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許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2007年11月

2007年11月30日 (金)

神奈川新聞社説 九条の会

本日の「神奈川新聞」社説である。
社説は先頃開かれた「九条の会第2回全国交流集会」の取材を土台にして、九条の会の到達点と成果を確認しながら、新たな情勢のもとで「九条の会」がさらに前進するよう、叱咤激励している。
私が書くと、手前みそのようだが、卓見であると思う。
今日のマスメディアの状況は容易ではないところに至っているが、一方で、先頃の「北海道新聞」の九条の会の報道や、全国交流集会を報じた「共同通信」なども含めて、こうしたメディアもあることを、運動の中で広めてほしいものだ。(高田)

http://www.kanaloco.jp/editorial/entry/entryxiinov071128/
神奈川新聞社説
九条の会

    * 2007/11/30

多様な議論の広がり期待

 憲法九条の擁護を訴える「九条の会」の第二回全国交流集会が都内で開かれた。大江健三郎さんらが記者会見でアピールを発表してから約三年半、これに賛同する各地域、各分野の「九条の会」は現在までに全国六千八百一、県内三百二に達したという。この一年半に、全国で千六百二十七、県内で五十七増えた。集会には全都道府県から約千人が参加し、すべての小学校区(約二万二千)に草の根の会をつくるという壮大な目標も掲げた。改憲をめぐる攻防において、「九条の会」は護憲側の連帯の結節点となりうる存在だけに、活動の行方を注目したい。

 「九条の会」は、九条改定を阻止するという一点のみで連帯するユニークな市民運動だ。大江さんのほか、井上ひさしさん、七月に亡くなった小田実さんら作家、学者ら九人が呼び掛けた。草の根の会の結成は、それぞれ当事者任せ。非武装中立派から、政府の現在の九条解釈論を支持する自衛隊・日米安保容認派まで、会員は“多様性”を誇っている。

 集会では、保守系議員らが参加している例も報告された。世論調査では改憲賛成派が過半数を超えているが、こと九条に関しては、改定反対派が賛成派を上回っている。「九条の会」は、そうした幅広い世論を背景にしている。

 政局を見ると、任期中の改憲をうたった安倍内閣があっけなく崩壊したことで、改憲への動きにはブレーキがかかった。七月の参院選では、安倍前首相が焦点の一つに改憲を掲げたにもかかわらず、世論はほとんど反応しなかった。国民が改憲を急ぐ必要性を感じていないことは明らかで、福田首相も改憲問題には終始、慎重な姿勢を見せている。

 現状は九条擁護に追い風が吹いているかに見えるが、集会では楽観論を戒める声も上がった。呼び掛け人で評論家の加藤周一さんは「安倍内閣より福田内閣の方が手ごわい。自衛隊派遣恒久法など、解釈で九条を空虚にしていく手法が取られるだろう。長丁場だ。これからが大変」と語った。

 今後について「九条の会」事務局は、「各会が援助し合いながら『空白区』を埋めていく。ネットワーク化の取り組みを進める」という。また教育問題など九条以外の政治問題でも「大きな団結の一方、意見の違いを尊重して多様な取り組みを進めてもらいたい」と話した。こうした新たな方針が効果を発揮するかどうか、会にとっても正念場だ。

 国会では改憲派が三分の二を確保。国民投票法の成立により、最短で二〇一〇年の憲法改正発議も可能だ。ただ今後は米朝関係の進展などによって東アジアの秩序が大きく変わることも予想される。「九条の会」には、新たな視点から九条の意義を再認識させるような創造的な議論を期待したい。

2007年11月28日 (水)

時計の針 九条示す未来へ

本日、参院本会議でイラク特措法廃止法案が民主、共産、社民、国民、無所属の賛成で採択され、衆院に送られた。本日、参院本会議で起きたことを記憶にとどめよう。
以下は「赤旗」紙と「朝日」紙の記事である。
私も11月22日の本ブログ「夢想」で書いたことだが、本日の「赤旗」紙の竹下岳記者の文章には共通する点が多い。「過去へ巻き戻されていた時計の針が、憲法9条が示す未来へと進められている」という指摘には、同感で、夢がある。
昨夜の「いらない インド洋派兵・給油新法 国会前ヒューマンチェーン」では、「給油新法廃案!」のスローガンと併せて、「自衛隊はイラクからも撤退しろ」というシュプレヒコールが国会議事堂に向かってこだました。(高田)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-11-28/2007112802_03_0.html
赤旗紙11月28日 イラク特措法廃止法案の可決
時計の針 九条示す未来へ

 過去へ巻き戻されていた時計の針が、憲法九条が示す未来へと進められている―。十一月一日のテロ特措法の失効に続き、イラク特措法廃止法案が二十七日の参院外交防衛委員会で可決された瞬間、そう感じました。
 大義なき「ブッシュの戦争」は音を立てて崩れています。米国の同盟国は相次いでイラクから撤退し、米国内でも「イラク撤退」の声が多数になっています。オーストラリアでも総選挙で「ブッシュの戦争」を支持してきた与党が大敗し、イラク撤兵を掲げる新政権が誕生します。
 日本でも政府の派兵政策が民意によって否定され、平和的手段による紛争解決・復興支援への転換が迫られているのです。
 二十七日の質疑で政府・与党は、「国連支援」を強調してイラク派兵継続の正当性を主張しました。しかし、その実態は、破たんした米軍のイラク軍事作戦への支援そのものです。
 防衛省によると、空自は二〇〇六年九月から今年九月までの間、イラク北部アルビルに国連職員や物資を四十四回、のべ千三百人空輸していますが、同時期の空輸の総回数は二百十三回です。つまり、国連関係の空輸は約21%にすぎません。物資の輸送では、同時期の輸送総量約百六十トンに対して、国連関係はわずか二・三トンです。(グラフ)
 イラクに駐留する外国軍の93%が米軍であることから、国連以外のほとんどは「掃討」作戦などを行っている米兵輸送だと断定できます。
 政府も、「月あたりの輸送回数は十七回から二十回。うち国連関係は四―五回」(高見沢将林運用企画局長)と認めざるをえませんでした。
 一方、政府は「国連職員は民間機でのイラク国内の移動を禁止されている」(石破茂防衛相)とも述べています。それが事実であっても、空自の空輸能力がなければ国連の活動が困難になるのか、政府からの説明はありません。 
 廃止法案は二十八日の参院本会議で可決された後、衆院に送付される見通しです。衆院の三分の二を占める自民・公明両党は、「イラク戦争支持は正しかった」という立場に固執し、同法案を廃案とするかまえです。
 しかし、参院で示された結果こそが民意です。これを無視して、いたずらに数の横暴でイラク派兵を継続すべきではありません。政府・与党は衆院でイラク特措法廃止に踏み切り、軍隊によらないイラク復興支援に転換すべきです。(竹下岳)

http://www.asahi.com/politics/update/1128/TKY200711280082.html
イラク特措法廃止法案、参院で可決

朝日新聞 2007年11月28日11時45分

 民主党提出のイラク復興支援特別措置法廃止法案が28日、参院本会議で野党の賛成多数で可決、衆院に送られた。イラクで多国籍軍を輸送支援する航空自衛隊を即時撤退させる内容で、同党が7月の参院選で掲げた政権公約の一つ。与野党の勢力が逆転した参院では公約を実現した形だが、衆院で廃案となる見通しだ。
 同党は参院で28日に審議入りした政府提出の補給支援特措法案に反対するとともに、イラク特措法廃止法案を提出することで、米ブッシュ政権が進めてきた「テロとの戦い」から距離をおく姿勢をみせてきた。審議でも「イラク戦争の大義とされた大量破壊兵器は発見されず、米国に追従し支持した責任は免れない」と政府の対応を批判。航空自衛隊の現地での活動に関する説明不足も批判した。

2007年11月27日 (火)

イラク帰還自衛隊員の自殺に関する質問主意書 照屋寛徳

http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a168182.htm
質問本文情報
経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十九年十一月二日提出
質問第一八二号
      イラク帰還自衛隊員の自殺に関する質問主意書
提出者  照屋寛徳

イラク帰還自衛隊員の自殺に関する質問主意書
       山田洋行や日本ミライズなどの防衛専門商社と官僚、政治家の癒着や、利権疑惑が大きな社会問題になっている。守屋武昌前防衛事務次官の山田洋行からのゴルフ接待、飲食接待は、国民の常識を超えるもので、接待を受けての見返りは明らかである。
       一方、在沖米軍基地が集中し、今なお米軍再編の名の下に基地機能の強化が進む沖縄では、米軍基地利権疑惑が急浮上している。巨大な防衛利権を許してはならない。巨悪を眠らせないために、検察も勇気を持って適正な捜査を断行し、利権構造にメスを入れてもらいたい。
       海上自衛隊によるインド洋での補給活動の法的根拠であったテロ対策特別措置法が、二〇〇七年十一月二日午前零時をもって期限切れとなった。石破防衛大臣は、「テロ対策特措法に基づく対応措置の終結に関する命令」を発出し、海上自衛隊の補給艦「ときわ」と、護衛艦「きりさめ」に撤収命令を出した。私は、アフガン戦争、イラク戦争の開戦に反対し、テロ対策特別措置法やイラク対策特別措置法の制定に反対をしてきた立場である。
       さて、イラク、インド洋、クウェートなどに派遣された自衛官の自殺等による死者が多数に上っているらしいとの事実が判明している。
       以下、質問する。

一 テロ対策特別措置法に基づき、インド洋における補給活動に派遣された海上自衛隊員の、派遣時から撤収時までの、重複を含むのべ人数を明らかにされたい。
二 イラク対策特別措置法に基づき、イラクに派遣された自衛隊員の、派遣時から現在までの、重複を含むのべ人数を明らかにされたい。
三 インド洋における補給活動に派遣された自衛隊員、及びイラクに派遣された自衛隊員のうち、在職中に死亡した隊員の数、そのうち死因が自殺であった者、死因が傷病の者、死因が「事故または不明」の者の数を、陸海空自衛隊員毎に明らかにした上で、これらの方々の尊い犠牲に対する政府の見解を示されたい。
四 自衛隊員のうち、インド洋、イラク、クウェートなどに派遣された経験者で、帰還し、退職した後に、精神疾患になった者や、自殺した隊員の数を、陸海空自衛隊員毎に、その数を明らかにした上で、元隊員、または、ご遺族に対し、政府としては、どのような形で責任をとるつもりなのか、見解を示されたい。

       右質問する。

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http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b168182.htm

答弁本文情報
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平成十九年十一月十三日受領
答弁第一八二号

  内閣衆質一六八第一八二号
  平成十九年十一月十三日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

      衆議院議員照屋寛徳君提出イラク帰還自衛隊員の自殺に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員照屋寛徳君提出イラク帰還自衛隊員の自殺に関する質問に対する答弁書

一について

       我が国は、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(平成十三年法律第百十三号。以下「テロ対策特措法」という。)に基づき、延べ約一万九百人の海上自衛隊員をインド洋に派遣してきたところである。

二について

       我が国がイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号。以下「イラク特措法」という。)に基づき派遣した自衛隊の部隊の一部については、イラクに入国していない場合があることから、お尋ねの人数について確定的にお答えすることは困難であるが、平成十九年十一月七日現在までに、我が国は、イラク特措法に基づき、延べ約五千六百人の陸上自衛隊員、延べ約三百三十人の海上自衛隊員及び延べ約二千八百七十人の航空自衛隊員を派遣してきたところである。

三及び四について

       テロ対策特措法又はイラク特措法に基づく派遣と隊員の死亡との関係については、一概には申し上げられないが、平成十九年十月末現在で、テロ対策特措法又はイラク特措法に基づき派遣された隊員のうち在職中に死亡した隊員は、陸上自衛隊が十四人、海上自衛隊が二十人、航空自衛隊が一人であり、そのうち、死因が自殺の者は陸上自衛隊が七人、海上自衛隊が八人、航空自衛隊が一人、病死の者は陸上自衛隊が一人、海上自衛隊が六人、航空自衛隊が零人、死因が事故又は不明の者は陸上自衛隊が六人、海上自衛隊が六人、航空自衛隊が零人である。
       また、防衛省として、お尋ねの「退職した後に、精神疾患になった者や、自殺した隊員の数」については、把握していない。
       海外に派遣された隊員を含め、退職後であっても在職中の公務が原因で死亡した場合には、国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)の規定が準用され、一般職の国家公務員と同様の補償が行われるほか、その尊い犠牲に思いをいたし、哀悼の意を表するとともに、その功績を永く顕彰するため、毎年、自衛隊記念日行事の一環として、防衛大臣の主催により、内閣総理大臣の出席の下、自衛隊殉職隊員追悼式を執り行っている。
       政府としては、海外に派遣された隊員が得た経験については、今後の自衛隊の活動に最大限いかしてまいりたい。

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2007年11月26日 (月)

与党、通常国会1月18日召集で調整

産経の報道である。この臨時国会を1月16日まで再延長して、1月12日で60日になる新特措法案を、15日に衆院で採決し、18日に通常国会を召集したいという政府・与党の構想を報道している。
これでいけるかどうかは、世論の動向と密接に関連する。
こんな暴挙は許さないという世論を緊急に作り上げる必要がある。(高田)

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/071126/stt0711260143000-n1.htm

通常国会1月18日召集で調整 日切れ法案の1月中の衆院通過図る

政府・与党は25日、今の臨時国会(12月15日まで)を1月16日まで再延長し、その直後の1月18日に通常国会を召集するための調整に入った。臨時国会で新テロ対策特別措置法を成立させるとともに、通常国会では来年度予算の執行に支障が出ないよう3月末までに予算関連法案の成立を図るための措置。ただ、野党の反発が予想される。
 複数の政府・与党筋によると、政府・与党は、22日の福田康夫首相と小沢一郎民主党代表との党首会談で、小沢氏が新テロ特措法案への反対を重ねて表明したため、法案の会期内成立は困難と判断した。このため、憲法59条に基づき、同法案の参院送付60日後に、参院が法案を否決したものと見なして衆院に返付し、3分の2以上の賛成多数で再議決する方向で調整に入った。
 参院送付60日目は来年1月11日。翌12~14日は連休のため、会期を16日まで再延長し、15日に衆院で再議決する公算が大きい。その後、自民党大会が予定される17日を空け、18日に通常国会を召集する検討を始めた。
 政府・与党が、臨時国会閉会後にたった1日しか空けずに通常国会の召集を急ぐのは、来年3月末に期限切れとなる予算関連の「日切れ法案」が多数存在するためだ。日切れ法案は歳入を担保する法案が多く、成立しなければ予算執行に支障が出る。だが、予算案と違って、「衆院の優越」が認められず、参院で否決された場合は衆院で3分の2以上の多数で再議決するしかない。
 このため、政府・与党では、1月末までに日切れ法案を衆院通過させ、参院で野党が審議を引き延ばしても60日間の「みなし否決」規定を使って、3月末に衆院再議決で法案を成立させることを検討。一時は臨時国会中の日切れ法案提出も検討したが、「新テロ法案の審議への影響が大きい」(与党国対筋)として見送った。

2007年11月25日 (日)

ミサイル防衛、来月から訓練実施…新宿御苑など10か所で

こんなこと、ゆるせるものか。(高田)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071125i402.htm?from=main4
ミサイル防衛、来月から訓練実施…新宿御苑など10か所で

 弾道ミサイル攻撃から首都は守れるのか――。防衛省は12月から、ミサイルを地上から撃ち落とす地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の移動展開訓練を、東京・新宿御苑や防衛省のある市ヶ谷駐屯地など都内約10か所の公園や施設で実施する。
 緊急時に迎撃部隊が展開する場所を決めるためで、精密兵器の運用に重要な通信環境、障害物の有無などを綿密に調査し、“その時”に備える。
 PAC3は今年3月、埼玉・航空自衛隊入間基地に初配備された。だが、発射される迎撃ミサイルの射程は15~20キロと短く、都心まで約40キロも離れた同基地からでは、皇居や首相官邸、国会議事堂のほか、中央省庁が集中する霞が関を狙った弾道ミサイルを迎撃することはできない。
 このため、ミサイルが発射される兆候をつかんだ段階で、政府は速やかに自衛隊に出動を命じ、発射機やレーダーなどPAC3本体を、都心に移動させておく必要がある。
 訓練はまず、防衛省が迎撃時にPAC3を展開する候補地として検討中の新宿御苑(環境省所管)や陸自第1師団(練馬区)、市ヶ谷駐屯地など、国が管理する施設からスタートする。その後、都が管理する晴海ふ頭公園(中央区)やお台場海浜公園(港区)などでも実施する予定だ。
 訓練では、実際に入間基地からPAC3本体を移動させ、迎撃ミサイルを発射する際に障害物となる高層ビルの有無を調べる。
 また、弾道ミサイルを追尾するレーダーなど射撃管制機器の通信環境を確認する。
 日本のミサイル防衛(MD)は、海上からイージス艦が迎撃ミサイルSM3を発射し、撃ち漏らした場合、PAC3が地上から再迎撃する2段階システム。
 来月には、SM3を搭載した海自のイージス艦「こんごう」が、ハワイ沖で初の実弾迎撃訓練を行う。
 今回の訓練に続き、防衛省は来年度以降、阪神・中京・北部九州などでも訓練を実施する方針。
(2007年11月25日9時24分  読売新聞)

集団的自衛権 報告先送り 政府有識者会議 首相の慎重姿勢受け

25日の東京新聞のトップ記事である。
安部前首相の企てはあまりに乱暴すぎたと言うことだろう。
しかし、解釈改憲を進めるよりほかにない福田首相がこのあと、どうでてくるか、注目をつづけよう。(高田)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2007112502067108.html
集団的自衛権 報告先送り 政府有識者会議 首相の慎重姿勢受け

2007年11月25日 朝刊

 安倍晋三前首相の下で設置され、憲法解釈で禁じられている集団的自衛権行使の事例研究を進める政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(柳井俊二座長)は二十四日、今秋予定していた報告書の取りまとめを年内は見送る方針を固めた。福田康夫首相が性急な憲法解釈見直しに慎重な上、海上自衛隊によるインド洋での給油活動を再開させる新テロ対策特別措置法案の国会審議への影響も考慮した。 
 懇談会はことし五月から八月まで五回開催。検討対象となった四類型について、集団的自衛権の行使などにあたるとの従来の憲法解釈を見直す意見が大勢を占め、報告書に盛り込む方針だった。
 しかし、安倍前首相は九月に突如退陣。その後、福田首相は国会答弁でも憲法解釈見直しについて「扱いは十分慎重でなければならない」と表明していた。
 さらに新テロ特措法案の審議の過程で、自衛隊の海外派遣のあり方を定める一般法(恒久法)制定論議も浮上。一般法の論議は、武器使用基準の緩和など懇談会の四類型とも重複しており、政府内からも「懇談会だけが結論を急ぐべきでない」との意見が強まっていた。
<メモ> 安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会が検討した4類型 (1)公海上での自衛艦による米艦船の防護(2)米国向け弾道ミサイルの迎撃(3)国際平和協力活動に参加中の自衛隊が、攻撃を受けている他国部隊の活動場所に赴いて武器で援護する「駆け付け警護」(4)戦闘地域での輸送、医療など後方支援の拡大-の四つの事例。これまで集団的自衛権の行使((1)と(2))や海外での武力行使((3))、武力行使との一体化((4))にあたるとされてきたが、安倍前首相が懇談会に憲法解釈の見直しを提起した。

ちなみに本日の読売はこんな社説を載せた。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20071124ig90.htm

2007年11月22日 (木)

雑記(23)夢想

本日の朝日紙からの転載である。
イラク特措法廃止法案は28日に参院本会議で採択され、衆院に送付される予定である。与党が多数の衆院では否決され、この法案は廃案になる運命だが、もし、衆院が選挙で野党が多数になっていたら、本日、インド洋から海上自衛隊が帰国したように、イラクから航空自衛隊も撤退しなくてはならなくなるはずだ。実現していれば、中東の平和を切り開く上で、どんなに画期的なことになっただろうか。
この「もし」というのは、目下のところは表題のように「夢想」にすぎない。これは与党の不当な解釈改憲によって成立したイラク特措法という違憲の戦争法の廃止ということだ。こうして、オセロゲームに例えては不謹慎ではあるが、黒を白にひっくり返せるとしたら、これまで自民党がこの国で作り出してきたさまざまな違憲状態を、ひとう、またひとつと憲法状態に復帰させ、憲法を実現することができる。
もとより、野党内の憲法についての態度もマチマチのところがあるのだから、衆院で野党が過半数をとったからといって、すべて解決するわけではない。小澤一郎民主党代表の国連と自衛隊についての「理論」など、危なっかしくてしょうがない。「夢想」するにしても、私たちはそんなに「極楽とんぼ」でいられるわけでもないわけだ。それはわかっている。
「しかし」だ。しかし、それでも、一歩前進ではないか。これを規定するのが院外での自覚・自立した市民運動の動向だ。そんな時代が来るかも知れない。そこまで来ているかも知れない。その時代をたくさんの市民が動き出せば、引き寄せることができるかもしれない。

いま、取り組んでいる「九条世界会議」だって、ある時の若者たちの「夢想」に淵源があるなんていったら、叱られるかな。
ジョン・レノンの「イマジン」にならって、こんなことを「夢想」しながら、さあ、当面は派兵・給油新法案の廃案と、憲法審査会の始動阻止の課題への取り組みだ。(高田)

http://www.asahi.com/politics/update/1122/TKY200711220084.html
イラク復興特措法廃止案、参院審議入り

2007年11月22日10時54分

 民主党提出のイラク復興支援特別措置法廃止法案が22日、参院外交防衛委員会で趣旨説明され、法案が審議入りした。同法案はイラクで多国籍軍への輸送支援活動に従事する航空自衛隊を即時撤退させるのが主な内容。同委員会では政府提出の補給支援特措法案の審議が控えているため、27日に委員会採決することで与野党間ですでに合意している。28日の参院本会議で民主党など野党の賛成多数で可決され、衆院に送られる見通しだ。
 イラクからの自衛隊撤退は民主党の政権公約。浅尾慶一郎「次の内閣」防衛相は趣旨説明の中で撤退理由として、(1)戦争の大義とされた大量破壊兵器は見つからず、イラクへの武力行使を明示的、直接に認める国連決議もない(2)自衛隊の活動の中心は多国籍軍の後方支援とみられるが政府の情報開示が不十分、などの点を挙げた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071122-00000004-yom-soci
海自護衛艦「きりさめ」、佐世保に帰港

11月22日14時12分配信 読売新聞

佐世保に帰港した護衛艦「きりさめ」(長崎県佐世保市で)
 テロ対策特別措置法が1日に期限切れになったことに伴い、インド洋での給油活動から撤収した海上自衛隊の護衛艦「きりさめ」が22日、長崎県佐世保市の佐世保港に帰港した。

 期限切れ後の艦船の帰港は初めて。

 きりさめが護衛していた補給艦「ときわ」も23日、神奈川県・横須賀港に帰港し、テロ特措法に基づき、6年間続いてきた給油活動の任務はこれで終了する。

 海自は、計11か国の艦船に794回、計約49万キロ・リットルの燃料を提供した。

2007年11月21日 (水)

国会の再々延長など許せるものではない

さきに、与党はこの臨時国会を12月15日まで延長した。
しかし、再度、1月中旬までの延長を考えているという。11月13日に派兵・給油新法を衆院で強行採決し、参院に送ったから、参院が否決しなくても否決したと見なされる60日条項を考えると、1月12日になる。1月13日、14日は休日だから、急いでも衆院本会議は15日にしか開くことしかできない、というわけだ。
福田首相が訪米して1時間のブッシュとの会談で約束した法案の成立の責任は、与党に重くのしかかっている。国会会期延長は最大限これしかみとめられていない再々延長という、ぎりぎりの手だてを使ってでも、なんとしても新法案を成立させたいわけだ。
公明党が再々延長には消極的だという。延長して3分の2条項を使えば、あまりに強引だから参院は首相問責決議を出すかもしれない。そうすると衆院解散という空気が濃厚になることを嫌ってのことだ。公明党の基盤である創価学会は今年2度の選挙で疲れている。大阪市長選挙の敗北も、そうした要因もあると言われているほどだ。公明党は早期解散はしたくないのだ。公明党依存症の自民党がこれを突破できるだろうか。
そもそもこの国会の前半、安部辞任と自民党党首選挙などでいたずらに国会会期をむだに使った自民党にこうした再々延長をやるなどという資格はないのだ。
派兵・給油新法案は廃案しかない。院外の全国各地で、こうした運動を発展させることが急務だ。全国の皆さん、いまこそおのおのができることを考えて、小さな行動からでも、運動を作り出そう。(高田)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20071121it01.htm
新テロ法案の会期内成立困難で国会再延長の公算

 自民、民主両党は20日、民主党提出のイラク復興支援特別措置法廃止法案について、27日に参院外交防衛委員会で採決することで合意した。
 これに伴い、インド洋における海上自衛隊の給油活動再開に向けた新テロ対策特別措置法案の審議入りは28日以降となり、会期末の12月15日までの成立は困難となった。
 政府・与党は会期を再延長する公算が大きい。野党が新テロ特措法案の審議を引き延ばすことも想定し、衆院で再可決ができるよう1月中下旬までの延長を軸に調整する。
 自民党の鈴木政二参院国会対策委員長は20日、民主党の簗瀬進参院国対委員長と会談し、新テロ特措法案の26日の審議入りを求めたが、簗瀬氏は応じなかった。これを受け、参院自民党執行部は26日の審議入りは厳しい、と判断した。自民党幹部は「衆院並みの審議時間は確保できない。再延長は避けられない」と語った。
(2007年11月21日3時0分  読売新聞)

与党、憲法審査会の始動の策動

本日21日の「赤旗」紙の報道である。
憲法審査会始動の動きが表面化してきた。給油新法との関連や、延長国会の再延長の動きと関連するので、即座にという状況ではないが、警戒を要する。「規程」を作る前に、まずこの改憲手続き法そのものの再検討が必要だ。衆議院で強行採決したことで、審議不十分のまま参院に回されたが、参院では与党は18項目もの付帯決議をつけて採決した。与党はこの18項目について、どう再検討するのか、そこで与党の姿勢が問われている。
民主党もこの問題抜きに、軽々に始動の話に乗ってはならない。
5・3実行委員会は、目下、始動に反対する団体署名運動を展開している。(高田)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-11-21/2007112102_02_0.html
憲法審査会 始動狙う
衆院議運委員長参院に申し出 民主も検討へ

 西岡武夫参院議院運営委員長は二十日、同委理事会で笹川尭衆院議院運営委員長から「衆院で憲法審査会の運営規程の制定を検討したいので、参院でも検討をお願いしたい。衆参それぞれで規程を整備しなければ意味がない」と申し出があったことを明らかにしました。これを受け、自民党理事が「(規程の検討を)お願いしたい」と主張したのに対し、民主党理事は持ち帰って協議すると表明しました。
 笹川氏は同日開かれた衆院議運委員会の理事会の席上、「憲法審査会規程の制定について、参院の西岡委員長に話をする」と発言していますが、各党に了承は求めませんでした。
 憲法審査会は改憲原案を審査する権限を持つ機関で、五月に与党が強行した改憲手続き法によって衆参両院に設置されています。参院選での安倍自公政権の大敗後、野党の反対で審査会規程さえ決まらず、開催できないできました。
 こうした状況に対し、自民党や国民新党の改憲派議員でつくる「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根康弘元首相)は八日、都内で緊急総会を開き、憲法審査会規程の速やかな制定と審査会の活動開始を求める決議をあげました。議員同盟の関係者は「決議に基づき衆参両院に対して働きかけてきた」とのべています。
 民主党国対関係者は「与党から憲法審査会規程の制定について呼びかけがあり、もしやるなら衆参そろってではないかと返答してきた。安倍首相とは憲法改正の論議は絶対しないという立場だったが、福田内閣になり状況は動いてきた。しかし、まだ早いのではないか」などとのべています。

2007年11月19日 (月)

まず、何をしたらいけないか

福田首相は先の日米首脳会談で、インド洋派兵・給油新法を今国会で成立させるとブッシュ大統領に約束した。これに応じて自民党の幹事長などは金切り声をあげて反対派を攻撃している。
アフガニスタンで20数年にわたり活動している中村哲医師の指摘は重い。ペシャワール会の会報のなかの一節である。全文は下記サイトからどうぞ。(高田)

http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/kaiho/93nakamura.html
よく「日本だけが何もしないで良いのか。国際的な孤児になる」ということを耳にします。だが、今熟考すべきは、「先ず、何をしたらいけないか」です。

 「徳は孤ならず、必ず隣あり」と言います。目先の利を離れ、和を唱えて孤立するなら、それは「名誉ある孤立」であり、世界の人々の良心に力強く訴え、真に国民を守る力、平和への国際貢献となるでありましょう。その時、私たちはアジア民衆の友であり、平和日本の国民であることに、胸を張ることができるでしょう。

 民衆の半分が飢えている状態を放置して、「国際協調」も「対テロ戦争」も、うつろに響きます。よく語られる「国際社会」には、少なくともアフガン民衆が含まれていないことを知りました。

2007年11月16日 (金)

いらない!インド洋派兵・給油新法 国会前ヒューマンチェーン(第3波)

いらない!インド洋派兵・給油新法 国会前ヒューマンチェーン(第3波)やります。
これ以上アフガンの人びとを殺傷するな!自衛隊を米国の戦争に加担させるな!テロ特措法が失効し、海上自衛隊がインド洋から帰ってきます。しかし与党は米国の要求で、なんとしてもインド洋での給油を継続したいとして、この臨時国会を大幅に延長してでも「給油新法案」の衆院での再議決をねらっています。こんな暴挙は許せません。現職閣僚を含む防衛省がらみの一大疑獄の構造も明らかになってきました。福田内閣は責任をとるべきです。
いまこそ世論の力が必要です。友人、知人に声をかけ、国会前にあつまりましょう。
給油新法はいらない。憲法違反の戦争加担はやめよ。アフガンの人々を殺すな。
この声を国会にひびかせ、新法案に反対する野党を激励しましょう。
日時:11月27日(火)18:30~19:30
場所:参議院議員会館前路上
主催:ヒューマンチェーン呼びかけ人一同

■呼びかけ団体■ 
アンポをつぶせ!ちょうちんデモの会/憲法・1947教育基本法を生かす全国ネットワーク/憲法改悪阻止各界連絡会議/憲法を生かす会/子どもと教科書全国ネット21/子どもはお国のためにあるんじゃない!市民連絡会/「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NETジャパン)/盗聴法(組織的犯罪対策法)に反対する市民連絡会/ピースボート/平和をつくり出す宗教者ネット/平和を実現するキリスト者ネット/ユーゴネット/許すな!憲法改悪・市民連絡会/

問い合わせ先● 高田(tel:03-3221-4668  fax:03-3221-2558)
           東本(tel:090-1859-6656
::::::::::::::::::::::::★

本提起に賛同し、国会前ヒューマンチェーンを始めとする
一連の国会行動の呼びかけ人としてお名前を出していただける方は、
下記フォームへ入力し [ 確 認 ] ボタンを押してください。
遠方の方も呼びかけ人として激励ください。
http://form1.fc2.com/form/?id=238674
なお、FAXの場合は93-3221-2558へお願いします。

2007年11月15日 (木)

久間と額賀が同席と守屋が証言

本日の参院外交防衛委員会で、久間元防衛相とと額賀財務相が同席したと守屋が証言した。福田内閣の責任の徹底追及をしなければならない。以下、産経の報道である。(高田)

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/071115/crm0711151402031-n1.htm

2007.11.15 14:16

このニュースのトピックス不祥事

額賀福志郎元防衛庁長官(左)と久間章生元防衛相額賀福志郎元防衛庁長官(左)と久間章生元防衛相

 「久間先生と額賀大臣」。業務上横領などの容疑で逮捕された防衛専門商社「山田洋行」元専務の宮崎元伸容疑者 (69)による過剰接待問題にからみ、参院外交防衛委員会は15日午後、守屋武昌前防衛事務次官(63)の証人喚問を行い、守屋氏は宮崎容疑者から接待を 受けた宴席に出席した政治家2人の名前をあげた。浅尾慶一郎委員の質問に答えた。

 同委員会は10月29日の衆院テロ対策特別委員会に続 き、敵のミサイルなどを攪乱させる「チャフ・フレア・ディスペンサー」の水増し請求問題など、宮崎容疑者との癒着などについて厳しく追及。守屋氏は「そう いう記憶はない」などと改めて宮崎容疑者側への便宜供与を否定した。

 北沢俊美委員長が、水増し請求による税金の無駄遣いや天下りによる癒着構造、談合の3点について認識を聞いた。守屋氏は「防衛省において問題になっている事案。国民の皆様ご迷惑をかけた。私が関与することはあってはならない」と語った。

 また、装備審査会議ので、航空自衛隊の次期輸送機(CX)のエンジン輸入をめぐり、山田洋行がゼネラル・エレクトリック(GE)の代理店だと知らなかったとの証言について、「装備審査会議において議長をしたのは事実。そのような記憶は一切ない」と改めて否定した。

 宮崎容疑者との宴席に出席した政治家の名前については「確認できないので、軽々と名前を言えない」と繰り返したが、浅尾委員が「包み隠さずと言ったが、宣誓と異なるのではないか」と問いただしたところ、「久間(章生)先生と額賀(福志郎)大臣」と観念したように答えた。

2007年11月10日 (土)

新法を手みやげなどにするな!

この「道新社説」は適切だと思う。
法案は採決どころか、まだまだ審議すべきことがたくさんある。与党は強引に12日の衆院特別委員会で採決を委員長職権で決めた。いまの衆院の力関係から言えば、これで12日委員会採決、13日衆院本会議採決はほぼ決まった。
かくも問題が積み残しになっているのに、与党はなぜ採決を急ぐのか。
何のことはない。福田首相は15日に訪米の途につき、16日にブッシュ大統領と会談する予定だ。この間、ゲーツ米国防長官も来日してインド洋派兵・給油活動の継続を日本政府に要求した。ブッシュ政権にとっては、米国石油メジャーから仕入れて、無料で給油してくれる「ガソリンスタンド」が便利であることは間違いないが、それ以上に米国のアフガン戦争が国際的な孤立を深めていることへの危機感だ。日本までが引き上げるのは大統領選挙をひかえた共和党ブッシュ政権にとっては重大な痛手なのだ。12日の衆院特別委採決と13日の法案衆院通過は福田訪米の手みやげに過ぎない。
問題は、こうした福田首相の苦肉の演出を知り尽くしている米国政権がこの程度の手みやげで満足しないと言うことだ。福田首相はどっさりと荷物を背負わされて帰って来ることになる。参院が主戦場になる臨時国会でのこの法案の動向は、これと密接に関連している。(高田)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/59534.html?_nva=27
北海道新聞 社説
対テロ新法案 もっと議論を深めたい(11月9日)
 インド洋で給油を再開するための新テロ対策特別措置法案をめぐる論議が、新たな局面を迎えている。
 政府・与党は今国会の会期を三十五日間延長させることを決めた。何としてもこの法案を成立させようということだろう。
 一方、民主党の小沢一郎代表は法案に反対を貫くと言明し、党として対案もとりまとめた。
 国会では対決ムードが高まっているが、議論はそう深まっていない。
 対テロ新法案については、給油量取り違え問題の解明が不十分なままだ。
 防衛省は組織的な関与を否定している。国会に参考人招致された当時の海上幕僚監部課長も、隠ぺいは個人的判断だったと証言した。
 だが内局が当時、正確な給油量のデータを含めて数字を把握していたことも明らかになっている。
 当時の防衛局長は、防衛商社との癒着が問題になっている守屋武昌前事務次官だ。守屋氏は本当に誤りを知らなかったのか。防衛省は「個人の責任」で片づけようとしているのではないか。そんな疑問がぬぐえない。
 防衛省はイラク作戦への燃料転用疑惑を否定する報告書も発表した。
 しかし、その根拠はあいまいだ。一部入手できなかったデータがあり、実績を踏まえて推測を行い確認したという。無理がある理屈ではないか。
 民主党の対案も問題が多い。
 国連決議があれば給油再開を検討してもいい。アフガニスタンの復興支援では、民生部門に限定して自衛官らを文民として派遣する。国際治安支援部隊(ISAF)には参加しない。
 対案の柱はそういうことだ。
 対テロ戦争の給油支援が軍事活動の一環だということは、いまや常識といっていい。憲法九条に抵触する恐れがある。国連が認めれば給油活動ができるという考えには無理があろう。
 自衛官には武器携行を認め、武器使用基準も緩和するという。海外での武器使用や武力行使には厳格な歯止めが必要なのに、まるで逆行する発想だ。
 「停戦合意後」などとする派遣時期の条件も、いまひとつはっきりしない。政府が自衛隊の派遣先を「非戦闘地域」と強弁したイラク特措法のように拡大解釈される余地はないのか。
 民主党は対案を法案に仕上げることを検討しているそうだ。このままでは憲法上の疑義が消えない。再考を求めたい。
 政府は来週末の福田康夫首相の訪米前に法案の衆院通過を目指している。米国に給油再開の決意を示す狙いがあるようだが、国内論議をおろそかにするようなことがあってはならない。
 民主党の対案も出たことだ。これからは、自衛隊の海外活動と憲法の関係や日本の国際貢献のあり方など、根本論議も深める必要がある。

2007年11月 9日 (金)

民主党の対テロ特措法対案骨子

民主党の「対案」の骨子を掲載します。

アフガニスタンでの人道復興支援活動と国際テロリズム根絶に関する特別措置法案(仮称)の骨子

1.アフガニスタン国民の生活の真の安定と向上に向けた自主的な努カを支援し、その復興を通じ、真の国際的なテロリズムの防止及び根絶に寄与することを目的とする。

2.目本国憲法の自衛権発動(武力の行使)、および国連憲章7章下の集団安全保障措置(武カの行使)に係る基本原則を明記する*1。国連改革として「国連緊急平和部隊*2(UNEPS)設立に向けて日本が主導的役割を果たす。

3.国際治安支援部隊(1SAF)によるテロリスト掃討作戦等は、アフガニスタンにおけるテロの抑止及び治安の改善に予期した効果をあげていない現実を踏まえ、日本は国際社会に対して、アフガニスタン国民の生命・財産の保全と生活の維持・安定を最重点として国連活動を行うよう呼びかける。

4.日本はカルザイ政権とタリバンを含む関係当事者すべてとの和解委員会等での停戦合意活動を支援し国際社会にも協カを求める。関係当事者すべてあるいは一部との和解・停戦合意を目指す。併せて非合法武装集団の武装解除、動員解除、社会復帰に取り組む(DIAG)。平行して、警察改革、国軍改革等の治安分野の改革に取り組む(SSR)

5.日本はアフガニスタン旧国軍に対する武装解除・動員解除.社会復帰(DDR)の経験と中立性を生かして、自衛官を含む専門家を文民として派遺し、これらの改革を支援する。

6.自衛隊は、戦闘部隊は一切含まず、人道復興支援やインフラ整備等にかかわるものに限って派遺する。従ってISAF本隊への参加はしない。又、その後方支援に係る活動にも参加しない。

7.アフガニスタンの復興支援を通じて国際テロリズムを根絶するため、日本の活動は、地域復興支援(PRT)活動を始めとする民生部門に限定して行う。尚、当該活動は停戦合意後もしくはアフガニスタン民間人への被害の生じない地域に限定して行う。

8.特に、アフガニスタン国民の窮状に鑑み、農地の復興、灌概施設の整備等による食料生産の確保、国民への医療の提供、被災民に対する援助物資等の輸送、警察、行政など治安維持のための改革の4分野を重点に行う。

9.日本の活動は、自衛隊、警察官・医師等の文民、自衛隊と文民との共同作業の3形態を有効に組み合わせて行う。アフガニスタン支援のために「アフガニスタン人間の安全保障センター」を設置する。

10.活動実施の基本計画は国会の事前承認を得ることとし、人道復興支援の活動期間は原則として1年間に限る。

11PRT実施地域において、部隊規模の戦闘が発生し、もしくは発生するおそれのある場合は、人道復興支援の継続が不可能なので、自衛隊、文民とも直ちに全員撤退する。国会の決議ある場合は撤退する。参加する文民には治安面の配慮をする。

12.インド洋での海上阻止活動が国連の決議に基づく国連の活動として行われることとなった場合には、参加することを検討する。

*1 集団安全保障については、20059月の国連首脳会合成果文書で確認された「保護する責任」の原則を明記する。武器使用基準は国際基準とする。

*2 「国連緊急平和部隊」(UNEPS)は国連直下個人参加の民軍混成部隊。

2007年11月 8日 (木)

自衛隊海外派兵恒久法反対のたたかいにそなえよう

いよいよ「自衛隊海外派兵恒久法」問題が次期通常国会から重大な政治課題となってくる。これを許せば、究極の9条解釈改憲の集団的自衛権行使合憲論などは要らなくなるほどの大問題だ。
これへの反撃を憲法論的にも、政治論的にも、市民運動論的にもしっかりと準備しなくてはならないと考えている。友人の皆さんのご協力を呼びかけます。
私たちの当面の課題は、まずはこの臨時国会でインド洋派兵・給油新法案の廃案をめざすたたかいを全力でとり組むことであるが、つづいて海外派兵恒久法案が控えていることを確認しておかなくてはならない。
さて、本日は18:30~、「いらない!インド洋派兵・給油新法 国会前ヒューマンチェーン」(第2破)だ。皆さんのご参加を!(高田)

http://www.asahi.com/politics/update/1102/TKY200711020400.html
自衛隊派遣 恒久法論議、政局も壁 原則論で深い溝

2007年11月02日22時59分

 福田首相が民主党の小沢代表との党首会談で連立政権樹立に向けた政策協議を持ちかけ、自衛隊を海外に派遣する、恒久法(一般法)についても意見交換した。インド洋での給油活動を継続する補給支援特措法成立に道筋をつけるため、その必要性で一致している恒久法を「誘い水」にしようとの思惑からだ。ただ、民主党は国連決議を条件とするかどうかなど、派遣の「原則」をめぐる溝も根深い。同党が連立の打診を拒否したことで、盛り上がりかけた恒久法制定の機運は勢いを失いそうだ。
 首相は党首会談を終えた2日夜、官邸で記者団に「国連の決議や国連の承認した活動を原則にやっていこうという話し合いをした」と語り、恒久法をめぐって小沢氏との間で認識の共有があったことを強調した。
 自衛隊の海外派遣の法的枠組みとしては、92年に成立した国連平和維持活動(PKO)協力法がある。参加条件には、受け入れ国の同意や停戦合意などの「5原則」が規定され、カンボジアや東ティモールなどへの派遣の根拠としてきた。
 01年9月の米同時多発テロを機に、米国を中心とする多国籍軍を支援する必要性に迫られると、PKO法では対応できず、テロ対策特措法、イラク特措法という時限立法でしのいできた。しかし、特措法ではその都度国会審議などに時間がかかり、迅速に対応できない。だから、PKO法に代わる新たな恒久法が必要だ、というのが恒久法推進論者の主張だ。
 福田首相も、官房長官時代から恒久法制定の必要性を強調。02年には、官房長官の私的諮問機関「国際平和協力懇談会」が「多国間の平和協力活動への協力」として恒久法整備を提言した。小泉政権下の03年には内閣官房に恒久法を検討する作業チームが発足。後を継いだ安倍前首相も意欲を示した。
 だが、いまだ実現に至っていない理由は、派遣のための新たな原則をどこに置くのかという基本が定まらなかったことにある。
 自民党の防衛政策検討小委員会は昨年8月、(1)武器使用基準をこれまでよりも緩和(2)これまで必要だった国連決議や国際機関の要請がなくても派遣可能(3)実施してこなかった治安維持任務に活動を拡大――という条文案をまとめた。
 だが、同党内にも様々な意見がある。武器使用基準の緩和は憲法が禁じる「海外での武力行使」につながりかねず、任務の拡大で派遣自衛官の「危険度」が増し、犠牲者を出しかねない。給油活動の継続でも焦点となった「国連の関与」をどう位置づけるかも大きな課題だ。
 小沢氏はあくまで「国連の平和活動の範囲内での参加」を主張しているが、政府内には「使い勝手をよくするには必ずしも国連決議にかかわらしめない方がいい」(高村外相)との意見が強い。
 石破防衛相は2日夜、「恒久法について両党が真摯(しんし)な議論をすることは十分可能性がある」と語った。だが、小沢氏は2日夜の役員会で「恒久法も話題になったが、それもなかなか難しい話だ」と、「隔たり」があることをうかがわせた。
 インド洋での給油活動は中断を余儀なくされる一方、泥沼化するイラクでの航空自衛隊による空輸支援は続いている。特措法に基づく自衛隊派遣の「総括」ができていない段階で新たな海外派遣の「原則」をつくることにも無理がありそうだ。

大連立事件備忘録

あまり経過を詮索することに興味はないが、備忘録として、本日(8日)の産経新聞の記事を残しておく。
ナベツネ、森、これに10月28日の「与謝野・小沢の囲碁」ぐらいのラインが、福田・小沢会談を進めていたのだろう。(高田)

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/071107/stt0711071806006-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/071107/stt0711071806006-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/071107/stt0711071806006-n3.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/071107/plc0711072255015-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/071107/plc0711072255015-n2.htm

2007年11月 7日 (水)

徹底して審議を尽くせ

これは読売の記事。
本日は午後、衆院特別委員会の集中審議。16:30~は民主党の両院議員懇談会での小沢続投表明。与党は明日、特別委で新法案の採択、9日の本会議で国会会期延長という見取り図を描いている。
同時に、この記事にもあるように、民主党と運営について合意を作り、委員会での強行採決を避け、週明けに「粛々と」採決するという道も検討されている。しかし、この形こそ最悪である。衆議院ではまだ審議が尽くされていない。
福田・小沢会談で話し合われたといわれる福田の「安保・憲法問題での路線転換」については首相が国民の前に説明をすべきだ。まずここからはじめなくてはならない。民主党も傷に触れたくないという態度はとるべきでないし、真相を明らかにして、堂々と公に議論しなくてはならない。
今国会で問題となった新法と憲法の関係、憲法違反の問題は議論が尽くされていないし、守屋喚問の問題も終わっていない。守屋問題やオイルロンダリング疑惑当時の石破長官、福田官房長官の責任も明らかにされていない。こんな状態で衆院の審議終了などをさせてはならない。この程度の議論で審議を終えるとすれば、形の如何にかかわらず強行採決と言わねばなるまい。
参議院で多数派となった野党の責任は重大だ。徹底審議で新法案の問題を明らかにしなくてはならない。(高田)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20071106i216.htm
新テロ特措法法案採決、結論出ず…与野党議論平行線のまま

 新テロ対策特別措置法案を審議中の衆院テロ防止特別委員会では6日、同法案の委員会採決をめぐって与野党が調整したが、結論は出なかった。
 特別委は6日、与野党の一般質疑をはさんで、断続的に理事会を開き、7日午後に福田首相も出席して集中審議を3時間行うことで合意した。
 しかし、与党側が集中審議終了後に新テロ法案の締めくくり総括質疑と委員会採決を行うよう改めて求めたのに対し、野党側は「審議は尽くされておらず、採決は時期尚早だ」と主張し、議論は平行線をたどった。
 与党側は、会期内に同法案の衆院通過を目指す方針で、8日には採決に踏み切りたい考えだ。
 ただ、民主党は今国会の会期延長を前提に採決を来週に先延ばしするよう水面下で打診しており、政府・与党内にも「柔軟に対応してもいいのではないか」との声もある。参院では野党が多数を占めるため、「衆院では円満な形で採決した方がいい」(自民党国対幹部)との判断からだ。
 一方、参院外交防衛委員会は6日の理事懇談会で、8日の守屋武昌・前防衛次官の証人喚問などが与党欠席の中で議決された問題を協議した。
 与党側は「議決は無効だ」と主張し、8日の喚問を欠席する構えを示した。また、会期延長を前提に、参院で新テロ法案が審議入りした後に証人喚問を行うよう提案したが、野党側は「手続きに問題はない」と反論。北沢俊美委員長(民主党)も予定通り守屋氏の証人喚問などを行う考えを示すなど、接点は見いだせなかった。
(2007年11月7日0時9分  読売新聞)

2007年11月 6日 (火)

沖縄2紙の社説から

民主党の小沢慰留が続いている。
結果がどうなるかは、私たちは見ているしかない。
しかし、ここに紹介する沖縄の2紙の社説の指摘は大方、妥当な視点ではないか。民主党は今度の事件で大きく傷ついた。
福田政権と与党は一気に派兵・給油新法の衆院採決に走ろうとしている。民主党のとるべき道は、強行採決の企てに反対し、参院で廃案にすることだ。民主党は対案の骨子などを作りつつあるようだが、これを小沢氏への慰留の材料にするなどと考えるのは筋違いだ。対案骨子などは当面、いらない。まずは火事場泥棒的な策動にでてきた福田与党に反撃することだろう。
私たちはまず、明日、民主党国会議員へのロビーイングをやるつもりだ。そして、衆院委員会での強行採決が予想される8日には、ヒューマンチェーンを行いたい。市民有志のみなさんのご協力をお願いします。(高田)


http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20071105.html#no_1

沖縄タイムス社説(2007年11月5日朝刊)

[小沢代表の辞任表明]

手前勝手な「けじめ」だ
突然の党首会談の末に

 民主党の小沢一郎代表が辞任を表明した。安倍晋三前首相が辞任したとき、理解不能だと一刀両断した当の本人が、唐突に辞任を表明し、参院第一党の政治指導者として全うすべき職務を投げ出してしまった。
 「小沢流」といえば聞こえはいいが、国民不在の無責任な辞任劇だ。民主党にとって代表辞任の打撃は計り知れない。
 小沢代表は会見で「民主党も本当に政権担当能力があるのか、国民から疑問が提起され続けており、次期総選挙での勝利は厳しい」とまで語った。
 政権獲得をめざす参院第一党の党首が会見の場で自分の所属する政党の政権担当能力に疑義を呈するというのは、考えられないことだ。
 参院選で示された民意や政権交代を求める有権者に対して、小沢氏はどのように説明するつもりなのだろうか。
 今回の辞任表明は、小沢代表の独断癖と「壊し屋」体質が招いた自滅劇というほかない。
 福田康夫首相との第一回会談は十月三十日に行われた。突然の、二人きりの会談に、さまざまな憶測が飛び交い、疑心暗鬼が広がった。
 両氏は二日、休憩を挟んで二度にわたって会談し、その席で大連立構想が提起された。
 小沢代表は持ち帰って役員会に諮ったが、にべもなく一蹴された。だが、事はそれですまなかった。
 党首会談を持ちかけたのは一体、誰だったのか。会談の場で大連立構想を提起したのは誰なのか。
 小沢代表は、自分から会談を呼び掛けたり連立を持ち掛けたりした事実はない、と一部報道を激しい言葉で否定した。ならば、なぜ、唐突に辞任する必要があるのか。
 党役員会で「自民党との政策協議を始めるべきではないか」と提案したのに対し、拒否されたことが「役員から不信任を受けたに等しい」と小沢代表は言う。
 以前から指摘されていた「いやなら出て行け」体質を裏返したような、短絡的発想というほかない。理解に苦しむ辞任理由だ。
ねじれ国会で立ち往生
 それにしても、なぜ、こういうことになってしまったのか。
 参院選で自民党が歴史的な大敗を喫し、国会がねじれてしまったことがすべての始まりである。
 福田首相が就任してからおよそ一カ月になるが、法案は一つも成立していない。新テロ対策特別措置法案も成立のめどは立っていない。自民党のあせりはそればかりではない。
 仮に次期総選挙で民主党が勝利した場合、ねじれ現象は解消される。もし与党が過半数を維持したとしても衆院で三分の二を割ることになれば、衆院での再議決が不可能になり、今以上に、にっちもさっちも行かない政治状況が生まれる。
 状況打開の窮余の策として提起されたのが「大連立構想」だ。
 小沢代表がこの話に乗り、「政策協議を開始するに値する」と判断したのは、福田首相が「国の安全保障政策について、極めて重大な政策転換を決断された」からだという。
 自衛隊の海外派遣に関して、今後は、法律を整備し「国連安全保障理事会もしくは国連総会の決議によって設立、あるいは認められた国連の活動に限る」ことをうたう。そのような考えを福田首相が党首会談で認めた、というのである。
 小沢代表の年来の持論に福田首相が歩み寄ったという構図である。
先行きが一層不透明に
 関係者抜きの二人っきりの会談だっただけに、今のところ、事の真相がはっきりしない。
 福田首相は、会談の一部始終を国民に明らかにする責任がある。それが議論の前提だ。
 しかし、仮に小沢代表が指摘した通りの会談内容だったとしても、一連の過程は、すべてがあまりにも唐突で、秘密めいていて、とても納得できるものではない。
 次期総選挙による政権獲得を強調し続けてきたのは誰だったのか。政権交代のある二大政党制の定着を主張し続けてきたのは誰だったのか。
 「小沢代表の辞意には、もっとほかに深謀遠慮があるのではないか」という疑念が、早くも政界を駆け巡っている。
 政界の一層の流動化と国民の政治不信の高まりは避けられないだろう。政治そのものが危機的な状況にある。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-28679-storytopic-11.html
社説
小沢代表辞任表明 「政治は生活」の看板が泣く

 福田康夫首相(自民党総裁)との二度目の党首会談から2日。民主党の小沢一郎代表が緊急記者会見し、代表辞任の意向を表明した。首相から提案された連立政権樹立に向けた政策協議を、持ち帰った党役員会で否定され、政治的混乱が生じたことへの「けじめ」だという。
 どんなに失態を演じても、責任を取ろうとしない政治家が多い時代に潔いとの見方もあろうが、こと今回の件に関しては、不可解としか言いようがない。
 党内の混乱を反省するなら、まずは説明を尽くし、混乱の収拾に努めるのが党首の役目だろう。それもせずに辞めては、混乱に拍車を掛けるだけではないのか。所信表明直後に突然辞任した安倍晋三前首相と何ら変わりがない。
 小沢氏は、自由党党首だった1998年に自民党と連立合意し、「以前から考え方が合えば、どことでも協力すると言っていた」と話したことがある。しかしその後、連立を離脱し、2003年に民主党と合併した際には「総選挙に勝たないといかん、その一点だ」と方針を転換。06年4月の民主代表選では、党内に自身の政治手法への懸念があることを念頭に「まず私自身が変わらなければならない」と言明していた。
 その一つが代表選を戦った菅直人氏を代表代行に、鳩山由紀夫氏を幹事長に据えて挙党態勢を印象付けたことだろう。かつての「剛腕」「独断」は影を潜め、今年7月の参院選では「国民の生活が第一」と訴えて躍進、参院での野党による過半数を実現させた。
  “変身”ぶりは8月上旬、シーファー駐日米大使との会談で際立った。インド洋で海上自衛隊が米艦船などに給油活動するためのテロ対策特別措置法の期限切れが近いことを踏まえ、大使が延長に同意するよう求めたのに対し、小沢氏は「米国中心の活動は国連安保理からオーソライズ(承認)されていない」と突っぱねた。会談は小沢氏の意向で報道陣に公開され、実に分かりやすかった。
 ところが先月、首相から“密室会談”を持ち掛けられたところから雲行きが怪しくなる。一度は拒否した対テロ特措法案だが、二度目の会談で「連立協議」が持ち出され、ぐらついた。国際貢献の在り方に持論のある小沢氏は、前のめりになり、窮地の自民党に助け舟を出す格好となった。
 辞任表明会見で、小沢氏は「政権の一翼を担い、政権運営の実績を示すことが民主党政権を実現する近道だ」と指摘したが、政権交代を繰り返し訴えてきたことと矛盾する。国民生活を左右する重要課題は、国会で議論を戦わせてこそである。民意に背く安易な政権すり寄りでは「政治は生活」の看板が泣くというものだ。

(11/5 9:54)

2007年11月 5日 (月)

「福田首相の安保政策での転換」について

民主党小沢一郎代表の辞任表明が政界を揺るがしている。
この真意や背景、これが今後の日本の政治に与える影響などについてのさまざまな報道が駆けめぐっている。
福田・小沢会談をめぐって、「誰がどのような意図でしかけたか」などの「深層の真相」に関する報道の真偽はいまのところ正確に確かめようもないので、それ自体の探求は、各種の論者にまかせておきたい。

ただ、小欄は3日の時点で以下のように述べた。

~この党首会談は有権者にとってはきわめて後味の悪いものを残すことになった。それは、一言で言って、今回の自・民両党首会談は「国民を蚊帳の外」においた密室会談であり、「議会制民主主義の王道」から外れたものであったからだ。その後、メディアによって報道される裏話をいろいろきかされると、なおさらの感がある。
この党首会談で、福田首相が政治的に重大な窮地に陥っていることはより鮮明になったが、小沢代表の株もまた大きく下がったのではないか。
一般に、参院選の勝利は小沢代表の「作戦」の勝利だったように語られるが、私は小沢一郎という人物の評価はこれとは異なる。小沢代表はいい巡り合わせの時期に代表になって自民党と闘えたにすぎないのだと思っている。
それはさておき、この党首会談の結果、福田首相だけでなく、小沢代表も泥にまみれたことは間違いない。否、総合得点では、お互いに減点合戦で、結果として福田首相が得をしたことになるだろう。自民党側に最悪でもこうなると計算した知恵者がいたということか。~

ここで書いておいた小沢氏に関する認識がその後の事態で裏付けられたことだけは確認しておきたい。

小沢代表の4日の記者会見で考えるべき問題は「福田首相が安保政策で重大転換を決意した」と小沢氏が説明している問題についてである。今回の「連立劇」から小沢代表の「辞任表明劇」への劇的展開のキーワードは、この問題につきると言ってよい。
この点は小沢氏も辞任表明でポイントと言っているものである。以下、引用する。

 (1)国際平和協力に関する自衛隊の海外派遣は、国連安全保障理事会もしくは国連総会の決議によって設立、あるいは認められた国連の活動に参加することに限る。従って、特定の国の軍事作戦についてはわが国は支援しない。

 (2)新テロ対策特別措置法案はできれば通してほしいが、両党が連立し、新しい協力体制を確立することを最優先するので、連立が成立するならば、あえてこだわることはしない。

 福田総理はその二点を確約されました。これまでのわが国の無原則な安保政策を根本から転換し、国際平和協力の原則を確立するものであるだけに、私個人は、それだけでも政策協議を開始するに値すると判断いたしました。

というところである。

要するに、小沢氏が福田首相に、歴代自民党の「第9条の解釈改憲に継ぐ解釈改憲」という無原則な安保防衛政策の転換を迫り、福田首相がそれを呑んだ、よって小沢氏は民主党が連立政権への政策協議に入るべきだと判断したというのである。今後、自衛隊の海外派遣は国連決議によるのみ、これを海外派兵恒久法に明記する、新テロ特措法の成立にもこだわらないと福田首相が約束した、これは重大な成果だというのである。
この小沢氏が党首会談で獲得した「成果」を民主党に持ち帰ったが、自分の任命したイエスマンのはずの民主党役員会が拒否した、これは自分への不信任の表明だ、故に「代表なんかやってらんないよ」というのである。一部の評論家は「小沢代表の辞任表明の論理は、これはこれでよく考えられており、筋がとおっている」などといっている。トンデモないことである。

第1、これは小沢氏の憲法論の最大の問題点で、本ブログでもこれまで何度も言ってきたので、くわしくは述べないが、「国連安保理決定ないし国連総会の決議があったら自衛隊の海外派兵と武力行使は許される」というのは小沢氏の独特の9条解釈論であり、これは常識的に考えれば憲法9条の精神とは合致しないものであること。国連関連への派遣であっても明白な憲法違反であることは論を待たない。最近、小沢氏がこの持論にそってISAF派遣に言及して、党内外から批判をあび、その後、民生支援中心に主張を後退させたが、ISAF派遣は小沢憲法論からは必然的にでてくる議論ではあった。

第2、小沢会見の「国連安全保障理事会もしくは国連総会の決議によって設立、あるいは認められた国連の活動」というところの、「あるいは認められた国連の活動」という箇所は、さらに曖昧であることを指摘しておきたい。
米国や日本政府は、かつての「湾岸戦争」も、今回のテロ特措法も「国連決議によって認められた」活動だといいはるのは明らかである。小沢氏が福田首相が「新テロ対策特別措置法案はできれば通してほしい」といったと述べているところにもはからずもこの問題が表れているのではないか。仮に福田首相が小沢氏のいうように約束したとしても、福田首相にとっては新テロ特措法は約束違反ではないという議論が成り立つのである。ならば、小沢氏が「テロ特措法は憲法違反であるから反対だ」といってきたことと、どういう整合性があるのか。福田首相の確約が「根本的な転換」などではないことは明らかである。
福田首相はここを、第2回会談と、第3回会談の間に党に持ち帰って、「いままでの自民党の解釈とあまり矛盾しないで乗り切れる」と確認したのではないかと思われるのである。おそらく、この点で、小沢氏は「老かいな」というか、「小ずるい」というか、福田と自民党執行部の策謀にはめられたのである。

第三、それにしても、小沢氏の「自衛隊国連派遣合憲論」に乗った福田首相の責任は重い。参院第1党の党首に約束した「憲法解釈の変更」「転換」を「言った」「言わない」の水掛け論で逃げることは許されない。
一方の小沢氏がコケてしまった今では、「これでこの問題は終わった」とばかりに知らんぷりで逃げようとするのだろうが、それでは無責任に過ぎる。
これは取引の問題ではなく、最高法規たる憲法解釈の問題である。小沢氏との会談での約束に従い、福田自民党は歴代の自民党の憲法解釈の変更、転換をしなくてはならないのだ。そして、理の当然としてそれは「インド洋派兵・給油新法は不可能だ」ということだろう。今更、新法を強行する論理はなりたたないはずだ。

手負いになったのは小沢民主党だけではない。真実をいえば福田首相も傷を負ったのだ。首相が知らぬ顔の半兵衛を決め込むことは許されない。これを追及するのは運動側の責任でもある。(高田)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2007110502061922.html
【関連】辞任表明の文書全文

2007年11月5日 朝刊

 小沢一郎民主党代表が四日、辞任表明の際に発表した「民主党代表としてけじめをつけるに当たり」の全文は次の通り。

 福田康夫総理の求めによる二度の党首会談で、総理から要請のあった連立政権の樹立をめぐり、政治的混乱が生じたことを受け、民主党内外に対するけじめとして、民主党代表の職を辞することを決意し、本日、鳩山由紀夫幹事長に辞職願を提出し、執行部をはじめとして、同僚議員の皆さんに私の進退を委ねました。

 一、十一月二日の党首会談において、福田総理は「衆参ねじれ国会」で自民、民主両党がそれぞれの重要政策を実現するために、民主党と連立政権をつくりたいと要請するとともに、政策協議の最大の問題とみられるわが国の安全保障政策について、極めて重大な政策転換を決断されました。

 そのポイントは

 (1)国際平和協力に関する自衛隊の海外派遣は、国連安全保障理事会もしくは国連総会の決議によって設立、あるいは認められた国連の活動に参加することに限る。従って、特定の国の軍事作戦についてはわが国は支援しない。

 (2)新テロ対策特別措置法案はできれば通してほしいが、両党が連立し、新しい協力体制を確立することを最優先するので、連立が成立するならば、あえてこだわることはしない。

 福田総理はその二点を確約されました。これまでのわが国の無原則な安保政策を根本から転換し、国際平和協力の原則を確立するものであるだけに、私個人は、それだけでも政策協議を開始するに値すると判断いたしました。

 二、民主党は、先の参議院選挙で与えていただいた参議院第一党の力を活用して、「マニフェスト」で約束した年金改革、子育て支援、農業再生をはじめ、「国民の生活が第一」の政策を次々に法案化して参議院に提出していますが、衆議院では依然、自民党が圧倒的多数を占めている現状では、これらの法案をいま成立させることはできません。逆に、ここで政策協議を行えば、その中で国民との約束を実行することが可能になります。

 三、もちろん、民主党にとって次の衆議院総選挙に勝利し、政権交代を実現して、「国民の生活が第一」の政治を実行することが最終目標であり、私もそのために民主党代表として全力を挙げてまいりました。しかし、民主党はいまだ、さまざまな面で力量が不足しており、国民の皆さまからも「自民党は駄目だが、民主党も本当に政権担当能力があるのか」という疑問が提起され続け、次期総選挙での勝利は厳しい情勢にあります。その国民の懸念を払しょくするためにも政策協議を行い、そこでわれわれの生活第一の政策が取り入れられるならば、あえて民主党が政権の一翼を担い、参議院選挙を通じて国民に約束した政策を実行し、同時に政権運営の実績を示すことが、国民の理解を得て、民主党政権を実現する近道であると、私は判断いたしました。政権への参加は、私の悲願である政権交代可能な二大政党制の定着と矛盾するどころか、民主党政権実現を早めることでその定着を確実にすることができると考えています。

 四、以上の考えに基づき、二日夜の民主党役員会において、福田総理の方針を説明し、「政策協議を始めるべきではないか」と提案いたしましたが、残念ながら認められませんでした。それは、私が民主党代表として選任した役員から不信任を受けたに等しいと考えます。

 よって、多くの民主党議員、党員を指導する民主党代表として、また党首会談で誠実に対応してくださった福田総理に対し、けじめをつける必要があると判断いたしました。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2007110502061923.html
【関連】『憲法解釈首相が大転換』 小沢代表の質疑詳報

2007年11月5日 朝刊

 小沢一郎民主党代表が辞任表明などに関する文書を読み上げた後の質疑は次の通り。

 記者 今後、議員を続けるか、離党するか。

 小沢氏 離党するとは今言っていない。今後の政治活動については、これからゆっくり考えたい。

 記者 大連立についての具体的なイメージは。

 小沢氏 連立というのは、皆さんご承知の連立。衆参両院で過半数あれば連立する必要はない。自民党も参院で過半数割れしたから、われわれに申し入れた。

 記者 辞任を決意したのはいつか。

 小沢氏 辞職願を出そうと考えたのは昨日(三日)だ。一議員となっても次の衆院選に全力投球する決意は変わらない。

 記者 自民党との連立に国民の理解は得られるか。

 小沢氏 国民に約束した政策が、協議によって現実のものになるならば大変いいことだ。

 記者 民主党のどこが力量不足か。辞任表明は有権者への裏切りではないか。

 小沢氏 力量不足というのは、政権担当能力が本当にあるかどうか。あらゆる面で、いま一歩という感じだ。(辞任表明は)国民に申し訳なく思う。

 記者 二日の役員会で反対が出ることを予想していなかったのか。

 小沢氏 特別な思惑を持って諮ったわけではない。国連の活動以外は、自衛隊を海外に派遣しないということは、今までの政府方針の大転換であると同時に、憲法解釈の大転換だ。私が年来主張してきたことだ。私個人としては、この大転換を福田康夫首相が認めた一事をもってしても、政策協議に入ることはいいと思った。

 記者 辞任しても民主党は連立を組むべきか。

 小沢氏 辞職願を出した自分が、あとのことについてどうこう言うことはない。執行部はじめ、皆で判断することだ。

2007年11月 3日 (土)

福田首相の大連立攻勢の失敗と小沢代表の短慮

2日の自民・民主両党首会談は結果としてはもの別れになった。衆参ねじれ状況で、この臨時国会では法案がまだ1本も成立せず、最重要法案のインド洋派兵給油新法案のゆくえも見通しが付かないという状況で、国会運営が全く行き詰まってしまった福田首相が仕掛けた「大連立」の大ばくちは破産した。福田首相は切り札を序盤に使って失敗するというへたくそきわまりないトランプゲームをやってしまったのだ。この国の政府危機は続いている。
しかし、とはいえ、この党首会談は有権者にとってはきわめて後味の悪いものを残すことになった。それは、一言で言って、今回の自・民両党首会談は「国民を蚊帳の外」においた密室会談であり、「議会制民主主義の王道」から外れたものであったからだ。その後、メディアによって報道される裏話をいろいろきかされると、なおさらの感がある。窮

この党首会談で、福田首相が政治的に重大な窮地
に陥っていることはより鮮明になったが、小沢代表の株もまた大きく下がったのではないか。
一般に、参院選の勝利は小沢代表の「作戦」の勝利だったように語られるが、私は小沢一郎という人物の評価はこれとは異なる。小沢代表はいい巡り合わせの時期に代表になって自民党と闘えたにすぎないのだと思っている。
それはさておき、この党首会談の結果、福田首相だけでなく、小沢代表も泥にまみれたことは間違いない。否、総合得点では、お互いに減点合戦で、結果として福田首相が得をしたことになるだろう。自民党側に最悪でもこうなると計算した知恵者がいたということか。
小沢代表はもう一度、参院選の民意に思いを馳せ、政治の王道に回帰し、まずは衆議院解散を要求しながら、野党共闘をもって福田自公連立政権を倒すという路線に戻らなくてはならない。派兵恒久法のとりひきなどもってのほかである。
私たちはあらためて大衆行動をもって院外からこの闘いを強化する。本日午後の日比谷野音での「武力で平和はつくれない」をスローガンに掲げた集会とデモは、その第一歩である。
本日の、東京新聞、北海道新聞、朝日新聞、読売新聞の各社説を掲載する。それぞれ特徴があるので、ご一読を願う。(高田)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2007110302061453.html
東京新聞【社説】
党首再会談 あきれる唐突な連立話

2007年11月3日

 福田首相が小沢民主党代表との再会談で連立協議を打診した。衆参の意思がねじれる状況の打開へ究極のカードを切った格好だが、国民は蚊帳の外だ。こんな「密室談合」はもうやめた方がいい。

 再会談では、インド洋での給油活動の再開へ、福田康夫首相が新たなテロ対策特別措置法案の成立へ協力を要請した。民主党代表の小沢一郎氏は自衛隊派遣が憲法違反であるとの持論を展開して拒否した、とされる。そして、首相が「考えをまとめたい」として、休憩を挟んだ末に出した答えが、民主との大連立の申し入れだった。

 これに先立つ二日午前、参院本会議で民主党提出の年金保険料流用禁止法案が、野党の賛成多数で可決、衆院に送付されている。参院で第一党の民主党はこれを「政権交代への歴史的な第一歩」と胸を張った。

 だが、衆院では圧倒多数を占める与党が反対の方針で成立は難しい。この逆もしかり。衆院で与党が法案を通過させても、参院で否決されてしまう状況は同じだ。

 自民と民主両党が互いに突っ張り続ければ、衆院で再可決という手があるとはいえ、法案処理の成果を挙げるのは難しい。それでは国政は停滞しかねない。そんな現実を前にして首相が重大決意を固めたのは、わからないではない。

 首相は小沢氏との二人だけの会談終了後に「政策を実現するための新体制をつくる必要がある」と語っている。直面する新特措法問題の扱いがその糸口になると考えてのことだったに違いない。

 しかし「政局安定のため」とはいっても、先の参院選で激しく争った民主をいきなりパートナーに迎えるのは、あまりに唐突ではないか。

 連立与党の公明党は首相の意向を尊重するとしているが、本当にそれでいいのか。首相の“変身”にもっと怒ってしかるべきだったろう。

 首相と小沢氏二人のやりとりは事実上の密室で進められた。自民、民主両党の幹部も二人に対応を白紙委任するしかなく、会談の詳細さえ実はわからないままできた。

 その結果、疑心暗鬼は政界ばかりでなく、国民の間にも広がった。首相の提案を協議する、と持ち帰った小沢氏に民主党内で「それでは翼賛政治だ」と異論が噴出し、申し入れを拒否することになったのはごく当然のことだろう。

 ねじれ国会に期待されるのは緊張感ある与野党の論戦だ。怪しげな大連立話で、それがおざなりになるとしたら国民には由々しき事態というしかない。密室談合は打ち切って公開の場での健全な勝負を促したい。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/58538.html
北海道新聞 社説
連立政権打診 民主党の拒否は当然だ(11月3日)

 福田康夫首相が民主党の小沢一郎代表と二度目の会談を行い、連立政権協議を打診した。

 民主党が「国民の理解を得られない」とこれを拒否したのは当然だ。

 小沢氏は一度は党内に持ち帰って検討することを約束した。だが、七月の参院選で野党に勝たせた民意を踏まえれば、初めから賛同を得られるはずはなかった。

 首相と小沢氏の会談は二日間にわたり合計三時間近くに及んだ。十日に国会の会期末が迫るなかで、首相には新テロ対策特別措置法案の成立に協力を呼びかける狙いがあった。

 首相の立場は分からないではない。

 「ねじれ国会」が始まって一カ月余り。まだ法案は一本も成立していない。このままでは野党が多数を占める参院の壁を乗り越えられず、内政でも外交でも国家の意思決定ができない。

 何とか膠着(こうちゃく)状態を抜け出す糸口を見いだしたいと考えたのだろう。

 だが、特定法案について協調を模索するにとどまらず、参院選を戦ったばかりの野党を相手にいきなり連立を持ちかけるのは安直すぎる。

 なりふり構わぬ野合と批判されても仕方がないだろう。

 小沢氏の対応もいたずらに不信を招くものだった。

 これまで自民、公明両党の連立政権を徹底的に批判してきた。

 今国会では民主党の政権担当能力を訴え、次の衆院選で政権を奪取する。こう主張してきたのも小沢氏だ。

 それが国会の党首討論を先送りしてまで密室の協議を重ねる姿勢と相いれないことは明らかだ。

 与野党の激しい対立で重要な政策の実現が滞れば、国民生活に影響を与えることもあるだろう。

 だが、政治の停滞を打開するためだからといって安易な妥協を図るなら、政党の談合政治に陥る恐れがある。

 国会という表の場で与党と野党の政策のどちらが優れているか競い合う。その結果、国民にも利益となる形で互いに譲り合う。

 そういう新しい国会像を国民は期待していたのでなかったか。

 衆院で三分の二を占める巨大与党と参院で第一党の座にある野党が裏の調整にばかり熱を入れれば、政策競争は鳴りを潜めることになる。それは民意を裏切ることにほかならない。

 小沢氏は海上自衛隊の給油活動は憲法違反だと明確に反対してきた。

 会談では、政府・与党が自衛隊海外派遣の恒久法制定を検討することを条件に民主党が対テロ新法案の成立に協力する案も議論されたという。

 小沢氏はこの問題でどういう考えを示したのか。

 この点についても国民に対してきちんと説明してもらいたい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html
朝日新聞社説 「連立」打診―まず総選挙が筋だ

 びっくりするような提案が、福田首相の口から飛び出した。

 きのうの小沢民主党代表との党首会談で、「政策を実現するための新体制をつくることもいいのではないか」と、連立協議を持ちかけたのだ。ライバル関係にある2大政党が連立を組む、いわゆる「大連立」の呼びかけである。

 大連立は、ドイツのメルケル政権など例がないわけではない。だが、今回の打診は多くの日本国民にとっては、キツネにつままれたような話だろう。

 両党は夏の参院選で激突し、自公連立政権が過半数割れし、民主党が初めて参院第1党に躍り出たばかりだ。遠からず行われる衆院の解散・総選挙でいよいよ政権交代が問われる。ほとんどの国民はそう思っていたはずである。

 首相にとってのメリットは明らかだ。

 テロ特措法の期限が切れ、海上自衛隊はインド洋から撤収することになった。給油再開のための新法は、民主党の反対で成立のめどがまったく立っていない。給油問題に限らず、今のままでは重要な政策が何ひとつ前に進まない。

 「政治が止まっていいのかどうか。状況を打開しなければいけない」。そう語る首相の思いは理解できないでもない。同時に、政権を握りつつ、政治を前に進められるのなら、自民党側に失うものはあまりないという計算もあろう。

 給油新法とともに、自衛隊を海外に出す際の恒久法でも合意できるなら一挙両得でもある。

 私たちは、頭から大連立を否定するつもりはない。たとえば2大政党が国政の基本的な課題で衝突し、にっちもさっちもいかないとき、打開策としてあり得るかもしれない。

 だが、いまの時点での大連立はあまりにも唐突に過ぎる。とりわけ民主党にとっては、危険な誘いというほかない。

 日本の政治には政権交代が必要だ。国民にもうひとつの選択肢を示し、総選挙で政権を奪取する――。民主党は国民にそう訴えてきた。

 それなのに、肝心の勝負をしないまま、大連立で政権入りという甘い誘惑に負けたとなれば、有権者への背信だ。民主党がこの呼びかけを拒否したのは当然で、むしろ小沢氏がただちに断らなかったのが不可解である。

 ただ、政治を停滞させないための工夫が必要だというのはその通りだ。

 今週、政治資金規正法の改正をめざす与野党6党の協議が始まった。薬害肝炎患者の治療費をどう公的に支えるかなどでも、与野党で接点を探る動きが本格化している。

 与野党が折り合える政策は進める。その一方で、どうしても基本的な考えがぶつかる政策は何か、つまり対立軸は何なのかを国会論戦を通じて国民に示す。

 いま必要なのは、そうしたメリハリのある与野党関係ではないのか。談合のような「大連立」話はききたくない。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20071102ig90.htm
党首会談 政策実現へ「大連立」に踏み出せ(11月3日付・読売社説)

 衆参ねじれの下で、行き詰まった政治状況の打開へ、積極的に推進すべきである。

 自民党総裁である福田首相が民主党の小沢代表との党首会談で、連立政権協議を提起した。いわゆる大連立である。実現すれば、日本政治に画期的な局面を開く。

 だが、小沢代表は、民主党役員会での拒否の決定を福田首相に電話で伝えた。役員会の大勢が、「先の参院選の民意に反し、国民の理解を得られない」としたからだという。

 これは疑問だ。

 会期末を目前にしながら、法案は一本も成立していない。国益や国民生活の安定のための重要政策の推進という、政治の責任がまったく果たされていない現状こそが、国民の利益に反することをしっかりと認識すべきである。

 衆院解散・総選挙で、与党が勝利し、政権を維持しても、参院で野党が過半数を占める状況は変わらない。しかも、長ければ10年近く続くと見られる。

 国際社会も日本の経済・社会も大きな転換期にあって、国内の不安定な政治情勢のために、それに対応した政策の推進ができないとなれば、日本の将来は極めて危うい。

 こうした事態を避けるためには、重要な政策を推進するための安定したシステムを構築しなければならない。そうした判断に立って、福田首相が「大連立」を提起したのは、極めて適切な対応だ。

 小沢代表も、政治の現状への強い危機感があるからこそ、党首会談に応じたはずだ。連立協議の拒否で通るのか、ぜひ、再考してもらいたい。

 民主党内には、参院選の余勢を駆って、政府・与党を追い込み、衆院解散で政権交代を目指すという主張が根強い。だが、いたずらに“対立”に走った結果、今日の政治の不毛を生んでいるということを直視すべきだ。

 大連立を選択肢から排除することは、責任政党の取る姿勢ではない。

 各小選挙区で自民党と民主党が競合していることを理由に、大連立を困難視する声もある。だが、これはおかしい。大連立にあっては、大政党同士が、国益や国民生活の問題の解決にどう具体的に貢献し、成果を上げるかを競うことが大事だ。その結果を総選挙で問えばよい。

 大連立への試金石となるのは、インド洋で海上阻止行動に当たる多国籍軍艦船に対する海上自衛隊艦船による給油活動の早期再開だ。

 その一環として、自衛隊の国際平和活動のための恒久法の制定問題も、重要なかぎとなる。
(2007年11月3日1時51分  読売新聞)

2007年11月 2日 (金)

テロ特措法の期限切れの評価の仕方について

自衛隊のインド洋での給油活動の期限切れに関してのWORLD PEACE NOWの声明は市民連絡会のサイトのトップ頁から見ることができるので読んで頂けたかと思う。
ここに紹介するのは北海道新聞の31日の社説である。WPNの声明との共通性に注目して欲しい。ジャーナリズムの精神が地方紙では発揮されているところもある。これはひとつの見本ではないか。
いくつかの新聞はこのテロ特措法の期限切れを「給油活動の中断」と書いた。朝日新聞や東京新聞もそうである。単なる言葉の問題ではない。ここに書いた者の「権力との距離」「緊張関係の程度」が表現されてしまっているのだ。石破防衛相ですら「終結」と表現したのに、「中断」とはどういうことだ。私は朝日新聞に電話してこの問題を指摘した。福田政権にとっては中断としたいということに過ぎない。法的にも終結したのは間違いない。政府は新法でやろうとしているが、これは先行き不明である。どう見ても「中断」ではないのだ。(高田)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/57996.html?_nva=27
社説
海自、インド洋撤収へ 武力でテロはなくせない(10月31日)

 対テロ戦争は本当に有効なのか。武力によってテロをなくすことはできるのか。
 そんな根源的な問いがいま、目の前に突きつけられている。
 灼熱(しゃくねつ)のインド洋で、海上自衛隊の補給艦が最後の給油活動を終え、あす十一月一日限りで撤収する。テロ対策特別措置法が期限切れとなるためだ。
 「国際貢献」の名のもとに続けてきた給油は、そもそも日本の正しい選択だったのだろうか。この機会にあらためて考えてみる必要がある。
 テロリスト掃討を掲げながらアフガニスタンの人々の命と暮らしを踏みにじってきた現実にも、目を向けなければならない。そこから日本の果たすべき役割が見えてくるはずだ。
*空爆の惨禍が憎悪を生む
 海自の給油は「9・11テロ」のあと、米国主導で始められた対テロ戦争の後方支援だった。この六年間で、計十一カ国の艦船に約四十九万キロリットルを無償提供してきた。
 政府は国際社会から高い評価を受け、感謝されていると強調する。しかし、その八割は米国向けのものだった。事実上の米国支援といっていい。言葉を換えれば「日米同盟のあかし」ということだ。
 日本から補給を受けた艦船は、アフガンの空爆作戦に参加してきた。爆撃の巻き添えになったり誤爆にあったりして幾多の命が奪われ、国土と生活が破壊されてきたことも隠しようのない事実だ。
 確かにアフガン攻撃は、テロリストの拠点をたたいた。だが、理不尽に家族や友人を奪われた人々の憎悪は新たなテロを生み出す。
 旧政権タリバンが人々の根強い支持を得て復活したことを見れば、対テロ戦争の限界は明らかだろう。
 自衛隊という実力部隊の参加こそ国際社会への貢献策だと考える政府は六年前、反対世論を押し切ってインド洋への海自派遣を決めた。しかし、実態は戦争の後押しだった。
 しかも給油をめぐっては、イラク戦争への転用疑惑や給油量ミスの隠ぺい疑惑が浮上している。文民統制が機能しない自衛隊活動が許されぬことはいうまでもない。
 政府は最近、シーレーン(海上交通路)防衛という考えも強調し始めた。中東に石油を依存する日本にとって、海上阻止活動に貢献することは国益にかなうとの主張だ。
 だが、広大なインド洋でその実効性はどれほど期待できるのか。国益をいいだせば世界中どこにでも自衛隊を派遣できるということにもなる。
*求められるのは民生支援
 アフガンの人々を苦しめているのは戦争だけではない。すさまじい干ばつと食糧不足も、たくさんの命を危険にさらしている。
 そうした人々を救うために現地で汗を流す日本人は少なくない。
 武器の代わりにスコップを握り、井戸を掘る。貧しい患者のために病院をつくり、治療に当たる。たとえば非政府組織(NGO)のペシャワール会は、かんがい事業ですでに千数百ヘクタールの土地を潤した実績がある。
 住民たちの声をくみ取り、信頼関係を築きながら地道に民生支援を続ける。現地で評価され、感謝されているのは、実はそんな活動だ。
 力ずくでテロリストをやっつけるという米国などの論理と、何より平和な生活を求めるアフガンの人々の願い。双方の間には埋めがたい溝がある。
 「国際社会」という言葉に、当のアフガンは含まれているのか。そこで一人一人の人間が生きている現実にどれほど想像力が及んでいるのか。
 そう問われたら、日本はどう答えることができるだろう。
 カルザイ大統領は先日、米テレビのインタビューに答え、多くの市民を巻き添えにしている空爆の停止をはっきりと求めた。それこそがアフガンの切実な声にほかならない。
*日本への信頼あってこそ
 国会では給油継続をめぐる論戦が本格化している。日本の国際貢献や自衛隊の海外活動のあり方について議論を深めるのは結構なことだ。
 ただし、その前提に憲法九条があることは忘れないでほしい。日本にはやってはいけないことがあるのだ。
 民主党の小沢一郎代表が提唱する国際治安支援部隊(ISAF)への参加も、九条を踏み越える発想だ。
 日本のNGOがアフガンで武器も持たずに活動できるのは、日本は戦争をしない国だという信頼があるからだ。
 日本がアフガン軍閥の武装解除にいったんは成功したのも、日本なら安心して武器を放棄できると協力してくれたためだ。
 では、日本がこれからできること、なすべきことは何か。
 二○○二年に東京で開かれたアフガン復興支援会議は、五年間で四十五億ドルの資金拠出を決めた。こうした国際的経済支援の枠組みづくりなどは日本のもっとも得意な分野ではないか。
 あるいはカルザイ政権と穏健なタリバン勢力との和解をバックアップし、内政の安定を図ることも必要だ。
 給油はできなくなるが、今後は民生分野で積極的に貢献したい。そういう日本の立場を丁寧に説明すれば、必ず国際社会の理解は得られるだろう。

2007年11月 1日 (木)

海外派兵恒久法

本欄でも幾度か指摘してきたことだが海外派兵「恒久法」の問題は重大な問題だ。与党と民主党の見解には違いがあるが、与党は事態を一歩でもすすめる上で、どんな手段にでてくるか、警戒を緩めることはできない。
こんな時期の自民・民主党首会談など「百害あって一利なし」だ。先ごろ、小沢党首はシーファー駐日米国大使の会談要求に対して、全面公開で応じたことがある。「なかなかやるな」と思ったものだが、今度の非公開の党首会談はなんとも無様で、議会制民主主義に反するものだ。それも明日、またやるという。ここで、この海外派兵恒久法も話題になるという報道がある。
小沢政権獲得戦略も雲行きが怪しくなってきた。憲法審査会の再開に向けた自民党憲法審査会の動きもあわただしくなってきたようだ。
われわれは気持ちを引き締め、どのような事態にも対応できる態勢をもって運動を進めて行かなくてはならない。(高田)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20071101it07.htm
自衛隊の海外派遣、恒久法を検討…官房長官が表明

 町村官房長官は1日午前の衆院テロ防止特別委員会で、自衛隊の海外派遣のあり方を総合的に定める一般法(恒久法)の制定について、新テロ対策特別措置法案をめぐる対応が決着後、早急に検討に着手する方針を表明した。

 町村氏は、この問題で与野党協議の場の設定が必要だとの考えを示した。2日に行われる福田首相と小沢民主党代表との2回目の党首会談でも、この問題が議題となる見通しだ。

 一方、現行のテロ対策特別措置法が1日いっぱいで期限切れとなるのを受け、石破防衛相は同日午後3時、インド洋で活動する海上自衛隊に撤収命令を出す。2001年の米同時テロ後、「テロとの戦い」の一環として6年近く続いてきた補給活動は、これをもってひとまず終了する。

 政府は、自衛隊の海外派遣に関する一般法の検討について、これまでも内部で準備作業を続けてきたが、町村氏の発言は、福田政権として与野党で検討に取り組む方針を示したものだ。

 町村氏は「自民党はすでに案を作り、国民に示している。まず、与党の皆さん方、そして野党も含めて、政策協議とか(国会の)委員会といった場がいいのか関係者で議論していただき、新テロ特措法案(の審議)が決着した段階で、できるだけ早く努力していかなければいけない」と述べた。

 石破防衛相も、「国会において、そういう場ができることを政府としても期待している」と強調した。

 一般法の制定を巡っては、福田首相も30日の同委で「今後の大事な課題だ。そういう(議論の)場をなるべく早く作らないといけない」と前向きな考えを示している。

 自衛隊の海外派遣に関し、インド洋での海自活動のような時限立法の特措法の制定で対応することについては「泥縄式で迅速・的確な対応ができない」との指摘が出ている。

 自民党は06年8月、党国防部会の防衛政策検討小委員会が自衛隊の海外派遣に関する恒久法となる「国際平和協力法案」をまとめ、参院選の公約にも「国際平和協力に関する一般法の制定を目指す」と明記した。

 一方、民主党内でも一般法制定が必要だとの意見は多い。同党の前原誠司・前代表らは今年8月、自衛隊の海外派遣などに関する一般法の議論を始めるよう提案した。小沢氏も基本的には前向きで、かつて率いた自由党が01年、国連決議などに基づき、自衛隊の海外活動への参加を認める「国防・自衛隊国際協力基本法案」を衆院に提出している。

 自民、民主両党の関係が激突型から調整型に移る中、自衛隊の海外派遣に関する一般法をめぐる議論が、与野党協議の“触媒”となる可能性が出てきた。
(2007年11月1日14時37分  読売新聞)

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