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許すな!憲法改悪・市民連絡会

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2007年1月19日 (金)

民主党議員への要請文

民主党のみなさんへ

改憲手続き法案はまだまだ問題が山積しています。法案の強行をねらう安倍政権与党に無原則な妥協をしないよう、市民にガラス張りの審議を要請します

自民党は05年秋の大会で9条を変えて、自衛隊を「自衛軍」に変えることを中心にした「新憲法草案」を発表し、安倍首相はその実現のために、まずこの通常国会では「改憲手続き法」を成立させると表明しました。

しかしこの間の憲法調査特別委員会での審議を通じて、この法案が重大な問題点を多々含んでいることがつぎつぎに明らかにされています。与党は真剣にこれらの問題点の解明をはかることもなく、あたかも「はじめに改憲ありき」の様相で法案の採択を急いでいます。「戦争のできる国」をめざす「憲法9条改悪を許さない」――わたしたちはこうした切実な思いにたち、特別委員会の審議を注目してきました。与党の提案する「9条改憲のための改憲手続き法」案に反対し、国会審議でさらにこれらの問題点を明らかにするよう、野党の皆さん、特に民主党のみなさんに強く要請するものです。

◆「国政における重要な問題に係る案件の国民投票」は民主主義を発展させる上で極めて重要な提起であり、安易に撤回することは政治不信を醸成させかねません

 与党は一貫してこれに反対してきましたが、それは何が何でも改憲優先で、国民主権や民主主義について真剣に考えていないことの証明というほかありません。この間、民主党が提起してきた「国政における重要な問題に係る案件の国民投票」は国民主権を保障し、強化する上で真剣に考慮すべき問題であり、この問題を政治的妥協で撤回したり、先送りすることは、市民の政治不信を招くことにもなります。民主党がひきつづきこの主張を堅持して、慎重な審議をすすめるようお願いします。

◆「過半数」は何を基準にするのかの問題

与党は一貫して、最も改憲のしやすい「有効投票数の過半数」を主張し、民主党の言ってきた「投票総数の過半数の承認」すら拒否してきました。修正案では投票用紙に印刷された「賛成・反対」に印をつけることにすれば有効投票の過半数でいいとしていますが、これでは民主党の主張も無視されています。こうした党利党略で本当の意味で「民意」を問うことができるでしょうか。

◆せますぎる投票権者の範囲

投票権者の年齢問題では法律施行までに公選法、民法、その他の法制上の措置を講ずることを条件に、20歳を主張していた与党が18歳以上を主張する民主党案に妥協しようとしています。この中では民主党案の「特定の場合は国会の議決を経て16歳以上も参加できる」としていた規定は無視しています。しかし18歳は無論のこと、義務教育終了年齢に該当する15歳以上の若者にしても、憲法改定の是非を問う国民投票の有権者として十分に判断力を持っているし、憲法が若者の将来を左右することを考えれば、広く門戸を開くべきです。現に、民法や住民投票の年齢規定はさまざまです。安易に約200万人もの若者をあらかじめ国民投票から排除することは許されません。これらについて、いっそう真剣な議論をお願いします。

また定住外国人は納税義務を課せられており、憲法が変わればその権利・義務も変わるにもかかわらず、国民投票に参加できないのも不当と言うべきで、再検討の必要があると思います。

◆資金力のある改憲派の宣伝は圧倒的に有利

与党案は「修正」案でも、民意を真に問おうとせず、カネと力で改憲に都合のいい投票結果を得ようとする意図が濃厚です。

テレビやラジオのスポットCMなどの規制も、投票日前1~2週間は制限するという議論はあるが、期間全体を通じて制限すべきことについては、ほとんど議論がなされていません。放送時間の量や時間帯、製作費などの資金量で、CMの効果・影響には決定的な差が出ることへの対応がされていません。これらも「報道の自由」の問題と合わせて、もっと全面的に議論されなければなりません

「広報」においても、不可欠な公平性は確実には担保されていませんし、「公費」での広告ができるのは政党のみで、憲法改正国民投票の真の主体である市民や在野の団体は、手続きが煩雑で困難だなどという口実で除外されています。外国の例で見ても、方法はあると思われます。

◆どんなに投票率が低くても国民投票を成立させていいのか

投票が有効なものとして成立するための条件の規定は必要ないのでしょうか。「投票総数」、あるいは「有効投票数」の過半数で成立とするなら、低投票率の場合、賛成が有権者の1~2割でも改憲が成立する可能性があります。ことは国の最高法規である憲法の問題ですから、投票の成立要件の規定は必要です。日本の住民投票や外国の国民投票の例にもあるように、「有権者総数の2分の1以上」が投票したら成立するとか、「投票総数の過半数と全有権者の40%の賛成の両方」が満たされてはじめて承認となる(イギリスの例)など、国民投票の成立要件を明確にすることなども論議の対象にすべきです。

◆「一括投票」というデタラメな方式は完全になくなったのか

発議方法については、評判の悪かった「一括」投票にするようなやりかたはとらず、「内容において関連する事項ごと」に発議するという方式に変えられています。しかし、例えば「自衛軍を保有するかどうか」と「海外派兵を認めるかどうか」という異質の問題も憲法9条関連ということで「一括」にすることが当然視されています。これは独禁法違反の「抱き合わせ商法」だと指摘されてきた「一括投票方式」同様のペテンです。たとえ自衛隊を「自衛軍」とするというのは支持できても、今回の自衛隊法改定で定められたような「海外派兵の本務化」は反対だと、それぞれを切り離して選択する道は閉ざされています。まして公明党のように、海外活動容認の第3項を付加するというなら、それぞれに分けて問うべきであるのはなおさらです。

◆発議から2~6カ月の短時間で国民投票

「国民投票は改憲発議から60日以後180日以内に行う」となっています。60日で国民は憲法についてどれだけ議論や検討ができるでしょうか。憲法の核心である9条問題を議論するには、たとえ180日でも短すぎます。

憲法を変えるための国民投票は、国会議員を選ぶ選挙とはまったく性質が異なるものです。先の「郵政国民投票」といわれた総選挙は、「改革だ」「民間にできることは民間で」などという熱狂的な扇動で与党を圧勝させましたが、結果はどうだったでしょうか。有権者が冷静に、しっかり議論し、考えるための期間として少なくとも1~2年は必要です。まして、今度行われるかもしれない国民投票は日本では初めてのことで、しかも9条という憲法の大問題を問うことになる可能性が濃厚ですから、有権者の熟慮期間は十分にとらなくてはなりません。

◆公務員や教員の運動に対する抑圧規定

当初案にあったような露骨な運動の制限・弾圧規定は変えられましたが、なお与党案には公務員や教育者の「地位利用による国民投票運動の禁止」条項があります。「罰則規定を設けない」などと説明されていますが、これは誰もが持っている国民投票について自由に意見を表明する権利への干渉であり、運動の萎縮効果を誘導するものです。さらに他の法律を使った権力による不当な弾圧を招きかねないものです。現行法制の拡大解釈による適用で、いまでも「ビラ配り」が逮捕されることはしばしばあります。また法案に設けられている「組織的多人数買収罪」も弾圧に適用される可能性を排除できません。

◆国民投票無効の異議申立ては「東京高裁だけに30日以内に」

与党案では「投票の効力に異議があれば、結果の告示から30日以内に東京高裁だけに提訴できる」となっており、しかも裁判所は「投票結果が変わるおそれがある場合だけ無効判決をする」とされています。いったい30日以内に誰が違反性を十分に立証できるのでしょうか。その後に重大な違反が発覚しても「新憲法は有効」となります。

また、なぜ他の地方の高裁はダメで東京高裁だけなのでしょう。これでは「異議申し立ての権利」は全くの見せかけのものになってしまいます。

◆法案成立後に設置される「憲法審査会」の危険性

法案成立後の国会で設置されるとしている常設の「憲法審査会」は、改憲を目的にした「憲法の調査」と「憲法改正原案づくり」などを常時議論する場とされています。このような憲法審査会が常設されれば、多数派が勝手に憲法解釈をしたり、解釈改憲さえもまかり通る可能性があります。またこの議論の中で、「言論の自由の問題だ」などというすり替えによって、政府と国会議員の憲法遵守義務が軽視され、たとえば最近問題になった麻生外相の「核保有議論の自由化」などに道が開かれかねません。こうしてみると「憲法審査会」は憲法を形骸化するための常設機関としか言いようがありません。この問題の議論もさらに必要だと思います。

おわりに

種々の世論調査を見ても多くの国民が「改憲手続き法案」についていまだに良く理解していない現状を、国会議員の皆さんはもっと真剣に考えていただきたいと思います。

単に関心がないのではなくて、多くの人々にとって、今、「改憲」は切実な課題ではないのです。そのようなもとで、国会内の審議だけでこれだけの重要法案を通してしまっていいのでしょうか。それは議会制民主主義を崩壊させることにつながるのではないでしょうか。

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