以来の5年間でいまや手におえなくなっているのが実情ではないのか。反米機運は中東全域で勢いを増している。

 かつてブッシュ氏が掲げた開戦理由はすでに幻だ。「大量破壊兵器」は偽りだったし、「中東の民主化」のお題目は色あせ、ほとんど語られなくなった。

 米国でブッシュ氏の人気はさんざんだ。戦争に部隊を派遣した国々でも、総選挙や支持率の低下で政権から追われた首脳は少なくない。

 ここまで傷口を広げてしまった最大の理由は、米国が「敵」を間違えたことではなかったか。本来ならアラブ・イスラム世界の支持を得つつ、国際テロ組織アルカイダを孤立させ、追いつめなければならなかった。

 なのに、アルカイダとは関係のなかった旧フセイン体制を相手に、説得力を欠く戦争を起こしたことで、国際社会を分裂させ、穏健なイスラム教徒まで敵に回してしまった。

 ●米国の消耗が心配だ

 イラク戦争に反対した独仏も含め、国際社会には苦い思いが残る。部隊は送らなくても、米国との同盟重視でブッシュ流「テロとの戦い」にさまざまな形で参画した国は少なくない。戦線は際限なく広がり、国連も力を発揮できなかった。戦争を支持した日本にもその責任の一端があるはずだ。

 この混迷をただすのに特効薬はありそうにない。米軍の大部隊が駐留したままでは反米テロはおさまらない。だが、現地が安定しないままでの撤退は、内戦の引き金になりかねない。文字通りのジレンマである。

 心配なのは、イラクの収拾が長引くほどに米国自身が消耗していくことだ。軍事力だけではない。経済力や外交力、ソフトパワーを含めて、世界を引っ張る米国の指導力が失われていく。北朝鮮の核問題を抱える日本にとっても、唯一の同盟国である米国の衰えは好ましくない。

 米国は、この大失敗から立ち直り、抜け出す道を見つけなければならない。今秋の大統領選挙での論戦がそのきっかけになることを期待したい。それには「敵」を間違えた誤りを直視し、何を本当の標的とすべきなのか、もう一度とらえ直すことから始めるべきだ。

 国際社会も、国際テロを封じ込めるために各国が協調できる仕組みを再構築しなければならない。容易なことではないが、アラブ・イスラム世界に広がる米国や西側世界への敵意と不信を解く努力が必要だ。日本もそのために何が貢献できるか、真剣に考えたい。

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20080317ddm005070032000c.html

社説:イラク開戦5年 不安定さを増した世界 米軍の早期撤退がカギに

 これほど救いのない戦いもないだろう。イラク戦争の開始(03年3月20日)から5年。フセイン政権は崩壊し元大統領は処刑された。それでも安定にはほど遠いまま米兵の死者は4000人に迫っているが、彼らは何のために死に、彼らの同僚が何のために戦っているのか、という問いに答えるのは容易ではない。

 しかも、時がたつにつれて米ブッシュ政権の「浅慮」が浮き彫りにされ、この戦争を支持した日本も苦い思いをかみ締めてきた。日常化するテロと殺りく、米軍による拷問や虐待などが世界中の人々の心をすさませる。見えない火の粉がイラクから日本へ、世界へ降り注いでいるようだ。

 原点は01年9月11日の米同時多発テロだった。

 「イラクは大量破壊兵器をテロ組織に流すかもしれない」「同時テロにイラクが関与したのでは?」。9・11後の米国では、ある種の興奮状態も手伝って、そんな理屈がまかり通った。

 だが、米国がイラクに攻め込み、国内をくまなく探しても大量破壊兵器はなかった。9・11とフセイン・イラク政権の関連を示す「スモーキング・ガン(煙の出ている銃=動かぬ証拠)」も見つからなかった。

 ◇大統領は真意語れ

 05年、米国の独立調査委員会は結論付けた。イラクに関する米情報機関の判断は「ほとんどすべてが完全に間違っていた」と。

 開戦直前、パウエル米国務長官(当時)は国連安保理で得意げに「イラクの移動式生物兵器関連施設」の存在を証言した。その「施設」も後に、アルコール依存症とされるイラク人の作り話と判明した。

 曲折を経て「常識」に返ったのである。イラクは91年から98年まで国連の大量破壊兵器査察を受けた。そんな国が恐ろしい兵器を大量に隠し持てるはずがない、という冷静な指摘は戦争前からあった。

 暗殺を恐れイスラム原理主義者を警戒していたフセイン元大統領が、9・11テロではウサマ・ビンラディン容疑者に協力した、というのも、最初からうさんくさい情報だった。

 だが、単純な「間違い」や「浅慮」の集積が米国を先制攻撃に導いたのか。戦争の背景には、ブッシュ大統領の宗教的信念などがあったのではないか。この戦争は動機について未解明の部分が多い。改めて大統領の真意を聞きたい。

 「中東民主化」についても、ブッシュ大統領はあまり語らなくなった。かつてのイスラム王朝の都(バグダッド)に星条旗を立てて、周辺諸国の民主化も促すというのはネオコン(新保守主義派)などの発想だ。

 だが、考えてみよう。民主的ではないが親米のアラブ国家で完全な自由選挙を行えば、政府に抑え込まれているイスラム勢力が台頭する。それが中東の現実だ。東欧民主化とは訳が違うことに大統領は遅まきながら気付いたのだろうか。

 中東の現実を直視すべきである。91年の湾岸戦争時、父親のブッシュ元大統領は敗走するイラク軍を深追いせず、戦後の内乱でも反フセイン派への支援に慎重だった。民族・宗派の「モザイク国家」イラクの分裂を恐れたのだろう。息子の大統領はその点を意に介さずにイラクに侵攻し、案の定、手のつけられない状況を招いてしまった。

 こんな状況を後任に託すのは本意ではあるまい。ブッシュ大統領は任期内のイラク安定化に全力を挙げ、米軍の早期撤退を図るべきだ。米軍のイラク駐留が世界を安全にしているかといえば、むしろ逆だろう。反米イスラム勢力の犯行とみられるテロは、イラクから世界各地に飛び火している。開戦時より世界は不安定になっている。

 ◇日本も出口戦略を

 米・イラク関係も順調ではない。米国が支援するマリキ政権はイランやシリアとの縁が深い。他方、米国は両国を「テロ支援国家」として嫌っている。この「ねじれ」を解消しないとイラク情勢も安定しない。米国はイラン空爆をちらつかせるだけが能ではない。

 開戦直後、当時の小泉純一郎首相はいち早く米国への支持を表明し、04年2月から陸上自衛隊をイラクのサマワに送って「人道復興支援」に従事させた。航空自衛隊もクウェートを拠点に、イラク国内への物資輸送業務を開始した。

 陸自は06年に撤収を完了したが、空自は隊員210人、C130輸送機3機の態勢で、イラク国内3カ所への輸送を続けている。これまでの輸送回数は670回余り、派遣隊員は延べ約2800人に達する。何を輸送しているのか、実態は必ずしも明らかでない。

 派遣の根拠となるイラク特措法は07年7月に2年間延長されたが、米国に追随して際限もなく延長するのは論外だ。インド洋で補給活動を続ける海上自衛隊も含めて、日本は主体的に出口戦略を考えるべきだ。

 そして、イラクとアフガニスタンの「二正面」を抱える米国は、どんな目標に向かってどう戦うのかという青写真を明確に示す必要がある。「戦いのための戦い」になっていないか。それでは、米国も国際社会も疲れ果てるだけである。

毎日新聞 2008年3月17日 東京朝刊

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080316-OYT1T00517.htm
イラク戦争5年 米国の力の低下が心配だ(3月17日付・読売社説)

 開戦から5年。混迷が続くイラク情勢は、米国の重荷となっている。

 こうした状況が東アジアの安全保障に対する米国の役割、責任の低下につながってはいないか。日本にとっても重要な問題だ。

 米英が開戦の理由とした大量破壊兵器は、結局存在しなかった。米軍の死者数は約4000人にのぼる。イラク人の死者は、推計で10万人とも15万人とも言われる。それでもまだ、イラクで平和定着の確かな光明は見えない。

 ◆フセインが招いた戦争◆

 こうしたことから、イラク戦争を「大義なき戦争」とする批判がある。だが、開戦に至るまでの長い前段を忘れては、問題の本質を見誤る。

 2001年9月11日の米同時テロ後、米国は、大量破壊兵器の開発と拡散の疑惑がある「ならず者国家」への警戒を強めた。

 国連安全保障理事会の諸決議に違反し、湾岸戦争後10年以上も大量破壊兵器の廃棄検証義務を果たさないイラクのフセイン政権に疑いの目を向けたのは当然だ。

 国連査察の拒否という義務違反をこれ以上続ければ「深刻な結果に直面する」とした安保理決議1441で、イラクはようやく受け入れに転じた。

 だが、その後も、査察には限定的な協力しかしなかった。米英の兵力増強という圧力がなければ、それすら実行しなかったろう。

 大量破壊兵器が存在しないのであれば、それを挙証して戦争を回避できたはずである。それをしなかったフセイン政権の側に、戦争を招いた非がある。

 世界中が、イラクは大量破壊兵器を保有していると考えていた。現に、イランや国内クルド人に化学兵器を使用した前歴があった。日本では、開戦後、イラクは化学兵器を使うな、といった社説を掲げた有力紙もあった。

 イラク戦争では、米英と仏露独との対立で、安保理が機能不全に陥った。当時の状況では、米英が武力行使に踏み切り、日本がそれを支持したのは、やむを得ない選択だったと言える。

 ブッシュ米大統領はイラクを攻撃する米国の目的について、「イラクの脅威を取り除き、統治を国民の手に戻す」ことをあげた。

 5年後の今、イラク民主化はもくろみ通りに進んでいない。戦後統治の準備が万全であれば、今日ほどの混迷はなかっただろう。

 ◆甘かった戦後の見通し◆

 ブッシュ米政権は、異なる宗派、民族によるイラク国内の歴史的な確執を軽視し、すべてを軍事力で解決できると過信していた。

 昨年の米軍増派によって、治安悪化にはひとまず歯止めがかかった形だ。だが、14万人の駐留米軍の存在が依然として治安の要である状況に変わりはない。米軍駐留は長期化する可能性が高い。

 問題は、イラクの混迷が、国際社会における米国の指導力低下を招き、世界の安定に影を落としている点にある。

 米国は、イラクの安定化へ、本格政権の自立支援だけでなく、中東全体の安定に向けた外交の成果をあげる必要がある。それが次期政権の最優先課題でもあろう。

 イラクの安定は、原油の9割を中東からの輸入に頼る日本にとっても重要だ。人的貢献と復興支援は続けねばならない。

 イラク特措法の延長で、航空自衛隊の輸送業務活動が続いている。その内容や意義への国民の理解を深めることも大切だ。

 イラク戦争の影響は、東アジアの安全保障にも及んでいる。日本にとっては深刻な問題だ。

 イラク戦争と並行して、北朝鮮は核兵器開発を公然と再開し、ミサイル発射や核実験を強行した。北朝鮮は、イラクは核兵器を持たなかったために攻撃された、と自らの核保有を正当化している。

 日本の安全保障環境は北朝鮮の核実験で劇的に悪化した。

 東アジアでは、台頭する中国の軍事的な膨張も目立つ。中国軍の幹部が、米軍幹部に太平洋を分割しようと提案したという。そんなことが現実になれば、日本は中国の軍事的圧力にさらされ、国家としての存立も危うくなる。

 ◆日米同盟強化が大事だ◆

 米国がイラク情勢に足をとられ、東アジアでの影響力が減退していく状況は、日本として看過できない。米国の軍事力を背景にした圧力が、北朝鮮に核廃棄の決断を迫る重要なテコとなる。米国の力が弱まれば、北朝鮮は核廃棄に動くわけがない。

 日本は、東アジアの安定と繁栄をどう確保していくのか。そのためには緊密な日米関係を維持すべきだ。この地域での米国の力の弱体化は、日本の国益を損なう。

 東アジアの重要性について米国と認識を共有し、日米の連携が地域の発展に役立つことを確認していかなければならない。
(2008年3月17日01時30分  読売新聞)

福田内閣「支持」34%に下落、発足以来最低に…読売調査

内閣支持率の世論調査で、読売でも同様の結果が出ている。
これほど支持率が下落しても、福田康夫首相は他人事のように装い、政権に執着している。しかし、この道の先には「のたれ死に」しかないことは昨日のブログで書いたとおりである。
読者の皆様には同じような資料を掲載することに疑問を持たれるかも知れないが、掲載を始めると、煩わしいことではあるが、資料としては掲載せざるをえないので、ご容赦を。(高田)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080317-OYT1T00777.htm
福田内閣「支持」34%に下落、発足以来最低に…読売調査
世論調査・支持率

 読売新聞社が15、16日に実施した全国世論調査(面接方式)によると、福田内閣の支持率は33・9%(2月調査比4・8ポイント減)に下落し、不支持率は54・0%(同3・2ポイント増)に増えた。支持率は今年1月調査以降続落し、内閣発足以来、最低を記録した。

 内閣を支持しない理由を二つまで挙げてもらったところ「政治姿勢が評価できない」が48%で最も多く、「経済政策が期待できない」の38%、「安定感がない」の27%が続いた。

 海上自衛隊イージス艦と漁船との衝突事故への政府の対応は「適切ではなかった」が74%を占めた。

 ガソリン税の税率を暫定的に上乗せすることを、法律の期限が切れる3月末以降も「続ける方がよい」と答えた人は27%(2月調査比2ポイント減)、「やめる方がよい」は64%(同2ポイント増)となった。暫定税率を維持するという政府・与党の主張に理解は進まず、イージス艦事故の対応への不満などが重なり、内閣支持率を押し下げたようだ。

 ただ、暫定税率を維持する政府提出の税制関連法案に関しては、与野党は修正に向けて歩み寄り、合意すべきだと思う人が63%(同3ポイント増)に達し、「そうは思わない」は29%(2ポイント減)だった。与野党に妥協を求める意見が強まった。

 日銀総裁人事で、民主党が、政府提示の武藤敏郎副総裁昇格案を不同意としたことなどについて聞いたところ、同党の対応を「評価する」と答えた人は「大いに」と「多少は」を合わせて25%にとどまり、「あまり」「全く」を合わせた「評価しない」は59%に上った。民主支持層では「評価する」が47%、「評価しない」が40%だった。

 こうしたことを受け、政党支持率は自民が33・1%(同0・5ポイント増)で横ばいだったが、民主は17・6%(同2・4ポイント減)に低下した。
(2008年3月17日23時48分  読売新聞)

2008年3月17日 (月)

雑記(30)鳥の歌

「琉球新報」のコラム「金口木舌」の3月13日付けのコラムを見つけた。過日、九条の会が開いた講演会のことに触れている。講演会で演奏された「鳥の歌」について書かれてあるのがうれしい。私は当日、小森さんと一緒に司会を担当して、舞台の袖でこのチェロの演奏を感動しながら聞いた。司会の合間にカザルスが米国の講演に際して「私の故郷カタルーニャでは鳥さえもピース、ピースと鳴きます」と語ったというエピソードを紹介したいという衝動に駆られたが、うろ覚えなので自制した。国連での話だったように記憶していたが、この記者のいうようにホワイトハウスでのことだったのかも知れない。いい加減なことを言わないで良かったと赤面する思いでいる。(高田)
追記・これを書いてから気になって、ネットサーフィンをしている内にこんなサイトを見つけたので紹介しておきたい。
http://www.pippo-jp.com/peace/index.html

http://ryukyushimpo.jp/variety/storyid-32121-storytopic-12.html
作家の大江健三郎さんらが呼び掛け人の「九条の会」が8日、渋谷区で開いた講演会は憲法改正を阻止しようという市民の声を確認する機会だった
▼「今こそ日本が憲法を使わないと世界がダメになる」と訴えながら、昨年7月に他界した小田実さんの遺志を継ごうというのが講演会の趣旨。講演者と客席の思いが熱く交わされた
▼講演者の一人、澤地久枝さんは米軍人による事件・事故に触れ「日米安保条約は安らかな日本人の生活のためには邪魔だ」と断じた。基地を抱え、いまだ「憲法不適用」と言われる沖縄の現状は、護憲運動の中でこそ顧みられるべきだろう
▼講演の合間に演奏された「鳥の歌」の哀切な響きが印象に残る。クラシック愛好者なら20世紀の代表的チェロ奏者のパブロ・カザルスの名とともに、この曲名を心にとどめている人も多いのでは
▼1961年11月。ケネディ大統領の招きでカザルスはホワイトハウスで演奏会を開いた。その時、平和への思いを込めて故郷のスペイン・カタルーニャ地方の民謡「鳥の歌」を弾いたのは有名だ
▼平和主義を貫いたカザルスの演奏から47年。憲法の危機と向き合い「鳥の歌」を日本で聴く。悲痛な歴史とともに確かな希望を感じたい。

(3/13 9:43)

不支持、初めて50%超す 内閣支持は発足後最低

本日の東京新聞が共同の調査を報告している。各メディアの調査同様、支持率は続落である。このひょうたんなまずのようなつかみ所のない無責任な福田康夫内閣に世論は嫌気がさしているのだ。
このままでは福田内閣は解散もできず、のたれ死にコースを進むことになる。安倍居抜き内閣の閣僚交代で人気挽回を図ろうとする内閣改造の道もあるが、ここまで福田康夫の人気が落ちている下では、その効果はたかが知れたもの。石破防衛相を中谷か小池に替え、桝添厚労相を誰かに替えても、人気があがりそうもない。民心は肝心の福田に嫌気がさしているのだから。
前任者の安倍のように、政策上、にっちもさっちもいかなくなって政権を投げ出すということすらあり得る情勢になってきた。こんな内閣に自衛隊海外派兵恒久法などに手をつけさせるわけにはいかない。(高田)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008031601000473.html
不支持、初めて50%超す 内閣支持は発足後最低

2008年3月16日 18時12分

 共同通信社が15、16両日に実施した全国電話世論調査で、福田内閣の支持率は33・4%と2月の前回調査から2・2ポイント下落、政権を発足させて以来最低になった。「不支持」は前回より6・1ポイント上昇して50・6%となり、初めて半数を超えた。支持率の低落傾向に歯止めがかかっていないことが明らかになり、福田康夫首相の政権運営は厳しさを増しそうだ。

 ガソリン1リットル当たり約25円を上乗せしている揮発油税の暫定税率に関しては、3月末の期限切れ後は「延長しない方がいい」が61・0%と2月調査より3・9ポイント上昇、「延長した方がよい」は2・3ポイント減り29・3%だった。

 政府が次期日銀総裁人事で元財務事務次官の武藤敏郎副総裁の昇格を提案したことには「妥当だ」「妥当でない」が40%前後でほぼ拮抗したが、今月19日に福井俊彦総裁の任期が切れた後の空席を避けるべきだとの回答は61・5%だった。
(共同)

2008年3月16日 (日)

自公民の安保勉強会、3年ぶりに活動再開

本日(16日)の読売の報道であるが、「自公民の安保勉強会、3年ぶりに活動再開」というのがあった。インターネットで採れないのが残念であるが、記事の要旨は以下の通り。
 与野党の若手・中堅議員でつくる『新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会』が近く新役員を決定した上で、4月に総会を開くことになった。これは13日に中谷元・自民党安全保障調査会長、前原誠司民主党副代表、公明党上田勇衆院議員らが世話人会を開いて決めたこと。同会は2001年11月に101人の国会議員が参加して発足、現在は自民56人、民主23人、公明3人の景82人が入会。自衛隊の海外派遣のありかたを定める恒久法や、集団的自衛権の行使に関する憲法解釈の見直し問題、日米安保体制のありかたなど、安保政策について幅広く検討する方針だという。
福田政権が自衛隊海外派兵恒久法について、検討を進めようとしている動きに同調するものとして、警戒を要する。(高田)

2008年3月11日 (火)

NHK内閣支持38%不支持48%

NHKの世論調査でも他のメディアと同様の傾向がでた。38%の支持率というのは他とくらべて高いが、続落傾向は共通だ。この国では、安倍内閣辞任以来の政府危機が続いている。福田康夫首相は、安部政権の居抜き内閣を維持するのではなく、解散・総選挙を実行すべきだ。(高田)
http://www3.nhk.or.jp/news/2008/03/11/d20080310000128.html
内閣支持38%不支持48%
NHKは、今月7日から3日間、全国の20歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDDという方法で世論調査を行いました。調査の対象となったのは1755人で、このうち61%にあたる1071人から回答を得ました。それによりますと、福田内閣を「支持する」と答えた人は、先月よりも3ポイント下がって38%なのに対し、「支持しない」と答えた人は、1ポイント下がって48%となり、去年9月の政権発足以来、初めて「支持する」が40%を下回りました。福田内閣を支持する理由では、▽「ほかの内閣よりよさそうだから」が41%、▽「人柄が信頼できるから」が25%などとなった一方、支持しない理由では、▽「実行力がないから」が37%、▽「政策に期待が持てないから」が36%などとなっています。そして、通常国会の焦点の1つとなっている道路特定財源で、暫定的に高い税率をかけている「暫定税率」については、▽「維持すべき」が19%、▽「維持すべきでない」が39%、 ▽「どちらともいえない」が35%でした。また、道路特定財源全体を、使いみちを限定しない一般財源にすることについては、▽「賛成」が42%、▽「反対」が17%、▽「どちらともいえない」が34%でした。さらに、政府が今後10年間で最大59兆円をかけて全国の道路整備を計画していることについては、▽「妥当だ」が13%、▽「妥当でない」が52%、▽「どちらともいえない」が29%でした。そのうえで、暫定税率を維持するなどとした税制関連法案の参議院での採決時期では、▽「年度内に採決すべきだ」が22%、▽「年度内の採決にこだわるべきでない」が49%、▽「どちらともいえない」が22%でした。一方、海上自衛隊のイージス艦と漁船の衝突事故をめぐる政府の対応について質問したところ、▽「大いに評価する」が3%、▽「ある程度評価する」が25%なのに対し、▽「あまり評価しない」が42%、▽「まったく評価しない」が23%でした。また、石破防衛大臣が辞任すべきかどうか聞いたところ、▽ 「辞任すべきだ」が27%なのに対し、▽「辞任する必要はない」は64%でした。そして「辞任すべきだ」と答えた人に、その時期を尋ねたところ、▽「直ちに」が19%、▽「事故の対応に一定のめどがついた段階」が79%でした。また、今回の事故を受けて、防衛省に何がいちばん必要か質問したところ、▽「閉鎖的と指摘される体質の改善」が39%で最も多く、次いで▽「背広組と制服組の統合など組織の見直し」が29%、▽「規律の徹底」が14%、▽「政治のリーダーシップの強化」が9%となりました。衆議院の解散・総選挙の時期については、▽「サミットが終わったあと、ことし秋ごろまでに」が34%で最も多く、次いで▽「来年9月の任期満了まで行う必要はない」が29%、▽「平成20年度予算案が成立したあと、4月ごろに解散すべきだ」が14%、▽「来年の早い時期に」が11%でした。
    3月10日 19時38分

2008年3月 6日 (木)

中曽根元首相が画策する改憲議員同盟の危険性

新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘・元首相)=改憲議員同盟の総会が開かれ、民主党の鳩山幹事長が顧問に就任するなど、民主党幹部が加入したことが注目を集めている。
この議員同盟は1955年に岸信介らの極右派が立ち上げた「自主憲法期成議員同盟」を2007年3月に改組し、中曽根が会長について活動を活発化させたもの。当時、安倍前首相が「自分の任期中に改憲する」などと豪語したことに触発され、これを推進するための中曽根ら自民党内の札付きの改憲派の拠点となった。
これとは別に中山太郎が会長をつとめる「憲法調査推進議員連盟」があるが、中山らが長年追求してきた自公民共同による改憲という路線を安倍首相が破壊したことから、改憲派内に矛盾が生じていた。それは自民党の憲法審議会役員構成を巡って、当時の中川昭一・政調会長と、船田元・憲法審議会会長代理の間で確執が生じたことなどに見られたことである。
この中山太郎は今回、改憲議員同盟の会長代理に就任している。
鳩山がこうしたウルトラ右派の議員同盟に加わったこと、この人物の、何とも無責任で、野党幹事長としての政治感覚の悪さを象徴しているが、実は信頼できる情報によると、中曽根が鳩山に直接電話をして頼み込み、断れなかったということのようである。ここに中曽根のこの議員同盟に寄せる執念が見える。中曽根はこのグループの持っている弱点=国家主義的右翼イデオロギーが強烈すぎることをある程度自覚し、鳩山を引き入れることでそのかたくななイデオロギー臭を弱め、支持を広げる必要に迫られたのであろう。
安倍内閣崩壊の後、そのショックから立ち直ったウルトラ改憲派のこの動きは危険である。とくにこの連中が「九条の会」を目の敵にして、対抗し、草の根から改憲の流れを再構築しようとしていることは見逃せない。最近の右派の各自治体での動きなどとあわせて、こうした右派改憲勢力が明文改憲と自衛隊海外派兵恒久法制定などをめざして、草の根右翼の流れをを作り出そうとしていることについては要・警戒である。
ちなみに、改憲議員同盟の役員名簿で、私が注目したのは以下の面々である。
顧問:鳩山由紀夫(衆・民、新任)、、伊吹文明(衆・自、新任)、亀井静香(衆・国、新任)、安倍晋三(衆・自、新任)、谷垣禎一(衆・自、新任)。副会長:前原誠司(衆・民、新任)、渡部英央(参・民、新任)などなど。民主の各メンバーは「なにをかんがえてるの?」ってとこだが、羽田孜は事前に参加を断ったと聞く。谷垣などには「へぇ、ねえ」という感じだ。安倍は最近あちこちに顔をだしているが、「この人、恥知らずだね」という感じ。伊吹は「なんだか、張り切っているね」というとこ。(高田)

2008年3月 5日 (水)

与野党改憲派がタッグ 鳩山由・前原氏ら役員に

昨日の改憲議員同盟総会の報道記事である。朝日、読売、読売社説、赤旗しんぶんの各報道を貼り付けます。安倍内閣崩壊後の改憲派の巻き返し策動の表面化であり、今回は特に鳩山由紀夫氏ら野党幹部が役員に名を連ねているのが特徴だ。改憲議連が動きが鈍くなったのに対応して、超右派からの巻き返しの動きである。(高田)

http://www.asahi.com/politics/update/0304/TKY200803040304.html
与野党改憲派がタッグ 鳩山由・前原氏ら役員に

2008年03月04日16時31分

 自民党の国会議員やOBでつくる新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)は4日、国会内で総会を開き、新たな役員として、民主党の鳩山由紀夫幹事長や国民新党の亀井静香代表代行らを顧問に、民主党の前原誠司前代表らを副代表に迎え入れた。昨年、それまでの「自主憲法期成議員同盟」を衣替えして活動を始めたが、今回は超党派に枠を広げ、改憲機運の盛り上げをめざす。

 総会で中曽根氏は「改憲のような国家的大問題は超党派で決めていかねばならない」とあいさつし、安倍前首相も「改憲は私のライフワーク」。民主党を代表して田名部匡省参院議員も「改憲はここ数年で決着すると決めてやらないと」と呼応した。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080304-OYT1T00806.htm
新憲法同盟、自民党と民主党の幹事長を顧問に

 超党派の国会議員らで作る「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根元首相)は4日、国会内で総会を開き、自民党の伊吹、民主党の鳩山両幹事長らを顧問とする新役員体制を決定した。

 両党幹事長の参加を得て、衆参両院の憲法審査会を早期に始動させるよう、与野党への働きかけを強化する方針だ。

 議員同盟には、自民、民主、公明、国民新の各党などから議員191人が参加している。

 昨年11月に4人だった民主党議員は、鳩山氏や前原誠司副代表らの入会で14人に増え、前原氏と田名部匡省、渡辺秀央両参院議員は副会長に就任した。自民党からは、議員同盟の副会長である二階総務会長、古賀誠選挙対策委員長に加え、伊吹氏と谷垣政調会長も新たに顧問に迎えられ、党四役が全員、議員同盟の役員となった。

 議員同盟は今後、憲法審査会の始動を求める国会議員の署名活動に引き続き取り組むほか、5月1日に大会を開催する予定だ。

 中曽根氏はあいさつで、「憲法問題が冷えている最中に超党派の皆さんが参加したということは、国会議員の中に根強い憲法改正へのエネルギーが充満していることの証拠だ」と強調した。伊吹氏は「憲法審査会が動く状況を作りたい」と述べた。

 鳩山氏は、この日の総会は「予算審議を巡って与野党が対立している今の状況では参加できない」として欠席したが、4日午後、記者団に対し、「今国会で憲法審査会が動き出す可能性もある」と語った。
(2008年3月4日23時55分  読売新聞)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-03-05/2008030501_01_0.html
改憲同盟 自・民で新体制
役員に両党幹事長ら
“政府を代表して” 官房長官が発言

 自民、民主、公明、国民新各党などの改憲派議員でつくる「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根康弘元首相)は四日、国会内で総会を開きました。民主党幹部を新たに役員に加え、改憲策動を推進する新体制を発足させました。

 自民党からは安倍晋三前首相、伊吹文明幹事長、谷垣禎一政調会長らが新たに顧問に就任、民主党からも鳩山由紀夫幹事長が顧問、前原誠司副代表が副会長に就きました。二〇〇八年度予算案の衆院強行通過をめぐって「対立」姿勢をみせる自民、民主両党が、九条改憲という国のあり方の根本問題で基本的に同方向であることを示すものです。

 あいさつで中曽根会長は「憲法問題がいま冷えている最中に、なお国会議員の中には根強い憲法改正への意欲が充満している」とし、「超党派で最大公約数を求めながら国家像を決めていく大事業だ」と強調しました。これまでなかった民主党幹部の参加で、改憲機運を盛り上げる狙いを示しました。

 閣僚では町村信孝官房長官が参加し、「(中曽根氏から)内閣を代表して出てこいというご命令をいただき、これは天の声だとして私は喜んで参加した」などと発言。憲法改定を目標とする議員同盟の副会長に名を連ね、改憲の呼びかけの先頭に立つ立場を鮮明にし、憲法尊重擁護義務(憲法九九条)に公然と違反する行動に出ました。

 また、鳩山邦夫法相、高村正彦外相、額賀福志郎財務相らが役員に名を連ねています。

 総会では当面の活動方針として(1)衆参両院の憲法審査会始動へ働きかけをさらに強める(2)民主、公明両党の議員を中心に会員の増強を進める (3)「九条の会」に対抗していくため地方の拠点づくりを進める、ことを確認。五月一日には「新憲法制定推進大会」(仮称)を憲政記念館で開催することを決めました。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080304-OYT1T00737.htm
新憲法議員同盟 まずは憲法審査会の始動だ(3月5日付・読売社説)

 憲法論議の前進へ、重要な意義を持つ新たな動きである。

 鳩山幹事長や前原誠司前代表ら民主党幹部が、超党派の国会議員らで作る新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)の顧問や副会長の役職に就いた。民主党議員の役員就任は初めてだ。

 内外の変化が激しさを増し、憲法と現実との乖離(かいり)がますます進んでいる。民主党内でも、新たな時代の指針となる新憲法制定に正面から取り組まねばならない、との認識が強まっているのだろう。

 鳩山幹事長は、民主党幹部の議員同盟役職就任を機に、「通常国会中に憲法審査会の立ち上げが動きだす可能性がある」と言う。

 当面、急ぐべきは、衆参の憲法審査会の始動だ。衆参ねじれの下での与野党対決の現状から、民主党はこれまで、「冷静に憲法を論議する環境にない」として消極姿勢に終始してきた。

 これは疑問だ。国民投票法に規定されている審査会を動かさないというのは、政治の怠慢だ。立法府の構成員として、国会で成立した法律を無視するようなことは、あってはならない。

 何よりも、憲法審査会の場で、政治として取り上げるべき重要な課題がある。

 一つは、国際平和活動の問題だ。新テロ対策特別措置法によって、インド洋での給油活動を再開したものの、1年だけの時限立法だ。いずれ、問題が再燃する。その際、いわゆる恒久法の制定問題も論議の俎(そ)上(じょう)に上るだろう。

 憲法抜きで、あるべき国際平和活動を論じることはできない。

 国民投票法の付則は、選挙権年齢も20歳から18歳に引き下げ、民法の成年年齢についても法制上の措置を講じるよう求めている。

 法制審議会は民法の成年年齢を18歳に引き下げるかどうかの審議を始めた。国民の責任・義務のあり方にとどまらず、人口減社会の将来像をどう考えるのか。

 憲法審査会としても、こうした課題に関する多角的な議論を通じて、国、社会のあるべき姿を国民に示すべきではないか。

 憲法論議を進めることに対し、民主党内には、慎重論が根強くある。旧社会党系の議員は、憲法改正には反対だ。次期衆院選に向けて野党共闘を維持するために、「護憲」を掲げる社民党や共産党への配慮もうかがえる。

 だが、政略的思惑で憲法論議をゆがめたり、停滞させたりすべきではあるまい。鳩山幹事長らに期待するところである。
(2008年3月5日01時50分  読売新聞)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-03-05/2008030504_01_0.html
「九条の会」に対抗
新憲法制定議員同盟
地方拠点作り狙う
解説

 新憲法制定議員同盟の新役員体制の発足は、これまで参加のなかった民主党幹部を組み込むことで、参院選で挫折した改憲策動を盛り上げることに狙いがあります。議員同盟幹部は、「政局の中で民主党との対立はいろいろあるが改憲は党派を超えた課題であり、政界再編を狙っているわけではないが、客観的には大きく動かす軸になるだろう」と語りました。

 それは憲法守れの国民世論に追い込まれた改憲派の危機感のあらわれでもあります。

 四日の新憲法制定議員同盟の総会では「拠点となる地方組織づくり」を方針として確認しました。

 愛知和男議員同盟幹事長は活動方針の説明の中で「われわれと正反対の勢力、『九条の会』と称する勢力が、全国に細かく組織作りができておりまして、それに対抗していくにはよほどこちらも地方に拠点を作っていかねばなりません。そこが今後の活動の大きな焦点となる」と強調。「各党支部や青年会議所などに頼んで拠点になってもらうことも一つかと思う」と提起しました。

 中曽根康弘会長も「各党の府県支部に憲法改正の委員会をつくり、全国的な網を張っていくことが私たちの次の目標。そしてできれば超党派の全国的な国会議員、地方議員の連合の会をできるだけ早期につくりたい」と発言しました。

 「九条の会」を名指しして「対抗」意識をむき出しにした発言は、焦りの表れです。

 自民党は〇五年の「新憲法草案」の発表後から全国的なタウンミーティングの開催や国民運動の展開を繰り返し提起してきました。しかし、現実には改憲促進の“国民運動”の広がりは見られませんでした。「戦後レジームからの脱却」を掲げた安倍内閣の下で改憲手続き法が強行されましたが、国民世論は「九条改定反対」の方向に大きく動いています。

 昨年の「新憲法制定議員同盟」の発足に当たっても「九条の会」に対抗した国民運動の展開を提唱していましたが、実現せずにいます。九条改定の主張そのものが国民的に受け入れられていないことの反映です。(中祖寅一)
憲法議員同盟の役員

 四日の新憲法制定議員同盟総会で了承された役員は次の通り。☆は新。かっこ内の元は元職。敬称略。

 【会長】中曽根康弘(元)

 【会長代理】中山太郎(自民・衆院)

 【顧問】衆院=海部俊樹、中川秀直、丹羽雄哉、中川昭一、瓦力、山崎拓、☆安倍晋三、☆伊吹文明、☆谷垣禎一(以上自民)、☆鳩山由紀夫(民主)、綿貫民輔、☆亀井静香(以上国民新)、参院=青木幹雄(自民)、元職=塩川正十郎、奥野誠亮、森下元晴、上田稔、倉田寛之、関谷勝嗣、片山虎之助、 ☆粟屋敏信、☆葉梨信行、谷川和穂

 【副会長】衆院=津島雄二、古賀誠、野田毅、島村宜伸、深谷隆司、与謝野馨、高村正彦、二階俊博、町村信孝、額賀福志郎、大野功統、斉藤斗志二、杉浦正健、森山眞弓、堀内光雄、☆臼井日出男、☆石原伸晃(以上自民)、☆前原誠司(民主)、平沼赳夫、☆玉沢徳一郎(以上無所属)、参院=☆藤井孝男、 ☆尾辻秀久(以上自民)、☆田名部匡省、☆渡辺秀央(以上民主)、山東昭子(無所属)、元職=小野清子

 【副会長兼常任幹事】衆院=保岡興治、鳩山邦夫、大島理森、船田元、金子一義(以上自民)、参院=鴻池祥肇、☆泉信也(以上自民)

 【幹事長】愛知和男(自民・衆院)

 【副幹事長兼事務局長】柳本卓治(自民・衆院)

 【副幹事長】中曽根弘文(自民・参院)

 【常任幹事兼事務局次長】衆院=☆平沢勝栄(自民)、参院=林芳正、岡田直樹(以上自民)

 【常任幹事】衆院=☆松原仁(民主)、☆下地幹郎(無所属)、参院=☆谷川秀善、☆中川義雄(以上自民)、☆亀井郁夫(国民新)、元職=飯田忠雄、永野茂門

 【監事】萩山教嚴、木村太郎(以上自民・衆院)

2008年3月 4日 (火)

朝日でも不支持が50%に

朝日の内閣支持率調査結果が出た。この間紹介したように、産経、毎日、朝日と軒並み支持率30%程度、不支持が半数か過半数という結果である。
福田康夫内閣、これでもその座にしがみつくのか。(高田)

http://www.asahi.com/politics/update/0303/TKY200803030557.html
道路特定財源、「一般財源に」59%に増 本社世論調査

2008年03月03日23時02分

 朝日新聞社が1、2の両日実施した全国世論調査(電話)によると、通常国会の焦点になっているガソリン税など道路特定財源をめぐる問題で、道路整備以外の目的にも使える一般財源にする考え方に「賛成」の人が59%にのぼった。「反対」は30%。福田内閣の支持率は32%(前回2月は35%)で昨年12月中旬に最低の31%を記録して以降、低迷が続いている。不支持率は50%(同46%)と初めて半数に達した。

  

  

 道路特定財源の一般財源化への賛成は、昨年12月初めの調査で46%だったが、2月の調査で54%となり、今回さらに増えた。自民支持層でも58%が賛成だった。国会での議論が進むにつれ一般財源化への支持が広がっている様子がうかがえる。

 ガソリン税の上乗せを10年間延長し道路整備に充てる政府の租税特別措置法案は衆院で可決され参院に送られたが、法案に「反対」は59%にのぼり、「賛成」の28%を大きく上回った。今後10年間に59兆円をかけて道路整備をする政府の計画に対しても、「計画通り進めるべきだ」は15%にとどまり、「計画より減らすべきだ」が71%を占めた。

 ガソリン税の問題では与野党が法案の修正で合意できるかどうかが焦点となるが、ガソリン税をめぐる問題で福田首相の姿勢や対応を「評価する」は18%と少なく、「評価しない」が66%と厳しい見方が示された。

 海上自衛隊のイージス艦と漁船の衝突事故を受け、石破防衛相の進退について聞くと、「辞任すべきだ」は34%で、「辞任する必要はない」が57%と過半数だった。防衛相が責任をとって辞めても原因解明や防衛省の体質などの問題が解決するわけではない、との見方が背景にあるようだ。

 「辞任すべきだ」と答えた人にその時期を聞くと「すぐに」は18%しかなく、「ある程度の事後処理をしてから」が80%だった。

 福田首相が「根底から見直す」とした防衛省の組織改革については、首相の指導力に「期待している」は32%、「期待していない」が60%だった。

 政党支持率は自民29%(前回30%)、民主21%(同24%)など。

鳩山幹事長、改憲議員同盟役員に

この赤旗紙の記事は注目すべき動きである。民主党の鳩山幹事長が改憲議員同盟に入っていくことは危険な動きである。この時期に野党第一党の現職幹事長がタカ派改憲議員集団の役員になることは言語道断だ。鳩山氏はもともと改憲議連発足の時にも名を連ねて、諸々の理由ではずれた経過がある人物だが、弟の邦夫氏とともに抜き差しならない改憲派の思想の持ち主である。要注意である。ちなみに鳩山由紀夫氏の国会事務所は電話03-3508-7334 FAX03-3502-5295。(高田)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-03-04/2008030402_03_0.html
憲法審査会始動ねらう
議員同盟 きょう総会
民主幹部が新役員に

 自民、民主、国民新各党と無所属の改憲派議員らでつくる新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)は四日に総会を開きます。新たに民主党から鳩山由紀夫幹事長、前原誠司副代表ら幹部の参加を得て新役員体制を発足させる見通しです。

 同議員同盟は一月の臨時国会閉会時に、衆参両院議長に対し三百人をこえる衆参両院議員の賛同署名を添えて改憲原案の調査権限を持つ憲法審査会の早期始動を申し入れ、明文改憲論議の促進へ働きかけを強めています。

 昨年五月に与党が強行した改憲手続き法に基づき同年八月には衆参両院に憲法審査会が設置されました。しかし、参院選での与野党逆転の結果を受け、審査会の組織と運営のルールを定める審査会規程の議決に野党が反対する中で、いまだに始動できていません。
「二大政党」で

 その中での同議員同盟新役員体制への民主党幹部の参加。これは、自民・民主「二大政党」による改憲にむけた共同が、安倍前内閣の強硬な改憲姿勢のもとで破たんしたのを修復し、憲法審査会の早期始動につなげる狙いがあります。

 民主党憲法調査会幹部の一人は、「総選挙を前にいま自民党と改憲で握手するのは難しいが、安倍内閣のもとでの強硬なやり方への一定の総括がなされるなら、憲法審査会を動かしていくことそのものには反対ではない」と話します。

 また、四日の議員同盟総会では安倍晋三前首相が新役員に就任する予定です。侵略戦争の正当化、天皇中心の復古的改憲を主張する「靖国」派による影響力“回復”を目指す動きとみられています。

 同議員同盟は昨年四月、旧自主憲法期成議員同盟を改称し改憲保守派を集めて結成されました。結成時の活動方針では「護憲派の運動(例えば九条の会)が盛んになっているので、ぜひ当議員同盟が中心になって、これに対抗する運動を強力に展開していくべきである」と強調。「九条の会」をはじめ草の根の護憲の取り組みに“対抗”し、改憲促進の国民運動の「中軸」となることを目指してきました。
教育で“普及”

 自民党憲法審議会は、「当面、衆参の憲法審査会の始動の見通しは立たない」(同幹部)という中で、改憲手続き法にもとづく国民投票法制の整備に向けた検討作業を独自に始めています。テーマは投票年齢の十八歳への引き下げや、公務員の国民投票運動規制などです。

 六日に予定される会合では、投票年齢の引き下げに対応して、小中学校、高校での憲法教育の実情などについて意見交換するとしています。教育の点では、改憲手続き法審議の中で自民党の法案提出者は「(投票年齢を引き下げるなら)若い世代に、今の憲法のよい点、時代に合わない点についてしっかりと認識してもらう」(〇六年十二月)と発言しています。同審議会が憲法教育の実情を検討しようとしていることは、二〇一〇年の国民投票法の施行―国民投票実施をにらんで、子どもたちに改憲派の主張を“普及”しようとする動きであり重大です。(中祖寅一)

2008年3月 3日 (月)

護憲は「一方的主張」/箱根町教委が九条の会施設利用に制限

これは何だ! 後で考えるとして、とりあえず紹介します。神奈川新聞の記事です。
(高田)

http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiifeb0802895/
護憲は「一方的主張」/箱根町教委が九条の会施設利用に制限

    * 社会
    * 2008/03/03

 平和憲法を守ろうと結成された箱根町の住民団体「箱根九条の会」が町施設を借りる際、グループ名を名乗らずに活動せざるを得なくなっていることが、二日までに分かった。イベント開催で町教育委員会に「九条堅持に偏って主張することは避けること」などと条件を付けられたためで、会の主張を前面に打ち出しにくい状況が生まれている。

 メンバーらは、七年ほど前から活動する「核兵器をなくし平和を進める箱根の会」を母体に、二〇〇五年十月に箱根九条の会を立ち上げた。結成時に記念集会を開くため町仙石原文化センターの使用を町教委に申請。チラシにカンパ要請の記述があり、町教委は「営利目的」と判断。カンパの文言削除を条件とした。

 さらに、町教委によると、一方的に九条堅持に偏っての主張は避けるという条件も付けた。その理由を「不特定多数を招く催しなので公平・平等の立場で使ってほしいため」と説明している。

 同会によると、町教委は護憲を訴えるチラシを配ることも禁止し、チラシの点検を求め、「九条を守るというのは偏った考え。九条の会は政党に類する。一切、九条について参加者に訴えないで」と言ったという。

 これに対し、町教委は「事前チェックはしていない」と否定。「一方的な考えを強く主張するのはやめてほしいと伝えたまで」と説明した。

 同会は条件をのみ、集会にはプログラムなどだけを持ち込み、九条について語らないことを参加者に説明した。以来、同会名では活動が制限されるとして、箱根の会名で施設を借り続けている。

 だが、箱根の会名での催しでも問題が起きた。同会によると、〇六年夏ごろ町社会教育センターに掲示した催しを告知するポスターの「憲法九条が危ない情勢」との記載部分を、同センター側が紙で覆い隠した。当時のセンター所長は「内容が中立ではなかったため」と話している。

 隣接する小田原九条の会の場合、〇五年十一月、小田原市の施設で結成集会を開いたが、物品販売をしないことだけが条件で、その後も活動を制限されずに同会名で使用している。市側は「学習の場としての使用ならば問題ない」という。

 全国レベルでの九条の会呼び掛け人の一人で作家の澤地久枝さんは「市民を中心に平和を守るのは常識で、色をつけたり閉め出したら民主主義も平和主義もなく、今世紀を生きていく国ではない」と憂えた。九条の会を名乗らないことには「市民運動は緩やかでいい。後ろに下がったのもその団体の判断。ただ、少しずつ勇気を持つことは大事」と話した。

◆九条の会 2004年6月に井上ひさし、梅原猛、大江健三郎、澤地久枝さんら9人の知識人や文化人を呼び掛け人として結成された護憲団体。同会事務局(東京都千代田区)によると、賛同した各地の「九条の会」は07年11月現在で全国6801団体、県内302団体。

毎日世論調査:内閣不支持5割超 イージス艦対応が要因に

福田康夫内閣の支持率、低落。不支持、毎日調査でも過半数超える。これはイージス艦による事故の後の調査である。石破防衛相の辞任を巡る反応が面白い。被害を受けた漁民の家族などの言葉を巧みに利用し、振りまいて自己保身を謀った石破作戦の成果か。福田背水の陣内閣はこのままでは解散もできずにのたれ死にとなるしかないのだろうか。(高田)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080303k0000m010047000c.html
毎日世論調査:内閣不支持5割超 イージス艦対応が要因に
福田内閣の支持率の推移

 毎日新聞は1、2両日、電話による全国世論調査を実施した。福田康夫内閣の支持率は1月の前回調査比3ポイントダウンの30%で、昨年9月の政権発足以来最低を更新、不支持率は初めて半数を超える51%となった。イージス艦「あたご」と漁船の衝突事故を巡る政府の対応については、「評価しない」41%、「あまり評価しない」33%で、計74%が批判的にとらえていることが分かった。

 政権発足直後57%だった内閣支持率は昨年12月に33%に下落、その後も反転しない状況が続いている。これに対し、不支持率は一貫して上昇傾向にある。

 男女別では、男性の支持率が28%と3割を切り、不支持率は58%だった。不支持理由で「首相の指導力に期待できないから」が前回比11ポイント増の40%となったのが目立ち、イージス艦衝突事故などへの首相の対応が不支持増の要因になっていることがうかがえた。

 衝突事故への政府対応を好意的にとらえた回答は、「ある程度、評価する」19%、「評価する」2%だった。

 石破茂防衛相の責任に関しては「きちんと事故処理をした後で辞めるべきだ」が45%で最も多く、「直ちに辞任すべきだ」の4%と合わせ、辞任を求める意見が49%にのぼった。一方で「辞任するよりも再発防止に取り組むべきだ」が39%、「辞任論が出るのがおかしい」が8%で、石破氏の進退を巡る世論は二分された。

 3月末で期限が切れる揮発油(ガソリン)税の暫定税率を4月以降継続することには、「反対」が66%で、「賛成」の27%を大きく上回った。ただ、暫定税率の10年間維持を含む租税特別措置法改正案を与野党協議で修正することには、78%が「賛成」と回答、歩み寄りを促す世論が浮かんだ。10年間で59兆円を必要とする「道路整備の中期計画」に沿って道路整備を進めることには「賛成」19%、「反対」75%だった。

 政党支持率は自民26%(前回比2ポイント減)、民主23%(同1ポイント減)などだった。【西田進一郎】

毎日新聞 2008年3月2日 19時54分 (最終更新時間 3月2日 20時28分)

2008年3月 2日 (日)

重大さ変わらない/暴行事件・米兵不起訴

昨日に引き続いて、沖縄での米兵による少女強姦事件の告訴取り下げ問題を考えている。私たちがこれを考える材料として沖縄の地元紙2紙の記事と社説を紹介する。

少女よ、哀しかっただろう、悲しかっただろう、悔しかっただろう、怖かっただろう。何と人は信じられないものかと、不信でいっぱいだろう。あのとき、君は勇気を出して携帯で友を呼んだ。精一杯の抗議をしようとしていた。その心を踏みにじった社会に、君はいま絶望しているのだろうと思う。
しかし、幼い君に心を寄せるたくさんの大人たちがいることを見てほしい。あきらめないでほしい。23日、沖縄では県民大会が開かれる。こんなことがもうないようにと願って。幾度繰り返せばいいのか、と思いながら、私たちはあきらめずに抗議する、行動する。(高田)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803021300_01.html
重大さ変わらない/暴行事件・米兵不起訴
 「心が痛い。彼女が声を上げられる状況をつくれなくて申し訳ない」―。米兵による暴行事件の被害者が告訴を取り下げ、容疑者の二等軍曹が不起訴処分となったことに、高校生のころ県内で米兵から性暴力の被害を受けた女性(四十代)が一日、重い口を開いた。基地あるが故に構造的な暴力が繰り返される現実。「告訴を取り下げても事件の重大さは変わらない。基地をなくすことと、被害者の人権が守れる社会の仕組みがなぜ作れないのか…」。同じ痛みと苦悩を抱え、複雑な心情を吐露した。(くらし報道班・岡部ルナ)

 女性は二〇〇五年、性暴力被害を稲嶺恵一知事(当時)あての公開書簡で訴え、性犯罪と基地被害の実態を告発した。

 高校から下校途中、後ろからナイフを突きつけられ、米兵三人に自宅近くの公園に連れ込まれ、暴行された。

 二十年以上が過ぎた今でも、米軍の事件・事故が起きるたびに悪夢がよみがえるという。

 二月十日に起こった米兵暴行事件を知り、自分と被害者が重なった。「現場が危険な場所というなら、危険にしたのは誰なのか。基地を置いている人が責任を取らなければいけない問題だ」

 被害者には、耐え難い性暴力の痛み、苦しみに加え、日米安全保障にかかわる政治問題がのしかかる。

 女性は自らが性犯罪の被害者であることを誰にも話せなかった。いつどこで犯人に遭うか分からない不安。道を一人で歩くのにも恐怖が襲った。「自分が守られていないとずっと思っていた」。孤独だった。

 「本当は声を上げたかった。でも、親に言えば心配させる、警察の事情聴取で何を聞かれるのかなど一人で悩んで、相談する相手がいなかった。ずっと自分が悪いと責めていた」

 一部報道による中傷、周辺取材にも「報道が向くべきは加害者の側だ」と憤る。

 「この後、自分の人生はどうなるのかという恐怖、一歩外に出れば皆が自分の敵のように思えているのではないか。被害者も、家族も、安心できる安全な場所にいてほしい」

 市民団体が計画している県民大会には必ず足を運ぶつもりだ。「彼女は悪くない。人が集まることで、彼女を守りたい人がこれだけいるんだと伝えたい」
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31845-storytopic-1.html
呼び掛け団体複雑 県民大会開催

 米兵女子中学生暴行事件で容疑の米兵が不起訴処分で釈放されたものの、県子ども会育成連絡協議会(沖子連)の玉寄哲永会長と県婦人連合会の小渡ハル子会長が1日、県民大会を予定通り開催する意向を示したことを受け、他の呼び掛け団体からも「声を上げるべき」「行動しなければ悲劇が繰り返される」と開催を強く求める意見が多く上がった。その一方で被害者への配慮から「抗議の仕方についてはもう一度考える必要がある」と慎重な声も聞かれた。
 県高校PTA連合会の西銘生弘会長は「心情に配慮することが必要だが、行動しておかなければまた同じことが繰り返されてしまう危機感がある。沖縄の現状を米軍側はもとより県外や世界に訴えていかなければならない」と開催への強い思いを示す。
 青春を語る会の中山きく会長は、被害者への配慮を見せながら「あんな大事件を起こしておきながら次々と事件が発覚している。沖縄の人なら我慢の限界。沖縄を安心して暮らせる場所にするためには今声を上げるべきだ」と話し「今後も呼び掛け団体として活動を続けていく」と述べ、県民大会の開催を強く求めた。
 県老人クラブ連合会の花城清善会長は「米兵に対する怒りは変わらないが、被害者の方の心情にも配慮したい。抗議の表明の仕方について県民大会が適切なのかどうか3日に幹部で話し合って検討するつもりだ」と話し、慎重な姿勢を見せた。
 県青年団協議会の照屋仁士会長は「被害者への配慮は大切だし、大会の内容を考えなければならない」としながらも「自分たちはこれからの地域を担っていく世代。青年層が社会問題を考え、社会にかかわる環境をつくるという意味でも、県民大会開催は意義がある」と意欲を見せた。連合沖縄は3日に役員会を開いて決定する。
 これらの意見を受けて沖子連の玉寄会長は「泣き寝入りして幕引きしてしまったら、何も変わらない。沖縄の問題として強い姿勢を示していきたい」とあらためて県民大会への意志を強くした。
 「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」(仮称)は23日午後2時に北谷公園野球場前広場で開催が予定されている。

(3/2 10:20)

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080302.html#no_1

告訴取り下げ]

被害者の声に応える道は
 「そっとしておいてほしい」―被害者とその家族の訴えを私たちはどう受け止めればいいのだろうか。

 女子中学生への暴行事件で逮捕されていた米海兵隊員は、被害者側が告訴を取り下げたため不起訴になり、釈放された。

 県内には戸惑いも広がっている。だが、被害者が発した声を正面から受け止め、問題の所在を整理し再発防止につなげていくことが、今、私たちに求められているのだと思う。

 強姦罪は被害者の告訴がなければ起訴できない「親告罪」で、今回の事件に限らず告訴が取り下げられたり、被害者が訴えることをためらったりしてうやむやになるケースは多い。

 容疑者の身柄は海兵隊が拘束しているが、日本の法律で起訴されなかったからといって二等軍曹の容疑が晴れたわけではない。

 むしろ日本側が権利を行使しないことで、米軍の責任はより重くなったととらえるべきである。

 ケビン・メア在沖米総領事は「日本側が一次裁判権を放棄するなら、米軍当局が証拠を調べ、捜査した上で処遇を判断する」と述べている。

 米軍当局は二等軍曹の行為を徹底的に洗い直し、人権への配慮を強調する民主主義国家の名に恥じない判断を下してもらいたい。

 事件が国会でも取り上げられ、大きな政治問題に発展したため、被害者はいや応なく、さまざまな問題に直面することになった。

 米兵による性犯罪が起こるたびに出る被害者の「落ち度論」もその一つである。被害者やその家族にとっては耐え難い非難であり、それが二次被害をもたらした側面も否定できない。

 告訴し法廷の場で容疑者の罪を暴こうにも、それによって逆に自らのプライバシーがさらされる恐れがある。

 被害者と家族が告訴を取り下げたのは、そのことを何よりも心配したからではなかったか。

 告訴取り下げの判断を下すに当たっては、さまざまな葛藤があったと推察される。そのことを私たちは重く受け止めたい。

 日米両政府は、今回のような性犯罪などの発生を防ぐための再発防止策を講ずるとしている。だが、本当に実効性のある防止策を構築できなければ事態は何ら変わらず、再び同様の事件が繰り返される可能性はある。

 米軍の兵士教育の在り方に問題はないのかどうか。事件や事故に至った経緯についてきちんと検証し、二度とこのような事件が起きないようにすることが両政府の責務だ。
http://ryukyushimpo.jp/news/storytopic-11.html
告訴取り下げ 犯罪の容疑は消えない

 何ともやり切れぬ気持ちだ。告訴を取り下げた少女に、どんな心境の変化があったのか。事件後に浴びせられた心ない非難の声。あるいは、一部週刊誌による無節操な取材や報道。「なぜ、自分が責められねばならないのだろうか。やはり、自分が悪かったのか」。こんな思いでいるのなら、それは違うと、あらためて強く問い掛けたい。
 那覇地検は29日夜、女子中学生暴行容疑で逮捕した在沖海兵隊の二等軍曹を不起訴処分にした。被害者が告訴を取り下げたからだという。その理由について、「(少女が)そっとしてほしい、と思っている」と説明する。恐らく、精神的に追い詰められた本人と家族が、やむにやまれぬ思いで決断したのだろう。
 事件後、大きく問題化していく重圧に加え、公判ともなれば証言などで、さらに傷口を広げられるような仕打ちにも耐えなければならない。被害者や家族がそう心配するのも無理はなかろう。あえて言えば、自宅にまで押し掛ける週刊誌や、いわれなき中傷に行き場を失ったともいえる。まさに「被害少女に対する重大な人権侵害(セカンドレイプ)があった」(沖縄人権協会)ことになろう。
 本人や家族の判断は、そういう意味からも理解できるし尊重しなければならない。少女の心のケアに十分配慮し、1日も早く立ち直ることのできるよう、関係者の手当てに期待したい。
 いま、私たち大人がすべきことは、二度とこうした事件の起きない社会をつくることだろう。行政と民間が一体となっての再発防止策、子供たちへの教育、など。そのことが優先だ。決して、被害者の落ち度を言い募ることが、先ではない。それは、天につばするようなものだ。非難は自らに返ってくる。こうした社会を放置してきた大人としての自分に。
 23日の県民大会は、予定通り開かれることが決まった。3日にも呼び掛け団体で話し合う。また、8日には大会に向けた実行委員会の結成総会を開いて、アピール文を発表する予定だ。賛否もあるが、開催は当然だろう。自民党も含めて、実行委は超党派での開催に向けて全力を挙げるべきだ。
 告訴が取り下げられた、といって、犯罪の容疑が消えるわけでもない。事実、釈放された米兵は米軍に身柄を拘束されている。米側の厳しい処罰を願うばかりだ。
 ボールは日米両政府に投げられた。事件の再発防止に向けて、実効性のある施策がどれだけ実行できるか。「綱紀粛正」や「兵士教育の徹底」など、その場しのぎの対策では何の解決にもならないことは、すでに証明ずみだろう。もちろん、米軍基地の県外移転が根本的な解決策には違いない。

(3/2 10:06)

2008年3月 1日 (土)

沖縄の暴行事件、米兵を釈放 少女側が告訴取り下げ

朝起きて、朝日新聞を見て驚いた。同紙のトップ記事である。何ともやりきれない。
こういうことで米兵の犯罪が無罪扱いされてしまうとは。少女が「そっとしておいて」と言わざるをえないところに追い込んだのは、昨日、本欄でも紹介したような「加害者も被害者も平等に問題だ」などというような、一部の心ない人々の動きであろう。彼女はセカンドレイプ状況におかれてしまったのだ。「そっとしておいて」という悲痛な叫びに込められた少女の悲しみにたいして、私たちはいかに向き合うのか。心からの怒りと涙を通り越した悲しみであろう。
政府や米軍当局はこの少女の悲しみに対して重大な責任がある。
このままあいまいに終わらせてなるものか。それは日米安保条約という日米軍事同盟体制のもとに米軍駐留を容認する政府と、そのもとに住んでいる私たち大人の責任でもある。末尾に本日の沖縄タイムス紙の記事を添付した。(高田)

http://www.asahi.com/national/update/0229/SEB200802290011.html
沖縄の暴行事件、米兵を釈放 少女側が告訴取り下げ

2008年03月01日01時28分

 那覇地検は29日、女子中学生に乱暴したとして逮捕された在沖縄米海兵隊員のタイロン・ルーサー・ハドナット2等軍曹(38)について、生徒が同日付で告訴を取り下げたとして不起訴処分とし、釈放した。生徒は29日、事情を聴いていた検事に対し「(事件に)これ以上かかわりたくない。そっとしておいて欲しい」と述べ、告訴を取り下げたという。これにより、海兵隊員は同日午後8時40分ごろ釈放され、米軍に身柄を引き渡された。

 刑法は強姦(ごうかん)や強制わいせつなどについて、性犯罪被害者のプライバシー保護などの観点から、被害者が告訴を取り下げた場合は犯罪事実の有無にかかわらず起訴できない「親告罪」と定めている。

 県警は2月10日夜、北谷町(ちゃたんちょう)北前1丁目の路上に止めた車内で女子中学生に乱暴したとして、同11日未明、強姦容疑で海兵隊員を緊急逮捕した。隊員は調べに対し「女子生徒に関係を迫ったが、拒まれたので乱暴はしなかった」などと供述し、容疑を否認。地検は強姦未遂罪の適用も含め、慎重に捜査を進めていた。

 県警の調べでは、隊員は同10日夜、沖縄市の路上で、友人と一緒にいた女子生徒に声をかけ、「家まで送る」と言ってオートバイで本島中部の自宅へ連れて行き、その後、自宅から逃げ出した生徒を「家まで送ってあげる」と言って車に乗せて、北谷町に行った、とされていた。

 女子生徒は、携帯電話で別の友人に「助けて」「外国人に連れて行かれた」と連絡。友人とその家族らが「連れ去られた可能性がある」と沖縄署に届け出た。同日午後10時45分ごろ、女子生徒から友人の母親に「逃げてきた」と電話があり、県警が北谷町の現場近くで保護した。

 女子生徒が車の特徴などを覚えていたことから隊員が浮かび、県警は自宅前に止めた車の中にいた隊員に同署への任意同行を求め、緊急逮捕した。

 この事件をめぐっては、県議会や県内の全市町村議会が抗議の決議をした。また、シーファー駐日米大使らが沖縄県庁を訪れて謝罪したほか、来日したライス国務長官も福田首相らに対し遺憾の意を表明。在日米軍は2月20日から、沖縄と山口県岩国市の米軍基地所属の米軍人らの基地外への外出を禁止している。

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http://www.asahi.com/national/update/0301/SEB200802290013.html
米兵釈放 「そっとしておいて、と」 地検「適正捜査」

2008年03月01日01時50分

 「そっとしておいてほしい」。沖縄県で女子中学生を暴行したとして逮捕された米海兵隊員(38)が29日に釈放された理由は、女子生徒側の告訴取り下げだった。地元には戸惑いも広がったが、キスを迫り暴行しようとした行為は、これまでの捜査で浮かび上がっている。米軍基地と隣り合わせに生きる住民らの不安は消えない。

 那覇地検では29日午後9時45分から、山舗(やましき)弥一郎検事正が隊員の釈放について説明。集まった約20人の報道陣に「被害者が告訴を取り下げたため本日付で不起訴処分とし、釈放した」と淡々と語った。

 被害者が告訴を取り下げた経緯については「いつからかは言えないが、きょう突然言い出したわけではない」「そっとしておいて欲しいということのようです」などと話したほかは、詳細な説明を避けた。

 告訴が取り下げられなければ起訴できたのかどうかについても「事実が存在したかどうかではなく、告訴がないと公訴が提起できない。訴訟条件がなくなっているわけで、それ以上でも以下でもない。コメントすることは適切ではない」と述べるにとどめ、隊員の供述内容についても明らかにしなかった。ただ、県警による逮捕など一連の捜査の是非について問われると、険しい表情を浮かべて「適正だった」と語気を強めた。

 告訴がなくても立件できる他の罪名で捜査を続ける可能性については「被害者の気持ちを考えると、他の罪で公訴提起するのは適切でない」と述べ、否定した。

 女子生徒が隊員に声をかけられる場となった沖縄市の東門美津子市長は「被害者に対する心ない声もあり、つらい立場に追い込まれたのではないか。でも、米兵による事件が続いていることも、重い基地負担があることも何ら変わりはない」と話した。

 暴行現場とされた北谷町の野国昌春町長は「これだけ大きな事件になり、少女に相当な重圧がかかってしまったのではないか」と言葉をかみしめた。町内には3000人近くの米軍関係者が基地外に暮らす。「小さなトラブルは数え切れない。町民は米軍の存在に漠然とした不安を抱えている」

 「非道な犯罪を起こした米軍基地の撤去を」。そう踏み込んだ抗議決議・意見書を2月15日に可決した沖縄県読谷村議会の前田善輝議長は「基地がある限り沖縄に多くの米兵が存在し続ける。また事件が起きないか、心配だ」と語った。

 95年の少女暴行事件を機に発足した「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」は当時、被害少女に「二度とこのような事件を米兵に犯させない」と誓いの手紙を送った。前事務局長の桑江テル子さん(69)は「基地がある限り、沖縄はこうした犯罪と隣り合わせの状態が続く」と嘆いた。

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http://www.asahi.com/national/update/0229/TKY200802290390.html
米大使館報道官「米軍として独自の捜査」 暴行事件で

2008年03月01日06時08分

 米海兵隊員が釈放されたことについて、米大使館のマークス報道官は29日夜、朝日新聞に「釈放されたにせよ、極めて遺憾な事件だと受け止めている。日本側が優先的な裁判管轄権を行使しないのであれば、米軍当局が証拠を再検討したうえで独自の捜査を継続し、今後の対応を決める」と述べ、米軍として軍法会議などを視野に捜査する考えを示した。

 再発防止に向けた米軍のタスクフォース、(国や県、関係市町村との)ワーキングチームとの作業、反省の日、教育プログラムの再検討などの再発防止策は「継続して進める」と語った。

 外務省は29日夜、「政府としては引き続き米側と共に精力的に事件事故防止の検討を進めていく考えだ」とのコメントを出した。

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http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803011300_02.html
痛恨 被害者守れず/地検苦渋 天を仰ぐ
 また被害者を守れなかった―。米兵による暴行事件は二十九日、容疑者の釈放という予想外の形で幕が引かれた。日米両政府は安保体制のほころびに危機感をあらわにし、一部メディアは好奇の目を向けた。あまりにも大きな負担を背負った被害者から、届いたのは「そっとしておいてほしい」という言葉だった。天を仰ぐ那覇地検の検事正。首長や市民団体は、支援が徹底できなかった痛恨を語った。米軍基地が集中し、犯罪が頻発する現実とどう向き合うか。日米両政府は、再発防止の取り組みを誓い、県民大会の模索も続く。

 「容疑者を本日釈放した」。那覇地検五階会議室での記者説明。山舗弥一郎検事正は午後九時四十分、駆け付けた二十人の報道陣を見渡し、一言一言かみしめるように書面を読み上げた。「本日付で不起訴処分」。大きく息をついた後、「申し上げられることは以上」と言葉を切った。

 張り詰めた空気の中、報道陣から矢継ぎ早に質問が飛んだ。「告訴取り下げの理由は何か」「容疑の事実関係はどうなのか」。山舗検事正は「被害者の気持ちに反するので詳細は言えない」と、何度も繰り返した。

 被害者感情に話が及ぶと、天を仰いだ後「そっとしておいてほしい、ということのようだ」と説明。会議室は一瞬、静まり返った。

 告訴を取り下げるような働き掛けがあったかとの問いには「一切ない。失礼だ」と声を荒らげた。捜査の適正性を問う質問には「(親告罪なので)告訴が取り下げられたら絶対、起訴できない。被害者の気持ちを重視し粛々とやるしかない」と顔を紅潮させた。その後も「事情を理解してほしい」と繰り返し、説明は二十分で終了した。

     ◇     ◇     ◇     

買い物の高校生「怖い」
基地の街 不安の声

 【沖縄】「米兵がまた、同じような事件を起こさないか怖い」「外出禁止令は早めに解除してほしい」―。二等軍曹が被害者に声を掛けた沖縄市のコザ・ゲート通りは、二等軍曹が釈放された二十九日夜も、外出禁止令の影響で通りを歩く米兵の姿はなかった。米兵相手の店が多い通りでは、釈放の知らせに不安の声が上がった。

 同通りで買い物をし、迎えの家族を待っているという高校一年の女子生徒(16)は「米兵が、また事件を起こさないか。(綱紀粛正策を行っているが)忘れたころに、また事件が起きないか」と心配した。

 コザ・ミュージックタウンに食事に来たという沖縄市のアルバイトの女性(21)は「事件で日本政府だけでなく、アメリカのライス国務長官も謝罪した。大きな騒ぎになったことで被害者は動揺したのではないか」と話した。

 週末には十台近いタクシーが並ぶコザ・ゲート通りも、外出禁止令が出て二度目の週末は、わずか数台だけだった。

 うるま市のタクシー運転手(61)は「売り上げも落ちており、外出禁止令は早めに解除してほしい。しかし、(事件が発生した)米兵が出歩く街をつくったのは大人の責任でもある」と口ごもった。

県民大会呼び掛け人ら複雑/基地集中 構図同じ

 3月の県民大会開催を呼び掛けてきた市民団体も、言葉を失った。被害者の選択に理解を示しつつ、米軍基地と米兵犯罪が集中する構図は変わらないと指摘。引き続き、大会開催を模索する考えを示した。

 県婦人連合会の小渡ハル子会長は、「また同じことの繰り返しにならないか」と懸念しつつ、「被害者や家族の気持ちも分かる」と複雑な心境をのぞかせた。

 県民大会に向け、この日も東門美津子沖縄市長に協力を要請してきたばかりだった。小渡会長は、「(開催に)どうしても影響してくる」と困惑しながらも、「二度とこういう事件が起こらないように、抗議する意志は変わらない」と、実現に前向きな態度を示した。

 県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長も「容疑者釈放で、沖縄に米軍基地が集中し、米兵による女性や子どもの暴行事件が相次いでいる構造が変わるわけではない」と強調した。

 一日には、関係団体と大会開催に向けた役割分担などを話し合う予定だ。「大会開催の是非そのものを含めた話し合いになるだろう」とした上で、「米兵犯罪が集中していることを、県民が黙っているままでいいのだろうか。そのことは訴え続けたい」と話した。

 県高校PTA連合会の西銘生弘会長は「向こうは大の大人。どんな常識で考えても、被害者の子は悪くない。ライス国務長官も謝罪していたが、米政府が本当に(米兵犯罪に)危機感を持っていたら、起こるはずはなかった事件なんだ」と強く指摘した。

 二月十九日に抗議の緊急女性集会を開いた「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の高里鈴代共同代表は「この二週間以上、被害者がどれだけつらい思いをしてきたか。支えきれなかった…」と声を詰まらせた。

 一部メディアの好奇の目にさらされ、公判になればつらい質問も予想された。「成人女性でも後悔することがある。被害者の心身の安全を公的に保障するシステムをつくらない限り、皆が犯罪をただすより、沈黙を選択する社会になってしまう」と訴えた。

[解説]
被害者に大きな重圧
問われる支援態勢確立

 米兵暴行事件で容疑者が不起訴処分とされたのは、強姦が被害者の告訴を必要な親告罪であるためだ。被害者側が告訴を取り下げれば、検察が起訴して加害者の刑事責任を追及することはできない。性犯罪の場合、事件が公になることでかえって被害者に不利益になることがあり、被害者側が告訴せずに事件が表面化しない事例は少なくない。

 とりわけ、今回の事件は国内外で取り上げられ、大きな重圧がかかった。被害者側は当初,告訴の意思を示していたものの、取り下げを選択せざるを得なくなったともいえる。

 県警は事件の通報を受け、被害者の詳細な証言などから強姦の疑いが強いとみて捜査し、容疑者も容疑事実を認める供述をしていたとされる。

 一方、事件以降、県内では県民大会開催の動きが活発化。全四十一市町村と県議会が抗議決議し、米軍は軍人・軍属を外出禁止とした。日米両政府内には、米軍再編への影響を指摘する声も強まっていた。

 結果的に、被害者は日米安全保障にかかわる政治問題を一人で背負い込むことになった。加えて一部報道機関が被害者への周辺取材を進めるなどし、県警は「二次被害」を懸念していた。

 基地が集中する沖縄では、一九九五年に起きた暴行事件など、米兵絡みの性犯罪が後を絶たず、被害者が告訴をしない事例もある。今回の告訴取り下げは、被害者をどう支えていくかという課題を突きつけた。(社会部・鈴木実)

政府冷静 影響を注視/再発防止 引き続き促す

 【東京】外務省、防衛省、内閣府などの沖縄関係省は二十九日夜、一斉に事実確認などの情報収集に追われた。事件を受けた再発防止策への影響について、関係者は「日米の取り組みのきっかけは、この事件だけではない。実効性ある再発防止策を実施する方針には何ら変わりはない」(日米関係筋)など比較的、冷静な受け止めで一致している。一方で「県民大会に向けた機運にどの程度影響するかは注視したい」(防衛筋)と影響を図りかねる声も上がった。

 防衛省幹部は、「告訴取り下げはあくまでも被害者の事情によるものだ。事件が重大であることはこれまでと何も変わらない。政府の立ち位置も変わることはない」と指摘。再発防止に向けた取り組みを引き続き積極的に進める考えを強調した。

 同幹部はまた、「米軍関係者には、告訴取り下げを楽観的に受け止めないでもらいたい」とも述べ、米軍による再発防止策の取り組みを促した。

 内閣府幹部も「再発防止策は暴行事件だけでなく、酒酔い運転、住居侵入など一連の事件を受けて取り組みを始めた経緯がある」と述べ、政府の方針に変更がないことを強調した。

 一方、県幹部は同日夜、「こういうケースでは被害者の気持ちが一番大事なので県として何ともコメントできない」と述べた。一日午前、仲井真弘多知事のコメントを発表するとしている。

 二十九日夜、急きょコメントを発表したケビン・メア在沖米国総領事は「予期しなかった結果で驚いている」とした上で、「非常に遺憾な事件であることは変わらない。このようなことを防ぐため、作業部会などの検討や、教育プログラム見直しを続けたい」と表明した。

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