読売の、憲法審査会早期始動要求
このブログの前回で今井一氏の動きを紹介したが、22日の読売新聞社説もいらだって類似の主張をしているので紹介する。
読売も「憲法問題は、やはり、憲法審査会で、冷静かつ建設的な議論をするのが望ましい」と主張するが、その審査会で安倍内閣の早期成立の要求、介入を受け入れて与党が改憲手続き法を強行採決したことは忘れたかのように問題にしないのだ。読売は「冷静かつ建設的」に運営しなかった与党の責任を追及しなくてはならないのではないか。
読売の社説氏が、すこしでもまじめに考えるなら、「いつまで宙に浮かせておくのか」などという前に、こんなデタラメな経過で作った改憲手続き法をもう一回、「ご破算で願いましては……」とするところからはじめなくてはならないと考えてはどうだろう。(高田)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20071021ig90.htm
憲法審査会 いつまで宙に浮かせておくのか(10月22日付・読売社説)
国や社会の将来像にかかわる憲法論議は、政治が取り組むべき最重要課題だ。いつまでも衆参両院の憲法審査会を宙に浮かせておくわけにはいかない。
憲法審査会は、5月に成立した国民投票法に基づき、8月上旬に設置されたが、委員も、会長もいない状態が続き、始動できないでいる。民主党など野党が、構成や運用などを定める審査会規程を作る協議を拒んでいるからだ。
民主党は、国民投票法が与党の“強行採決”で成立したとし、「協議の環境にない」と言う。野党共闘維持のため、護憲を掲げる社民党などへの配慮もあるのだろう。
だが、民主党は旧来型野党の「護憲原理主義」からの脱却を目指していたはずだ。国会で成立した法律を無視するかのように、憲法審査会の活動開始を阻むのは、参院第1党として政権を目指す責任政党の取る姿勢ではない。
当面、インド洋での海上自衛隊の給油活動継続問題だけでなく、今後の国際平和活動を円滑に進めるためにも、憲法審査会で、憲法上の問題をきちんと整理することが大事だ。
民主党の小沢代表は、国連決議の裏付けがあれば、武力行使を伴う活動に参加しても、憲法には抵触しないと、主張している。アフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)にも、スーダンのダルフールでの国連平和維持活動(PKO)にも参加すべきだ、と言う。
その一方で、海自の給油活動には、明確な国連決議による承認がなく、集団的自衛権の行使に当たり、憲法違反だ、として、反対している。
今後、政府の新テロ対策特別措置法案の審議に入れば、当然、憲法問題が重要な争点となる。だが、最大の与野党対決法案だけに、政治的思惑が働き、憲法論議がゆがめられる恐れがある。
安全保障や国際平和活動という基本政策の根幹にかかわる憲法問題は、やはり、憲法審査会で、冷静かつ建設的な議論をするのが望ましい。
民主党が検討している新テロ法案の対案は、民生分野が柱になるという。小沢代表が主張する自衛隊の派遣を避けるのは、党内に反対論もあり、党として憲法問題が整理されていないからだろう。
憲法審査会での論議は、民主党としても、国際平和活動の憲法問題を整理するのに役立つのではないか。小沢代表の考え方は、従来の政府の憲法解釈と相いれない点があるが、政府の憲法解釈の問題点も大いに議論すればよい。
政府・与党と民主党の間で、問題の整理がつけば、大きな前進となる。
(2007年10月22日1時38分 読売新聞)
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