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許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2007年7月

2007年7月25日 (水)

羊頭狗肉とはこのことだ

本日(25日)の朝日新聞の社説は「憲法問題 白紙委任しないために」という主張だ。昨日の毎日新聞の社説も「憲法改正問題 自民も民主も逃げている」というものだった。読売や産経にも同様の論調が見られる。19日には読売の編集委員の尾崎和典が「憲法改正 論議つくせ」と主張しているし、産経などでは首相の支持派である村田晃嗣・同志社大教授らも安倍に「失望」している。
筆者も何度か指摘してきたが、安倍首相と与党は明らかにこの選挙で憲法問題を回避している。155の重点政策の筆頭に改憲をかかげながらこのザマだ。安倍首相は50年ぶりに正面から改憲を問う選挙をやるのかと思ったら、逃げ出した。まさに羊頭狗肉そのものだ。
しかし、安倍首相は選挙が終わったら両院に設置される憲法審査会で、改憲手続き法の施行期間の3年凍結を無視して、事実上の改憲原案(骨子だから違法ではないなどとごまかして)作りに入ろうとしているし、首相の私的諮問機関の有識者懇談会は集団的自衛権合憲論をうちだそうと手ぐすねを引いている。国家安全保障基本法などが準備されている。
このような卑劣で、醜悪な政治手法が安倍の「美しい国」なのだ。
このような欺瞞に満ちた安倍首相の改憲策動を断じて許すことは出来ない。私たちは秋からの本格的なたたかいに備えなければならない。(高田)

http://www.asahi.com/paper/editorial.html
「憲法問題」―白紙委任しないために

 今年初め、憲法改正を参院選の争点に掲げたのは安倍首相だった。ところが、選挙戦に入ってからの首相の街頭演説を聞くと「国民投票法が成立した。新しい憲法を書こうじゃありませんか」などと、極めておざなりだ。

 自民党のマニフェストは、3年後に改憲案を国会で発議することを目指すとし、そのための国民運動を展開するとあるだけだ。憲法9条を改正し、自衛軍を持つのが自民党の改憲草案の根幹だが、そんな中身は一切触れられていない。

 首相の意気込みはいったいどこへ消えたのだろうか。憲法改正は、首相が掲げてきた「戦後レジームからの脱却」の中核の主張だったはずだ。

 代わりに、社会保険庁の改組や国家公務員の天下り規制が「戦後レジームからの脱却」と位置づけられているのは驚くばかりだ。年金問題などで応戦に追われる事情はあるにせよ、当惑する有権者は多いだろう。

 民主党はこの選挙で憲法にはあまり触れない戦術だが、共産、社民などは護憲を前面に立てて、支持を訴えている。奇妙なことに、仕掛けた側の自民党が論争を避け、後ずさりしている印象なのだ。

 だが、論争が低調だからと言って、今度の選挙の結果が憲法問題の行方に大きく影響することは変わりない。

 参院議員の任期は6年だ。自民党の言う通り3年後の改憲発議があるとすれば、今度選ばれる議員はその賛否にかかわることになる。自民党の候補者は、改憲の中身や態度を語る責任がある。白紙委任するわけにはいかない。

 もう一つ、憲法9条の根幹にかかわる集団的自衛権の解釈の問題が、首相の私的な有識者懇談会で議論されているのを忘れてはならない。

 同盟国への攻撃を自国への攻撃と見なして阻止する集団的自衛権は、憲法9条で認める必要最小限の自衛の範囲を超える。だから行使できない。それがこれまでの政府の憲法解釈だ。

 そこを米軍と自衛隊がより緊密に協力できるように、解釈を改めたいというのが、首相の意を受けた懇談会の方向だ。政府がその線で踏み出せば、憲法9条の歯止めが失われることに等しい。

 それほど重要な争点なのに、自民党マニフェストは「集団的自衛権の問題を含め、憲法との関係を整理し、安全保障の法的基盤の再構築を行う」とするだけで、結論をぼやかしている。

 首相も「懇談会で議論を深めている最中だから」と最終的な方向づけは避けているが、それでも解釈変更の必要性は唱えている。

 自民党が勝てば、首相は懇談会の報告に沿って、集団的自衛権の行使容認に踏み込むに違いない。改憲への動きにも拍車がかかるだろう。逆に自民敗北ならば、ブレーキをかけざるを得まい。

 現在の論戦では目立たないが、こうした論点を見落としてはならない。

2007年7月23日 (月)

憲法9条 下町論議(毎日新聞)

毎日新聞の7月21日夕刊東京版に「憲法9条 下町論議」という記事が載りました。7月7日に東京の江東区の勉強会での講演の記事です。ご紹介します。(高田)
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/senkyo/07saninsen/news/20070721dde041010077000c.html

         
’07参院選:明日を託す 憲法9条、下町論議 主婦ら勉強会「もっと考えよう」
[ Weblog ] / 2007-07-21
 年金問題や「政治とカネ」の陰に隠れがちだが、憲法改正は重要な参院選の争点だ。安倍晋三首相は在任中の改正に意欲を示しており、手続きを定めた国民投 票法ができたばかり。3年後には憲法改正案の国会提出が可能だ。そこで「憲法についてもっと考えた方がいいのでは」と考えた主婦たちが今月、勉強会を開い た。東京・下町の小さな部屋で開かれた勉強会をのぞいた。【桐野耕一】

 「(軍隊と変わらない)自衛隊があるのは事実なのに、このままずっと憲法9条を守り続けるのでしょうか」。今月初旬、東京都江東区にある古石場文化セン ターの一室。講師役の市民団体「九条の会」の事務局員、高田健さん(62)に、主婦や会社員の男性たちから質問が飛んだ。勉強会に参加したのは古石場地区 や近くの21人。近所付き合いのある友人たちだ。

 「きっかけは主婦同士の長電話だった」と会を企画した戸井田由紀子さん(56)。「最近ニュースで憲法改正が話題になっているけれど、なんか不安だよねと。参院選で争点になるというし、みんなで勉強しようという話になった」と語る。

 安い講演料で講師を引き受けてくれる人を探していたところ、知人が高田さんを紹介してくれた。「九条の会」は、憲法9条を守ろうと作家の大江健三郎さんらの呼び掛けで発足した会だ。高田さん自身も憲法問題の著書がある。

 約1時間の講義の中心は、自衛隊の位置づけや集団的自衛権など9条をめぐる話題となった。「9条を次世代にバトンしたい」という高田さんの言葉に、主婦 の河田文代さん(52)は「年金は身近な問題で関心があったけれど、憲法なんて人ごとのように思っていた。もっと深く勉強しないと」。会社員の福島有伸さ ん(45)は「憲法を変えるべきだとは思わないが、自分の考えがまだ見つからない」と感想を語った。「今後は憲法全体について勉強会を開きたい」と戸井田 さん。

 高田さんは「昨年ごろから、市民の勉強会に呼ばれるようになった。市民団体の集会も必要だが、いろんな考えを持つご近所が集まって語り合うのが、憲法に関心を持ってもらうのに一番いい」と喜んでいた。

毎日新聞 2007年7月21日 東京夕刊

 

2007年7月18日 (水)

国家安全保障基本法問題について

7月11日に書いた集団的自衛権「行使容認」報告の意向 懇談会座長が見解の記事の問題意識をひきつづき考えている。
これを検討する上で、少し古い文献だが以下の二つは重要だと思っている。
ひとつは中曽根康弘の(財)世界平和研究所が2002年3月19日に発表した「国家安全保障基本法要綱案について」http://www.iips.org/nsc2002.pdf#search='%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E5%AE%89%E5%85%A8%E4%BF%9D%E9%9A%9C%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E6%B3%95'、もうひとつは自民党政調の国防部会が2001年3月23日にまとめた「わが国の安全保障政策の確立と日米同盟~アジア太平洋地域の平和と繁栄に向けて」http://web.sfc.keio.ac.jp/~takaki/hpdata/seisaku-038.htmという文書だ。これらと派兵恒久法を合わせた構想が次期通常国会あたりから具体化してくる可能性がある。もとより、今次参院選の結果がこれらの動向に大きく影響して来ることは間違いないが、巷間、語られているように参院選での与野党議席の逆転があり得るとすれば、秋の有識者懇談会の総括提言を契機に、法案の具体的な名称はさておき「国家安全保障基本法」問題が当面の重要課題として与党側から提起されてくることは確実なのではないだろうか。
われわれがこれに向けて可能なかぎり広範な戦線を形成し立ち向かうことが、9条改憲を阻止する上で極めて重要な闘いになる可能性があることを、あらかじめ考慮に入れておかねばなるまい。(高田)

雑記(14)原発の耐震安全性は根底から崩れた

以下は原子力資料情報室からの最新情報だ。今回の震災による柏崎刈羽原発の被害は時を追うごとにその事故が重大で広範囲に及んでいることが明らかになりつつある。全国の原発の即時稼働停止と全面的な点検、及び国の原発政策の抜本的再検討は緊急の課題だ。
「百年安心の年金政策」と並んで、「百年安心のエネルギー政策」が必要だ。政府の責任が問われるべきだ。(高田)


http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=550

原発の耐震安全性は根底から崩れた

2007年7月17日 原子力資料情報室

7月16日午前10時13分ごろ中越沖地震が起きた。この地震の揺れによって稼働中の柏崎刈羽原発4基が自動停止した。停止したのは2号炉、3号炉、4号炉、7号炉で、うち2号炉は定期検査の最終段階の調整運転のために原子炉を起動中だった。他は定期検査中で原子炉を停止していた。
震災にあわれた方々の苦痛はさらに続くだろうが、原子炉が緊急停止したのは不幸中の幸いというほかない。仮に停止に失敗していたら、放射能が大量に放出される原発震災に至る怖れもあった。
停止に続いて3号炉では外部電源を取り込む変圧器で火災が起きた。絶縁油が漏れ、何らかの理由で引火したためだろう。原因について詳細な発表はないが、漏れは地震により機器・配管に亀裂が入ったことで起きた可能性が高い。鎮火までに2時間近くもかかったのは、消火剤の調達に時間がかかったからといわれている。油火災への備えがなかったことは深刻な不備と言わざるを得ない。
変圧器が機能しなければ、外部電源喪失事故という特に沸騰水型原発では恐れられている事故となる。直ちに非常用のディーゼル発電機が起動することになっているが、この起動の信頼性は必ずしも高くなく、地震により起動しない恐れもある。炉心燃料は自動停止した後も高熱を発しているため冷却を続ける必要があり、これに失敗すると燃料は溶融して高濃度の放射能が環境に放出されることになる。場合によってはその後に爆発を伴うこともあり得る。それほど重要なことを内包する火災だったが、東京電力は変圧器が機能し続けていたか、非常用電源が起動したかなどの重要な情報を発表していない。
さらに東電は6号炉で放射能を含んだ水が放水口から海に放出されたと発表した。発表では6万ベクレルである。この発表がそのとおりとすれば、放射能による環境や人体への影響はほとんどないと言えるかもしれないが、そう言うには放射能の種類ごとのデータが不可欠だ。
また、漏れの原因については十分に調査されるべきである。使用済燃料プール水が揺れで溢れだした可能性は高いが、例えば、プールに亀裂が入っていることも、プール水循環装置からの漏えいも考えられる。このような場合、漏えいは止まらず、早急な対策が取られなければならない。水漏れから放射能の確認まで6時間近くたっており、原因究明が急がれる。使用済燃料プール水の溢れだしは地震のたびにおきていることからすれば、海への放出にまで至ったのは明らかな対策の不備である。
建屋内の情報が公表されないので被害状況が分からないが、機器や壁などがさまざまな影響をうけているに違いない。今回の地震の揺れは設計用限界地震(実際には起こらないが念のために想定する地震動)として想定した値を超えていた。東電の発表によれば、最も厳しい場合が1号炉でおよそ 2.5倍に達している。今回の地震は東西30㎞、深さ25㎞の断層が破壊されたという。そして、原発建設時にはこの断層は検討されなかった。検討されていたのは20㎞も先の中越地震を起こした断層の一部だ。耐震設計の甘さが否めない。想定外の場所で想定を超える地震が発生したことから、陸域・海域を含め周辺の地盤や地層の十分かつ厳密な調査を欠くことはできない。東電はまずこれを進めるべきである。
2005年8月16日の宮城県沖地震、07年3月 25日の能登半島地震、そして今回の中越沖地震、わずか2年ほどの間に3回もそれぞれの原発での設計用限界地震を上回った地震が発生している。原子力安全委員会は06年9月に耐震設計審査指針を28年ぶりに改定し、電力各社は既存原発に対して新指針に基づく耐震安全性チェックを進めているが、ほんらいはすべての原発を止めておこなうべきことであろう。原発を稼働しながら数年内にチェックを終えればよしとしている原子力安全・保安院の現在の姿勢は根本的に見直されるべきである。

2007年7月17日 (火)

雑記(13)「私の内閣」

本日(17日)の毎日新聞の「新聞時評」で静岡県立大学の小針進教授が、同紙6日の夕刊のコラム「近事片々」を引用している。私はこのコラムを見落としていたので紹介しておく。いわく「安倍さんが連発する『私の内閣』という言葉には、内閣が私有物のような語感が付きまとう」と。

実は私は「全く同感」と拍手したくなるのだ。

日ごろ、この「私の内閣」という安倍首相特有のフレーズを聞く度にヤーな感じがしていたのだ。幼児性のようなものを感じてならないのだ。普通だったら、例えば「安倍内閣では」とか表現することで多少なりとも、相対化するところなのではないか。特に安倍首相がいうからよけいと、お坊ちゃんが自己の所有物だと言いはっているような感じがするのかもしれない。すこぶる危なっかしい。

そしてその「私の内閣」が立法府である国会の運営に口を突っ込み、強権的に強行採決を乱発した。あるいは「私の内閣」に幾多の諮問機関をつくり、あたかもそれを公的機関のように偽装する。そうやって「私の内閣」が従来の内閣の憲法解釈すら「私の解釈」に置き換えようとする。あるいは「私の内閣」の間に「憲法を変える」ということで、憲法まで私物化する。

安倍内閣の下では立憲主義が逆立ちさせられている。なにくわぬ顔で「公僕」が「主人公」になっている。今、これに「ガツン」とやらないと、かつてのワイマール憲法の下でナチスが権力を私物化した二の舞になるのではないか。そのように、病床で「九条の会」の小田実さんがくり返しくり返し警告している。我らは小田さんの警鐘をしかりと受け止めなくてはなるまい。(高田)

2007年7月14日 (土)

民主党候補者の政治傾向について

毎日新聞社の参院選候補者アンケートに見る民主党候補者の政治傾向について
本日(7月14日)の毎日新聞は5月末から開始した参院選候補者アンケート調査を発表した。調査項目は広範にわたるが、民主党候補者に限って、直接9条に係わる項目を抽出し、加工してみた。民主党の動向が参院選後、より注目されると考えられるからだ。このアンケートを参院選終了後、当選者に限って再度、加工してみるのも面白い。当選者の調査を同紙がやってくれればよりありがたいのであるが。(高田)

民主党候補者は80人中77人が回答(回答率96.3%)

●憲法を改正すべき 賛成33人(42.9%) 反対29人(37.7%)

○改憲賛成で9条改憲反対は17人(22.0%)
 
●9条を改正すべき 賛成13人(16.9%) 反対41人(52.2%)

●自衛隊は海外でも武力行使できる軍隊として明記 2人(2.6%) 専守防衛前提の明記25人(32.5%) 改憲せず自衛隊も現状維持29人(37.7%) 改憲せず自衛隊縮小12人(15.6%)

 集団的自衛権行使は可14人(18.2%)行使不可51人(66.2%)

 改憲賛成で集団的自衛権行使不可15人(19.5%)

 改憲賛成で9条改憲反対(17人)で、集団的自衛権行使不可は11人(14.3%)

●核武装は将来にわたって検討すべきでない74人(96.1%) 検討開始すべき2人(2.6%)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070716k0000m010083000c.html

2007年7月13日 (金)

有識者懇メンバーの坂元教授の論理

本日(7月13日)の「毎日新聞」討論の広場は「どう考える 集団的自衛権行使」と題して坂元一哉(大阪大教授)、梅林宏道(ピースデポ代表)、田中秀征(福山大客員教授)の各氏がそれぞれの視点で寄稿している。梅林氏は「国際的マイナス甚大(一度容認すれば武力行使は容易に拡大 『専守防衛』失い周辺国との緊張高める)」、田中氏は「米との一体化は危険(米国に『ノー』と言えないうちは控えよ イスラム圏などへの貴重な立場堅持を)」というもので、それぞれ耳を傾けるに値するものがある。

問題は坂元氏だ。見出しは「9条解釈変更で実現を(現行解釈では防衛体制の土台掘り崩す 法律制定で武力行使拡大の歯止め可能)」となっている。「なるほど」と妙に感心してしまった。彼は安倍首相の私的諮問機関=集団的自衛権問題の有識者懇(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)のメンバーだ。「有識者懇を構成する人びと」というのはこうした論者ばかりだ。彼は国際政治学、日本外交論が売り物の学者で、中西輝政・京大教授や前原誠司・民主党前代表らと同様に故・高坂正尭京大教授の弟子の親米派論客だ。

坂元氏は要旨、次のようにいう。

「集団的自衛権行使についての従来の政府解釈は『権利があるからあなたに助けてもらえるが、行使できないのであなたを助けることはできない』と公言するようなものだ。しかし憲法に米国に向かう核ミサイルの撃墜を禁じる文言があるわけではない。解釈の変更が武力行使に慎重な憲法の精神と齟齬をきたさないように、『行使できる』という解釈に基づく法律の制定が必要になる。そのなかで、できることは『ここまで』と書き込めば歯止めになる」と。

この場合の坂元氏の思考からは「憲法」が全く欠け落ちている(否、正確に言うと、「憲法には核ミサイル撃墜を禁ずる文言はない」という迷言はある)。憲法が軽んじられている、「立憲主義」のなんたるかが全くわかっていないというべきか。

坂元のいう「法律」、たとえば「安全保障基本法」が歯止めになることはあり得ない。こうした法律は、この解釈を成立させるための便法にすぎない。歴代政府の憲法解釈ですら、一内閣(私的諮問機関をつくった安倍内閣)の都合で変更してしまおうとするような安倍政権のことだ。都合がわるくなれば法を修正すれば事足りる。そうなれば4類型の合憲化から、全面的な合憲化へ、絶対に渡れない川は存在しない。

この坂元氏のような輩が、この秋、有識者懇の答申を安倍内閣に出してくる。心しておかなくてはなるまい。(高田)

2007年7月11日 (水)

参院選に際して~九条改憲阻止の歴史的な闘いの第1歩に

参院選に際して~九条改憲阻止の歴史的な闘いの第1歩に

6月25日発行の「私と憲法」74号に書いたものだが、明日からの参院選本番をまえに、私たちの決意を示すものとして、あらためてブログにも再録する。
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安倍与党は通常国会終盤でとうとう国会の会期を延長した。野党からだけではなく、与党内からも噴き出していた不満を押し切って、必死になって「丁半ばくち」のような国会運営の挙にでた。

安倍晋三首相は「美しい国」「戦後レジームからの脱却」「主張する外交」などと称して、この国会では新保守主義イデオロギーを前面に立てて攻勢に出た。改 憲手続き法、米軍再編特措法、イラク派兵特措法延長、教育三法改悪、少年法改悪などなど諸悪法を一挙に強行し、集団的自衛権問題での「有識者懇」の設置も すすめた。昨年の教育基本法改悪と防衛省昇格法などと合わせ、安倍の取り巻き連中は歴代内閣が数十年にわたって出来なかったことを安倍内閣は一挙に解決し たなどと礼賛した。

しかし、この側近だけに頼って形成された「日本会議内閣」のもろさはこの間にも次々と露呈した。持論の「従軍慰安婦」問題では「狭義の強制性」を否定した が、矢はアジア諸国からだけでなく米国の議会やメディアからも飛んできた。「拉致問題」を振りかざした北東アジア外交は米国政府にまで見捨てられ、日米両 政府の間に大きな溝ができた。訪米に続いて、財界をひいて訪れた中東では、予想を超える対日感情の冷却化に直面した。サミットでも次回開催国であるにもか かわらず、得点らしいものはあげられなかった。安倍の「主張する外交」は行き詰まった。内政はといえば、柳沢厚労相の「子生み機械」などの暴言、利権まみ れの松岡農水相の自殺などなど閣僚のタガのゆるみに加えて、年金問題の暴風が吹いた。こうして追いつめられた安倍首相は、ただただ参院選対策のための時間 を得ようとして、国会の延長に踏み切り、新保守主義を前面に出すだけでは参院選の旗色は悪そうだとして、姑息にも社会保障などともいいだした。

来る参院選はこうした安倍政権に審判を下す重要な機会だ。野党第一党の民主党は憲法問題をはじめ自民党と類似するところがあまりにも多い。こうしたことか ら参院選での与野党逆転にまったく価値を見出さない人々がいることは理解できる。しかし、私たちはそれでもまず安倍与党の敗北、参院での与野党勢力の逆転 を実現することの重要性を主張したい。改憲内閣、日本会議内閣の安倍政権に、この参院選で与野党議席の逆転の痛打を浴びせることは決して無意味ではない。 もしそれが実現できれば以降の民衆運動にとっても重要な布石となるに違いない。だが、このことは私たちが民主党への投票を訴えることを意味しない。さまざ まな野党の存在が必要であり、とりわけ憲法改悪に反対する社民党と共産党の存在とその議席増は不可欠だ。

この間、私たちは9条改憲に反対する勢力の共同を訴え、院外でそのために微力を尽くしてきた。同時に今度の参院選でこれらの人々の全面的な共同は不可能で あるとも判断してきた。どうやってそうした共同を実現するか、それに向かってどのように努力するか、オール・オア・ナッシングではない。選挙の共同が全て でもない。事態が切迫しているとはいえ、いやそうであるからこそ、現下の条件のもとで、あきらめずに、しかしあせらずに9条改憲阻止の強大なネットワーク の形成とそれによる勝利をめざしてひきつづき全力で奮闘するよう訴えたい。この時代に生きる者の責任において、復古主義者の安倍内閣とその追従者らによる 「戦後レジーム」の打破などを絶対に許してはならない。(事務局 高田健)

集団的自衛権「行使容認」報告の意向 懇談会座長が見解

「有識者懇」(柳井座長)は既定の集団的自衛権の行使の容認に向けて、一路、突っ走っている。下記の朝日新聞の記事がそれを物語っている。
柳井氏の結論はすでにある。柳井氏は「(報告書で)法整備の必要性を盛り込む」と述べている。秋以降、「国家安全保障基本法」の問題が浮上することを私たちはあらかじめ折り込んで、これとの闘いを「集団的自衛権行使反対」の闘いの柱に据えていかなくてはならない。
ここでははっきりしていないが、柳井懇談会が、「集団的自衛権の行使」全体を合憲という解釈改憲の立場を打ち出すのか、それとも安倍首相が提起した4類型のみの「行使可能=合憲化」を言うのか。おそらく柳井懇は前者の立場を容認しながら、とくに4類型については「合憲」とする、その場合、公明党の立場を考慮にいれて、国家安全保障基本法での正当化を前提に、集団的自衛権の行使が合憲か、違憲かについては先送りしてもいいということもあり得るのではないか。要、警戒だ。
いずれにしても国家安全保障基本法問題が焦点になるのではないか。(高田)

http://www.asahi.com/politics/update/0710/TKY200707100466.html
集団的自衛権「行使容認」報告の意向 懇談会座長が見解

2007年07月11日03時01分

 集団的自衛権の研究を進めている有識者懇談会の柳井俊二座長(前駐米大使)は10日、朝日新聞のインタビューに答え、集団的自衛権の行使容認を安倍首相に求める報告書を今秋まとめる意向を表明した。政府の憲法解釈では集団的自衛権の行使は禁じられているが、柳井氏は「現実に合わない憲法解釈はもうやめるべきではないか」と語り、解釈変更が必要との認識を示した。

 懇談会は首相の私的諮問機関。首相が検討を指示した4類型のうち、これまで(1)公海上の米艦防護(2)米国向けの可能性があるミサイル迎撃の2点について議論し、いずれも集団的自衛権の行使容認が大勢だった。

 柳井氏はインタビューの中で冷戦終結後の北朝鮮の核・ミサイル問題や中国の軍拡を指摘。そのうえで「背景が変わったのだから憲法解釈も変わってしかるべきだ。みんなの考え方もそういう方向だ」と語り、懇談会の議論に沿った結論を出す考えを明らかにした。

 首相は5月の初会合で、4類型を可能だとする場合には「明確な歯止めを国民に示すことが重要」と要請している。柳井氏はこの点について「歯止めは(自衛隊の海外派遣に関する)一般法など基本的政策を法律の形で表す」と述べ、法整備の必要性も報告書に盛り込む考えを示した。

 また、有識者懇談会の結論について「足して2で割るような結論は出したくない。政治がどこまで採用するかは政策判断の問題」と述べ、参院選後の政治状況にかかわらず行使容認を打ち出す意欲を強調した。

 首相が示した4類型のうち、国連平和維持活動(PKO)などで行動をともにする他国軍への攻撃に自衛隊が対処することは8月8日に議論する。政府はこれを憲法上禁じている海外での武力行使につながりかねないとしてきた。その後、周辺事態などで行う後方支援の範囲を広げる検討をする予定
だ。

 〈集団的自衛権研究〉 安倍首相は4月に有識者懇談会を設置し、(1)公海上の米艦防護(2)米国向けの可能性があるミサイル迎撃(3)PKOなどで他国軍が攻撃された場合に駆け付けて警護する(4)海外での後方支援活動の拡大――の4類型を示し、憲法上どこまでできるのか、集団的自衛権との関係を含めて検討するよう指示した。集団的自衛権は自国と密接な関係がある他国が攻撃された時に反撃する権利で、日本は憲法解釈で行使を禁じている。(1)と(2)、さらに(4)で周辺事態を想定した場合には米国との関係で集団的自衛権の行使が焦点となる。(3)と(4)は、国連の集団安全保障などの活動にかかわる。

2007年7月 9日 (月)

雑記(12)SIGHT 2007 SUMMERについて

本屋に行って雑誌を捜していたら「SIGHT 2007 SUMMER」というのま目に入った。読者の方は「今ごろそんなこといってんの?」と言うかも知れないが、私はこの雑誌は知らなかった。これが結構面白い。

リベラルに世界を読む 渋谷陽一責任編集

総力特集 反対しないと戦争は終わらない

×9条改正  対談:坂本龍一×藤原帰一

加藤紘一  菅直人   枝野幸男  中村哲/内田樹/大芝亮  高橋源一郎×斎藤美奈子

などなど、いろいろな人が出てくる。なかにはなぜこの人かというのもいるかも知れないが、そこいらは大まかでいいんじゃないかと思う。

 

「対談:坂本龍一×藤原帰一」から一部、見出しを拝借する。

藤原「日本核武装論?素人がカミソリで遊ぶのはいい加減にしてもらいたいです」

坂本「ぼくたちミュージシャンに誰も理論なんか期待していないでしょ。言いたいことがあるんならいえばいいだけのことです」

坂本「なんで、みんながアフガン攻撃はしょうがないと思ったのか理解できない。論理が全部、飛んじゃうんだろうね」

藤原「イラク戦争では、プロが非現実的なことを言い出したので、びっくりしました」

藤原「アメリカは十分なインテリジェンスに基づいて戦争してるっていうけど、とんでもない誤解です」

坂本「変な言い方だけど、左がいなくなっちゃったよね」

坂本「問題があればスピークアウトする。それは市民として当たり前のマナーだよね」

藤原「だってイラク戦争って、日本の自衛戦争ですらないでしょう?」

面白いよねえ。

加藤紘一の「何があっても口を閉ざしません。政治家は話すことが仕事ですから」「『乱暴でもいい、たくましく行こう』という外交は危ないですね」などというのも面白い。

菅直人の「安倍総理は左翼コンプレックスなんです。『美しい国』は日教組をやっつけろってことじゃないですかね」なんてのも面白い。まあ、いろいろ言いたいけどね。(高田)

2007年7月 3日 (火)

「しょうがない防衛相」の罷免要求

昨日(2日)夕刻、私たち市民連絡会も加わっている「辺野古への基地建設を許さない実行委員会」の毎月行動で、市ヶ谷の防衛省に行った。70人ほどの市民が正門前を中心に集まって、辺野古での基地建設の動きに抗議し、あわせて久間防衛相の「原爆投下、しょうがない」発言に抗議した。
集会では抗議声明を発表した日本YWCAの西原美香子さんに続いて、私も久間防衛相の辞任を要求する発言を行った。私はその中で、久間氏と安倍首相が「誤解を招く発言で遺憾である」という主旨の発言しかしておらず、これは謝罪ではないとも指摘した。ついでに一昨日のブログに書いたMDのことにも触れた。
長崎でも、広島でも、抗議の声がわき起こっている。長崎市長も本日、上京して抗議するという。各地で、抗議の声を上げ、こうした安倍政権と与党に、参院選で鉄槌を加えるよう、奮闘したいものだ。(このブログを書いた直後、平和フォーラムさんと協力してWORLD PEACE NOWとして、5日夕刻に防衛庁前でキャンドル抗議行動を呼びかける準備に入ったが、その最中に久間防衛相の辞任の報道が飛び込み、中止した)

YWCAの抗議声明を添付します。(高田)

久間章生防衛大臣の広島・長崎への原爆投下を是認する発言に、強く抗議いたします

6月30日午前、久間章生防衛大臣が、麗澤大学の講演の中で、米国の広島・長崎への原子爆弾投下が日本の無条件降伏につながり、ソ連の北海道侵略・占領を防いだと指摘した上で「(原爆で)本当に無数の人が悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で今しょうがないなと思っ
ている」と述べたことについて、私たち日本YWCAは強く抗議いたします。

戦後数十年たってようやく証言に立つ被爆者の方々の「あやまちを繰り返してはならない」という言葉を心に刻みつつ、日本YWCAは1971年以来若い世代と共に「ひろしまを考える旅」を行って、日本の被害と加害の歴史を学んできました。私たちが多くの被爆者の方々に学んだことは、あの日あの場所でさまざまな人々が日常生活を営んでいた時、原爆投下によって一瞬にして命が奪われたという事実であり、戦後その歴史を省みることなく、国と国の政治の力の中で、核実験が続いている現実です。62年たってもなお、原爆の後遺症や核実験による放射能障害で苦しんでいる方々がおられることを、私たちは忘れてはなりません。

原爆投下によって戦争が終わったという言葉は、これまでも国内外の政治家が言葉にしてきました。しかし、原爆で奪われた一人ひとりの命は、誰にとってもかけがえのない命であったという感性を、政治家である前に、私たち人間は失ってはなりません。今回の久間防衛大臣の「しょうがないなと思っている」との発言は、すべての命への冒涜であり、政治家として歴史認識を著しく欠く発言です。また、久間防衛大臣の発言を是認する安倍政権は、まさに戦争を正当化し世界的な軍事支配をつづける米国に追従する姿勢を顕にするものです。

歴史の過ちに学び、市民の命を守るために平和をつくり出す政治を行ってほしいと願う日本YWCAは、久間防衛大臣の発言はもとより、これを是認する安倍政権に強く抗議いたします。

2007年7月2日

日本YWCA 会長  石井摩耶子/総幹事 川端国世

2007年7月 2日 (月)

読売が嘆く自民党候補者の「改憲への気迫」

自民党は1956年の鳩山政権下での参院選以来、約50年ぶりにその参院選選挙公約に改憲、新憲法制定を掲げた。155項目の重点政策のトップである。しかし、昨日(1日)行われた安倍首相と小沢民主党代表の党首討論では両者とも最重点政策は年金問題だったという。安倍首相のこうした豹変、あるいは動揺の原因が世論の動向にあるのは疑いない。本日の産経新聞の世論調査でも、政策での有権者の関心事の第1は年金問題で、42.2%、つづいて税制改革で18.4%、憲法問題は第5位で8.2%だという。

本日の読売新聞のコラム「方位計」が「欲しい 改憲への気迫」と題して、与党候補者の政治姿勢をなげいている。コラムによると、同紙が実施した参院選立候補予定者アンケートで、「憲法改正」を争点にすると答えた者は、自民党8人、公明党1人だったという。コラム子は、20人全員が「憲法改正を争点にする」と答えた社民党、8割近かった共産党に比べ、「なんとも寂しい限りだ」と嘆いている。

そして「『参院選の争点は?』と問われるたびに、『憲法改正』と答え続ける安倍首相が気の毒になってくる」と書いている。コラム子のこの安倍評価が見損ないであることは先に指摘したとおりだ。コラム子によれば、自民党候補者向けの「憲法問題Q&A集」をつくった中山太郎自民党憲法審議会会長も「困ったもんだね」「国の基本をなす事柄から逃げるのでは政治家失格だ。今度の選挙は憲法改正を発議する議員を選ぶ選挙。憲法改正をうったえないなら党公認を取り消すくらいでなければ」とも言ったという。

1997年以来、改憲議連を率いてきて10年、とうとう82歳になってようやく改憲手続き法も通して、あわよくばあと3年余で改憲を、とばかりに意気込む中山会長からみれば、憤懣やるかたないのであろう。しかし、河野総裁の一時期を除いて、鳩山以来の自民党は、党綱領には改憲を掲げながら、選挙で有権者に直接改憲を訴えたことはなかった。今回の自民党候補者や安倍の動揺も不思議ことではないのかもしれない。

ただ、時代の証言者として安倍首相に確認しておきたい。155項目のトップに書いたからといって、あとで「あの選挙で改憲を正面から掲げて有権者に信を問うた」などとはいってくれなさんなよ、と。ほとんどの候補者は動揺して改憲を訴えなかったということを明確に記憶しておきたい。

読売のコラム子は最後にこう言う。「共産、社民両党では、『年金問題』よりも『憲法問題』を争点にえらんだ立候補予定者が多かった。野党にとって最大の追い風とされる年金問題をよりも護憲を優先させる気迫は、侮れない」と。

「敵も然る者」なりか。(高田)

2007年7月 1日 (日)

(雑記11)久間防衛相の発言によせて

久間防衛相の「原爆投下、しょうがない」発言が被爆地をはじめ、各方面からの怒りを買っている。防衛庁も防衛省になり、その初代の大臣としていっぱしの戦略家ぶっておきたいという欲求に駆られたのかも知れない。米国の核兵器を使った無差別殺戮という基本問題を忘れて、将棋の駒でも動かしているかのような感覚で飛び出した発言だ。

 久間章生防衛相は30日、千葉県柏市の麗沢大で講演し、先の大戦での米国の原爆投下について「長崎に落とされ悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で、しょうがないなと思っている。それに対して米国を恨むつもりはない」と述べた。

 米国が旧ソ連の日本への参戦を食い止めるため原爆を投下した側面があるとの見方を示し「日本が負けると分かっているのにあえて原爆を広島と長崎に落とし、終戦になった。幸い北海道が占領されずに済んだが、間違うと北海道がソ連に取られてしまった」と指摘。

 また「勝ち戦と分かっている時に原爆まで使う必要があったのかどうかという思いは今でもしているが、国際情勢、戦後の占領状態などからすると、そういうことも選択としてはあり得るということも頭に入れながら考えなければいけない」と述べた。(共同通信)

安倍内閣の閣僚の発言が「ともかく軽すぎる」という批判をテレビでしている人がいた。しかし、より大事なことはかれらの発言は「本音」であると言うことだ。おそらく、普段考えていて、あるいは親しい者との会話では日常化していて、それが飛び出しているのではないか。これまでは多くは、そう思っても各方面に配慮して軽々には発言しないということがあったのは事実だろう。閣僚の発言が深い思考に欠けているという点では、たしかに軽いといえば軽いのだが。

久間は特に愚かで、「放言癖」がある。この間、物議を醸す発言があまりに多すぎる。なかには「歯に衣をきせない発言だ」などと好意的に評価する向きもあるが、私は久間は基本的にアホだと思っている。

あとで最近の「弾道ミサイル攻撃は99%防衛できる」という発言を取り上げるが、最近話題になった発言を、思いつく限りをあげても、「(辺野古への掃海艇ぶんごの派遣は)沖縄県民に銃口を突きつけたとの印象を与えたとされたが、掃海母艦は戦闘用でなく、それは違う」(6月末、沖縄で)、「政府はイラク戦争を支持すると公式に言っていない」(昨年12月、国会)、「イラク開戦は、核兵器がさもあるかのような状況でブッシュ大統領は踏み切ったのだろうが、その判断が間違っていたと思う」(1月、日本記者クラブで)、「普天間基地の移転問題について「私は米国に『あんまり偉そうに言うな。日本のことは日本に任せてくれ』と言っている。県知事の意見も聞き入れながらやっていかなければならないが、米国は根回しが分からない」(1月末、長崎県内での講演で)等々。

ほかにもいろいろあると思う。先の長崎市長銃撃でもとんでもない発言をしてひんしゅくを買ったはずだ。特にイラク開戦批判(事実、あたっている面もあるが、それなら今国会で強行採決したイラク特措法の延長はやめるべきではなかったか)では米国当局を怒らせて、しばらく米国政府は久間防衛相をシカトし、日米防衛首脳会談が設定できなくなったほどだ。

この久間という人物の今回の発言は、もしかしたらこの間の対米批判発言に対する穴埋めという意図でもあって、米国にゴマを擦ったつもりだったのではないか。

真意の詮索はさておき、「弾道ミサイル攻撃は99%、防衛できる」(6月末、沖縄で)という発言については一言、コメントしておきたい。

久間章生防衛相は24日、沖縄県宮古島市のホテルで講演し、北朝鮮などから弾道ミサイル攻撃を受けた場合の防衛態勢について「今のミサイル防衛 (MD)システムで99%は排除できる」との認識を示した。日本のMDは、海上配備のSM3ミサイル、地上配備のPAC3ミサイルの2段階で迎撃する仕組 み。久間氏は「今のSM3で9割以上迎撃でき、外れた1割をPAC3が撃つ確率は9割」と説明した。

安倍首相がいま、その私的諮問機関「集団的自衛権に関する有識者懇」に検討させている「日本付近を通過して米国に向かう弾道ミサイルを迎撃するのは違憲かどうか」という議論が、実はそうした迎撃を可能にする軍事的能力をいまの自衛隊は持っていないこと、それを実現するには膨大な資金と日時を要すること、その意味で机上の空理空論であることは知られている。

しかし、防衛相たる久間のこの発言もトンデモものだ。海上配備のSM3で9割というが、たしかに米海軍は昨年までに8回迎撃実験をして7回成功している(これが9割ということか)。しかしこの実験は各1発で、弾道ミサイルの発射地点、発射時間、発射方向などがほとんどわかっている上での迎撃実験だ。複数弾頭とか、おとり弾頭とか、多連続発射でもない。これらに対応できる「SM3-2」というイージス艦搭載迎撃ミサイルの共同開発はいまだ予定も立っていないのが現状だ。

地上配備の「パトリオットPAC3」による迎撃体制はどうか。これは沖縄の米軍嘉手納基地に配備され、先ごろは埼玉県入間の自衛隊基地に配備されたが、8発という(1発8億円)。その射程距離は20キロ以下で、横田基地を守るか、自走発射機で移動して、国会と皇居を守るしかない。先日、一部、新聞でこの移動訓練の実態が報道されていた。近々に横須賀、習志野、霞ヶ浦にも配備する計画だが、全部合わせても32発。さらにここ数年かけて、阪神・中京地区、佐世保など北部九州、三沢など青函地区に合わせて32発配備する計画だ。いずれにしても、命中精度100%と仮定してさえ、射程範囲20キロのPAC3を配備予定分全てを日本列島に並べても、ごく一部しかカバーできないのは明らかで、どこから99%という数値が出てくるのか。たいした防衛相ではある。(参考文献「北朝鮮・中国はどれだけ恐いか」田岡俊次・朝日新書)

私は常々、講演では「いかに戦争に備えるか」ではなく、「いかにして戦争を防ぐか」だといっている。(高田)

http://www.asahi.com/politics/update/0630/TKY200706300263.html

http://www.47news.jp/CN/200706/CN2007063001000274.html

http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20070625k0000m010035000c.html

http://www.sankei.co.jp/seiji/seisaku/070128/ssk070128000.htm

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