テロ特措法廃止へ全力を
テロ特措法をめぐる政府・与党の状況、民主党の状況は、容易に予断を許しがたいものがあるが、本日の「産経新聞」の記事は参考になるのではないか。
記事が書いている民主党の3つの選択肢のいずれが現実になるのか、この選択を左右する重要な要素に国会外の運動というモメントがあることを、市民運動は自らに言い聞かせ、可能な限りの運動展開をはからねばならない。この闘いは、正念場を迎えつつある改憲阻止の闘いの前哨戦だ。ともすると、市民運動には議論倒れという悪い癖がある。しかし、そんな暇はない。私たちには、いまなさねばならないことがある。(高田)
http://www.sankei.co.jp/seiji/seikyoku/070818/skk070818000.htm
どうなるテロ特措法延長 政府 危機感募るばかり
民主党の小沢一郎代表は、米国のシーファー駐日大使に直接、テロ対策特措法の延長反対を表明した
=8日、民主党本部
政府・与党は、秋の臨時国会で最大の焦点となるテロ対策特別措置法の延長問題に神経をとがらせ
ている。参院第一党となった民主党の小沢一郎代表が、延長に反対する姿勢を鮮明にしており、イン
ド洋での海上自衛隊の補給活動を延長する同法改正案が廃案になれば、政府は対アフガニスタン支援
の練り直しを迫られ、日米関係に重大な影響を及ぼしかねないためだ。ただ、危機感とは裏腹に有効
な対策は見いだせず、具体的な動きも鈍い。
「9・11(米中枢同時テロ)以降はテロはどこでも起こりえる。日本でも起きる可能性はある。
だからこそ、日本がインド洋のオペレーションに残ることが重要だ」
シーファー駐日米大使は今月10日、麻生太郎外相にこう述べ、テロ特措法に基づく海自の給油活
動を継続するよう強く迫った。小沢氏が8日のシーファー大使との会談で延長反対を明言したことを
受けてのことだった。
改正案が、野党が過半数を握る参院で否決されても、与党が3分の2を占める衆院で再可決し、成
立させることができる。ただ、参院で審議を引き延ばされた場合、時間切れで廃案に持ち込まれる懸
念がある。
政府・与党は、以前に民主党が求めていた自衛隊派遣の国会事前承認を盛り込む修正もちらつかせ
、民主党の軟化を誘ったが、修正の機運は生まれず「海自が撤収することも起こり得る」(中川秀直
自民党幹事長)との見方も広がる。
すでに廃案を前提に(1)来年の通常国会で再提出して成立させる(2)別の対米支援策を検討す
る-などの妥協案が取りざたされる。しかし、いずれも「日本の信用低下は避けられない」(外務省
筋)のは明らかだ。
安倍晋三首相は1月の北大西洋条約機構(NATO)の演説で、「国際的な平和と安定のためであ
れば自衛隊が海外での活動を行うことをためらわない」と表明。アフガニスタンへの支援強化に踏み
出している。それだけに日米同盟のシンボルとされる海自の給油活動を中断させることは避けたいと
ころだ。
訪米した小池百合子防衛相は8日、国防総省でゲーツ国防長官と会談し、「テロとの戦いで日本と
しての役割を果たしたい」と海自派遣を継続させる考えを強調したが、小沢氏の対応について「小沢
氏の考えは湾岸戦争当時と同じでカレンダーが止まっている」と批判するなど、自ら対決姿勢を示し
ている。
訪米の前後に起きた防衛事務次官人事をめぐる「お家騒動」ばかりが目立ち、与党内には「テロ特
措法改正に向けて全省一丸で取り組めるのか」(若手議員)と厳しい見方もある。
また、麻生氏は27日に予定される内閣改造・党役員人事で自民党幹事長に就任することが確実に
なっているが、中東諸国や南米に長期出張中。
「イラクに戦力を重点投入せざるをえない米国にとって、対アフガニスタン支援はイラク以上に対
日要求が強い」(外務省筋)というものの、省内の関心は次期外相にも向いているようだ。
http://www.sankei.co.jp/seiji/seikyoku/070818/skk070818001.htm
どうなるテロ特措法延長 民主保守派、賛成広がらず
テロ対策特措法の延長問題で、民主党内では小沢一郎代表がシーファー米駐日大使との会談で反対を直接表明していることから、「小沢代表の決意は固い」(幹部)との見方が広がっている。10日には外務・防衛部門会議が開かれ、党内論議が始まったが、党執行部は小沢氏の意向を踏まえ、意見集約を進めるとみられる。
党内では、党代表時代に、テロ特措法延長で党内をまとめようとして失敗した経験を持つ前原誠司前代表が「(アフガニスタンでのテロとの戦いから)日本が抜けるのは国益に反する」(12日の民放テレビ番組)と発言し、懸念を示している。
ただ、参院選で大勝した小沢氏の求心力は高まっており、「政権交代に向けた絶好のチャンス」(参院議員)との党内の空気が強い。
このため、国際協力としての自衛隊の海外派遣に積極的な保守系議員の中にも「前原さんは自重した方がいい」との声が出ており、延長賛成の動きは広がっていない。
実際、前原氏は10日の部門会議には姿を見せなかった。同会議では政府側のインド洋での海自艦船の活動などについて説明が足りないとの批判が相次ぎ、「参院第一党をなめているのか」(渡辺秀央元郵政相)との声も飛び出した。
民主党には(1)参院審議を引き延ばし、テロ特措法を期限切れに追い込む(2)反対はするが、参院の採決を早めに実施し、与党側に衆院での再議決の時間的余裕を与える(3)テロ特措法の修正に応じて延長賛成に転ずる-などの選択肢がある。
民主党は今のところ、テロ特措法の期限切れを目指しているようだ。ただ、世論の動向を見ながら、戦術を変える余地も残っている。同党幹部は「安倍晋三首相のお手並み拝見だ」と、政府側を徹底的に揺さぶる構えだ。
(2007/08/18 03:33)
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