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許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2007年11月 5日 (月)

「福田首相の安保政策での転換」について

民主党小沢一郎代表の辞任表明が政界を揺るがしている。
この真意や背景、これが今後の日本の政治に与える影響などについてのさまざまな報道が駆けめぐっている。
福田・小沢会談をめぐって、「誰がどのような意図でしかけたか」などの「深層の真相」に関する報道の真偽はいまのところ正確に確かめようもないので、それ自体の探求は、各種の論者にまかせておきたい。

ただ、小欄は3日の時点で以下のように述べた。

~この党首会談は有権者にとってはきわめて後味の悪いものを残すことになった。それは、一言で言って、今回の自・民両党首会談は「国民を蚊帳の外」においた密室会談であり、「議会制民主主義の王道」から外れたものであったからだ。その後、メディアによって報道される裏話をいろいろきかされると、なおさらの感がある。
この党首会談で、福田首相が政治的に重大な窮地に陥っていることはより鮮明になったが、小沢代表の株もまた大きく下がったのではないか。
一般に、参院選の勝利は小沢代表の「作戦」の勝利だったように語られるが、私は小沢一郎という人物の評価はこれとは異なる。小沢代表はいい巡り合わせの時期に代表になって自民党と闘えたにすぎないのだと思っている。
それはさておき、この党首会談の結果、福田首相だけでなく、小沢代表も泥にまみれたことは間違いない。否、総合得点では、お互いに減点合戦で、結果として福田首相が得をしたことになるだろう。自民党側に最悪でもこうなると計算した知恵者がいたということか。~

ここで書いておいた小沢氏に関する認識がその後の事態で裏付けられたことだけは確認しておきたい。

小沢代表の4日の記者会見で考えるべき問題は「福田首相が安保政策で重大転換を決意した」と小沢氏が説明している問題についてである。今回の「連立劇」から小沢代表の「辞任表明劇」への劇的展開のキーワードは、この問題につきると言ってよい。
この点は小沢氏も辞任表明でポイントと言っているものである。以下、引用する。

 (1)国際平和協力に関する自衛隊の海外派遣は、国連安全保障理事会もしくは国連総会の決議によって設立、あるいは認められた国連の活動に参加することに限る。従って、特定の国の軍事作戦についてはわが国は支援しない。

 (2)新テロ対策特別措置法案はできれば通してほしいが、両党が連立し、新しい協力体制を確立することを最優先するので、連立が成立するならば、あえてこだわることはしない。

 福田総理はその二点を確約されました。これまでのわが国の無原則な安保政策を根本から転換し、国際平和協力の原則を確立するものであるだけに、私個人は、それだけでも政策協議を開始するに値すると判断いたしました。

というところである。

要するに、小沢氏が福田首相に、歴代自民党の「第9条の解釈改憲に継ぐ解釈改憲」という無原則な安保防衛政策の転換を迫り、福田首相がそれを呑んだ、よって小沢氏は民主党が連立政権への政策協議に入るべきだと判断したというのである。今後、自衛隊の海外派遣は国連決議によるのみ、これを海外派兵恒久法に明記する、新テロ特措法の成立にもこだわらないと福田首相が約束した、これは重大な成果だというのである。
この小沢氏が党首会談で獲得した「成果」を民主党に持ち帰ったが、自分の任命したイエスマンのはずの民主党役員会が拒否した、これは自分への不信任の表明だ、故に「代表なんかやってらんないよ」というのである。一部の評論家は「小沢代表の辞任表明の論理は、これはこれでよく考えられており、筋がとおっている」などといっている。トンデモないことである。

第1、これは小沢氏の憲法論の最大の問題点で、本ブログでもこれまで何度も言ってきたので、くわしくは述べないが、「国連安保理決定ないし国連総会の決議があったら自衛隊の海外派兵と武力行使は許される」というのは小沢氏の独特の9条解釈論であり、これは常識的に考えれば憲法9条の精神とは合致しないものであること。国連関連への派遣であっても明白な憲法違反であることは論を待たない。最近、小沢氏がこの持論にそってISAF派遣に言及して、党内外から批判をあび、その後、民生支援中心に主張を後退させたが、ISAF派遣は小沢憲法論からは必然的にでてくる議論ではあった。

第2、小沢会見の「国連安全保障理事会もしくは国連総会の決議によって設立、あるいは認められた国連の活動」というところの、「あるいは認められた国連の活動」という箇所は、さらに曖昧であることを指摘しておきたい。
米国や日本政府は、かつての「湾岸戦争」も、今回のテロ特措法も「国連決議によって認められた」活動だといいはるのは明らかである。小沢氏が福田首相が「新テロ対策特別措置法案はできれば通してほしい」といったと述べているところにもはからずもこの問題が表れているのではないか。仮に福田首相が小沢氏のいうように約束したとしても、福田首相にとっては新テロ特措法は約束違反ではないという議論が成り立つのである。ならば、小沢氏が「テロ特措法は憲法違反であるから反対だ」といってきたことと、どういう整合性があるのか。福田首相の確約が「根本的な転換」などではないことは明らかである。
福田首相はここを、第2回会談と、第3回会談の間に党に持ち帰って、「いままでの自民党の解釈とあまり矛盾しないで乗り切れる」と確認したのではないかと思われるのである。おそらく、この点で、小沢氏は「老かいな」というか、「小ずるい」というか、福田と自民党執行部の策謀にはめられたのである。

第三、それにしても、小沢氏の「自衛隊国連派遣合憲論」に乗った福田首相の責任は重い。参院第1党の党首に約束した「憲法解釈の変更」「転換」を「言った」「言わない」の水掛け論で逃げることは許されない。
一方の小沢氏がコケてしまった今では、「これでこの問題は終わった」とばかりに知らんぷりで逃げようとするのだろうが、それでは無責任に過ぎる。
これは取引の問題ではなく、最高法規たる憲法解釈の問題である。小沢氏との会談での約束に従い、福田自民党は歴代の自民党の憲法解釈の変更、転換をしなくてはならないのだ。そして、理の当然としてそれは「インド洋派兵・給油新法は不可能だ」ということだろう。今更、新法を強行する論理はなりたたないはずだ。

手負いになったのは小沢民主党だけではない。真実をいえば福田首相も傷を負ったのだ。首相が知らぬ顔の半兵衛を決め込むことは許されない。これを追及するのは運動側の責任でもある。(高田)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2007110502061922.html
【関連】辞任表明の文書全文

2007年11月5日 朝刊

 小沢一郎民主党代表が四日、辞任表明の際に発表した「民主党代表としてけじめをつけるに当たり」の全文は次の通り。

 福田康夫総理の求めによる二度の党首会談で、総理から要請のあった連立政権の樹立をめぐり、政治的混乱が生じたことを受け、民主党内外に対するけじめとして、民主党代表の職を辞することを決意し、本日、鳩山由紀夫幹事長に辞職願を提出し、執行部をはじめとして、同僚議員の皆さんに私の進退を委ねました。

 一、十一月二日の党首会談において、福田総理は「衆参ねじれ国会」で自民、民主両党がそれぞれの重要政策を実現するために、民主党と連立政権をつくりたいと要請するとともに、政策協議の最大の問題とみられるわが国の安全保障政策について、極めて重大な政策転換を決断されました。

 そのポイントは

 (1)国際平和協力に関する自衛隊の海外派遣は、国連安全保障理事会もしくは国連総会の決議によって設立、あるいは認められた国連の活動に参加することに限る。従って、特定の国の軍事作戦についてはわが国は支援しない。

 (2)新テロ対策特別措置法案はできれば通してほしいが、両党が連立し、新しい協力体制を確立することを最優先するので、連立が成立するならば、あえてこだわることはしない。

 福田総理はその二点を確約されました。これまでのわが国の無原則な安保政策を根本から転換し、国際平和協力の原則を確立するものであるだけに、私個人は、それだけでも政策協議を開始するに値すると判断いたしました。

 二、民主党は、先の参議院選挙で与えていただいた参議院第一党の力を活用して、「マニフェスト」で約束した年金改革、子育て支援、農業再生をはじめ、「国民の生活が第一」の政策を次々に法案化して参議院に提出していますが、衆議院では依然、自民党が圧倒的多数を占めている現状では、これらの法案をいま成立させることはできません。逆に、ここで政策協議を行えば、その中で国民との約束を実行することが可能になります。

 三、もちろん、民主党にとって次の衆議院総選挙に勝利し、政権交代を実現して、「国民の生活が第一」の政治を実行することが最終目標であり、私もそのために民主党代表として全力を挙げてまいりました。しかし、民主党はいまだ、さまざまな面で力量が不足しており、国民の皆さまからも「自民党は駄目だが、民主党も本当に政権担当能力があるのか」という疑問が提起され続け、次期総選挙での勝利は厳しい情勢にあります。その国民の懸念を払しょくするためにも政策協議を行い、そこでわれわれの生活第一の政策が取り入れられるならば、あえて民主党が政権の一翼を担い、参議院選挙を通じて国民に約束した政策を実行し、同時に政権運営の実績を示すことが、国民の理解を得て、民主党政権を実現する近道であると、私は判断いたしました。政権への参加は、私の悲願である政権交代可能な二大政党制の定着と矛盾するどころか、民主党政権実現を早めることでその定着を確実にすることができると考えています。

 四、以上の考えに基づき、二日夜の民主党役員会において、福田総理の方針を説明し、「政策協議を始めるべきではないか」と提案いたしましたが、残念ながら認められませんでした。それは、私が民主党代表として選任した役員から不信任を受けたに等しいと考えます。

 よって、多くの民主党議員、党員を指導する民主党代表として、また党首会談で誠実に対応してくださった福田総理に対し、けじめをつける必要があると判断いたしました。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2007110502061923.html
【関連】『憲法解釈首相が大転換』 小沢代表の質疑詳報

2007年11月5日 朝刊

 小沢一郎民主党代表が辞任表明などに関する文書を読み上げた後の質疑は次の通り。

 記者 今後、議員を続けるか、離党するか。

 小沢氏 離党するとは今言っていない。今後の政治活動については、これからゆっくり考えたい。

 記者 大連立についての具体的なイメージは。

 小沢氏 連立というのは、皆さんご承知の連立。衆参両院で過半数あれば連立する必要はない。自民党も参院で過半数割れしたから、われわれに申し入れた。

 記者 辞任を決意したのはいつか。

 小沢氏 辞職願を出そうと考えたのは昨日(三日)だ。一議員となっても次の衆院選に全力投球する決意は変わらない。

 記者 自民党との連立に国民の理解は得られるか。

 小沢氏 国民に約束した政策が、協議によって現実のものになるならば大変いいことだ。

 記者 民主党のどこが力量不足か。辞任表明は有権者への裏切りではないか。

 小沢氏 力量不足というのは、政権担当能力が本当にあるかどうか。あらゆる面で、いま一歩という感じだ。(辞任表明は)国民に申し訳なく思う。

 記者 二日の役員会で反対が出ることを予想していなかったのか。

 小沢氏 特別な思惑を持って諮ったわけではない。国連の活動以外は、自衛隊を海外に派遣しないということは、今までの政府方針の大転換であると同時に、憲法解釈の大転換だ。私が年来主張してきたことだ。私個人としては、この大転換を福田康夫首相が認めた一事をもってしても、政策協議に入ることはいいと思った。

 記者 辞任しても民主党は連立を組むべきか。

 小沢氏 辞職願を出した自分が、あとのことについてどうこう言うことはない。執行部はじめ、皆で判断することだ。

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